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唐川湿原の植生とその環境

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(1)

唐川湿原の植生 とその環境

Httoatsu SHIMIzll: Vegetation and the Habitat of Kar孤 ぬwa Moor, Iwami‐gun,Totto Prefecture

(1989年8月31日 受理) I。 は じ め に 著 しく北に偏 って連なる中国山地 を県境 とし

,

日本海にはさまれて位置する鳥取県では

,そ

の急峻な地形に起因すると思われるが

,山

地の湿原はきわめて少ない。その中で も

,唐

川湿原 は最 も湿原 らしい景観 を示 している湿原 として知 られてお り

,1944年

に「カキツバ タ湿原」 と して国の天然記念物に指定されている。わが国において

,国

の天然記念物に指定 されているカ キツバ タ湿原 は

,他

に愛知県刈谷市の小堤西池湿原 (矢野 ら

,1986,1987),京

都市の太 田の 沢湿原のわずかに

3ケ

所である。唐川湿原は きわめて小面積の湿原であるが

,過

剰管理等 を含 めて人為的影響 はほとんどな く自然状態が保 たれている点

,貴

重な存在である。 しか し

,未

だ 本格的な調査報告 はなされておらず

,わ

ずかに天然記念物指定調査報告 (生駒

,1939)お

よび 生駒 (1962),越 智 (1984)ら による本湿原の紹介的概説があるのみである。 本湿原において

,1980年

か ら1981年の

2年

間その植生および湿原 を支える水環境などについ て精査 を行 った ものの未発表であったが

,こ

の度

,保

全のための総合調査が企画 される逗 び と なったので

,こ

れを契機 に

,植

生の時間的変遷等の比較検討に資する意味 をこめてここに報告 する。本報告 に使用 した基礎データの相当部分 は田中章郎**お よび林谷勉

***両

君の卒業研究 時に著者 も同行 して得 られたものであるが

,精

力的にデータ収集にいそ しんだ当時の両君達 を 思い起 こし

,記

して両君に深謝の意 を表する。

H.

唐川湿原の概要 唐 川湿 原 は鳥取市街地 か ら約 7 1onの距離 を隔 てた鳥取県岩美郡岩美 町唐 川 (35° 29′N, 134°20′

E)に

位置 し

,稲

葉山山地の大井津山

(519.3m)を

最標高地 とする標高

370mの

谷 間に 形成 された面積約

0 5ha,長

径約

120mの

,比

3mで

緩やかに傾斜する湿原で

,わ

ずか に南東後背部 に水田跡地がある。本湿原の給水源は南側 と東側の二つの谷に求め られるが

,東

側の谷はきわめて浅 く

,恒

常的な給水は期待するべ くもな く

,南

側の谷水が主要 な水源 となる。 明治

5年

(1872)に 灌漑用水池 として大沢池が構築 されて以来

,灌

漑用水路か らの落 し水お よ

*生

物学教室 料 岡山県井原市立大江小学校教論 ***鳥取県境港市立境第一中学校教諭 厚* 寛 水 清

(2)

厚 び水位調節子しか らの多量 の水が南側谷 に供給 されてい る。一方

,灌

漑用水路 は湿原 の上部東斜 面 の コナ ラニ次林 の中腹 を経て唐川村落の水 田に導 かれている力乳 その途 中

,東

側谷 の上部の 水 田 を涵養す る とともに

,そ

の一部 は東側谷水 となって湿原の水源 となる。 また

,コ

ナ ラニ次 林 の 中 を流 れ る用水路 は土作 りであ るため漏水 も適度 にあ り

,側

面 か ら湿原 を潤す。 さらに, 早春 には湿原 の表面 を覆 ってい る大型 の枯死草本 や ミヤコイバ ラな どの木本性植物が野焼 され るこ ともあ り

,総

じて現在 の ところ良好 な湿原環境 が維持 されている。貯水 された水 の供給 に 湿原 の維持 は依存 しているが

,人

為 的給水 は 自然給水 に比べ安定的な給水が得 られる ものの, 人の恣意 による供給抑制の危険性 もは らんでいる。 北西方 向に広が る湿原 の西面お よび南 東面丘陵部 にはゴルフ場が存在 す るが

,湿

原 を取 り囲 む斜面の 自然度の高い二次林 によってゴルフ場 の存在 を感 じさせ ない比較的良好 な景観環境が 保 たれてい る。 Ⅲ

.植

生 概 観 唐 川湿原 の植生 を概観す る と次の

5植

分 に大別 で きる。すなわち,(1)西 お よび北面周辺部 の 流水路沿 いに発達す るカサスゲやシロネな どが優 占 して密生す る高茎湿生群落お よ

a2)ツ

ル ヨ シの植分,(3)中 央部 の地下水位が地表 とほぼ等位 であ り

,水

の流れが停滞 しがちな湿潤地 を占 めて オオイヌノハナ ヒゲが繁茂す る中

,イ

ヌノ ヒゲ, カ リマ タガヤ

,モ

ウセ ンゴケ, ア リノ ト ウグサ な ど接地性 の月ヽ植物 が発達 して最 も湿 原 ら しい景観 を呈示す る植分

,樅

)中央部か ら東面 の後背地 な どの隆起地や水 田跡地 な ど乾燥化傾 向 を示す立地 に広 く分布す る トダシバやススキ が混生す る植分

,そ

して(5)水田跡地 の土手上 を占めて帯状 に伸 びるネザサ植分 に分 け られ る。 Ⅳ

.調

査 方 法 調査 地唐川 湿原 は約 0,5 haの 小面積 であ るため既存 の地形図で は調査基本地図にな り得ず, ス タジア測量 に よ り1/500の 地形 図の作成か ら取 り掛 か った。作成 した地形 図 を基本地 図 とし て利用 し

,水

環境 お よび主要植 物の経年変化 を追 いつつ植物群落の調査 を実施 した。

1.水

環 境 植 物相 を 目安 に13地 点の測定点 を設定 し (図

1),お

よそ1ケ月 ご とに水位

,溶

存酸 素量, 酸性度

,水

温 な どを測定 した。測定点 は流水地 を除 き

,自

然 の状態 の まま採水す るこ とはほ と ん ど不 可 能 で あ るため

,流

水 地 を除 く測 定 地 点 に は狽J面に

lcmの

小 穴 を多数 開 けた直径 7

cm,長

lmの

塩 ビパ イ プ を打 ち込 み

,そ

の 中の水 を測定対 象 と した。水位 は地表面 を基準 に して水面 までの深 さを

,酸

性度 は比色法 に よ り現地でそれぞれ測定 し

,溶

存酸素量 は現 地で 50 ccの 酸素瓶 を使用 し固定 した水 を持 ち帰 り

,ウ

イ ンクラー法 によ り測定 した。

2.主

要植物 の生長変化 環境 の異 な った立地 に成立す る植 物群落 を

6区

地点 (図

1)選

,カ

サ スゲ

,カ

キ ツバ タ, サ ワギキ ョウ

,シ

ロネ

,

ミソハ ギの

5種

類 につ いて 4月 か ら 9月 までの6ケ月 間

,月

毎 に栄養 器官 の 自然高 を測定 した。測定 に当たっては調査 区の中で最 も生長 の よい個体 を選 び

,緑

葉 の 高 さを測定 した。 したが って

,葉

の先端が↑占れて くる とその植物高 は減少す ることになる。

(3)

唐川湿原の植生 とその環境

1

唐 川湿 原 にお け る水環境 測定 地 点 (●)と主

要植物生長測定 区 (□)

Fig.1, Map sllowing stands surveyed wattr en‐ 、ばonlnents(0)and growth of plants(□).

