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沖縄島国頭村奥の動植物方名とその利用: 沖縄地域学リポジトリ

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(1)

Author(s)

当山, 昌直; 盛口, 満; 島田, 隆久; 宮城, 邦昌

Citation

沖縄大学地域研究所彙報(11): 81-142

Issue Date

2016-10

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/21527

(2)

沖縄島国頭村奥の動植物方名とその利用

当山昌直・盛口 満・島田隆久・宮城邦昌 はじめに

島の人たちは、身の回りの生き物を区別(認識)し、利用

[1]

しながら生きてきた。認識と利用は

相互の関係にあり(山田,2012)、これらの生物の知識は暮らしの中で、伝統的に代々受け継が

れてきた。

当山(2016)は、これらの伝統的な生き物の知識を生物知識と称し、名称(民俗分類)として

認識され、方言名(以後「方名

[2]

」と称する)として反映されるとしている。さらに、方名がつけ

られた生物のほとんどは暮らしの中で衣食住などに利用されている

[3]

としている。

一方、当山(2016)は、従来の動植物方言調査

[4]

においては、方名を中心としたものが多く、

その方名と一緒に残ってきた利用に関する知識までを記録することが少ないことを指摘している。

このようなことから、沖縄島国頭村奥集落の動植物の方名およびその利用について調査をする

機会があったので報告する

[5]

調査について

沖縄島国頭村奥における動植物の方言名(以後「方名

[6]

」と称する)の調査については、盛口に

よる調査(2009 年 4 月~ 2012 年 7 月)は、植物について与那城安(大正 5 年生:以下敬称略)、

上原信夫

[7]

(昭和 3 年生)、島田隆久(昭和 12 年生)、玉那覇タカ子(昭和 17 年生)、宮城邦昌(昭

和 23 年生)、宮城正志(昭和 28 年生)、比嘉秀康(昭和5年生)、崎原栄秀(大正 14 年生)に

教えてもらった。また盛口は、2012 年 4 月 12 日に上原信夫・宮城邦昌から「食」を中心とした

動植物の聞取りを行っている(盛口、2012)。

当山は、2013 年7月6日、植物については島田隆久、宮城邦昌から、動物については崎原栄秀(大

正 14 年生)、比嘉秀康(昭和5年生)から聞取り調査を行なった。当山の調査はパワーポイント

で植物約 200 種、動物約 140 種の写真を投影し

[8]

、複数のインフォーマントから同時に聞取りを

[1] ここでは、危険生物等にみられるように非積極的利用としての「忌避」も含める。 [2] 松井(1983)は動植物名に限らず、あらゆる名詞についてそれぞれの土地の伝統社会において用いられる名称を「方名」と呼 んでいる。ここでは、便宜上、一般的な方言を「方言」、名詞を「方言名」とし、動植物の「方言名」に対してのみ「方名」と 称する。 [3] 方名はあるが利用されていない、または利用しているが方名がないなどの事例もみられる。 [4] 主に沖縄島における調査。 [5][5] 本稿は、大西・宮城編(2016)において作成され、印刷刊行までは至らなかったが、web 上で公開された「国頭村奥の動植 物方名語彙」を改稿したものである。 [6] 松井(1983)は動植物名に限らず、あらゆる名詞についてそれぞれの土地の伝統社会において用いられる名称を「方名」と呼 んでいる。ここでは、便宜上、動植物の「方言名」に対してのみ「方名」と称する。 [7] 上原信夫編纂『ウクムニー』は彼がこれまで奥の方言について調べてきた語彙をまとめたもので、いずれ辞書として編纂される 予定であった。彼はその辞書を作成する前、2014 年に逝去された。本稿では『ウクムニー』のデータを「上原資料」として引 用した。 [8] パワーポイントは、野鳥やセミ類などの鳴き声も写真と一緒に提示できる利点があり、調査の効率を高めることができる。

(3)

する方法で行った

[9]

当山が調査した資料を基に盛口の調査資料を加えてまとめる作業をおこなった。一方、島田隆久・

宮城邦昌は、実際に奥で生まれ育ち、聞取りした内容全般について見たり実体験をしてきている。

また、以前から積極的に古老から聞取り調査も行っており、方言やその知識全般を残そうと努力

してきた。それで、島田・宮城は、当山・盛口が調査した資料について検証し、さらに修正追加

する作業を行った。なお、宮城安照(昭和3年生)、崎原トミ(昭和 6 年生)、宮城幸子(昭和 9

年生)、新里恵仁(昭和 13 年生)、宮城勝(昭和 14 年生)、糸満盛辰(昭和 15 年生)、には各方

言の録音と確認検証に協力していただいた。

資料の整理

植物

[10]

は、植物整理番号、和名、学名、科名、方名、聞取り内容の順序で記した。和名、学名、

科名は原則として天野(1994)にしたがったが、必用に応じて新しい和名や学名を付した。外来

種は、和名に「*」の記号を付した。

方名はカタカナで表記した。上原信夫氏の資料『ウクムニー』(以後上原資料と略する)も含め

たが、他地域の方名が混在している可能性(特に外来種)があるのは( )で記した。質問およ

び後日の調査でも方名が得られなかったのは「-」を付した。必要に応じて、上原資料から引用

した方名には「*」、新里・木下(2012)より引用した方名には「**」の記号を付した。

聞取り内容については、種類の見分け方や特徴、名前の由来、生息状況、分布の由来などの全

般的な知識については「聞取」としてまとめた。次に利用を中心とした内容を民俗的分類(衣〔装

身具・染料など〕、食〔燃料など〕、住〔材・用足しなど〕、生産〔飼料・緑肥・材料など〕、交通・

運輸〔運搬など〕、社会生活、信仰〔祭祀など〕、民間療法、娯楽・遊戯〔遊びなど〕、人の一生、

年中行事、口頭伝承〔俚諺など〕)にわけて記した

[11]

。なお、内容については、インフォーマント

の話をなるべく近いかたちで載せるようにし、意味がとおるように若干の修正を行った。

聞取り内容の中で、外来語、和名、奥の方言、奥の動植物方名のカタカタ表記が混在するので、

種類ごとの会話において、方言を太文字、動植物方名を下線が付いた太文字で示した。会話の中

の一般的な生物名は便宜的に漢字で表した。また会話では方言のみで答えているのもあったが、

一部の方言では、標準語や和名を挿入して理解しやすくした(例:

シヌグのハブイにミーパンチャと 一緒に使う→シヌグ〈祭事のひとつ〉のハブイ〈冠〉にミーパンチャ〈ゴンズイ〉と一緒に使う)。

動物は、動物整理番号、質問した動物名、方名、分類、聞取り内容の順序で記した。動物整理

番号は任意で付した通し番号である。質問した動物名は一般名や種名をひらがなで表し、必要に

応じてその特徴を記した。方名は植物と同様にカタカナで表記した。質問および後日の調査でも

方名が得られなかったのは「-」を付した。分類は、質問に応じて答えられた方名の動物分類学

上の位置(範囲)を示し、対応する種の和名と学名を記した。和名、学名、科名は一般的に用い

[9] この方法により、互いに方言を確認することによって方言の精度が向上し、また忘れた方言も補完しあうことによって思い出す 機会が増えるという利点があった。そして、従来の紙写真を提示しながら調査する方法と比較してインフォーマントの疲労も 少なくなることが期待された。 [10] ここでいう植物とは、断りの無い限り維管束植物を指しているが、末尾には苔類等も加えた。 [11] 山田(1977,2012)は、民族植物学的視点からカテゴリーを分けているが、山田(1977)でも指摘しているように、まだ十 分とはいえない。今回は、山田(1977,2012)も参考にしながら、文化庁内民俗文化財研究会編(1979)の民俗的な分類を基に、 一部は変更して使用した。いずれ生物知識については、沖縄地域に適したカテゴリーを検討する必要があろう。

(4)

