生徒の内面を昇華する美術の教材と指導に関する研究
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(2) <目次> はじ めに. 1. 第1章 描画完成法と生徒の内面投影 第1節 描画完成法に見られる内面投影 描画完成法の概観. 2. 描 画完 成 法 の実施 方 法. 3. 描画完成法の分析. 4. 描画指標の整理. 4 Q り 厂a l l. 第2. 1. 24. 描画完成法の実施と中学校の反応. 節 1. 描画完成法の実施の記録. 31. (1) 実施の目的と対象 (2) 実施の過程で見られる中学生の描画行動 2. 描 画完 成 法 によ る実 例 と考 察. 33. 第2章 描画完成法に基づく教材化 第1節 教材化を図るための留意点 1. 描画完成法に見られるいろいろな刺激図形と. 37. 連続図について 2 第2. 節. 教材化を図るための留意点. 38. 教材化の視点. 2. 中学校美術科の内容との関連. 0 4. 中学校美術科の目標との関連. 0 ‘ 4 . 1. 第3章 生徒の内面投影を促す教材の作成と指導の展開. 2. 教材の作成事例. 3.. 指導の展開と検証. 4.. 教材の開発と検証授業について の考察. おわりに *参考文献. O qa r 叭り 7. 教材 の作 成 の手 順. 7 厂a 4 ‘ 4. 1. 76.
(3) はじ めに 今日、学校の[危機]が叫ぱれ、非行 の低年齢化、落ちこぼれ、怠学など世 間は著しく、学校教育の在り方を問題とし、その責任を追及している。一方、 脱学校論議も盛んで「学校は死 んだ」とする向きもある。 教育を取り巻く「環境」も著しく変化し、学校に失望し た生徒=不登校が増 えつつあるなかで私が着目し たことはひとりひとりの生徒=人間がより良く成 長するためにそ れぞ れの個性(特性)を見つけ出し活用する方法を探ることで ある。 すべて の教育が事実から始まり、そこからしか出発して はいけないように、 ひとつの教科の中だけで は解釈できない。子供を人間の全体としてみる原点か ら、これまでの反省として、教育全体の専門としての細分化・分節化が進み、 周りのことが分からなくなってきている。 20世紀最大の偏差値 の教育も学問形態すべてがそうで、人間形成につなが らない。そういうことすべてが教育 の心の内面性を置き去りにしているためで はないだろうか。 美術科でも先生が課題を出して授業を進めるだけで は同じことが言える。ひ とりひとりの心を写し 出すことによりそれは解決できる。今のままで は製品化 として の作品の見方や様式化・技術化に重点が置かれ、新しい教育の方向性も 怪し くなってきている。評価の点でもう まい、好き、集中度、完成度など外形 的なのが現代の状態で、もっとひとりひとりが持っている内面性・個性・特性 そ の中には方向性や地域性、文化的な背景、家族の思考や遺伝的な要素に至る まで、表現する ことにより引き出そうとする ことである。表現さ れたものを見 て、基本になる能力や特性を見抜くことによって、子供を生き生きと活動させ る教育が成り立つ。そ の教育は原点が何かを見極めないと始まらない。 教育活動は先生が与える(教授する)もので はない。 子供がど んなものであるかを見ず、テクニックだけの指導では、感性との関わ りの変化が著しい、特に15∼16才の人間としての完成するまでの子供の表 現に悪影響を与えてしまう。 人間の機能としてのつながりを持っている絵画全体の世界であればこそ、絵 画的表現から読み取れることを無駄にしてはいけない。 − 1−.
(4) そ れらには①社会科学的(家族思考、心理的要因)な側面、②人間科学的な側 面(遺伝的、文化的・伝統的)③身体的状況変化などがあげ られる。 ただ、これらを探る方法には測定値がないか、もしく はで にくい一面もあり 測定値を法則化しにくい。ましてや、傾向があるものも意味を持たないという 性質を持っていて表現のもとの意味、つ まり対称となる人間が持つコミニケー ションの一種であり、言葉を交わす人間だけが持っている方法でもある。 ○中学校の現場. 内面投影の必要性 について. わたし たちはまずひとりの生徒を知ることから始める。そ のひとつは「他 の生徒とくらべ、その生徒の特徴がどこにあるかということ」もうひとつは 「その生徒自身がどのような特徴に優れ、どのような特性に劣るかを知るこ と」で、たとえば絵画やグラフィックのような平面的なことは得意で あるが 彫刻や工芸など立体的な学習は苦手であるとか、発想は豊かであるが、デッ サンや着彩など技術的なことは苦手であるといったようなことである。この 二つの視点からひとりひとり の生徒を見際めることが求められる。 そして、ひとりひとりにあった方法で指導することが大切な要素となる。 現実的には放置できないところにまで来ている。さらにそ れが教師の目の届 かない性格をもっていて指導上の大きな 悩みとなり わたしたちを苦し める。 その生徒がいかに不安定な心理状態に置かれているか見抜くことが教師の 力量といっても過言ではない。し かし 、ひとり の生徒と会話する時間の短さ と自由は必要以上に少ない。そんな中で 生徒から送られてくる信号を見落と さずに、見付けだす具体的な方法を提案しなけ ればならないと考えるのであ る。 ○ 中学 校で の 教材 の開 発. 心理 学 的 に見た アプ ロ ーチ. 学校の教育は画一的になりすぎひとりひとりが充分生かされて、伸ばされ ていない。 つまり、社会において は知識・情報を単に獲得するので はなく、自分の頭で 物を考えて 生きたい。とくにわたしは「豊かな感性」を育てるということは 情緒教育の面だけでなく、これからの社会生活において、もっとも重要視さ れてくると考えている。現代の学校は将来の社会生活に適応し創造し ていく 力を失っているといえる。 − 2−.
(5) また「豊かな感性」 の欠如が多数の問題行動を持つ生徒をつくりあげてい るのかもし れない。『生徒そ れぞ れの多様性を深く理解すること=自己の創 造性を発揮させること 』だといえる。この基本仮設を基に「生活指導」と「 美術指導」を統合した「教材の開発」を提案するものとした。 そして、私なりに絵による実践的な 構想をまとめたいと考えている。 こどもの絵を上手だとか、下手だとか、いわゆる大人(教師)の主観的な判 断や感じ方だけで見てそこだけで精神構造を把握し ようとするな らば、子供 にとって極めて迷惑な ことといわなければな らない。 これまで の子供の絵というものは「未発達な大人の絵」という立場で考え られていたが、子供の心情と大人の心情とに異質的なものがあり、こども自 身の眼や心で見て描いているものが何も考慮さ れていなかった。 そこでこども自身を出発点として、そ れぞ れの年齢に応じ た心の動きを探 り、そ の表れ方を絵との関連において研究していくことを出発点とする。 しかし、これだけで満足すると形式的な理解に止まる恐れがある。子供ひ とりひとりがもっている独自の生活体験から見ていかないとそ の子供を理解 し たことにならない。ほんとうに子供の絵を理解するにはそれぞ れの子供の 法則をつかむことが必要になってくる。絵の表面的な解釈にとどまっていた ので は、子供が絵の中で訴えているものを聞いてやることができない。そ こ でわたし は、絵に表現されている『なま 』の姿をできるだけ客観的に見る方 法を求めている。. − 3−.