Contoばinterval is 25 cm.

3

植 生お よび植生 図 Braun‐Bttnquet(1964)に 従 って植 物社 会 学 的調査 を行 う とと もに

,区

分 され た群 落 を もと に現存植生図 を踏査 によ り描 いた。

V.結

果 と 考 察

1

水 環 境 設定 した観測定点の概要 を表 1に 示す。水質測定は

,1980年

および1981年の

2年

間継続 して 測定 を実施 したが

,1980年

は空梅雨冷夏の異常気象年 となったので

,地

下水位

,pHお

よび水 温 については1981年の結果 を示 し

,溶

存酸素量については1981年には測定 を省略 したので, 1980年の結果 を示す (表

2,図

2)。

2年

間の各地点毎の相対的変動 は概ね類似 している。結 果 を図示するに当た り

,測

定地点の植物相および立地環境の類似性 を目安 に

,便

宜上次のよう とこ(渇水期 を除 く

)4区

分 して示 した。

(a)流

入水路あるいは流出水路付近で常時流水があ り

,カ

サスゲが優 占する地点i St.1,12, 13。

(b)水

田跡地であるが

,地

表水があ リサワギキ ョウが優 占する地点 i St.3。

(4)

厚 寛 清 表

1

水環境調査地点の概要 調査地点 優 占種 または主要植物 立地環境

1

カサスゲ

,シ

ロネ

,ツ

ル ヨシ

2

トダシバ,イ ヌツゲ

,チ

ゴザサ,オオバギボウシ

3

サワギキ ョウ, ミソハギ,オオイヌノハナ ヒゲ,イ ヌノヒゲ

4

ミソハギ,ヒメンロネ,カサスゲ

5

トダシバ, ヒメシロネ

,チ

ゴザサ

6

オオイヌノハナ ヒゲ,イ ヌノヒゲ

,ア

リノ トウグサ

7

オオイヌノハナ ヒゲ,イ ヌノヒゲ

,サ

ワギキ ョウ

8

オオイヌノハナ ヒゲ,イ ヌノヒゲ

,モ

ウセ ンゴケ

9

イヌノヒゲ,オオイヌノハナヒゲ

,サ

ワギキ ョウ

10

オオイヌノハナ ヒゲ,イ ヌノヒゲ

,サ

ワギキ ョウ ■

オオイヌノハナ ヒゲ,オオバギボウシ,イ ヌツゲ, トダシバ

12

カサスゲ,ヒメシロネ,ツルヨシ

13

カサスゲ

,シ

ロネ, ドクダミ 南流水路

,流

水 水 田跡地

,地

表面やや乾燥 水 田跡地

,浅

い滞水 水 田跡地

,地

表面湿潤 水田跡地

,地

表面やや乾燥 流水路近 く

,隆

起地 中央部軟黒泥土

,中

層湿原 同上 同上 中層湿原内,月 ヽ隆起地 中央部軟黒泥土

,中

層湿原 流出路地

,流

水 東流水路

,流

(C)水

田跡地お よび湿 原 内の隆起地で

,

トダシバが優 占あ るいは主要植物 となる乾燥化傾 向 がみ られ る地点 :St.2,4,5,11。

(d)湿

原 の中央部 に位置 し中層湿原性 を示 し

,オ

オイヌ ノハ ナ ヒゲ

,イ

ヌ ノヒゲ

,カ

リマ タ ガヤな どが主要 な構成種 となる地点 :St.6,7,8,9,10。

(1)水

位 水位 は水 の供給量 や蒸発量 に大 き く影響 を受 けるこ とは言 うまで もない。水位 の変動 を示 し た図

2-Aに

おいて夏季 8月 の測定時 に大 き く地下水位 が低 下 してい るこ とが如実 にそれ を示 唆 してい る。伊藤 ら (1980)は雲仙・原生沼 において降水量 が大 き く水位変動 に影響 す るこ と を示 しているが

,

もっぱ ら貯 水 に依存 し

,緩

く傾斜 して水路が比較 的 に発達 してい る本湿原で は大沢池か らの給水が主であ り

,直

接 的 な降水量 の影響 は少 ない とみ な され る。水位 変動 の大 きい地点 は

St,5,4,2,11,3で

水 田跡地あ るいは隆起地で乾燥化傾 向 を示す トダシバ を主 とす る群落地点(b)と(C)であ るが

,渇

水期 の 8月 の他

,日

植 時期 の 5月 末 には水 田へ の導水 のため, 土襄 などによ り漏水防止作業が実施 され

,湿

原へ の給水が抑 制 され るため水位 の低下がみ られ た。 この ことよ り

,こ

れ らの群 落立地 の水位 は供給水量 に依存 してい ることが分か る。一方, St.6,7,8,9,10(d)の 地点 のいず れ も測定期 間 中水位 の変動 は きわめて小 さ く概 ね一定 で あ る。 水位 の変動が大 き く時 に乾燥 す る立地 は

,湿

地性 の植物 の生育環境 になる と同時 に トダシバ やススキ

,

ミツバ ツチ グ リな ど陸生の植物 に対 して も生育環境 を与 えることになると考 え られ る。 一年 を通 して一定の水位 が保 たれ る湿潤 な黒泥土 を基盤 とす るld)の地点 は

,鉄

分 の生成 が観 察 される ところか らも推測 で きる ように水 の動 きが乏 しく貧栄養 で あ るこ とが予想 され る。そ のため富栄養 を要求す るカサ スゲな どの ような密生 して地表 を被覆 して しまう大型 の植物 の生 育が 阻 まれ

,イ

ヌノ ヒゲ

,モ

ウセ ンゴケ

,カ

リマ タガヤ

,ム

ラサキ ミミカキグサ

,ア

リノ トウ グサ な どの接地性 の小植物が生育で きる環境 が維持 される もの と考 え られる。なお

,St,1,12,

13(a)は ぃずれ も流水地であ るため

,測

定か ら除外 した。

(5)

