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Pseudoalteroyn07zas sp. No

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 茶 木 貴 光

学 位 論 文 題 名

Pseudoalteroyn07zas sp. No .1786 株由来

アルギン酸リアーゼによるアルギン酸 オリゴ糖の生産 およびその生理機 能と作用機序に関する研究

学位論文内 容の要旨

  アルギン酸は1,4結合したロ‑D‑マンニュロン酸(M)とC5位エピマーであるaーL−グルロン酸(G)の2 種類のウロン酸から構成される直鎖型多糖であり、これまで食品、医薬品、化粧品などに広く利用さ れている。ただし、粘度が高く扱い難いため低粘度化し、新たな生理機能を見出すことを考えた。こ れまでアルギン酸分解酵素については、アルギン酸多糖をロ脱離反応により分解するりアーゼ型が知 られており、海藻や軟体動物などに存在するものと細菌が産生するものがある。本論文では、海洋由 来の細菌が産生するアルギン酸分解酵素の探索を開始し、生産株および酵素の特徴を把握することを 最初の目的とした。酵素反応で生成されるアルギン酸オリゴ糖については構造を推定するとともに、

ヒトが食す軟体動物内臓中にその存在を見出し、食経験があることを確認した。本オリゴ糖の生理機 能(特に血圧降下)およびその作用機序の解明を試み、最終的にヒトに対する最適用量および長期摂 取に対する有効性について明らかにした。

(1)アルギン酸分解酵素産生菌の探索および諸性質

  様々な生物種よルアルギン酸分解酵素産生菌の単離を試みた結果、飾足動物であるカブトガニの腸 内容物から菌体外に強い酵素活性を示す細菌の獲得に成功し、Pseudoaltero.m0門口ざsp.と同定した。酵素 活性 の消長は 菌の増 殖に比例 し、酵素 産生に関し増殖連動型の細菌であることが明らかとなった。

(2)アルギン酸分解酵素の部分精製および諸性質  ,

  菌体 外酵素に ついて 陰イオン 交換カ ラムを用いた部分精製を行うことにより、SDS‑PAGEで32 kDa 付近に強いバンドを与える酵素標品を得た。本酵素は50℃およびpH 7.7に反応の至適を示した。安定 域は40℃以下およびpH6.3‑8.9の範囲と、これまでPseudoalteromonas属で報告されていなぃ高温域に 反応の至適温度を持つ新規な酵素であることが分かった。金属塩の添加では一部の多価イオンを除き、

酵素活性を増強させる性質が認められた。特にCa2゛およびMg2゛において300%以上の著しい上昇が見 られ、この点からも新規な酵素であることが分かった。基質の分解反応において230 nmの吸収(二重 結合の生成)と還元カが増加することから、リアーゼ型の酵素であることが判明し、同時に粘度の急 激 な 低 下 が 認 め ら れ て い る こ と か ら 、 エ ン ド 型 の 反 応 を 触 媒 す る こ と が 推 察 さ れ た 。

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(3)アルギン酸オリゴ糖の 精製および諸性質

  酵素反応後、培地に由来する塩類の除去法について検討を行った。アルギン酸オリゴ糖は、カルボ ン酸を有するためイオン交換樹脂による方法は適さない。そこで、Bio‑Gelを用いたイオン排除法、電 気透 析法 など を試 み、 塩類の除去に成功した。得られたオリゴ糖はMSにより2、3および4糖から構 成される主として8種類の 混合物であることを確認し、NMRにより各オリゴ糖の構造について推定し た。酵素量を変化させた実験からアルギン酸1gあたりに必要な酵素量が6 unitであること、また酵素 を過剰量添加し反応を行っても各オリゴ糖量に増減が見られなぃことから、8種類のオリゴ糖が最終生 成物 であ るこ とが 示唆 された。さらにMあるいはGが豊富な2種類のアルギン酸に対する作用が認め られ、本酵素が両者を良好な基質と認識していることが推察され、オリゴ糖の分別製造が可能である ことを見出した。

(4)自然界からのアル′ギン酸オリゴ糖の検出

  これまでアルギン酸を分 解する菌株および酵素、またアルギン酸を酵素により低分子化したオリゴ 糖については様々な報告が あるものの、自然界においてアルギン酸オリゴ糖の存在を証明した例はな かった。そこで、軟体動物 (サザエとアワビ)の内臓中から過塩素酸により抽出を試みた後、HPLC、 MSおよ びMS/MS分析 に供 し 、ア ルギ ン酸 オリ ゴ糖 の検 出を 行っ た。 その 結果、HPLC分析からはア ル ギン 酸オ リゴ 糖に由 来するピーク、MSおよびMS/MS分析からはアルギン酸オリゴ糖に由来するシ グナルが観察された。これ まで自然界に存在すると考えられてきたアルギン酸オリゴ糖について、今 回抽出および確認できたこ とは、軟体動物中にアルギン酸オリゴ糖が存在するということに加え、ヒ トが長年食してきた食経験 として新たな知見を提供するものであった。

