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教育実習における評価規準の項目に関する研究: 沖縄地域学リポジトリ

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(1)

Title

教育実習における評価規準の項目に関する研究

Author(s)

岩田, 昌太郎; 嘉数, 健悟

Citation

広島大学大学院教育学研究科紀要. 第二部, 文化教育開発

関連領域 = Bulletin of the Graduate School of Education,

Hiroshima University. Part. 2, Arts and science education(57):

293-300

Issue Date

2008

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/10125

(2)

教育実習における評価規準の項目に関する研究

岩田昌太郎・嘉数健悟

I

(2008年10月28受理)

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キーワード.教育実習,評価規準

1.はじめに

中央教育審議会答申「今後の教員養成・免許制度の 在り方について

J

(平成18年7月)の「教職課程の質 的水準の向上jの中で。「教育実習の改善・充実」が 提言された。そこでは,

I

履修に際して満たすべき到 達目標を明確に示すとともに,事前に学生の能力や適 性.意欲等を適切に確認することが必要である

J

(中 教審, 2006 ; p.l6) と具体的な方策が明記されている。 すなわち,各教員養成系大学・学部(以下,

I

大学」 と略記)において,教育実習生が身につけるべき知識 や能力,そして適性等について,その到達度を明確化 していくことが急務であると思われる。 一方,現在まで教育実習の実態解明に向けた様今な 研究が国内外で蓄積されているO 国内においては,教 育実習生(以下,

I

実習生」と略記)の実態に関する 数多くの研究を散見することができる。例えば,実習 1広島大学大学院教育学研究科博士課程前期 生の授業観察において,実習生の授業技術や指導観の 変容を明らかにした研究

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,佐藤ら, 1978:勝亦 ら, 1984) や実習生の教師行動における基礎的条件を 明らかにした研究

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,高橋ら, 1986:入口ら, 1991 ; 日野, 2000) である。また,教育実習における指導教 員の立場からの指導内容を明らかにした研究(岩田ら, 2006) が挙げられるO 他 方 , 国 外 に お い て も 実 習 生 の 知 識 や 省 察

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,あるいは信念

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に着目した研究 を散見することができる。例えば,実習生の知識とり わけピアコーチング中におけるPCK出)の発達を明ら かにした研究(J

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, 2002) や実習生の教 授行為における省察能力

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, 1994) が挙げられる。また,実習生の授業実践に関す る信念の形成についての研究

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,2008) も着手されている。 このように一連の国内外の教育実習に関する研究 は,実習生の教授技術や指導観の実態,あるいは知識

(3)

岩 田 昌 太 郎 ・ 嘉 数 健 悟 や省察の変容などといった面に焦点が向けられてい る。しかしながら,そのような所論は.実習生の身に つけるべき知識や能力の変容に関心が向けられてお り,その具体的な知識や能力の到達度やその評価方法 が暖味であると思われる。さらに,俵終的な実習生の 成長を客観的に評価する規準に関する研究は.管見の 限りでは少ない。

2

.

研究目的

そこで本研究では,以下の2点を目的とした。まず, 教育実習で採用されている評価規準の観点を分類し その観点、に含まれている項目を明らかにする。そして, その評価規準の項目を参考にして,現在の実習生が評 価される視点を把握するoすなわち本研究は,今後の わが国における実習生の質的保障に向けた「教育実習 の改善・充実」の基礎資料を提供する意義を持つ。

3

.

研究方法

3

.

1

調査の対象 今回の調査は.日本教育大学協会(平成1

9

年度現在)

3

.

4

分析方法 評価規準及び評価項目の分析は,収集された評価に 関する全ての記述を整理・体系化するために K]法 (川喜回.

1

9

6

7

)

を用いた。そして分類は,第

1

次カ テゴライズと第2次カテゴライズの2つの手順によっ て詳細に検討した。 まず第1次カテゴライズは,各大学の評価規準に 従って分類し,各項目を抽出した。しかし,抽出した 項目は重複した記載が多くみられたため.さらに詳細 に分類した第2次カテゴライズで「大項目

.