られているのを使用し、基本的には沖縄県教育庁文化財課史料編集班(2015)にしたがった。聞

取り内容の記述方法については植物と同様である。なお、使用した写真は、特にことわりがない

限り、国頭村奥およびその近隣で撮影されたものである。また奥ヤンバルの里民具資料館におい

て撮影した資料は「*」の記号を入れ、他地域で撮影したのは地名または「**」の記号を入れた。

さいごに調査でお世話になった国頭村奥のみなさんに感謝したい。

植物方名語彙

000.植物の一般的な名称

方名:’クサ

聞取:植物一般を’クサという。大まかにはシダ類はシバ、木はヒ、キ、草は’クサ、蔓状の植物はハン ダ、カンダ、竹はダイと呼んでいる。

001.ミズスギ

Lycopodium cernuum ヒカゲノカズラ科

方名:ヤマナチョーラ、モーナチョーラ

聞取:ナチョーラ(海人草)に似ていることから、ヤマナチョーラ(山の海人草)またはモーナチョーラ (森の海人草)と呼ばれている(図1)。 生産:冬場の草が少ない頃の ’ ピーダーグサ[12](山羊の餌)として刈り取 るが、草の多い頃は取らない。

002.コシダ

Dicranopterislinearis ウラジロ科

方名:ワラビ、ウニワラビ

材料:カゴの材料(図2)。ワラビの柄の黒くて硬いところでカゴを編む。 大きいものを使う。奥でカゴを編むといったら材料はワラビかハーダ ヒ(ホウライチク)。

003.ナガバカニクサ

Lygodiumjaponicumvar.microstachyum フサシダ科

方名:ハンダ、チルマチガンダ

聞取:かずら類一般をハンダと呼んでいる。 行事:シヌグ(祭事のひとつ)のハブイ(冠)にミーパンチャ(ゴンズイ) と一緒に使う(図3)。

004.ヒカゲヘゴ

Sphaeropterislepifera ヘゴ科

方名:’ピグ

食:通常、奥では食べない。戦時中に山に避難した時に、’ ピグの芯を 刻んで、一晩水にさらして、海水で味付けをして食べた。この処理方 法はカイコン[13](開墾)の人から習ったといわれている。 材:猪垣を作る時、石がない場合は ’ ピグの木を杭のように埋めるとこ ろもあった。’ ピグの芯は硬いので太いもので箸を作った。乾燥した 材は硬い。 [12] 山羊の餌になる草(植物)という意味になるが、「’ クサ」はシダ植物や草本、木本類、蔓性植物も含み広い意味での「植物」 になるだろう。ここでは、便宜的に利用面を考慮して植物方名とせずに一般方言として扱った。 [13] 戦前(特に近代)、仕事にあぶれた首里・那覇の士族が藍栽培等の山仕事のためやんばるの山の中を開墾して暮らしていた。そ の開墾地の一般的な呼び方。 図 1 ミズスギ ** 図 2 コシダでつくったカゴ * 図 3 祭事で使われる冠

(5)

005.リュウキュウイノモトソウ

Pterisryukyuensis イノモトソウ科

方名:-

聞取:奥ではみない。

006.ヒリュウシダ

Blechnum orientale シシガシラ科

方名:シバ

聞取:シダ類を一般的にシバと呼んでいる。

007.タマシダ

Nephrolepisauriculata ツルシダ科

方名:’タマググサ

[14]

、ムカジグサ

生産:’ ピーダーグサ。

008.ホシダ

Thelypterisacuminata ヒメシダ科

方名:シバ

生産:’ ピーダーグサ。

009.ケホシダ

Thelypterris parasitica ヒメシダ科

方名:シバ

010.シマオオタニワタリ

Asplenium nidus チャセンシダ科

方名:オータニワタリ

食:奥では新芽を食べる習慣はあまりない。

011.ソテツ

Cycasrevoluta ソテツ科

方名:’トゥ’トゥチ

聞取:昔は見渡す限り、畑の縁にソテツが植えられていた。ソテツは放っ ておくと、草木に覆われてダメになる。そうして少なくなった。昭和 55年頃、製材の機械を使って、ソテツからデンプンを取っていたこ とがある。そのときに大量にソテツを切り倒している。ソテツは海岸 端の岩場のようなところにも生えていた。カラスが実を持っていくの は何度も見ていた。もともと辺戸岬の近辺に野生のソテツが生えてい て、奥のソテツはそれを持ってきたのが始まりと言う。 食(実):昔、ソテツの実(図6上)を割るのに、自分たちで道具を作っ た。角材に釘を×印に打ち付けて、その中に刃ものの先端を入れて、 押切のような形にした。実から取ったデンプンをまぜたご飯は ’ トゥ ’ トゥチンナイメーと呼ばれる(図6下)。ソテツの実のデンプンから 味噌やカステラも作られた。 食(幹):幹の外皮を削り落とした物(図7上)の内皮の部分を短冊状 に切ったものをケーラと呼ぶ(図7中)。これは乾燥したのち、水に 浸して発酵させて毒抜きをする。食べる時にはソテツのデンプンなど をふりかけ、味付けをして、午前・午後の休みの時間に茶菓子代わり に食した(奥のあゆみ刊行委員会編,1986)。 毒を抜いたケーラは、炊いてそのまま食べた。芋みたいな感覚。中に 繊維分があるから、その部分は捨てる。この食品はケーラニーと呼ば [14] 名称は根の部分に卵のような塊を持っている(図4)ことと関係していると思われる。 図 5 上:ソテツの実、下:ソテツ の澱粉を入れた粥 ** 図 4 掘り出したタマシダの根 **

(6)

れる。幹のデンプンを取るのは、雄の木か、雌の木かのどっちかとい うことはない。子どもの頃、海岸などの空き地の砂場にケーラが干さ れていたのを覚えている。ほかに海岸の大きな石の上にはカーカスー (サメの裂身でサメ肉の乾物)が干されていた。昔食べていたケーラ ニーはムチムチしていた。毒抜きしたケーラを、ソテツのデンプンと 一緒に煮て、煮えたらその上にデンプンをふりかけると、ムチムチに なって、おいしくなる。ソテツのデンプンがないときはイモのデンプ ンでもいい。ソテツのデンプンを使ったカステラもおいしかった。 ナガジク(幹の芯部分)のデンプンは、黒く酸味があり、あまりおい しくない。これは油で炒めて食べたり、お粥に入れて食べた。芯は発 酵させて絞り、デンプンを取り、団子状に握り乾燥させ、お粥に入れ てナガジクメーにしたり、ゆがいて油で炒めたりしたが、少し酸っぱ い味がした(上原,2007)。 幹のデンプンから味噌もつくった。ソテツのご飯とあうのはバター。 これ、最高。今でも一番のご馳走と思っている。 燃料:割ったあとの実の殻は、干して囲炉裏の燃料とした。脂っ気があ るから、ちょうどよかった。実の殻は、冬、風呂の薪を焚くときの焚 き付け用にもした。葉は、トーグラ(台所)の土間を掃く箒ほうきとした(図 7下)。生の葉を箒として使用し、そのうち枯れてくると燃料とした。 ただし、葉を薪としてわざわざ採ってくることはなかった。 生産:田んぼの緑肥にした。畑にも入れた。ソテツは竹よりも緑肥とし てはるかにいい。腐りやすいから。畑には葉を切り込んだものを緑肥 とした。畑の周囲に植えてあるから、畑周りの除草をするときに切っ て入れたりしたが、わざわざ刈り取って利用はしなかった。 奥では水車を利用して澱粉を作っていた。戦後は自動車エンジンを加工してまた、澱粉用の圧搾機を つくった。ソテツを板状に割って、圧搾機で澱粉を搾る。川の水で毒ぬきをした。終戦後は宜名真の トンネルの所にソテツの澱粉工場があったが長続きしなかった。 社会生活:ソテツは自分の畑だけじゃなくて、畑の周辺に生えていたから、どこからどこまでが自分の ものという区域もわからない。原野や山の上や海岸の崖にも生えている。だから実を採るとき、いざ こざを残さないため、時期を決めている。奥でのソテツの解禁は 10 月ごろに解禁日があったと聞いた。 民間療法:ソテツの芯からとった澱粉を酒につけて腹薬にした。下痢とか食中毒の時に使用した。今の ペニシリン[15]より効いたとか。これは奥の家庭常備薬だった。

