科学研究
助金 に よ
の報告書
脳血管障害者 と家族の生活再構築に向けた看護支援
エ ンパ ワメン トと協働
平成18年
度∼平成20年
度研究代表者
長野県看護大学
地域看護学 B在 宅看護学講座
教授
安田貴恵子
目
次
第1部
研 究成果の概要1.研
究開始 当初の背景・・・・・・・・・・・・・・2.研
究 の 目的・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・・ ・・・ ●....・
・・ ・・ 。・ ・2
ペ ー ジ 1 23.研
究 の方 法・ ・ ・・ ・ ・ ・・・ ・ ・・・・ ・・・・・・4.研
究成果 2 第1段
階 の研 究 にお ける成果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・ 2 第2段
階の研 究にお ける成果・・・・・・ ・・ ・・・・・・・・ 。・・ ・lo
第2部
オース トラリアにおける脳血管障害者 と家族の医療・看護等の 実際に関する現地調査・・・ 。12
資 判
資料1.脳
血管疾患が原因で生 じた と考えられる症状 (聞き取 り) 資料2.調
査票 資料3-1お
よび3-2.第
12回
日本在宅ケア学会発表 ポスターは しがき 月肖血管疾患は、わが国にお ける死因の第
3位
(2007年
)で
ある。1990年
以降、死 亡数 は 増減 を繰 り返 していたが、2007年
の死亡数 は 126,940人 で2006年
に比べて 1,328人 減少 しています。脳血管疾患に よる死亡者 の減少が認 め られ る一方で、脳血管疾患は、介護 が 必要 となった主な要因 となつています (平成16年
国民生活基礎調査)。 この こ とは、脳血 管疾患の発症後 、急性期治療 を終 えて生活 上の障害 を有す る状 態で病院 を退院す る患者 が 多数 い ることを示 しています。 私たちは、2005∼2006年
に数名 の脳血管障害者 と介護家族の協力 を得て、退院直後 か ら3カ
月間の縦断的 な面接調査 を行いま した。その調査 を通 して、脳 血管疾患 に よる後遺症 の重症度 に関わ らず、 さま ざまな生活上の困難 を抱 えてお り、それ らをコン トロール しな が ら日々の生活 を送 つてお られ るこ とを確認す ることができま した。 この冊子 は、その時 の経験 をもとに、脳血管障害者の生活の再構築 を支援す る方法 を検討す る研 究計画 を立て て取 り組んだ ものの報告です。 平成20年
度 か ら科 学研 究費補助金 に よる研 究の成果報告 は、電子媒体で学術振興会 に提 出方法 とな りま した。 しか し、調査 に ご協力 をいただいた方 々をは じめ と して、脳血 管障 害者 の支援 に関わ る方 々に ご覧いただけ るよ うにす るこ とに よ り、意見交換 の きつか け と なった り、新 しいプ ロジェク トの きつか け となつた りす るこ とも期待 しま して、 この よ う な冊子 を作成 しま した。 2009年度 も科学研究費補助金をいただき、引き続 き脳血管障害者 と家族の支援に関する研究に取 り組ん でいます。 この報告書の内容や、脳血管障害者 と家族の生活支援に関心のある方は、下記までご連絡 くだ さい。情報交換をさせていただければ幸いです。安田貴恵子 (やすだきえこ
) emaiHげ
asuda@nagano‐nurs.ac.jp長野県看護大学
tel&fax:0265‐
81‐5192(研究室直通)研 究種 目 :基盤 研究
(C)
研 究 期 間:2006∼ 2008
課 題番号:18592435
研 究課題 名 (和文
)脳
血 管障害者 と家族 の生 活再構 築 に向 けた看 護 支援 iエ ンパ ワ メ ン トと 協 働研 究課 題 名 (英文)Nursing intervention to promote life re∞nstruction for stroke survivor and family
研 究 代表 者 安 田 貴 恵子 (YASUDA KIEKO) 長 野 県看 護 大学・ 看護学 部・ 教 授 研究 者番号
:20220147
研 究成果 の概要 :在 宅で生活 してい る脳血管 障 害者 の生活 の再構 築 とい う観 点 か ら看 護 ニー ズ 。学習ニーズを明 らかに した。障害の 程 度 が比較 的軽 度 で 日常生活 が 自立 で きて いて も、脳血管疾患による身体症状、精神 心 理面の不安定 さ、認 知機能の変化等 がみ られ ていた。 これ らに対 して適切 な対処行動が と られ て、コン トロール がで きてい る状況が認 め られ たが、生活行動全般 に対す る意欲 の低 下や他 者 との交流 な どは以 前 よ りも狭 ま っ てい る状況 も認 め られた。 これ らの調査結果 と国内外 の資料 を検討 して、看護 支援 内容 を 検討 し、脳 血管障害者 と家族 が活用 できる教 育媒体 を作成 した。<交
付額>
(金額 単位 :円) 総 計2008年
度2007年
度2006年
度 2,200,000 800,000 800,000 600,000 直接経費 240,000 0 聞接経費 480,000 240,000 600,000 合 計 2,680,000 1,040,000 1,040,000 研 究分野 :医 歯薬学 科研 費の分科・細 目:看護学地域・ 老年看護学 キー ワー ド :脳 血管障害、生活の再構築、生活 の質、援助ニー ズ、学習ニーズ、教 育媒体
1.研
究 開始 当初 の背 景 要 介護 状 態 を もた らす 疾 患 の第1位
は脳 血管障害で あ り、2001年
の国民生活基礎調 査 に よれ ば 要 介 護 状 態 を もた らす 原 因 の 26.1%にあた る と報告 されてい る。脳血管疾 患罹患後 の経過 は長期 にわた り、患者 は療養 の場 を移 しなが ら治療や リハ ビ ジテー シ ョ ンを受けている。息者 は、後遺症の残 る身体 と不 安 定 な こ ころの状態 に あ りなが らも 日 常生 活 や 社 会 生 活 を組 み 立 て て い くこ とが 必要 とな る。 しか し、月図血 管疾患 の急性期 を経 て回復 に 向 けた段 階での医療・看護 の内容 は、身体機 能 の回復 に主 眼 が置かれ てい る現状 にあ る。 そのため、退院後 の家族生活や社会生活 を送る上 で生 じる障 害や 慢性 的 に持続 す る症 状 の対処 方 法等 を学習す るこ とや疾病 罹患後 の心身 状態 の変化 を受 け とめて生活 を再構
2.研
究 の 目的 脳!血管障害者 が 自ちQoLを
高 めていけ るようになることを目指 し、脳血管障害者 と 家族 のエ ンパ ワメン トを促すための支援 プ ログラムを障害者・家族 と看護職者が協働 し て開発することを目的 とする。3.研
究 の方 法 以下に示す2つ
の段階を経て行った。 第 1段 階:脳血管障害者の療養生活における 看護ニーズ・学習ニーズの把握 療養生活 を送 る過程で遭遇す る困難 の状 況 と対処ヾ症状、社会生活の状況等について 調べて、看護ニーズ・学習ニーズを検討 し、 エ ンパ ワメン トの視点にたつた支援検討の 資料を得 ることを 目的 とした。 第2段
階:生活の再構築に向けた看護支援の 開発 第1段
階の調査結果か ら得 られた看護ニ ーズ・学習ニーズをもとに、看護支援の内容 な らびに方法の検討を行 う。4.研
究成果 第1段
階 の研 究 にお け る成果1)調
査の方法 在宅で療養 している脳血管障害者で調査 協力の得 られた11名
を対象 とした。調査内 容は、①基本属性、②発症後の期間、③ 日常 生活行為(8項
目)の
自立の程度 と困難の内 容、④脳血管疾患に伴 う症状 とその対処の内 容、その他の症状 と対処の内容、⑤現在の体 調 とこころの状態、⑥仕事や地域での交流・ 活動(4項
目)、 ⑦家族の協力や家族 との関 係 、③必要 と感 じてい る情報学びたいこと、 である。これ らの調査項 目については、定量 的な把握 とともに対処内容や思いの両方 を 把握す る方法をとった。具体的には、症状の 築 で き るた めの看 護 支援 の方 法 の開発 は十 分行 われ てい る とはいえない。 有無や程度 、または該 当の有無 について選択 肢 を設 定 して 当て は ま る もの を選 ん で も ら│ い、その上で さらに詳 しい内容 の聞き取 り調 査 を行 つた。2)調
査対象者へ のアプ ローチ方法 ―長野県内にある2カ所 の施設 の協力 を得 た。 1つは、行政 が主催 してい る月図血管障害者 と 家族 を対象 と している交流会参加者 に、研 究 目的 と協力内容 について説明 を行 い、調査協 力 の意志 を書面 にて把握 した。 も う とつ は、 ジハ ビ ジテ ー シ ョン病 院 の退院 支援 室 の協 力 を得 た。 調査 は、2006年
11月 か ら2007年