J

r

中項目

J

, 「小項目」の3つを設けた。もちろん,第l次カテゴ ライズの項目と第2次カテゴライズの 「大項目

J

は重 複するものもあることを留意しておく。なお「中項目」 は,

r

小項目」をまとめて表記できるものに限り設けた。 そして各項目は,内容をわかりやすく表示するため 筆者を含めた2名 (内1名は大学院生)で命名した。 また.このカテゴリーに評価に関する観点の文章を選 んで例示した。カテゴリーの分類とカテゴリーの命名 は,

2

名の意見が一致するまで協議を行った。

4

.

結 果

に登録されている大学

5

8

校を対象とした。

4

.

1

1

次カテゴライズの検討

3

.

2

調査内容 図

l

は,第

1

次カテゴライズと第

2

次カテゴライズ 調査内容は,各大学において教育実習で採用されて の記述数の割合を比較したものである。また.図

2

が いる評価規準及び評価項目である。その評価規準及び その記述数を比較したものである。 評価項目は,各大学で作成されている「教育実習の手 まず.第l次カテゴライズでは,

r

生徒指導j

r

態度」 引き j(以下,

r

手引き」と略記)を参考にした。 しか 「学習指導 j

r

総合J

r

教材研究J

r

実習記録簿J

r

自己 し 手引きを有しない大学ならびに手引き中に評価規 評価j

r

研究

J

r

観察

J

r

その他

J

の1

0

点の項目に区分 準及び評価項目が記載されていない大学については. できた。各項目の個数は,

r

生徒指導」と「態度jが 各大学が作成している評価規準票を収集した。なお, 最も多く

2

4

個(ともに1

8

.

0

%

)

,次いで「学習指導j 教育実習の校 種 に は 幼 稚 園 小学校.中学校, 高等学 が

2

3

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.

3

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総合」が1

7

1

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.

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教材研究」 校.特別支援学校とあるが.今回は小学校.中学校の が

1

5

(

1

1.3%に「実習記録簿」が

1

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.

5%

)

r

2

つの校種に限定して調査を実施した。 己評価」が

6

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.

5

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研究」が

4

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.

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.

3

資料の収集方法 察」が

3

(

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.

3

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その他jが

7

(

5

.

3

%

)

であっ 手引きの資料収集のために.すべての大学に協力依 た。 頼文書をメールで送信した。その結果.凶答を得た大

4

.

2

2

次カテゴライズへの推移について 学は

4

1

校 (全大学の71%)であった。そして,協力依 図3は,第I次カテゴライズから第2次カテゴライ 頼を得られた

4

1

校に改めて,依頼文書と返信封筒を同 ズへの推移を示したものである。第

1

次カテゴライズ 封し手引きを郵送してもらった。なお,教育実習の における,

1

0

点の項目をさらに詳細に検討すると重複 手引きを有しない大学においては.調査内容を電話で する記載が多くみられた。例えば,

r

学習指導」の中 伝え.教育実習で使用している評価規準票を

FAX

あ に「教材研究」や「リフレクション」の項目が含まれ るいは郵送してもらった。しかし郵送された手引き ている大学.あるいは独立して「学習指導J.

r

教材研 に評価規準が記載されていない大学もあり,実際に調 究」と項目をつくっている大学など統一された観点は 査した大学は

3

6

校(全大学の

6

4

%

)

であったO そして, なかった。そこで,第

2

次カテゴライズにおいて,

r

生 回収した手引きから評価規準や評価に関するすべての 徒指導

J

r

態度j,

r

学習指導j,

r

学級経営J.

r

自己評 項目を選出した。 価j,

r

その他Jの6点の 「大項目

J

に区分することが

(4)

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生 徒 指 導 態度 学 習 指 導 学 級 経 営 総 合 教 材研究 実 習 記 録 簿 自 己 解価 研 究 観 察 そ の他 図

1

1

次カテゴライズと第

2

.1欠カテゴライズの劃合の比較

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柑 柑 治 相 川 明 却 0 生主笹原尊 鯉沼E 学事詩旨導等鴇露経営 総 合 勢劇研究費擢雪書道お事自己E朝面 司 夜 毎著書 そす河也 図2 第11.欠カテゴライズと第2.1欠カテコライズの記述数の比較 できた。 まず, ['大項目」 を詳細に検討すると, ['学習指導」 と「教材研究」は共通する内容が多いことが明らかに なった。「学習指導」と「教材研究

J

には,'[板書計画, 指導案の作成,目標の明確化,教材教具の工夫,発問・ 指示,授業評価の観点」などの共通する項目が含まれ ていた。そこで「学習指導jの「中項目」として,['授 業設計

