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愛好家サブカテゴリーの顕現化によるギャンブラーへの潜在的態度の肯定化

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受 理 日:2020 年 12 月 9 日 早期公開日:2021 年 2 月 7 日 2021, 113–124 DOI: 10.2130/jjesp.2008

〔原   著〕

愛好家サブカテゴリーの顕現化による

ギャンブラーへの潜在的態度の肯定化

1)2)3)4)

清 水 佑 輔

東京大学

岡 田 謙 介

東京大学

唐 沢 かおり

東京大学 要   約 ギャンブラーには,一般的にギャンブル依存者(以下,依存者と略す)とギャンブル愛好家(以下,愛好 家と略す)が存在する。ギャンブラーに対して少なからず否定的な態度が存在し,そのために依存者が周囲 に助けを求めにくくなっていることが指摘されている。この問題に対して,愛好家に対する相対的に肯定的 な態度を利用すれば,ギャンブラーというカテゴリー全体に対する否定的な態度を軽減できる可能性がある。 また,否定的な態度を測定するうえで,社会的望ましさ傾向の影響を考慮する必要があるが,ギャンブラー に対する顕在的態度のみが測定されることが多く,潜在的態度の検討が十分に行われていない。そこで本研 究では大学生の参加者にシナリオ実験を行い,依存者,愛好家のシナリオを読みサブカテゴリーの存在が顕 現化したとき,ギャンブラー全体に対する潜在的態度が変化するか否か検討した。その結果,サブカテゴリー としての愛好家を強調することで,ギャンブラーに対する潜在的態度を肯定化できる可能性が示された。依 存者に対する否定的な態度を考える上で,一般的に見落とされがちな愛好家の存在を顕現化するという方略 は,今後,依存者に対する態度変容を促す心理学的研究に応用できると考える。 キーワード: ギャンブル愛好家,ギャンブル依存者,潜在的態度,潜在連合テスト 問   題 賭博行為を日常的に行うギャンブラーには,依存者 と愛好家が存在することが先行研究で指摘されている。 前者は臨床的に意味のある機能障害または苦痛を引き 起こすに至る,持続的かつ反復性のある問題賭博行動 (American Psychiatric Association, 2013 高橋・大野訳 2015)

を行う人々を指す。後者はrecreational gamblers(e.g., Abt, McGurrin, & Smith, 1985)や social gamblers(e.g., Kuley & Jacobs, 1988)と呼ばれ,ギャンブルに対して適

度な関心を持ち,賭けが成功する確率をある程度理解し た上で,利益を出すことを望むような人々を指す(Abt et al., 1985)。

依存者は,強迫観念に取りつかれている,衝動的であ る(Horch & Hodgins, 2013),欲深い,反社会的な(Brown & Russell, 2020)といった否定的な態度が存在する。こ のような否定的な態度の対象となることは,患者の自尊 心低下や不安の増大といった,精神的健康に対する悪影 響を及ぼす(e.g., Corrigan & Watson, 2002)。さらに,依 存症であるというラベルを貼られることを避けるため, 第1 著者連絡先 e-mail: [email protected] 1)本研究は,第 1 著者が 2019 年度に東京大学教育学部へ提出した卒業論文の一部を加筆・修正したものである。 2)本研究は,日本学術振興会科学研究費補助金(若手研究 A,課題番号 17H04787,研究代表者岡田謙介)の 助成を受けた。本研究において,開示すべき利益相反事項はない。 3)本研究は,東京大学倫理審査専門委員会の承認を受けて実施した(審査番号 19-96)。 4)本研究の結果の一部は,日本認知科学会第 37 回大会(2020)において発表された。