012.ナギ

Nageia nagi マキ科

方名:ナジギ*

材:建築材。

013.イヌマキ

Podocarpusmacrophyllus マキ科

方名:’チャーギ

聞取:奥では少ない。 食:実を食べた。 材:これが建材のナンバーワン。天秤棒にも利用された(図7)。 祭祀:奥では仏壇に供えたという例が少ない。その例というのは中南部 の影響だろう。奥では少ないので、マサキを供えていた。 [15] 当時は抗生物質のことを一般的な名称としても使用していた。 図 6 上:幹を削る、中:短冊状に 切った幹の芯部分、下:ソテツの 葉で作った箒 * 図 7 イヌマキで作られた天秤棒 (部分)*

(7)

014.スギ*

Cryptomeria japonica スギ科

方名:シギ*

材:杉でつくった柱はシギバラ、つくった家をシギヤーといった。

015.コウヨウザン*

Cunnighaia lanceolota スギ科

方名:クインチャ

聞取:クインチャを植林したとされる窪地があり、クインチャクブの地名が残る。2010年現在、奥で3 ケ所(カイチに2本、アハマタ川尻に2本、アラマタ川尻に1本)に5本確認。 運搬:帆柱に使用。

016.オキナワハイネズ

Juniperus taxifolia var. lutchuensis ヒノキ科

方名:

エンピツギー*

聞取:部落東側のアサチザチ周辺海岸の崖付近に自生している。幹の直径10cm高さ5m以上にも伸びた ものも見かけた。盆栽として盗掘で著しく減少。

017.リュウキュウマツ

Pinusluchuensis マツ科

方名:マチ

聞取:松かさにマチブックイという。松の芯はアッシと呼んだ(図8)。 燃料:アッシは奥の石炭のようなもの。宝とも呼んでいた。松たいまつ明に使用 され、イザリ(夜の漁)にも利用された。川のウナギ捕りでもアッシ を重宝した。アッシは大きな木にあるとは限らない。いじめられたよ うな木が自然とアッシを作る。また、アッシはカマドの焚き付けにも 使われた。アッシを細かく削って、マッチで火をつけ、それから普通 の薪に火をたく。昔は、毎朝、アッシを使った。今でも山を歩いてい てアッシを見つけると、重くないものは持って帰る。松の立ち枯れは、 アッシを取るために入札する。 材料:川の上をまたいで用水を流す’ピーと呼ばれる樋を作った。この’ ピーが何十か所もあり、橋がわりにもなっていた(図9)。10 年とか 15 年に一回の大雨がくると’ピーが流されてしまう。そのため、大 きな松を切ってはいけないという条例を作った。’ピーを作るのは水 に強い松と決まっていた。1945 年 8 月 3 日、戦争で山の中に避難し ていた奥の住民は、山から下りた。このとき、大水で増水した川の上 をピーを橋代わりにして渡った。そこから辺土名の捕虜収容所に入っ た。このとき’ピーに大変お世話になった。コンクリートの’ピーは 今も一部残っている。 トーニ(豚の餌箱)は必ず松で作った(図 10 上)。サバニのユートゥ イ(垢水汲み)は松の木と決まっている(図 10 下)。魚をとったら、 この裏側をまな板代わりにして中であえた。よけいな水も汲みだすの にも使う。風の強い日はサバニで用をたすのは大変なので、これを便 器代わりに使った。 松は、松脂が入っていて白蟻にも食われなくて半永久的だが、建材 としての仕上がりに弱い。しかし、水には強く、奥丸(奥集落の 船)を作った材料が松、あと川の護岸の堤防の前に石をはめて堤防 を保護する杭も松を使用しているという。田んぼの側の杭は全部松 だった。臼は松と決まっていた(図11)。豚の骨を切る大きい刀の 図 8 夜の漁に利用された松の芯*、 図 9 1960 年頃まで利用されていた 奥川にかかる樋 * 図 10 上:豚の餌箱 *、下:垢水汲 み *、

(8)

柄は松の木を使う。 行事:奥で正月の飾りに使用するのは、松と竹(昔はホテイチクが主)。

018.モクマオウ

Casuarinaequisetifolia モクマオウ科

方名:モクモー

聞取:モクモーは戦前から入っているようだ。防風林といっているがたい して役立たない。 燃料:上等ではないが薪に利用。 材:硬くて刃がたたない。切った時に割って加工しておかないと使いに くい。建材としては使ってない。

019.センリョウ

Sarcandra glabra センリョウ科

方名:タニブラ

聞取:タニブラはブドウ果状の房の形を睾丸に例えたもの。 食:実は空焼きにして食べた[16]。よく食べた。

020.ヤマモモ

Myricarubra ヤマモモ科

方名:ムム、イシムム

聞取:山に採りにいくことがあった。だが最近は少なく、あんまりおいしいのがない。ムムには、イシム ムといって実が小さく固くておいしくないものと、ミジムム(シロモモ)といって柔らかくて甘味の あるものと二種類ある。葉の形態が全然違う。イシムムは葉に艶がなくて、単調な緑色。ミジムムは 濃い緑葉で、少し艶がある。実がよく成るのはそんなに大きくならない。おいしくないのは木も大き くなっている。普通の桃にもムムという。 染料:染物に使ったらしい[17]。 食:よく食べた。

021.シロモモ

Myrica rubraf. alba ヤマモモ科

方名:ムム、ミジムム

[18] 聞取:実は柔らかくて甘みがあり、葉は濃い緑色で少し艶がある。 食:食べた。甘くておいしい。

022.イタジイ

(オキナワジイ)Castanopsissieboldii ブナ科

方名:シー、シージ*

食:椎の実(図 12 上)をご飯に入れた。椎の実で作ったご飯をシーメーと言った。米の少ない家では椎 の実を収穫したのち乾燥させ、1 年間利用した。椎の実はゆがいて干して乾燥させて、臼で砕いて殻 をむいて保存する。米 1 合に椎 3 合をあわせて炊いた。シーメーはおいしかったというよりは米がな いから食べていたというもの。 椎の実だけをおやつとして食べる時は、ウチー(囲炉裏の残り火)の下に入れて焼いたのを食べた。 一般的に実の名前はないが、強いていえばシーンミーという。椎の実が落ちてそれを採りに行くこと を、ジィ シープーリーガイカ(さあ、椎の実を採りに行こう)と言った。基本的には実も木も一緒 に呼んでいる。 燃料:那覇などに出すサバター(販売用の薪)に使用(図 12 中)。椎の木が一番多いので薪として使った。 また木炭にも利用した。完全に乾燥してない木や薪などをスーガリムンといった。 [16] 新里・木下(1912)による。 [17] 奥のあゆみ刊行委員会(1986)に染料として使用されたことが記されている。 [18] 天野(1989)を参考にしてシロモモと同定した。 図 11 臼 *

(9)

材:椎の木でつくった柱はシージバラ、つくった家はシージーヤーといっ た。奥で一番建材に使われているのは椎。芯材は白蟻が食わないし、 樫(オキナワウラジロガシ)と同じくらい非常に貴重な強い材。芯材 は硬いので柱に使う。特に、防虫処理はしないが、川や潮水に約半年 間つける。椎以外にも奥の人は鍬の柄、杖、ザルをつくる時の竹を作 る前に材料を全部水に浸ける。泥浸けもやっている。いずれも約半年 間浸ける。場所は、河川や河口付近の湿地帯。椎は壁や柱などすべて に使う。壁材は奥では椎で壁板もまかなっていた。 建材で一番使いたいのは、’チャーギ(イヌマキ)、イク(モッコ ク)だが量が少ないし、値段も高いから商品として売っていたんで しょう。 材料:メーピキウシ(籾もみすり摺り用の臼)は椎の木で作った(図 12 下)。ほ かの臼は松と決まっている。 運搬:川を利用して木材を引っぱって運ぶことをスッキギーと呼んだ。

