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8Kスーパーハイビジョン放送を支えるメディア伝送技術 -8K時代の伝送と信号処理-:1.4K・8K放送に向けたコンテンツ多重化 -MMT多重化による放送と通信への送出-

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Academic year: 2021

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(1)小特集. 8K スーパーハイビジョン放送を支えるメディア伝送技術 ─ 8K 時代の伝送と信号処理─. 1. 基 応 専 般. 4K・8K 放送に向けたコンテンツ多重化. ─ MMT 多重化による放送と通信への送出─. 山影朋夫((株)東芝 インフラシステムソリューション社). 4K・8K 放送のシステム構成. 4K・8K 放送 超高精細度テレビジョン放送(以降, 4K. ☆1. ・8K. ☆2. 放. 4K・8K 放送では,画面を構成する画素数を増やす. 送)では,高精細・高臨場感な 4K・8K 放送サービス,. だけでなく,暗いシーンから明るいシーンまでより正. 放送番組とブロードバンドネットワークが本格的に連. 確に表現できる HDR(High Dynamic Range)化や,よ. 携したスマートテレビによるコンテンツ配信やアプリ. り実物に近い色を再現できる色空間を採用することで,. ケーションの利用などの次世代の放送サービスを目指. 画質を大幅に向上させている.音声は,22.2ch までの. している.これに向け,規格化や実用化の取り組みが. マルチチャンネル対応,緻密に音を表現できるように. 行われてきた.2014 年に 4K およびスマートテレビに. 量子化ビット数の向上. 対応した実用放送,2016 年に 8K に対応した放送は衛. 式をオプションとして採用した.また,従来の放送シ. 星放送等における試験放送が開始された.. ステムと同様に,字幕・データ放送. 本稿では,主に 4K・8K 放送を送出する側の観点か. インターネット等の通信と組み合わせた幅広いサービ. ら, システム構成や, そこで使われている MMT(MPEG. スを可能とした.詳細は後述するが,複数地点で撮影. 1). ☆3. ,音質劣化がないロスレス方 ・番組表機能や,. Media Transport) 多重化技術を紹介する.. した映像音声を複数の伝送路を通して受信側に送り,. ☆1. 同期提示できる点が大きな特徴である.図 -1 に送出. ☆2. 既存の高精細(HD)放送の縦横各 2 倍の画素数である水平 3840 画素, 垂直 2160 画素による放送. 既存の高精細(HD)放送の縦横各 4 倍の画素数である水平 7680 画素, 垂直 4320 画素による放送.. から受信までのシステム構成を示す. ☆3 ☆4. 送出側 映像音声字幕 エンコーダ. カメラ. 映像音声字幕 エンコーダ. カメラ. 映像音声字幕 エンコーダ. 番組表情報 アプリケーション. 番組表送出装置 データ放送送出装置. M M T 多 重 化 装 置. M M T ス ク ラ ン ブ ラ. 従来の 16 ビットに加え,24 ビットも採用. HTML ファイルおよび関連する動画・静止画・音声・文字などを送る 放送.放送に付加価値つけることや,独立した情報を提供することが できる.. T L V 多 重 化 装 置. 受信側 変調器・送信機. カメラ. テレビ. インターネット. MMT:MPEG Media Transport, TLV:Type Length Value 図 -1 4K・8K 放送のシステム構成図. 100. ☆4. 情報処理 Vol.58 No.2 Feb. 2017.

