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第 23 回星陵循環器懇話会 日時 : 平成 29 年 7 月 1 日 ( 土 ) 会場 : 江陽グランドホテル 4 階真珠の間 0

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第 23 回星陵循環器懇話会

日時:平成 29 年 7 月 1 日(土)

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第 23 回星陵循環器懇話会プログラム

13:00 開会の挨拶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・下川宏明教授

症例検討会(1演題 10 分、発表 7 分+質疑 3 分)

座長) 矢作 浩一 (13:05~13:35) 1) 心原性塞栓による心筋梗塞と脳梗塞を発症し死亡した一例 寿泉堂綜合病院 循環器内科 齋藤美加子、谷川俊了、水上浩行、鈴木智人、 金澤正晴 2) 心臓カテーテル検査実施後、短期間でAMI を発症した症例の報告 仙台オープン病院 循環器内科 小鷹悠二、牛込亮一、瀧井 暢、杉江 正、 浪打成人、加藤 敦 3) ベバシツマブ併用 FOLFILI 療法経過中にたこつぼ型心筋症を発症し、脳塞栓症で死 亡した一症例 国際医療福祉大学病院 循環器内科 齊藤大樹、佐竹洋之、高田剛史、兼光伯法、 福田浩二、武田守彦、柴 信行 座長) 青木 竜男 (13:35~14:15) 4) 診断に苦慮したMRSA 性化膿性心膜炎の一例 気仙沼市立病院 循環器科 佐藤綾香、但木壮一郎、小枝秀仁、圓谷隆治、尾形和則 東北大学 循環器内科 青木竜男、杉村宏一郎、下川宏明 5) 黄色ブドウ球菌による感染性心内膜炎に運動失調を合併した1 例 みやぎ県南中核病院 循環器内科 福井健人、富岡智子、伊藤愛剛、塩入裕樹、 小山二郎、井上寛一 6) 大腸癌治療中に多発性脳梗塞を発症し非感染性心内膜炎の診断となった一剖検例 岩手県立中央病院 循環器内科 泉 聖也、和山啓馬、中田貴史、門坂崇秀、渡辺 翼、 佐藤謙二郎、金澤正範、近藤正輝、遠藤秀晃、高橋 徹、中村明浩、野崎英二

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7) 経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)が著効した閉塞性肥大型心筋症(HOCM)の 1 例 大崎市民病院 循環器内科 小田惇仁、藤橋敬英、辻薫菜子、山内 毅、高橋 望、 竹内雅治、岩渕 薫

休憩 (14:15~14:20)

座長) 中野 誠 (14:20~14:50) 8) 先天性QT 延長症候群に対する S-ICD 植込み患者の分娩・出産を経験した一例 平鹿総合病院 循環器内科 小野優斗、中嶋壮太、武田 智、深堀耕平、伏見悦子、 高橋俊明、堀口 聡 9) 心房粗動に対するカテーテルアブレーションにより血行動態の著明な改善を認めた大動脈 弁閉鎖不全症の一例 いわき市立総合磐城共立病院 循環器内科 鴻地由大、瀬川将人、安達祐理、工藤 俊、 塙 健一郎、高木祐介、相澤健太郎、山下文男、山本義人、杉 正文 10) 典型的な検査所見を呈し CRT-P とステロイド加療が奏効した心サルコイドーシスの 一例 いわき市立総合磐城共立病院 循環器内科 安達祐理、工藤 俊、鴻地由大、瀬川将人、 塙 健一郎、高木祐介、相澤健太郎、山下文男、山本義人、杉 正文 座長) 高橋 徹 (14:50~15:30) 11) 肺高血圧症を示した血球貪食症候群 国立病院機構仙台医療センター 循環器内科 村井 翔、林 秀華、高橋佳美、 山中信介、藤田 央、山口展寛、尾上紀子、石塚 豪、篠崎 毅 12) ペースメーカー電池交換時に発覚し、心収縮低下の過程を追えたFabry 病の一例 山形県立中央病院 循環器内科 數野 健、鈴木康太、高橋克明、佐藤大樹、 大道寺飛雄馬、加藤重彦、玉田芳明、福井昭男、松井幹之、矢作友保 東北大学病院 循環器内科 山本沙織、杉村宏一郎、下川宏明 13) 冠動脈起始異常を有する急性冠症候群の一例 大曲厚生医療センター 循環器科 宇塚裕紀、加藤結花、高橋陽一郎