023.マテバシイ

Lithocarpusedulis ブナ科

方名:’クダン

食:実もクダンという。量的にも少なく、よく食べたということは聞い てない。食べてもおいしくない。

024.アマミアラカシ

Quercusglaucavar.amamiana ブナ科

方名:-

聞取:奥ではみない。

025.オキナワウラジロガシ

Quercusmiyagii ブナ科

方名:カシ

聞取:アニン(樫の実)が発掘された田んぼがあって、アニングダーとい う。奥の河川工事する時4・5m深く掘ったら樫の実がでてきた。そ の工事現場にいた奥の先輩方はみている。材質として比較的水に弱 い。 食:島田桃三郎(明治 44 年生)が小さいころは、樫の実(図 13 上) をあく抜きして食べているが、樫の木が非常に少ないこともあって、 一般的ではない。昔はたくさんあったらしいが、少ないので利用も少 ない。 材:柱に利用。硬いので雨戸の道に使用した。 材料:荷馬車の鉄車輪の内側に使用。奥で必ず樫を使わなければならな い道具は、ウヌヌハブ(斧の鉄との接続部分:図 13 中)、ハナ(鉋かんな) のハナンデー(鉋の台)部分(図 13 下)だった。

026.クワノハエノキ

Celtis boninensis ニレ科

方名:ブンギ、ヤマクヮーギ

聞取:十分大きくなった成葉の着いたものをヤマクヮーギと称することも ある。 生産:ピーダーグサとしてよい[19]。

027.ウラジロエノキ

Tremaorientalis ニレ科 [19] 方名、民俗知識は新里・木下(2012)による。 図 12 上:イタジイの実 **、中: 販売用の薪 *、下:籾摺り用の臼 * 図 13 上:オキナワウラジロガシ の実 **、中:斧 *、下:鉋 *

(10)

方名:フクキ

聞取:奥あるいはヤンバルにおいて、太くなるのが一番早い木。デイゴと同じくらい早い。大きくなった ら背丈ぐらいの板根ができる。材がやわらかいので使い道がない。

028.ホソバムクイヌビワ

Ficusampelas クワ科

方名:’パチコー

[20]

、’パチコーギー

聞取:名称は痒くなる意味が含まれる。 住:建材に利用。 生産:’ ピーダーグサ。 材料:成長したら板根状になるので鍋の蓋に利用した(図 14)。 忌避:刈り取りしていると粉のようなのが落ちてくる。皮膚にそれがつ くと痒くなる。漆かぶれに弱い敏感な人はこの木の下を通るだけでも 痒くなる。

029.コウトウイヌビワ(アカメイヌビワ)

Ficus benguetensis クワ科

方名:ハーブイギー

[21] 聞取:名前は実を食べにハーブィ(コウモリ)[22]が集まることによる。 生産:牛の餌、ピーダーグサ。

030.イヌビワ

Ficuserecta クワ科

方名:ミミクンダ、ミミクンダギー

食:実は食べた。 生産:’ ピーダーグサとして最高。ピーダーグサの1番はミミクンダ(イヌビワ)、2番目にウーベグサ(ノ カラムシ)、3番目にシービグサ(ツルソバ)、4番目には ’ パチコーギ(ホソバムクイヌビワ)。山羊 の様子をみてわかる。おいしくなかったらぜんぜん見向きもしない。緑肥にも使った。

031.ガジュマル

Ficusmicrocarpa クワ科

方名:ガジマル、ガジマルギー

聞取:幹にミミグイ(キクラゲ)が生える。実の中に虫がいる。 食:実の表皮が紫から黒にかわって熟するころ食べた。甘みがあっておいしい。中に虫がいても関係なかっ た。実はイヌビワに似ている。 燃料:乾燥し難いので薪にはあまり使わない。 材:建材には使ってない。学校の日陰。 生産:緑肥としては、それほど使わない。 捕獲:汁から鳥もちをつくった。木を突いて皮を剥いでから汁の粘着力を出して、土で汁を吸い取る。 後で土を洗い流すので持ち歩きにいい。

032.オオイタビ

Ficuspumila クワ科

方名:イシガチガンダ

食:実を食べた。おいしい。 遊び・娯楽:投げたり、ビー玉代わりに転がして遊んだ。

033.オオバイヌビワ

Ficus septica クワ科 [20] 新里・木下(2012)はハチコーを加えているが、地元確認により方名には入れなかった。 [21] 新里・木下(2012)をもとに植物を確定した。新里・木下(2012)はコウモリギーとしているが、本来の方名は地名なども 参考にするとハーブイギーとされ、コウモリは新しい方名と思われる。 [22] 動物のコウモリの項を参照。 図 14 ホソバムクイヌビワを利用し た鍋蓋 *

(11)

方名:’トゥートゥンギー

住:木は柔らかいので建材には使ってない。

生産:道の側に生えて、枯れやすいので水田の緑肥に使用した。

034.アコウ

Ficussuperbavar.japonica クワ科

方名:アホーギー

聞取:一番大きいのは学校にあった。戦前から戦後にかけて学校にはあった。今でもあちこちにある。記 念木として先輩たちが植えたがそれもグランド拡張工事でなくなっている。ミミグイが生える。 食:実を食べた。 燃料:燃えにくいので使っていない。 生産:緑肥。

035.ヒメイタビ

Ficus thunbergii クワ科

方名:イシガチガンダ**

036.ハマイヌビワ

Ficusvirgata クワ科

方名:アッタニク

住(防護):根が非常に長く、カズラみたいに伸びるので、傾斜地の土砂崩れ防止、畑の土砂止めとして 利用するのに最高によい。 生産:葉は牛や山羊が好む。緑肥に使った。

037.ヤマグワ

(シマグワ)Morusaustralis クワ科

方名:クヮーギ

聞取:クヮーギバルという地名がある。 食:子どもたちはこの実を食べた(図 15)。実は山のイチゴと同じくらいおいしい。子どもたちは実が なると競い合って取った。葉の新芽はよく食べたはずだ。ラーメンに入れたことがある。クサギ(ア マクサギ)の葉より食べやすい。ただ、クサギはどこにもあるが、クヮーギは蚕にもあげないといけ ないから少なかった。 生産:牛の餌。’ ピーダーグサ。昔は、個々人で蚕養っており、蚕の餌として利用した。一時は非常に盛 んだった。桑畑は、蚕用として比較的家に近い所のアタイとか、あるいは山にあるクヮーギバル[23]といっ た共同で植えた所もあった。

038.ノカラムシ

Boehmerianiveavar.nipononiveaf. viridula イラクサ科

方名:ウベー、ウベーグサ

生産:’ ピーダーグサ。 遊び:子どもたちは草刈をしながらウベーの葉を服に張り付けて、勲章として大きさを競って遊んだ。

039.ハドノキ

Oreocnide pedunculata イラクサ科

方名:ハーウベー

生産:’ ピーダーグサ。

040.ツルソバ

Polygonumchinense タデ科

方名:シービ**、シービグサ

食:子どものころよく遊び半分で実を食べた。おいしそうに見えるが、おいしいとはいえない。野菜と [23] 発展橋と尾西岳を結ぶ中間の北側にある。

(12)

して食べたということはない。 生産:山羊の上等な餌。

041.ギシギシ

Rumexjaponicus タデ科

方名:-

聞取:海岸端にずっと前からある。海岸端の防風林で、砂場との間にあるが大量ではない。 生産:牛の餌。

042.ツルナ

Tetragoniatetragonioides ザクロソウ科

方名:’ペーナオーパ、’パマホウレンソウ

[24] 食:葉は食べる。ホウレンソウとほとんどかわらない。ドゥーシーメー[25](雑炊)や炒めものに使う。ただ、 生育場所が遠いので困る。

043.スベリヒユ

Portulacaoleracea スベリヒユ科

方名:ニンブトゥキー

聞取:道端や家の近くでよく採れた。昔はどこにもあったが今は見あたらない。 食:湯がいて少し柔らかくて、味噌とかで酢味噌和えなどのスネー(和え物)でよく食べた。オバーた ちが集まるとニンブトゥキスネーを前にしてよく食べていた。今では食べる機会も無くなった。

