沖縄 FreeWi-Fi 統合環境整備事業
事業報告書
平成 30 年3月
目
次
第1章 本事業の背景と目的 ... 1
第1節 本事業の背景 ... 1
第2節 本県を取り巻く環境 ... 3
第3節 今年度の事業目的・目標 ... 6
第2章 取組報告 ... 8
第1節 概観 ... 8
第2節 事業者の指定とアクセスポイント設置状況 ... 9
第3節 データ分析 ... 14
第4節 利便性向上施策 ... 25
第5節 観光マーケティングへの活用 ... 34
第6節 協議会運営実績 ... 40
第7節 その他 ... 43
第3章 次年度の取組概要 ... 47
第1章
本事業の背景と目的
本事業の背景 第1節
本事業は、外国人観光客にとって満足度の高い受入環境を整備するため、Free Wi-Fi へ の接続の利便性や安全性の向上と、観光施策の立案に役立つデータの収集・分析や域内周
遊を促す観光情報の発信強化等のフリーWi-Fi 環境の利活用等の推進に向けた県内 Free
Wi-Fi の統合環境の構築等に必要な取組を実施するものである。
昨年度の取組の振り返り 第1項
本事業にて昨年度立ち上げた Be.Okinawa Free Wi-Fi サービスは、沖縄県の国内外向け 観光ブランドのキーコピー・統一ブランドである”Be.Okinawa”を冠する統一 SSID 方式の Wi-Fi サービスであり、県が指定する民間事業者(指定事業者)が主体となってサービス提 供を行うスキームを確立している。
本県は、ブランド創出や指定事業者の指定を行い、サービス広報や沖縄県 FreeWi-Fi 統合
環境整備推進協議会(以下、本協議会という)運営を通じて Be.Okinawa Free Wi-Fi サー ビスの普及促進を図っている。Wi-Fi のアクセスポイントの整備・運用において、本県に経 費負担が発生してないスキームとしているのが特色である。
各エリアオーナー(市町村、観光施設、商業施設等)に対しては、指定事業者が主体とな ってマーケティングを行い、統一ブランドに沿ったアクセスポイントの整備やサービス運 用を行っている。
昨年度は、3社を指定事業者(沖縄セルラー電話株式会社、POPCHAT 株式会社、ソフトバ
ンク株式会社)として指定し、約 5,500 か所のアクセスポイントにおけるサービス提供を
開始した。また、世界のうちなーんちゅ大会や沖縄マラソンなどの大規模イベントにおけ る臨時スポットの設置も行った。
図 1-1 Be.Okinawa Free Wi-Fi サービスの概要
図 1-2 成果の概略
今年度事業の位置づけ 第2項
本県を取り巻く環境 第2節
国の動向 第1項
(1) 政府観光ビジョン
政府は、平成 28 年3月 30 日に策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」の中で、観 光を我が国の基幹産業へと成長させ、「観光先進国」を実現するために外国人観光客数や 消費額、リピーター数などの目標値を大幅に前倒し、それを達成するためのキーワードと して 10 の改革プログラムを実行していくことを提言した(表1-1)。
表 1-1 「明日の日本を支える観光ビジョン」 改革プログラム
出所:政府「明日の日本を支える観光ビジョン」(2016 年3月)
同観光ビジョンをふまえた今後1年を目途とした行動計画として、平成 29 年5月 30 日に
「観光ビジョン実現プログラム 2017」(観光ビジョンの実現に向けたアクション・プログ
ラム 2017)を決定している。同プログラムでは、通信環境の飛躍的向上と誰もが一人歩き
できる環境の実現のための施策として、防災拠点の Wi-Fi 整備や災害時の開放、事業者の
垣根を越えた認証連携などを掲げている。
■ ■ ■
・赤 坂 や 京 都 の 迎 賓 館 な ど を 大 胆 に 公 開 ・ 開 放 ・ ・世 界 最 高 水 準 の 技 術 活 用 に よ り 、 出 入 国 審 査 の 風 景 を 一 変
・ス ト レ ス フ リ ー な 通 信 ・ 交 通 利 用 環 境 を 実 現 ・キ ャ ッ シ ュ レ ス 観 光 を 実 現
■ ■ ■
・ ・ ・「 ジ ャ パ ン ・ レ ー ル パ ス 」 を 訪 日 後 で も 購 入 可 能
・ ・MIC E誘 致 ・ 開 催 の 支 援 体 制 を 抜 本 的 に 改 善
・首 都 圏 に お け る ビ ジ ネ ス ジ ェ ッ ト の 受 入 環 境 改 善
■ ■ ■
・ ・202 0年 ま で に 、 世 界 水 準 DM Oを 全 国 100 形 成 ・2 020 年 ま で に 、 年 次 有 給 休 暇 取 得 率 70% へ 向 上
・ ・
■
・2 020 年 を 目 標 に 、 全 国 5 箇 所 の 公 園 に つ い て 民 間 の 力 も 活 か し 、 体 験 ・ 活 用 型 の 空 間 へ と 集 中 改 善
視 点 2
観光産業を革新し、国際競争力を高め、 我が国の基幹産業に
古い規制を見直し、生産性を大切にする観光産業へ
2 020 年 ま で に 、 文 化 財 を 核 と す る 観 光 拠 点 を 全 国 で 20 0整 備 、 わ か り や す い 多 言 語 解 説 な ど 1,0 00 事 業 を 展 開 し 、 集 中 的 に 支 援 強 化
視 点 1
観光資源の魅力を極め、地方創生の礎に 「魅力ある公的施設」を、ひろく国民、そして世界に 開放
60年 以 上 経 過 し た 規 制 ・ 制 度 の 抜 本 的 見 直 し 、 ト ッ プ レ ベ ル の 経 営 人 材 育 成 、 民 泊 ル ー ル の 整 備 、 宿 泊 業 の 生 産 性 向 上 な ど 、 総 合 パ ッ ケ ー ジ で 推 進 ・ 支 援
あたらしい市場を開拓し、長期滞在と消費拡大を同時 に実現
欧 州 ・ 米 国 ・ 豪 州 や 富 裕 層 な ど を タ ー ゲ ッ ト に し た プ ロ モ ー シ ョ ン 、 戦 略 的 な ビ ザ 緩 和 な ど を 実 施
疲弊した温泉街や地方都市を、未来発送の経営で再 生・活性化
おもな観光地で「景観計画」をつくり、美しい街並み へ
視 点 3
すべての旅行者がストレスなく快適に 観光を満喫できる環境に
ソフトインフラを飛躍的に改善し、世界位置快適な滞 在を実現
「地方創生回廊」を完備し、全国どこへでも快適な旅 行を実現
「働きかた」と「休みかた」を改革し、躍動感あふれ る社会を実現
新 幹 線 開 業 や 今 セ ッ シ ョ ン 空 港 運 営 等 と 連 動 し た 、 観 光 地 へ の ア ク セ ス 交 通 充 実 の 実 現
家 族 が 休 暇 を と り や す い 制 度 の 導 入 、 休 暇 取 得 の 分 散 化 に よ る 観 光 需 要 の 平 準 化
観 光 地 再 生 ・ 活 性 化 フ ァ ン ド 、 規 制 緩 和 な ど を 駆 使 し 、 民 間 の 力 を 最 大 限 活 用 し た 安 定 的 ・ 継 続 的 な 「 観 光 ま ち づ く り 」 を 実 現
「文化財」を、「保存優先」から観光客目線での「理 解促進」、そして「活用」へ
「国立公園」を、世界水準の「ナショナルパーク」へ
表 1-2 「観光ビジョン実現プログラム 2017」における Wi-Fi 関連施策 実 現プ ログ ラム
防 災拠 点 の Wi-Fi 整 備
災 害時の 必要な 情報伝 達手段 を確保 する観 点から、防災拠 点等に おけ るWi-Fi 環 境 につい て、 2019 年 度まで に約3 万箇所 の整備 を推進 する。