(6) 第1章 描画完成法と生徒の内面投影 第1節 描画完成法にみられる内面投影 1.描画完成法の概観 従来、描画法により個人を理解しようとする研究の歴史は古く1928年 ザンダー(Sander, F)が空想テスト 姐により、人間の生活環境がどのよ うに影響されるかを研究し たことに始まる。 この後ワルテッグ(Wartegg, E) がサインからの発想により今のような 形式をつくり、1939年に論文『形態と性格 』。2として発表、さ らに1952 年にマリアン・ケイント(Kinght, M,C) が「描画完成法 − パーソ ナリ ティ研究のための投影技術」。3 と いう著書にまとめ発表した。 そ の研究概要から抜粋すると、本法の目的は、情操、想像、知性、活 動性という4つの基本的な人間の構造と機能探求で、それらは時間とと もに変化し 、多く の場合個々の活動を決定する要素となり、ひとつの要 素だけが優位にあると、アンバランスが生じ る。そして社会的機能との 間に問題が起きる。このような法則にし たがって整理された、扇田博元 先 生考案のものである。 私が描画完成法に注目し たのは、病理学の問題を検討することを目的 としていないことで、数ある描画法(精神障害者などに実施し病理学的 な検討を加え、問題傾向児のパーソナリティ の診断法として有効かどう かという)と異とするところである。 さらに、もう一つの特徴は、分析結果 は絶えず変動する(成長する) 過程であり、指導とともに変化していく性質を持っていることも、教育 的に考えて実際に活用できると考えたからである。 用紙 の形態は、7.5cm の正方形8つにそ れぞ れ意味のないサインが描 かれてあり、そ の示さ れたサインをみて個々に独自の意味付けをし、描 画を完成させる。そ の過程に無意識的な特質が働く。 8つの刺激図形を基にそ れぞ れ違った絵が完成するため一枚の描画か ら分析診断するより、豊かで、確かな結果となる。なお、黒い枠付けは 描き手の集中に役立つ。 つ まりサインを示すことにより、本人の要求や葛藤、興味などにより - 4-.
(7) 独自のイメージが構成され、いろいろな表現を展開する。そ の中に人間 の潜在性を見つけ出そうと言うもので個々を理解する手だて としてまた 同時に創造的な学習の展開にもなる。 この基本的な仮定から大きく次の5つの特徴に分けられる。 ① ひとつ の正解を持たないで、それぞれが答えをつくる。 ② 完成までのプロセ スに於いて、自分の持っている知識を利用して サインとの関係をつくりあげ たり、欠けている部分を補ったりす る。 ③ 日常における経験と創造性・芸術的経験との間に失われた関係を 回復させる。 ④ そういう表現をすることは美術教育での生徒の発想法と似ている ⑤ 生徒がのびのぴと興 味をもって制作していくことは、生徒自身も 内的な状態や能力を発揮しながら精神的な浄化作用をも期待でき る。 というふうな投影法として の描画研究は、描画内容と人格的な内面性の 両面に焦点をあてて研究さ れてき た。 そこで今回発表しようとするのはこうした方向での「描画完成法」であ る。 ・描画完成法によって 理解できる要点 描画から投影さ れる人格のすべてが素質的なものの方向性を表現する とは言いきれないが知覚感覚を発見することができる。このパターンは 知能テストや学業成績では分からないものであると同時に日常の学習生 活や将来の生活にも深い関わりを持っている。 つまり、1枚の描いた絵から人間としての価値をいかに導きだすか、 教育活動に生かす ためにそしてひとりの人間を発達させる方法として取 り入れるものである。 人間は他の動物と異なり、自分自身の存在を絶えずなんらかの形に表 現しながら生きる。そうし た表現のなかで、人間が生きるための本能的 な 意味もあるが、スポーツやダンスというような行動表現もある。 しかし人間のみに限られた表現といえる のは言語で これは人間だけが − 5−.
(8) 持っていて他の動物には今 のところ見 られない。 次に考えられる表現が描画・想像力である。 行動が身体を主とした表現で あるとするな らば、言語は観念を主とす る。 たとえば乳児がしゃ べる前になぐ りがきを行なうがこれは手を動かす ことにより、自分の世界の何かを表わそうとしているはずで、意味をま ったく持たない言葉を発し はじ め、成長とともにそ のまま言語として の コミニケーションとしての働きをするようになる。 そ れは、描画が言語よりも人間の内存する情緒や葛藤を表現する可能 性を持つことであり、音楽において はさ らに直接的であるが記録にとど めにくい。そうした点でも描画の方が描いた人の感情状態をとどめやす い。 また描画は写実を行な わないかぎり、知的・情緒的な発達にし たがっ て作品に共通するパターンが存在する。そこで表現された作品の内容や パターンを理解することによって逆に描いた人の知的・情緒的状態を読 み取ることができることになる。 さらに描画表現の特徴は、描く人の心理状態をそ の時点で投影するこ とである。悲し みや怒りだけでなく、表面に現われていない情緒の状態 まであらわれる傾向もある。 ただし、大人と子供とで は異なり、子供の 場合、ひとつ の描画 の中には年齢に応じて、そ れぞ れの特徴を示すまた 意識性と無意識性においても、人間の心の深層にかくされた事実をひそ かに教えてく れる。無意識は主として抑制された過去 の経験と結びつい て、画面が有する空間の意味や配置により意識・無意識の関係と過去・ 未来を次のように関係づけることができる。 画面の中心はもっとも安定した場所であり、右(R方向)は能動的精 神エネルギーの方向を表し 、同じ に内在する父親のイメージを表し心理 状態では外向性を示す。 その逆の左(L方向)は受容的精神エネルギーを示し 、過去 に向かう 力と母親のイメージを示し 、心理状態は内向性を示す。垂直の方向で上 向きは現実からの逃避と同時に現実の心理状態を表す。これに対する下 − 6−.
(9) 向きは地下に向 かう方向で ものごとの根源を表し、人間の肉体や まだ未 分化な状態を表す。 し たがって、心理の状態で は無意識の状態をあらわす。以上のように 1枚の画面を上下左右に分けて、そ れぞ れ読み取ることもできる。 し かし、注意しなければいけない のは、人間の脳には、右きき、左き きがありそ れによって異なる傾向があり、そ の影響から空間の意味が変 わる可能性もある。また偶然に位置付けられた場合もあり、描画空間の 位置だけで 人間の心理状態を判断するわけ にはいかない。 しかし 、描画表現が言語表現とは異なっ た意味で人間の心理状態を伝 達してくれる素材であることは確かである。 子供と大人の描画表現の違いは、心身の分化や精神の分化発達が完全 に終わっていない子 供の場合、はっきりとした神経病形であらわれるこ とが少なく、愛情欲求、独立欲求、所属欲求、承認欲求、成熟 欲求など の欲求が満たされないなどの精神葛藤を発見することができる。子供は 自分の欲求がどこかで挫折させられたり、受け入れられなかったりし たとき、直接、行動で異常として表現することもあるが言語を通して表 現するよりも身体的な表出で ある描画 の異常として訴えかける。 そこで私たち は、子供の表現の訴えを素直に観察することにより、そ れを手掛かりとし て、子供の内面世界に入っていくことができる。 そ れで は子供は、欲求がなんらかの形で阻止さ れた場合どのような反 応を示す のだろうか。 まず、攻撃的な反応が起こる。これは第三者( 自分より弱い人)に対 して間接的に攻撃を加えることもある。第二に「防衛的な反応」をとる 現実には気が弱いが強い態度をとることによって自分を仮装しようと し たりする。 この場合、自分にとって都合の悪いことを隠そうとするようなときに あらわれる。第三に攻撃にでられず防衛もできないときには、現実を捨 てて逃避的な反応を起こす。第四に現実 のなかに満足が得られない場合 自分が体験してきた過去の行動様式のなかに満足 を得ようとする。第五 に自分の欲求が得ることができないとわかったとき、別 の目的と交換し − 7−.
(10) て満足を得ようとする。 以上のようにさまざまの行動様式をとって子供たちは満足を得ようと する子供の描画に上記のようなことが投影さ れ、それが診断的な意味を 持つと同時に治療的な意味をも持ってくる。そして、絵を描くことが現 実に自分を投げ かける場となり、自分が持っている不満を無意識のうち にでも訴えかけることができる(浄化作用 catharsis) 私たちは表現 を通して生徒の心の内面を知ることができ、より深く理解し、支持する 方向性を示すことにより、欲求の中での葛藤を取りのぞくことができる 現実に抱えている問題として登校拒否、集団内不適合、摂食障害、家 庭内暴力、性の非行などを発見し たり、やわらげる効果があるように思 う。 子供の場合でも大人の場合でもそ の内心は複雑で、自らの葛藤を言語 化して述べることは難しい。そ こでその葛藤を非言語的に投影されやす い描画表現を利用してみようと思う。 ・描画活用についての注意点. 正しく 描画を読み取るポイント. ① 自分がテ ストさ れているという不安を持たせないこと同時に上手に 描かないといけないという葛藤をいだかせないこと。 ② 先入観にとらわれず、あく まで も科学的に描画を見ること。 ③ 描画の部分の特徴にとらわれないこと。 ④ 一枚の描画で判断せず、経過を見ていく必要がある。 ⑤ ひとつ の見解として、総合的に考える姿勢を忘れないこと。 描画の異常表現を、即、人間の精神構造の異常としてしまわないで、あ くまでも、ひとつ の傾向としてとらえ、どんど ん分化を繰り返して成長し ていき、変化するということを忘 れないこと。観る側と表現する側とが同 じ 人間であることを忘 れてはならない。 絵は子供の心のあらわれと定義し、描いた子 供の性格や欲求、感 情など が投影されるという見方で、現象そ のものよりも、現象を生み出す 要因を 探ることのほうが大切だと考える。 最近は児童画の指導法についても写実画よりも内面性を引き出すような 絵画指導が必要とさ れ始め、心理学の考え方が導入さ れ、精神分析や行動 − 8−.