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14) 当院でのTAVI ( Transcatheter Aortic Valve Implantation ) の成績 〜50 例を終えて〜 東北大学 循環器内科 土屋 聡、松本泰治、杉澤 潤、佐藤公一、須田 彬、 池田尚平、進藤 智彦、菊地 翼、羽尾清貴、高橋 潤、下川宏明 同 心臓血管外科 鈴木佑輔、熊谷紀一郎、川本俊輔、斎木佳克 同 麻酔科 我妻俊弘 15:30 閉会の挨拶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・下川宏明教授

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演題抄録

1) 心原性塞栓による心筋梗塞と脳梗塞を発症し死亡した一例 寿泉堂綜合病院 循環器内科 齋藤美加子、谷川俊了、水上浩行、鈴木智人、 金澤正晴 【症例】71 歳、男性【主訴】前胸部痛【既往歴】8 年前より心房細動、高血圧、高尿 酸血症にてワルファリン内服。【現病歴】2017 年 3 月某日、胸痛発作あり近医受診。 ST 低下所見を認め翌日紹介予定となった。同日夜から胸背部痛が出現したが翌朝まで 我慢し独歩で当院を受診した。【経過】心電図では心房細動と V1-2 の R 波増高、V3-6 の ST 低下、CPK 3919 IU/L の上昇を認め、緊急 CAG を施行した。LCX 起始部に 99%狭 窄を認め PCI を施行、IVUS で血栓像あり血栓吸引を行ったところ大きな血栓が引けて #11 0%狭窄に改善したため血栓吸引のみで終了した。PCI 後の経胸壁エコーでは左房 内血栓は認めずヘパリン点滴とアピキサバン内服を開始したが、翌日右半盲と記憶障 害が出現し頭部 MRI 検査で左後大脳動脈閉塞を認め脳塞栓症の診断となった。脳塞栓 はエダラボン点滴で保存的加療を行い翌日には左後大脳動脈の再開通を認め、右半盲 は残存したものの 25 病日に独歩退院した。退院 22 日目に非定型肺炎にて呼吸器内科 に入院しアピキサバン内服を継続していたが、抗菌薬投与後も肺炎増悪し 6 病日目に 意識障害を呈し頭部 MRI で多発脳塞栓の所見を認めた。その後意識障害と呼吸不全が 悪化し 15 病日に死亡した。【考察】今症例は抗凝固療法中にもかかわらず 2 ヶ月間に 3 回の塞栓症と肺炎を発症し死亡した。悪性腫瘍に伴うトルソー症候群を疑い剖検を 施行したが、両側肺炎以外には悪性腫瘍や心内血栓の所見は認めず、多発塞栓症は心 房細動が主な要因と考えられた。 2) 心臓カテーテル検査実施後、短期間で AMI を発症した症例の報告 仙台オープン病院 循環器内科 小鷹悠二、牛込亮一、瀧井 暢、杉江 正、 浪打成人、加藤 敦 近年、冠動脈造影において中等度狭窄病変に対する FFR は、狭窄病変の治療適応 を判定する手技として確立されつつあります。

今回我々は、冠動脈造影及びFFR にて PCI defer と判断しましたが、短期間で AMI を発症し、緊急PCI を必要とした症例を経験したため報告いたします。

【症例】80 歳女性 経過:健診の心電図にて前胸部誘導V1-6 で陰性T波を指摘され、 coronary T 様であったため、2017/3/28、心臓カテーテル検査を施行しました。LAD#7 に 75%狭窄を認めるも、FFR0.82 にて現時点で PCI 適応なしと判断しました。 LDL141 と高値であったため、ピタバスタチン 2mgを導入し、年 1 回心電図、心エ