唐川湿原 の植 生 とその環境

2

継続測定地夕点における水位

,pH,水

温 (1981),溶存酸素量 (1980)

Table 2.Seasonal changes of water lebel,pH and water temperature(1981)and DO(1980)on 13

va ous stands h Karakawa moor.

md me眠

I(多

)誘

Ъ

6/16 7/15 8/16 9/13 10/11

(6/15) (7/23) (10/4)

St,l pH

(a) Wtm(°

c)

DO(ppm)

St,2 Wtb(cm)

(c) pH

Wtm(°C)

DO(ppm)

St 3 Wtb(claa)

(b) pH

Wtm(°C)

DO(ppm)

St.4 Wtb(cm)

(c) pH

Wtm(°C)

DO(ppm)

St.5 Wtb(cm)

(c) pH

Wtm(°C)

DO(ppm)

St.6 Wtb(cm)

(d) pH

WtnI(°C)

DO(ppm)

St.7 Wtb(cm)

(d) pH

Wtm(°C)

DO(ppm)

St.8 Wtb(cal)

(d) pH

Wtm(°C)

DO(ppm)

St,9 Wtb(c14)

(d) pH

Wtm(°C)

DO(ppm)

St.10 Wtb(cm)

(d) pH

Wtln(°C)

DO(ppm)

St,H Wtb(cna)

(c) pH

Wtm(°C)

DO(ppm)

St。

12 pH

(a) Wtm(°

c)

DO(ppm)

St.13 pH

(a) Wtm (°c)

DO(ppm)

68 66

14 5 14 6

G71) 980

0 -40

56 56

12 2 13 8

99①

(162)

15 10

56 54

12 5 13 2

G19 958)

05 -40

5,4 52

12 0 13 3

040 98動

-25 -60

60 60

115 140

(200 9り

25 3.0

56 56

12 0 15 5

(178) (132)

-30 -35

57 57

12 6 15 5

(131) (117)

-20 -20

58 56

14 1 17 0

- (249)

20 25

60 58

15 2 18 3 は

32)

10

-20 -10

60 57

13 7 17 6

(160 20り

-55 -55

55 56

12 7 15 9

950 (81)

64 62

15 3 15 5

- (268)

63 63

13 4 13 0

(310

30

64 66 64

17 1 22 2 24 3

93つ

30

-45 -40 -120

56 56 54

16 2 20 0 19 3 (0働

(10

10 15 -45

54 54 52

14 4 16 5 20 0

- (50)

-1 5 -3 5 -17 5

53 53 53

15 6 19 3 19 2

(23)

-50 -70 -210

58 58 58

16 1 21 0 20 0

(10 (l①

30 30 20

56 56 56

16 7 19 8 20 4 (1働

は 動

-30 -50 -70

56 56 52

17 9 23 0 21 7

(110 (10り

-10 -15 -20

57 54 52

19 7 25 7 24 2 (19働

(12動

35 25 25

57 58 57

21 7 26 2 24 7

(56) (11)

-05 -05 -05

55 52 51

20 5 26 1 24 6 (10 6) (5 7)

-4 0 -5 0 -1 0

56 56 54

19 2 24 6 22 1 は

O

0

64 62 62

19 4 22 9 24 7

900 931)

63 63 62

14 9 18 1 18 2

940 231)

63 63

18 8 15 1

94D

-95 -20

54 54

17 6 13 8 (12)

15 00

52 52

18 2 13 9 (83)

-140 -45

53 52

17 4 13 2 (117)

-170 -75

55 52

18 1 13 5 (16)

25 30

54 55

18 3 16 1 (134)

-50 -30

53 53

18 9 14 3 (88)

-05 -10

53 52

20.5 15 3 (183)

25 30

57 53

216 171

(44)

00 05

51 52

21 1 15 6 (163)

-45 -25

56 52

19 4 14 7 (64)

62 61

18 9 16 0 (213)

63 62

16 9 14 9 (188) (Note)Wtb:Water table, Wtm:Water temperature

(6)

寛 ︵ F O ︶ 0 , n C P   L O , a “ 7.0 6.S 岳6.0 aS.5 5.0 ︵ ・0 ︶ o L コ ゛ 口 ぃ O a F O ↑   L O や 口 , 4/29 5′30G/1G 7′ iS e/16 9/13 10/11 4/29 5/306/ユ G 7/15 3/16 9/13 10/11 図

2

水位

,pH,水

温 (1981),溶存酸素量 (1980)の 測定地点 における季節変動 Fig.2.SeasonЛ ttnges of ground water tables(0,pH values(B),Water temperatwes lD)

(1981)and V01umes of DO(C)(1980)whiCh COrespond to stand types.

― St・

1,12,13(a)

―――――――St.31b) ― 一 一 ― 一 St,2,4,5,■ (c) ―――――――――― St.6, 7, 8, 9, 10(d)

(2)pH値

比色 法 に よる測 定結果 を図

2-Bに

示 す。流 入水路 お よび流 出水路 に当 た る(a)と その測 定 地 点 の間 には明瞭 なギ ャ ップが み られ

,前

者 で は通 年pH 6.5内外 の 中性 に近 い値 を示 し

,後

者 は

pH6 0∼ 5.1の

弱酸性 を示 してい る。 (a)において

,流

入水路

,流

出水路共 にほぼ同様 の酸性度 を示す の は図

1か

ら分か る ように流 入水 の大部分がその まま流出 していることを意味す る。湿原植生地内の観測点 における酸性化 は

,主

と して植物遺体が腐植す る過程で生成 され る腐植酸 による ものであることが知 られてい る。 したが って

,季

節 の進行 と共 に若干 の低 下傾 向が み られ るが,(b)∼(d)に区分 した植 生 の違 い に よる差 は認 め られない。

(3)溶

存酸素量 測 定結果 を図

2-Cに

示す。(a)と他 の地 点 との間 には

pH値

と同 じく若干のギ ャップが み ら れ ると(a)の高 い値 は新鮮 な水 の性 質 を示 してい る と考 え られ る。全体 的 にみ る と

,概

ね各地点 とも4月 か ら

5, 6月

にかけて急速 に酸素量 が減少 し

,10月

には再 び増 加 してい るが

,植

物 の 生育期 か ら衰退期 にいたる生活活動 による溶存酸素消費量 の変動 を反映 しているのであろ う。 lb)において最 も酸素量 の減少傾向が著 しい。地下水位が低 い ことに加 え(b)に属 す る群 落 は豊 富 な植物相 を持 ち

,特

,

トダシバ

,イ

ヌツゲ

,

ミソハ ギな ど比較的大型の植物 の密生が よ り 多量 の酸素 を消費す るためであろ う。

(7)