災 害時 にお け る Wi-Fi の 開放 災 害用統 一 SSID の利用 等によ る携帯 キャリ ア Wi-Fi や エリア オーナー Wi-Fi の無 料 開放・利 用手続 き簡素 化を促 進する ため、「大 規模災 害発生 時におけ る公衆 無線 LANの無料 開放に 関する ガイド ライン 」を改 定する ととも に、災 害用 統一SSID等 の 周知等 を行う 。
事 業 者 の 垣 根 を 越 え た 認 証 連
携 の仕 組み の構 築
「 無料公 衆無 線 LAN 整 備促進 協議会 」等を 活用し、既設を 含む公 衆無 線LANアク セ ス ポイ ント の有 効利 用推 進や 公衆 無線 LAN 認証 管理 機構 等の 認証連 携 方式 の普 及 拡大に より、2018 年ま でに20 万 か所以 上で事 業者の 垣根を 越えてシ ームレ スに 公 衆無 線 LAN 接 続でき る認証 連携の 仕組み を構築 すると ともに 、外国人 旅行者 に分 か り やす い共 通シ ン ボル マー ク「 Japan. Free Wi-Fi」を ウ ェブ サイト や ステ ッカ ー 等の掲 出物を 通して 普及・ 活用を 図る。
出所:政府「観光ビジョン実現プログラム 2017」(2017 年5月)
(2)外国人観光旅客の来訪の促進等による国際観光の振興に関する法律
政府は、2020年訪日外国人旅行者数4,000万人等の政府目標の確実な達成に向け、より
高次元な観光施策の展開を図るため、創設される見込みである「国際観光旅客税」の使途 等を規定する「外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法 律の一部を改正する法律案」を閣議決定している(平成 30 年2月)。
同法案では、公共交通事業者の努力義務の範囲を拡大し、Wi-Fi 整備やキャッシュレス環 境の整備などの環境整備について加速化を促している。また、国際観光旅客税の使途も規
定し、Wi-Fi を含むストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備や情報の入手の容易化、
地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向 上に充当するとしている。
(3)政府による支援メニュー
政府は従来より、ストレスフリーな受入環境実現に向けて、様々な支援メニューを打ち出
してきた。平成 30 年度は、従来の宿泊施設や観光案内所向け支援メニューをさらに拡大し、
前述の公共交通事業者の努力義務の範囲の拡大とあわせて、公共交通の車両 Wi-Fi につい
ても支援対象としている。
図 1-3 国交省・観光庁の補助メニュー(平成30年度)
(出所 観光庁観光地域づくりに対する支援メニュー集(平成30年度政府予算案版))
県の状況 第2項
(1)第5次沖縄県観光振興基本計画(平成 29 年改定)
今年度、本県では第5次沖縄県観光振興基本計画の中間見直しを実施し、同計画の改定を
行っている。改定後の計画においては、観光収入と入域観光客数を上方修正した。観光収 入については 1.1 兆円、入域観光客数については 1,200 万人を目指すとしている。
また、Wi-Fi をはじめとする情報通信インフラに AI、IoT、ビックデータ等の最新テクノ ロジーを活用した新たな観光サービスの構築を図るとしている。
(2)外国人実態調査
本県においては、例年、訪沖する外国人観光客の実態調査を行っており、その中で受入環
境に対する満足度についても調査している。Wi-Fi に対する満足度は改善傾向にあり、低位
図 1-4 受入環境の満足度
(出典 外国人観光客実態調査(沖縄県文化観光スポーツ部 観光政策課))
また、国籍別の満足度を見ると、中国・香港が比較的高い傾向を示している。
図 1-5 国籍別のWi-Fiの満足度(空路調査より集計)
(出所 外国人観光客実態調査(沖縄県文化観光スポーツ部 観光政策課))
今年度の事業目的・目標 第3節
昨年度の取組成果や、国の動向や本県の状況をふまえ、今年度事業の目的・目標を以下に
設定する。利用可能エリア拡大については、指定事業者や市町村などのエリアオーナーと の連携しながら、さらなるエリア拡大を図る。利便性の向上については、観光ビジョン実 現プログラム 2017 でも掲げられる、事業者間の垣根を超えた認証連携を実現し、さらなる
28.7% 38.1%
41.4% 41.5% 42.6%
51.5% 52.3% 52.6%
55.7% 55.9%
59.7% 61.8%
0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0% 80.0%
外国語対応能力 両替の利便性 案内表記のわかりやすさ Wi-Fi 土産品 交通機関 クレジットカード・ 銀聯カード 対応 食事メニュ ー・味 宿泊施設 観光施設 食事施設 おもてなし
利便性の向上を図る。観光マーケティングへの活用については、Wi-Fi を単なる情報通信手 段としてのみならず、コンテンツ配信や取得できるデータの有効活用など、新たな価値を 提供するための仕組みを確立する。
また、取組推進にあたっては、行政だけで推進することが困難であるので、昨年度に引き
続き県内の関連プレイヤーが一体となって推進する本協議会を通じて、情報共有を促進す るとともに、取組内容の評価や助言を通じて事業の PDCA を実行していく。
第2章
取組報告
概観 第1節
「第1章第3節 今年度の事業目的・目標」に掲げた本事業の目的・目標に鑑み、主要推 進施策に対して、次の取組を実施した。
• 利用エリア拡大として、市町村や施設所有者等エリアオーナー等への働きかけを通じ
て、指定事業者によるエリア拡大を推進した。
• 移動体におけるサービス拡充に向けて、首都圏などにおける先行事例調査を通じて、
今後の方向性についての検討を行った。
• 国立公園満喫プロジェクト
1
など、関連するプロジェクトとの事業間連携の検討を行 った。
• 利便性の向上として、事業者の垣根を超えた連携を実現するための仕組みづくりと実
証を行うとともに、今後の普及に向けたルール作りついても推進した。
• 観光マーケティングへの活用として、アクセスポイントのログ分析やランディングペ
ージの統一化の検討、コンテンツ配信のプロモーション施策としての評価などを実施
した。
• 新たな利活用モデルとしてのキャッシュレス環境との連携の検討も実施した。
図 2-1 取組概要
1
環境省による全国の国立公園の受入環境を向上するためのプロジェクト。沖縄県では、慶良間諸島(座 間味村、渡嘉敷村)が認定されている。同プロジェクトにおいて、Wi-Fi 整備が掲げられており、事業間
連携を検討したが、同プロジェクトにおいて”National Park Wi-Fi”という全国の国立公園統一の Wi-Fi が
次節より、各取組概要の詳細について、報告する。
事業者の指定とアクセスポイント設置状況 第2節
指定事業者による設置状況 第1項
本県では、Be.Okinawa Free Wi-Fi サービス提供する指定事業者として3社を指定してい る。以下に、指定事業者によるアクセスポイント設置状況を示す。
(1)第1号指定事業者:沖縄セルラー電話株式会社/沖縄セルラーアグリ&マルシェ株式会 社
第1号の指定事業者として、沖縄セルラー電話株式会社を指定した。同社は、沖縄県内に
5,000 を超 える 自社 携 帯ユ ーザ 用の アク セ スポ イン ト を有 して おり 、 これ らを 活用 し て Be.Okinawa Free Wi-Fi サービスを展開している。
平成 28 年 7 月 1 日からサービスを開始し、新規のエリアオーナーに対するアクセスポイ ントの設置も順次行っており、平成 30 年2月には 5,400 アクセスポイントまで拡大させて いる。
(2)第2号指定事業者:POPCHAT 株式会社・POPCHAT 沖縄株式会社