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コーをフォローする方針として退院となりました。 2017/5 月初旬から、労作時の胸部違和感が出現するようになり、5/14、朝 7 時頃 に強い胸部絞扼感が出現し、当院に救急搬入されました。心電図にて前胸部誘導で ST 上昇所見を認め、AMI として緊急カテーテル検査を施行したところ、前回評価し た#7 の病変部で閉塞していたため、同部位に PCI を施行(SYNERGY3.5*24 留置)し、 良好な血流を得て治療を終了しました。 3) ベバシツマブ併用 FOLFILI 療法経過中にたこつぼ型心筋症を発症し、脳塞栓症で死亡 した一症例 国際医療福祉大学病院 循環器内科 齊藤大樹、佐竹洋之、高田剛史、兼光伯法、 福田浩二、武田守彦、柴 信行 症例:男性、69 歳 主訴:嘔気、嘔吐 既往歴:上行結腸癌・下行結腸癌に対して切除術、人工肛門造設 冠危険因子:糖尿病、高血圧症 現病歴:平成29 年 4 月 19 日から結腸癌に対する術後化学療法としてベバシツマブ併 用FOLFILI 療法が開始された。 5 月 6 日に化学療法2クール目が行われた後から、悪心、嘔吐の症状が持続。 5 月 9 日に嘔吐を主訴に救急外来を受診した。来院時、高カリウム血症を伴った急性 腎不全の状態に加えて、心臓超音波検査上心尖部の壁運動低下と心基部の過収縮が見 られた。緊急入院とし、集中治療室へ入室した。 臨床経過:補液を行ったところ、速やかに利尿が得られ、急性腎不全、高カリウム血 症は第1病日から速やかな改善が得られた。第3 病日に心臓超音波検査を施行したと ころ、心尖部の壁運動低下に著変は見られなかったが、左室心尖部に血栓の形成が認 められた。同日から抗凝固療法を開始したが、第8 病日午後 8 時頃に、突然左上下肢 の脱力、左半側空間無視が出現。頭部 MRI で右中大脳動脈領域の広範な脳梗塞を認 めた。t-PA の使用が可能な時間であったが、ワルファリン内服中であったこと、化学 療法による骨髄抑制が原因の血小板低下状態であったことから t-PA の適応外である と判断し、対症療法を行なう方針となった。第 10 病日に脳浮腫が増悪し、意識レベ ルが低下。第11 病日御永眠された。 考察:本症例では、化学療法の経過中にたこつぼ型心筋症様の壁運動異常が認められ た。たこつぼ型心筋症の原因としては、多枝攣縮、微小循環傷害、カテコールアミン などが考えられている。化学療法の経過中にたこつぼ型心筋症を発症する症例はいく つか報告されているが、ベバシツマブ併用FOLFILI のレジメンでの報告はまだなく、 注意が必要と思われる。また、たこつぼ型心筋症における心内血栓の発生は3~5% と言われているが、抗凝固療法の是非については一定の見解は得られていない。慢性