(5)アルギン 酸オリゴ糖の血圧に対する生理機能および作用機序

  アルギン酸オリゴ糖の血圧に対する生 理作用について自然発症高血圧ラットを用いた検討を行い、

血圧上昇抑制作用を確認した。その作用 機序についてアンギオテンシンI変換酵素阻害活性およびCa 拮抗作用について解析したところ、後者 のCa拮抗作用が認められ、特に電位依存性チャネルに拮抗作 用を示すことで血圧低下を発現させる可 能性が示唆された。また、アルギン酸オリゴ糖投与による尿 および糞中への排泄結果から、大部分が 糞中ヘ排泄されるが、一部が体内に吸収された。従って、1 つの作用機序として、アルギン酸オリゴ 糖の大部分が糞中ヘ排泄されるが、一部は体内へ吸収され平 滑筋細胞まで到達した後、電位依存性チ ャネルに拮抗作用を及ぼしていることが考えられた。アルギ ン酸オリゴ糖の吸収および排泄、またオ リゴ糖の降圧作用に関する報告はこれまでなく、新規な知見 であった。

(6)ヒト血圧に対する最適 用量および長期摂取時の有効性及び安全性

  正常高値血圧者および軽症高血圧者69名を対象とし、アルギン酸オリゴ糖の降圧作用に対する最適 有効量についてプラセボを対照とした4週間無作為化並行群間試験により検証した。その結果、高用 量である1日あたり2.5gの 摂取で降圧効果が早期に出現し、低用量群(1.25g/日)との間に用量依存性 を確認した。そこで107名 に対し、プラセボを対照とし一日あたり1.9g、12週間の長期摂取試験を実

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施した。その結果、 収縮期血圧は試験食群間比較においてアルギン酸オリゴ糖群の摂取8、10、12週 間後、拡張期血圧に おいては摂取4、12週間後に 有意な低下を示した。摂取試験の終了後、血圧は緩 徐に回復し、摂取前 の数値を過度に超えるようなりバウンド現象は認められなかった。この際に、脈 拍数への影響も認め られなかったことは、被験食群においてみられた緩やかな降圧効果は循環器系へ の負担を生じること なく、適度な作用であることが考えられた。以上の結果は、ヒトに対する最適用 量をはじめ、長期摂 取における有効性および安全性について新たな知見が得 られたと考えられる。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

夫 篤 博

PseudoalterOYnonas sp .No .1786 株由来

アルギン酸リアーゼによるアルギン酸オリゴ糖の生産 およびその生理機能と作用機序に関する研究

  本 論 文 は 、 和 文148頁 、 図29、 表24、8章 か ら な り 、 参 考 論 文7編 が 添 え ら れ て い る 。   アルギン酸は1,4結合したロ‑D‑マンニュロン酸(M)とa‐Lーグルロン酸(G)から成る多糖であるが、

高 粘度 のた め取 扱い が難 しい 。従 っ て、 分解し低粘度化することで物性を改善し、かつ得られ た オ リゴ 糖に 新た な生 理機 能を 見出 し 、利 用拡大を図ることは重要である。本論文では、海洋由 来 の 細菌 が産 生す るア ルギ ン酸 分解 酵 素を 探索し、生産株および酵素を取得した。酵素反応で生 成 さ れる アル ギン 酸オ リゴ 糖に つい て 構造 を推定するとともに、ヒトが食す軟体動物内臓中にそ の 存 在を 見出 し、 食経 験が ある こと を 確認 した。本オリゴ糖の生理機能(特に血圧降下)およぴ そ の 作用 機序 の解 明を 試み 、最 終的 に ヒト に対する最適用量および長期摂取に対する有効性につ い て明らかにした。

(1)ア ルギ ン酸 分解 酵素 産生 菌の 探 索お よび 諸性 質

  カ ブ トガ ニの 腸内からアルギン酸分解酵素を分泌す る細菌の獲得に成功し、Pseudoalteromonas sp.と 同 定 し た 。 酵 素 活 性 の 消 長 は 菌 の 増 殖 に 比 例 す る こ と が 明 ら か と な っ た 。