J

,['授業笑践

J

,そして 「授業実践後

J

の項目 に分類した。さらに「授業設計」の「小項目」に,['目 標の明確化J.I学習指導策の作成J.I教材研究」を,'[授 業実践」の「小項目」には,発問・指示.板聖子などの 「指導技術」を。「授業実践後」の 「小項目」には, '[児 童生徒の評価」を設けた。 次に「生徒指導」の内実を詳細に検討すると, ['生 徒指導」と「学級経営

J

に二分できた。そこで.前者 は児童生徒の理解を中軸に据えた項目であると考え, 後者とは別の項目と捉えることとした。また, ['生徒 指導」の「小項目」には「児童生徒の理解と対応」を 設けた。一方,後者は単独の 「大項目」として分類し た。 最後に「勤務態度」は「実習生としての態度」と「教 師としての態度」の「中項目」を設けた。前者は 「実 習勤務態度jと「実習記録簿

J

.

後者は「自覚・責任感」 などの 「小項目」に分類した。

4

.

3

第2次カテゴライズの検討 表1は,第2次カテゴライズにおける評価規準の項 目の分類を示したものである。 まず.['学習指導」は

1

1

9

(

4

7

.

6

%

)

で全体の約半 数を占めており, 1番多い項目であった。その中でも 「授業設計Jに関する記述は, ['学習指導

J

1

1

9

個中

6

2

個で5

2

.l%を占めていた。また「授業実践」においても, 「学習指導

J

ll9個中

5

1

個で

4

2

.

9

%

を占めていた。つま り,中項目の「授業設計」と 「授業実践」は, ['学習 指導」の90%以上が占める傾向を示した。 次に 「態度」と 「生徒指導」である。前者は,

4

9

(

1

9

.

6

%)

で全体の

2

番目に多い項目であった。詳細 に検討すると.['実習 生 と し て の 態 度

J

で は2

9

(

5

9

.

2

%

)

, '[教師としての態度」が2

0

(

4

0

.

8

%)

となっ ていた。一方.後者は3

9

(

1

5

.

6

%)

3

番目に多い 項目であった。 最後に,残り3つの項目についてである。「学級経営」 は

1

6

(

6

.

4

%)

であった。「自己評価」は

.

1

2

(

4

.

8

%)

で自己評価シートを作成している大学や項目のみ挙げ ている大学があった。「その他」は.

1

5

(

6

.

0

%)

で 学校行事や課外活動への積極的な参加や授業観察,研 究などに分類した。なお,実習期間の中間において指

(5)

芳 一

ワ 4

一 ラ 一

一 テ 一⋮抑⋮

第 一

生 徒指導 (24) 態 度 (24) 学 習 指 導 (23) 総合 (17) 教 材 研究 (15) 記 録 簿 ( 10) 自 己 評 イ 曲 (6) 研 究 (4) 観察 (3) その他 (7) 岩田昌太 郎・嘉 数 健 悟

JR1

一 - フ 一

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紙 一

. 0 6 .

賞 ⋮

態 度 実 苦 手 サ とし て の態 度 勤 務・実習 態 度 ( 13) 実 宵 記 録簿 ( 1 6 ) 教 師 と し ての態度 白覚・責任感・熱怠・ 協調性・事務処理能力 (20) 学習 指 導 綬業 設言│ 円標の明確化 (8) 学習指 導 案 の 作 成 (27) 教 材 研 究 (27)

η

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;

7

1

学 級経 営 ( 16) 自己評 価 (12) その他 ( 15) 学校 行事・諜外活動・ メド徒会活動 (7) 研 究 (4) 観察 (3) 中間評価面接(1) 図