3月に 行 つた。3)倫
理 的配慮 研 究の 目的、調査 内容、匿名性 の保持、同 意 の後 で も協力 の中断が可能 な こ と、得た情 報 の管理 方 法等 につ い て書 面 を用 い て説 明 し、研 究協力承諾書への署名 をもつて研究協 力の同意 を得 た。 これ らの研 究 は、研究者の 所 属 す る大 学 の研 究倫理委 員 会 の承 認 を得 て行 つた (2006年、承認番号#20)。4)分
析方法 11名 の結果 を集計 し,聞き取 つたデー タは 内容 を取 り出 して分類 した.こ
れ らの結果 か らニー ズを検討 した。5)調
査結果 11名の性別 は、男性8名、女性3名で調査 時の年齢 は64歳
∼77歳
であった。診断名 は、 脳梗塞9名、脳 出血 1名 、クモ膜 下出血1名。11名
の うち約 半数 の5名が介護保 険 に よる 要介護認 定 を受 けていた。発症 してか ら調査 時までの期 間は8カ月∼■ 年4カ月で、平均 は3.2年で あつた。 2① 日常生活行為の 自立の程度 食事、移動、洗面、トイ レ、歩行の 日常生 活行為 は 自助具 を使用 しなが らで も全員 が 自分でできると回答 していた。 日常生活行動 に関す る困難を聞き取つた ところ、「あ り」 とい う人は
7人
で、自立 している状況でも、 困難感 を感 じていた。具体的内容は、階段昇 表1.日
常生活行為の 自立の程度 人数 (N=11) ② 脳 血 管疾 患 が原 因で生 じた と考 え られ る 症状 (図 1) 症状 の感 じ方 には,個
人差 がみ られ たが、 ■ 名全員が,これ らのいずれ かの症状 を感 じ ていた。 “いつ もあ る"と
回答 した人がい た 症 状は、「手足の しびれ 。だ るさ」「むせ る 。 つ かえる感 じ」「ろれつがまわ らない」「視野 が狭 く感 じる」「感情がお さえ られない」「尿 が もれ る」であた。「手足の しびれ 。だ るさ」 降(4人
)に
お いて 「降 りる時 に怖 い」「息 側 の足の踏 ん張 る力 が弱い」「極力階段 は使 わない よ うに してい る」な どで あつた。 自立 で きていて も、食事 に時間がかか る、着替 え に時間がかか る とい うこと “困難 な こと力と して述べていた。 日常 生 活 行 動 に 関す る困難 :あ り7人,な
し4人 「あ りJの回答人数 と具体的内容 食事:1人 時間がかかる 入浴:3人 退院直後に介助 うけた,夫に一緒に入つ て もらう,背中洗 うこと 。拭 くことは 妻に手伝 つてもらう 歩行:2人 外出時は杖を使用,短下肢装具・杖 。手 す りを使えば自分で可能 階段昇降:4人 降 りる時に怖い,患側の足の踏ん張 る力弱い,ゆつくりな らば可能 手す りを使 つて一段ずつ 極力階段は使わないよ うに してい る,時間はかかるが 自分でできる 着替 え:2人 時間がかかる,脱ぐときに健側 の袖 口だけ引つ張つてもらう ファスナーのある服は若ない @排便,排尿については,全員 自立 (1人便秘傾向があ り下剤 を服用) では、『 腕 の動 く範囲や握力は少 し回復 した が、 しびれ感はいつ もある。 しびれが強 くな り肩の痛みで夜 目が覚めることもある』 と話 ししびれ が睡眠 に影響 してい る例 もみ られ た。「痛み」があると回答 した人の中には、『 退 院 した時には痛みはなかつたが,2週
間 くら い してか ら痛みだ してつ らかつた』状態があ り,主
治医 とは違 う治療院で治療を受けて対 処 していた例がみ られた。「ろれつがまわ ら トイ レ等 洗面等 移 乗 食 事 項 目 更 衣 階段昇降 歩 行 入 浴 11(手す り1) 11 11(手す り1) 11 自立 10 11 11 9(手す り、イス 1) O O 0 0 部分介助 1(妻の介助 1) O O2(妻
の 介 助 2)ない」では,『話がす らす ら出てこないもど か しさがある』 と話 していた。「感情 をお さ え られない」では,『病気 になって怒 りつぽ くなった』『(脳血管疾患を
)発
症 して 8ヶ 月 ほ どは頻繁 に苛苛す ることが多 く感情 をコ ン トロールすることが難 しかった』ことを話 してお り、自分の感情面の変化に戸惑つてい た。 ③体調 とこころの状態 (図 2) 「頭痛」、「全身のだるさ」、「疲れやすい」 な どの体調や こ■ろの状態についての結果 を図2に
示す。 どの項 目についても “時々あ る"ま
たは “いつ もある"の
どちらかである と回答 してお り、体調や精神面の不調感を感 じていた。特に 「眠れない」は 5名 が “いつ もある"と
回答 してお り、その うち4名 は内 月艮薬を服用 していた。 “時々ある"“いつ もある"と
回答 した人 が6人
以上 あった症状について聞 き取 りか ら得 られた具体的な状態を述べる。「疲れや すい」では、『 長時間同 じ姿勢 をとることが で きない』『 一度 にた くさん歩 くと下半身が 疲れ、歩きすぎると股関節の病みが30分
く らい続 く』『 ヅハ ビリのために人形づ くりを そ の他 の症 状 と して挙 げ られ た もの は 、 “冷 える感 じがある"“記憶力の低 下"“力 が 入 らない"“意欲 が湧 か ない"“立 ち くらみ" “頭 がす つ き りしない でいつ も頭 が ぼんや りしてい る"“耳鳴 りがす る よ うになった" な どであった。(詳細 は、資料 の表 を参照) した 日には全身が疲れた感 じになる』『 掃除 をすると疲れる』という内容であった。発病 前には疲れ を感 じなかった活動で も発病後 は異なることを述べていた。「眠れない」で は、『11時
ころまで寝付けないため困る。朝 起きられない』『 眠れないため頭がぼんや り して しま う』 とい う状態を述べていた。「何 をするにも面倒」では、『 物事を自由にでき ないことへのいらつきがある』『 高い ところ にしまってある物がとれないので、衣替えが できない』『 立ち上が り動作に時間がかかる ため、訪問者の対応が面倒 くらい』『 外出す る気持ちになれない』『 細かい作業は適当な 理由をつけてやめてしまう』とい う状態にあ ることを話 していた。「動作に時間がかかる もどか しさを感 じる」は、「何をするにも面 4 尿がもれる 感情がおさえられない 視野が狭く感じる ろれつが回らない むせる。つかえる感じ 痛み 子足のむくみ 手足のしょれ。だるさ 口ない ■時々ある 口いつもある OX 20,` 40X 60% 80,` 100X 図1脳
血管疾患が原因で生じたと考えられる症状(N=11)倒」と類似しているが『歩行』や『更衣』
『 車
の乗り降り』など毎日行う動作が発病以前の
よ うにで きない こ とに もどか しさを感 じて いた。 は4名であ つた。「な し」 と回答 した人 の 中 には、具体的な仕事の計画ではないが、同居 の子 ども家族 が海 外赴任 か ら戻 るま での間 家 長 と して家 を守 るた めに頑 張 る こ とを励 み と してい る人 もいた。一方 、 自動車の運転 は で きない と考 えて免許 を返納 した の で移 動 手段 が な く仕 事 を した くて も不便 で考 え られ ない とい う人 もいた。 友人や近所 の人 との交流 は、5名が「あ り」 と回答 してお り、地域 の クラブ活動 、趣 味の つ なが り、地区の 自治会な どであつた。地域 の行事 に参加す る機会は 「あ り」 と回答 した 人 は3名で、前述 の交流 よ りも少 なか った。 老 人 クラブ に誘 われ てい るが まだ参加 した くない、行事 の時 に出 され る食事が 自分 に合 わ ない の で参加 して い ない とい う理 由が述 べ られていた。 同病者 と交流す る機 会 は9名が 「あ る」 と回 答 していた。その中には、行政主催 の脳 卒 中 者 の交 流会 に参加 して い る人 が含 まれ て い たが、そ の交流会 については、『 講師 の話 を 聞 き知 らない こ とを知 る場で あ り、 自分 の病気体験や気持ちを話す場ではない』、
『 自分の
ことは話す場ではないし、話しにくい』
『世
頭痛 全身のだるさ つかれやすい 便秘 眠れない 何をするにも面倒 動作に時間がかかるもどかしさを感じる 気分が晴れない 感情をおさえることができない 身体機能低下への不安を感じる 周囲の人がよそよそしいと感じる 回復していると実感できない 願いや望みを理解してもらえていないと感じる0246
図2"時
々ある""い つもある"と回答 した人 の人 数(トト11,単位 人) 10 「感情をお さえることができない」では、 『 時々涙がでる』『 早 く死んだ方が よい とよ く思 う』 とい う心情を述べている人 もあつた。 「身体機能低下への不安を感 じる」では、『 毎 日歩行訓練を しているが蓄積 がない』『 少 し 運動 しない 日が ある と左 上下肢 の動 きが鈍 くな り、可動域が小 さくなる』『 一人で過 ご していると (身体機能が低下す るのではない か と)考