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期には壁運動異常の回復する症例がほとんどであることから、心内血栓の形成は高率 な塞栓源となる。たこつぼ型心筋症における抗凝固療法の適応を検討する重要性を示 唆する症例であると思われた。 4) 診断に苦慮した MRSA 性化膿性心膜炎の一例 気仙沼市立病院 循環器科 佐藤綾香、但木壮一郎、小枝秀仁、圓谷隆治、尾形和則 東北大学 循環器内科 青木竜男、杉村宏一郎、下川宏明 症例は 70 才女性、自己免疫性肝炎、尋常性乾癬にて当院内科、皮膚科で治療中、6 月中旬より皮膚病変の悪化にて当院入院、その後発熱、頻拍、低酸素血症出現し精査 目的に当科紹介となった。 心エコー及び CT にて心囊液貯留を認め、その他の所見から大動脈解離や急性心筋 梗塞は否定的であり、心膜炎を疑った。可溶性 IL-2 の上昇、CT にて軽度のリンパ節 腫脹を認めたが、鼠径部リンパ節生検ではリンパ腫細胞は認めず、その他悪性疾患を 示唆する所見は認めなかった。肝腫大の為経皮的な穿刺が困難であり、第 30 病日外 科的ドレナージを含めた心膜炎精査加療目的に東北大学病院へ転院となった。 同院にて外科的ドレナージ施行、心囊液の培養及び血液培養から MRSA が検出された。 バンコマイシン(VCM)の投与を開始、心囊液再貯留がないことを確認しドレーン抜去、 再増悪ないことを確認の上、リハビリテーション目的に第 60 病日当院へ転院となっ た。 MRSA 性感染性心膜炎は比較的稀であり、本例においても当初は悪性疾患、自己免疫 性疾患を中心に検討していたが、本例のようにステロイド治療中の Compromised host においては念頭におくべき病態の一つであり、早期に心囊穿刺、ドレナージを行うべ きであったと考えられた。 5) 黄色ブドウ球菌による感染性心内膜炎に運動失調を合併した 1 例 みやぎ県南中核病院 循環器内科 福井健人、富岡智子、伊藤愛剛、塩入裕樹、 小山二郎、井上寛一 【症例】32 歳男性【現病歴】朝から悪寒・全身倦怠感を自覚し、日中駅で意識朦朧と し倒れたため救急搬送された。【既往歴】心室中隔欠損症(VSD)【臨床経過】心臓超音 波にて VSD 欠損孔に付着する疣贅を認め、血液培養にて黄色ブドウ球菌が検出され、 感染性心内膜炎(IE)と診断し抗菌薬の投与を開始した。また初診時から見当識障害、 小脳失調、腱反射消失を認め、脳血流シンチグラフィにて両側小脳血流低下を認めた が、炎症の消退に伴い症状は軽快した。【考察】本症例は黄色ブドウ球菌を起因菌と する IE に伴いなんらかの自己抗体が産生され ギランバレー症候群の亜型と言われ

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るフィッシャー症候群を併発したと考えられる。黄色ブドウ球菌による IE にギラン バレー症候群が併発した報告はあるが、本症例の様に運動失調も伴う重症例の報告は 見られず極めて珍しいと考えられ報告する。 6) 大腸癌治療中に多発性脳梗塞を発症し非感染性心内膜炎の診断となった 一剖検例 岩手県立中央病院 循環器内科 泉 聖也、和山啓馬、中田貴史、門坂崇秀、 渡辺 翼、佐藤謙二郎、金澤正範、近藤正輝、遠藤秀晃、高橋 徹、中村明浩、 野崎英二 症例は 60 代女性。上行結腸癌(Stage Ⅳ)の診断で原発巣切除。CV ポートが挿 入され、術後化学療法が施行されていた。2016 年 4 月に失語、左上下肢麻痺を発症 し当院へ救急搬送となった。頭部 MRI で右中大脳動脈領域を含む多発脳梗塞を認め た。直ちに血栓回収療法がおこなわれ、当院神経内科へ入院となった。第6 病日に心 エコー検査を施行。大動脈弁に長径 12mm の疣贅と大動脈弁逆流を認め当科へ紹介 となった。感染性心内膜炎と考え血液培養施行の上、セフトリアキソン、ゲンタマイ シンの投薬を開始した。しかし大動脈弁逆流の増悪とともに、急速に呼吸状態が悪化、 第 11 病日に永眠された。ご家族の同意を得て病理解剖を施行。大動脈弁に疣贅を認 めたが、病理的にはフィブリン、血小板が主体で非感染性心内膜炎の診断と至った。 本症は悪性腫瘍を背景にみとめられ、塞栓症の原因となるが、弁機能不全を呈するこ とはまれといわれている。今回われわれは非感染性心内膜炎により大動脈弁閉鎖不全 を発症し救命できなかった一例を経験したので報告する。 7) 経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)が著効した閉塞性肥大型心筋症(HOCM)の 1 例 大崎市民病院 循環器内科 小田惇仁、藤橋敬英、辻薫菜子、山内 毅、高橋 望、 竹内雅治、岩渕 薫 【症例】75 歳女性【現病歴】1 年前から労作時の息切れ、胸痛が生じるようになって いた。平成27 年 5 月 2 日に動悸を主訴に近医を受診した。収縮期駆出性雑音が聴取 され、心エコーで左室流出路の圧較差50mmHg を計測した。閉塞性肥大型心筋症が 疑われ、β遮断薬が処方開始された。5 月 8 日、精査加療目的に当科外来紹介となっ た。【既往歴】不安神経症、めまい症、高血圧、狭心症、急性胆嚢炎(胆嚢摘出術後) 【内服薬】ビソプロロール10mg、アムロジピン 5mg、オルメサルタン 10mg【生活 歴】職業は塾経営、喫煙歴なし【現症】身長 146cm 体重 63kg 血圧 138/72mmHg、

