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環境感染誌 Vol. 28 no. 2, 2013 報告 奈良県内の病院における手指衛生の状況に関するアンケート調査 久留野紀子 1) 笠原敬 2) 三笠桂一 2) 浦一 3,4) 徳谷純子 3,4) Questionnaire Survey on Status of Hand Hygiene in

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1)奈良県立医科大学大学院医学研究科感染病態制御学,2)奈良 県立医科大学感染症センター,奈良県立医科大学付属病院 3)看護部,4)ICT 〈報 告〉

奈良県内の病院における手指衛生の状況に関するアンケート調査

久留野紀子1)・笠原 2)・三笠 桂一2)・ 浦 3,4)・徳谷 純子3,4)

Questionnaire Survey on Status of Hand Hygiene in Nara Prefecture

Noriko KURUNO1), Kei KASAHARA2), Keiichi MIKASA2), Hajime MATSUURA3,4)and Junko TOKUTANI3,4)

1)Nara Medical University, Graduate School of Medicine,2)Center for Infectious Diseases, Nara Medical University, 3)Department of Nursing,4)Infection Control Team, Nara Medical University Hospital

(2012 年 10 月 19 日 受付・2012 年 12 月 20 日 受理) 要 旨 医療関連感染予防においては,手指衛生の遵守率の向上と維持が重要な課題である.そこで今 回,奈良県内における手指衛生の現状と手指衛生の遵守率向上維持に向けての活動の実態を調査し た. 2011 年 10 月 15 日に開催された奈良県医療関連感染予防ネットワーク研究会に参加した 23 施 設の看護師宛てに 2011 年 11 月 1 日に調査票を送付し,11 月 30 日までに郵送で回収した. 23 施設中 18 施設から回答があり,回答率は 78.3であった.回答した全ての施設が液体石け ん及び速乾性手指消毒薬を設置していた.手指衛生遵守率調査は 8 施設(44)が行っていると答 えた.しかし,遵守率を回答した施設は 1 件(5.6)のみであった.全ての施設が最低年 1 回は実 技指導やビデオ,洗い残しチェックなどを用いた啓発活動を行っていた. 今回のアンケート調査から,多くの病院で手指衛生遵守の向上維持への取り組みはなされている が,直接観察法などを用いた手指衛生遵守状況を把握,評価している病院は稀であることわかった. Key words手指衛生,アンケート調査,遵守,モニタリング は じ め に 医療現場における手指衛生は,医療関連感染を防止す る上で,最も基本的で重要な手段の一つである.2002 年 に 米 国疾 病 予 防 管 理 セ ン タ ー (Centers for Disease Control and Prevention, CDC)は,「医療現場における手 指衛生のためのガイドライン」(以下 CDC ガイドライ ン)を発表し,その中で「手指に目で見える汚染がない 場合は擦式アルコール手指消毒薬を用いた手指衛生を推 奨する」ことや,「手指に目で見える汚染がある場合は 石けんと水を用いた手指衛生を推奨する」ことをはじめ とし,スキンケアや教育,病院幹部の役割などに関し て,幅広い観点からの推奨を行っている1) また近年では手指衛生の遵守率の把握とその向上にむ けた取り組みも進んでいる.手指衛生の適切さを評価す るには,「手指衛生の手技そのものが適切に行えている か」「手指衛生のタイミングは適切か」の 2 点を把握す る必要があり,従来から行われている手指衛生薬の使用 量チェックや自己申告法,電子機器によるモニタリング などでは正確な評価ができない2~5).このような中,

World Health Organization(WHO)は 2009 年に「医療 における手指衛生ガイドライン」を発表し,その中で 「手指衛生の 5 つのタイミング(My ˆve moments for hand hygiene)」として手指衛生が必要とされる 5 つの タイミングを提唱した6).また同ガイドラインにおい て,手指衛生の遵守率を把握する方法として実際に観察 者が医療現場で医療従事者の手指衛生を「5 つのタイミ ング」に照らし合わせて観察し評価する「直接観察法」 を推奨している. しかし日本において,これらのガイドラインで推奨さ れている設備の有無や教育活動,遵守率評価の現状に関