(11) 心理学、人格心理学などと子供 の意識や行動の背後にある問題性を理解し ようとする考えを発展させることになっ た。 それは、自由画と課題画に分けられる。 自由画では、リード。 4が分類し ている思索型、感情型、感覚型、直覚型などに分かれ、日本でも浅利 篤 等。5 の貴重な研究も発表されているが、表現内容や要因が 複雑なため、分 析を確定することが困難だとさ れている。 私が活用する 「描画完成法」は自由画と課題画との併用し た方法であり どちらもの特質も備えているものである。 ・描画完成法のルーツ 芸術の中で考えるということを大きく分けると、2つある。 1 つはたっ たひとつ の正し い答えに向かって焦点を合わせながら考える収束性思考と もう一つは、 まったく反対の答えがひとつではなく、それぞれの人間がそ れぞ れの答えを考える拡散的思考である。 だが、収束性思考と拡散性思考はまったく別々にあらわれるのではなくて 入り組んだ状態で見 られるため、はっきり分けてしまうことはできない。 ただこの見方は、芸術的な創造は何かという問題のキーポイント として は見逃せない。美術教育にたずさわるものとしてこれは大いに興味のある ことである。 これまでのIQテストでは小学校3年生以上のレベルで美術創造の能力 があるかどうか予言することはできないとさ れてきた。6 そ れは知能との関 係というよりも年齢とともに成長する特徴を持っていて、内容的には、知 覚とディティ ールであり、もう一つは、3年生以後に見られる、構成力・ デザインカ・アイデ アの独創性(個性)などは年齢に応じて、分化してい くと推定される。これは子供の絵から青年期に生じる、変化に通じ るもの であるといえる。 肉体的成長・知覚の成長・応答 の仕方・文化的訓練の4つに分けて、考え ると、そ の表現は肉体的にも一定の段階に達して、初めて可能になる。 小さい文字の読めない子どもに数字を教えてもレディネスが備わってな い場合そ の概念を理解できない。つ まりこれは、見ることすべて、そ の人 の置かれている文化 とそ こでの経験学習、個性、成長 の度合いなどによっ − 9−.
(12) て見方 が違ってくるということになる。例えば、不安、恐れ、失敗と成功 喜びなどが知覚機能を促進させたり、疎外し たりするなどである。 肉体的成長や、知能の成長にも個人差がある。年齢だけの測定はできな い知覚能力の成長とは見たものをどのように、処理するかということで、 情報処理に関する能力は、知能に関係している。IQ の高い子どもは低い 子どもより細かいところまで、また非対称的なものを処理することができ る。 個性、文化、経験などの違いは、人間の環境に対する答えでもある。 融通のきかない態度もそういうところから生まれてくる。そ の特性とし て は見慣れたものに対する応答が、遅く、新しいものに無関心であったり、 ひとつ のことがらから次へ移る のがむずかしいなどとして、現われる。空 間把握の能力は、学習によって方向づ けられる。そ れは、視覚的な手がか りによるものと、肉体で感じ ることに重点を置く場合がある。この両極端 の間にさまざまなタイプ の空間把握を行なう人がある。 子どもは、幼いほど、視覚に頼り、成長するにつれて、次第に、肉体的 な感じ に頼るようになっていく。これは、子どもが、成長につ れて独立し ていく度合いと関係する。 子どもが育つ文化環境、家庭環境は、こども自身がどんなことに注意を 払うかにより、非常に大きな影響力を持っている。 文化における、男女 の役割や 仕事の分担など、バリ島の男女の造形能力 がはなはだしく違うことを指摘している。 これは、子どもに限らず、大人にも当てはまる。 とく に文化環境が大き く影響するということは、わたしたちにひとつ の今後の美術教育及び 教育 現場で考慮されねばならない問題を与えている。 教育が科学技術 の開発に刺激されて、 ますます分化し、専門化していく 傾向にある今、もう一度、私たちは、子どもたちの置かれている環境を注 意深く 再検討するべきで はないだろうか。 そして、今後の美術教育の進むべき道 を、暗示していると思える点で 私 たちの参考となる。 しかし、注意し たいのは、とくにこれらが、いっそう科学的に、なれば −10−.
(13) なるほど美術そ のものが、ばらばらになる。 教室であるいは、家庭で教え られる美術が実体のないものになっていくように思えてならない。 美術 教育そのもの存在の意義が社会的に薄れつつあるなかで、原因とな るひとつは、美術教育そ のものが、科学的に推し 進められず、感覚的に、 教えられてきたことがあげられる。 これは大きくとらえると世界的な ことかもし れない。 義務教育では、ほんの糸口を見つけたに過ぎない。 ・描画完成法の実施法の概要 すで に述べたように描画完成は高度知的要素(むずかしい文字や数字) を必要としないので生徒はのび のび興味をもって制作していくことができ る。 し かも生徒は創造的な表現活動を通して、内的な心の状態や能力を発揮 する。そういう行動は精神の安定という治療の効果も期待できる一面を持 っている。そ のうえ、言語で表現し得ないものまで表 出することができる これらの特徴により描画を完成させるには、主観的な図形や描画が出現 してくる。そ の人が無意識のうちにそれらを完成することになる。サイン はいず れもあいまいで いろいろな創造を働かせるように工夫されており、 生徒の深層を投影し、言語コミニュケーションで 表現し得ないものまで 見いだすことができる。 本法により見いだすことができる人的構造を(表1)のようにまとめて みた。 (表1). 11.
(14) 1 2.
(15) 2.描画完成法の実施方法 【環境設定】 1学級ぐ らいを集団的にただし 隣の人の描いたものをまねし ないように 注意し、絵のうまいへ夕を見るテ ストではないことをあらかじめ伝え、そ の大そ の人のやり方で この”し るじ. をどのように処理するのかを知りた. いと説明しておく。 およそ20∼ 30分で完成するが特別な時間制限はない。 でき た大から外に出すとき は、未完成の大があせりを感じないように配 盧する。 描くときの下敷きなどには、ボール紙のような柔らかいものがよく、筆 圧なども後の判断として役立つ。 鉛筆は2B程度のもので、先をとがらせすぎないものを2∼3本用意する <注意> ・生徒が疲れていない ・部屋は明るく静か(壁などに描く のにヒントになるものを置かない) ・人数は5∼6人が理想、1学級く らいで実施して も良い。 ・できるだけ自由に描かせる。 < アド バイス> ※模様ばかり8個描く生徒がいたら「模様以外 のものをつくってみよう」 という。そ の時はもう1枚新しい用紙を使う ※実施中はど んな表情で取り組んでいるのか観察することが大切(ただし この観察が自由な雰囲気をこわさないように気をつける) 【用具】 ・描く場合の下敷きはボール紙のような柔らかいものが良い(筆圧が紙 の 裏に残り、判断するときの参考になる) ・2B鉛筆(先をとがらせすぎ ない)2∼3本 【指示法】 所定の用紙を配布し、行き渡ったところで 次のように教示する。. 1 3.