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心拍数 60bpm 整、頸静脈怒張なし、両側下腿浮腫なし、顔面浮腫なし、呼吸音清、 収縮期駆出性雑音を第3 肋間胸骨左縁で聴取、NIHAⅢ度【検査結果】<L/D>BUN 9.4mg/dl,Cre 0.78mg/dl,BNP 303.3pg/ml<Xp>心胸郭比 56%、肺うっ血なし、胸水 貯留なし<ECG>洞調律、心拍数 55bpm、正常軸、左室高電位<UCG>EF70%、 壁運動低下なし、IVST d/s 11.4mm/17.3mm、LVD d/s 44.3mm/26.1mm、LVPWT d/s 11.6mm/13.7mm 、左室流出路で狭窄とモザイク血流、流速 4.9m/s 、圧較差 97.7mmHg、僧帽弁収縮期前方運動(+)、大動脈弁収縮中期半閉鎖(+)、大動脈弁 の開放制限なし、MR Ⅲ°、AR trivial、TR trivial 、PR なし<心臓 MRI>左室の 全周性の壁肥厚あり、心室中隔壁厚 20mm 明らかな病的増強効果を示唆する遅延造 影はなし、<両心カテーテル検査>冠動脈に有意狭窄なし、EF78%、PCWa/v/m: 23/16/16mmHg、PA:45/15/25mmHg、RV:44/2/8mmHg、RA:8/5/5mmHg、LV: 275/9/36mmHg、Ao:86/28/53mmHg、CO:5.56L/min、CI:3.35【経過】外来で シベンゾリン 200mg を開始したが圧較差の改善を認めず、薬物治療抵抗性と判断し 経皮的中隔心筋焼灼術を行う方針とした。7 月 17 日に施行し、心室中隔枝 2 本にエ タノールを注入して術前圧較差150mmHg が 54mmHg まで改善を認めた。術後から 右脚ブロックを呈するようになった。Peak CK は 829 U/L であった。術後 10 日目の 心エコーでは中隔基部で壁運動低下を認め左室流出路圧較差 35.4mmHg へ減少、 僧帽弁収縮期前方運動は消失しMR はⅡ°へ改善した。 心臓 MRI では心室中隔壁厚 は菲薄化し、12mm となった。リハビリテーションを行い、術後 20 日目に自宅退院 となった。1 年後の心エコーでは左室流出路圧較差 112mmHg で、息切れ、胸痛の訴 えはなかった。以後は近医での経過観察とした。【結語】薬物治療抵抗性を示した HOCM に対し、PTSMA を行い圧較差、MR の改善、自覚症状の軽快を認めた 1 例 を経験した。 8) 先天性 QT 延長症候群に対する S-ICD 植込み患者の分娩・出産を経験した一例 平鹿総合病院 循環器内科 小野優斗、中嶋壮太、武田 智、深堀耕平、伏見悦子、 高橋俊明、堀口 聡 【症例】36 歳、女性【既往歴】特記事項なし【家族歴】父親:PAF、母親:LQTS、Vf surviver にて TV-ICD 植込【現病歴】幼少期より PVC を指摘されており、成長とともに増加傾 向であった。X-3 年頃より胸部不快感や失神を認めていたが、同年、TdP による意識 消失にて当院へ救急搬送された。triggerPVC(RVOT)に対して 2 度の RFCA を施行し たところ、1 度目の RFCA では TdP が再発し、心肺蘇生後に低体温療法まで施行された が、2 度目の RFCA 後より PVC はほぼ消失し、以降内服にて良好なコントロールを得た。 TV-ICD 植込みに対しては母親の意識下通電を見ていることもあり消極的であったが、 X-1 年、他院にて S-ICD 植込術を施行された。その後挙児希望あり、抗不整脈薬を休 薬し、妊娠が発覚した。X 年、当院産婦人科にて無痛分娩による計画分娩を行う方針