044.ウシハコベ*

Stellariaaquatica ナデシコ科

方名:ミンナグサ

捕獲:子どもたちが海遊びとして、摺りつぶした汁をサンゴ礁などの穴に入れイヌジ(ウデナガカクレ ダコ)などを獲った。

045.リュウキュウボタンヅル

Clematisgratavar.ryukyuensis

キンポウゲ科

方名:ブックイグサ

聞取:髪を洗うのに、ブッソウゲの葉と一緒に使っていた。

046.ヤンバルセンニンソウ

Clematismeyeniana キンポウゲ科

方名:-

047.シマキツネノボタン

Ranunculussieboldii キンポウゲ科

方名:タマググサ

048.ハスノハカズラ

Stephaniajaponica ツヅラフジ科

方名:ジベーガンダ

聞取:湿地帯にある。 材:瓦葺屋根を作る時に竹(リュウキュウチク)を固定するための綱代わりとして必需品だった(図 15)。明治時代に作った瓦の家はこれでつくった。

049.ニッケイ

Cinnamomumsieboldii クスノキ科

方名:ハラギ

[24] 新しく入ってきた方名と思われる。 [25] 普通の堅めの雑炊はフパドゥーシーメー、芋を入れた堅めのはウムドゥーシーメーという。軟らかい雑炊はボンボンドゥーシー メーまたはシルドゥーシーメー、カンダバー(芋の若葉)を入れたのはカンダバードゥーシーメーという。 図 15 瓦葺屋根の竹を固定したハ スノハカズラ *

(13)

食:菓子の香料。葉を生のままかじり、風味を楽しむ。根も同様に利用できる。製材所に持ち込まれたとき、 子どもたちは中に運び込まれるまでの間に、石を持って行って、皮をはぎ取って食べた。 燃料:サバター(販売用の薪)などにも使われた。 材:建材。使うときに水に浸けたというのは聞いてない。 材料:そのままだと割れやすいので、枝を田んぼの泥の中に浸けたあと、乾燥させえて箸の材料にした。 民間療法:戦前はハマボウフウと一緒にハンセン病の薬として利用したと祖母から聞いた。

050.スナヅル

Cassythafiliflormis クスノキ科

方名:ニーナシガンダ

聞取:浜辺にある。根がどこにあるかわかりにくい。ニーナシカンジャともいう。

051.クスノキ*

Cinnamomum camphora クスノキ科

方名:クスヌチ

生産:昔は天然樟脳を作っていた。

052.シバニッケイ

Cinnamomum doederleinii クスノキ科

方名:シバヒ、’パーン’クヮーシバヒ

[26] 燃料:材が軽くよく燃える。

053.ヤブニッケイ

Cinnamomumpseudo

-

pedunculatum クスノキ科

方名:ヒダーラ

食:実は時々食べたが、おいしくない。実を食べすぎると、ナマチュブ ルヤミー(軽い頭痛)がする。 燃料:薪に利用。軽くて火はよくつくが火力が弱くすぐ燃え尽きる。い い薪ではない。サバターにはよく使った。 材:材木には使っていない。

054.イヌガシ

Neolitsea aciculata クスノキ科

方名:シバヒ、’パーン’クヮーシバヒ

聞取:山中に生育する。 行事:シヌグに使う(図 16 上)。シバヒは 1 日目のフヨーサレーの部落 の厄払いのときに使い、集落内を周回し(図 16 中)、海岸で祈り(図 16 下)を終えたあと海岸でそのまま破棄される[27]。

055.シロダモ

Neolitsea sericea クスノキ科

方名:シバヒ、ウプバーシバヒ

[28]

056.ホソバタブ

Perseajaponica クスノキ科

方名:ホーガー

材料:線香の材料[29]。 [26] 新里・山下(2012)は、パヌクヮシパヒとし、ヒは木、シバは柴つまり小さい木で、日常のかまどの薪などに使う低木の意味 と解釈し、ファヌクヮは葉の子で、小さい葉を意味し、シパニッケイはシロダモやイヌガシより葉が小さいことに由来すると 考えている。 [27] 新里・木下(2012)はシバヒの採取現場を調べ本種であることを初めて確認している。 [28] 新里・木下(2012)による。葉が小さいシパニッケイ、イヌガシに対してウフバーシバヒは葉が大きいという意味であるとし ている。 [29] 新里・木下(2012)によると、方名をコーガーとし、樹皮は線香の材料となるので、コーは線香、ガーは樹皮の意味であると 図 16 上:祈りのあと祭祀用のイ ヌガシを採取、中:イヌガシを 持ってで集落を巡回し、海岸に向 かう、下:海岸で祈る

(14)

忌避:かぶれた。

057.タブノキ

Perseathunbergii クスノキ科

方名:トゥムル、トゥムルギー

聞取:明治のころ、ナンチンムイという山[30]は、モッコクとタブノキがたくさんあたった[31]。大きなトゥル ムシ[32]がつく。 材:今から約 100 年前、ナンチンムイのタブノキの芯材を使って家を作っているが今でも光っている。 奥では、モッコク、タブノキの芯材がよく使われている。

058.ハマダイコン

Raphanussativusvar.hortensisf. raphanistroides アブラナ科

方名:パマデークニ

聞取:大根と同じで、食べたらパナパンプン(刺激で鼻にくる)する。 食:根を食べた。新鮮なものがおいしいが、普通は筋が多くておいしとはいえない。葉は採って食べる まではいかない。

059.セイロンベンケイ*

Kalanchoe pinnata ベンケイソウ科

方名:ブックイグサ*

060.ユキノシタ*

Saxifragastolonifera ユキノシタ科

方名:(ミミグサ*)

061.トベラ

Pittosporumtobira トベラ科

方名:アングヮーギー

聞取:アングヮーというのは、オバーの臭いがするという意味。 生産:ピーダーグサ。山羊の安産に枝葉を食べさせる。 材料:イカの餌木。柔らかいから加工しやすい。作ったあと軽くてバランスがとりやすいので餌木作り には適している。

062.イスノキ

Distyliumracemosum マンサク科

方名:ユシギ

住(材):建材、柱、家具材。芯材は樫より硬いが成長して得るのに時 間がかかる。街路樹。 生産:畑の防風林(図 17 上)。馬の鞍に利用(図 17 下)。 材料:お箸の材料にした。

063.ヘビイチゴ

Duchesneachrysantha バラ科

方名:ナスビ

聞取:畑の草の側に生えていた。昔は見たが最近は見ない。ナスビは野イ チゴの総称。 食:実を食べた。

064.シマカナメモチ

Photiniawrightiana バラ科 考えられる。崎原栄昌氏の祖父の代には大きな木の樹皮を剥し、那覇に出したという。 [30] 標高 173 m [31] 崎原栄昌氏からの情報 [32] タブノキを食草としているアオスジアゲハが考えられるが、まだ特定できない。 図 17 上:イスノキで囲われた畑、 下:馬の鞍 *

(15)

方名:-

065.インドシャリンバイ

(オキナワシャリンバイ)Rhaphiolepis indica

バラ科

方名:’テーチ

聞取:テーチはやせた所に生える。海岸の傾斜地、岩場の傾斜地など。山 は稜線の尾根近くの岩が露出している所。 染料:刳り船の帆を染めた。染料を採る方法は、鋸で根っこを切り、小 さい枝を除去し、家に持ち帰り、皮を剥ぐ。鎌で皮を集め、大きなシ ンメーナービに入れて、石灰を入れ[33]、冷えてたら染める布をつける。 3回染織に使った。指導は先輩の崎原栄秀氏が行った。 奥では、染料用の窯があったらしいが、我々は覚えてない。ただ、製 造窯みたいのを一か所見ている。上原林道の四号橋と五号橋の中間付 近左にヒヤギマタという所がある。そこは奥川の支流であるウチンヒチガーと奥川の合流点となって いて、川が奥と楚洲の境界線となっている。遡上するとユウグシクにつながっている。その途中に炭 焼窯とは違った煙突の窯跡がある[34](図18)。 食:実をよく食べたが舌も痛くなった。 生産:葉を刻んで、山羊にあげた。草刈りに行く時についでに刈るが、わざわざこれだけ刈りにいくこ とはしない。