(2) UTC. スーパー. HEVC. AAC, ALS. ARIBTTML. アプリ HTML5. MMTP UDP/IP. 1011 …. TLV 放送(誤り訂正). ※ EPGは,送出側の観点からMMT-SIの一部と解釈 TMCC:Transmission and Multiplexing Configuration Control MMT-SI:MMT Signaling Information HEVC:High Efficiency Video Coding AAC:MPEG-4 Advanced Audio Coding ALS:MPEG-4 Audio Lossless Coding ARIB-TTML:ARIB Timed Text Markup Language EPG:Electronic Program Guide. UTC. M M T 多 重 化. 音声. 0001 1110 0111. 図 -2 多重化処理. UTC. MMT-SI. 字幕・. 映像. T L V 多 重 化. 図 -4(a) 放送におけるプロトコルスタック インターネット. UTC. EPG UTC. MMTで多重化後, 放送と通信で送出. MMT-SI. 字幕・. 映像. 音声. スーパー. HEVC. AAC, ALS. ARIBTTML. AL-FEC. アプリ HTML5. イベント メッセージ. データ放送 送出装置. 0110 1011 0101. NTP. 番組表 送出装置. MMT 1011 1011 0000 … 多重化 装置 0001 0111 1100 …. NTP. 映像音声字幕 0110 0101 1110 … エンコーダ. TMCC. EPG. コンテンツ ダウンロード. IPパケット. 多重化対象. イベント メッセージ. 1. 4K・8K 放送に向けたコンテンツ多重化─ MMT 多重化による放送と通信への送出─. コンテンツ ダウンロード. HTTP. MMTP UDP/IP, TCP/IP MultiCast 誤り検出. 図 -3 UTC を参照した時刻情報による同期提示. TCP/IP. UniCast 誤り検出. UniCast 誤り訂正(再送). 図 -4(b) 通信におけるプロトコルスタック. aaMMT の特徴. UDP/IP ヘッダ MMTP パケットヘッダ ペイロード. 4K・8K 放送の通信連携に向け,撮影場所や伝送 路の制約を取り払い,放送と通信が連携しやすいよ う,MMT 多重化技術を導入した.多重化とは,映像・ 音声・字幕・アプリケーションのデータコンテンツ・ 番組表等(多重化対象)を一連のデータ列に並べる 処理である.多重化対象を分割して IP パケット化. IPアドレス, ポート番号, … パケット識別子, 連続性指標, 送出時刻, … … …. データ送出順序. MMT を用いた多重化. 分割された多重化対象 データ(映像,音声,字幕, データコンテンツ,番組表). 図 -5 データの MMTP/IP パケット化. aaMMTP(MMT Protocol)パケット の構造 MMT による多重化の仕組みについて,詳しく説明. し,受信機で正常に再生できるよう適切な順序で送. する.図 -1 のデータの流れは, 図 -4 (a) および図 -4 (b). る(図 -2) .従来の放送システムでの通信連携では,. のようなデータ構造(プロトコルスタック)で実現さ. MPEG-2 TS(Transport Stream の略)パケットを. れている.図 -1 において左から右に流れて送出される. さらに IP パケット化していたが,MMT では直接. データは,図 -4 では上から下に向かって組み立てられ. IP パケット化するため,構成がシンプルで,処理の. ていく.. 簡素化や,データのオーバヘッド削減ができる.. MMTP/IP パケット化処理は,図 -2 に示すよう. また,多重化対象の同期提示を行うための時刻情報. に,多重化対象ごとにデータを小さい単位に区切って. に UTC(Coordinated Universal Time(世界協定時)の略). MMTP/IP パケットのペイロード部に入れる作業であ. を用いる.これにより,複数の地点で撮影された映像・. る.ここで,パケットがどの多重化対象のデータを含. 音声であっても,UTC に基づいて同じ時刻情報を付加. むものかを示すパケット識別子,パケットの連続性指. することができる(図 -3) .. 標,パケットの送出時刻を付加した後,UDP/IP ヘッ ダを付加して IP パケット化する(図 -5) . 受信機では,同じパケット識別子を持つパケットか. 情報処理 Vol.58 No.2 Feb. 2017. 101.