唐川湿原の植生 とその環境 は

)水

温 水温 は降水状況

,気

,測

定 時間 な どの条件 によって

,測

定値 は影響 を受 け易 く

,本

来 は複 数年の検討が必要であ るが

,そ

れ は望み得 ないので

, 1実

測値 (図

2-D)を

示 さざるを得 ない。 測定時間は概 ね午前10時 か ら午後

1時

までの間

,測

定 日毎

2時

間以 内 に得 られた ものである。 午前 中

2時

間以 内であれ ば

,水

温 の差 は概 ね

1度

内外 であることを確認 している。 流入水地であ る

St,12,13お

よび

St.3,6を

除 くと他 は槻 ね平行 的 に変動す る。太陽エ ネル ギーの増大 に ともない地点差が増 幅 され

, 7月

に最 も水温の開 きが大 き くな り約

7度

差 となる。 大 まかにみ る と,(d)が 最 も高温域 であ り(C)が低温域 に位置 しているが

,前

後 してい る地点の位 置 をみ る と

,湿

原 中央部 に位置す る地点の ものが高温域 にあ り

,後

背部 に位置す る地点の もの が低温域 にあ ることが分 か る。 (a)の水 源 はいず れ も同 じ大沢池 の水 で あるに もかかわ らず,St。

1,12と

St.13と の間に大 きな温度差が あ り

,最

6度

に達す る興味深 い現象がみ られる。St.12は南側谷か らの流水で あ り

,St.13は

東側 谷 か らの流水 であることを考 える と

,冷

涼 な コナ ラ林 を経 由 して流下す る 間 に冷却 される と考 えるのが 自然であろ う。 また

,前

者 は 8月 に最高水温 を記録す るが

,こ

の 流水 は大沢池の水 その もの と言 って も過言ではないこ とか ら

,貯

水 に太 陽熱が蓄積 され―ケ月 のずれが生 じた水温 であ る と考 えることもまた 自然であろ う。

St.7,3の

特 異 的 な変動 もそれ を反映 した もの と考 え られ る。

2.主

要植物の季節 的生長変化 草原で は しば しば季節 に よって景観 や群落組成 の著 しい変化が観 察 されるが

,特

,湿

原 に 顕著 である。景観 の変化 と しては主 と して主要 な植物 の開花期 が異 なることによるが

,栄

養器 官 の生長 の差異 も大 きく寄与 し

,そ

の消長 は群落組成 の変化 を生 じさせ る。 カキツバ タ

,カ

サ スゲ

,シ

ロネ

,

ミソハギ

,サ

ワギキ ョゥの

5種

類 につ いて

,群

落 あるいは 環境 の異 な った継続観察区

6地

点 (表

3)に

おける栄養器官 の生長変化

,お

よびそれ らの平均 生長 を図

3に

示 した。平均生長 は誤差 を除去す るため

,生

長 良好 な上位

3個

体 の平均 で示 した。

3

主要植物の生長測定の継続調査区の概要 調査区 優 占種 または主要植物 A B C D E F ススキ

,ゴ

ウソ, ミソハギ,イ カサスゲ

,サ

ワギキ ョウ,カキッバ タ カキツバ タ

,サ

ヮギキ ョウ

,ォ

ォイヌノハナ ヒゲ カサスゲ

,サ

ワギキ ョウ, シロネ カサスゲ

,シ

ロネ,カキッバ タ トダシバ

,ゴ

ゥソ,ヵキッバ タ 水 田跡地

,乾

燥― やや湿i聞 南側流水地沿い

,常

時流水 中央部の滞水地 東側流水路付近

,一

時流水 ほIFCと 同 じ 東後背部付近

,地

下水位変動大 全体的にみ ると,(D),(E),(B)で 旺盛 に生長繁茂 し,(Alを 中間に して(F),(C)の順 に生長が悪 く なる傾向がみ られ る。(A),(Flは トダシバ あるいはススキが優 占す る乾燥化立地であるが,lA)は やや湿地環境性が強 く,(C)は 湿原 中央 の滞水す る貧栄養地であ る。一方,(B),(Dl,(E)は 流水 に よる栄養塩類

,溶

存 酸素の豊富 な供給が期待で きる立地であ る。植物群 の密生効果 も考慮 しな ければな らないが

,植

物 の生長 と環境がかな り濃厚 に対応 していることが うかがV域日れよう。 カサスゲ は流水路(B)で最 良の生長 を示す一方

,他

の種 は(D)で最 良 を示す点

,最

適環境が異 な

(8)

r偽蕨 υ炒 ″(1)

カキツバ タ

4/24 5/16 6/15 ア/8 8/14 9/4 4/24 5/16 6/15 7/8 8/14 9/4

3

継続測定 区にお ける主要植物 の季節 的生長変化

Fig.3,Seasonal changes of groMh of 5 spectts and the comparision of average groMh in con…

tinuous quadrats. る こ と を示 唆 して い る。 カキツバタとサ ワギキ ョウはその間に生育的なギャップがあ り

,シ

ロネとミソハギは漸次伸 長度 を減 じている。これらの情報は少ないなが らも各植物の生活域の違いおよび環境 に対する 適応域の大 きさの度合いを示唆 していると言えないだろうか。 次に

,各

植物の生長時期のずれを見 る。カキツバ タとカサスゲの出芽が他に先ん じ

,シ

ロネ, サワギキ ョウがその次

,そ

して ミソハギがやや遅れる。カキツバ タ

,カ

サスゲとも7月 に生長 が停止するが

,前

者はその後急速に枯死化 に向か うのに紺 し

,後

者 は緑葉 を維持する。シロネ, ミソハギはそれらに対 し約一ケ月遅 くまで生長 し

,サ

ワギキ ョウはさらに8月以降 も旺盛 に伸 長 を続けることが分かる。

(9)

Stand Ro Date Auイnahe no Afea t T) Number of s,ECiCS 表4 唐川湿原の植物群落組成表

Tabに4 Vegettdon taЫe of Karakawa moor(1980-1981)

135791日

315171921232527293133353739414S4547495153555759616565676971お

757779818585878991'39597"10110310S107109111113115117119

2468,012141618292221262830323436584042“

46485052545る

58606264“

68707274767880328486889892949698100102104106108110112111116118

81800180808081808181818181818180810181808080808180808180018080808080808880308080308080803080308080808081808081808180B1808130808088808180808038808080808080808080318080808080808081808081303080808181813180808030308180808080808081808080808080

698,99896666866986699996986,689101010109,991089999999889889898810108881010989998101010910101038810198881088988981088888101091働

108199991098101010888 91721211921211799992199192199'211919919289つ 1925,99,99211917199252121171917192125251915517151721289271528259271715171717289272717272727282815272728282327232119281519289281515212199199271527171717野 1721"99282825 652328377787551105955411625012136875“ 672691788131?70 88 35 89100 79 56 51 71105 3 82 84 54 72 50 75 76 4 1 74 17 6 48 8 49 2b i3 87119 20 14 2"96引 16“ 46402890110114381劉 107117222913121117“ 31161162722645026124103364212524109936391103相 18夕434211245271139810252弘 7