えて しま う』な どのことが語 られ、 今現在 の身体状態への不安 な気持 ちを抱い ていた。 また、調 査 時 に示 した13項
目の内容 以外 の こ とで 聞 き取 り調 査 か ら得 られ た 体 調 と こころの状態は、『 何 をす るにも飽 きつぼ く な り、長 くものを考えることが嫌になって し ま う』『 体臭が発病以前 よ りも強 くなった』 『 病気 になってか ら全体的 に体調 がす ぐれ ず、特に胃腸の調子が悪い』とい う変化や『 良 くはな らない とい う思いがあ リリハ ビジに 積極的になれない』とい う気持ちを述べてい た。 ④仕事の計画や地域での交流 (表2) 仕事 について今後 の計画 を持 ってい る人 等 ー “ …間ばなしだけ』 と考えている人もみ られた。
また、同病者との交流の機会がない人の 表
2.仕
事の計画や地域での交流の状況とその内容(人
) な し (2) あ り (9) な し (7) あ り (3) な し (6) あ り (5) な し (7) あ り (4) ・ 自分一人だけだとおもつて しまう。 グループのようなものがあれば参加 したい。 ・ 1人 交流できる人がいたが、入院 して しまい今はいない。 。市からの通知で交流会に行 くようになった。男性が少ない。 ・市の交流会で自分の体験を話 している。 ・交流会は知 らないことがわかってよい。 ・患者の会には家族 も来ているので誰 とでも話せ る訳ではない。 ・同 じ病気を持つ人だか らなんてことない話でも気晴 らしになる。 ・世間話のみで病気の話は避けている。体のことは専門家に聞けばいいと思つている。 同 じ病気・障害 を持つ人 との交流 。花見や忘年会な どの隣組の行事は (食べ られないか ら)いや。誘つて くれるが、ほとん ど参加 していない。 ・ 自治会での行事が昔ほどなくなつたので参加する機会がない。 ・隣組の行事には参加 しているが、体調の悪い時にはでない。 ・老人クラブの作業に参加。そろそろいい歳になったので参加 しようと思 う。 地域 の行事への参加 ・不 自由さがある。他人には本当に病気をしたのか、ずる休みではないかと疑つているように思 える。 ・かつての仲間とは会っていない。誘いにくいのはないか と思 う。郵便屋や宅配便が来ると世間 話をする程度。 ・集 りがあるのは川向 うなのでそこまで歩いていけない。 ・ もともと近所づきあいはない。 ・地域のクラブ活動に月 2回 のペースで参加 している。 ・仕事での忘年会や役員会、人に会えるのでいい。 ・地区の自治会の会合などにでている。一見元気に見えるのか役員が回つてくる。病気のことが 理解 してもらえない。 ・ 同 じ病気を持つ仲間と碁をしている。 友 人 ・近所 の人 との交 流 ・酪農は発病により手放 した。稲作も他人に貸 している。 ・水道工事の仕事は店をたたんだ。 ・ 自動車免許を返納 したので運転ができなくて足がない。 ・春から農業を再開 しようと思つている。 ・飲食店をまた開こうと思 う。お客さんも開いてほ しいと言つている。 ・パン焼きをもう一度 したい。ホームベーカ リーを買つてもらった。 仕事についての今後の計画うち1名は、そ うい う機会があれば参加 した い と希望を述べていた。 ⑤家族 の協力 と家族 との関係 (表 3) 対象者 ■ 名 の うち単身者 1名 を除 く10名 は家族 と同居生活 を送 つていた。家族 の協力 が あ る と回答 した者 は9名で、協力 内容 は、 『 外 出時の車 の運転・ 同伴』『 受診 時 の車で の送 迎』『 食事 のペ ー ス を合 わせ て くれ る』 『 炊事・調理、 ゴ ミだ し,掃除な どの家事全 般』 とい う内容であつた。調査 を行 つた地域 は、バスや電車な どの交通機 関に乏 しく、移 動 手段 は車 を使 用せ ざるを えない社 会環境 にあるため、外 出や受診時のための移動の際 に家族の協力 を得 ていた。対象者 は、 これ ら の協力 に対 して、感謝の気持 ちを表現 してい た。 表
3.家
族 の協力 とそれ に対す る思 い ⑥ 必 要 と感 じて い る情 報 と学 び た い こ と (表4)
8名 か ら回答が得 られた。内容 は、『 月図卒 中発症の兆候 と対処方法』『 退院後 に利用で きる保健事業の情報』『 病気 について、退院 後 の生活の説明』『 ジハ ビリテー シ ョンにつ いての情報』『 介護保険について』 とい う5 つの内容 に整理できた。『 月図卒中発症の兆候 と対処方法』では、もつと症状が現れた時に 早 く受診 しなかつたことを悔やみ、他の人に は この よ うになつて欲 しくない とい う願 い を述べ、脳卒中についての啓発活動の必要性 を訴 えていた。『 病気 について、退院後の生 活の説明』の内容は、症状や体調の不調感を 解消す るための方法、再発 を防 ぐための食事 の注意などであ り、療養生活面の助言を求め ていた。 項 目 家族の協力 家族か らの理解 が得 られ てい るかについての本人の思い 家族か らの協力や介護 に対す る本人の思い な し (2) あ り (9) ・理解 してくれていると思 う。 ・大変だと思つてくれているだろう。 ・家族 も本人 と同 じくらい大変 と感 じていると思 う。 。本当のところは家族にもわかつてもらえないと思 う。 '半 分 くらい しか理解できん と思 う。お前のことばつか り思つてお られん と 言われた。 'あ りがたい、良く理解 してくれていると思 う。 ・妻は自分の看護師であ り先生。 ・ 自分の不摂生が原因なのでわがままは夫を傷つけるから言わない。 ・知識がないことで結果的に障害が残つた、家族に対 して負い 目を感 じる。 ・ 特 にない。 ・車いすの介助をしてくれ る。 ・食事を皆がゆつくりと合わせて食べてくれるので一緒に食べ られる。 ・炊事や調理でできないことは手伝 つてくれる。 ゴミだ しや掃除をしてくれ る。 ・外出時に車を出 してくれ る。 ・医師の診察を受ける時に車で送迎 してくれる。特に冬場。 内 容表
4.必
要 と感 じてい る情報 と学びたい こ と(8名
の内容)6)考
察 ①脳 血 管疾 患 に よる後遺症 が軽 度 で もさま ざまな症状 を感 じてい る 今 回の調査対象者 は、 日常生活行 為はほぼ 自立 してい る状 態 で介護保 険 の認 定 を受 け ていない人 も半数み られた。介護保険の認定 を受 けていない、ヤヽわ ゆる 「軽症脳 卒中者」 は、地域 ケアサー ビスを利用す る機会は少 な い。 しか し、脳血管疾患の再発 ジスクを持 つ てい る と考 える と、援助ニーズの高いグルー プ で あ る と言 え る。 地域保健活動 報告 で も 「軽症脳 卒中発症者 (日常生活 自立度NoJ
ラ ンクの人)」 は要介護状態 を予防す るた め に重 点 的 に支援す る必要性 が あ る と考 えて 実態調査 を行 った結果、軽症脳卒中発症者 は 保健・ 医療・福祉 サー ビスの狭間にいる現状 が明 るみなった ことを報告 してお り1)、 軽症 脳 卒 中者 の援 助 ニー ズに対応 す る対策 の検 討 が求 め られ てい る。 痛みや だ る さ 。疲れやす さな どの身体面精 神 面 の何 らか の調 子 の悪 さは全 員 が感 じて いた。登喜 ら2)は 、脳卒中者 の しびれや痛み の状況 と対処 につ い てイ ンタ ビュー調査 を 行 つた結果 か ら、個 々人 によって多用な表現 が され てお り感 じ方 は個人差がみ られ るが、 療養 生活 の様 々な面で影響 をもた らし、脳 卒 中者 は 自分 な りに対 処 しなが ら 日常 を維 持 してい るこ とを報告 している。本調査の対象 者 も、個 々に工夫 していた り、対処 していた りす ることが確認 で きたが、症状 についての 情 報 や 対 処 方 法 につ いての情 報 提供 が必 要 だ と考 え られた。 ②社会生活の縮小がみられる 仕事や地域での交流・活動の現状の結果か 8 介護保険制度 について リハ ビジテー シ ョンにつ いて の情報 病気 について、退院後の生活 の説明 退院後 に利用で きる保健 事業 の情報 脳 卒 中発症の兆候 と対処方法 項目 ・介護保険がどのように使用 されているのか知 りたい。患者本人が蚊帳の外 に置かれているよ うな気持 ちになっている。お金の使い道を考えて リハ ビツ メニューを組んで調整 して効果的な,ハビツができると思 う。 ・ できるだけ安 くリハ ビツが受けられる施設や病院 ・す こしでも腕が動 くようになるような治療・ リハ ビジを知 りたい ・脳梗 塞 にな った時に病気の説明がなかった。 注意事項や これか らどうなる のか、 どこまで良 くな るの力、 ・ 頭 がす つき りす る方法を知 りたい 。食べ物の注意 を知 りたい 。再発の可能性 について ・昨年から脳卒中予防教室や患者交流会に参加。それまでは勉強する機会が なかった。退院時に利用できる保健事業を教えてほ しい。 ・患者会があれば参加 したい。 。病気になってか ら病気のことが気になるようになった。発病 した時一刻を 争 う病気だ とわかっていた らもつと早 く対応 していた。 ・ もつと病気について知識が広 く普及 していればよいと思 う。細かなたった 1本 の血管のつま りがこんな大きな障害になる。早 く受診すればもつと軽か つたか もしれない、そ うい う思いを他の人には味わってほ しくない。 聞 き取 り調査 で語 られ た内容 の要約