(16) この紙に8つ の正方形があります。 \ そ の中にちょっ とし だ △これらの”し るじ. し るじ. が描かれています。. は特別な意味のあるものではありませんが、あなた. に描いてほし いものの一部分を示しています。 この”しるじ. を使って、あなたの好きな絵を描いてください。. 人のまねをし ないでください。 一番好きな”しるじ. から始めて( ) の中には順番を〔 〕の中に. は何を描いたかを文字で記入してください。 消しゴ ムは使ってよろしい。 紙は回してもよろしいが裏返さないでください。. 対象とする生徒の年齢などに応じて、 この教示は適宣にかえてもよいが、 主題は必ず書くこと。幼稚園児のよう に文字 の書けない子供のときは、実 施者が聞いて 書くこと。(3才以下は不可)描画の時間制限はない。. 【用 紙 】. 描 画完 成法 の刺 激図形 用紙 の形 式 ※脚 釟ッ獺 紙(261×368) 醵75 ×75の正尨. 1 4.
(17) j、j,:、 … I,。・j・.j= 呂・ミ 。描画完成法の分析 生徒の描いた8つの描画は次のような判定基準にし たがって整理して描 画 の内容からは、 まず、自然物とそ れ以外のものを事物として大きく分類 し、生命体と非 生命体という観点から細かい見方にはいる。 非生命体で は、植物・風景など加工されているものとは別 の扱いとする。 また、そ れぞれの描画が持っている感情(嬉しさ、悲しさ、楽しさ)な どを受けるものについてはそ れも参考にする。 事物については有用性(役に立つもの)か装飾品(それ以外のもの)と して扱う。 次に描画の特徴から判断していくものについては、全体のまとまりとし て、∼ふうに見えるというスタイルから始 まりスピ ード や動きを表わす力 動的な表現、画面の領域を占める面積、空白極端に小さいとか大きく描い ているもの、また細かく詳しくかかれていたり、外にはみ出すように拡散 されているような特徴を見つけることが大切となる。 ただし、抽象的なデザインはこの中には含めない。 線が強く描か れていたり、弱々し かったり筆圧や詳細さなど感情が表現 されている特徴は見逃せない。細部にわたっては次 のとおりである。 A .描画 の内容についての判断 (1) 自然物の種類からの分類 ① 生命体とは 人間を始めとし 、動物全部(鳥類・哺乳類・魚類・昆虫類・両生類・ 爬虫類)を示す。 (a)人間像:全身像はもちろ んのこと身体の各部分(頭・ 囗・手・足も 含め、他の事物より優位に扱う) (b)動物像:人間以外の動物で、種類は推定できなくても動物らしきも のも含む。動物の部分像の場合は、そ れがどの動物の頭。 胸部、胴であるか推測できる場合もこれに含める。 (c)類人間:人間的様相を備えている動物(鬼・悪魔・幽霊・妖精・童 話・おとぎ話にでる動物)など擬人化したものもここに含 める。 1 5.
(18) (d)そ の他:輪郭がはっきりしており、面積・体積をもっており、生き 生きと表現したものや、動物的特徴を表現したもの。 ② 顔つきとは (a)人間像:男性か女性か、年齢はおよそどれくらいか職業の推定がで きるときには、この特徴に含 め、明確に人柄も表現した場 合には、詳しく表現し たものと考える。 (b) 動物像:動物像の顔つきというのは、その動物がもつ特徴を備えて いることが条件である。たとえば、口、鼻、目、耳などの 特徴が攻撃的、お となしい、活発、用心深いなどの性質を 描画に表現しているとき ここに含める。 ③ 非生命体からの分類 生命体と対比しているもので、生命体でないものをすべてをさすが輪郭 が明確で、ひとつ のまとまりをもっているかどうかによって判断する。 (a) 植 物:木・花・草・かん木・木の葉・くだものなどで加工された 板・木材などはここに加えないで、事物に入れる。 (b) 風 景:海・ 山・川・雲・湖や池・森などの自然現象や自然を表わ している。 (c)事 物:花瓶・机・時計・船・本・など一般に加工したものとか、 建・築物などを含んでいる。 ④ 雰 囲気とは 描画がもつ感 情・気分などを表現し たもので言語で表現し にくいものの ひとつで光景や風景のように人間の情緒を間接的に表現し、うれしさ、 悲しさ、楽しさ、はつらつという感じをわたし たちが受けるとき、そ の 描画は雰囲気をもっていると考えて良い。 特徴はとしては、いくつかの組合せであり、 空間性やまとまりがあり、 感情や気分を描画からくみとれるものである。 (2) 事 物とは ① 有用性にはいるもの 役に立つものを表現してお り、非生命体 のな かで事物と判断されるもの の中で、実用的かどうかによって判断さ れる。 小さなものでは箸・鉛筆 -16-.
(19) ・建物など役に立つという意味で有用性のあるものと考えられる。 ② 装飾品として扱うもの 事物のなかで有用性 に含まれないものはすべて装飾品である。 B .描画の特徴からの判断 (1) スタイルとは 様式や種類、型というような 意味で∼風(ふう)というように見る。 スタイル’ と雰囲気が混ざ り合っているときもあるが、そういう場合は両方 に含めて良い。装飾品が、外見上、機能上から装飾的であるのに対して、 スタイルは、有用性と形式的な 要素をもっている。それを文化的特徴・産 業的特徴という。 (2) 運 動 とは 運動には、次 の4つがあり、そ れぞ れ内容的に意義が異なっているので 区別して扱う。 ① 無目的運動 にはいるもの メヂャクチャに描いた 「なぐ り描き」という低次元のものから「まる」 や 「炎」のような輪郭をもつもの、特殊な点に線が集中し たり、象徴的 な抽象などにも示さ れる運動への志向を暗示する ものなどである。 ② 宇宙的運動として扱うもの 自然現象として、動いていく雲、電光、波立つ海、雨、太陽光線、燃え ている火や煙、火山の爆発、風に吹き付けられて揺れている木、咲いて いる花、風にはためく旗や衣服などが宇宙的運動 に含 まれる ③ 機械的運動として扱うもの 道具・器具などを取り扱っている過程を示したり、実弾や矢の通る道を 描いたり、プ ロペラやスピード のあることを示す特徴のある線を描いた りすることが、この機械的運動で ある。 ④ 人間・動物運動 と活動として扱うもの 人間の動作や運動、たとえば歩く、走る、話すことなどであったり、労 働や、体育、乾杯などのいろいろな行動もこの領域に含まれている。 集団活動 の表現 にあっては、姿勢が運動を示唆していることがあるの で注意しなけ ればならない。 1 7−.
(20) (3)・ 領 域とは ① 全領域として扱うもの 描画が正方形の面積の3/4以 上をし めている場合 はこれに含める。 風景などを描いている場合などには、空や海が全面を占めているが、 こ れも全領域に含 める。 大きく次の2種類に分けられる。 (a)豊 富 な 画 面:正方形の面積の3/4以上を占めていて十分に描かれ ているもの (b) 詰め込んだ描画:正方形の枠の中に、ぎっしりと詰め込 んだように 描いて あるもので、たとえば全面をテレビの画面 にして 配線などをいっぱいに描いているものなど をいう。 ② 空虚( 空白) として扱うもの 全領域とは反対 に貧弱な描画や、内部構造の細部が描かれていないもの や、線をわずかし か描いていないなど、空白が画面の1/2以上を占めて いるときに使う。輪郭だけで外側を描いた描画もこれに含めている。 ③ 拡張傾向として扱うもの 四角の枠を越えて広がる風景や 景色などの一部分しか枠の中に描ききれ ず、外にはみ出し ている傾向を示すものが拡張で事物の一部分だけがか かれている場合 は含 めない。 ④ 緊 縮として扱うもの 非常に小さい描画をいい、そ れらを全部緊縮だとはいえないが、極端に 小さい場合は緊縮と考えて良い。これ以外に、小さな枠の中にぎっしり と部品が描かれている場合もこれに含める。 (4) 組織化とは 構成の構造的な面と、均衡 の正確さなどを示すもので 事物の構造描写方法 といえる。表れるものに2種類ある。そのひとつは、二次元( 平面) 的表 現にあらわれる描画であり、主 として抽象画である。描画をつくりあげて いる線とか、面 の配置が組織的である場合が考えられ、装飾的、具体的表 現が考えられる。 一 卜8 −.