第2号の指定事業者として、平成 28 年 10 月に POPCHAT 株式会社(情報セキュリティ・マ
ネジメント株式会社より商号変更)を指定した。同社は Wi-Fi サービスに必要となる認証
機器の提供主体であり、県内事業者(約 20 社)と連携しながら、2020 年までに約 500 施設 (約 2.5 万アクセスポイント)でのサービス提供を目指している。
今年度は、自治体や商業施設に対して Be.Okinawa Free Wi-Fi サービスの案内やセミナー
開催をしながら、平成 29 年8月よりの那覇市国際通りにおいて、約 50か所のホテル・店
舗において、アクセスポイントを無償貸与する実証実験を開始している。
(3)第3号指定事業者:ソフトバンク株式会社
第3号の指定事業者として、平成 29 年1月にソフトバンク株式会社を指定した。同社は、
沖縄県内に 4,000 を超える自社携帯ユーザ用のアクセスポイントを有しており、これらを
活用して Be.Okinawa Free Wi-Fi サービスを展開する計画である。
市町村との連携 第2項
本県では、Be.Okinawa Free Wi-Fi サービスのエリア展開として、市町村が主体となって 整備する、いわゆる自治体 Wi-Fi について、県と市町村の連携に取り組んでいる。
現在、2村(粟国村、伊平屋村)の自治体事業として、Be.Okinawa Free Wi-Fi サービス が展開されている。
表 2-1 市町村によるサービス展開状況
(1)粟国村
粟国村では、村内の観光拠点を中心として、Be.Okinawa Free Wi-Fi を整備している。 整備は、指定事業者である沖縄セルラー電話が実施している。
(2)伊平屋村
伊平屋村では、村内の観光拠点を中心として、Be.Okinawa Free Wi-Fi を整備している。 整備は、指定事業者である沖縄セルラー電話が実施している。
伊平屋村では、県が実施している国内外向けのプロモーションやステッカー・利用ガイド
などの作成を活用して、利用促進に係る負担軽減が見込めることや、すでに県内提供され て い る Be.Okinawa Free Wi-Fi サ ー ビ ス と 連 携 で き る メ リ ッ ト が あ る こ と を 考 慮 し 、 Be.Okinawa Free Wi-Fi を採用した。伊平屋村として、屋内外あわせて、14 か所のアクセ スポイントを設置している。
構成要素
備考
粟国村
SSID Be.Okinawa_Free_Wi-Fi ※認証連携実施予定スポット数 33
ランディングページ 県のランディングページを一部カスタマイズ予定
技術仕様 県の指定事業者に求める基準仕様に準拠
伊平屋村
SSID Be.Okinawa_Free_Wi-Fi ※認証連携実施予定スポット数 14
ランディングページ 県のランディングページを一部カスタマイズ予定
図 2-2 伊平屋村Wi-Fi整備概要
また、Wi-Fi 接続後のランディングページについても、Be.Okinawa Free Wi-Fiの標準デ ザインを踏襲しつつ、村固有情報の発信や村ポータルサイトへの誘導を図っている。
移動体の Wi-Fi に関する調査 第3項
昨年度事業において、首都圏の空港(羽田、成田)発のリムジンバスにおける Wi-Fi の設
置状況の調査を行ったところ、車両台数ベースにおいて、50%を超える設置状況であった。
本県においても、那覇空港から主要ホテルを巡回するリムジンバスや路線バス、高速バス
など、複数の路線が運航されているものの、Wi-Fi 整備されているバスは限られる状況にあ
る 。ま た、 那覇 空港 を起 点と して那 覇市 内を 運行す るゆ いレ ール につ いて も、駅 舎に は Be.Okinawa Free Wi-Fi をはじめとする Wi-Fi サービスが提供されているものの、車両への 設置は進んでいない状況である。
(1)先進事例調査結果
本県の移動体における Wi-Fi 整備の方向性に対する示唆を得ることを目的として、首都圏
でサービス展開している企業(2社)に対して、利用者ニーズや運用上の課題、今後の見 通し等のヒアリングを実施した。
以下に、2社のヒアリングを通して得られた知見を示す。これらについては、本県におい
て移動体に Wi-Fi 整備を普及させる際にも重要な示唆になるといえる。
以下に、ヒアリング結果の詳細を示す。 首都圏バス会社
首都圏においても先駆的に Wi-Fi サービス提供を実施。現在は保有バス全台で提供している。
行政の補助などはなく、自己投資である。
Wi-Fi によって利用者が増えたという実感はないが、顧客満足度向上を目的として実施してい
る。Wi-Fi 利用可能という案内は時刻表等でも行っている。
サービス提供企業の課金テーブルに沿った有償サービスとして提供しているが、訪日外国人
提供開始直後は、トラブルが多かったが現在は安定している。振動が伴うため、故障発生は
致し方ない。現地における保守体制の確立が重要。
乗務員の負荷を下げるべく、問合せ先はサービス提供企業のコンタクトセンターとしている。
バス Wi-Fi は、顧客向けサービスもさることながら、社内にインターネット環境が確立でき
ることによる乗務員向けサービスや、車内のサイネージなど、複合的な利用方法 を考えると
よいと思う。
広告配信などは検討中であるが、今後のテーマ。完全無料化も含めて検討している。
首都圏鉄道会社
2014年よりサービス提供企業と連携して駅構内及び車両にWi-Fiを整備。現在ではほぼ全て
の車両に整備しており、アクセスポイントは 1,000 箇所程度に上る。
2017 年からは別のサービス提供企業とも連携して Wi-Fi サービスを拡充。整備には一部だが、
観光庁「訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策補助金」を活用した。
外国人利用者が多いこともあり、Wi-Fi は外国人観光客の満足度向上にとって必要であると考
えている。
車両に搭載しているが特に故障等もなく、オーナー側の作業負担は発生していない。
車両内では Wi-Fi のロゴステッカーを掲載しており、多言語の自社 HP などでも Wi-Fi サービ
スの案内をしている。問合せ先は各社のコンタクトセンターとしており、現在は駅事務員等
への問合せもほとんど発生せず、満足度も高いのではないかと感じている。
広告配信等は現時点であまり考えず、当然のインフラを提供するというスタンス である。す
でにターミナル駅では SIM の販売も事業者テナント・自動販売機として整備されており、今
後も顧客ニーズに迅速に対応していく考えである。
(2)県内の状況
県内においては、前述のとおり、公共交通(モノレール、バス)における車両の Wi-Fi
整備はまだ進んでいない状況ではあるが、今後の整備について検討がなされている状況で ある。
(3)今後の取組の方向性
「第1章第2節第1項 国の動向」に記載したとおり、政府では公共交通事業者に対して、
Wi-Fi 整備についても努力義務化していく方向である。また、それに関する支援メニューも
平成 30 年度に創設される方向である。
データ分析 第3節
Be.Okinawa Free Wi-Fi サービスの運営状況を可視化するため、以下のデータ分析を実施 した。
表 2-2 実施したデータ分析
調査概要 収集する情報
1 Web アンケート調査 Be.Okinawa Free Wi-Fi サービスの満足度や改善点等 接続後のランディングページにおいて取得
2 利用実績 Be.Okinawa Free Wi-Fi サービスの利用実績
アクセスポイントのログデータより取得
利用者に対する Web アンケート調査分析 第1項