1411442642142264242866646141291119296696414196696421231814561446192638246664612443622542142924664622422牛

644324445364642

19?01323222018191718191615121S17141521■ 12181315■ 2123241625212625232124212025212121262425292823252131242923272724232622252'232S282022202124盟 22212217231717?020劉 17181616181121162115191718201913171316141S15191715141S13912111681S152S1512

Er iccauton口 iquetianua― Rhンnchos「ora tauriei cmRunity Rhynchosttra rauri91

Dfosera rotundifotia

aloragis EiCrantha

E「iocauton miquetianvB Sa,ittaria a9'nashi

Iメ 9「is 」eniata Juneus Pa,ittosuo utricutaria yakus,障 nSiS

Scirpけs juncoidos オオれカサtケ` 1形∫, ',ノ トウク`サ なノιケ` ,It'コ =殉 ` 7ね効■イt14・vaつ `ラ サ│ミミnt9・ ' A9Lr 1 1 22 乾弱 45 40 m 郷 % % 拓 2 16 ヽ 5   3 55 銹 ﹃ 郷 20 20 16 ︲5 ﹁   打 % “ 46 ﹁ ヽ 4︲ “ 2︲ 2︲ 10 10   9 Ⅲ 2 1 1 1 !

10 0,meria o「nithopoda 力J?,nドゃ

1l Sacclotepls hdlca ly8,

セ XAっ耐he「a tttub“es IVI・ ′トガ

"

`P Bm999的n nAans

オしL6va rOsta mOntana‐ Arundinetta hrta cwlun■ /

1l Arundin9tta hirta 卜9■ンnl

15 ‖osta mttana !IIllhttF"

おPttcttittt fttynttna ミ)Ⅲ明ワHJ

17 Hiscanthus sinensis 崩キ 18 おneetiCa,19as t,'亀 ケ 19 」uncus effusus yar dec,piens I

20 H9偶●rtleattis thunberoii ユうヌケ`

21 Viota verecunda tti於 し

2 L/slwachla cteth「 o硝es 幼トラガ 必‖etoniopsis orientatis シ3つヂヨ研 僚

L/th「υIH ano9,s ― Carex dispatata co獨munity

24 tastrea thety,19ris し力げ

25 Rosa,anicutigera iや コばllHラ

26 1tex crenata イ兄リケく

27 Carex taaxiax vlczli 」うツ

23 Senecio pierotii )メ ,`W 鰤 Triadenvm,aponicum ミス`オll・ J

30 1itium teichttinii var tlerinm 〕たユJ

SI EqvisetvIH arvens スキ`, 32 Scir,us wichυ rae 7,`ラ角ドや “

PotyOonw siebotdii ,│ノ

"キ

リ正

34 Potygonua nlp,o瞳nse 'ノユ,に

' 3S Ptatantho「a hoto,tottis 畝`テド〕

Phrag樋■9s,apt nica cttmunky

Phiagmltes,a,onica "ン

AFundinaria py,聰 la va「 。tabra ctIENnity

S7 Arundinaria p/emea var etabra ネ,`リ

sa wisteria Fto「 bulda 力`

39 Pierldiun aq“itinv口聰r tatiscuim "t(

40 Struthiopterに ntttnica vvがカ

Spectts of upOer unit and colapanions

41 t/coPus ttaCklanus tメラ醇

42 t/sinachia fo「 tunei えマトラノ:

お Isachne 9ιobosa ,D・

'`'

44 とythruta anceps ミ閉キi

49 tupatrim tindte/anun ,9Lコ ドザ

46 1tis taevloata 離切ド, 47 Cコrex dis,atata ajЯ・ヶ 48[γoo,us tucldts ラoオ ゆ [o“tiっsessit rot祐 ,94`キョウ 50 的,on,a ia,onにa ヽ│"

引[pttBctis thunber,ii 併カ

52 C/o9「us dlfftrnis n7いL・・ゃりI

SS tteocharis utthura9 うぬ9イ

54 とo市cera ia,tnica スれ,`ラ 55 0sltun」a,aponにa い77r S6[teochつris attenuata tイ ,効Ⅲザイ

│1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 41 1 12 11 11 12 1 1+ 1 + 1 1 ・ f + 1 1 . = 1 1 1 1 1..11 1 1 ' . 215 1 1 . = lf ll手 12 1 1 1 1 1 21+t iキ │ i キ Iキ 1 2 1 1' I 5 S 2 2 1 1 23 1 1 2 1 1 1 2 2 1 2 21 1 , I 12111 1 1 22 1 1 11 , 111+1''f I'1'11'1 1, 31, 「 1 1 11 21f2・ 15 ,1111 ff lll,111 12 l ri ll, 1 31111 2 1 , I 1 1 1 1 2 1 2 5 ■ 2 4   08 01 ” B2 32 82 8︲ Ы ぉ η ぉ 11 5︲ 12 ︲2 9 l I キ 1 1

│,Spocに s th tov frequ9ney than 7 a「 c eIBitted

(10)

唐川湿原の植生 とその環境

3.植

物群 落 (表

4,5)

種組成 を検討 した結果,(A)オ オイヌノハナ ヒゲー イヌ ノヒゲ群落,(B)ト ダンバー オオバギボ ウシ群落,(C)カ サスゲー ミソハ ギ群落が識別 された (図3,4)。 (B)は lA)ま た は(C)から派生す る 群落 とみな される。 識別 された群落単位 における現存植生 図 を図

4に

示 す。

(Al オ オ イヌ ノハ ナ ヒゲー イヌ ノ ヒゲ群 落

lEれ

caクJ防 物ッ崩解

_R秒

力 腋 ″ 婢 ″%ルゲ

coHlmmty)

