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インターフェロンによるコラーゲンプロモーター活性の制御とその 抑制機序の解明 ○櫛田 美和1、稲垣 豊1、盛 音1、渡辺 哲2、岡崎 勲1 (東海大学・医学部・地域保健1、同・環境保健2) 【目的】コラーゲンは、細胞外マトリックスの主要成分として、肝をはじめとする諸臓器の線維 化過程に深く関わっており、その発現を調節する種々の因子が明らかにされつつある。C型 慢性肝炎に対するIFN α治療に際して、ウイルス学的著効例のみならず非著効例において も血中の線維化マーカーや肝組織像に改善がみられることから、IFN αの直接的な抗線維 化作用が論じられるようになった。しかしながら、α2(I)コラーゲン遺伝子(COL1A2)のプロモ ーター上に IFN γ-responsive element が同定され、さらに TGF-β/Smad 系との cross talk が 注目されている IFN γとは異なり、IFN αのコラーゲン遺伝子発現に対する直接的な抑制効 果の有無は不明である。本研究では、COL1A2 転写に対するIFN αおよび IFN γの抑制効 果とその作用機序について分子生物学的解析を行った。【方法】COL1A2 の転写開始部位の上流 17kb の塩基配列とルシフェラーゼ遺伝子の癒合 遺伝子を組み込んだトランスジェニックマウスに四塩化炭素を投与し、肝組織における COL1A2 プロモーターの活性化に対するIFN αならびにIFN γの投与効果を比較検討した。 また、培養皮膚線維芽細胞と活性化星細胞を用いて、IFN αとIFN γが TGF-β/Smad 系に 与える影響について検討するとともに、野生型の IFN α受容体 cDNA あるいは細胞内ドメイ ンを欠失させた変異型の IFN α受容体 cDNA を導入した際の COL1A2 転写について解析 した。さらに、HEK293EBNA 細胞に p300/FLAG 発現プラスミドを transfection し、IFN αなら びに IFN γ刺激をした際のリン酸化 Stat1 との結合を、Immunoprecipitation-Western blot 法 により解析した。
【成績】IFN αは、四塩化炭素投与後の肝組織における COL1A2 プロモーターの活性化を IFN γと同程度に抑制した。皮膚線維芽細胞ならびに活性化星細胞において、IFN αとIFN
γは COL1A2 の基礎転写とTGF-βによる転写促進のいずれに対しても抑制的にはたらいた。 IFN αは IFN γと同様に、TGF-βの細胞内シグナル伝達物質である Smad3 による COL1A2 の転写促進に対して拮抗的にはたらき、その作用は p300 に依存性であった。細胞内に導 入された野生型 IFN α受容体が用量依存的に COL1A2 転写を抑制したのに対して、細胞 内ドメインを欠失させた変異型 IFN α受容体を過剰発現させると COL1A2 の基礎転写が有 意に増加するとともに IFN αによる転写抑制効果が消失した。IFN αならびにIFN γ刺激によ り、リン酸化 Stat1 とp300 との結合が証明された。
【結論】IFN αならびにその細胞内シグナルは、TGF-β/Smad 系に拮抗することにより COL1A2 転写を IFN γと同程度に抑制し、四塩化炭素投与後の肝組織における COL1A2
プロモーターの活性化を阻害した。これらの知見は、IFN αの直接的な抗線維化作用に理
論的裏付けを与えるものと考えられた。