066.リュウキュウイチゴ

Rubusgrayanus バラ科

方名:ナスビ、オーナスビ、ヤマナスビ

聞取:山の中に生えている。呼び方は人によって違うことがある。 食:実を食べた。酸味があり美味しい。戦争中、山の中で避難生活をしているとき、これを食べて助かっ たという人もいる。

067.ナワシロイチゴ

Rubusparvifolius バラ科

方名:ナスビ、ターナスビ

聞取:水田の近くにあった。 食:水田がある時よく実を食べたんだが、今は水田がなくなって、最近はみない。

068.リュウキュウバライチゴ

Rubusrosaefoliusssp. maximowiczii バラ科

方名:ナスビ、アカナスビ、モーナスビ*

食:実を食べた。甘くて、奥で一番美味しいナスビ。

069.ホウロクイチゴ

Rubus sieboldii バラ科

方名:ナスビ、ウプバーナスビ

聞取:葉が大きくて実が赤い。今でも山にたくさんある。 食:実を食べた。

070.ソウシジュ*

Acaciaconfusa マメ科

方名:ソーシギ*

聞取:記録みると部落が緑肥用として苗床作っている。畑の側付近に植えていた。防風林として鍛えなが [33] アルカリ性にするため。 [34] エキス工場は、伊部で大阪から来た人がやった。糸満盛栄という人が買い取ったが、支払った日に台風がきて、その日に機械 工場流されてしまった。短期間で原材料がなくなって、それで引き揚げた。特に奥から人夫を派遣するようなことはなかった。。 図 18 奥の山に残る製造窯の煙突 部分

(16)

ら、余分は緑肥にした[35]。 生産:田んぼの緑肥。

071.ハブソウ*

Cassia torosa マメ科

方名:ハブマミ

072.デリス

Derriselliptica マメ科

方名:-

聞取:もともとは軍事物資として奨励されて、戦前から戦中にかけて各地で栽培させて軍服とかに虫がつ かないようにさせた。それが逃げて一部残っている。 生産:戦後、デリスの粉末を茶の虫駆除に溶かして散布した。 魚毒:戦後、一時デリスをササに使った。

073.デイゴ*

Erythrina orientalis マメ科

方名:デイゴ

住:奥では、西海岸のユッピやユッパの防風林として植林されていた。そこから切取ったものを学校の 校庭に記念樹として植えたがすべて消えている。

074.メドハギ

Lespedezacuneata マメ科

方名:シチグァチボーチ

行事:旧盆に供えるグソウ(後生)にもたす箒ほうきだが今はやってない。ウチカビはなかったが、最近する ようになった。

075.ギンネム*

Leucaena leucocephala マメ科

方名:ニーブィグサ*、ニーブィギー*

生産:よく田んぼに緑肥として使った。畑のそばに植えたりもした。戦前は、部落が苗床をつくって植 えている

076.クズモダマ

(イルカンダ・ウジルカンダ)Mucunamacrocarpa マメ科

方名:ウジルガンダ

聞取:ハンダは蔓性植物の総称。 結束:山から樫の材木などを引き出す時の綱に使う(図 19)。綱引きの綱を作ったり、山羊を繋ぐとき の首輪に使った。

077.クロヨナ

Pongamiapinnata マメ科

方名:-

聞取:クロヨナは奥にはほとんどない。

078.ホソバヤハズエンドウ*

Viciaangustifoliavar.minor マメ科

方名:-

聞取:海岸端にあるがよく知らない。

079.スズメノエンドウ*

Viciahirsuta マメ科

方名:-

[35] 上原資料には建材、染料への利用が記されている。 図 19 綱に利用したクズモダマ(イ ルカンダ)*

(17)

080.ハマササゲ

(ハマアズキ) Vigna marina マメ科

方名:マミグサ

[36] 生産:牛の餌、ピーダーグサ。餌にすると山羊の皮膚がよくなるらしい。

081.カタバミ

Oxaliscorniculata カタバミ科

方名:メージッタ

民間療法:外傷に使った覚えがある(図 20)。

082.ムラサキカタバミ*

Oxaliscorymbosa カタバミ科

方名:ヤハタ*

聞取:入ってきたのは戦後。根をとっても途中で切れて根が残る。畑の邪 魔もので、畑の悪草(図21)。

083.ヒラミレモン

Citrusdepressa ミカン科

方名:シークヮーサー、フガナー

衣:芭蕉布の洗濯。芭蕉布の糊付け。 食:実を食べる。今と同じように刺身に利用する。昔はジュースにして飲むということはなかった。

084.ハマセンダン

Euodia meliifolia ミカン科

方名:’クルチ、ヤマグルチ**

材料:下駄の材料にした。

085.アワダン

Melicope triphylla ミカン科

方名:シノレナイムッタ

[37]

086.ゲッキツ

Murrayapaniculata ミカン科

方名:インカンギー

聞取:材が硬い。印鑑を作る木という意味の由来。石灰岩に多い。それで奥よりは辺戸岬に多い。 住:生垣。

087.サルカケミカン

Toddalia asiatica ミカン科

方名:サラカチ

聞取:トゲがある。

088.ヒレザンショウ

Zanthoxylum beecheyanum ミカン科

方名:センスルギー*

民間療法:薬用。魚の中毒に青汁。魚肉の防腐に葉を利用した。

089.センダン

Meliaazedarach センダン科

方名:シンダン

聞取:昔はよく植えていた。戦後まで植えている人がいた。女の子が生まれたら、24・5年で材になるか ら、嫁ぎ用の材木になるので植えていた。今は植える習慣はない。 [36] 新里・木下(2012)はマーミグサとしているが、地元確認により方名には入れなかった。 [37] 新里・木下(2012)によるとムッタ ( 烏もち ) の汁の出ない木の意味としている。 図 20 カタバミ **、 図 21 ムラサキカタバミ **

(18)

材:一般的な材として使った。昔は板を取るのが大変だったので、タンスの板材によく使われた。

090.ヒメユズリハ

Daphniphyllumglaucescensssp. teijsmannii ユズリハ科

方名:ユムラ

材:家の建材。

091.アカギ

Bischofiajavanica トウダイグサ科

方名:アカキ

聞取:アカギは戦前入ってきた。アカギを植林したことからアカギヤマの地名が残る。現在でもアカギの 大木が生えている。 材:材木に使ったということは聞かない。 生産:大木にならない木の若葉は田んぼの緑肥に使った。

092.オオシマコバンノキ

Breynia vitis

-

idaea トウダイグサ科

方名:-

生産:ピーダーグサ。

093.ハイニシキソウ

Euphorbiachamaesyce トウダイグサ科

方名:メージッタ

聞取:抜こうとしても根からすぐ切れる。畑の悪草。

094.トウダイグサ*

Euphorbiahelioscopia トウダイグサ科

方名:-

生産:畑の雑草。

095.シマニシキソウ*

Euphorbiahirta トウダイグサ科

方名:-

聞取:よく見る。使い道はない。

096.ウラジロカンコノキ

Glochidion acuminatum トウダイグサ科

方名:’パーン’クヮーヒッタイヌジマ

[38] 聞取:パーンクヮは葉が小さい、ヒッタイは湿地のことで、葉が小さく湿地帯に生息する。

097.カンコノキ

Glochidionobovatum トウダイグサ科

方名:ミミジギー、’コマギー

遊び:コマを作るのはこの木と決まっていた(図 22)。子どもの頃、草 刈りの帰りに切取ってきて独こ ま楽を作って遊んだ。

098.カキバカンコノキ

Glochidionzeylanicum トウダイグサ科

方名:ヒッタイヌジマ

[39] 聞取:湿地帯に生育する。特に利用することはなかった。

099.オオバギ

Macarangatanarius トウダイグサ科 [38] 新里・木下(2012)は、カキバカンコノキと同じく湿地帯を好むが、葉が小さいことで区別していることに触れている。 [39] 新里・木下(2012)はヒッタイニジマを加えているが、地元確認により方名には入れなかった。 図 22 奥で使われた独楽(復元)*