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依存者は医療機関の受診を拒む傾向がある(Ben-Zeev, Young, & Corrigan, 2010)。ギャンブル依存から脱却する ためには,なるべく早く専門機関に相談し適切な治療を 受けることが重要だが,依存してから2 年以内に相談に 行った人は,吉田(2016)では,患者全体の 31.4% で あると報告されている。どうすれば否定的な態度を軽減 できるのか否か検討することは,依存者が周囲に援助を 要請し,社会復帰するために重要である。 一方,愛好家はギャンブルを適度に楽しむ人々として 一般に受け入れられている(Campbell & Smith, 2003)。 オーストラリアおよびアメリカにおいて依存者と愛好家 に対する態度を検討した先行研究(Donaldson, Langham, Best, & Browne, 2015; Palmer, Richardson, Heesacker, & DePue, 2018)では,愛好家に対する態度の方がより肯 定的であった。また,依存者には,周囲から否定的な態 度を向けられることを避けるため,ギャンブルにのめり こんでいることを隠し,自らが愛好家であると思われる ように家族や友人に対して振る舞う傾向があり(Miller & Thomas, 2017),愛好家の方が一般的に受け入れられ やすいという認識がギャンブラーの間で存在することが わかる。また,ギャンブラー,病的なギャンブラー,お よびギャンブル依存という3 つのカテゴリーに対し,そ れ ぞ れ に 当 て は ま る 単 語 を 参 加 者 に 尋 ね たHorch & Hodgins(2013)では,ギャンブラーカテゴリーに対す る多くの回答が否定的な内容であり,病的なギャンブ ラーとギャンブル依存のカテゴリーに当てはまる単語と 同一のものが多かった。Horch & Hodgins(2013)では, この結果について,依存者,愛好家のどちらも含む曖昧 なギャンブラーというカテゴリーに対して,参加者が依 存者の方をより強く想起したためであろうと考察されて いる。つまり,ギャンブラーというカテゴリーに当ては まる典型的なステレオタイプは,賭博にのめりこむ依存 者の姿であると考えられる。一方,愛好家に対する態度 は肯定的であるが,ギャンブラーというカテゴリーを代 表する典型的な例であるとは一般的に認知されていない と言える。 しかし,日本における依存者と愛好家の数を比べると, 愛好家も多く見られると考えられる。日本医療研究開発 機構が行った国内のギャンブル等依存に関する疫学調査 の中間報告(樋口・松下,2017)によると,生涯におい て一度でもギャンブル等依存症が疑われる者の割合は 3.6% に留まっていた。一方,愛好家に関する全国的な 統計は見当たらないものの,大学生におけるギャンブル への接触の実態を調査した高田・湯川(2011)では,参 加者の18% が現在何らかのギャンブルを行っていると 回答した。また,大学生に対してギャンブル経験の有無 を尋ねた品川(2010)では,参加者の 39% が少なくと も一度ギャンブル経験をもっていると回答した。一般 に,人々はギャンブラーの典型例を依存者であると捉 えやすいが,実際には愛好家も多く存在すると考えられ る。そこで,ギャンブラーの中の愛好家というサブカテ ゴリーを顕現化し強調することで,ギャンブラー全体へ の態度が肯定化する可能性があると言える。 ギャンブラーの中の愛好家というサブカテゴリーに注 目させる際,愛好家がサブタイプ化される,あるいはサ ブグループ化される可能性がある。サブタイプ化は,対 象がカテゴリーの中で例外的であると認識されること (Weber & Crocker, 1983)である。一方,サブグループ 化は,他の集団成員たちと異なり,何らかの類似点を持 つ人々に関する情報を統合し,いくつかの下位集団が作 られること(Maurer, Park, & Rothbart, 1995)である。こ のようなサブグループは,人種(Devine & Baker, 1991) や性別(Eckes, 1996)といった,多くの被ステレオタ イプ的集団において存在することが知られており,サブ グループ化は,否定的なステレオタイプの緩和に有効で あることが示唆されている。例えば,高齢者に対する サブグループ化について検討したBrewer, Dull, & Lui (1981)は,高齢のセールスマン,優しい祖母のような 高齢者,および比較的若い高齢者といったサブカテゴ リーをそれぞれ顕現化したとき,一般的な高齢者に対す る否定的なステレオタイプが想起されづらくなったこと を報告している。またRomer & Bock(2008)は,精神 障害者の中に,適切な治療を受けている患者も多く存在 するという情報を与えると,このような患者がサブグ ループ化され,精神障害者に対する典型的なステレオタ イプの1 つである暴力性の評定が低くなるという結果を 得ている。このようなサブグループ化が起こると,意識 された対象の重要性が向上し,カテゴリー全体に対して 新たな見方が出来るようになるという点で肯定的な結果 が生まれる(Richards & Hewstone, 2001)。よって,ギャ ンブラーの中に占める愛好家の割合が相対的に大きいこ とを強調し,サブグループ化を促せばギャンブラーに対 する態度が肯定化しやすいと考えられる。

ギャンブラーに対する否定的態度を軽減するための具 体的な方略に関する研究は乏しく(Brown & Russell, 2020),潜在的指標による検討は十分に行われていない。 Ladouceur, Ferland, Vitaro, & Pelletier(2005)は,ギャ ンブル依存症に関するビデオ教材を見せることで,参加 者の否定的な態度が緩和することを示したが,参加者の 態度は32 項目から成る自己評定の質問紙を用いて測定

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されている。このように顕在的指標による測定を行う場 合,参加者が研究者の意図を汲み取って偏った回答をし てしまう回答者バイアスの影響が考えられる。また,否 定的態度のような社会的に望ましくないとされるもの は,社会的望ましさ傾向が働きやすいと言われている (Dovidio, Kawakami, & Gaertner, 2002)。特にギャンブル は,社会的にスティグマ化されており,顕在的指標に 対する社会的望ましさ傾向の影響が大きい(Preston, Bernhard, Hunter, & Bybee, 1998; Yi & Kanetkar, 2010)た め,潜在的指標も含めた検討が重要となる。