ら、 自分 の体調 に応 じて調整 できる仕事内容 の場合 、仕事復帰への準備 を考 え られ るよ う であつた。社会生活面では、友人や仕事仲間、 近 隣 の人 との交流 が維 持 で きて い る人 と脳 卒 中の発 病 に よつて交流範 囲 が縮 小 してい る人がみ られた。縮小 してい る背景 には、移 動手段が ない とい う理 由だ けでな く、脳 卒中 を発 病 した こ とで周 囲 の人 と以前 と同 じよ うに交 流 で きない と考 えて い る こ とが影 響 してい る人 もみ られた。移動手段 として車の 運転がで きな くな るこ とは、公共交通網 の少 ない地方 の場合 、外 出の機会 を減少 させ る要 因 となつてい ることがわかった。 同 じ疾 患や 障 害 を持 つ 人 との交 流 の状 況 か ら、定期的に行 われ てい る脳 卒 中者 の交流 会 へ の参加 を楽 しみ に してい る人 もいたが、 交 流会 は講 師 の話 を聞 く場 で 自分 の こ とを 話す場ではない、話 しに くい雰囲気 がある と 感 じてい る人 もいた。同病者 との交流機 会の ない人 は交流 の場へ の参加 を希 望 していた。 この よ うに、社会生活面の状況は様 々であ つた が一 人 ひ と りの状況や希 望 に添 つた交 流 の機会や場が必要で あると考 え られた。 ③必要 と感 じてい る情報の内容 必要 な情報や 学習 したい内容 につ いて は、 脳 卒 中についての詳 しい説明、回復 の 目安 に ついての説明、地域の保健福祉資源 の情報な どがあげ られていた。退院後
1年
間 に どの よ うな援 助 が必要 で あ つた のか を調 べ た先 行 研 究で も3)、 地域で利用で きるサー ビス とア クセ ス方法、ス トレス対処の方法、 日常生活 動作 の方法な どであつた と報告 してお り、本 調 査 で得 られ た内容 と同様 で あつた。 また、40代
∼50代
の脳卒中者を対象に在宅生活の 願望 を質的に検討 した研究4)で は、【良くな りたい】【役 に立ちたい】【趣味・得意なこと を したい】【自由に外出 したい】【情報がほ し い】【サー ビスヘの提言】とい う願望を持つ ていたこと、これ らの内容は個別性が高 く既 存 のサー ビスでは対応 できない もの もある と報告 している。 あ る程度 自立度 が高い とい う状 況 を活 か せば、当事者の方々と一緒に取 り組むことに よ り、解決の方策は見出せ るのではないか と 考えられ る。 そのための一助 として、当事者や家族が療 養生活 の過程 で必要だ と考 えた時 に入手で きて活用で きるパ ンフ レウ ト等 の教育媒体 が有効ではないだろ うか。<引
用文献>
1)松
浦仁 美 、早川 光江 、兵頭 昌子他 :「軽症脳卒中発症者」を支援する、保健師ジャー
ナル 、 Vol.62 No.3,198‐ 202,2006.2)登
喜 和江 、蓬莱節 子 、 山下裕 紀 他 :脳卒 中者 が体験 して い る しびれや 痛 み の様 相 、 日 本看 護 科 学会誌 、Vol.25,No.2.75‐84,2005.3)笹
原 千 穂 :脳血 管 障 害 を もつ 壮 年 期 の 人 々の在 宅生 活 に関わ る願 望 の 内容 、 日本 地 域看 護 学 会誌 、Vol.8,No.1,24‐30,2005.4)Braz工
K,Roberts J,Hode Mary,at el i Managing the硼『ansition FrOm Hospital toHome for Famiゥ
Careglvers of Sttoke Sur撹vors,National Academies of Practice Forum Vol.2,No.4,2000.害者・ 家族 向けの教育媒体 を以下の検討 を経 て作成 した。
(1)脳
血管障害者 と家族 の退院後の生活 に 関す る国内外 の教育媒体 の収集 と検討 在 宅 生活 支援 につ いて 日本 語 で書 かれ て いて入手可能 な書籍5編
1)∼5)に ついて内容 を調べた。記載 内容 は、脳血管疾患 について の解説、 リハ ビジテーシ ョンの解説、寝たき りを防 ぐ介護方法 、闘病意欲 を高 める方法、 介護保 険制度 等 の社 会 資源 が主 な もの で あ つた。回復期 ジハ ビジテーシ ョンや在宅生活 を支援す る専 門職 向けに書 かれ てい る もの、 介 護 を行 う家族 に 向 けて書 かれ て い る もの が あつた。 また、“寝たき りを防 ぐ"と
い う こ とに主眼が置かれてお り、前述 した調査で み られ た よ うな症 状や 体調 の対 処 方 法や 社 会生活 の維持・拡大 について脳血管障害者 の 体験 を紹 介 しな が ら療養 生 活 の コツを具 体 的 に紹介 していた ものは1冊のみであつた1)。 海 外については、脳 血管障害者 と家族 に対す る教育が充実 してい るオー ス トラ リア6)の資 料 を中心 に収集 した。 オー ス トラ リアで は、 脳 卒 中協会 と研 究機 関が協 力 して脳 血 管 障 害者 と家族 の地 域 ケ ア に関す る実態調 査 を 継続 して行 つてい る7)。 これ らの調査結果 を もとに、忠者・家族 向けの教育媒体 が各種作 られてい る。8)詳 細 は、本報告書p12「オー ス トラ リアにお け る脳 血管 障害者 と家族 の 医療・看護等 の実際 に関す る現地調査」で述 べ ている。(2)脳
卒 中後 の生活ガイ ドブ ックの作成 以上の検討 を踏 まえて、脳 卒中後 の生活 を 再 び組 み 立 て て い くこ との助 け とな るガイ ドブ ックを作成 した。構成 内容 は、「脳 卒中 についての説 明」「月肖の障害 と後遺症」「月肖卒 中後 にみ られ る体調不 良の内容 と対処方 法」 「再発予防の留意点」「地域 の相談窓 日や脳 卒 中友 の会 、利用可能 な施設 の紹介」で あ り、 体調不良への対処方法、 リラクゼーシ ョンの 方法 を具体的 に示 した。また、ガイ ドブ ック の別冊 ノー トを作成 した。 これ は、療養生活 において “で きない こ と"で
はな く “今 自分 がで きてい るこ と"ま
たは “や ってみたい こ と"“思 わず わ らつて しまった こ と"を
書 く よ うになつてお り、生活 目標 を 自分で書いた り、楽 しい と感 じた こ とがあった と記 した り す ることがで きる。作成 の過程 では、脳 血管 障害者 の ケア に従 事 してい る看 護 職 者 の意 見 を参考に した。 また、読みやす い理解 しや す い ガイ ドブ ック とす るた めに専 門用 語 は で きる限 り平易 な表現 とした。 このガイ ドブ ックを用 い る方法 と して は、 個 別 支援 と集 団支援 の両方 が 可能 で あ る と 考 える。使用す る時期 は回復期 ツハ ビジテー シ ョンの実施 と並行 してガイ ドブ ックを用 い て グル ー プ ワー クや個別 指導 を行 うこ と に よって退 院 後 の在 宅生活 で も活用 で き る よ うにな る と考 え られ る。今後 は、 このガイ ドブ ックを活用 した看 護 支援 の効果 を検討 す る必要がある。<文
献>
1)大
田仁 史 :今 す ぐ役 立つ介護 シ リーズ 6 脳 卒 中後 の生 活 元 気 がで る暮 ら しの ヒン ト 同病 の先輩 か ら後輩へ、創元社 、2006.2)在
宅ケアを支 える診療所全国ネ ッ トワー ク編集 :退院後の脳 卒 中忠者支援 ガイ ド、プ リメ ド社 、 1997.3)福
井次夫、川島み ど り 。大熊 由紀子編 : あ な た の 家 族 が 病 気 に な っ た 時 に 読 む 本 脳 卒 中、講談社 、2006.4)稲
田まっ江編著 :事例で学ぶ脳血管障害 の ジハ ビ ジテー シ ョン看護、南江堂、2000.5)特
定医療法人財 団大和会東大和病院脳 卒 中・脳神経セ ンター編著 :脳 卒 中 ヅハ ビジ絵本 脳 卒 中 な ん か怖 くな い
! MCメ
デ イ カ、 2007.6)中
川 仁 :オー ス トラ リア の脳 卒 中医療 ―Hllnter Stroke Serice、 治 療 、Vol.88,
No.3,2006.