(19)

方名:マイクークー**、マイクークギー

用足し:トイレの紙代わりに使った(図 23)。 生産:田んぼのタークゥエー(緑肥)に使った。

100.アカメガシワ

Mallotusjaponicus トウダイグサ科

方名:ハビギ

用足し:畑でトイレ行く時はこれを愛用している。ユーナはツルツルし ているが、これはカサカサして拭き心地がよく、ちり紙より良い(図 24)。

101.クスノハガシワ

Mallotusphilippensis トウダイグサ科

方名:-

聞取:石灰岩地帯に多いが、奥には石灰岩地帯がないので少ない。

102.キャッサバ*

Manihot esculenta トウダイグサ科

方名:’タビオカ

聞取:戦前からあった。昔ほどつくってないが今でも残っている。 食:普通のサツマイモみたいに煮て湯がいて、あるいはウムニーみたいに食べた。葉は食べてない。

103.ヒマ

Ricinuscommunis トウダイグサ科

方名:ヒマ

聞取:実に油分が含まれる。戦時中、飛行機の燃料として国が奨励し、奥でもたくさん植えた。少し残っ ている。実際に油をとったことはない。

104.オキナワツゲ

Buxus liukiuensis ツゲ科

方名:チュゲ、チギ*

105.ハゼノキ

Rhussuccedanea ウルシ科

方名:パシギ、ハジギ

忌避:非常にかぶれやすい人となかなかかぶれない人もおる。かぶれた場合は、石油をつけた。また、 ワジク(モクタチバナ)の葉を火に炙って、熱いうちにパッタンパッタンと貼り付けた。

106.オオシイバモチ

(ワルブルグモチ)Ilex ficoidea モチノキ科

方名:ムチャガラ**

生産:高級とはいえない建材として、家畜小屋の材として使用。

107.ツゲモチ

Ilex goshiensis モチノキ科

方名:ウームチャガラ

108.モチノキ

Ilexintegra モチノキ科

方名:ムッタギー

聞取:餅のことを奥ではムッタという。 遊び:鳥もちを作った。川など水のある所で、口でかんだり石でつついたりして作った。

109.マサキ

Euonymusjaponicus ニシキギ科 図 23 オオバギ ** 図 24 アカメガシワ **

(20)

方名:パナクリン、パナグリン

住:生垣や庭木にして植える。 祭祀:旧暦の 1 日・15 日に仏壇に供える。

110.リュウキュウマユミ

Euonymus lutchuensis ニシキギ科

方名:ギファギー

[40] 装身具:硬い木。簪かんざしに使った。

111.ハリツルマサキ

Maytenusdiversifolia ニシキギ科

方名:マッコー

聞取:戦後になって余裕が出てきて盆栽として注目された。 食:たまたま海岸に行った時に実が熟していたら食べるというぐらい。 材:材としては使わない。 生産:ピダーグサにもならなかった。 娯楽:盆栽。

112.ゴンズイ

Euscaphisjaponica ミツバウツギ科

方名:ミーパンチャ、カツーギー

[41] 聞取:ミーパンチャは、遊びで上瞼を裏返した様子に花が似ていること。 カツーギーは鰹の匂いがする木という意味。 行事:シヌグの際、ハブイ(冠)に花を差した(図 25)。ハブイは、カ ニクサと一緒に使う。意味はよくわからないが、おそらくシヌグの時 期に開花するということと関係しているかもしれない。

113.ショウベンノキ

Turpinia ternata ミツバウツギ科

方名:ウチダン

聞取:重たい木。切って置いておくと、水が流れ出る。

114.クスノハカエデ

Acerroblongumssp. itoanum カエデ科

方名:マムフ

聞取:石灰岩地に多く、辺戸にはある。奥は非常に少なく、知っているの はカミンヤー(拝所のひとつ)の脇に一本あるぐらい(図26)。 祭祀:シヌグの時、カミアシャギで神女の髪にさして使う。戦前は奥で

もやっていたが、今はやっていない。

115.ナンバンアワブキ

Meliosma lepidotassp. squmulata アワブキ科

方名:(スルミチ*

[42]

116.ヤマビワ

Meliosmasimplicifoliassp. rigida アワブキ科

方名:ユインゴーギー

生産:材が軽く丈夫で細工しやすいことから、薄い板を曲げてユイ(篩ふるい)のゴー(枠)に利用した(図 27)。 [40] 新里・木下(2012)によると、ギファは簪で、この木の材で簪をつくった。材は堅くて、ギファを作った後に縮みや変形する ことがなく、幹は太くもなく適当な大きさのものを使ったとしている。 [41] 新里・木下(2012)はミーハンチャ、ミーハンタ、カチューギーとしているが、地元確認により方名には入れなかった。 [42] フシノハアワブキの可能性がある。 図 25 シヌグの冠に使われるゴン ズイ 図 26 拝所に残るクスノハカエデ 図 27 篩の枠に利用したヤマビワ

(21)

117.ホウセンカ*

Impatiens balsamina ツリフネソウ科

方名:シンサク、(ティンサク)

118.ヒメクマヤナギ

Berchemia lineata クロウメモドキ科

方名:ギマ、フォーリギマ

聞取:地面に這っている。実のついた枝は柔らかくて、自然に下に落ちていくような感じ。竹藪の中に生 えており、竹の葉に隠されているのでわかりにくい。昔は段々畑の日当たりの良いところにあった。 今は探してもなかなか見つからない[ギーマを参照]。 食:実を食べた。

119.ヤエヤマネコノチチ

Rhamnella inaequilatera クロウメモドキ科

方名:ヤマクヮーギ

聞取:石灰岩地帯に多い樹木で、奥では少ない。

120.リュウキュウクロウメモドキ

Rhamnus liukiuensis クロウメモドキ科

方名:ヤマザクラ*

121.テリハノブドウ

Ampelopsis brevipedunculata var.hancei ブドウ科

方名:オーハニブ

122.エビヅル

Vitisficifolia ブドウ科

方名:ハニブ

食:実は食べる 民間療法:茎は目薬。ミークンタン(目にゴミが入った時)、先輩方がこの茎を切って来てくれた。茎を 切って片方から吹いたら汁がでてくるので、その汁を目に入れて洗う。目薬が無いころの定番だった。

123.コバンモチ

Elaeocarpus japonicus ホルトノキ科

方名:ターチグ

材:非常にやわらかい木で弱い、材には使っていない[43]。

124.ホルトノキ

Elaeocarpussylvestris ホルトノキ科

方名:ウプチグ、(ウフチグ**)

燃料:薪に使っていたが、あまりよくない。 材:材としてもよくない。

125.サキシマフヨウ

Hibiscusmutabilisvar.spontanea アオイ科

方名:ピッタブラ、(ピータブラ*、ボタンバナ* **)

聞取:女性が髪を洗った。

126.ブッソウゲ* 

Hibiscusrosa

-

sinensis アオイ科

方名:アカバナー

住:生垣に利用。

遊び:花の蜜を吸って遊んだ。

(22)

127.ムクゲ*

Hibiscus syriacus アオイ科

方名:-

128.オオハマボウ

Hibiscustiliaceus アオイ科

方名:ユーナ

防災:海岸防潮・防風。 住:街路樹。用材。奥では屋敷林としては使用しない。戦後オバーの仕 事は、トイレのちり紙代用のユーナ(図 28)を防風林まで採りに行 くのが大きな仕事。成長が早く、屋敷も狭いので、屋敷内には植えない。 防風林では一日使う分を採ればよいので自由に葉がとれる。トイレは 基本的にはゥワ-フール(豚便所)。