ギャンブルに関する潜在的態度を扱った数少ない例と して,Yi & Kanetkar(2010)では,中程度から高程度の リスクを抱えるギャンブル依存者は,軽度の依存者や ギャンブルを行わない人に比べて,ギャンブルに対する 潜在的態度が肯定的であることを示している。同様に, Brevers et al.(2013)においても,ギャンブル依存者は, そうでない人に比べてギャンブルに対する潜在的態度が 肯定的であるという結果を得ている。しかし,これらの 研究は,ギャンブルに依存している程度とギャンブルに 対する潜在的態度の関連を検討するに留まっており,潜 在的態度の変化という側面に踏み込んでいない。 そこで本研究では,ギャンブラーに対する潜在的態 度 を 潜 在 連 合 テ ス ト(Implicit Association Test (IAT); Greenwald & Banaji, 1995)の変形版である Single-Category Implicit Association Test(SC-IAT; Karpinski & Steinman, 2006)を用いて測定する。ギャンブラーという概念は対 にあたるものがない単一の概念であるため,SC-IAT を 用いる。IAT は対象との潜在的連合の強さの変化に敏感 であり(e.g., Mitchell, Anderson, & Lovibond, 2003),潜 在的態度の変化を測定する本研究に適していると考えら れる。本研究では,シナリオによって各サブカテゴリー を顕現化することによる,参加者の潜在的態度変化に着 目する。また,顕在的態度について,これを参加者がシ ナリオを読む前に測定する場合,その尺度項目に回答す ることによって,「ギャンブラーとの交流を避ける」こ とに対するアクセシビリティが一時的に高まると想定さ れる。これは,参加者がシナリオに対して抱く印象や, その後の潜在的態度の測定に影響を及ぼす可能性がある ため,望ましくないと考えられる。よって本研究では, 顕在的態度を,シナリオ後のSC-IAT の実施を終えた後 にのみ測定することとする。 本研究の目的は,ギャンブラーというカテゴリーの中 の,反ステレオタイプ的な愛好家というサブカテゴリー に注目した場合に,ギャンブラーに対する潜在的態度が 肯定化するか否か検討することである。 方   法 実験参加者 東京都内に在学する健常な大学生40 名(男性 20 名, 女性20 名,18–25 歳)が参加した。参加者の平均年齢 は男性21.2 歳(SD=1.39),女性 20.3 歳(SD=1.65)で あった。参加者に対し,研究への参加に同意しない場合 でも不利益を受けないこと,データは匿名化され個人情 報は厳密に守られること,一旦同意書に署名した後でも 撤回する権利を有することを説明した。 実験計画 シナリオ(依存者シナリオ,愛好家シナリオ)を実験 参加者間要因,測定時点(シナリオを読む前後)を実験 参加者内要因とする,二要因混合計画とした。 潜在的態度

Karpinski & Steinman(2006) に 倣 っ た SC-IAT を, OpenSesame3 を用いて作成し,潜在的態度を測定した。 SC-IAT の手続きについて表 1 に示した。ポジティブな 単語とギャンブラーに関する単語を右に,ネガティブな 表1 SC-IAT の手続き ブロック 試行数 種類 左(E キー) 右(I キー) p1 24 練習 ネガティブ ポジティブ+ギャンブラー p2 24 本番 ネガティブ ポジティブ+ギャンブラー p3 24 本番 ネガティブ ポジティブ+ギャンブラー n1 24 練習 ネガティブ+ギャンブラー ポジティブ n2 24 本番 ネガティブ+ギャンブラー ポジティブ n3 24 本番 ネガティブ+ギャンブラー ポジティブ Note.ブロック p1,p2,p3 を先に行うか,n1,n2,n3 を先に行うかは,それぞれランダ ムに決定された。

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単語を左にカテゴリー分けする条件(ポジティブ条件: p1,p2,p3)と,ポジティブな単語を右に,ネガティブ な単語とギャンブラーに関する単語を左にカテゴリー分 けする条件(ネガティブ条件:n1,n2,n3)を設けた。 Yi & Kanetkar(2010)を参照し,ポジティブな単語は「偉 大な,豪華な,満足な,面白い,すばらしい」,ネガティ ブな単語は「邪悪な,憂鬱な,悲惨な,薄暗い,おそろ しい」とした。画面上に呈示した属性語は「ポジティブ」 と「ネガティブ」であった。ギャンブラーに関する単語 は「ギャンブラー」のみを用いた。リスクに対する潜在 的態度を測定したRonay & Kim(2006)において RISK という1 語のみから成るカテゴリーを用いて実施されて いたため,本研究でもそれに従った。参加者は画面中央 に出てきた単語が左側のカテゴリーに含まれるならば キーボードのE キーを,右側のカテゴリーに含まれる ならばI キーを押して解答し,その反応時間を測定した。 カテゴリー分けは正確かつ素早く行うように指示した。 誤答した場合は画面下部に赤い文字で×(バツ)が表示 され,E キーあるいは I キーを押すことによって次の試 行に進むように指示した。各条件24 単語分行い,(ギャ ンブラーに関する単語):(ポジティブな単語):(ネガティ ブな単語)がポジティブ条件では7:7:10 で,ネガティ ブ条件では7:10:7 の割合で表示され,この試行数およ び割合は参加者に伝えなかった。各条件は1 回の練習試 行ブロック(24 語)と 2 回の本番試行ブロック(24 語 ×2 回)から成っていた(Yi & Kanetkar, 2010)。

