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学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 氏 名 垣内 仁

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Academic year: 2021

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(様式第9号)

学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

氏 名 垣内 仁

審 査 委 員

主 査 小葉田 亨 ◯ 副 査 松本 真悟 ◯ 副 査 山口 武視 ◯ 副 査 中田 昇 ◯ 副 査 白岩 立彦 ◯

題 目

審査結果の要旨(2,000字以内)

栄養成長から生殖成長への転換が明確なイネやコムギなどの禾穀類では,子実生長は優先的で,子 実成長量は登熟期の同化産物供給量と子実の受け入れ容量によってよく説明される.しかし,生殖成 長と栄養成長が重なって起こるダイズでは登熟期の同化産物供給量と子実成長量との定量的関係は明 らかにされていない.そこで,本研究はダイズにおいて登熟期の物質生産量と子実生産量との間にど のような関係があり,その関係は子実生産を推定するためのパラメ-タ-として有効であるのかどうか を明らかにしようとした.

有限伸育型ダイズを用いて登熟期における全生産量と子実生産量との関係を作期,光条件,窒素施 肥量を変えた条件の下で求めたところ,いずれの場合にも,全生産量と子実生産量との間には原点を 通る傾き約 0.5 の密接な直線関係があった.また,有限伸育型に無限伸育型,中間型ダイズを加えて,

登熟期の光条件を変えた時の登熟期における全生産量と子実生産量との関係を求めたところ,両者に はやはり原点を通る傾き約 0.5 の密接な直線関係があった.したがって,ダイズにおいてはさまざま な栽培条件や伸育型において,登熟期の物質生産の約半分が子実に分配され,残りは茎葉の成長に使 われることが明らかになった.このような,登熟期における全生産量と子実生産量との安定した関係 は,根粒着生する一般のダイズでは窒素吸収量が栽培条件によってもほとんど変化しないことに基づ くと考えられた.すなわち,根粒着生系ダイズでは窒素施肥を増やしてもほとんど窒素吸収が増加し なかったこと,一方,根粒非着生ダイズでは窒素施肥量の増加に応じて窒素吸収が増加し,それに伴 い登熟期における全生産量に対する子実生産量の大きさや収穫指数(子実重/最終全重)が増加したか らである.根粒着生ダイズでは,窒素施肥を増やすと根粒による窒素固定量が減少し,逆に施肥を減 らすと固定量が増加し,結果的に窒素吸収量はあまり変化しないと考えられた.登熟期の生産量と子 実重の密接な関係は,登熟期の生産量が分枝節数を介して莢数を変化させたためであった.一粒重や 一莢粒数は登熟期の生産量によってあまり変化しなかった.また,従来から子実生産量の予測パラメ

-タ-として用いられている収穫指数も,登熟期の生産量が大きい場合には登熟期の生産量と子実重 との密接な関係を反映してほぼ一定の値を示したものの,登熟期の生産量が小さい場合には栄養性長 期成長量が全生産量に強く介入して低下した.

ダイズ子実は脂質やタンパク質のような合成に高いエネルギ-必要とする成分を含む.また,乾物 解析からは,呼吸消耗や真の同化産物分配,異なる炭素含有率の器官間での同化産物移行を正しく評 価できない.そこで,開花期以前と以後に炭素安定同位元素を取りこませて,炭素の子実への分配と

(2)

呼吸による消費について検討した.その結果,開花期以前の同化炭素は開花後一部が子実へ再転流さ れるものの呼吸消耗が大きいこと,開花期以降の同化炭素は子実への分配が多いものの,呼吸消耗が さらに大きかった.ダイズにおける登熟期の全生産量に対する子実生産量が,他のデンプン子実であ るイネなどに対して低いのは,栄養器官等との競合と共に,呼吸消耗が大きいことが大きな原因のひ とつと見なされた.

以上から,ダイズにおいて,登熟期生産量と子実重との間には,さまざまな栽培条件や伸育型が異 なっても安定した関係があった.そのため,この関係は,バイオマス生産から子実重を推定するため のパラメ-タ-として,従来用いられてきた収穫指数よりさらに有効性が高いこが示唆される.今後,

本関係の応用と評価が待たれる.本研究は,現在比較的低収であるダイズの収量安定化と増収のため の研究に新たな解析手法を与えるものであるとみなされる.よって学位論文として十分価値を有する ものと判断した.

参照

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