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電子線回折法によるヒト皮膚角層細胞間脂質膜の局所構造解析

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Academic year: 2021

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電子線回折法によるヒト皮膚角層細胞間脂質膜の局

所構造解析

著者

今井 友裕

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2008 年度 修士論文要旨

電子線回折法によるヒト皮膚角層細胞間脂質膜の局所構造解析

関西学院大学大学院理工学研究科

物理学専攻

加藤研究室 今井 友裕

我々人間の体は様々な外部環境から身を守るために皮膚という多層構造の膜で覆われている。皮膚は 組成や構造の違いにより、内側から皮下組織、真皮、表皮に分けられる。さらに表皮は内側から基底層、 有棘層、顆粒層、角層に分けられる。最外層である角層は生体と外界の境界面に位置し、アレルゲンの 侵入や体内からの過度な水分の蒸散を防ぐバリア機能を持つ。角層では、角化した角層細胞(ケラチン 細胞)の周りを細胞間脂質(セラミド、遊離脂肪酸、コレステロール等から成る)が取り囲んでいるが、 近年の角層のX 線結晶構造解析によって、皮膚のバリア機能にはこの細胞間脂質の側方充填配列構造が 重要であると示唆されてきた。他方、バリア機能の指標となる経皮水分蒸散量(TEWL)と側方充填配 列構造との相関は見られないという報告もありまだ不明な点が多い。角層の構造と機能の関係を研究す る上で X 線回折は重要な手法であるが、X 線では脂質分子に対する散乱能が低いため、測定には多量の 角層を要し、広範囲の皮膚の摘出手術などが必要になるため、簡便かつ非侵襲的に研究することは難し い。本研究では、脂質に対する散乱能が大きく、少量のサンプルで非侵襲的に構造解析を行うことが可 能である電子線回折法を用いて、ヒト皮膚角層の構造解析を行った。 人工脂質膜の研究から、脂質膜の物質透過は異なる脂質分子側方充填配列構造ドメインの境界にある 格子欠陥が重要な役割を果たしていることが示唆されている。そこで、本研究では細胞間脂質膜中の脂 質構造ドメインの分布様式とバリア機能の関係を評価することを目的として、TEWL の違いが見られた 腕と頬について脂質分子側方充填配列構造ドメインの分布に関するマッピングを行った。 構造ドメインのマッピングは、グリッドストリッピング法により採取した角層細胞の 20μm2の領域か らの電子線回折像を3μm 間隔で取得することにより行った。その結果、様々な回折パターンが得られた ことから、角層細胞間脂質に存在することが知られている2つの側方充填配列構造(Hexagonal 構造 (Hex)、Orthorhombic 構造(Ort))について、得られた回折パターンを Ort、Hex、Ort と Hex の共存、 Ort も Hex も存在しない、判別不可の5つに分類することでドメイン分布解析を行った。得られたこれ らのドメイン分布の部位差に基づいてバリア機能との関係を議論し た。また、腕から採取した角層について同じ構造ドメイン由来と考え られる回折スポットが近接する複数の場所から得られた回折像に現 れることがあり、5μm 以上の大きさの構造ドメインが存在すること が示唆された。一方、頬から採取した角層においては5μm 以下であ ることが示唆され、頬に比べて腕の方が大きな脂質分子側方充填配列 構造ドメインをとっている可能性が考えられる。腕と頬における脂質 分子側方充填配列構造ドメインサイズの違いは、ドメイン境界の量が 角層細胞間脂質膜の物質透過に関係していることを支持する結果が 得られた。今後、ドメイン境界に関して更に詳細な情報を得るために、 ビーム径を小さくするなど検討していく必要がある。 図.ヒト角層より得られた回折像 電子線照射領域は20μm2。炭化水素鎖 の充填配列構造からの反射がスポッ ト状に見られる。スポットの角度分布 から複数の構造ドメインが存在して いることがわかる。

参照

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