SC-IAT の得点化は Plotka, Blumenau, & Vinogradova (2016)に倣って以下のように行った。まず,反応時間 が400 ミリ秒未満のもの,10000 ミリ秒より大きいもの, およびカテゴリー分けを誤った試行を分析から除外し た。次に,各ブロックの第一試行は大半の参加者の反応 が大幅に遅れる傾向があったため,分析から除外した。 そしてIAT を用いた研究において標準的な方法である, D スコア           2 2 3 3 2 2 3 3 1     2 n p n p n p n p M M M M D SD SD を算出した。ただし,Miはブロックi の反応時間の平均, SDikはブロックi, k を合わせた標準偏差である。D スコ アは,ギャンブラーに対する潜在的態度が肯定的であ るほど高得点となる。|D|<0.15 では潜在的連合なし, 0.15<|D|<0.35 ではやや潜在的連合あり,0.35<|D|<0.60 では中程度の潜在的連合あり,|D|>0.60 では強い潜在 的連合ありと判断した(Plotka et al., 2016)。 また,潜在的態度変化の指標として,シナリオを読ん だ後のD スコアからシナリオを読む前の D スコアを引 いた値を用いた。これをシナリオ変化得点と呼ぶことに する。正のシナリオ変化得点は,ギャンブラーに対する 潜在的態度が肯定化する方向に変化したことを表す。 顕在的態度

社会的距離感尺度(Martin, Pescosolido, & Tuch, 2000; 付録を参照)によって,依存者および愛好家に対する顕 在 的 態 度 を 測 定 し た。 こ の 尺 度 は 多 く の 研 究(e.g., Dhillon, Horch, & Hodgins, 2011)で否定的な態度の測定 に用いられており,十分な内的整合性が確認されている (Hing, Russell, & Gainsbury, 2016)。著者が日本語に翻訳 したものをバイリンガルの研究協力者が確認する形で, 尺度の妥当性を維持した。質問は6 項目から成っており, それぞれの項目において「あなたが以下の状況になった ら,どれくらいそれをしたいと思うと思いますか」と尋 ねるものであった。逆転項目はなく,すべて「1:とて もしたい」から「4:とてもしたくない」の 4 件法で回 答を求めた。各項目の合計を得点とし,尺度得点が高い ほど顕在的態度が否定的であることを表した。 シナリオ DSM-IV の診断基準を満たすような典型的な依存者の シナリオと(Horch & Hodgins, 2008;付録を参照),依 存症の基準に一切当てはまらない愛好家についてのシナ リオを用いた。依存者に対するスティグマが強化される 要因を検討したHing et al.(2016)においてもこのシナ リオが用いられていた。著者が日本語に翻訳したものを バイリンガルの研究協力者が確認する形で,シナリオの 妥当性を維持した。愛好家シナリオは依存者シナリオと 同様の長さで,文章の数も等しくした。依存者あるいは 愛好家サブカテゴリーの印象をより強めるための一文を 各シナリオの末尾に追加し,これを斜字,太字,波線に よって強調した。なお,このシナリオで想定するギャン ブルとは全て合法的なものであり,主人公は実在してい る人物と一切関係がないことを伝えた。 その他の項目 操作チェックとして,シナリオの主人公に関する文章 を4 つ(付録を参照)用意し,それぞれ正しいか正しく ないかの2 件法で回答させた。2 問以上誤答した参加者 のデータは,シナリオの内容を正確に理解できていない ものとみなし,分析から除外することとした。また,参 加者が最近行っている金銭を賭けたギャンブルの種類, およびその頻度を尋ねた。高田・湯川(2011)に倣い,

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パチンコや競馬などの10 種類(「その他」を含む)のギャ ンブルのうち,最近行っているものとその実施頻度を尋 ねた。デモグラフィック項目として,国籍,性別,年齢 について尋ねた。以上の項目は全て質問紙で測定した。 実験手続き 参加者に対して,本研究は「ギャンブラーへの認知に 関する研究」であり「ギャンブラーに関するカテゴリー 分け課題」といくつかの質問に回答してもらうというこ と,および謝礼が図書カード500 円分であるという説明 を行い,参加者は参加同意書に署名し提出した。参加者 は着席し,カテゴリー分け課題と称したギャンブラーに 関するSC-IAT に取り組んだ。ポジティブ条件とネガティ ブ条件の実施順はランダムに決定された。参加者は依存 者シナリオ群か愛好家シナリオ群のいずれかに振り分け られ,紙面で呈示されたシナリオを読んだ。内容につい て後でテストがあると伝え,シナリオを読むための制限 時間は設けなかった。参加者は,十分にシナリオの内容 を理解したのち,再度ギャンブラーに関するSC-IAT に 取り組んだ。ここでも,ポジティブ条件とネガティブ条 件の実施順はランダムに決定された。すなわち,シナリ オを読む前後のSC-IAT において,実施順はそれぞれ 2 通りずつ存在した5)。SC-IAT の終了後,社会的距離感 尺度,シナリオの内容に関するテスト,ギャンブル頻度 を尋ねる項目,およびデモグラフィック項目に回答し, 謝礼を受け取った。参加者の負担を考慮し,課題間に適 宜休憩をとることを認めた。実験終了後に,カテゴリー 分け課題はギャンブラーに対する潜在的な態度を測定す るものであったことを,参加者に対して説明した。この 説明を受け,データの使用を拒否した参加者はいなかっ た。一人当たりの実験時間はおよそ30 分であった。 分 析 統計ソフトウェアR(ver. 3.6.2)を用いた。顕在的態 度の程度,シナリオ前後のD スコアの変化,および両 指標の関連について検討した。分析に用いたデータおよ

