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特別講演・招待講演(<特集>2014年度人工知能学会全国大会(第28回))

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632 人 工 知 能  29 巻 6 号(2014 年 11 月) 2014年度は人工知能学会フェローであり,本学会設 立当初から活躍されてきた慶應義塾大学名誉教授・嘉悦 大学大学院ビジネス創造研究科教授の古川康一氏によ る特別講演と,若くして今回の開催地松山でサイボウズ (株)を創業され代表取締役として活躍中の青野義久氏, また大会をお世話いただいた愛媛大学工学部の吉井稔雄 教授から招待講演をいただいた. サイボウズ代表取締役の青野氏の招待講演「情報共有 の新しいトレンド」は大会 2 日目 5 月 13 日に行われた. IT技術がサポートしていく新しいワークスタイル,チ ームで仕事をしていくための考え方を講演いただいた. 司会は山口高平会長である.山口会長と青野氏は先輩後 輩の間柄とのことで和やかな雰囲気で講演が進められ た.青野氏はグループウェアの開発に取り組み,チーム ワークにこだわっての技術開発の経験から,情報共有に ついて示唆に富む話題を提供していただいた.これまで の取組みをご紹介いただいた後,チームワークの心理学 や行動学に立ち返って,チームでの仕事についてモデル 化が検討され,ここから情報共有としての必要要件が解 き明かされた.後半はさまざまな業種での情報共有の実 例についてそれぞれの側面を説明いただいた.興味深い 話題や動画を用いた巧みなお話しように加え,演台を背 にしてステージに進み出る,会場を巻き込むお話しよう で大会の前半を熱くする講演であった. 大会 3 日目 5 月 14 日の嘉悦大学教授の古川康一氏の 特別講演は松原 仁副会長(現在会長)の司会進行のも とで,「第五世代コンピュータからスキルサイエンスへ ─論理プログラミング・アプローチ─」と題して行われ た.始めに,第五世代コンピュータプロジェクト(FGCS) における技術開発の歴史として,ご自身による Prolog を用いたルービックキューブの解法の開発に始まり, LISPを主とするアメリカの専門家達との論争(渕─ファ イゲンバウム論争),ハードとソフトをつなぐ並行論理 プログラミング言語の開発,定理証明器の実装の経緯な どが示された.FGCS プロジェクトの重要な成果として, 人材の育成に加え国際的なイニシアチブをとったことが 示されたのが印象的であった.次に,その発展として立 ち上げられた発想支援追求のためのスキルサイエンスの 応用事例として,チェロの演奏技法の一つであるスピッ カート奏法を習得する際の「コツ=驚くべき事実」を, アナロジカルアブダクションを用いて腑に落ちる説明と して形式化できることが示された.講演の最後には,古 川先生のチェロと北陸先端大教授藤波 努氏のピアノに よる,Max Bruch の Kol Nidrei(典礼歌)の演奏が行われ, 参加者にはサプライズな演出となった.会場は本格的な 演奏会さながらの雰囲気となり,チェロとピアノの心地 良い響きに包まれた. 大会最終日の 5 月 15 日には,愛媛大学工学部教授の 吉井稔雄氏の招待講演が丸山文宏副会長による司会進行 で行われた.「いい加減の交通制御を目指して」と題して, 交通制御に関する技術をわかりやすくお話しいただいた. 故 越 正毅東京大学名誉教授が「信号サイクル長と文明の 程度は反比例する」と講義で力説されたことをきっかけ に交通制御の分野に進まれたエピソードや,我々にも身 近な信号の制御が交差点到達前のドライバーの判断にお けるジレンマや不確実性を軽減するように設計されてい ることが示された.次に,高速道路への流入を制限する ことでグリッドロックの発生を抑制し,迂回先の一般道 を含む全体の流量が向上し得ることを示すシミュレーシ ョンが紹介された.最後に,経路案内を容易にする取組 みとして,「ココ! マーク」と呼ばれる視認性の高いア ルファベットの記号化標識について高知県内の交差実用 化試験が実施されている様子などが紹介された.機械と 人間が適度な役割を担う交通制御の在り方を通じ,人工 知能と社会との関わりの重要性を改めて考える機会にな った.本大会最後のイベントにもかかわらず多数の参加 があり,大会の盛り上がりが強く印象付けられた. 講演の詳細は以下に掲載の講演スライドを参照され たい.http://www.ai-gakkai.or.jp/jsai2014/ invited-talk 「2014 年度人工知能学会全国大会(第 28 回)」

特別講演・招待講演

犬塚 信博(名古屋工業大学),鈴木 麗璽(名古屋大学) 図 1 左から講演中の青野義久氏,古川康一氏,吉井稔雄氏

参照

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