7)Walk in Our shoes Stroke surⅥ vors and carers report on sttport after stroke, National Stroke Foundation,2007.
8)National Stroke Foundaionが イ年成 して い る患者 ・家族 向 けガイ ドブ ック
・ Stroke RehabilitatiOn ・Long Term Recovery
・A stroke survivor's guide to recovery
5.主
な発表論文等 (研究代表者 、研 究分担者及び連携研 究者 に は下線) 〔学会発表〕(計2件
) ① 安 田貴恵子、千葉真 弓、吉 田聡子、熊谷 理羞 、岩崎朗子 、下村聡子、 山崎洋子 : 軽 症脳 血 管 障 害者 の生 活 上 の 困難 と看 護 ニー ズの検討(1)一
症状、体調、精 神・ 心理 面に着 目して 一、第12回
日本 在宅ケア学会学術集会 、2008年
3月 15 日、東京都 ② 千葉真 弓、安 田貴恵子、吉 田聡子 、熊谷 理進 、岩 崎朗子 、下村聡子 、 山崎洋子 、 軽 症脳 血 管 障 害者 の生 活 上 の 困難 と看 護 ニーズの検討(2)―
社会参加 、家族 関係 、支援 ニー ドに着 目 して 一、第 12 回 日本在 宅ケア学会学術集会、2008年
3 月 15日 、東京都 〔その他〕 安 田貴恵子、千葉真 弓、山崎洋子、脳 卒 中後 の新 しい生活 に向けて再出発 され る皆様ヘ ―脳 卒中後 の生活 ガイ ドブ ックー 研 究成 果 を研 究代 表 者 の所属 す る大学 ホ ー ムペー ジに掲載 してい る。http:〃
www.nagano‐
nursoac.iっ ′irc/ko uken/ikouki.htIIl6.研
究組織 (1)研究代表者 安 田 貴恵子(YASUDA KIEKO)、
長 野県看護 大学・ 看護学部・ 教授 (2)研究分担者山崎 洋子 (YAMΔ
ZAKI YOKO)、
山梨大 学 。医学工学総合研 究部・ 教授 千葉 真 弓(CHIBA M▲
刊 MI)、 長 野県看 護大学・看護学部・ 講師 御子柴 裕 子(MIKOSHIBA YUKO)、
長 野県看護 大学・看護学部・講師 岩崎 朗子(IWASAKI AKIKO)、
長 野 県 看護大学・看護学部・講師 吉 田 聡子(YOSIDA SATOKO)、
長 野県 看護大学 。看護学部・助教 酒井 久美子(SAKAI KUMIKO)、
長野県 看護大学・ 看護学部 。助教熊谷 理恵 (KUⅢ咀 GAI RIE)、 長 野県看護
大学・看護学部・助教 下村 聡子
(SHIMOMURA SATOKO)、
長 野県看護 大学・ 看護学部・ 助手 (3)連携研 究者 原 田 美香(HARATA MIKA)、
長 野 県看 護 大学・看護 学部・ 助手 注)所
属お よび職位 は、研 究期間内の もので ある。オー ス トラ リア にお け る脳 血管障害者 と家族 の医療・ 看護 等 の実 際 に関す る現地調 査 安田貴恵子、山崎洋子、岩崎朗子、吉田聡子
1.は
じめに “脳血管障害者 と家族 の生活 の再構築"と
い う観点か ら、諸外国にお ける回復期の教育 や支援 について情報収集 を した ところ、オー ス トラ リアの脳 卒中医療や患者家族教育 を紹 介す る文献や オー ス トラ リア脳 卒 中協会が行 つた実態調査報告等 を入手 し研 究チームで学 習会 を行 った。 文献検討 を行 う中で、脳 血管 疾患 に よる後遺症 についての説 明が明確 で あ るこ と、脳 卒中後の生活支援 と して書かれ て い る内容が具体的である 表.日程 こ とが確認 され た。 そ こで、実際 に現地に赴 いて情報収集 を行 うことによ り、 よ り豊富な 示唆 を得 られ る と考 え現地調査 を計画 した と ころ、オース トラ リア ヴィク トリア州 にあ る Ballarat Health Ser撹 cesの看護保健教育センターのスバ トラ・ シ ヴァマ ライ氏の協力 を 得 て、Bauarat Health Sericesを 中心 とす る急性期 医療 か ら在宅ケアまでをみ ることが で きた。 日程 は、表 に示す とお りである。
2008年
3月 2日 (日) 3月 5日 (水) 3月 4日 (火) 3月 3日 (月) 午 後 午 前 年 後 午 前 午 後 午 前 夕 方 月 日 オー ス トラ リアにおけるヘル スケアシステ ム、見学内容等 につ い ての質疑応答 在宅脳 卒 中者への家庭訪 問の同行(2人
) ヅハ ビジ病棟 のケースカ ンフ ァ レンス見学 脳 卒 中急性期病棟 (StrOke care Unit)見学リハ ビ リテー シ ョン病棟 の見学 急性期病棟 か らリハ ビ ジ病棟 へ の転院カ ンファ レンス見学 在宅脳 卒 中者への家庭訪問の同行
(2人
)BHS施
設 見学 講義「リハ ビジテー シ ョン ー オー ス トラ リアの視 点か ら一 」 講 師 との意見交換 講義 「BHSの
概要」 「オース トラ リアにお けるヘルスケアシステム」 「在宅 リハ ビリテー シ ョンについて」 講師 との意見交換Ballarat Health Ser撹
ces(BHS)の
看護保健教育セ ンター担 当 者等 と打ち合わせ 内 容 「ケアラーズチ ョイス (Carer's choice)」 見学 講義 「亜急性期 にある在 宅療養者への コ ミュニテ ィーサー ビス」 講義「コ ミュニテ ィーサー ビスのマネ ジメン トシステム:リ ンケ ー ジ(Linkage)」 講師 との意見交換 バ ララ ン ト大学見学2.バ
ララ ッ ト市 の概要 バ ララ ッ ト市は、 ヴィク トリア州 にあ リオ ー ス トラ リアの首都 メル ボル ンの西113km
に位 置す る人 口約65,000人の市である(図参 照)。 バ ララッ トとい う地名 は、アボ リジナル に由来 し、「キャンプす る、あるいは休 息す る 場所 」の意味である。1851年
に金 が発見 され 、この地 には外 国か らの人 も含 めて多 くの人が集 ま つて きた。 ゴ ール ドラ ッシュに伴 って町 も繁栄 し、1862年
メル ボル ンか らの鉄道 が開通 し、バ ララ ッ ト 市は鉄道 の重要 な拠点 となつた。 Ho,shmNo『them Grampね ns
hpとwm
B“thus Marsh
崩 rat Mombo●:
図
.ビ
ク トリア州、な らびにバララッ ト市の位置1997年
12月 17日 に,バ
ラ ラ ッ ト・ ベ ー3.Ba■arat Healh Sewicesの組 織 と理念
ス・ ホ ス ピタル
,ク
イー ン・ エ リザベ ス・ セ今 回私 た ちが訪 問 した 、Ba■
arat Health
ンター,そ
してバ ララ ン ト・ ア ン ド・デ ィスSewices(以
下BHSと
す る)は
、 ゴール ドトリク ト・ エイ ジ ド・パー ツンズ 。ホー ム・ ラ ッシュの時代
1856年
に、けがや病気 を しア ツシエー シ ョン (バララ ン ト及 び周辺地域 た金鉱 夫のために作 られ た病院 であつた。 現
にお ける高齢者 のためのホー ムを管理す る団 在 は、い くつかの施設 が統合 され て急性期病
体
)の
3つ
の組織 が合併 し,そ
れ まで各 々が 棟 か らヅハ ビジ病棟 か ら成 る医療施設 、精神独 自に提供 していたサー ビスを
,よ
り統合 し 科病棟 、老人福祉施設 、在宅ケアサー ビスなた形 で発展 させ たヘル スケア体 系の構築 を 目 どが整 え られ てい る。バ ララ ッ ト市内だけで
指 し
,BHSが
設 立 された。 な く周辺 の郡部 も含 めて これ らのサー ビス を高齢者 ケア に関わる施設 は大 き く “入居介 提供 してい る地域 の拠点医療福祉機 関 と して
護施設 サー ビス
"と
“コ ミュニテ ィーサー ビ 機 能 してい る。ス