Be.Okinawa Free Wi-Fiサービスの満足度や改善点を調査するため、Wi-Fi利用に係る認 証の後に表示されるランディングページにおいて、Web アンケートを実施した。Web アンケ
ートは、平成 28 年10 月より実施しており、日本語・英語・簡体字・繁体字・韓国語の5
言語対応とした。
Web アンケートの調査結果を、以下に示す。なお、日本語以外の言語で回答された方を外 国人と判断している。分析結果は昨年度との比較も示している。
(1)普段住んでいる国・地域【問1】
回答者の居住地域については、以下のとおりとなっている。昨年度は回答者のうち約
1 割が日本以外の居住地域となっていたが、今年度は 2 割程度まで増加しており、訪日
図 2-4 普段住んでいる国・地域の分布
(2)性別【問2】
回答者の基本属性である性別については、以下のとおりとなっている。今年度は男性 が回答者の約6割を占める状況となっている。
図 2-5 性別の分布
89.1 2.7 2.7 1.1 1.6 1.1 1.4 81.4 1.9 5.3 3.1 2 2.7 3.4
0% 20% 40% 60% 80% 100%
日本
韓国
台湾
中国
香港
米国
その他
問1 普段住んで いる国・ 地域
H29年3月まで (n=545) H29年3月以降(n=734)
65.3
34.6
60.7
39.2
0% 20% 40% 60% 80%
男性
女性
回答者全体
H29年3月まで (n=545) H29年3月以降(n=734)
50.0
50.0
64.1
35.8
0% 20% 40% 60% 80%
男性
女性
外国人回答者
(3)沖縄の訪問回数【問3】
回答者の訪問回数については、3回目以上が7割を占めており、リピーターもしくは
在住者に利用されていることが推察される。一方、外国人の回答者に絞ってみると、「は
じめて」を回答する方が全体の約半数となっている。
図 2-6 訪問回数の分布
17.2
11.1
71.5 18.3
5.1
76.4
0% 20% 40% 60% 80% 100%
はじめて
2回目
3回目以上
回答者全体
H29年3月まで H29年3月以降(n=734)
47.6
16.6
35.7
55.8
13.3
30.8
0% 20% 40% 60% 80% 100%
はじめて
2回目
3回目以上
外国人回答者
(4)出発前に役に立った旅行情報【問4】
出発前に役に立った旅行情報については、Be.Okinawa の公式サイトがトップとなって おり、次いで検索サイトとなっている。一方、外国人の回答者に絞ってみると、昨年は 個人ブログと回答する方が全体の約2割でトップとなっていたが、今年は検索サイトが 1位となっている。
図 2-7 出発前に役に立った旅行情報の分布
18.1 7.3 5.4 4.7 5.2 10.2 7.4 7.5 6.7 2.3 4.7 2.1 4.4 0.7 5.8 6.7 17.5 5.4 4.8 3.5 5.5 11.6 8.4 7.8 7 2.2 6.2 1.8 4.5 1.1 4.9 6.7
0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% 14% 16% 18% 20% Be.Okinawa
旅行会社HP 宿泊施設HP 航空会社HP 宿泊予約サイト
検索サイト
SNS
個人のブログ
その他インターネット
旅行会社パンフレット
旅行ガイドブック
自国の親族・ 知人
日本在住の親族・知人
旅行の展示会や見本市
テレビ番組、映画、新聞、雑誌
特にな し
回答者全体
H29年3月まで (n=1072) H29年3月以降(n=1588)
11.8 5.9 5.0 6.7 5.9 5.0 5.0 18.6 5.9 2.5 13.5 2.5 6.7 0.8 2.5 0.8 12.4 5.6 2.8 2.4 4.6 13.4 5.3 10.6 8.1 2.1 9.5 2.1 7.4 2.8 5.6 4.6
0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% 14% 16% 18% 20% Be.Okinawa
旅行 会社HP 宿泊 施設HP 航空 会社HP 宿泊予約 サイト
検索 サイト
SNS
個人 のブログ
そ の他インターネット
旅行 会社パンフレ ット
旅行ガ イド ブック
自国の 親族・ 知人
日本在 住の親族・ 知人
旅行の展 示会や見本 市
テレビ番組、映 画、新聞、 雑誌
特にな し
外国 人回答者
(5)沖縄訪問の目的【問5】
沖縄の訪問目的については、観光・レジャーがトップとなり、次いで親族・知人訪問 となった。外国人回答者に絞ってみても、全体としては同様の傾向となっているが、ビ
ジネス目的が2位となっている。昨年との比較においても、大きな傾向の違いは見られ
なかった。
図 2-8 沖縄訪問目的の分布
52.2 20.0 2.3 2.2 1.2 0.5 0.9 2.7 17.6 54.9 19 0.5 1.6 0.5 0.2 0.6 3.4 18.9
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 観光・ レジャー
親族・ 知人訪問
新婚旅行
結婚式( 自分・親族・ 知人)
インセンティブツアー
展示会・ 見本市
国際会議
研修
商談等その他ビジネス
回答者全体
H29年3月まで (n=545) H29年3月以降(n=734)
66.6 11.9 0.0 2.3 4.7 0.0 2.3 0.0 11.9 70.8 9.1 0.8 0.8 2.5 0 0 4.1 11.6
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 観光・ レジャー
親族・ 知人訪問
新婚旅行
結婚式( 自分・ 親族・ 知人)
インセンティブツアー
展示会・ 見本市
国際会議
研修
商談等その他ビジネス
外国人回答者
(6)沖縄の Wi-Fi 利用の満足度【問6】
沖縄のWi-Fi利用の満足度については、全体の約5割が「満足」または「やや満足」
と回答している。外国人回答者に限ってみれば約7割が「満足」または「やや満足」と 回答しており、満足度は高い状況と言える。昨年と比較しても、同様の傾向となってい る。
また、「図 1-4 受入環境の満足度」に示した通り、外国人観光客実態調査では Wi-Fi
の満足度は改善傾向を示しており、これには、Be.Okinawa Free Wi-Fi も貢献している ものと推察される。
図 2-9 満足度の分布
33.9
22.2
19.2
14.6
9.9
31.8
22.2
21.5
14.4
9.9
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%
満足
やや満足
普通
やや不満
不満
回答者全体
H29年3月まで (n=545) H29年3月以降(n=734)
57.1
23.8
9.5
9.5
0.0
42.5
25.8
18.3
5.8
7.5
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%
満足
やや満足
普通
やや不満
不満
外国人観光客
(7)沖縄の Wi-Fi の改善点【問7】
沖縄のWi-Fi利用の改善点については、利用開始手続きの分かりやすさがトップとな
り、次いで利用場所の拡大となった。外国人回答者に絞ってみても、同様の傾向となっ ているが、昨年と比較すると通信速度の高速化のニーズが高まっている。
図 2-10 改善点の分布
(8)Be.Okinawa Free Wi-Fi サービスを知ったきっかけ