(21) \もう一つは、三次元(立体)的表現に見 られるもので、遠近法であ らわし た描画、影づけなどの技法を使った描画などである。 (5) シ・ 詳 細とは 人間、動物、生物、事物などを詳しく描くことを示すが、抽象的デザイン は詳細に入れず、組織化に入れている。 この表現の特徴として は、描画の妨げ になっていたり、こじつけや奇怪な 要素をもつことがあるから注意が必要である。 C.線の扱い方の分類 (1) 線について 線の形は分析のための大きな指標と考えられ、直線、曲線、強弱の線の量 的処理である。一本の直線より複数の直線が必 要であり、量的に多いとき は評点が2点となる。 ① 曲 線の場合 しなやかに曲がる線を描くには、筋肉緊張は必要ではないが、筋肉統制 が必要となる。刺激図形3・4・ 5・ 6に用いた曲線は、高く評価して 良い。 ② 直 線の場合 まっすぐ な線を描く には、注意と知覚の鋭敏さが必要である。同じ一本 の線を全長にわたっ たり、絵取って描いたような線は直線に入れない。 ③ 強い線の場合 そ の黒さ、紙 の裏に線が写ることによって特徴づけられる。著しく強い 線は補強にのみつくりだされるものであるが、強い線とは同一のもので はないから、解釈の際には注意し なければな らない。 ④ 弱い線の場合 柔らかい線、弱い線、薄くてかすかに見える線、しなやかな線デリヶ一 卜な線などで、要するに圧力が小さく画面をなでるように描いた線であ る。 D .描画の空想化と抽象化 について (1) 空 想とは 空想と幻想、および象徴があり、いず れも現実から離れているものであ -19.
(22) 惑・ が4こそ の程度によって区別する。また空想により文化的価値や観念を 二 導入したものが象徴である :埀想は情緒面で 生き生きと嬉しそうである積極的情緒を示すのに対して ゛ 幻想はマイナスの情緒を示し、抑 制的で、おびえたり、奇怪さを感じ る といえる。 ① 空 想として取り扱うもの おとぎ 話や伝説、神話・小説などに登場する人物などである。例えばサ ンタ クロース、不思議の国のアリ ス、赤ずき んちゃん、海の神・山の神 かちかち山の山うさぎかぐ や姫、など自由に時 間と空間を越えたもので あり、現実から多少離れたもので ある。 ② 幻 想として取り扱うもの 現実から極度に離れた現実の形を歪めたり、無視するだけでなく空想に 示さ れる文化的影響がない否定的情緒をもつものである。テレビ にでて くる怪獣などは幻想に含めない。もっと奇怪で、気 味の悪い、ぞっとす るような性質をもっった描画である。怪物、龍、悪魔、幽霊、半獣神、 破壊の光景、大惨事などが幻想である。 ③ 象徴主義 として取り扱うもの もっ とも一般的な のは平和、戦争、勝利 のV サイン、国、 政治などで、 二つの点に注意しなけ ればいけない。ひとつは価値や観念や理想を表わ していることで、もう一つは、そ れらを具体的にどういう手段で表わし ているかということである。 ほかに象徴主義にいれるものには、カギ、はかり、心臓、死刑台、旗、 紋章などがある。 (2) 抽象化とは なぐ り描き=抽象=絵画 という順に描画的には考えられる。抽象に限って いうとなぐ り描きに近いものから描画 になるまで輻が広い。し かも抽象に 近いものほど水準が高い。 ① 対称的抽象化として扱うもの 音波の広がり、うずまきなど規則正し い形をしており、対称的で、幾何 学的な図形をしているもの。 2 0−.
(23) 匂卜 非対称的抽象化 として扱うもの 癲で 自由に描いたもので、左右対称でなく点対称でも線対称でもない。 多少、造形的に面と線の配列がある。 ③宍技術的抽象化として取り扱うもの 文字・アルファベット、音符、数式、科学公式、青写真、地図、立方体 などで、あらゆる知的象徴、幾何学図形、技 巧的工夫などを指している が単調で図示的な 場合は吟味が必要である E.描画の性質について (1) 独創性として取り扱うもの 出現率が低く、ふつう1割以 内程度で見られる。独創的と見るには、次の 二つの条件がみたされなければならない。それは、総合的に見て、すばら しい刺激と描画関係を示すことと、もう一つは、描画が象徴的であること または技術的に抽象化したもの、感情表現 の豊かなもの(意味や感情を別 の形でうまく表現し たもの)また、立体的で、構想の豊かなものなどで あ る。 (2) 注意深さとして取り扱うもの 精神運動を整え、注意力を持続させた結果お こるのであり、線の質や輪郭 は完全で あるか、左右対称部分は正確にできているか、規則正しく描けて いるか、影づ けはどうか、など多くの特性を含み、明らかに努力して丹念 に描いているかどうかによって判 断する。 (3) 無頓着として取り扱うもの これは、自由にのび のびと臨機応変に描きあげたものであり、形式ばらず 生き生きと軽快なタッチで描いたもので、偶然的に処理しているので、注 意深さと反対 の概念をもっているともいえる。リラックスした状態で 描き あげていることを示し 、自発性を示す状態であり、刺激図形を偶然的に構 成し 、処理している のが無頓着である。 (4) 影づけとは ① 明るい影づけとして取り扱うもの 薄く柔らかい影をつけたもので、ぼんやりとしたスケッチの描画に見ら れるもので、鉛筆を軽く動かし て薄く影づ けをしているので幼児や低学 -2. 1-.
(24) 癲 の描画には見られない・ 必 暗い影づけとして取り扱うもの ノ黒くぬった影、強く押しつけて描いた影、濃い影、などといわれるもの )で、 こ描いたものの周りを黒く ぬったりぼかし ているのもこれにはいる。 全体を黒くぬったり汽車を描いて黒くぬりつぶしたのも暗い影づけであ … … る。 卜・・ :宍。… …(・6) 方向付けとは : 上の方に向いたり、上 の方向に進んでいるものであって、矢印で示したり 急上昇している煙や、星の方向性など、刺激図形7に多く出現する。 (6) とり 囲むこととは 閉鎖という 意味で、そ の刺激図形をつか まえて逃がさないようにするとか 自由に拡張するのを阻止するようにとり 囲むような傾向である。 刺激図形1や4に多 く出現し、刺激図形 8を円にしたり、刺激図形6を四 角にしたり刺激図形を輪郭の一部とするような描画である (7) 部 分とは 刺激図形2と8を使って、人間の顔や人間の頭を描いたものは部分として 判定しない。その複雑さと重要性、刺激図形のもつ特性から、全体として 判断できるからである。 これらの描画は刺激図形によって左右さ れやすい。 耳、窓、車輪、右眼などは部分を示すものである。拡張する傾向をもつ部 分の表現は、拡張 として取り扱う F .描画の扱い方 について (1) なぐ り描きとは 掻画、錯画、などと呼ば れ、満2歳ぐ らいの幼児が描くような描画である 偶然的な混乱し た、でたらめの描き方で、刺激図形は無視し 、主題にも無 関心であり、なぐ り描きがあるというのは情緒面で の相当の錯乱、精神的 荒廃のある場合でないと描かない。 出現率は低く、ゼロに近い。 ① 運動的なぐ り描きとして取り扱うもの 乱暴に、ムチャクチ ヤに描いた、文字どおりの錯画であるものを示して いる。発達の面からもっとも低次の描画であり、普通には出現しない。 − 2 2−.
(25) < ②回 こ 十。 =神・秘的なぐ り描きとして取り扱うもの ゾ: 遽膈的なぐ り描き のような乱暴さ はないし 、描画発達の面から考えても 速動的なぐ り描きより高次のものであり、や わらかく、すらすらと苦心 /もせず気軽に描いたなぐ り描きであり、とき には上品なできばえを示す ゾ とともある。乱暴さが見られず、審美的であるのが特徴であるが、なぐ り描き には違いないので、刺激図形も主題も無視した描き方である。 ③… …1 … ご:・=・ 象徴的なぐ : り描きとして取り扱うもの 審美的なぐ り描きより、高次ななぐ り描きで あり、客観的で 意義づ けが なされているようななぐ り描きであり、きわめてまれにしか出現しない 刺激図形は無視し、他人に対する敏感さ も課題に対する期待にも無関係 といった完全に自己だけの世界に生きている人の反応である。 (2) 複製描きとは まったく同じ 形を対称的に配置しているのが、この複製描きであり同種の 要素を繰り返して配列しているものは、反復として区別して判定される。 表現を変えていうな らば、同じ 図形を二つ描いているものが複製描きで、 一対 になるように描いているものである。同じ 内容が八つの正方形中、二 つ以 上描くこともある。 (3) 反 復とは 刺激図形をいくつも繰り返して描いたり、線や図形をいくつも同じ ように 配列したりするものがこれである。 複製描きとの違いは反復の数によると考えられる。二つのものは複製描き 3つ以上同じ形や線がかかれていると反復と考えられる。 もうひとつは、頻発するものがある。例えば刺激図形八つを全部、点と線 で抽象化したような同一系統の似かよった表現がある。これを頻発と読ん でおり、望 ましい表現でなく、柔軟性にかけるステレオタイプ の大に時と して出現する。 (4) 図形(式)化とは 自然物や事物、人間を形や線などで特殊な表現をし たものである。例えば 人間像を頭が円で、手足、胴など全部線描きしたもの、太い棒線で人間を 表わし たもの、顔を四角にし、胴体も、手や足も全部長方形で描いたロボ 2 3.