びR のスクリプトは Open Science Framework 上(https:// osf.io/d7tj9/)に掲載した。 結   果 スクリーニングと要約統計量 課題および質問紙について回答に不備がある者はいな かった。ギャンブル経験を尋ねる項目に対して,最近金 銭を賭けたギャンブル経験があると回答した者は3 名 (男性3 名,女性 0 名)であった。詳しい内容を尋ねた ところ(複数回答可),競馬および「その他」が2 名ず つであった。最もギャンブルを行う頻度が高かった者で 週2 回程度であり,これはギャンブルに依存していると は言えないものであった。シナリオの内容に関するテス トにおいて,全参加者の正答率は95.6% であり,半分 以上誤答した者はいなかった。 SC-IAT について,反応時間が 400 ミリ秒未満の試行 が全試行の10.2% を占め,20% を超えた参加者は 7 名 見られた。これは,先行研究で行われたSC-IAT において, 1 つのカテゴリーに複数の刺激を含むことが一般的で あったのに対し,本研究ではギャンブラーカテゴリーの 刺激がギャンブラーという単語1 つだけであり,カテ ゴリー分けが相対的に容易であったためと思われた。 よって本研究では,反応時間が300 ミリ秒未満のもの, 10000 ミリ秒より大きいもの,およびカテゴリー分けを 誤った試行を分析から除外することとした。反応時間が 300 ミリ秒未満あるいは 10000 ミリ秒より大きい試行は 全体で0.24% であり,2% 以上の参加者はいなかった。 カテゴリー分けの誤答率は全体で3.56% であり,10% 以上の参加者はいなかった。以上を考慮し,40 名全員 のデータを分析に用いることとした。本研究で測定し た各指標の平均,標準偏差および相関係数を表2 に示 した。 潜在的態度の変化 シナリオを読む前の全参加者のD スコアの平均値は –0.08 であり,これは |D|<0.15 であることから,ギャ 5)本研究では,D スコアにおける,SC-IAT の実施順の順序効果や組み合わせの効果について,以下のように 検討した。SC-IAT の実施順(4 群)を実験参加者間要因の独立変数,測定時点(シナリオ前後)を実験参 加者内要因の独立変数とし,D スコアを従属変数とする 2 要因分散分析を行ったところ,依存者シナリオ群 において,実施順の主効果(F(3, 16)=0.23, p=.87, h2=.01, 95%CI=[0, .16])および実施順×測定時点の交互 作用(F(3, 16)=1.08, p=.39, h2=.12, 95%CI=[0, .37])はいずれも有意ではなかった。また,愛好家シナリオ 群においても同様に,実施順の主効果(F(3, 16)=0.93, p=.45, h2=.09, 95%CI=[0, .35])および実施順×測定 時点の交互作用(F(3, 16)=0.75, p=.54, h2=.04, 95%CI=[0, .32])はいずれも有意ではなかった。よって,D スコアにおける,実施順や組み合わせの有意な効果は見られなかったと言える。

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ンブラーに対する潜在的態度は肯定的でも否定的でもな かったと言える。また,それぞれの群において,シナリ オを読む前のD スコアの平均値は,依存者シナリオ群で 0.02(SD=0.49),愛好家シナリオ群で –0.17(SD=0.53) であった。シナリオを読む前のD スコアについて 2 群 の間でウェルチのt 検定を行ったところ,群間で有意差 は見られなかった(t(37.7)=1.19, p=.24, d=0.20, 95%CI= [–0.43, 0.85])6)。次に,シナリオ変化得点の平均値は, 依存者シナリオ群で–0.25(SD=0.82),愛好家シナリオ 群で0.29(SD=0.60)であった(図 1)。シナリオ変化 得点について2 群の間でウェルチのt 検定を行ったとこ ろ,愛好家シナリオ群の方が依存者シナリオ群よりも高 かった(t(35.0)=2.39, p=.02, d=0.76, 95%CI=[0.14, 1.46])。 各群において,潜在的態度の否定化あるいは肯定化が起 こっているか否か検討するために,それぞれ,0 と比較 する1 群のt 検定を行ったところ,依存者シナリオ群で は0 との有意差が見られなかったが(t(19)=1.36, p=.19, d=0.31, 95%CI=[–0.14, 0.82]),愛好家シナリオ群では有 意に0 より大きかった(t(19)=2.17, p=.04, d=0.49, 95%CI= [0.05, 1.04])。以上のことから,愛好家シナリオ群にお いて潜在的態度が肯定的になったことが示された。 顕在的態度の比較 社会的距離感尺度は十分な内的整合性が確認された (Cronbach’s a=.86)。社会的距離感得点の平均値は,依 存者シナリオ群で20.25(SD=1.37),愛好家シナリオ群 で14.60(SD=2.85)であった。社会的距離感得点につ いて,2 群の間でウェルチのt 検定を行ったところ,依 存者シナリオ群の方が愛好家シナリオ群よりも高かった (t(27.3)=7.98, p<.001, d=2.52, 95%CI=[1.79, 3.54])。こ のことから,シナリオを読んだ後において,参加者は愛 好家より依存者に対して否定的な態度を向けていること が示された。なお,社会的距離感得点における男女間の 平均値差について,各群でウェルチのt 検定を行った ところ,依存者シナリオ群,愛好家シナリオ群ともに, 有意な男女差は見られなかった(順に,t(15.8)=1.15, 図1 各群のシナリオ変化得点。依存群は依存者シナ リオ群,愛好群は愛好家シナリオ群,エラーバー は95% 信頼区間を表す。*p<.05 -0.7 -0.35 0 0.35 0.7