129.サキシマスオウノキ

Heritiera littoralis アオギリ科

方名:-

聞取:奥には無い。

130.ナシカズラ

Actinidiarufa マタタビ科

方名:フガー

聞取:方名は卵の意味。果実の形が睾丸に似る 食:実がある大きさになったら、早い者勝ちで採取し、ヒクブーの上、モミの中に入れて、熟させて食 べる(図 29)。量が少なかった。 行事:旧盆の時お供えものとして使っていた。今のお盆では供えようにも物がない。探すのも大変。

131.リュウキュウナガエサカキ

Adinandra ryukyuensis ツバキ科

方名:ワヘーシ**

132.ヤブツバキ

Camelliajaponica ツバキ科

方名:ツバキ

衣:小さいころ、オバーたちは椿油で髪の毛を固めていた。椿油は売ってもいた。 生産:油を採るということは無かった。特に何かの材料に使うことは無かった。

133.ヒメサザンカ

Camellia lutchuensis ツバキ科

方名:ヤマザクラ*、ツルツバキ*

134.ハマヒサカキ

Eurya emarginata ツバキ科

方名:インギマ

聞取:臭いくてインクみたいな汁がでる。インク代用に使った。白いブツブツの花がつく[ギーマを参 照]。

135.ヒサカキ

[44]Eurya japonica ツバキ科

方名:ギマ、ウシギマ

[45]

、インギマ**

聞取:大きくて這う。大きな実がつく[ギーマを参照]。 [44] ケヒサカキを含む。 [45] 天野(1979)では安波の報告があり、牛が食べるもので人は食べないという意味とされている。 図 28 オオハマボウ ** 図 29 旧盆に供えたナシカズラの 実(城間恒宏提供)**

(23)

食:ウシギマの実はギマの中で一番おいしい[46]。

136.イジュ

Schimawallichiissp. liukiuensis ツバキ科

方名:イジュー

[47]

、イジューギー、イズー

聞取:イジュはどこにも生える。窪みよりは尾根の中間あたりという感じ。だから、山の斜面の中腹あた りが伸びがいい。イジュは伸びもいいし、太るのも早い。奥で一番きれいに生えているのはフイジ、 トクナガーのハチの通り。花もきれい。 材:イジュ材の柱をイジューバラといった。建材としてはベスト3・4・5位ぐらいに入る。イヌマキ、モッ コクに次いでイタジイがあるから、イタジイの芯材(辺材は非常に弱い)はベスト3ぐらいに入るから、 その次だろうか。 忌避:イジュの乾いた樹皮に皮膚があたるとかゆくなる。これをハチコーシーと言った。 魚毒:[略:本誌の魚毒の章を参照]

137.モッコク

Ternstroemiagymnanthera ツバキ科

方名:イク

聞取:生育場所はだいたい決まっている。やせた高い所。やや乾燥した所 にある。肥沃で水辺の窪地、谷間のような所にはない。 材:家の角材やキチ(垂木)に使用した(図 30)。モッコク材の柱をイ クバラといった。イヌマキとか、モッコクは材を丸ごと使うので、芯 材や辺材とかいうのはない。白蟻が着かないこと。水に浸けたりする こともなく、そのまま使える。それぐらい上等ということ。 材料:ウェーク(図 31 上:櫂)、アジミ(図 31 下:縦杵)の材料。

138.テリハボク

(ヤラボ)Calophylluminophyllum オトギリソウ科

方名:トープクギ

聞取:奥では、個体数が少ない。 住:少ないので建材に使ったのは聞いていない。フパダチバマのアサギ ンシーの畑に付近の防風林として多く植栽されていた。また、メーバ マやスイバマの防風林にも植栽されていた。戦前からあったようだ。 遊び:果肉を剥ぎ乾燥させ球状になった実をビー玉代わりに転がして遊 んでいた(図 32)。また、果肉が腐り自然に乾燥した実を拾い集めて 遊ぶこともあった。

139.フクギ

Garciniasubelliptica オトギリソウ科

方名:プクギ

染料:染料の話は聞いたことがあるが、奥で使ったというのは聞いてない。 住:島田桃三郎の話によると、今のイージョー(屋号:栄門)に桃三郎 が小学校3・4年の時にフクギの材料で作ったが、カー(川)に浸け てから作った。フクギは貴重な防風林なので、つぶして角材にするこ と自体、非常に少なかった。だから特例のようだ。フクギは防風林以 外の利用はあまり聞いてない。

140.リュウキュウコスミレ

Viola yedoensisvar.pseudo-japonica スミレ科

[46] 著者の盛口はヒサカキの実を実際に食べてみて、おいしいとはいえないので他の種の可能性を指摘している。またこのツバキ 科のヒサカキ類に位置づけられた方名についてはヒメクマヤナギも含まれる可能性を指摘している。ギマに類する方名で、ツ ツジ科のギーマに付された方名以外をツバキ科のヒサカキ類に位置づけているが今後の検討が必要である。ハマヒサカキ、ヒ サカキは暫定としておき、今後の検討によって他の種に変わる可能性も含まれていることをことわっておきたい。 [47] 新里・木下(2012)はイジュとしているが、地元確認により方名には入れなかった。 図 30 垂木(丸木の部分)** 図 31 上:櫂(部分)*、下:縦杵 * 図 32 テリハボクの実 **

(24)

方名:スミレ

141.イイギリ

Idesia polycarpa イイギリ科

方名:キリ

142.パパイア*

Caricapapaya パパイア科

方名:マンジュー

食:実を熟させて食べる。炒って食べる。あく抜きして和え物にする。茎は牛、豚、馬の肉を柔らかく するために使う。パパイアの炒め物をマンジューイルチャーと言った。 忌避:白い汁を皮膚に付けるとただれた。

143.ツルグミ

Elaeagnusglabra グミ科

方名:’クビ、アカ’クビ**

聞取:実は旧暦の2月田植えの頃に実る。昔は、草刈はこれを目指して行った。よく食べた。今は見なく なった。’クビが熟する頃は、鳥が来ていて、それをねらってハブもいるから注意するようにと祖母 が言っていた。山の中にある’クビと少し太くて白いスー’クビの二種類がある。

144.マルバグミ

Elaeagnus macrophylla グミ科

方名:スー’クビ

[48]

、シル’クビ**

聞取:スー’クビは葉が丸くて大きくて裏に光沢があり、実もおいしい。実は大きくて海岸近くにしかな かった。最近は消えている。 食:実が熟するころ、風が吹いたら、葉の光沢で遠くからでもスー’クビのある場所がわかるから、学 校帰りに皆で突撃した。子どもは食べに行くが大人はしいてまで採りに行かない。

145.ミズガンピ

Pemphis acidula ミソハギ科

方名:-

聞取:奥には生息してない。

146.サガリバナ

Barringtoniaracemosa サガリバナ科

方名:オシロイバナ

聞取:名前は白おしろい粉の匂いするから。ハッテンバシの所にあった。夏にクムイ(川の淵)に泳ぎに行った ら、流れてきた花が水面にあって匂いがした。 材:材木としてもよくないし使い道がなかった。

147.モモタマナ

Terminaliacatappa シクンシ科

方名:’クヮーデーサー

聞取:昔の奥にはあまり無くて、戦後になって増えた植物。民家には植えない。墓や拝所に植える。奥の 墓地にも1本あったが現在はない。夏の日陰用として良い。墓の日陰用。 食:実を食べた経験はない 生産:緑肥には使えない。

148.ユーカリノキ*

Eucalyptus globulus ユーカリノキ科

方名:-

[48] 海岸近く、葉が大きく裏に光沢等の特徴からマルバグミとした。

図 20 オキナワハンミョウ **
図 21 水瓶(展示)*

参照

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