識別種 :Rttπ め 銘α力″瘍 (オオイヌノハナ ヒゲ

),つ

熔 ι紹 知″ηβ拗協 (モウセ ンゴケ), Я冽随ぷ

%ル

クη励 (ア リノ トウグサ

),ど

ri9じα,ゥ′防 ηttι′ '物 ク物(イヌノヒゲ

),Stづ

協滋 Fgi‐ 熔 肪 (アギナ シ

),肋

施 励 ″″(ニガナ

),力

吻ι熔 ″ク″力∫盗 (アオコウガイゼ キ シ ョウ), き蕊 協施

"痴

物 熔ね(ム ラサ キ ミ ミカキ グサ

),S効

困 ″ηιο

tts(ホ

タル イ

),D肋

″カ 励 ψο力 (カ リマ タガヤ

),S阻

力妙た力あ

"(ハ

イヌメ リ),Pttrt7%肋ιtt rilDクめ漉s var.″″ο― 笏

"(コ

バ ノ トンボソウ),Pο筋

"効

ηα勉困 (オヒルムシロ) この群落は湿原の中央部 を占める柔 らかい黒泥土に発達 し

,唐

川湿原 を最 も特徴づ ける群落 である。 初夏 においては低丈茎のカキツバ タが散在す る植被率の低い粗密群落であるが

,や

がてオオイヌノハナヒゲなどが繁茂 し

,小

堤西池湿原 において調査 されたように (矢野 ら,

1987)季

相変化が顕著に見 られる。サ ワオグルマ

,

トキソウ

,コ

バノ トンボソウなど初夏に開 花 した植物 は季節が進むにつれてその個体 を大半失い

,一

,シ

ロネ

,ヒ

メシロネ

,オ

オイヌ ノハナ ヒゲが繁茂 してい く中

,初

夏には目立なかったイヌノヒゲ

,カ

リマタガヤ

,ハ

イヌメ リ などの小植物 も

,そ

の正体 を現すかのように広が りをみせ

,相

観的な季相の変化 とともに群落 組成にも変化 を与える。これ らの群落 に対 しては季節毎の植生調査 も必要 となるが

,

ここでは 全体的に最高度 に生長 した夏か ら秋の群落 を群落区分の対象 とした。群落高 は比較的に低 く 50( 内外で

,

しか もオオイヌノハナ ヒゲやホタルイなど第一層 を構成する構成要素が貧栄養 の立地に依存 して

,葉

身の細い太陽光 をあまり送蔽 しない植物であることも寄与 していると考 えられるが

,地

表面に密着 して生育するモウセ ンゴケ

,イ

ヌノヒゲ

,カ

リマ タガヤ またアリノ トウグサ

,ム

ラサキ ミミカキグサなど微小 な植物が群生 しこの群落 を特徴づける。平均出現数 種 は17種である。 この群落 はおそ らくオオイヌノハナ ヒゲ群集 (波田,198軌

Hada,1984)に

同定 される もの と思われる。

(B)ト

ダシバー オオバギボウシ群落 lrrOsrtv η

"筋

,%_4協

″滅 協 カケ肋 comnunity) 識別種

:4協

η′,″JJp肋物 (ト ダシバ

),打

οsrt7 η

"物

躍 (オ オバギボウシ

),Pο

修2ri脇//8蒻_ αη,(ミ ツバ ツチ グ リ

),Zれ

翻脇熔s力ιttλ (ススキ),Irgηι℃ftr′ぬ 力

"婢

(ユウスゲ),

4響

′″α馳 ぃ (オニ ノ ダケ

),力

π熔 み 熔 var.ヵ 妙 ″″S(イ

),助

力 υι″ι "η力 (ツボ ス ミ レ),

L7励

力 じ力励℃紘 (オカ トラ ノオ), Irgゎηヶ砂Sゐ ο物夕η″ぬ (ショウジ ョウバ カマ) この群落 はlA)あるい は後述す る(C)群落 の乾燥化 に伴 い派生的に出現す る もの と考 え られ る。 したが って

,

トダシバ

,ス

スキ

,イ

ヌツゲ, ミソハ ギな どが優 占 し

,そ

の他

,

ミツバ ツチ グ リ, ツボス ミレ

,シ

ョウジ ョウバ カマな ど乾燥性 を指標す る種が主要 な構成種 となる。立地 は足 を 踏 み入 れ る と地下水が に じみ出 る程度 に湿性環境 を維持 してい るため

, 2層

また は

3層

構 造 を 形成 しなが らヒメシダ

,チ

ゴザサ

,カ

サ スゲ

,カ

キツバ タ

,サ

ワギキ ョウな ど湿性群落 と して の種組成 を保持 している。主要 な生育地であ る水 田跡地 において も

,現

在 その給 水路 は既 に消

(11)

厚 寛 水 清

オオイヌノハ ナ ヒゲー イヌノ ヒゲ群落 ど 苗GttJ防 "紗 Ji2η″物 一 賀 叛 閉 娩 ″ 盟 ″ ″滋 ゲCOHIna. トダンバー オオイヌノハナ ヒゲ亜群落

R.″

疵 '一

A″滅 JJF肋物sub―conlm. トダンバー カサスゲ亜群落

"傷ぬ″″″一A・ ″滋 Sub‐comm.

カサスゲー ミソハギ群落 み力2″ 防ο亦 ―C.′勒α力″COnlm. ッルヨン群落 P崩昭 脇す燃 デ砂 "ん,COtlm. ネザサ群落 4解 ″′加 筋 滋 ヵ 酔 町 π Var.gJpbrF ccjHIm. 図

4

唐川湿原 の現存植生 図 (1980)

(12)

唐川湿原の植生 とその環境 減 してい る ものの

,後

背部 の コナ ラニ次林 の中 を流 れ る灌漑用水路 か ら漏 れでて くる水 に よっ て湿原環境 は維持 されている。 この群落 は

(A),0い

ず れの群 落か ら派生す るか に よって

2亜

群落 に細 区分 され る。す なわち, (A)オオイヌ ノハ ナ ヒゲー イヌノ ヒゲ群落 の隆起化 また は乾燥化 に よって形成 され る (B-1)ト ダシバー オオイヌ ノハ ナ ヒゲ亜群 落

,お

よび(C)カサ ス ゲー ミソハ ギ群落の乾燥化 による (B― 2)ト ダシバー カサ スゲ亜群 落が それであ る。 しか し

,湿

性 立 地条件 の度合 に応 じて連続 的 に 種組 成 は変化 す るため

,群

落 区分 は けっ して容易 で ない。 出現 数種 は最 も多 く

,前

者 は平 均

238種

,後

者 は20,9種 に達す る。 また

,陸

生 環境が湿地化す る とすれば

,こ

の逆の組成変化 が成立す るであ ろう。

(C)カ

サ スゲー ミソハギ群落 lL7励タクタ″翻 じψ

d―

Cα拓傷 泳 ″ 物″cOmnu ty) 識 別種 :Lぉ能 α ttO勒形施 (ヒ メ シ ダ

),Rο

,%力励炒解 (ミ ヤ コ イバ ラ

),/肱

ι%%,″ (イ ヌツゲ

),C"餌

物紘 ο″滋 万(ゴウ ソ

),S"ι

θ力少″η肪 (サワオグルマ

),「

瓶 虎%クη力知蒻切物 (ミ ズ オ トギ リ

),と

び協 物 ″酒

"力

″var.弛 効物η (コオ ニ ユ リ

),ど

¢λ診″η αttη分(スギ ナ),

S効

熔 ″カカタ "α ι(アブ ラ ガ ヤ),Pοみ轡θ%クηd″う誠 瘍 (ア キ ノ ウ ナ ギ ツ カ ミ

),P.η

ttοηι熔 ゼ (ヤ ノネグサ

),Pカ

カ%肋ι確 力0′塑 οチ″S(ミズチ ドリ) この群落は上記の識別種の他 カサスゲ

,シ

ロネ

,

ヒメシロネあるいは ミソハギが優占す る高 茎の湿地植生群落である。常時

,比

較的に多量の流水がある流水路に沿 った立地に1メ ー トル を優 に越す密生群落 を形成する。 しばしば

,

ミヤコイバ ラが混生する。初夏には日だつ存在で あったカキツバ タは

,次

第にカサスゲの中に埋没 して しまう。

2層

の階層構造 を形成するが

,下

層の植被率は小 さ く構成種 もヒメング

,オ

オバギボウシな ど数種 に限定 される。地表面に接する小植物は例外的に しか出現 しない。構成種数は少な く平 均15種である。 この群落はカサスゲ群集 (Miya、