*

*

n.s. 依存群 シ ナ リ オ 変化得点 愛好群 表2 各指標の平均,標準偏差および相関係数 依存群(N=20) M SD 相関係数 D スコア(前) D スコア(後) 変化得点 D スコア(前) 0.02 0.49 ― D スコア(後) –0.23 0.44 –.57 ** ― シナリオ変化得点 –0.25 0.82 –.90 ** .87 ** ― 社会的距離感 20.25 1.37 –.20 .16 .20 愛好群(N=20) M SD D スコア(前) D スコア(後) 変化得点 D スコア(前) –0.17 0.53 ― D スコア(後) 0.12 0.46 .27 ― シナリオ変化得点 0.29 0.60 –.67 ** .53 * ― 社会的距離感 14.60 2.85 .00 .32 .25 Note.依存群は依存者シナリオ群,愛好群は愛好家シナリオ群を表す。(前)はシナリオを 読む前,(後)はシナリオを読んだ後を表す。*p<.05,**p<.01 6)なお,ここでの「95%CI」は,効果量d の 95% 信頼区間を表す。

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p=.27, d=0.51, 95%CI=[–0.38, 1.54]; t(16.0)=1.27, p=.22, d=0.57, 95%CI=[–0.32, 1.61])。 顕在的態度と潜在的態度の関連を分析するために,社 会的距離感得点とシナリオを読んだ後のD スコアの相 関係数を算出したところ,依存者シナリオ群,愛好家シ ナリオ群ともに,有意な相関関係は見られなかった(順 に,r=.16, 95%CI=[–.30, .57], p=.49; r=.32, 95%CI= [–.14, .67], p=.16)7) 考   察 本研究では,ギャンブラーというカテゴリーの中の, 反ステレオタイプ的な愛好家サブカテゴリーに注目させ た場合に,ギャンブラーに対する潜在的態度が肯定化す るか否か検討した。その結果,愛好家というサブカテゴ リーを顕現化することが潜在的態度に肯定的影響を及ぼ すことが示された。また,シナリオを読む前のギャンブ ラーに対する潜在的態度は肯定的でも否定的でもなかっ た。顕在的態度は愛好家よりも依存者に対して否定的で あり,オーストラリアおよびアメリカで行われた調査 (Donaldson et al., 2015; Palmer et al., 2018)と同様の結果

が得られた。

シナリオを読む前のギャンブラーに対する潜在的態度 は中立的であったが,これはギャンブラーというカテゴ リーに対して否定的な内容が多く想起されたという Horch & Hodgins(2013)の結果に矛盾している。その 理由として,多くの研究(e.g., Hing et al., 2016)が質問 紙による顕在的指標を用いてギャンブラーに対する態度 を測定してきた一方,本研究では潜在的指標を用いてい る点が挙げられる。顕在的指標と潜在的指標は相関を持 たないことも多く(e.g., Payne, Burkley, & Stokes, 2008), 社会的距離感とD スコアが関連をもたなかったという 本研究の結果も,これに一致している。なお,本研究で は,顕在的態度においても条件間で差が見られたが,こ れは回答者バイアスによる影響があったという可能性が 考えられる。例えば,愛好家シナリオ群において,参加 者が顕在的態度の項目に回答する際,典型的な依存者の ネガティブな姿も想起し,愛好家と比較した上で「愛好 家のシナリオを読んだのだから,肯定的な回答が求めら れているのだろう」と考え,意識的に肯定的な回答を 行ったかもしれない。また,特にギャンブルは社会的に スティグマ化されており,否定的態度における社会的望 ましさ傾向の影響が大きい(Preston et al., 1998; Yi & Kanetkar, 2010)ことから,ギャンブラーへの否定的態 度を測定する際,これまで主に扱われてきた顕在的指標 だけでなく,潜在的指標も用いて検討していくことが重 要であると考える。 本研究では,ギャンブラーの中に多く存在すると考え られる愛好家(樋口・松下,2017;品川,2010;高田・ 湯川,2011)というサブカテゴリーを顕現化させること でギャンブラーへの潜在的態度が肯定化した。これは, 愛好家がサブグループ化され,カテゴリー全体に占め る愛好家の相対的な重要性が向上し,ギャンブラーに 対して新たな見方が出来るようになった結果である (Richards & Hewstone, 2001)と考えられる。この知見は,