Be.Okinawa Free Wi-Fi サービスを知ったきっかけについては、回答者全体で見ても外国 人に絞ってみても、SSID での認知がトップとなった。Be.Okinawa Free Wi-Fi」を正体不明 の SSID として敬遠するのではなく、実際に利用していることから、“Be.Okinawa”のロゴ・ ブランドでの周知によって安心感・信頼感を与えていることが推察できる。
また外国人については、利用ガイドが 2 番目に多くなっており、紙媒体の作成・配布も効
23.5 12.9 17.5 12.3 18.5 8.2 4.1 2.6 22.4 12.6 18.6 10.4 20.7 9.1 3 2.7
0% 10% 20% 30%
利用開始手続きを分かりやすく する
暗号化し安心して利用できるアクセスポ イント を増や す
通信速度の高速化
利用場所を分かりやすく 明示 する
利用場所(アクセスポイント) を増 やす
無料ま たはより廉価なサービスを増や す
訪問前に分かりやすいプロモ ーショ ン を実施 する
特に改善点は見当たらない
回答者全体
H29年3月ま で(n=1073) H29年3月以降(n=1546)
22.7 9.0 14.7 12.5 20.4 11.3 5.6 3.4 23.9 12.1 20.4 9.1 19.1 11.3 2.1 1.7
0% 10% 20% 30%
利用開始手続きを分かりやすく す る 暗号化し 安心して 利用で きるアクセス ポ イ ント を増や す 通信速度の高速 化 利用場所を分かり やすく 明示 する 利用場所( ア クセス ポイント) を増 やす 無料ま たは より廉価な サービスを増や す 訪問前に分かり やすいプロモ ーシ ョ ン を実施 する 特に改善点は見当たらな い
外国人観光客
果があるといえる。
図 2-11 Be.Okinawa Free Wi-Fiを知ったきっかけの分布
0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0
スマ ートフォン・ タブレット等に表示されたSSID 店舗や施設に掲示されて いるシンボルス テッカー Be.Okinawa Free Wi-Fiの利用ガイド 空港ターミナル内の広告 モノレ ール駅構内の広告 沖縄で 入手したフリーペーパー 自国・ 地域で入手した旅行雑誌 旅行情報Webサイトの記事
旅行情報Webサイトのバナー広告 ブログ その他
Be.Okinawa Free Wi-Fi
を知っ たきっかけ
利用実績の分析 第2項
Be.Okinawa Free Wi-Fi サービスの利用実績について、アクセスポイントから取得できる ログの情報を基に、分析を行った。なお、現時点において十分な量のログ提供を行える指 定事業者が沖縄セルラー電話に限られたため、同社より提供されるログのみを利用してい る。
(1)月別利用実績
以下に、平成29年1月からの時系列の利用実績を示す。昨年度から引き続き、利用実績
は増加傾向にあり、観光のハイシーズンである 7 月には 201 万回/月とピークに達してお
り、ローシーズンの 11~12 月でも 190 万回/月を超えている。
今 年 度 に お い て は 、 ア ク セ ス ポ イ ン ト が 大 幅 に 増 加 し て い る わ け で は な い た め 、 Be.Okinawa Free Wi-Fi の認知度が高まってきているものと推察される。
図 2-12 利用実績の推移
(2)言語別利用実績
以下に、利用者の言語(スマートフォン等の接続デバイスのOS 言語より判断)別の利用
実績の月別集計(トップ 10)を示す。
いずれの月も、日本語が最多で 90%超を占めており、英語(米国)、中国語(繁体)、
韓国語と続く。中国語(簡体字)と英語(イギリス)までが比較的多く、7位以降は大き く数字が下がる傾向にある。季節毎の大きな変動も見られない。また、表には掲載しきれ ていないが、少数のものも含めると、計 60 か国ある。
0 500,000 1,000,000 1,500,000 2,000,000 2,500,000
1
月 2月 3月 4月 月5 6月 7月 8月 9月
1
0
月
1
1
月
1
2
月
表 2-3 季節別の言語別利用実績(トップ 10)
(3)拠点別利用実績
以下に、アクセスポイント別の利用実績の月別集計(トップ 10)を示す。年間を通して、
国際通りの商業施設などにおいて接続数が多くなっている。また、夏ごろからは、ゆいレ
ール各駅での接続が上位となっており、移動中や待ち時間などにおける Wi-Fi ニーズの高
さが伺える。
なお、本集計はアクセスポイント別に実施しているが、施設別で集計すると、コンベンシ
ョンセンター(宜野湾)や那覇空港が上位となっている。
表 2-4 アクセスポイント別の拠点利用実績(トップ 10)
2月 5月 8月 11月
言語 接続数 言語 接続数 言語 接続数 言語 接続数
1 日本語 312,137 日本語 519,796 日本語 458,279 日本語 454,779
2 英語(米国) 12,722 英語(米国) 23,839 英語(米国) 18,614 英語(米国) 16,565
3 中国語(繁体) 4,407 中国語(繁体) 7,939 中国語(繁体) 9,418 中国語(繁体) 4,372
4 韓国語 3,403 韓国語 4,045 韓国語 3,682 韓国語 2,706
5 中国語(簡体) 1,457 中国語(簡体) 2,921 中国語(簡体) 2,876 英語(イギリス) 1,986
6 英語(イギリス) 1,145 英語(イギリス) 2,201 英語(イギリス) 2,066 中国語(簡体) 1,772
7 英語(オーストラリア) 252 英語 564 英語(オーストラリア) 438 スペイン語(スペイン) 523
8 英語 217 英語(オーストラリア) 503 フランス語(フランス) 385 英語(オーストラリア) 426
9 タイ語 181 フランス語(フランス) 406 英語(カナダ) 352 英語(カナダ) 360
10 フランス語(フランス) 168 英語(カナダ) 382 イタリア語(イタリア) 351 ドイツ語(ドイツ) 358
平成29年2月 8月 12月
順位 施設 場所 接続数 施設 場所 接続数 施設 場所 接続数
1 総合量販店A 那覇市松尾 4,396ゆいレール(県庁前) 那覇市久茂地 13,070 ゆいレール(県庁前) 那覇市久茂地 13,803
2 自動車学校 うるま市昆布 3,261コールセンター・研修
業A 沖縄市中央 9,336ゆいレール(小禄) 那覇市田原 9,426
3 総合量販店A 宜野湾市大山 3,231ゆいレール(小禄) 那覇市田原 9,069ゆいレール(おもろま
ち) 那覇市おもろまち 9,395
4 総合量販店B 宜野湾市大山 2,699ゆいレール(おもろま
ち) 那覇市おもろまち 8,730ゆいレール(美栄橋) 那覇市牧志 8,002
5 コールセンター・研修業A 沖縄市中央 2,414ゆいレール(美栄橋) 那覇市牧志 8,472ゆいレール(牧志) 那覇市牧志 7,528
6 パチンコ店 那覇市東町 2,123ゆいレール(牧志) 那覇市牧志 8,053ゆいレール(壺川) 那覇市壺川 6,110
7 ガソリンスタンドA 那覇市上之屋 2,086総合量販店A 那覇市松尾 7,160総合量販店A 那覇市松尾 5,826
8 飲食店 宜野湾市宜野湾 2,069那覇空港国際線タ
ーミナルビル 那覇市鏡水 6,424コールセンター・研修業A 沖縄市中央 5,398
9 ガソリンスタンドA 宜野湾市伊佐 2,050コールセンター・研修
業A 沖縄市中央 6,407ゆいレール
(那覇空
港) 那覇市鏡水 5,120
(4)今後の展望
ログ分析結果は、分析ツールを活用して以下のようにダッシュボード化(複数の情報を一
纏めにして表示する方法)して共有することを進めている。次年度以降、本協議会メンバ ーを中心に分析ダッシュボードを公開していく予定である。