(2)ア ルギ ン酸 分解 酵素 の部 分精 製 およ ぴ諸 性質

  菌 体 外酵 素を イオ ン交 換法 によ り部 分精製した。 本酵素は50℃およぴpH 7.7に反応の至適を示 した 。 安定 域は40℃ 以下 およ ぴpH6.3‑8.9の範囲と、これまでPseudoalteromonas属で報告がない 高温 域 に反 応の 至適 温度 を持 つ新 規な 酵素であるこ とが分かった。金属塩の添加で、酵素活性が 増加 し 、特 にCa2+やMg2゛で300% 以上 の著しい上昇 を示す新規な酵素であった。基質の分解様式 から エ ンド 型の りア ーゼ であ るこ とが 推察 され た。

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村 田

木 横

授 授

教 教

査 査

主 副

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(3)アル ギン 酸オ リゴ 糖の 精製 およ び 諸性 質

  酵素 反 応後 、培 地に 由来 する 塩類 の除去法につい て検討を行い、イオン排除法と電気透析法に よ り除 去 に成 功し た。 得ら れた オリ ゴ糖 は2〜4糖 から 成る8種類 のものであり、各オリゴ糖の構 造 を 推 定 し た 。 本 酵 素 がMある い はGが豊 富な2種類 のア ルギ ン酸 を良 好な 基質 とし 、両 基 質を 用 い る こ と で M型 や G型 の オ リ ゴ 糖 を 分 別 製 造 で き る こ と を 見 出 し た 。

(4)自 然 界か らの アル ギン 酸オ リゴ 糖の 検出

  自然 界に おい てア ルギ ン酸 オリ ゴ 糖の 存在を証明した例はない。本研究で初め てヒトが長年食 し てき た軟 体動 物( サザ エと アワ ビ )の 内臓から本オリゴ糖を検出でき、アルギ ン酸オリゴ糖の 食 経験 を示 すこ とが でき た。

(5)ア ル ギン 酸オ リゴ 糖の 血圧 に対 する 生理 機能 およ び作 用機 序

  自然 発症 高血 圧ラ ット を用 いて ア ルギ ン酸オリゴ糖の血圧上昇抑制作用を確認 した。その作用 機 序を 解析 し、Ca拮 抗作 用( 特に 電 位依 存性チャネルに拮抗作用)を示すことで 血圧低下を発現 す るこ とが 考え られ た。 経口 投与 さ れた アルギン酸オリゴ糖は、大部分が糞中へ 排泄されるが、

一 部は 体内 に吸 収さ れた 。従 って 、1つ の作 用機 作と して 吸収 さ れたオリゴ糖が 平滑筋細胞まで 到 達 し た 後 、 電 位 依 存 性 チ ャ ネ ル に 拮 抗 作 用 を 及 ば し 降 圧 さ せ る こ と が 示 唆 さ れ た 。

(6)ヒト血圧に対す る最適用量およぴ長期摂取時の有効性及び安全性

  正 常高 値血 圧者 およ び軽 症高 血圧 者 を対 象とし、アルギン酸オリゴ糖の降圧作用 に対する最適 有効量を調べた。1日あたり2.5gの摂取(高用量)で降圧効果が早期に出現し、低用量群(1.25g/ 日)との間に用量依存性を確認した。長期摂取試験(1.9ヴ日、12週間)では、収縮期血圧(摂取8、 10、12週 間後 )と 拡張 期血 圧( 摂取4、12週間 後) の有 意な 低下 を 認めた。摂取試 験の終了後、

血圧 は緩 徐に 回復 し摂 取前 の値 を過 度 に超 えるようなりバウンド現象および脈拍数 への影響はな かっ た。 アル ギン 酸オ リゴ 糖が 示す 緩 やか な降圧効果は、循環器系への負担がなく 、適度な作用 であることが明らかになった。

  本 研究 は 、新 規な アル ギン 酸分 解酵 素を分泌する新 しい菌株を取得し、それによルアルギン酸 オリ ゴ糖 の 生産 法を 構築 する こと で、 アルギン酸の利 用を拡大した。得られたアルギン酸オリゴ 糖の 構造 決 定を 行い 、そ の食 経験 があ ること、生理作 用としての血圧上昇抑制を見出し、その作 用機作を推定した。ヒトに対する 最適用量および長期摂取における有効性および安全性を認めた。

以上 のよ う に本 論文 は、 アル ギン 酸オ リゴ糖に関し、 学術的ならぴに産業的に重要な多くの新知 見を提供した。

  よ って 審 査員 一同 は、 茶木 貴光 が博 士(農学)の学 位を受けるに十分な資格を有するものと認 めた。

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