(3) 小特集. 8K スーパーハイビジョン放送を支えるメディア伝送技術 ─ 8K 時代の伝送と信号処理─. パケット送出順序/時刻. 提示時刻情報 映音字. 映像 映像 音声 映像 音声. 字幕. パケットのペイロードを結合. 映像. 映像. フレーム. 音声. 音声. フレーム. 字幕. 字幕. 提示時刻. 図 -6 同期制御情報による映像音声字幕の同期. ら取り出したデータを連結することで,多重化対象ご. 時刻 多 重 化 対 象. 映像 音声 字幕 dir1 #1 dir1 #1. dir1 #2. dir1 #3. dir2 #1 dir2 #1 dir2 #1 dir2 #1 dir2 #1 dir2 #2. ディレクトリ構造 top dir1 dir2. との復号・提示処理を行う.また,連続性指標により, パケット受信順序が入れ替わっても正しい順序に戻. dir1 #2 番組A. 番組B. file1A file1B file2A file2B. 図 -7 データコンテンツの繰り返し送出例. すことや,欠落したパケットを検出して適切なエラ ー処理を行うことができる.さらに,パケット受信. 必要なバージョン更新情報を,データコンテンツ用. 時刻と送出時刻の差を用い,伝送遅延が変動する通. 制御情報(図 -7 中のディレクトリ構造を示す情報等). 信から来るパケットの受信時刻変動(ジッター)を. として付加する.図 -7 は,top ディレクトリ以下に. 求める.これにより,ジッターを吸収するために必. データコンテンツがあり,番組中に更新があるコン. 要なバッファ量を推定できる.. テンツ(dir1 以下)と,番組間でのみ更新があるコ ンテンツ(dir2 以下)を,異なるパケット識別子で. aa映像・音声・字幕の同期方法. 分離して送る例を示す.番組 A 中に dir1 #1 が 2 回. 映像・音声・字幕など,受信機での提示の際に同期. 送出された後,dir1 #2 が 2 回送出されるとともに,. が必要なものは,それぞれに UTC に基づく提示時刻. dir2 #1 は番組 A の期間中繰り返し送出される.. 情報を付加して多重化する.この情報は,映像・音声・. 受信機では,受信したデータコンテンツからファイ. 字幕などのパケットとは別の同期制御情報パケット内. ルを復元し,受信機内で動作するアプリケーションが. に格納される(図 -6) .多重化処理では,複数の入力. HTML ファイルの記述に従い,提示を行う.. インタフェースから入力される同期制御情報パケット. 番組表はデータコンテンツと同様に繰り返し送出さ. から提示時刻情報を抽出し,1 つの同期制御情報パケッ. れるが,番組表に用いる情報は番組表用の制御情報に. ト内にまとめて送出する.. 格納して送出される.. 受信機では,UTC に基づく提示時刻情報を用いて復 号や提示のタイミングを制御することで,映像・音声・. 102. 字幕の同期提示を行う.. 通信への送出. aaデータコンテンツ・番組表の多重化. aa誤り訂正の必要性. データコンテンツ(アプリケーション)を構成す. MMTP/IP パケットは,放送または通信で送出する.. る HTML などのファイルは,任意のタイミングで受. 放送の場合,変復調層で誤り訂正処理が行われる.一. 信を開始する受信機がそれらを完全に受信できるよ. 方,通信でリアルタイム性を考慮した場合,UDP によ. う,繰り返し送出する.ファイル本体は,映像・音. る一方通行の送出となり,誤り検出は可能だが訂正が. 声・字幕と同様のパケット形式で送出される.ファ. できない(図 -4(b) ) .誤りが検出されたパケットは. イルやディレクトリ構造情報,キャッシュ制御のた. 破棄されるため,映像・音声の乱れとなる.また,通. めの依存関係情報,アプリケーション更新の識別に. 信の途中でパケットが欠落することもある.そのため,. 情報処理 Vol.58 No.2 Feb. 2017.

(4) 1. 4K・8K 放送に向けたコンテンツ多重化─ MMT 多重化による放送と通信への送出─. ① 長さ付加 +ゼロ詰め. 0. 0. 0. ④伝 送路で パケッ トロス (V6 ,A3). 長さ V A V A A V V V 5 1 6 2 3 7 8 9 パケット. V V V V V A A A R R R 5 6 7 8 9 1 2 3 4 5 6 0. ③ 送出. V A A V V V R R R 5 1 2 7 8 9 4 5 6. 0 詰め. ② 並べ替え+ リペアパケット生成. 0 0. ⑤ 受信. V A V A A V V V R R R 5 1 6 2 3 7 8 9 4 5 6. ⑥ 並べ替え + 欠落シンボル復元. V V V V V A A A R R R 5 6 7 8 9 1 2 3 4 5 6 0 0. 図 -9 MMT 多重化装置・スクランブラの外観. ⑦ パケット抽出 + 並べ替え. パケットの送出後に送るが,元のパケットの間に入れ. V A V A A V V V 5 1 6 2 3 7 8 9. て送出する場合もある. 次に,受信側の動作を述べる.④の伝送路で V6 と. 図 -8 AL-FEC の動作. A3 のパケットが欠落した場合,⑤で受信するパケット. MMT 層(Application Layer)にて対策が必要となる.. は, V6 と A3 が欠落する.⑥で, ①と同様の長さ付加・ ‘0’. なお,TCP を使うことも可能であるが,パケット欠落. 詰め・②と同様の並べ替えを行い,受信した映像・音声,. 時に再送が発生するため,ネットワーク状況により遅. リペアパケットから,欠落した V6 と A3 のパケットを. 延が大きく変化する.そのため,放送との同期精度が. 復元する.⑦で,元の順序に戻し,復元作業が完了する.. 低くてもよい情報(データコンテンツや番組表)の送 出に使うことが考えられる.. aaMMT における誤り訂正. MMT で は AL-FEC(Application Layer Forward Error Correction)機能を実現するためのフ. 4K・8K 放送の実用化に向けた取 り組み 2015 年 5 月に,4K・8K 放送の実用放送に向け,実. 2). 際の放送衛星を用いての映像・音声の伝送実験が行わ. を提供している.送出する MMTP/IP パケットは,. れた.この実験は,NHK 放送技術研究所の一般公開で. ある決められた個数をひとまとまりとしてブロック. も見ることができた.この時用いた MMT 多重化装置・. を構成する.このブロック単位で,パケット欠落時. スクランブラの外観を図 -9 に示す.. に欠落したパケットを復元するためのリペアパケッ. また,2016 年 5 月には,放送の番組とは別のアン. トを生成し, (冗長化して)送出する.. グルで撮影した映像を,上述した仕組みを用いて誰で. 受信機では,図 -5 のパケット連続性指標によりパケ. も利用できるインターネットで伝送し,それらを同期. ット欠落を検出する.正常に受信したパケットとリペ. して提示するマルチビューサービスのデモも行われた.. アパケットから欠落パケットを復元する.. 今後,2018 年の実用放送開始に向け,送出側・受信側. 送出側・受信側を通した一連の処理例を図 -8 に示す.. 双方の製品開発が活発化していく.. レームワーク,および誤り訂正符号の生成方法. まず,送出側の動作を述べる.①で,送出する可変長 のパケット(映像は V5 ~ V9, 音声は A1 ~ A3)に対し, 長さ情報を付加しつつ,ブロック内のパケットが一定 長となるよう,短いパケットの後ろに‘0’を詰める. ②で,パケット識別子ごとにパケットを並べ替え,リ ペアパケットを生成する.このとき,リペアパケット 内に,パケット識別子ごとにパケットの連続性指標 の範囲を示す情報を付加する.③で,元のパケットの 順序で送出を行う.図 -8 では,リペアパケットは元の. 参考文献 1) ISO/IEC 23008-1 : Information Technology — High Efficiency Coding and Media Delivery in Heterogeneous Environments — . Part 1: MPEG Media Transport(MMT) 2) ISO/IEC 23008-10 : Information Technology — High Efficiency Coding and Media Delivery in Heterogeneous Environments — Part 10 : MPEG Media Transport Forward Error Correction (FEC)Codes. (2016 年 10 月 28 日受付) 山影朋夫 ■ [email protected] 1990 年, (株)東芝入社.動画像符号化方式の研究・開発・国際 標準化活動および LSI・装置・システムの開発に従事.. 情報処理 Vol.58 No.2 Feb. 2017. 103.

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図 -4(a) 放送におけるプロトコルスタック NTP 映像 音声HEVC AAC, ALS 字幕・ スーパーMMT-SI HTML5EPGアプリ MMTP コンテンツ ダウンロード UDP/IP, TCP/IPARIB-TTML イベント メッセージ HTTP TCP/IP UniCastMultiCast 誤り検出 UniCast 誤り検出AL-FEC 誤り訂正(再送) 図 -4(b) 通信におけるプロトコルスタック 送出時刻, … … …UDP/IP ヘッダパケットヘッダMMTP ペイロード 分割され
図 -7 データコンテンツの繰り返し送出例

参照

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