利便性向上施策 第4節
認証方法の統一による利便性向上 第1項
Be.Okinawa Free Wi-Fi サービスでは、総務省が補助金交付要件として推奨する認証方式 の採用を求めている。具体的には、OpenID 方式による認証(Facebook や Yahoo などのソー シャルアカウントでの認証)、メールリターン方式による認証(電子メールの到達確認後
の同意をもって認証)、SMS 認証(携帯電話のショートメールでの認証)等を推奨している。
十分な量のログを取得できるのが沖縄セルラー電話に限られたため、同社のログを基に認
証方式の分析を行った結果を以下に示す。
沖縄セルラー電話では、初回認証後3時間以内は再認証不要としているため、総リクエス
トの約7割が自動再認証となっており、利便性向上に一定程度寄与していると推察される。 なお、昨年度の自動再認証の割合は、6割程度となっており、その割合が増加しているこ
とから、1 日の中で複数個所を利用するリピートユーザーが増加している可能性が示唆され
る。
さらなる利便性向上施策 第2項
(1)認証連携
さらなる利便性向上として、エリアを移動した場合でも、移動先ごとに利用開始手続きを
行う必要がないという、認証連携に取り組んだ。
本県においては、指定事業者の基準仕様に、総務省が推進する「無料公衆無線 LAN の利用
開始手続の簡素化・一元化」に準拠する方式への対応を掲げており、現在指定事業者とな っている3社が提供するサービスエリアをまたがって移動した場合でも、認証連携が可能 となる仕組みづくりを行ってきた。
総務省の推進する同方式は、現在、一般社団法人 公衆無線 LAN 認証管理機構(通称:
Wi-Cert)に引き継がれており、Wi-Cert は「事業者間で連携を行う際の技術方式を定めた
仕様の策定及び管理」「当該技術仕様を用いて連携を行うための業務フロー及びルールの 管理と運用」「連携を円滑かつ低コストで実現するためのソフウェアの提供及び本連携に 係る周知、広報」を主たる活動領域としている。
また Wi-Cert は、主に地方自治体を中心とする公的機関が整備・運用する Wi-Fiの連携・
相互乗り入れを活動の主たる範囲としており、NTT ブロードバンドプラットホームが運営す
る Japan Connected Free Wi-Fi やワイヤ・アンド・ワイヤレスが運営する TRAVEL JAPAN Wi-Fi のように、独自の認証システムを整備・運用するものではなく、また、こうした民間主導 の商用サービスを阻害するものではない。
Wi-Cert では、上記の連携・相互乗り入れを実現する技術方式として、WebAPI 方式を採用
している。この方式は、エリアオーナーや Wi-Fi のサービス事業者にとって過度な負担が
かからない方式とされており、利用者は WebAPI に対応したスマートフォンアプリ
2
経由で認
証することで、エリア横断毎に認証を求められることがなくなる。以下に、WebAPI 方式の
概要を示す。
図 2-15 WebAPI方式の概要
2
(出所:Wi-Cert 説明資料) (2)技術検証
指定事業者3社の WebAPI 方式による認証連携の検証を実証環境で実施した。
検証にあたっては、公衆無線 LAN 認証管理機構の事務所内に指定事業者3社のアクセスポ
イントを用意し、WebAPI 方式に対応したスマートフォンアプリ(Travel Japan Wi-Fi)で の接続を実施した。
上記のスマートフォンアプリから、各社のアクセスポイントに接続する際に、都度認証を
行うことなく、シームレスに接続できることを確認した。 以下に、技術検証の概要を示す。
図 2-16 技術検証の概要
(3)フィールド実証
技術検証の結果をふまえ、平成30年2月より認証連携に関するフィールド実証を行って
いる。
指定事業者 3 社がサービス提供しているアクセスポイント(県内約 5,600 か所)を WebAPI
方式に対応させ、WebAPI方式対応アプリを使うことでエリアを移動してもWi-Fi 接続が可
能となるようにしている。なお、WebAPI 方式対応アプリは、以下のアプリを使用している。
TRAVEL JAPAN Wi-Fi(株式会社ワイヤ・アンド・ワイヤレス)
図 2-17フィールド実証の概要
(4)フィールド実証の評価
実証開始後のアクセスポイントにおけるログを分析し、評価を行った。
評 価 に は 、 十 分 な 量 の ロ グ を 取 得 で き る 沖 縄 セ ル ラ ー 電 話 の ア ク セ ス ポ イ ン ト (Be.Okinawa Free Wi-Fi を開波するアクセスポイント)のログを用いた。実証開始日(2018 年2月1日)から 2018 年3月9日までの接続状況の内訳は以下のとおりとなった。
現時点でアプリ経由の認証はそれほど多くないものの、ある程度(5%程度)存在してい る。今後、”Be.Okinawa Free Wi-Fi 推奨アプリ”の商用化など、対応アプリの普及によっ て、さらなる利用率の向上(=利便性の向上)は見込めると想定される。なお、対応アプ リの受入れルールについては、「第2章第4節第3項 普及に向けたルール作り」にて後述 する。
普及に向けたルール作り 第3項
(1)基準仕様の改定
第2項で述べたWebAPI方式の技術検証及びフィールド実証の結果をふまえ、指定事業者
基準仕様の改定の検討を行った。
現在、基準仕様は「図 2-19指定事業者に求める基準仕様」に示したとおりに定義され
ており、認証連携に関する仕様は、③(2)に記載のとおりとなっている。当該仕様につ いて、以下の記載に改定することとした。
一般社団法人公衆無線 LAN 認証管理機構が策定及び管理する「公衆無線LAN
サービスの認証手続きにおいて、事業者間で連携を行う際の技術方式(Web API 方式)」であること。
図 2-19指定事業者に求める基準仕様
平成 28 年2月に、総務省より「無料公衆無線 LAN サービスの利用開始手続の簡素化・ 一元化の実現等に向けた取組方針」が示された。
県では、平成 28 年4月に同方針をふまえた基準仕様を策定した。
その後、総務省の取組は一般社団法人 公衆無線 LAN 認証管理機構(Wi-Cert 平成 28 年9月設立)に引き継がれ、共通仕様(WebAPI 方式)が策定された。
以下の点に鑑み、基準仕様の改定を検討することとした。
総務省取組方針が、より具体化された共通仕様(WebAPI 方式)となって規格化
されたため、最新の動向に準拠させた方が、今後導入を検討するエリアオーナー
や新たな指定事業者に対して誤解を生じにくいこと。
現在指定する3事業者はこの仕様に対応しており、相互連携が今後も見込めるこ
と。
今後、県内の自治体が自ら整備(または更改)する Wi-Fi に Be.Okinawa Free Wi-Fi を採
用、もしくは独自 SSIDであっても WebAPI方式を採用する場合においては、相互連携が見
込める。
なお、本改定案は、平成30年2月に実施した本協議会における幹事会にて、承諾された
ため、次年度開催予定の総会において正式決定の予定である。
(2)アプリ普及に向けた受入れルール作り
WebAPI 方式による認証連携の仕組みが整備された次のステップとしては、本県観光振興
に資する WebAPI 方式対応アプリの普及促進を図り、利便性向上や新たな付加価値を創造し ていく必要がある。
一方で、制限なくアプリの接続を許容すると、必要十分なセキュリティ確保や公共性が阻
害されかねない。そのため、WebAPI 方式対応アプリの開発にあたっては一定の制限(受入
れルール)を設けるとことが必要となってくる。
今後、指定事業者を中心とした民間事業者、自治体等がアプリ開発を行う際の技術要件を