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表 回答が得られた施設の背景(施設) 病床数 施設数 ~床  ~床  ~床  ~床  ~床  床以上  表 手指衛生に使用されている速乾性手指消毒薬のタイプ 性 状 速乾性手指消毒薬の成分 施設数  液剤 エタノール  . .ベンザルコニウム塩化物含 有エタノール  . .クロルヘキシジングルコン 酸塩含有エタノール  . 計  . ジェル剤 エタノール  . .クロルヘキシジングルコン 酸塩含有エタノール  . 計  . 表 手指衛生に必要な物品の配置場所(回答施設数施設) 種類 設置個所 石けん固体 石けん液体 手指消毒薬速乾性 ペーパータオル エアータオル 外来受付    外来診察室     外来処置室      外来患者 トイレ・洗面     外来職員 トイレ・洗面     病棟受付    病棟患者 トイレ・洗面     病棟職員 トイレ・洗面     病棟詰所内     病棟処置室     汚物室     する報告は少ない.そこで私たちは,今後の奈良県内の 手指衛生の遵守率の向上と維持を目的とし,手指衛生に 関する状況を把握するためにアンケート調査を実施した. 対象と方法 奈良県医療関連感染予防ネットワーク研究会(2011 年 10 月 15 日開催)に参加した 23 施設の看護師宛てに調査 票を 2011 年 11 月 1 日に送付し,11 月 30 日までに郵 送で回収した. 調査票項目は,◯手指衛生製剤の種類と手指衛生に必 要な物品・設備の配置箇所,◯速乾性手指消毒薬使用に 関する不安とその対処方法,◯手指衛生の状況を把握す るための調査方法とその結果,◯手指衛生に関する啓発 活動の内容とその予算配分の有無についてである. 倫理的配慮 アンケート調査への参加は自由意志であり,調査に協 力が得られない場合でも不利益が生じることはないこ と,得られたデータや回答者名,回答施設が明らかにさ れることがないよう管理する旨を研究会時に説明すると ともに,アンケート調査票依頼文にも記載した. 結 果 23 施 設 中 18 施 設 か ら 回 答 が 得 ら れ た ( 回 答 率 は 78.3).回答のあった病院を病床数別に分類すると, 病床数 199 床未満が 9 施設,200~499 床未満が 6 施設, 500 床以上が 3 施設であった(表). ) 手指衛生製剤の種類と手指衛生に必要な物品・設 備の配置箇所 手洗いに使用する石けんの形状として,固形石けんを 使用しているのは 5.6(18 施設中 1 施設)であった.液 体石けんは全ての施設で使用されており,94.4(18 施 設中 17 施設)が殺菌成分含有のものであった. 流水手洗い設備の水栓様式については,同一施設でも 自動水洗,ハンドルタイプ,レバータイプなど様々な水 栓が混在しており,全ての部署で自動水洗が設置されて いる施設は 5.6(18 施設中 1 施設)であった. 速乾性手指消毒薬は 100(18 施設全て)で使用して いると回答した.速乾性手指消毒薬のタイプを表に示 す .速乾 性手 指消毒 薬(液剤 )を 使用 してい る施 設は 61.1(18 施設中 11 施設)であり,そのうちエタノール 製剤は 6 施設,0.2ベンザルコニウム塩化物含有エタ ノール製剤は 4 施設,0.5クロルヘキシジングルコン 酸塩含有エタノール製剤は 1 施設であった.一方,速 乾 性 手 指 消 毒 薬 ( ジ ェ ル 剤 ) を 使 用 し て い る 施 設 は 38.9(18 施設中 7 施設)であり,そのうちエタノール 製剤は 6 施設,0.2クロルヘキシジングルコン酸塩含 有エタノール製剤は 1 施設であった. 手指衛生に必要な物品・設備の配置場所は表に示す 通りで,水道設備のない外来・病棟受付には主に速乾性 手指消毒薬が配置されていた.トイレでは主に液体石鹸 が配置されていたが,同時に速乾性手指消毒薬も配置さ れていた.外来診察室・処置室・病棟詰所内・汚物室に

