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福山型筋ジストロフィーのモデルマウスを用いた病態解明と治療戦略の開発

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Academic year: 2021

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(1)特別プログラム抄録. シンポジウム 2 骨格筋疾患の動物モデルの実験的治療–2. 福山型筋ジストロフィーのモデルマウスを用いた病態解明と 治療戦略の開発 1. 愛媛大学大学院医学系研究科医化学・細胞生物学,2 東京大学大学院医学系研究科神経内科学 . かながわ. もとい. 金川 基 1,戸田 達史 2. 福山型筋ジストロフィーは,筋病変に加えII型滑脳症などの中枢神経障害や心筋症を伴う常染色体劣性遺伝性疾患である.原因 遺伝子フクチンの変異によって,基底膜受容体であるジストログリカンの糖鎖に異常が生じている.発症に直結する糖鎖構造やフ クチン機能は長年の間不明だったが,我々は糖鎖構造の全容を解明し,フクチンは糖鎖にリビトールリン酸という新規の修飾体を 組み込む転移酵素であることを明らかにした(1) .また,患者の大多数でみられるレトロトランスポゾンの挿入変異は異常スプラ イシングを誘導し,異常なフクチンタンパク質の生成を引き起こすこと,そのスプライシング異常を是正するアンチセンス核酸治 療戦略も提唱してきた(2) .更に,我々はリビトールリン酸糖鎖の異常がどのように筋ジストロフィーや脳病変,心筋症を引き起 こすのか,様々な組織選択的フクチン欠損マウスを作出し,病態解明と治療法の開発を進めてきた. 骨格筋では,フクチン欠損に起因する筋幹細胞の機能障害が重篤な筋病変の要因であること,筋線維を標的とした遺伝子治療に よって糖鎖不全が解消され治療効果が得られることを報告している(3) .中枢神経病態について,フクチンを欠損するタイミング が異なるモデルマウスの比較から,脳形成過程における糖鎖状況が脳病変の多様性に寄与することが示唆された.また,胎仔脳へ のフクチン遺伝子導入により,大脳皮質形成異常を防ぐことに成功し,胎児期の糖鎖修飾の制御が治療戦略になる可能性が示唆さ れた(4) .心筋症について,糖鎖/フクチンはゴルジ体-微小管ネットワークを介して心筋細胞形態や機能に必須であること,ま た,血行動態負荷に対する心臓の適応的肥大応答にも重要な役割を担っていることが明らかになった.さらに,微小管重合を阻害 する既存薬コルヒチンが心不全の治療に有効であることを見出した(5) .一連の研究から,本疾患群は克服可能であることが示唆 される.今後は発症要因となるリビトールリン酸糖鎖の補充を基盤とする治療法の開発に取り組んでいく予定である. (1) Kanagawa et al, Cell Rep 2016 ; (2) Taniguchi–Ikeda et al, Nature 2011, (3) Kanagawa et al, Hum Mol Genet 2013 ; (4) Sudo et al, Hum Mol Genet 2018 ; (5) Ujihara et al, Nature Commun 2019. ◆略歴 2001年 2001年 2006年 2009年 2020年. 北海道大学大学院理学研究科博士後期課程 修了 ハワード・ヒューズ医学研究所/アイオワ大学医学部 博士研究員 大阪大学大学院医学系研究科 博士研究員/特任助教 神戸大学大学院医学研究科 助教/講師 愛媛大学大学院医学系研究科 教授 現在に至る. 神経治療 Vol. 37 No. 6(2020) S100.

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