vaki&Okuda,1972)の

1型

とみなされる。

(D)ツ

ルヨシ群落 lP力「螂 ゲ″s力知妨力COnlmumty) 識別種 IP力 「即 ケ″s″知η加 (ツル ヨシ) 大沢池か ら流入する水路に沿 って発達する群落である。中心部はツルヨシの純群落に近いが, カサスゲ群落の中にもその侵入がみ られる。

(E)ネ

ネザ群落 lA物崩力α滋 鋤理 αゼα Var.♂肋rrr COHIInu ty)

識 別種

:4協

η,ゲ

%万

α即 能α Var.gテαう紹 (ネ ネザ

),

″,s形万αヵ物 η力 (フジ

),P″

元肋 物 里紘 物var.協励埒じ "励η(ワラビ

),S肋

妨肪ψル法 η力οηた

,(シ

シガシラ) 水田跡地の周辺 を縁 どって土手および数十セ ンチメー トルの段差法面の跡があ り

,こ

こにネ ザサあるいはススキの優 占する群落が見 られる。 この群落では湿地特性が きわめて希薄で

,陸

生植物群落であると言 って差 し支えないであろう。ついでなが ら

,周

辺部の林内や道路沿いに はチマキザサ も見 られるが

,こ

の群落内にはチマキザサは存在 しない。

VI.

摘 鳥取県岩美郡岩美町唐川の稲葉山山地

,標

370mに

位置する国の天然記念物

,唐

川湿原 の植生について

,1980か

ら1981年の

2年

間にわた り水環境および主要植物の季節変動 と共に得 られた調査資料 に基づ き

,植

物社会学的研究が行われた。

(13)

厚 寛 水 清

5

唐 川湿原植生 の総合常在度表

Tabに5.Synthesis table of Karakawa moor(1980-1981).

Rhyncねospora Fauriei

D「osera rotundifolia laloragis tticrantha griocaulon Liquelianum Sagittaria aginashi lleris dentata Juncus pap11losus Utricularia yaな赳simensis Scirpus juncoides Ditteria ornithopoda Sacciolepis indica Platanthera tipuloides Potattoletol latans オオイ,ブハすとケ ′ Vr‐4 VI‐ 4 モウセン ''ケ

V「

l Vl‐2 アツトタク'ナ

Vl■

Ⅳ Ⅲも イヌブけ' VI・

4

ⅢⅢ3 アギサン

V

Ⅲl 田 ' ニカ'チ

r‐l Ⅲr‐ , アオ,,力.イt'│カウ

ⅣⅢl Ⅱ Ⅲl Aラサ│ミミ弁キク .サ

Ⅳt・

1

二十 な夕ヵィ

ⅣⅢ

3

Ⅱ Ⅲl 力,マタ “ 'ヤ

l・

6

ⅡⅢ5 ハイヌメサ

r m卜

1 ,ハ 'メトン本'ソ

, I' II

Iセルムンロ

53 27 2

20,9 150 160 1「‐! It Coanunity Number oF stands Average nunber of species

(A}BrioCaulon ttiQuelianun‐ Rれynchospora Fauriei co口斑unity

14 Arundinella hirta

15 Hosta ttontana

16 Potentil18 freyniana 17 Hiscanthus sinensis 18 Angelica 118as

19 Juncus eFfusus var decipiens 20 Hemerocallis thunbergii 21 Viola verecunda 22 とysittachia cとethroidcs 23 1elomiopsis orientalis

(B)XOSta ttontana・ Arundinella nirta cOm□ unity

(B‐1)R, fauriei ‐ A ttirta sub‐ com働.

(B‐2)C, diSpalata ・ A hirta sub‐ cottn,

It・1 1t‐l v卜4 vl‐4

r v

3

ⅣⅢ2 vI‐

3

Ⅳl‐3 Ⅱ '‐2 Ⅳ'■ II‐2 11‐2 1' IⅢ■

ⅡⅢ2 11‐2 11・2

r

ⅡI‐2 Ⅱ'■ It■ 11■

r

r

Ⅳ ヤ‐5 V Ⅲ6 Ⅱ'■

ⅣⅢ2

r

ⅣⅢ

4

ⅢI‐3

r

ⅡI‐I ⅣⅢ2

r

t

Ⅲr‐ 1 r II‐

2

ⅢI‐ 1 ■

'

ⅣⅢl lr・l I「‐2 11・1

r

Ⅱ '■ r II II r II■ r r lr‐ 1 r lt‐2 vi‐3 v Ⅲ2 V Ⅲ4 Ⅳr‐l v Ⅲ2 v卜b Ⅲr・I VI‐ 4 V,・4 1r‐3 ⅣⅢ2 v■4 Ⅲr・l vl‐

l

Ⅳr‐2 Ⅳt・3 ⅢⅢl Ⅳr‐3 1r‐2 皿r‐2 Vr・3 Ⅲr・

2

ⅣI・

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Ⅳl‐3 vr‐4 mf‐

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Ⅲl‐3 VⅢ■ Vr■

Ⅲl‐ 1 ⅣⅢl Vr‐I Ⅳ「‐1 ■1■

ⅢⅢ

3

Ⅱ Ⅲ3 ⅢⅢ2 EI・ I II‐1 トタ′シハ' オオA.キ.ぶ'ウ ミツハ'ツ'〕 ススキ オ│プタ'ケ イ ユウスケ. りぶイスミレ オ打トラアオ ン1'ン'〕Jl.労マ セメンタイ ミヤ,イA'ラ イlリケイ コ.'リ す,オク'ルマ ミスイオトキ・サ ,オ,ユ〕 スキ′ナ 77'ラ狩'ヤ アキア,チ│'リカミ ヤ,ネク・す ミス'チ J II 二十 1'■ I'■ VI‐

2 21

ⅣⅢ2 2卜2 11ヽ 21‐2 Ⅲ!‐1 ⅣⅢ

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ⅣI・

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II It‐1 vヤ・4 22・4 V Ⅲ2 21‐2 vI‐2 21 v Ⅲ3 21■ Ⅲl・ 1 v Ⅲ3 21■ v Ⅲ