大学の心理学関連の講義などの教育現場で,依存者に対 する否定的な態度を軽減するために活用できると考え る。例えば,依存者と肯定的な接触機会をもつことは否 定的な態度の軽減に有効であると言われているが(e.g., Hing et al., 2016; Holmes, Corrigan, Williams, Canar, & Kubiak, 1999),依存者の知り合いがいない人は接触機会 をもつのが難しい。それに比べ,ギャンブラーの中のギャ ンブル愛好家というサブカテゴリーを強調するという方 法は簡単で,より多くの人に対して同時に実施できるこ とから,利用可能性も高いと考えられる。 本研究では,これまで十分な検討が為されていなかっ た愛好家に関して潜在的指標を用いた知見を得ることが できたが,以下のような8 つの限界点が存在する。第 一に,本研究のSC-IAT で用いた刺激語が「ギャンブ ラー」という1 つだけであったという点である。Nosek, Greenwald, & Banaji(2005)では,刺激語を 1 つしか用 いなかった場合に,IAT の効果量が低下することを示し ている。本研究では,依存者シナリオ群においてシナリ オ前後のD スコアの変化が有意ではなかったが,これ は刺激語の少なさが原因で,本来検出されるべき顕著な 結果が得られなかったという可能性があるため,今後, ギャンブラーというカテゴリーに含まれる複数の刺激語 を用いた検討が求められる。第二に,本研究で生じた潜 在的態度変化は,サブカテゴリーの顕現化による効果に 加え,シナリオ内の肯定語や否定語との潜在的連合が強 まることによるプライミング効果も,加算的に作用して いる可能性があるという点である。サブカテゴリーに関 するラベルを呈示せず,それぞれの肯定的あるいは否定 的な特徴についての記述だけを用いた場合,本研究と同 様の結果が得られるか否かという点は,今後検討すべき 事項であると考える。第三に,本研究で見られた潜在的 態度の肯定化が,長期的な態度変容につながるものか否 7)なお,ここでの「95%CI」は,相関係数r の 95% 信頼区間を表す。

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か検討できていないという点である。また,このような 潜在的態度の変化が,実際の援助行動といった行動的側 面を変容させる効果を持つか否かについても,今後より 詳細に検討していかねばならないと考える。第四に,本 研究で測定した顕在的態度は,シナリオによる操作の影 響を受けている可能性があるという点である。本研究で は,潜在的態度変化に着目しているため,潜在的態度の 測定に影響を及ぼすことのないよう,2 回目の SC-IAT による測定後に顕在的態度を測定した。このことから, 顕在的態度の測定において,シナリオによって愛好家あ るいは依存者が多く見られると強調したことによる影響 があると考えられ,参加者の本来の顕在的態度を測定で きていない可能性がある。また,本研究では潜在的態度 変化と顕在的態度変化の関連を検討できていないが,統 合失調症の患者への否定的態度に対する遺伝学的説明な どの影響を検討したLincoln らは,潜在的指標(IAT) と顕在的指標(社会的距離感など)による態度変化を 共に扱っている(Lincoln, Arens, Berger, & Rief, 2008)。 Lincoln et al.(2008)では,統合失調症に関して,冊子 に書かれた説明文を読んだ後,ビデオ映像を見るという 手続きを行っており,本研究に比べて事前事後の態度測 定の間の時間が長く,事前の顕在的態度測定が事後の態 度測定に対して及ぼす影響が小さかったと言える。よっ て,本研究のような,サブカテゴリーを用いた否定的態 度の軽減という文脈においても,このような実験手続き に倣い,両指標における態度変化を多面的に検討するこ とが必要であると考える。第五に,本研究ではシナリオ の場面について,操作チェックにより,参加者がシナリ オの内容を概ね理解していることは確認したが,どの程 度リアリティを持って想像していたか否か確認できてい ないという点である。この点は,シナリオ研究一般に伴 う課題でもあり,今後の研究においても,留意して検討 を重ねていく必要があるだろう。第六に,依存者と愛好 家を包含する刺激としてギャンブラーを利用したが,こ れが適切に両者の総称として機能したか否か判断できな いという点である。シナリオを読む前の潜在的態度が中 立的であったことから,ギャンブラーという刺激は依存 者と愛好家を適切に包含できている可能性がある。しか しHorch & Hodgins(2013)は,gambler という刺激の 代わりにperson who gambles や他の刺激を用いた場合 は異なる結果が得られるかもしれないと述べており,例 えばギャンブル好きや賭博家など,他の刺激を用いた場 合についても検討する必要があるだろう。第七に,本研 究は,ギャンブラーというカテゴリー全体に対する潜在 的態度を測定しており,依存者に限定した対象に対して 測定したものではないという点である。サブカテゴリー としての愛好家の存在を顕現化させることで,ギャンブ ラー全体に対する潜在的態度が肯定化する可能性が示さ れたが,依存者のみに対する態度も同様に肯定化してい るのか否か,さらなる検討が必要である。第八に,本研 究は,大学生の男女40 名をサンプルとしており,より 一般化したサンプルによる研究が必要であると考えられ る点である。大学生は他の世代に比べてギャンブル依存 症に陥りやすい(Horch & Hodgins, 2013)が,彼らが周 囲に援助を要請する際に妨げとなる否定的な態度は同世 代の若者から向けられるものだけではない。私立大学学 生生活白書2018 によると,大学生が自らの悩みを打ち 明ける相手として家族(44.6%)は,友人(67.5%)に 次いで2 番目に大きい存在である(北條,2018)。した がって,親から子に向けられる否定的な態度の在り方を さらに検討し,軽減していくことも重要であると考える。 以上のような限界点はあるが,本研究で得られた知見 は依存者に対する否定的な態度の軽減に有効であると考 える。これまで依存者に対する態度を考える際に,愛好 家というサブカテゴリーを利用するという観点は十分な 検討が為されてこなかった。本研究の結果のように, ギャンブラーに含まれる愛好家というサブカテゴリーを 顕現化することが,依存者に対する否定的な態度を軽減 する可能性がある。また,本研究では紙に印刷されたシ ナリオを用いたが,音源と映像を組み合わせた媒体によ る介入は,他の方法よりも態度変化に大きな影響を及ぼ す(Corrigan, Morris, Michaels, Rafacz, & Rüsch, 2012) という結果が得られているように,より内容が明確に伝 わり,印象に残りやすい手段を使うことで効果を強める ことができるだろう。さらに,本研究で得られた知見は, ギャンブラーという文脈に限らず応用できると考える。 例えば,飲酒という行為に対しても依存者と愛飲者が存 在する。アルコール依存者は,他の精神障害に比べて強 いスティグマが保持され,社会的距離を取られやすく, 危険な存在であると思われやすい(Mannarini & Boffo, 2015; Schomerus et al., 2011)という特徴を持つ。一方, アルコール愛飲者に対する態度は,依存者に対する態度 よりも相対的に肯定的であると考えられ,愛飲者という サブカテゴリーを顕現化することによって,アルコール 依存者に対する差別的態度を軽減できる可能性が示唆さ れる。このように,本研究で得られた知見は,他の文脈 に応用する余地があり,実用的な場面で活用することを 目指した今後の研究が求められるだろう。

