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脊髄膠様質細胞におけるエタノールの抑制性シナプス伝達増強メカニズムについて<内容の要旨及び審査結果の要旨>

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Academic year: 2021

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Nagoya City University Academic Repository

学 位 の 種 類

博士 (薬科学)

報 告 番 号

甲第1696号

学 位 記 番 号 第342号

氏 名

山田 彬博

授 与 年 月 日

平成 31 年 3 月 25 日

学位論文の題名

脊髄膠様質細胞におけるエタノールの抑制性シナプス伝達増強メカニズム

について

論文審査担当者

主査: 山村 壽男

副査: 粂 和彦, 服部 光治, 田中 正彦, 大澤 匡弘

(2)

やまだ あきひろ 山田 彬博 氏 名 学位の種類 博士(薬科学) 学位の番号 薬博第 342 号 学位授与の日付 平成 31 年 3 月 25 日 学位授与の条件 学位規則第 4 条第 1 項該当 学位論文題目 脊髄膠様質細胞におけるエタノールの抑制性シナプス伝達増強メカニズムについて 論文審査委員 (主査)教授 山村 壽男 (副査)教授 粂 和彦・ 教授 服部 光治・ 准教授 田中 正彦・准教授 大澤 匡弘 論文内容の要旨 エタノールはさまざまな薬効を持ち、その作用の多様性は中枢神経系に広く作用するためであると考えられているが、 その詳細な作用メカニズムについては不明な点が多い。また、急性期エタノールが痛みを抑えると古くから考えられてい るが、その作用を神経伝達変化として示した報告はほとんどない。そこで、本研究では、急性期エタノールが感覚伝達に 関わる神経間のシナプス伝達をどのように変化させるか電気生理学的手法を用いて証明を試みた。 感覚伝達に重要なシナプス伝達を検討するため、脊髄後角膠様質で、ブラインドパッチクランプ法を用いて、興奮、抑 制シナプス伝達を検討した。エタノールを人工脳脊髄液に混合させ、様々な濃度において、その作用を検討すると、急性 期エタノールは、顕著に抑制性シナプス伝達を増加させることが示された。この抑制性シナプス伝達増強メカニズムを明 らかにするため、遺伝子改変ラット VGAT-Venus ラットを用いて、抑制性神経細胞から直接パッチクランプ法で電流固定 法により膜電位記録を行い、急性期エタノールを作用させた際の、神経活動応答を検討した。すると、これら抑制性細胞 の自発性発火頻度が有意に増加することが示された。最後に、これエタノールの抑制性伝達の増加が、実際に、感覚伝達 を抑制するか検討するため、in vivo標本を用いて、感覚伝達に関わる神経応答への影響を検討した。すると、感覚刺激 中の応答に対しては、急性期エタノールは影響しなかったが、痛覚伝達に重要な After-Dischaged 発火と呼ばれる自発発 火を有意に減弱させた。 以上より、急性期エタノールは脊髄膠様質抑制性神経細胞の自発発火を増加させ、その投射先の抑制性シナプス伝達を 顕著に増加させると考えらえる。この結果、脊髄での痛み情報を統合、上位中枢へ伝達する脊髄Ⅴ層細胞の発火を減弱さ せることで、痛みの情報伝達を顕著に阻害することが、本研究で初めて示された。 論文審査の結果の要旨 本研究は、過去に知見が少ないエタノールの脊髄に対する作用を、主に電気生理学的手法を用いて詳細に解析したもの である。その結果、エタノールは脊髄後角膠様質において、抑制性シナプス伝達を増強することが示された。さらに、そ のメカニズムが抑制性介在神経細胞の活動増加によることを解明した。これらの検討は、エタノールの直接的な神経活動 性への介入作用について、従来と異なる作用メカニズムの存在を明らかにした。本研究は新規知見を得たという観点か ら、基礎科学的に価値が高いものである。審査担当者の合議により、学位論文に値するものと判定した。

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