5 23

V Ⅲ

5 12

ⅢⅢ

6 1,

I' I「‐f 11‐

2 11

11 21‐1 21 31 31‐5 1' 11 2' 1' 21 31‐2 31 21 1' 1' li

(C)とythrum anceps― Carex dispalata con口 unity

24 Lastrea thelypteris 25 Rosa paniculigera 28 11ex crenata 27 Carex maximoviczii 28 Senecio pierotii 29 Triadenutt iapOnicum

30 しilium leichtlinti var tigrinu団 31 EQuisetutt arvens

32 Scirpus Wichurae 35 PolysoAun Sieboldii 34 Polygonun aipponens9 3S Platanthera hologiottis

(D)Phragnites iaponiCa coコ munity Phragaites iaponiCa ッルヨン

(E)Arundinaria pygmaea var. :labra comnunity Arundinaria pysnaea var. :labra ネす'サ

臀isteria Floribunda ,シ '

Pteridiutt aqiuilinun war. latisculum ヮ,セ・

S,ruthiopteris niponica ツシ,'ンラ 25・4 33‐5 r 31・ 2 21 r 2f Species oF upper unit and co口 panions

41 LycOpus maacと ianus 42 とysimachia Fortunei 46 1sachne BIobosa 44 Lythrutt anceps 45 Eupatriutt lindieyanuほ 4S llis laevigata 4' Carex dispalata 48 Lycopus lucidus 19 Lcbelia sessilifolia 50 Po:oaia iapOnica 51 Epipactis thunbersti 52 Cyperus difformis 53 1leocharis wichurac とメツ 'ネ 'マ トテ,オ チ,・す'サ ミソハキ' す,セヨト'サ 弁ヤツll′タ カサλケ. ンロネ チワ│'│,, トキリウ カ│ラン 'ア t'力'ヤヴ ' シ狩タイ

(14)

唐川湿原の植生 とその環境

種類組成およびその立地環境 を検討 した結果

,次

の群落が識別された。

A.オ

オイヌノハナヒゲー イヌノヒゲ群落 ¢万ο

開クわη物物 瘍初ク物― 買妙

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ダ シバー オ オバ ギ ボ ウ シ群 落 lrr9陀%。η″η

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蒻 力ι肋 協物 coHImuluty)

B-1.ト

ダシバー オ オイ ヌ ノハ ナ ヒゲ亜 群 落 lR.ヵク滋 ガー

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吻 sub―coalmu ty)

B-2.ト

ダンバー カサ ス ゲ亜 群 落 管 α拓囲 紘 ″ 協″― ス・カゲ胞 Sub‐conlmu ty)

C.カ

サ ス ゲー ミソハ ギ群 落 lLy肋協ηαηじψ

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C,紘

″ 肋力 COHlmu ty)

D.ツ

ル ヨシ群 落 lP力

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ゲ膝 力″η力α COalmunity)

E.ネ

ネザ群 落 14協%肋物 磁 伽 勢 解 α Var.gttbtt cottnu ty)

(A)の群 落 は代 表 的 な 山地 湿 原植 生 で あ り

,通

,ほ

とん ど推 移 変 動 の な い者 し く湿 潤 な貧 栄 養 の黒 泥 土 に成 立 す る。(C)は流 水 路 付 近 に分 布 し

,流

水 の影響 を受 け る富 栄 養 の立 地 を得 る。 (B)群落 に お け る水位 は通 年 地 表 面 下 にあ り

,水

位 変動 も激 しい。 乾燥 化 傾 向 の あ る立 地 に成 立 す る。 この群 落 は(Alお よ

aC)か

ら派 生 した移 行 的群 落 とみ な され

,そ

れ ぞ れ両 者 の種 類 組 成 群 を もつ

2亜

群 落 に細 区分 され た。(D)は流 水 路 に沿 って群 落 を形 成 し,(E)は 水 田跡 地 の古 い土 手 にみ られ る陸生群 落 で あ る。 上 記 の群 落 区分 に基 づ き

,植

生 図 を描 い た。 文

Brawa‐Blanquet,J.1964.Pnarlzensoziologie,865 pp,Wien,

波田善夫

.1983.中

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,湿

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生駒義博

.1939.鳥

取県史跡名勝天然記念物調査報告

4

名勝天然記念物の調査

,53-54.鳥

取県.

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2(名

勝 ・天然記念物),117-119,鳥取県

伊藤秀三 。三好教夫・中西 こずえ

.1980.雲

仙・原生沼の自然環境

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仙・原生沼の研究

,5-17.長

崎県

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Miyawaki,A.&Okuda,S.1972,Pnallzensoziologlsche Untersuchulagen dber die Auenvegetation des Flusses Tama bei Tokyo, llut eher vergleichenden Betrchtung uber die vegetation des Flusses Tone Vegetaio, 24(4-6):229-311. 越智春美。1984.唐 川湿原.日 本の天然記念物 (沼田真編

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談社. 矢野悟道 (編集)。 1986.国 指定天然記念物小堤西池カキツバ タ群落調査報告書,58 pp.XU谷 市教育委員 会. 矢野悟道 (編集

).1987.国

指定天然記念物小堤西池カキツバ タ群落調査報告書 Ⅱ,91 pp.X」谷市教育委 員会, Abstract

The vegetatЮ■of Kar7akawa moor situated at an altitude of 370 m h hilside,Iwami gun,Tottod Prefecuture was mvestigated phytosociologicaly 血the seasonal survey of the water envlroコ ments and growth of some maln plants h 1980 and 1981.

As the resdt of the studyj tte folowing conlmunities were recoJtted with a vegetation map.

A.β

ri9磁″′働

"″″物″ク″― 剰り 肋οψο胞ル ルケCOmmunity.

B. ros協 物

"勁

α― ス物″'カ

(15)

122 清 水 寛 厚

B■ , 資lヵ励 ′

-4j´

力弦Sib‐COmnunity Cor Subsiduav colnmunityD,

B-2,C解 常 ぬ ″ 肋 -4・ 肋 物 .Subico―unity,

C.勒

解解触 ●d― ε・務炒励 陸∞― unlty!

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unity.

lAJお a representative oligotrophic commmiけ 征 theメesent m∞

4嗣

h ahOtt stationaFy gFOmd W件 ter tables,0お a cutrOphic co― unlty in he habitat iFduenCed by more or less rming ttater,① おa de‐

livative co―mty from lAJ and o,and was observed h relatively tt habitats,This∞ mmunity sllows se争 sonЛ changes of gromd water tables.ω )is cOmed to ne area near the sttca“ CElお a graSS land com‐ munity nOt』wtt cc劇翫ed tO me mOOr vegetation.

参照

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