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表 手荒れ対策の内容(回答施設数施設) 手荒れ防止対策の方法 施設数  保湿剤入りのアルコール製剤使用  . 保湿剤入りアルコール製剤の使用 手荒れ防止ローションの配布または設置  . 保湿剤入りアルコール製剤の使用 ハンドクリームの配布または設置  . 保湿剤入りアルコール製剤の使用 個人でハンドクリーム持参  . ハンドクリームの配布または設置  . 手荒れ防止ローションの配布または設置  . 個人でハンドクリーム持参  . アトピー性皮膚炎職員の配置転換   表 手指衛生の実施状況を把握するための調査方法 (回答施設数施設) 手指衛生実施状況を把握する調査方法の内容 施設数  速乾性手指消毒薬の使用量チェック   速乾性手指消毒薬の使用量チェックと直接観察 法   直接観察法と自己申告法   直接観察法   自己申告法   速乾性手指消毒薬の薬剤部への請求量チェック   無回答   は液体石鹸および速乾性手指消毒薬の両方が配置されて いた.流水手洗い後に手を乾かす手段として,外来患者 トイレ・洗面では主にエアータオルが配置され,それ以 外の箇所ではペーパータオルが配置されていた. ) 速乾性手指消毒薬使用に関する不安と手荒れ対策 速乾性手指消毒薬の使用にあたって何らかの不安があ ると回答した施設は 61.1(18 施設中 11 施設)で,う ち手荒れに対する不安があると回答したのは 9 施設, 患者の誤飲食に関する不安があると回答したのは 1 施 設,乾燥までに時間を要するため,個人の手技によって 効果が期待されないことがあるように思うと回答したの は 1 施設であった. 手荒れ対策を行っていると回答した施設は 18 施設中 13 施設(72.2)であり,その内容は表に示すとおり で,保湿剤入りのアルコール製剤の使用に加え,手荒れ 防止ローションやハンドクリームを配付・設置すること で対応していた.アトピー性皮膚炎を有する職員の配置 変換を行った施設は無かった. ) 手指衛生の状況を把握するための調査方法とその 結果 手指衛生の状況を把握するための調査は 55.6(18 施 設中 10 施設)が行ったことがあると回答した.その調 査の頻度は,年 1 回が 4 施設,年 2 回が 4 施設,年 3~ 4 回が 1 施設,毎月が 1 施設であった. 手指衛生の実施状況を把握するための調査方法を表 に示す.速乾性手指消毒薬の使用量チェックを行ってい ると回答したのは 3 施設,速乾性手指消毒薬の使用量 チェックと直接観察法を行っていると回答したのは 2 施設,直接観察法と自己申告法を行っている,直接観察 法を行っている,自己申告法を行っている,速乾性手指 消毒薬の請求量チェックを行っていると回答したのは各 々 1 施設,無回答が 1 施設であった.直接観察法を行 っていると回答した 4 施設中 2 施設がその具体的な方 法を記載しており,1 施設はチェックリスト7)を用いて 看護師 2 名(うち感染管理認定看護師 1 名,感染対策委 員の看護師 1 名)が,看護スタッフを対象に,看護処置 ごとに手指衛生をカウントして手指衛生遵守率を算出し たと回答した.もう 1 施設は,感染対策委員・看護師 長・主任・リスクマネージャーが,看護師・看護助手を 対象として,患者接触前後と体液暴露後の手指衛生をカ ウントし,手指衛生遵守率を算出したが,その詳細は取 決めていなかったと回答した. また,手指衛生遵守率を調査したことがあると回答し た施設に対し,調査方法とその結果を質問したところ 3 施設が回答し,◯速乾性手指消毒薬の使用量を毎月調査 しており,2 年前にジェル状の速乾性手指消毒薬が導入 されてから使用量は増加している,◯速乾性手指消毒薬 の 使 用量 を 半 年に 1 回 調 査 して い る ,◯感 染対 策 委 員,看護師長,主任,リスクマネージャーが直接観察法 を用い,看護師・看護助手の手指衛生遵守率を年 2 回 調査した,という内容であった. ) 手指衛生に関する啓発活動と予算配分 手指衛生に関する啓発活動は,88.9(18 施設中 16 施設)が実施していると回答したが,啓発活動に予算が 組まれていると回答した施設は 16 施設中 1 施設のみで 無回答の施設が 1 施設であった.啓発活動の主催は, 感染対策委員会及び感染対策チームなど各部門合同と回 答したのは 14 施設,看護部のみと回答したのは 2 施設 であった.啓発活動の頻度は年 1 回が 5 施設,年 2 回 が 6 施設,年 3 回が 2 施設,年 4 回以上が 3 施設であ った. 啓発活動の内容を表に示す.実技指導と蛍光塗料な どを用いた洗い残しチェック及び手指衛生に関するポス ター展示と回答したのは 7 施設,洗い残しチェックと 回答したのは 2 施設,実技指導と洗い残しチェック, 洗い残しチェックとビデオ学習,ポスター展示とビデオ 学習,ポスター展示と回答したのは各々 1 施設であっ た.その他 3 施設が啓発活動の詳細について回答し,