"の
2種
類 に大別 され ていた。“入居介護施BHSで
は,「ヘルスケア分野にお ける卓越設サー ビス
"は
,「低」介護度 の施設 であるホ した指導的地位 の確 立」 とい うビジ ョンを掲ステル (6ヶ 所
)と
,「高」介護度 の施設 で あ げて い る,オ
ー ス トラ リアのグランビアンズるナー シングホーム(6ヶ所),入院 リハ ビジ, 地域 で最大 の医療機 関である。
緩和 ケア施設等 で構成 され てお り
,ま
た “ヨ ミュニテ ィーサー ビス"で
はデイ ケアセ ンタ― (4ヶ所
)や
シ ョー トステイ,調
整機 関, 宅配給食 サー ビス等 で構成 され ていた。 この よ うに,組
織や サー ビス内容 が大 き く多岐 に 渡 るほ ど,そ
のサー ビスヘ のア クセ スが複雑 にな り,利
用者 は 自身 のニー ズに合 つたサー ビスが受 けに くくなるとい う組織ではな く, 逆 にBHSで
はサー ビスを受 けやす くな る組 織 である。その理 由は,急
性期 にBHSの
医 療 を利用すれ ば、その後 の リハ ビ リテー シ ョ ンのみ な らず,コ
ミュニテ ィー に戻 つてか ら もそれ らのサー ビスを途切れ るこ とな く,続
けて受 け られ る とい うシステ ムがつ くられ て い るためである。また,そ
の よ うなサー ビス が きめ細 か く提供 され るためには,「リンケー ジ(Linkage)」 と呼ばれ るサー ビスがその「繁 ぎ役 」 として役 立 ってお り,そ
こでは様 々な 福祉サー ビスを把握 し,そ
れ らを繁 ぎ (Link させ),利用者 に必要 なサー ビスをきめ細 かに 提供 してい るこ とが特徴 的であった。 この よ うに,医
療保健福祉 サー ビスが完全 に統括 さ れ てい ることに よつて,BHS利
用者への漏れ が ない質の高いケアの提供 が実現 されていた。4.オ
ース トラ リアにお けるヘル スケアシス テ ム オー ス トラ リア も 日本 と同様 に,高
齢 化 (2007年度 、高齢化率12%)が
急速 に進み, また脳 卒中患者 の割合 も増加傾 向にある。バ ララ ッ ト市 も同 じ傾 向であ り,さ
らに独居 高 齢者 も多 く,BHSの
中で も脳 卒 中後 の患者 を 含 む高齢者 ケアに関わ る施設 は大 きな賣任 を 担 い,期
待 され る役割 も多い. オー ス トラ リアでは,公
立,私
立 のサー ビ ス提供者や財源元が複雑 に混在 している。医 療保険 には収入 の有無 に関わ らず全 国民が加 入 で きる “Medicare"と
い う保険 があるが, 日本 と同様 に財源 が厳 しい。任意加入の医療 保 険 に入 つてい る と,上
乗せ サー ビス (入院 病 院 を選択 できる,無料検診 の回数 が多い等) を受 けることがで きるよ うに して,経
済的 に 余裕 のあ る人 々は両方 の保険 に入 る と,受
け られ るサー ビスの選択 が可能 とな り,よ
り質 の高い医療が受 け られ る とい う仕組みであつ た。また,BHSの
運営,施
設利用者 のための 様 々なサー ビスや事業 は,主
に3種
類 の財源 でまかなわれ てお り,そ
れ はオー ス トラ リア 連邦政府, ビク トリア州政府,バ
ララ ッ ト市 か らであつた。 これ らの 中か ら目的に合 わせ て どの財源 を選択 し財源確保 してい くか とい うことにBHSは
とて も苦労 してい る オース トラ リアは国土面積 が広 く、また全 国上の1%に
あた る地域 に、総人 口(1千
9 百万人)の
84%が
集 中 してい るとい う特徴 が あ り、主要都 市以外 に住む人 々は、各種サー ビス提供施設か ら遠 く離れ てい ることに関連 す る特有 の医療 問題 に直面 してい る。 また 、 オー ス トラ リアでは移 民人 口が多 く、オー ス トラ リア国籍 を有す る人の うち海外 で生 まれ た人の割合 は、年 々増加傾 向にあ り、2000年
には24%に
まで及 んでい る。移 民者 らは家族 の絆 が強い傾 向にあ り、入居型高齢介護施設 の利用度が低 い ことや、逆に コ ミュニテ ィー サポー トの利 用率 が高いな どの特徴 がみ られ る。 施 設 内 に は義足使 用 の啓発 ポス ター が 貼 られ ていた。糖尿病 か ら下肢切断に至 る 患者 が多い との こ とである。5.急
性 期 の脳 卒 中息者 専 用 病 床 (StrOke Unit) 急性期病院 (180床)に
ある、脳 卒 中患者 専用 のベ ッ ド(4床
)を
見学 した。3階
の一 角 に、その病床 があつた。他 の病室 は、明 る いベー ジュや ピンクの色だが、脳 卒中の専用 病床 は少 し沈んだブルーで統一 され ていた。 ブルーが、忠者 の回復 によい との配慮だそ う であ る。 部屋 の窓か ら見 える風景は、バ ララ ッ トの 住 民な ら誰で も知 ってい る教会 の建物 で、一 番 よ く見 えるところに脳 卒 中病床 が設置 され ていた。 専用 ではあるが、脳 卒 中の患者 がいない と きは、他 の疾患 の患者 が利用す る。 この 日も4床
は うまっていた。脳 卒中の患者 が入院す る と、病 室 にい る他 の疾患の忠者 は、病室 を 移動す る。他 の病室 と違 うのは、ベ ン ドの上 に、モニ ターがつ いてい るこ とで あろ うか? 日本 と違 うのは、 どの病室のベ ン ドに も、ベ ン ド柵 がついていない こと。 また、 リハ ビ ジ 病院 にあつた移 動用 リフ トが ここで も活躍 し ていた。 この病室 の平均在院 日数は、4日 間。診断 が確 定 し、治療 の方針が立った ら、即 ジハ ビ ジ病院 に転院 して、 リハ ビジが開始 され る。 急性期病棟 にいれ ば、費用 もかか る上、 ジハ ビジが遅れて しま うと看護師 よ り説明を受 け、 納得 した。 ところで、バ ララ ン トヘル スサー ビスの看 護 師 たちは、毎年共通 して受 け る研修 がある と聞いた。 それ は、心配蘇生法(CPR)と
リフ ト操作 、火 災訓練 である。 どれ ほ ど、 リ フ トの使用 が徹底 しているかを伺い知 ること がで きる。 また、医師や看護師、他 の職員た ちが共通 で利用 できる図書室が病院 内にあ り、 医学・看護学 。)ハ
ビリテー シ ョンな どの専 門雑誌 のバ ックナ ンバーが多数並んでいた。 オース トラ リアでは、この10年間に在宅療 養 の考 え方 が進 んだ ことと公 か ら民の改革 が 進行 した ことに よ り、バ ララ ッ トヘル スサー ビスの よ うな民間のサー ビスが住 民に浸透 し た。 政府 の資金 を調 達す るために、 自分 た ち のサー ビスを評価 し、住 民のニーズを調査 し て新 しいサー ビスを起 こ し、活用 して在 宅 ケ ア を進 め、 さらに資金 を調達 してサー ビス を 充実 させ る とい うサイ クルであ る。 専 門職 た ちは、自分 の仕事 に誇 りと責任 を持 つていた。 オー ス トラ ジアは この数年先 に人 日の高齢 化 が進み、高齢者 の11%が
85歳
以上 にな る と予測 され てい る。 また、オー ス トラ リア の先住 民であるアボ リジニたちは、アル コー ル依存の問題や縛 られ ることを嫌 うとい う文 化 上の問題 も抱 えてい る と伺 つた。バ ララ ン トヘル スサー ビスの よ うな包括的 な予防か ら リハ ビリ、在宅サー ビスを含 む高齢者サー ビ スに 日本の地域 ケア も学ぶ ところが大いにあ る とい う思い を深 く した。 6。 ケ ア カ ン フ ァ レンス バ ララ ン トヘル スサー ビス傘下の リハ ビ リ 棟 では、「ベ ッ トマネー ジメン ト」と呼ばれ る ケアカ ンファ レンスが毎 日行 われ てい る。急 性期 の治療 を終 えた脳 卒 中その他 で'ハ