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となり、S-ICD off 下での分娩となったが、VT/Vf の出現はなく、経膣分娩にて女児 を出産した。【考察】S-ICD は周囲のノイズを受けやすく、筋収縮による筋電図を頻脈 と認識し、不適切に作動する可能性が考えられる。本症例は、S-ICD 植込患者の初産 であり、周産期ストレスによる VT/Vf の出現のみならず、陣痛時の筋収縮による S-ICD の不適切作動が懸念された。出産直前の心電図にて筋収縮による小さなノイズが検出 されたが、不適切作動が起こる程のものではなく、無痛分娩下であれば不適切作動な く経膣分娩が可能であると推察された。しかし、無痛分娩を行わない通常の経膣分娩 の場合は、筋収縮による不適切作動の可能性は否定できない。 9) 心房粗動に対するカテーテルアブレーションにより血行動態の著明な改善を認めた大 動脈弁閉鎖不全症の一例 いわき市立総合磐城共立病院 循環器内科 鴻地由大、瀬川将人、安達祐理、 工藤 俊、塙 健一郎、高木祐介、相澤健太郎、山下文男、山本義人、杉 正文 【症例】61 歳男性 【現病歴】完全房室ブロックに対して 2009 年にペースメーカー植込みを行った患者。 2014 年に二尖弁による中等度~高度の大動脈弁閉鎖不全症を指摘されていたが、心不 全症状はなく LVDd=56.1mm, LVDs=35.0mm, LVEF=67%と左室腔の拡大なく収縮力も良 好であったため経過観察の方針となった。 2016 年 10 月頃から心房粗動様の波形が出現し、胸部違和感・息切れを認めるように なった。改めて心精査の依頼があり再紹介となった。なお、心エコーの所見は 2014 年時と著変はなかった (LVDd=50.6mm, LVDs=35.5mm, LVEF=56.7%)。心臓カテーテル 検査を施行したところ冠動脈には有意な狭窄は認めなかったものの、造影上 Sellers Ⅲ度の高度の逆流を認めた。一方、症状関与に心房粗動が影響している可能性がある と考え、カテーテルアブレーション(三尖弁-下大静脈狭部への線状焼灼)を施行した。 アブレーションの前後で右心カテーテルを測定したところ CO:3.41→4.86(CI:1.97 →2.80)と著明な改善を認めた。 【結語】心房粗動に対するアブレーションの前後で血行動態が著明に改善した大動脈 弁閉鎖不全症の症例を経験した。大動脈弁閉鎖不全症の手術に関しては、今後の臨床 経過を注意深く観察していく。