3

1

次カテゴライズと第

2

次カテゴライズの分類と推移の概念図 表1 教育実習の手引きによる評価規準の項目の分類(第 2i欠カテゴライズ) 大 項 目 中 項 目 小 項 目 対 象 大 学(N寸 前 代 寝 的 指 文 章 例 配 述 敵(個)合計111:(¥) 生 徒 指 導 児童 生 徒由理解と封応 -生穫を兜宣と積極的にかかわろうとす肯定的に理解しようとする 39 (153.96目) 動 精 察 官 態 度 実習生としての自覚 13 実 菅 生 と し て の 態 度 服華や態度が実習生としてる、さわ」い 実 習 毘 録 揮 日々の計画や反省を正しい文字で実官自障に眠障」ている 16 態 度 49 教 師 と し て の 態 度 自覚・貴(恵怪務悪担酔 章 教師として自覚をもって行動している (19.6弘) 悔 間 性・ 理 能 力 )教員としての自覚をもって生徒とかかわる 20 目 柵 の 明 確 化 慢.の目指導目標を具体的かつ明確に示繍が明確 ている 8 授 業 飯 計 学習指...田作成 ー錦曾な指渇計画の立案被.暢忽に応じた学習指毒素を伶成でき!" "...ができるた 27 学 習 指 導 教 材 研 究 ー教~ー必要怠教材の研究ヰ向軍事を理解し教材研究できができる 27 (4711.6%) 9 慢 業 実 践 指 導 の 植 術 フィード冨量温"ッい 発 問 脱 明クー指承'教夫'.... 51 授 集 実 館 後 児 童生伎 の 評価 --自慢や児童の賓態定S事情の."と方,~が明確に応じた評価の視点が周章されている 6 学 級 経 営 学生活指級担任の経営方針を理解している級活動に'加学級活動を発にし 16 16 (6.4%) 自 己 評 価 '自分の行った慎重を反省し攻学習指導生活術事実奮錨~への捕場に生かそうとしている 12 (412 .8%¥ 学植行生a徒F会・限活外動活 動 学校行事やF生徒会活動に積極的1:書加Lている 7 そ の 他 研究 問題把纏とその実証 4 15 組 慣 :1酬慢車や批他評会の実にお習い生てが積行極っ的た慢に尭農置のL配工,w U軍にとっている 3 (6.0%) 中 間 評 恒 薗 撞 1 合 百十 250 1(10250 0.0%¥

(6)

導教員と実施する中間評価面接という項目を設けてい る大学もあった。

5

.

考 察

5

.

1

1

次カテコライズと第

2

次カテゴライズの推 移について ここでは第1次カテゴライズと第

2

次カテゴライズ の推移について句 とりわけ記述数とその割合の上伎で ある「生徒指導J.

r

態度j.

r

学習指導」の項目につい て考察する。 まず.

r

生徒指導

J

I

態度jの記述数とその割合 を検討するo

r

生徒指導」と「態度

J

は記述数で見ると, 第2次カテゴライズが大きく上阿っており,割合で見 ると両方ともほとんど差はない。さらに,第1次カテ ゴライズの「生徒指導」は,第 2次カテゴライズで「生 徒指導j と「学級経常」に2分しているにもかかわら ず記述数は増加し割合に変化がない。つまり,評価 規準の項目が,各大学問において異なっており混在し ていると考えられる。 最後に.

r

学習指導」について検討する。「学習指導」 は 記述の割合,記述数ともに第2次カテゴライズが 大きく増加している。つまり.

r

学習指導

J

は,ほと んどの大学において教育実習の中核的な評価項目とし て捉えられていると考えられる。 5.2第

2

次カテゴライズの検討 ここでは,第2次カテゴライズの6点の項目につい て考察する。 第1に「学習指導」を検討する。「学習指導」は。 6つの観点の中で一番多い項目であり.教育実習にお いて学生が習得すべき中心的な内容であると考える。 それは中教審答申 (2

6)の 「学習指導は教育実習で 最も重要な内等」との指摘からも窺える。さらに 「学 習指導」の項目は.

r

授業設計j.

r

授業実践 j.

r

授業 実践後」の3つで構成された。とりわけ「授業設計」 と「授業実践

J

は.

r

,予習指導

J

の90%以上を占める 傾向にあった。つまり実習生は,授業に先立って周到 に目標や内容を示し た 授 業 計 罰 を 立 て (高橋ら,

2

0

0

6

)

.

