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湿原における水理特性の深度依存性

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Academic year: 2022

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(1)VII‑065. 土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月). 湿原における水理特性の深度依存性 北海道大学大学院工学研究科 学生会員. 坂本. 北海道大学大学院工学研究科. 五十嵐敏文. 正会員. 北海道大学大学院工学研究科. 孝博. 朝倉. 國臣. 1.はじめに 湿原は、さまざまな動植物が生息している貴重な自然環境の一つである。近年、農地開発、 道路整備、河川改修などの人為的行為に伴う地下水位の低下によって、湿原環境の急速な悪化が危惧されて いる。一方では、湿原の保全対策を講ずる上で、湿原の特性に関する情報が不足している。特に、地表面よ り下部の水理特性に関してはほとんど明らかにされていない。本研究では、北海道に広く分布する湿原の中 からサロベツ湿原を対象として、その保全対策に資するために、湿原土の物理化学的特性および透水特性に 関する深度依存性を明らかにする。 2.試験方法 サロベツ湿原において、ピートサンプラーを用 0.5 0. 表面下5mまでの鉛直試料(ST.3、ST.4)を採取した。なお、. -0.5. 本地点では地表面から 0.5mの深度までは、現在生育している植. -1. 物の根や茎により不撹乱試料の採取は困難であった。湿原土の. -1.5. 物理化学特性を明らかにするために、「土質試験の方法と解説」 1). に準拠し、比重試験、含水比試験、強熱減量試験、透水試験. 深度(m). いて地表面下 0.5mから3mまでの鉛直試料(ST.1、ST.2)と地. を実施し、比重、含水比、乾燥密度、湿潤密度、間隙率、間隙 比、強熱減量、透水係数を測定した。なお、透水試験では、ピ ートサンプラーで採取した半円柱状の試料を近接する深度の試 料を合わせ、円柱状(コア状)にしたものを円筒容器に挿入し、. 比重. 1. 1.5. -2.5 -3. ST.1. -3.5. ST.2. -4. ST.3. -4.5. ST.4. -5. 図1 比重と深度の関係. 3.試験結果 種々の測定項目の中から、比重、間隙率、強熱. 間隙率(%) 50. 減量、透水係数の深度分布を図1〜4に示す。なお、今回採取. 60. 70. れ、深くなるにつれそれらが不明瞭となった。また、ST.4 の深. -1. 度 4.5m〜5.0mの部分(灰色の粘性土層)は湿原土とは明らか. -1.5. に工学的性質が異なっており、過去の湖沼堆積物である底質と. -2. 深度(m). -0.5. -2.5 -3. ST.1. -3.5. れ、1.1〜2.3 の幅であった。また、表層付近に採取地点による. ST.2. -4. ST.3. バラツキが認められた。間隙率は、深度 4.5mまでは 90〜95%. -4.5. ST.4. 程度でほぼ一定値を示し、底層では 76%と急激に低下した。す. -5 図2 間隙率と深度の関係. なわち、湿原土層では非常に間隙の大きなほぼ一定の値を示す キーワード:湿原、間隙率、強熱減量、透水係数、湖沼堆積物 連絡先:〒060-8628 札幌市北区北 13 条西 8 丁目 TEL:011-706-6308 ‑129‑. 80. 0. した試料の特徴としては、表層付近は植物の根や茎が多くみら. これらの図から、比重は深度方向にやや増加する傾向がみら. 2.5. -2. 変水位法を適用した。. 判断された。. 2. FAX:011-706-6308. 90. 100.

(2) VII‑065. 土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月). が、底層部分では粘性土となりその値が低下した。強熱減量は. 強熱減量(%) 0. 4地点とも深度方向に減少する傾向がみられた。すなわち、表. 20. 40. -0.5. ST.1. で低下した。このことは、湿原の浅い部分では草の根・茎や枯れ. -1. ST.2. 草が多く、深部方向にそれが徐々に腐食分解し、有機物量が減. -1.5. 少していくことを示唆する。透水係数に関しては、どの地点に. -2. 深度(m). 層付近では 90〜100%で、深度とともに低下し底層では 16%ま. おいても明瞭な深度依存性はみられず、10‑5〜10‑3 cm/s となっ. 60. 80. 100. 0. た。泥炭土試料の中には植物の根や茎があるため水みちができ. ST.3 ST.4. -2.5 -3 -3.5. ていたり、成層となっていたり、また潅木を噛んでいたりして. -4. 均一性に欠ける場合もある。また、地下水面以下の深い場所か. -4.5. ら採取した試料では、土被り圧の減少により供試体が膨張し間. -5. 図3 強熱減量と深度の関係. 隙率が大きくなるので透水係数が過大となりやすいとも報告さ れている1)。しかし、今回の試料は極端に大きな植物の根や茎 を含まず、湿潤状態のまま保管し透水試験に供しており、さら. 透水係数(cm/s). に採取後の顕著な膨張も認められなかったことから、試料中を. 1.00E-06 0 -0.5. すると、深度の増加によって有機物量は減少するが、透水係数. -1. は変化しないことから、有機物が分解しても透水係数へはあま. -1.5. り影響しないといえる。 これらの結果およびその他の項目の特徴を表1に整理する。 湿原土に関する表中の数値はこれまで報告されてきた泥炭の結 果ともおおむね一致している 。 本試験を通して、以下のことが明らかになった。. (1) 本地点の湿原土の厚さは約 4.5mで、深度 5m付近では底質. 1.00E-04. 1.00E-03. 1.00E-02. 1.00E-01. -2 -2.5 -3. ST.1 -3.5. 2). 4.まとめ. 深度(m). 水が均等に浸透したと考えられる。強熱減量の深度分布と比較. 1.00E-05. ST.2. -4. ST.3. -4.5. ST.4. -5. 図4 透水係数と深度の関係. が認められた。また、湿原土の物理特性は、従来報告されてい る結果とほぼ一致した。 (2) 湿原土の透水係数は 10‐5〜10‐3 cm/s となり、明確な深度. 表1 採取湿原土の物理化学的性質. 依存性は認められなかった。一方、強熱減量は深度とともに減. 項目. 湿原土. 底質. 深度依存性. 少することから、有機物分解が起こっていることが示唆された。. 比重. 1.2~2.3. 2.3. 深度とともにやや増加. 含水比 (%). 500~1200. 150. 深度とともにやや減少. 乾燥密度 (g/cm3). 0.8~1.8. 0.55. 湿潤密度 (g/cm3). 1.0~1.1. 1.4. 間隙率 (%). 90~95. 75.9. 間隙比. 9.0~20. 3.2. 強熱減量 (%). 90~100. 16. 透水係数 (cm/s). 10-5~10-3. このことは、湿原土に含まれる有機成分が分解されても透水性 にはほとんど影響しないことを示す。 今後は、湿原におけるボーリング調査を実施し、完全な不撹 乱試料を採取し、各種特性の深度依存性や異方性に関して調査 する。さらに、湿原地下水についても調査し、各深度で採取し た地下水に関して、水質の鉛直分布を調査する。 〈参考文献〉1)地盤工学会 (2000) 土質試験の方法と解説−第一回改訂版− 2)能登 繁幸 (1991) 泥炭地盤工学、技報堂. ‑130‑. 深度とともに減少.

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