ビ ジ テー シ ョンの必要な患者 の電子 カル テ を)ハ
ビジ棟 のカ ンフ ァレンスルー ムにオ ンライ ン でつ な ぎ、医師・看護師・理学療法士・ 作業 療 法士な ど数人 のチームメンバーで急性期 か 持 Sttoke Unitのベ ッ ドサイ ドにてら亜急性期 に移行す る待機者 リス トか ら、一 人ずつ、本人 の現在 の状態や 目標 な どを討議 し、入院患者 を決定す る。 この 日は、
7人
の メンバーでカ ンフ ァ レンスが もたれた。 日本 の老人保健施設の入所判定会議 といつた感 じ であった。 あま り広 くない (私たちが5人
も加 わ った ので)部
屋 にスク リー ンに映 し出 され た患者 の情報一覧 を見なが ら、検討が進 め られた。 まず、画面の患者 を説 明す るのはベ ン トコ ン トロー ラー の方 で、デ ィ ビッ トさん 曰 く、 「彼女が一番権限を持 つている !」 入院年月 日や疾患名 、現在 の様 子 な どの一覧をてきぱ き と説明 していた。 本 日の待機 患者 は、6人。多い ときは20人 も待機者 がい るそ うである。(慎重 に といって も、カ ンファ レンスは、 とて も和や かに冗談 を交わ しなが ら行 われ ていた)そ
の中か ら、2 人が、 ジハ ビジ棟 に移 るこ とになった。 ひ と りは、 ジハ ビ ジ棟 にいたが、状態が悪化 し、 急性期棟 に入院 した患者。社会的 に問題 があ り、退院 が難 しいので、 リハ ビ ジ棟 に再度移 つて 「次の場」 を探 るための入院。本来は、 この よ うな人は適応外 となるが、急性期病棟 か らの強い要請で入院 と決定 した。 ジハ ビジ棟 では、患者 の紹介 を うける と、 医師 と看護師が本人 の ところに出向 き、身体 機 能や意欲 、家族状況 をアセ スメン トしてい き、 リス トにのせ る。 ジハ ビ リ棟 の入院患者 の選 定基準は、病状が安定 してい ること、 ジ ハ ビ リの ゴールが明確 なこと、 ター ミナル忠 者 でない こ とだ と説明があつた。リハ ビ ジ棟 で濃厚 な リハ ビ ジを受 けるこ とで回復 が期待 で きる人のための病棟 であると感 じた。 7。 ヅハ ビ リ病棟 の見学 カ ンファレンスの後 に,ハ
ビ ジ棟 を見学 した。私たち一同が最初に驚いたこと、それ は、病棟内のフロアが広 く、 じゅうたん張 り でかつ、いいにおいが していたことであった。 消毒薬 のにおい も排泄物 の匂 い も全 く してい なか った。案 内の方 に じゅ うたん張 りの こ と をたずね ると、「コレが普通 よ。別 に不潔 な も のを扱 うわけでない し、感染 の問題 はない」 との こと。考 え方 が違 い を感 じた。(後で、急 性期病棟 に行 つた とき、 じゅ うたんの フ ロア とそ うでない ところがあったので、何 か意図 が ある と思われ る。) さらに、病棟 内の窓際 のあち こちにち ょっ と した椅子 と机 、本棚 な どが あ り、 リハ ビ リ に励 む患者 が一体 み で きるよ うになつていた。 患者 は、 自分 の好 きな場所 に居場所 を見つ け て休 んでいた。 ス タ ンフは、Tシ
ャツの人 もあれ ば、運動 着 の人 もいて、 どの方 がナー スなのかす ぐわ か る 日本 とは違 つていた。 病床 は,30床
。共通 スペー スの ラウンジ と ダイニ ングが広 く取 つてあ り、家族 が面会 に 来て、一緒 に食 事 を作 つて食 べ た りもで きる よ うになっていた。 しか し、デ ィビッ トさん は、施設 が古 く狭 い と話 していた。30床のほ とん どが個 室で、プ ライバ シー が しっか り守 られ ていた。部屋 の中 も 日本 な ら、4人
部屋 くらいの感 じでゆつた りしていた。 それ ぞれ の部屋 は、病室 とい うよ り “寝室"と
い う雰 囲気 であった。 オー ス トラ リアでは、以前か ら、ベ ッ トか ら車椅子 の移動 な どを看護者 が 自力で行 うこ とが法律 で禁 じられ てお り、廊下の隅 に患者 を持 ち上げて車椅子 に移動 させ る リフ トがお いてあつた。)モ
コンでアームが動 き、患者 さん を しっか りした リフ トの椅子の よ うな も のに乗せ 、移動 させ ます。 この器 具は、申請 すれ ばlヶ月程度 、 自宅 に貸 し出 しも可能 だ との こ とであった。確 かに、オー ス トラ リア の方 は、看護 師 も含 めて肥満者 が多 く、BMI は、30を
超 えてい るであろ う方 がほ とん ど で、 とて も看護師1人
では持 ち上 げ られそ う にないの も真実である。 どんな疾患 の忠者 が多いか とい うと、脳 卒中、難病 (オー ス トラ リアでは、多発性硬化 症 が多い
)と
説 明があつた。 オムツを使用 し てい る人はいない よ うであつたが、物品保管 庫 には、パ ッ トが少 しだ けだが確認 で きた。 トイ レに行 くの も リハ ビ)の
うち と考 え られ てい る。 病棟 の壁 には、地域 のい ろい ろなケアサー ビスの紹介用のパ ンフ レン トが置いてあ り、 切 り取れ るよ うになっていて、具体的なサー ビスの内容や ど うい う時に どこに連絡すれ ば よいかが書かれ あった。 緊急時の連絡先 を示 すパ ンフの後 ろにマ グネ ッ トがついていて、 冷蔵庫 に貼れ るよ うにな つた ものや地域サー ビスの相談先の電話番号が書かれた もの もあ つ た。 これ らの小 冊子や パ ンフ レン トは、 Stroke Survivor Kitと して、持 ちやす いケ ー スに入れ て、選院患者に配布 されていた。 内服 薬 は、錠剤 を一回分ずつ1週間分 を分 包す るプ ラスチ ックの ケー スで患者 に配 られ 、 自己管理す る。 ブ リス ターパ ック (blister pack)と呼 ばれ るそのケー スを見れ ば飲み忘 れ が あるか ど うかは一 目瞭然 で あ り、薬がば らば らに もな らず 、 よい方法だ と思 つた。薬 局 で入手可能。 これ らの ケア全体が、脳 卒 中後の生活 を受 け入れ 、本人に生 きる気力 を と り戻 して もら うシステ ムにな ってい るのでないか と感 じが した。 オー ス トラ ジアでは、病気や障害があって も、「人生は楽 しむ もの」 とい う文化があ り、 リハ ビ リテー シ ョンも本人がそれ を望む な ら 一結 に考 えるとい うスタンスである。本人を 中心 に多数 の専 門家が結集 して多面的なケア を計画 し、実施 してい る様子 を知 るこ とがで きた。8.病
棟 カ ン フ ァ レンス リハ ビジ棟 の入院期間は、想像以上に短 く、 10日 ∼lヶ月程度 であ る との こと。濃厚 な ヅ ハ ビ リを しっか りや った ら、後 は、住み慣れ た 自宅で したい ことを していただ くとい うの が、大 まかな援助 の方針であ る。確 かに、単 身 で も自宅でい ろい ろなサー ビスを使 つて暮 らす ことがで きる しくみがで きていた。 さて、 リハ ビジ棟 では、毎 日、ケー スカ ン フ ァ レンスを実施 している。ナースステー シ ョンの一角にある大 きな楕 円形 のテーブル に コンサル タン トの医師、 リハ ビ)医
師、数 人 のPTや
OT、 デイ ビッ トさん、看護師が席 に 着 き、カ ンフ ァ レンスのメンバーが持 ち寄 っ た、山盛 りの奉節 の果物や ビスケ ッ トを食べ、 飲み物 を飲み なが らの検討会 であった。 カ ンファ レンスは、まず、医師か ら検討す る方 の名前 の紹介 があ り、現在 の問題状況が 提起 が され、その状況について、担 当のPT,
OT,看