(26) … … … 宍=・j.:j=・jj 一 万ジj,・II.。 。2,: 卜 の よ。・ う な 形 な ど も 図 式 化 と い え る 。 他 に は 、 幾 何 学 処 理 を し た も の や 万。・y 逼 度 の ス ケ ッ チ 風 の も の も 図 式 化 と い え る 。. ㈲]. ゾjミj=jj そ の 他. … …=レ(C) …… =j= 束り激 無 視 と し て 扱 う も の … 万: ノ、= ゾ… …= 描 画 を 完 成 し て い る が 、 刺 激 図 形 と 関 係 が な い も の 。 / ②。. 回. 斜 め の 方 向 と し て 扱 う も の. 刺 激 図 形 2 を 眉 毛 に し て 描 く と す れ ば 、 描 画 は 斜 め に な る 。 こ の よ う に. … …:、1 づ 万 . 斜 め に 描 い て い る も の を い う 。. ③ . 上 下 の 逆 さ ま と し て 扱 う も の. 紙 を ま わ し て 描 く も の で 、 上 と 下 が 逆 に な っ て い る 描 画 で あ る 。 ま れ に. し か 出 現 し な い 。 ④ . 拒 . 絶 と し て 扱 う も の. 描 く こ と を 拒 否 し た り 、 描 い て い な い も の を い う 。 刺 激 図 形 5 ・ 6 な ど が 描 れ な い 事 が 多 い ⑤ . 破 . 線 と し て 扱 う も の. 描 画 を 破 線 で 描 く も の で 、 刺 激 図 形 7 に よ く 出 現 す る 。 他 に は 、 人 物 や 動 物 が 全 然 で て こ な い 描 画 、 機 械 ば か り 描 く も の 、 漫 画 の よ う に 8 つ が 連 続 も の で あ る 、 8 つ と も 抽 象 的 図 形 の 描 画 、 赤 鉛 筆 で と こ ろ と こ ろ 描 か れ て い る 描 画 、 人 間 と 事 物 が 同 等 の 程 度 描 か れ て い る な ど が あ る 。 観 察 し て 気 づ い た 態 度 、 動 作 な ど 、 描 画 そ の も の が も っ て い る 、 い ず れ も そ の 描 画 の 特 徴 と 考 え ら れ る も の を そ の 他 の 欄 に 記 入 し て お く 。. 4。描画指 標の整理 (1) 評 点 描画が 前節で述べたような特徴を備えている場合、1点か2点を与える。 ただし次の指標は1点だけで、2点は与えない。そ れはいず れも評点を与 える場合、基準が設定できにくいからである。 空想(想像、幻想、象徴主義)、抽象化(対称的、非対称的、技術的) 方向づけ、取り囲むこと、部分、なぐ り描き、 複製がき、反復、図式化。 1点は、判定基準にある特徴をもっていると思 われるものや、その傾向が 2 4.
(27) ノあザ るご と推定 でき る も の に与え る。 2jljy.:= 点 は、 判定 基準 に ある 特徴 がよ く あ らわ れて いる も の明 らか に見 ら れる もレのに与え る 。 j ゾ 点 と2点 との差 は 、形 態水 準 の差 とい って 良 い。 すな わ ち、線 の質 と か 内容 と描 画制 作 の調 和 といっ た も のの差 で ある 。そし て 、 判定 困難な 場合 ぱ点 数を与 え ない か ある い は、カ ッ コづ き の点 数 にす る。 例えば (1) と い う ふう に記 入し 、集 計に入 れる。 (2) 得点 換算 方 法 指 標 の判定 がで き た ら、 次 の分 析 整理表 (表2 ― P. 30. 参照 )を用 い る. 8つ の描 画そ れぞ れにつ いて 、 各描 画特 徴 を記 入す る。 そ うして 横 にそ れ ぞ れ 合 計し て 、右 半 分 の特別 の枠 内 に転 記 する 。 例えば 生 命体が 1、 2 、 7、 8、 に 出現し た とす る と、 合 計は4 で、 開放 的で 、力 動的 の下 にあ る 枠 のな か にそ れぞ れ、4 を記 入 する 。 こ のよ う に 指標 を をぜん ぶ記入し 、 たて にそ れぞ れ に合 計す る。 合 計し た数 を 評価 基準 表 (表3 ― P. 30. 参. 照) に 照らし てそ の数 によっ て 十十、 十、M 、 − 、 一 一、 を評価 欄 に記 入 す る。 次 に、 情緒 の開放 と 閉鎖 の実 数 の和 を求 め る。 創造 性 、知 性、 活動 性 もそ れぞ れ2つ の和を 求 めて 、4つ の面 が どう い う ふう に出現し て い るか を見 る 。 これ には、 4 領 域評 価表 (表4 − 1、4 −2、 4 − 3、P.. 30). を参 照し て、 そ の 領域 の 中で 、 ど れが多 く 出 現. し 、 ど の領 域が 少な いか によ っ て 情緒型 、 創造 型 、知 性型 、活動 型 の発 達 程 度 を知 る ことが でき る 。 四 領域 もや はり 、 十十、 十、M 、 −、 一 一の 5段 階に分 けてお く と解 釈 の際 の 参考 になる 。 D. C.. M.. 分 析 表(Draw. ing-Comp1e t i on-Me thod) の最 下段 に示 す評. 価 十十、 十、 −、 一 一によっ て示 さ れる 内 的関 係 は、そ の人 のもって い る 人 格特 性 を示 す もの と考 え られ る。 そ の 大そ の大 によ って 、出現 数 はかな り の 幅を もっ てお り 、そ の 出現 数 の差が 、そ の人 の特 性 を示 す も ので あ る 開放、 閉 鎖、 結合 、 想像 、実 際 、思 索、 力動 、 抑 制 の8つ の内 的関 係が 、 そ の個 人 を理 解す る 基礎で あ る 。 評価 基準 表 によ って 、 段 階 の出現 数 を見て 、 十 十、 十、M 、 −、 一一の. 2 5.
(28) 評価を記入するのである。 十十とニ ーはそ れぞ れの傾向が著しいことを示 すものである。 十、 −、の評価 は、そ の傾向が認められる指標である。 M 段階は出現数が平均を示すものであり、標準的タイプ であることをあら わしている。 8つの傾向がいずれもMであることは、すべての性格特性が、平均的な 状態を示す 大で、すべてについて調和的適応的なタイプであるが、積極的 にこれといって特徴がなく、あまり問題がないことを示している。また、 情緒的にも安定しており、社会的適応の面から考えて みても、問題のない ことを表わしている。し かし、細部にみると、種々の特徴を示し、注意し なけ ればいけないことは、M といって も十に近いM か、−にちかいMかを みる必要がある。 こうし た評価は、個人にもグループ にも適応できる。 集団に実施し た場合、それぞ れの内的関係の平均値とそ の段階をみれば、 4つの分野(情緒性、創造性、知性、活動性) のどれがよく発達しており どれが遅れているかが把握できる。その個人なり集団なりの特徴をつかめ ると、ど のように指導していくか指導方針を決定していくことも可能であ る。 もう一つの観点は、各項目のそれぞ れの出現数をとらえていく方法であ る。 たとえば、 生命体は、年齢を問わず平均2∼ 3ぐ らい出現する。実際 には8つの刺激図形中7つが人物 像で あるという場合もある。そういう場 合には生命体が極端に多く 出現する のはどういう場合であるかを考察を加 えることが必要となってくる。 こうし た特性の意味は、そ の個人なり、集団なりを理解する際に大切な 要素になる。 概観分析が、分析表 の最下段の十十、 十、M 、−、 一一などの評価から内 的関係を把握するのに対して、質的分析というのは、概観分析だけでなく そ れぞ れの、基準の出現数、内容的分析をあ わせて、総合的に判断してい くのが質的分析である。そ の人の8つの描画に人物像があるか、生命体と して動物があるかなどはひとつの目安となる。人間像が一つも描かれず、 動物像が1つか、2つあったり、人間像も動物像も生命体が一つも描かれ − 2 6−.