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10) 典型的な検査所見を呈し CRT-P とステロイド加療が奏効した心サルコイドーシスの 一例 いわき市立総合磐城共立病院 循環器内科 安達祐理、工藤 俊、鴻地由大、 瀬川将人、塙 健一郎、高木祐介、相澤健太郎、山下文男、山本義人、杉 正文 症例は 57 歳女性。高血圧、糖尿病にて近医加療中であった。2015 年の健診では特 記所見を指摘されなかったが 2016 年に健診心電図にて完全左脚ブロックを指摘され たため近医循環器内科を受診した。2 ヶ月後の経過観察時に徐脈と息切れ症状があり、 心電図にて完全房室ブロックを認めたため当科を紹介受診し、心臓超音波検査にて左 室駆出率 46%と低下を認めたため精査加療目的に入院した。入院後、次第に房室伝導 の改善がみられたが、血清リゾチーム 18.0 μg/ml、可溶性 IL-2 受容体 802 U/ml と高値であり、サルコイドーシスを強く疑った。Tc-99m 心筋血流シンチグラフィでは 左室前壁から下壁にかけての血流低下を認め、Gd 遅延造影 MRI では左室下壁に遅延造 影効果を認めたほか、右鼠径リンパ節、鼻根部の皮疹の生検にて非乾酪性肉芽腫を同 定したことより心・皮膚サルコイドーシスと確定診断した。心サルコイドーシスに伴 う高度房室ブロックと wide QRS (164 msec)を認めることより両心室ペーシングの適 応と判断し、第 15 秒日に CRT-P デバイス植え込みを施行した。創部治癒の後にステ ロイド療法のため再入院し、プレドニゾロン 30mg/日より開始、4 週毎に 5 mg ずつ漸 減し 20mg で退院した。退院時の心臓超音波検査では左室駆出率 60%と正常心機能へ と改善し、血清リゾチーム 7.3 μg/ml、可溶性 IL-2 受容体 278 U/ml と低下してお りサルコイドーシスの活動性が抑制されていることを示唆した。高度房室ブロックを 呈した若年女性であることから心サルコイドーシスと診断され、両心室ペーシングと ステロイド療法が奏効した一例を経験したので報告する。 11) 肺高血圧症を示した血球貪食症候群 国立病院機構仙台医療センター 循環器内科 村井 翔、林 秀華、高橋佳美、 山中信介、藤田 央、山口展寛、尾上紀子、石塚 豪、篠崎 毅 【症例】81 歳、男性【主訴】息切れ【現病歴】患者は 2014 年血液内科にて血球貪食 症候群(HPS)と診断された。悪性リンパ腫の存在を強く疑われ、CHOP 療法により可溶 性 IL-2 受容体(sIL-2R)は 5552U/ml から 270U/ml に低下し、HPS の症状は改善した。 2016 年 4 月食欲不振、息切れ、低酸素血症(PaO2 47mmHg, PaO2 28mmHg)の増悪のため 再び入院となった。右心不全症状、右室拡大、及び肺高血圧(心エコーによる推定肺 動脈平均圧 26mmHg)を認めた。スパイログラム、肺拡散能、肺血流シンチ、ガリウム シンチ、造影 CT、経食道心エコーから肺実質疾患、肺塞栓症、門脈圧亢進症、心内シ ャントは否定され、HPS に合併した肺血管性肺高血圧と診断した。血小板が低いため 侵襲的検査は施行しなかった。HPS に由来するサイトカインが肺高血圧の原因である

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と考え、CHOP 療法を 1 回施行した。その 1 週間後に推定肺動脈圧は 14mmHg に低下し、 低酸素血症と労作時息切れは消失し、sIL-2R は 12259U/ml から 3019U/ml に低下した。 CHOP 療法を繰り返し sIL-2R は 1749U/ml まで低下し,退院となった。【考察】本例は HPS が肺血管性高血圧の原因であることを強く示唆しており、2013 年肺高血圧ニース 国際分類に未だ記載されていない極めて重要な症例である。 12) ペースメーカー電池交換時に発覚し、心収縮低下の過程を追えた Fabry 病の一例 山形県立中央病院 循環器内科 數野 健、鈴木康太、高橋克明、佐藤大樹、 大道寺飛雄馬、加藤重彦、玉田芳明、福井昭男、松井幹之、矢作友保 東北大学病院 循環器内科 山本沙織、杉村宏一郎、下川宏明 ❏症例:68 歳男性。 ❏既往歴:2枝ブロック、完全房室ブロック(50 歳)、胃癌(54 歳)、虫垂炎、高血 圧 ❏家族歴と家族構成:母(拡張型心筋症)、娘 2 人 ❏現病歴:幼少時に四肢の疼痛や低汗症を認めなかった。50 歳時に恒久的ペースメー カー(DDD)を植え込みされ、当院循環器外来にて高血圧とともにフォローされてい たが、H25 年 3 月からは近医紹介となった。H25 年 10 月に検診にて NT-pro BNP の上 昇(865pg/ml)を認め当院新患外来を受診された。その際の検査では、胸部レントゲ ンで心拡大・鬱血・胸水を認めなかったが、心臓超音波では全周性の心肥大と後下壁 の低収縮・心膜の輝度亢進を認めた。心不全増悪所見はなく、エナラプリル内服にて 経過観察する方針となった。その後は心不全症なく経過され、ペースメーカークリニ ックでも非持続性心室頻拍(NSVT)を認めるものの著変を認めなかった。H29 年 1 月 にペースメーカー電池消耗のために入院された。 ❏経過:予定通りペースメーカー電池交換術を施行した。Lead の閾値、波高値、イン ピーダンスは良好であり新 Generator を接続した。術後大きな合併症なく第8病日に 退院された。入院前検査の心臓超音波で心肥大の増大と後下壁の菲薄化を認め典型的 な Fabry 病の所見を認めたため白血球αガラクトシダーゼを測定したところ、2.0 nmol/mg protein/hour と高度低下を認め Fabry 病と診断した。