児童生徒たちに学びある授業を展開する教授 技術といった実践力の育成が求められていると思われ る。 第2に「態度jについて検討する。これは「実習生 としての態度」と「教師としての態度」に二分できた。 前者は。実習生の勤務状況や実宵態度といった内容が 含まれている。しかしながら,実習生の勤務・態度に ついては.本来の教職としての資質能力の向上に寄与 する評価項目ではなく,各大学の教育実習システムの 運営・管理上の評価項目を意味する項目である思われ るo さらに,自己や他者の授業や1日の反省を示した 「実習記録簿」では,記述することに重きが置かれ, 実際の記述の中身を質的に分析して評価しているかど うかは不明である。一方後者には.

r

自覚」や「責任」 などといった内容が含まれているO この観点は,教職 としての資質能力に関連する項目であると思われる。 しかしながら,そのような教師としての態度は摘象的 であり,さらに評価基準の設定や大学と附属聞のコン センサスがなければ評価しにくい項目である。 第3に「生徒指導」について検討するO この項目は, 「児童生徒の理解や対応」を中心に据えた項目である。 周知の通り,生徒指導とは.

r

一人一人の児童生徒の 個性の伸長を図りながら,同時に社会的な資質や能 力・態度を育成し さ ら に は将来において社会的に自 己実現ができるような資質.態度を形成していくため の指導,援助であり,個キの児童生徒の自己指導力側 の育成を目指すものであるj(今野ら。2003)。したがっ て,学校では問題行動への対応といった消極的な面だ けではく,積極的にすべての児童生徒のよりよい発達 を目指し授業や学級そして学校行事などのさまざま な集団行動で有意義かつ充実したものになるように目 指すところがある。しかしながら.わが国の現行の教 育実習システムにおける実習期間(約

2-4

週間)の 中で,そのような「生徒指導」の能力を向上させるの は困難な側面も多くあると思われる。 第4に「学級経営j を検討する。「学級経営

J

の記 述例を参照すると.

r

学級経営の方針の理解Jや「学 級活動への参加や活発化」が挙げられる。しかしなが ら,実習生は継続して一人で学級経営に携われる場面 は少なく.学級方針は理解できてもそれを反映させた 参加や活発化は困難のように恩われる。しかも.中学 校に配属された場合では,小学校のような学級担任制 でない関係上. 1つの学級に授業や放課後等といった 関わりを有しないことが多い現状であると考える。し たがって.教育実習における 「学級経営」の評価規準 は,何に焦点化し, どの程度の学級経営力を求めるの かを今後検討する必要性がある。 第5に「自己評価」について検討する。 「自己評価」 には.ほとんどの大学が自己評価シートを作成してい た。しかしながら,自己評価を行う際には必ず記述を 蓄積する資料が必要であり.先述した実習録との兼ね 合いも含めて記録の量と質の両面を考慮する必要性が ある。その解決の具体的な方策の1つに,ポートフォ リオの導入を試みている大学も散見することができる (岩田ら.

2

8

a

)

。しかも,自己評価は実習での指導 教員との協同的な省察の効果(小林.2006)があると

(7)

岩 田 昌 太 郎 ・ 嘉 数 健 悟 の指摘も報告されている。ただしポートフォリオを どのように評価するのかという具体的な評価基準がな いことが課題(貫井ら.2002)として挙げられている。 最後に「その他」の検討をする。「その他

J

には学 校行事や生徒会活動,課外活動への参加が主に挙げら れる。

5

.

3

教育実習生が評価される視点 図4は,本研究で得た知見を参考にして,教育実習 中の実習生が評価される視点を概念図にしたものであ るO 実習生は.

1

児童生徒の理解」を基盤にして.

1

学 習指導」や「学級経営

J

.

そして「生徒指導」の知識 や能力を育成していくことになる。それでは各項目の 関係性について述べていく。 第1に「学習指導

J

と「児童生徒の理解」の関係で あるが,実習生は「授業をうまく進められない段階に おいては児童に対する理解を真剣に悩み考え,児童の 実態に応じた指導方法を工夫するようになる

J

(岩田, 2008b)。したがって「学習指導」においては.

1

児童 生徒の理解」を念頭に置くことで,指導案の生徒観や 指導観が記述できるようになり,さらに教材研究の工 夫が展開していけるようになると思われる。第2に, 「生徒指導」と「児童生徒の理解」の関係であるが, 1人1人の児童・生徒の個性の伸長を図る(尾木, 2006)上でも,授業を中心にした児童生徒の理解が必 要不可欠である。第3に,よりよい学級経営を行うた めには,子ども 1人1人が異なる良さをもっているこ とを理解し担任は指導や対応が必要(康嶋.2006)と 「学級経営jにおける「子ども理解

J

の重要性を述べ ている。 以上から,教育実習における実習生を取り巻く環境 には.