(29) 瘻 い な い 場 合 は 、 そ の 人 の 未 成 熟 か 、 人 間 関 係 に ト ラブ ル が あ っ た り 、 生 万 こ・。・。・ 万 命 体へ の無 関 心を 示す と いえ る。 描 画 の大 きさ も 1つ の指 標で あり 、空 虚 が 多 く 示 さ れ た り さ ら にそ れ ら が 弱 い 線 ば か り で 描 か れ て い る と き は 、 劣 等 感 の表 明で あっ た り、 バイ タ リテ ィ とか 活 力 の不足 を 表明し た りす る。 非 生 命 体 が 、 8つ の 描 画 の 中 で 6つ 以 上 を 占 め た り 、 取 り 囲 む 反 応 が 多 い の も他 の指 標と あ わせ る考 える と 、そ れが 、 融通 の聞か ない 堅い 性格 によ る も のか、劣 等 感 によ る も のか、 自己 統 制が 強い 結果 による も のかな ど推 測で き る。 また刺 激 図形 1・ 2 ・ 7・ 8に は普 通曲 線 を用 い た描画 が多 く、 刺 激図 形 3 ・ 4 ・ 5 ・ 6 に は 、 直 線 を 用 い た 描 画 が 多 い 。 そ の反 対 に 、 刺 激 図 形 を う ま く 用 い て い る 場 合 はそ の 人 の 能 力 が あ る こ と を 示 し て い る 。 す な わ ち 実 際 的知 性 の高い こ と を示す と 考え ら れる 。 そ の人 の関 心がど こに向 いて い る のか 、対 人 関 係は どう か、逃 避 的か 、良 か、 敏感 か 鈍感 か、 情緒 的 特徴 は 開放 的か 閉 鎖的 か 、創造 性 は、 結合 的か 創造 的 か、 独創 性が 高 いか 低い か 知性 面で は実 際的 知性 が高い か 低い か、 思索 的知 性が 高 い か低 いか 、活 動 性 は力動 的 か、 抑 制的 かな ど につい て、 多 方 面 に つ い て そ の 意 味 す る 特 質 を 探 求 し て い く ので あ る 。 さ ら に、そ れぞ れの刺 激 図形 に対 して 、 ど のよ う に反 応する か とい う質 的 な面 で の考 察 を加 えて い くた め に、 刺 激図形 の特 徴を みてい く。 ( 刺 激 図 形 1 ) 中 心的な 点 を示し 、集 中 的、求 心 的な 性 質 をもっ て いる。 描 画形 態とし て は 、物 の中心 、渦 巻き 、 植 物、 動物 や 人間 の眼や 鼻 など が考 え ら れる。 出現し や すい も の は、時 計、 鼻 、 眼、花 、動 物 の顔 、的 模 様、 波紋 な どが多 い 。 刺 激の 小さ い こと に対 す る親和 力や 敏 感さ が示 さ れ る場合 に は、 詳 細 に描く こ とが多 い。 花な ど を描く 場 合 には、 やさ し い女 性 的性 格 を示 す とい える。 一 般 的 には描 き やす い刺 激 図形 を無 視 し た り、描 画 を拒 否 す る場 合 には、 注 意 を要 する 。 (刺 激 図 形 2 ) 生物 や顔 が多 く 出現 す るが 、描 画 は 曲線 を用 いて 描く こ とが多 い 。 この 刺 激図形 を直 線 を用 いて 関 係す る こ とは ま れで あり、 そ うで きる 大 は独. 2 7−.
(30) 錮反応を示す人であり、能力の高い人に、限られている。 j描画形態としては、前述の生物、人間や動物、人間や動物の顔、物の一 部が表現される。し かも、それらは眼、眉毛、唇、鳥、くだものなどで あり、描きやすい、やさしい刺激図形である。この刺激に生命体が出現 しないときには注意が必要である。 (刺激図形 3) 3本の直線から構成さ れ、3本とも長さが違うということから、遠近を 示すものが多く、刺激図形の性質として は、遠近的、上昇傾向を示すも のである。描画形態としては、電柱が並んで いるところや団地の建物、 階段などのような連続的なものが多く出現する。 建物、棒グラフ、階段、電 柱、並木、旗と国旗掲揚台、ロケットなど がよく描かれるが、いず れも直線が主として用い られている。出現する のは、非生命体であり、事物が多 い。まっすぐ で堅い性質をもち、進歩 的な増大 傾向があり、建設的な性質をもっている。描きにくいとする人 も比較的多く、刺激図形1・2のやさし い、曲線的なものに対して、刺 激3が堅い、直線的なものに変 わるというところから抵抗を感じ るので あろう。 (刺激図形 4) 黒い 小さい正方形とそ の位置は、重々しく建設的で、組織化が示されや すいし、静的な重量感をもっている。機械的、技術的能力が示さ れやす い。描画形態としては、立体的な事物、遠近感を示すもの、抽象的なも のがかかれる。家の窓、トンネル、ロボット、ロ ケット、廊下、道路な どが描かれる。 黒い四角から親近感があるのか、不安傾向を示し たり、暗い影づけもよ く用いられる。不安や 暗い傾向をのがれようとして描画拒否し たり、簡 単な模様で切り抜けたり、抽象画を描いたりする。 直線図形で、受け る感じが重々しいためか直線を用いて描くことが多いし描きにくい刺激 であるともいえる。男 性的刺激と呼ばれるのもそうした特徴からである (刺激図形 5) 刺激図形の性質からは対立的であり、葛藤的である構造を示している。 − 2 8−.
(31) またそ こに緊張感 もあり、この矛盾や緊張を どのように調和させ、構成 するかが問題である。描画形態は柄のある道具、武具、機械、器具など が出現する。 具体的には、ロケット、自動車、飛行機、傘、ほうき、う ちわ、鉛筆、刀剣、空気いれポンプなどが描かれている。刺激図形が直 線であるためか、用い られるものもほとんどが、直線であり、事物が描 かれている。矛盾し たものを構成し、 3次元的なものにまとめあげる能 力が示される。 またこの刺激は、抵抗がつよく描画拒否に出会う率が高 い。 (刺激図形 6) この刺激も刺激5と同じく直角に描かれた直線の一部分であり、孤立化 部分的という図形の性質をもっている。そ れだけに、矛盾しないものに つくりあげる のには抵抗が大きく8つの刺激図形の中で一番拒否さ れる 刺激図形である。 描画形態で は、機械器具、建造物が圧倒的に多く、自動車、建物、家、 窓、テレビ 、家具などである。刺激図形が直線であるので、描かかれる 図も直線を用いている 独創反応も出現することも少なく、抽象画が多く 出現するのも、刺激図 形の難しさによるものと考えられる。 (刺激図形 7) この刺激は、丸味を帯ぴたやわらかい刺激で はあるが、破線で描かれて いるところ に特色がある。丸味を帯びているとともに繊細さ をもってい るので、描 かれる図も生物的なもの、丸いもの、動物、人間、花、虫、 卵、首飾り、足跡などがそ の主要なものである。円滑、柔軟を特徴とす るだけに、敏感に反応するかどうか、詳細に描くかどうかなど注目しな くてはならない。それだけに、敏感さを表明するとともに考えられる。 (刺激図形 8) この刺激は幅広く、規則正しい円弧であり、ふく らみ、まとまり、やさ しさ、丸形、などの性質をもっている。そ のため、描画形態としては、 生物的、動物的、人間的なものが出現する。また丸いもの、太陽、地球 というものが描かれる。顔、頭、傘、 眼、太陽、亀、月、などが出現す − 2 9−.