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表 啓発活動の内容(回答施設数施設) 洗い残しチェック ○ ○ ○ ○ 手指衛生に関するポスター展示 ○ ○ ○ 実技指導 ○ ○ ビデオ学習 ○ ○ その他 ○ 施設数() (.) (.) (.) (.) (.) (.) (.) ◯ 年 3 回蛍光塗料を用いた洗い残しチェック,手指衛 生に関するポスターの展示を行うとともに手指衛生キャ ンペーンとして 3 ヶ月間行った.その期間中,毎朝申 し送り時に WHO の「私の手指衛生の 5 つのタイミン グ(患者接触前・患者接触後・清潔操作前・体液暴露 後・患者環境接触後)」を唱和した,◯すべての職員の 新採用後 1 ヶ月以内に手洗いに実技指導と蛍光塗料を 用いた洗い残しチェックを行うとともに,「私の手指衛 生の 5 つのタイミング」を研修内容に取り入れ,その ポスターを院内に提示している,◯感染対策委員がスタ ッフへの指導を徹底し,感染対策チームが必要時巡回を 行っているといった,という内容であった. 考 察 CDC ガイドラインでは,「目で見える汚染がある場合」 は,石けんと流水による手洗いを推奨している.石けん の形状としては液体石けんやパウダー状の石けんが推奨 されている.今回のアンケートの結果からは,1 施設の み外来で固形石けんを使用していたが,ほぼすべての施 設において液体石けんを使用していることが分かった. 固形石けんは液体石けんに比べ,使用中に細菌汚染する 確率が高い8).しかし,液体石けんであっても,詰め替 えタイプのものや希釈タイプのものでは容器ボトルや希 釈水の細菌汚染が起こりうると報告されており9),この ような製剤は使用しないことが望ましい. また流水手洗い設備の水栓様式は,各施設では様々な ものが混在していることが分かった.水栓を止めるとき にハンドルやレバーを触ることで手指汚染が懸念される ため,自動水洗が望ましいが,ハンドルやレバータイプ であっても,流水手洗い後に使用するペーパータオルで 操作するなどして対処が可能である. CDC ガイドライン,WHO ガイドラインとも「目で 見える汚染がない場合」は,速乾性手指消毒薬を第一選 択として推奨しており,今回のアンケートに参加した全 ての病院で採用されていることが分かった.しかし通常 は流水・石けんによる手洗いを行うべき外来・病棟の職 員・患者トイレにも速乾性手指消毒薬が設置されてお り,手指衛生の使い分けが明確に理解されていない可能 性が考えられた.速乾性手指消毒薬の使用にあたって は,主に手荒れを中心とした不安があり,使用の障壁に なっている可能性が示唆された.CDC ガイドラインで は速乾性手指消毒薬の採用にあたって使用者に感触,香 り,皮膚への刺激についてあらかじめ調査を行うこと や,手荒れを訴える職員にはハンドローション,ハンド クリームなどを提供することを記載しているが,今回の 調査では,ハンドクリームの配付,設置を行っている病 院は 23.1にとどまった.しかし,保湿剤入りのアル コール製剤をほぼすべての施設が使用しており,各施設 で多少の配慮は行われていると考えられる. 感染対策を効果的に行うには現状を把握することが非 常に重要である.手指衛生の状況を把握するための調査 は約半数の病院で行っており,中には毎月行っていると いう病院もあった.しかしその方法は多様であり,速乾 性手指消毒薬の使用量チェックが最も多かった.しか し,単に使用量だけを見ていては,個々の手指衛生の手 技そのものが適切に行えているかどうかまでは分からな い10).そこで手指衛生の状況の把握には,WHO が提唱 している直接観察法が標準的とされている.この直接観 察法は,患者エリアと医療ゾーンという空間を設定し, 微生物伝播の防止を重視しながら患者接触前,患者接触 後,清潔・滅菌操作前,体液暴露のリスクの後,患者環 境接触後の手指衛生が行われているかをカウントし手指 衛生遵守率を算出する方法である。この方法を活用する ことで,自施設で採用している速乾性手指消毒薬が適切 な方法や,適切なタイミングで使用されているかどうか を知ることができる.またその結果に基づいて,自施設 での手指衛生の問題点が明らかになり,教育,啓発活動 に利用することができる.今回のアンケートで,直接観 察法を行っていると回答した病院もあったが,これは WHO の提唱する直接観察法ではなく,単に手指衛生を 行っている場面を直接観察し,主にその手技の適正さを 観察しているものであった.今後は,WHO の提唱する 直接観察法を現場で普及させる取り組みが必要と考えら れる. CDC ガイドラインでは,手指衛生に関する個々の教 育の重要性と,教育,啓発活動における幹部の役割の重 要性を強調している.またそこでは経営者側に経済的な サポートも行うように要請している.今回のアンケート