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付   録 社会的距離感尺度(Martin et al., 2000) あなたが以下の状況になったら,どれくらいそれをしたいと思うと思いますか。 (4 件法;1 とてもしたい,2 たぶんしたい,3 たぶんしたくない,4 とてもしたくない) (1)太郎の家の隣に引っ越す。 (2)太郎と友達になる。 (3)太郎と夕方から夜にかけて一緒に過ごす。 (4)太郎と仕事場で一緒に働く。 (5)太郎のような人々のための集合支援住宅が近所にできる。 (6)太郎が家族の一員となる。

依存者に関するシナリオ(Horch & Hodgins, 2008)

太郎はあなたの大学の学生です。先月太郎はいつもより多くのお金を賭けるようになりました。同じような興奮を 得るためには,以前よりももっとギャンブルをしなければならないことにも彼は気づいていました。彼は何度かギャ ンブルを減らそうとしたり止めたりしようとしましたが,その度に興奮して眠れなくなり,再びギャンブルを始めま した。彼の家族は,彼がひどく変わってしまったことや,彼が誰なのかさえ分からなくなったような気がすると訴え ています。また,経済的な援助をしなければならないことに憤りを感じ始めています。ギャンブラーというカテゴリー の中には,太郎のようなギャンブル依存者が非常に多く存在します。

愛好家に関するシナリオ(Horch & Hodgins(2008)のものを改変)

太郎はあなたの大学の学生です。先月太郎はいつも通りの金額で賭けを行いました。趣味として,以前と変わらず ギャンブルを楽しめています。彼は学業やサークルが忙しい時はギャンブルを減らしたり止めたりすることができて おり,時間に余裕があるときに節度を持ってギャンブルをするようにしています。彼の家族は彼が自分を律しながら ギャンブルを楽しんでいる様子を見守っています。また,経済的な援助をする必要がない状態で,一切憤りを感じる こともありません。ギャンブラーというカテゴリーの中には,太郎のようなギャンブルを趣味として程よく楽しめる 人が非常に多く存在します。 シナリオの内容に関するテスト 先ほど読んでいただいた太郎についてのシナリオにおいて,以下の項目にお答えください。 (2 件法;1 正しい,2 正しくない) (1)太郎は大学生である。 (2)太郎は先月いつもより多くの金額を賭けた。 (3)太郎はなかなか自力でギャンブルを止めることができていない。 (4)太郎の家族は,太郎に経済的な援助をする必要がない。

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The effect of awareness of recreational gamblers on implicit attitudes

Yuho Shimizu (The University of Tokyo)

Kensuke Okada (The University of Tokyo)

Kaori Karasawa (The University of Tokyo)

Gamblers consist of two sub-categories: pathological and recreational gamblers. People have negative attitudes toward gamblers, which often makes pathological gamblers hesitant about seeking others’ help or seeing a doctor. To resolve this problem, relatively positive attitudes toward recreational gamblers might be effective in changing the negative stereotypes associated with them. In measuring the change in attitude, the effect of social desirability should be considered. For this purpose, implicit rather than explicit attitudes need to be evaluated. In this study, 40 university students participated in a vignette experiment. They read one of the vignettes depicting a target: pathological gambler or recreational gambler, and implicit attitudes toward gamblers were measured by Single-Category Implicit Association Test before and after reading the vignette. The results show that participants who read the vignette of a recreational gambler had more positive attitudes toward gamblers. We suggest that drawing awareness to the recreational gamblers subgroup, who are not often recognized, is effective in psychological research aiming to change attitudes toward pathological gamblers.

参照

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