表 2-5 対応アプリで採用すべき技術要件
構成要素 技術要件
1 本人認証
①による認証方式、または②及び③を併用した認証方式のいず れかであること
①SMS(ショートメッセージ)・電話番号を利用した認証方 式
②SNS アカウントを利用した認証方式
③利用していることの確認を含めたメール認証方式
※総務省「観光・防災 Wi-Fi ステーション整備事業」、「公衆 無線 LAN 環境整備支援事業」の補助金要件に準拠
(なお、本要件は Be.Okinawa Free Wi-Fi の指定事業者の基準 仕様としても採用している)
2 トレーサビリティ アプ リ事業者側で 本人認証時の 取得情報へ遡 及する手段 が確
保されていること(ログの記録)
3 利用規約確認対応
初期利用開始時及び対応エリア追加時に、個別または包括的に 利用規約の同意を求める機能を具備していること
4 ラ ン デ ィ ン グ ペ ー ジ 対応
接続時に対象サイトアドレスを受信し、ユーザの閲覧に供する 導線を確保していること(アプリ側で接続後にランディングペ ージに誘導。自動表示が望ましい)
5 多様性確保 ・アプリを開発する事業者が Wi-Fi サービスの運用を受託して
いる場合、Wi-Cert 会員の承諾を得ること
・地方公共団体がアプリを開発する場合は、当該公共団体がエ
リアオーナーとなっているアクセスポイントを WebAPI 方式に
対応させること(努力目標)
さらに、本県観光ブランド”Be.Okinawa”を冠する Wi-Fi への接続アプリがそのブランド
を棄損することがないよう、本県の「沖縄観光ブランド管理要綱(平成 29年7月10 日施
行)」の第8条に定める利用許諾制限を公益性の要件として定める。
表 2-6 公益性の要件(開発許諾制限事項)
(1) 法令又は公序良俗に反すると認められる場合
(2) 沖縄観光ブランドイメージの低下に繋がると認められる場合 (3) 第三者の利益を侵害すると認められる場合
(4) 特定の個人、政党、若しくは宗教団体を支援し、又は支援するおそれがある と認められる場合
(5) 風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律(昭和23年法律第122 条)第2条に定める営業を行う者が使用する場合又はこれらの者が関わる事 業の場合
(6) その他知事が不適切と認める場合
の開発許諾を行う。
(1)アプリ開発者は、県(協議会)に対して申請を行い、 県(協議会)は公益性の審査 を行う。
(2)アプリ開発者は、 あわせて Wi-Cert に対して申請を行い、Wi-Cert は技術要件の審査 を行う。(技術要件の審査については、県(協議会)は Wi-Cert に委任する) (3)県(協議会)、Wi-Cert 双方の審査によって、基準を満たしていると判断された場合、
開発許諾を行う。
(4)アプリ開発者は Wi-Cert に対して開発申し込みを行い、開示された仕様に沿って、アプリ 開発を行う。
図 2-20審査フロー
なお、審査にあたって協議会が開催できない場合は、メール等による付議・承認にて、承 認できるものとする。
なお、本受入れルールは、平成30年2月に実施した本協議会における幹事会にて承諾さ
れたため、次年度開催予定の本協議会総会において正式決定の予定である。
産学連携の取組 第4項
沖縄工業高等専門学校では、本事業の趣旨である Wi-Fi を活用した観光振興に賛同し、訪
今年度は、訪日客がLTEを使えない環境下においては、地図アプリなども使えず、Wi-Fi
のアクセスポイントを探すことができない課題に着目し、GPS から得られる位置情報を元に
してアクセスポイントに誘導するアプリの研究開発を行っている。
図 2-21 アプリに概要
観光マーケティングへの活用 第5節
「第1章第3節 今年度の事業目的・目標」にも掲げたとおり、Free Wi-Fi サービスを単
なる情報通信手段としてのみならず、コンテンツ配信や取得できるデータの有効活用など、 新たな価値を提供するための仕組みの確立を目指している。
PUSH 配信を活用したプロモーション実証 第1項
Wi-Fi 及びスマートフォンアプリを活用した情報配信の実証として、位置情報と連動した
コンテンツ配信を実施した。
認 証 連 携 の フ ィー ル ド 実 証で も 活 用 され て い るスマ ー ト フ ォ ン アプ リ ( Travel Japan Wi-Fi)を活用して、訪日外国人向けのコンテンツ配信を行い、マーケティングツールとし ての有効性や経済性を評価する。
(1)仕組みの概要
コンテンツ配信は、スマートフォンアプリがインストールされている訪日外国人が特定の
時間・エリアに移動した際に、観光プロモーションを目的とするデジタルコンテンツを配 信し、開封率などを分析する。
開始時は那覇空港や国際通りなどの特定拠点からスタートし、開封率を見ながら、エリア
拡大やコンテンツの多言語化などを進める。
図 2-22コンテンツ配信の概要
(2)配信コンテンツ
コンテンツの配信は 2018 年2月1日から3月中旬にかけて実施した。
配信コンテンツは、季節性を考慮し、ホエールウォッチングのコンテンツを配信し、(一
ングサイトに誘導した。
配信コンテンツの概要を以下に示す。コンテンツは画像
3
を2パターン用意し、それぞれ 英語・簡体字の言語で用意した。
図 2-23配信コンテンツ
(3)配信結果と評価
配信結果のサマリーを以下に示す。約 1 か月間の期間において、約 700 回、配信コンテン
ツが開封された。
コンテンツの差異(画像の差異)による開封率の差異は見られなかった。
3
表 2-7 配信結果概要
配信コンテンツ 閲覧方法 着信数 開封数 開封率(%) 平均開封数(日)
パターン 1 ジオ Push
*
8,461 228 2.69 6.9
ジオコンテンツ
**
- 80 - 2.4
パターン 2 ジオ Push 8,379 262 3.13 7.9
ジオコンテンツ - 98 - 3.0
*ジオ Push は配信フェンスにユーザが入ると、リアルタイムで配信
**ジオコンテンツは配信フェンス内でユーザがアプリ操作すると配信
次に、開封数と着信数の時系列の推移を以下に示す。フェンス拡大後は着信数・開封数と
もに伸びているが、開封率は低下しており、コンテンツ内容に鑑みると、県内の方がプロ モーション効果は高いといえる。
図 2-24時系列の推移
次に、国籍別の開封数と着信数を以下に示す。台湾、韓国、中国、香港等、訪沖客の主要 7
5 3
0 6
2 4 3 7
5 4 3 2 5
1 21
27 26 27 28 29 25
15 23 20 17 20 24 24 27 28 32 20 5 1 0 1 1 0 4 1 0 0 2 0 0 1 1 2 12 12 7 8 15 12 12 4 10 6 16 8 3 9 4 13 8 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 0 200 400 600 800 1,000 1,200 2
/1 2/2 2/3 2/4 /52 2/6 2/7 2/8 2/9
2 /1 0 2 /1 1 2 /1 2 2 /1 3 2 /1 4 2 /1 5 2 /1 6 2 /1 7 2 /1 8 2 /1 9 2 /2 0 2 /2 1 2 /2 2 2 /2 3 2 /2 4 2 /2 5 2 /2 6 2 /2 7 2 /2 8 3
/1 3/2 3/3 3/4 3/5
ジ オPush開封数 ジ オ コ ン テ ン ツ 開封数 着信数
2/14 簡体字追加
2/16 フェンス追加
着
信
数
開
封
数
全ユーザに対し、英語で配信 簡体字ユーザには簡体字で配信
(その他ユーザには英語で配信)
配信フェンスを沖縄県内に設定