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では,啓発活動は多くの施設で行われ,その頻度として 最低年 1 回以上行われており,実技指導やビデオ,洗 い残しチェックなど,様々な方法を工夫して行っている 様子がうかがわれた.しかし,それに対する予算はほと んどの施設でついていなかった. 本研究の問題点としては,本研究のアンケートに回答 した病院の特性にバイアスが存在する可能性がある.す なわちアンケートの回答病院は,「奈良県医療関連感染 予防ネットワーク研究会」に参加し,なおかつ「アンケー トに回答した病院」であり,すでに感染対策活動に積極 的に取り組んでいる病院が多く含まれている可能性があ る.従って,本研究結果が,奈良県内の全ての病院の状 況を反映しているとは限らない. 結 論 今回,奈良県内の病院を対象としてアンケート調査を 実施し,◯手指衛生の設備は整備されている,◯手指衛 生の教育,啓発活動の機会は設けられているが予算が配 分されていない,◯手指衛生の遵守率調査は十分に行わ れておらずまたその方法も様々であることが明らかにな った. 今後は奈良県内の各地域の医療施設と連携し,整備さ れた環境を有効に活用する方法について取り組みが必要 である.そのためには WHO が提唱する「直接観察法」 を使用した手指衛生遵守率調査を行い,その結果や「私 の手指衛生の 5 つのタイミング」に基づいた手指衛生 教育の普及や,予算の配分が必要であると考える. 謝 辞本研究にあたり,アンケート調査にご協力いただいた 皆様に,深謝いたします. 利益相反について利益相反はない. 文 献