(32) く る。そ の他、帽 子 、ボ ールな ど が描 か れる。 8つ の刺 激 図形 の中で、 一 番 揃き や すい 刺 激図形で あ る とと もに、 描 画拒 否も もっ とも 少ない と考 えち れる。 以 。、。上:のよ… … う な 特 徴を ふ まえて 、そ れぞ れ の反応 の 出現 の意 味を考 察す る。. う緤嘶異琳法娯おける評価基準表(表3). 筑. 開 放. 閉 鎖. 結 合. 想 像. 実 際. 一 + +. 29 耻. 25 耻. 10 耻. n 耻. 20. +. 24. 28. 20. 24. 8∼9. 8. 年. M. 19. 23 14. 19. 5∼7. 2. -. 14. 18. 13. 2. 年. 一一. 学 年 中 学 1. 情緒性. 9. 8訌. 13 訌. 知 性. 創造性. 4. 活動性. 思 索. 力 動. 抑 制. 耻. 8 耻. 24 耻. 32 計. 16. 19. 6. 7. 19. 23. 26. 31. 3∼7. 11. 15. 2. 5. 12. 18 18. 25. 1∼2. 7. 10. 1. 7∼n. 0. 6叮. 10. 0. O∼1. 6叮. n. 17 10訌. 4宍 領域評価基準表(表4-1). 卜 世 -. 評 価. 情 緒 性. 創 造 性. 知 性. 活 動 性. + +. 45以 上. 22以上. 21以上. 53以上. 中学校. +. 40∼44. 18∼21. 19∼20. 46∼52. 1・2年生. M. 33∼39. ].4∼17. 15∼18. 31∼45. -. 28∼32. 10∼13. 12∼14. 23∼30. 27以下. 9 以下. 11以下. 22以下. 一. 一. 分析整理表 判定基準表 換算表  ̄(表2) (表4-2) (表4-3) ││・C ・Mtylllλ 禺り| 学り ゛1 ’411 り’11111・ 丶匐n 囘 |. Nm. 4 5 −−. ゛l・砌g4. A 1 li 刈 の 内1 打. 氏 r, 分. SI つ き 4'1.1 休. | 尓ぬ l l l .. l 収 4 と卜 n. 柚 晴n. 町 Sり l −. 創 心n. りMS.K.). 川n.. 2 − 3 −4. 皿│叫 叭. a. M 啅. 夊 袙 城 i 'I. 阯弧 M内 斗心 M自. 3 紂1眛 化 41y 細. 1 抑. W. l. ふ. 撕 μ . S 嶂. 強 い. 搾. 刺 い 呻 7 怱. 3*. 12. 10 M (普麪) S(齟型). Hi (1. 11 る い. Wり. 吋 し Q S 町内 づlt Q6卩 再しこ1 0 7 郎 分. a. り 1なぐ'1脇き ? 02 隍9 かき 1・ り3 皿 IM S (14 日 式 化. fl そ ;;. 駲 n 自亡火心9 癶 凶 り 气 ね 切 9. 粐│ M. 1; a ・ ●f. 011111j l. 5点. ++. 4点. +. 3点. M. 2点. -. 1点. 一一. 6∼4. 2註. 韭踝ぎ ?. 15. A (自演 鯉) 13. 的. 1 月 M、 的 找 祷1的 1 紗.Mtt. I. 与える 4餓 点数 訓 膀. 9∼7. 幻 紅 夕限t 皿. 亀 t り11. 個 性 型. ∼16. IX タ イル 2 礫 ・1. {: a. 得 点. 心 川 性 S 鷏 鉐. a i. 晧・bn. m皿ぎ 仙酵 1 X 憚町 tl 町 畧梟 l llnll nM 妁. 点. の み. の 対. 価. − 30.
(33) 脯 2節 描画完成法の実施と中学生の反応 tレ= こ 、I …鵬画完成法の実施の記録 I.、 山丿 実施の目的と対象 これまで述べてきた論理が実際の授業の中で どのように活用でき、また ノ巫かすことがどれだけ可能なのか、確かめるために、私はまず描画完成法 く を:経験させることで実証してみたいと思う。 よ り具体的な問題点を見つけるためにも必要不可欠なことではないかと ぺ ゾ ゾ 思う。 次に発表するのは、平成8年 3月1 5日(金)大阪市立宮原中学校2年 生4組と6組に於いて、各2時間ずつ(100分)実施した記録をまとめ たものである。 (2) 実証授業 の記録 このクラスの生徒とは面識はなくこ の日が初めての出会い。授業から離 れていたせい もあってか双方、ちょっと緊張気 味。そ の学校の美術の先 生 から『同じ 中学校の先生で今、大学院で美術の授業の研究をしています。 そ の研究資料 に使いたいのでちょっと協力してあげてください』と、紹介 があっ た、あと、まずはあいさつから始 めた。 「はい、お はようござ います」そこで手を耳に当ててきいている格好をし て みる。案 の定、蚊 の泣くような声、負けないように元気な声で、朝ご 飯 食べてきたーと叫ぶ。 みんなぎ ょっとする。これで話の聞く体制はできた。みんな二コニコして いる。もう一度あいさつからやり直す。今度はうまくいった。しゃべりだ してみると何だかワクワクしてきた。 『初めまして、今日はみんなにちょっ とし た絵を描いてもらいたいと思 い ます。決して絵 のうまい・へ夕を見るものではなく、描いている大がど んなことが頭に浮かんだか、イメージを見たいと思います。ただひとつ約 束して もらいたい のは、絶対、となりの人の作品を覗いたりマネをし たり しないでください。一人ひとりがどんなものをイメージしたのかが知りた いのです。だから何を描いてもいいのですよ。 』 そ こまで話し終わった後、ちょっと生徒の様子をうかがってみると、 ま 3 1.
(34) だ 軻 が 始 ま る の か な と キ ョ ト ン と し て い る 子 も い る 。 後 の 方 で は 隣 とし や し=・ べj,・ う。。・= て い る ヒ ソ ヒ ソ 声 が 聞 こ え る 。 こ こで 自 分 の 学 校 な ら 一 括 し て し ま え. レ… 白t: 済む のだが 、 借 りて い る生 徒サ ン とな る と、 相手 が分 か らない 。そ こで 廱 をつ ぶって 、 [で は今 か ら画用 紙 と描 き方 の説明し たプ リ ント を一 枚配 ] ] り1ます 。も らっ た らすぐ に学 年、 ク ラス 、 出席 番 号、名 前 を書い て用 紙 を ヤ裏 向け て、で き た ら 前を向 い て、 鉛筆 を 置い て 合 図して くだ さい 。」 … … と 指示し た 。 スム ーズ に動 き だす 。一 瞬 ほっ と する 。. ゆっくり指示法のプ リント を読み上げながらまた生徒を観察する。 真剣、真剣、さっきし ゃべっていた後の方 も、興 味、シンシン、顔は真剣 そ のもの。急 に可愛 らしくなってきた。 時間制限はありませんから、自分のペースで 進んでください。 早く出来上がってし まっても覗き込んだりはやし たてたり邪魔してはい けません。静かに待っていてください。あっ、寝ててもいいですよ。終わ ったら、起こしてあげますから(ここで 笑いが起きる)とにかく、迷惑に ならないよう に気 をつけるようにね。 これはテスト と同じですがわからなくても相談してはいけません。 いけないことずくめになってし まったがなんとか生徒には通じ たようだ 質問は? S:どうしてもわからなかったらどうするの。 T :そうね、イ メージだから見た瞬間に浮かんでくるものを 忘 れないようにす れば、大丈夫ですよ。 難しく考えないで、正直に浮かんできたものを描くこと だ大切です。 他に質問は? もうありませんか? 途中で わからない ことがあっ たら遠慮しないで 聞いてください。 なければ画用紙を表に向けて始めまし ょう。かならず順番と題名を描く の を忘れないようにね。生徒はそんなこと聞いてるのかどうか疑 わしいく ら いもう真剣である。 そっ と今度は私がみんなの邪魔をし ないよう に用紙に名前の書き忘れが ないか、確認して廻る。やっぱりやり始 めると、生徒が主役、先生はい ら ない。 また、今日もそう思わされてし まった。 3 2-.
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