❏今回、ペースメーカー電池交換入院を機に心亜系型 Fabry 病と診断された一例を経 験した。現在、本症例はアガルシダーゼβの酵素補充療法を受けているが、診断まで に継時的に心機能の低下と心室壁の菲薄化を認め、NSVT も認めており早期診断が重要 であった。心 Fabry の評価として近年 T1 mapping が線維化の評価に用いられ、また、 MIBG にて早期から下壁の取り込み低下を認めることが知られており、本症例の画像を 供覧しつつ考察する。

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13) 冠動脈起始異常を有する急性冠症候群の一例 大曲厚生医療センター 循環器科 宇塚裕紀、加藤結花、高橋陽一郎 症例は 70 代男性。高血圧症と慢性腎臓病で通院加療中。平成 28 年 12 月某日、1 週間前からの労作時胸痛で当科受診した。同日入院し、翌日冠動脈造影を行った。右 冠尖で右冠動脈は造影されず、左冠尖ではJL4.0, AL1.0, AL2.0 診断用カテーテルで も造影不可で、JL5.0 で左右冠動脈がわずかに造影された。冠動脈起始異常と判明し、 6Fr. JL4 ガイドカテーテル及び冠動脈貫通用カテーテル GuidelinerV3 と 0.014 ガイ ドワイヤ、マイクロカテーテルで造影を試みた。ガイドワイヤとマイクロカテーテル を冠動脈内に挿入し、それを支えにGuidelinerV3 を冠動脈入口部に誘導し造影した。 右冠動脈#3 の 99%狭窄が判明し、引き続き PCI を行った。アンカーテクニックで GuidelinerV3 を#2 遠位部まで深く挿入して手技を行ったところ良好なバックアップ 力が得られ、スムーズに治療を完遂することが出来た。同カテーテルを用いたいわゆ る親子カテーテル法は、冠動脈起始異常を有する急性冠症候群の PCI において非常 に有用であった。文献的考察も交え報告する。

14) 当院での TAVI ( Transcatheter Aortic Valve Implantation ) の成績 〜50 例を終えて〜 東北大学 循環器内科 土屋 聡、松本泰治、杉澤 潤、佐藤公一、須田 彬、 池田尚平、進藤 智彦、菊地 翼、羽尾清貴、高橋 潤、下川宏明 同 心臓血管外科 鈴木佑輔、熊谷紀一郎、川本俊輔、斎木佳克 同 麻酔科 我妻俊弘 2014 年 5 月から当院で重症大動脈弁狭窄症に対して TAVI が施行可能となった。 TAVI は SAVR ( Surgical Aortic valve replacement ) と比較して、低侵襲であり、手 術High risk 群や in-operable 症例に対して治療が可能となった。

当院ではバルーン拡張型 valve である Sapien が 2014 年 5 月から使用開始となり、 自己拡張型valve である CoreValve は 2015 年 10 月から使用開始となった。

今回 2014 年 5 月から 2017 年 6 月まで当院で重症大動脈弁狭窄症に対して TAVI50 例を経験したため、文献的考察を踏まえ報告する。

参照

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