1) Boyce JM, Pittet D; Healthcare Infection Control Prac-tices Advisory Committee. Society for Healthcare Epidemiology of America. Association for Profes-sionals in Infection Control. Infectious Diseases Society of America. Hand Hygiene Task Force.: Guideline for Hand Hygiene in Health-Care Settings: recommenda-tions of the Healthcare Infection ControlPractices Ad-visory Committee and the HICPAC/SHEA/APIC/ IDSA Hand Hygiene Task Force. Infect Control Hosp Epidemiol 2002; 23: S340.

2) Monnet DL, Sprenger M: Hand hygiene practices in healthcare: measure and improve. Euro Surveill 2012; 17(18).

3) Haas JP, Larson EL: Measurement of compliance with hand hygiene. J Hosp Infect 2007; 66: 614.

4) Boyce JM: Measuring healthcare worker hand hygiene activity: current practices and emerging technologies. Infect Control Hosp Epidemiol 2011; 32: 101628. 5) 西岡達也,岡本和恵,井澤初美,但馬重俊,服部英

喜速乾性手指消毒剤による手指衛生の遵守率向上へ の取り組みとその評価.環境感染誌 2010; 25: 3740. 6) World Health Organization: WHO guidelines on hand

hygiene in health care; ˆrst global patient safety challenge; clean care is safer care. Geneva, Switzer-land, World Health Organization, Patient Safety. 2009. 7) 近畿感染管理ベストプラスティクス部会・東北感染制 御ネットワークベストプラクティス部会感染管理ベ ストプラクティス―実践現場の改善をめざして―第2 版事例集.2009. p. 445.

8) McBride ME: Microbial ‰ora of in-use soap products. Appl Environ Microbiol 1984; 48: 33841.

9) Sartor C, Jacomo V, Duvivier C, Tissot-Dupont H, Sambuc R, Drancourt M: Nosocomial Serratia mar-cescens infections associated with extrinsic contamina-tion of a liquid nonmedicated soap. Infect Control Hosp Epidemiol 2000; 21: 1969. 10) 久留野紀子,小林寛伊,大久保憲,比江島欣愼,梶浦 工短時間ラビングによる手指衛生.医療関連感染 2009; 2: 5760. 〔連絡先〒6348522 奈良県橿原市四条町840 番地 奈良県立医科大学大学院医学研究科感染病態制御学 久留野紀子 E-mail: kuruchan@kxd.biglobe.ne.jp〕

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Questionnaire Survey on Status of Hand Hygiene in Nara Prefecture

Noriko KURUNO1), Kei KASAHARA2), Keiichi MIKASA2), Hajime MATSUURA3,4)and Junko TOKUTANI3,4)

1)Nara Medical University, Graduate School of Medicine,2)Center for Infectious Diseases, Nara Medical University, 3)Department of Nursing,4)Infection Control Team, Nara Medical University Hospital

Abstract

Hand hygiene is recognized as one of the most important measures for preventing the spread of health care-associated infections, but there is little data regarding the actual situation of hand hygiene practice in Japan. Therefore, we undertook a questionnaire survey in Nara Prefecture to elucidate the current situation. Questionnaires were sent to 23 nurses from 23 institutions who par-ticipated at the meeting of the Nara Infection Control Network held on October 15, 2011. Eighteen institutions responded to the survey. All hospitals were equipped with liquid soap and hand hygiene antiseptics. Eight hospitals(44) surveyed hand hygiene compliance, but only one gave the hand hygiene compliance rate. All institutions had educational programs at least once a year. The pro-grams included instruction on hand hygiene, educational movies, and evaluation of hand hygiene practice with ‰uorescent powder. Most of the hospitals had adequate hand hygiene equipment and provided educational programs for hand hygiene. However, hospitals with adequate hand hygiene monitoring such as direct observation are rare.

参照

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