ボリュームをしめるアジア諸国からの訪沖客については、比較的開封率が高くなる傾向が 見られた。
図 2-25 国籍別の開封数
次に、フェンス(エリア)別の開封数を以下に示す。
成田、羽田などの訪沖前の国内ターミナルが上位に来ており、次いで那覇空港となってい
る。また、沖縄県内では、滞在時間が長くなる宿泊施設での開封数が多くなっており、特 にホエールウォッチングの拠点である泊港近辺での開封数が伸びているといえる。
図 2-26 フェンス(エリア)別の開封数
(4)総評と今後の期待
0 20 40 60 80 100
0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000
( 日本) フ ィリ ピ ン
ベ トナ ム オ ー ス トラ リア タ イ イ ギリス 香港 中華人民共和国 大韓民国 ア メリカ 合衆国 台湾
開封数
着信数
国・
地域別の開封数・
着信数
着信数 開封数
0 2 4 6 8 10 12
東成田 銀座駅 空港第2ビ ル 那覇空港
EL FARO
m札幌南1条 ホテ ルブ ラ イ オ ン 那 覇
GRGホテ ル那覇
m岩本町駅前 ホテ ルサン パレ ス 球 陽館 ホテ ルシテ ィコ ー ト
本実証において、位置情報に連動して県内の観光コンテンツの配信を行ったが、着信数に おいて以下のような傾向が見られた。
○エリアにおける傾向
県外エリアにおいては、成田空港や羽田空港など、訪日客の滞在時間が長くなる主要 ターミナルにおける開封数が多くなる傾向が見られた。
県内エリアにおいては、県外同様、那覇空港の開封数が多くなったが、それ以外にも 滞在時間が長くなる宿泊施設における開封数が多くなる傾向が見られた。宿泊施設をタ ーゲットエリアにした配信の有効性が示唆される。特に、本実証においてはホエールウ ォッチングに関するコンテンツを配信しているが、その主要拠点である泊港近接の宿泊 施設における開封数が多くなっていることから、対象施設との距離も重要な要素である ことが示唆される。
○国籍における傾向
このようなスマートフォン向けのコンテンツ配信では、本実証においては、欧米系と 比較して、アジア系の開封率が高い傾向が見られた。アジア諸国からの訪日客向けのプ ロモーションツールとしての有効性が示唆される。
本実証においては、上記のような傾向が明らかになったが、Wi-Fi やスマートフォンアプ リを活用したプロモーションは国籍や配信場所によっては有効なツールになりえる。現在、 本県においては、様々な媒体を活用した誘客プロモーションを実施しているが、新たな媒 体としての活用が期待される。
ランディングページの統一 第2項
現在、Be.Okinawa Free Wi-Fi 接続後、県の観光情報を発信するランディングページへ誘 導している。
沖縄セルラー電話とソフトバンクは、ランディングページを共有しており、POPCHAT にお いても、基本的なデザインを統一している。
「第2節第2項 市町村との連携」でも掲げたとおり、今後、市町村など多様なエリアオ ーナーが Be.Okinawa Free Wi-Fi に賛同し、連携したエリア拡大につながって行くことが 期待される。その場合でも、極力統一的なデザインによる情報発信が望ましい。
そのため、ランディングページについては、以下の基準を設けることとする。
ロゴ・デザイン及びベースライン項目(①~③)の掲載は必須とする。 オプション項目(④~⑤)については、県と協議のうえ掲載する。
載する。
市町村が整備する Wi-Fi のランディングページについては、原則ベースラインの踏襲
を求めるものとし、必要に応じて個別に協議・調整する。
図 2-27 ランディングページの構成
また現在、本県では、バスやモノレールの路線図・時刻表などをオープンデータ化
4
して 公開する準備を進めている。こうした事業とも連携し、ランディングページから観光客向 けの情報配信を強化して行く。
金融機関との連携 第3項
「第1章第2節第2項 県の状況」にも示した本県の受入環境の満足度において、両替利 便性やクレジットカード対応に関する満足度は高くない状況となっている。
また現在、スマートフォンで決済するモバイルペイメントの普及が進展しており、訪日客
の利便性向上や消費額向上には、キャッシュレス環境の普及が不可欠であるといえる。キ
ャッシュレス環境を店舗等の施設に整備するためには、施設側にも Wi-Fi 同様、高速通信
環境が必要となる。現在、指定事業者では Wi-Fi のアクセスポイントと高速通信環境の同
時敷設による普及展開を施策として推進しているが、キャッシュレス環境についても同様 の施策が有効であると想定される。
本協議会・プロモーション部会において、金融機関も交えて検討した結果として、以下に
示すような相互普及促進策は、有効性が高いことが確認できた。
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図 2-28 推進スキームのイメージ
今後、本協議会においても、同スキームの有効性についてアピールし、Wi-Fi サービスと キャッシュレス環境の相互普及促進について働きかけを行っていく。
協議会運営実績 第6節
開催実績 第1項
今年度も、Be.Okinawa Free Wi-Fi の普及や利活用促進に向けて、様々なステイクホルダ ーの意見集約や特定事案の検討を目的として、協議会の運営を行った。
図 2-29 協議会の構成
総会
幹事会
技術部会 プロモーション部会 行政部会
○ Wi-Fiの県内統一仕様、 利活用(情報連携、認証 一元化、ログ解析、多目 的利用)に関する事項に ついて協議します。
○Be.Okinawa Free Wi-Fiの広報、プロモーション、 ブランディングに係る事項に ついて協議します。 ○エリアオーナーに対する普
及・啓発を推進します。
○既設の自治体Wi-Fiとの 連携、未導入自治体への 働きかけ等、自治体利用 推進に係る事項を協議し ます。
▼全県的な体制の構築
▼ 協議会の方向性の整理
表 2-8 協議会開催実績
開 催日 程 参 加者 ・議 題
幹 事会
2017年8 月7日 ○ 主たる 参加者 :協議 会幹事 (幹事 会長、 各部会 長、指 定事業 者) ○ 議題:
・ 総会付 議事項 の協議 ・ 指定事 業者の 取組報 告
総 会 2017年9 月14 日 ○ 主たる 参加者 :県が 委嘱す る総会 委員 ○ 議題:
・ 昨年度 の取組 報告と 今年度 の取組 内容の 付議 ・ 指定事 業者の 取組報 告
技 術部 会 2017年 11月7 日 ○ 主たる 参加者 :部会 長、指 定事業 者、県 内通信 事業者 、Wi-Cert ○ 議題:
・ 県の取 組の共 有 ・ Wi-Certの取組 の紹介
・ 認証連 携アプ リ、ラ ンディ ングペ ージに 関する 協議 ・ 部会長 より情 報提供
行 政部 会
2017年 11月8日 ○ 主たる 参加者 :部会 長、市 町村担 当者、 指定事 業者 ○ 議題:
・ 県、指 定事業 者の取 組の共 有 ・ 市町村 との連 携事例 の共有 ・ Wi-Certの取組 の紹介 ・ 総務省 支援メ ニュー の紹介
プ ロモ ーシ ョン 部会 2017 年11 月21日 ○ 主たる 参加者 :部会 長、指 定事業 者、県 内ICT企 業、県 内旅行 メデ ィ ア、
○ 議題:
・ 県、指 定事業 者の取 組の共 有
・ ランデ ィング ページ デザイ ンにつ いての 討議 ・ 認証連 携アプ リの普 及促進 につい ての協 議 ・ ペイメ ント環 境との 相互普 及促進 につい ての協 議
幹 事会 ( 第2 回 ) 2018 年 2月15 日 ○ 主たる 参加者 :協議 会幹事 (幹事 会長、 各部会 長、指 定事業 者) ○ 議題: