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深泥池における水質分布特性 Spatial patterns of water properties in Mizoro-ga-ike pond

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Academic year: 2021

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D09

深泥池における水質分布特性

Spatial patterns of water properties in Mizoro-ga-ike pond

〇 嶋村鉄也・伊藤雅之・大手信人・竹門康弘 〇 Tetsuya Shimamura, Masayuki Itoh, Nobuhito Ohte, Yasuhiro Takemon

Artificial nutrient loading has been linked to decrease in plant diversity in peatlands, riparian areas and swamps. Mizoro-ga-ike pond in Kyoto City is one of the natural monuments of Japan bearing temperate floating mat and diverse plant community. The pond had experienced eutrophication by sewage and tap-water in 1960-70s. As the inflows of nutrient rich water had been lessened, amount of source area of the pond decreased to 30 %. We investigated factors that control water chemistry in and around the pond to assess the present situation of the pond.

1.はじめに 人為による湿地への栄養塩類の流入は生物多 様性を脅かす深刻な要因として注目されてきた。 特に、窒素、リン、カリウムをはじめとする栄養 塩類の湿地における集積は、生物種間のトレード オフのバランスを著しく変化させて、多様性を減 少させてしまう。 京都市北区にある深泥池は、内部に泥炭質か らなる浮島をもつ湿原である。ここは、生育・生 息する生物を含めて、深泥池生物群集として国の 天然記念物に指定されている。深泥池は 1960 年代 から 70 年にかけて、周囲の病院からの下水や浄水 場からの水道水が混入し、富栄養化が進行した。 その結果、1930 年頃に確認されていた 20 種の水 生植物のうち、15 種が姿を消してしまった。現在 では、これらの排水や水道水の混入は殆どなく、 水道水の漏水がわずかに流入しているだけである。 しかし、舗装道路と側溝によって,池の集水面積 が 30%程度に減少した現状については改善され ていない。 本研究では深泥池における生物群集を保全す ることを目的に、上記の水道水の漏水や減少した 水の流入量が深泥池にどのような影響を与えてい るかを評価した。 2.方法 現在、深泥池には水の流入口が2ヶ所ある。 北側にある流入口には、森林からなる集水域の表 流水が排水溝に集められている。ここから流入す る水は浮島の北側を流れ、開水面に到達する。一 方、南東側にある流入口には、森林集水域の表流 水と松ヶ崎浄水場の配水池から漏れた水道水が混 入している。 2005 年7月から2∼3週間おきに、これらの 流入口からの水と雨水を採水した。また、2005 年 11 月3日には、池の内外の 61 地点で一斉に採水 し水質分析を行った。 3.結果および考察 二つの流入口の水質をモニタリングした結果、 北側流入口から流入する森林集水域の表流水につ いては、各種イオン濃度が概して低く、保全上好 ましい貧栄養な水であると考えられた。一方、水 道水の混入が確認されている南東側流入口の流入 水には、各種イオンが高濃度で含まれていた。ま た塩素酸などの有害物質の存在も確認された。 水質分布様式を分析した結果、水道水の影響 を受けている南側流路の方が、NO3-、SO42-、K+濃度 が高かったが、開水面に至るまでに、大幅に減少 していた。この南側流路の流入口周辺には、深泥 池の保全上好ましくないとされている、ヨシやマ コモが優占していた。しかし、上述の各種イオン 濃度が減少した地点では、希少種のヒメコウホネ が優占していた。このような水質分布様式から、 ヨシやマコモが浄化機能を果たしている可能性が 示唆された。 上記の結果より、混入量が減少しているとは いえ、深泥池では浄水場からの漏水によって富栄 養化が進行している上に、塩素酸などの毒性物質 が混入している事が判明した。

参照

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