1

児童生徒の理解」が根底にある。しかしながら, わが国の教育実習は教科指導が中心であり.数回の授 業を実施することで精一杯の実習生にとっては. 2 -4週間という短い実習期間で「児童生徒の理解」を深 めるには困難が多いと思われる。 教育実習生 学級経嘗 児童生徒の理解 図4 教育実習生が評価される視点の概念図 現在,全国の大学において.規模の大小やその方法 に差異がみられるものの. 1年次からの観察実習や学 校体験などといった「体験と省察」を基軸にしたカリ キュラム改革が進められてきているO そのような背景 に即しながら,教職への理解や児童生徒の理解を基本 的視座に置くカリキュラム改革も今後は必要になるの ではなかろうか。

6

.

摘要と今後の課題

本研究は,教育実習で採用されている評価規準の観 点を分類し,その観点に含まれている項目を明らかに した。また,その評価規準の項目を参考にして,現在 の実習生が評価される視点を把握した。その結果,以 下の点が明らかとなった。 1)わが国の教育実習における評価規準は6つに区 分できた。しかしながら,各大学によって教育実 習の評価規準の項目は,多様化かっ混在化してい る。

2

)

教育実習では

.

1

学習指導jとりわけ「授業設計

J

と「授業実践」が重視されているO 3)1学級経営」に関する評価規準は,何に焦点化し どの程度の学級経営力を求めるのかを今後検討す る必要性がある。 4)

1

学習指導

J

.

1

学級経営

J

.

1

生徒指導jには「児 童生徒の理解」が根底にあり,実習前に児童生徒 の理解を基本的視座に置くカリキュラムが必要で ある。 教育実習は,教師教育プログラムの中で最も価値が あるもの (Graber. 1995; McIntyre et a

L

.

1996)であ り,大学で学んだことを実際の教育現場で実践するこ とができる重要な教育的機能(竹内.2006;別惣, 2004)を有するO また,教職や進路決定に対する動機 付け(木原ら.2002)として大きな役割を果たす重要 な科目であるのは疑う余地もない。 一方で,実習を行うすべての学生が,将来教職に就 きたいと考えているわけではない現状(京極.2002) に対する対策や授業の指導に関して課題を自覚した 実習生に対して実習後の大学側のおける授業の整備 (木原ら.2004)が今後の課題として残される。 今回の調査は,全国的な教育実脅の評価規準の傾向 について示唆を得ることができたが,今後は教員養成 カリキュラム全体における教師としての力量形成を視 座においた実習の具体的な到達度やそのループリック の策定について継続して研究していきたい。

(8)

[付記]

本研究の一部は.日本学術振興会科学研究費補助金 (若手研究B).課題番号197

490.研究代表者・岩田 昌太郎の補助を受けて行われた。

[

]

1 )吉崎(1987)は.Shulman.L. S (1987)のWKnowledge and TeachingJから引用して,教帥の知識カテゴ リーを7つにまとめているO それは.①内容につい ての知識 (contentknowledge).②一 般 的 な 教 授 方法についての知識 (generalpedagogica)目l ③カ リ キ ユ ラ ム に つ い て の 知 識 (curriculumknow-l edge).④内容と教授方法について知識(pedagogical content knowledge).⑤学習者と学留者特性につ いての知識 (knowledgeoflearnersand theirchar -acteristics).⑥教 育 的 文 脈 に つ い て の 知 識 (knowledge of educationalcontexts).⑦教育的目 標・価値とそれらの哲学的・歴史的根拠についての 知 識 (knowledgeofeducational ends.purposes. and values.and theirphilosophicaland historical) である。特に.④内容と教授方法についての知識 (pedagogicalcontentknowledge)を強調しており, 吉崎 (1987)は.この知識を「授業において教師が 用いるところの類推,実例,説明寅示.概念の表 現形式の中に.この知識は表わされる」と述べてい る。 2)自己指導力には.自己をありのままに認め (自己 受容に 自己に対する洞察を深めこと(自己理解). これらを基盤に自らの追求しつつある目標を確立 し 明 確 化 し て いくこと.そして,この目標の達成 のため. 自発的・自律的に自らの行動を決断 し 実 行することが含 ま れる。(学校教育辞典.2003 p.459)

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参照

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