護師が説明 を して、討議 に入 る。 大 テー ブル を囲む壁 の一面 に、現在 の入院患者 の年齢や ジハ ビリのメニューが記入 されたボ ー ドがあ り、一例ずつカンファ レンス しては、 ボー ドを書 き換 えていた。この よ うにす ると、 メンバーの全員 が、患者 さんの情報 を共有す るこ とがで きる。 このチームの 中では、医師 は、 あ くまで、ケア メンバー の1人であ り、 療養生活全体 を見てい る看護 師 のほ うが全体 を よ く見 ていて、医師 は 「僕 は、処方や 医学 的管理状況 を話す」 といつていた。 朝・昼・夜・就寝前 に飲む錠剤 が1 週 間分入 つたプ リスター パ ック印象 的 だ った の は、経 験 の浅 い作 業療 法 士 が 、 医師や ベ テ ラ ンのデ ィ ビッ トさん た ち に 自分 の受 け持 ちの患者 の こ とにつ い て 自分 の 考 え を一生懸 命伝 え よ うと して い た こ とで し た。 ベ テ ラ ンの他 の メ ンバ ー も熱 心 に彼 女 の 話 を聴 き、質 問 してお り、現任 教 育 の場 に も な って いた。 教 育 とい えば 、 この カ ン フ ァ レンス に 、 わ れ われ ―行 の ほか に 、 リハ ビ リテー シ ョン看 護 の専 門認 定 を受 け るた めの研 修 を受 けて い る看 護 師 が参加 して い た。 オー ス トラ リア で は 、一般 の看 護 師 が 、研 修 を受 け、 キ ャ リア を積 み 、 専 門看 護 師 に な ってい く しくみ が あ る。 :病棟 の廊 下 には移 動用 リフ トが複 数 :台置かれ ていた。
9.オ
ー ス トラ リア にお け る リハ ビ ジテ ー シ ョンの概 要 オー ス トラ リア の現 状 では,国
上 の 中で 老 年 化 人 口が増加 傾 向 に あ り,精
神 疾 患 や認 知 症 を患 つてい る人 が増 えて きてい る。また65 歳 以上の人 口が全 人 口の13%に
まで及 び,そ の うち85歳
以上 は ■%を
占めてい る.85歳
以 上の うち,92%が
独居 で あ り,ま
た6%が
高齢者 ケア ホ‐ ム に入居 してい る。 この よ う に,多
くの高齢 者 が 自宅 に取 り残 され て い る 状 況 で あ る。 また生 活用 式 も変化 してお り, 脳 卒 中に罹 患 す る人 も毎年 3∼4万
人 の新 し い ケー スが現れ,ま
たパ ー キ ン ツン病 に罹 患 してい る人 も増加 してい る。認 知症 にお いて は,増
加傾 向にあるに も関わ らず,医
療費 に お け る認知症 の割合 は変 らず,そ
の対策 は大 きな問題 となってい る。 近年 オー ス トラ リアでは,重
症 な脳 卒 中患 者 は積極 的治療 を行 い,そ
の時期が過 ぎて ジ ハ ビ リが必要になって も,継
続 的 に リハ ビ リ 等 のケアを受 け ることがで きる地域サー ビス 体制 が整 つてい る。例 えば,既
にナー シ ング ホー ムに入居 してい る人 であつて も,ス
タ ッ フがその入居者 に とつて入院 中に ジハ ビジが 必要 と感 じれ ば,気
付 いた スタ ンフが入院 リ ハ ビリユニ ッ トヘの入居 を推薦 し,よ
りその 対象者へ必要 なサー ビスを柔軟 に提供 してい くとい うわ けである。す― シ ングホー ムに一 旦入居す る と,
リハ ビジを受 けに くい状況 に な るため,そ
の一つ前段階である リハ ビジユ ニ ッ トとしての入院施設の役割 の重要性 が大 きい. 以前 :病 院⇒ 自宅 現在 :病 院⇒入院型 リハ ビジ⇒ 自宅 また,こ こ20年
において も技術 の発 展 に伴 い, リハ ビ ジを行 う看護師 の役割 も変化 して きてお り,医
療 ス タ ッフは常 に新 しい知識や 技術 (最新 の治療,薬
物療法,代
替医療 な ど) を知 るこ とが求 め られ るよ うになって きてい る。また患者 の意思決定 を踏 まえた よ り複雑 化 した看護 実践,
リス クマネ ジメン トに関す る知識 な ど,様
々な状況に応 じたアセ スメン ト技術求 め られ てい る。またその他 に もリハ ビ リテー シ ョンユニ ッ トで働 く看護師は,患
者や その家族 へ の説明責任 が問 われ る ことが 増 えてきてお り,患
者 のみ な らず家族への指 導の必要性 が高 くな り,そ
の能力 も必要にな つてきている. そのため,よ
り高齢者や リハ ビ ジケアの知識 や技術 が豊 富な看護師が必要で あ り,そ
の育 成 をす るための体制 を整 え教育 してい る。10。 在宅 リハ ビジテー シ ョン 在宅 リハ ビリテー シ ョンの 目的は、「亜急性 期の取 り組み として、医療サー ビスの先端 を 行 く均―なサー ビスを提供 し、各患者 に適 し た環境 において統合的で連携の とれた最適 な ケア を提供す る」 とし、病院 のベ ッ ドを使 う のではな く、 自宅で病院 にい るときと一緒の サー ビスが提供 され るこ とをコンセ プ トに、 在宅 において も可能 な限 リリハ ビリテー シ ョ ンができるよ うに とスター トしたサー ビスで ある. このサー ビスに携 わ るスタ ッフは、基本的 には入院 中に利 用者 に関わ つていた病棟 ス タ ッフ とは異 な るメンバーで構成 され てい るが、 利 用者個 々の状況に応 じて、病棟 スタ ッフが 継続 して関わ ることもある。在 宅 リハ ビジテ ー シ ョンにかかわ るスタ ッフの構成 は、(ジ ハ ビ リコンサル タン ト:基本的 には医師であ り、 特 に専門的 な知識 を生 か し医学的 な部分 を補 う)、 (プログラム・マネー ジャー :プログラ ム全体の統括 を し、利用者 に発生す る負担金 の管理 を行 う)、 (ケア・ コーデ ィネー ター : 利 用者への直接 的 なケア をコーデ ィネー トす る〉、そ の他,作業療 法 士
(oT),理
学療 法 士(PT),准
看護師 な どで構成 されてい る。 これ らのサー ビスが利用できる必要条件 と しては4点
あ り、① アセ スメン トの結果 、 リ ハ ビ ジに参加 で きる と診断 され た人、②バ ラ ラ ッ トよ り半径20km以
内に居住す る人、③ 安全 な 自宅環境 である人、患者 中心の姿勢・ 考 え方であ り、 日標 達成 を主限 に してい る人 であ る。 これ らの条件 を満た した判断 され た 方へ提供 され るサー ビスは、仲介サー ビス、 介護 サー ビス、セ ラ ピー、補助具、改装(OT
がアセ スメン トし、最高A$300ま
で補助 され る。A8300以
上かんヽる と半J断された場合、OT
が他 の補助金 を獲得す るな どの対応 を してい る)で
ある。 いずれ のサー ビスにお いて も、 利用者へ最善のケア提供 に向けてス タ ンフ ら は、患者 中心の ケアプ ランの作成や、 このチ ―ム以外の人た ちと協働 して、依頼や紹介 の 迅速 な対応 (24時間以内に返答 な ど)を
心が け、在宅 ジハ ビリテー シ ョンに携 わつてい る。11.亜
急性期 または医療処置 を必要 とす る在 宅患者 へのケアサー ビス 急性期 を過 ぎた入院患者 は、 リハ ビ ジ病院 に転院す るだ けでな く、 自宅に退院 してケ アを受 け られ るサー ビスがある。サー ビス フPロ グ ラ ム に は 、POst acute care
と Hospttal in the homeの2つ
がある。 サービスの内容 を以下に示す。
Disttict Nursing:訪 問看護l倉J傷の処置、
イ ンス リン管理等 の医療処置 を含 む)
Hone Care i清
拭 な どの清潔支援 、服薬 状況の確認 、更衣や食事の援助Holxle Respite :
Dehvered Meals i配食 サー ビス、週
7回
Day Centers:地
域 内の施設へ の通所 大切 な こ とは、利 用者 の意思が最 も尊重 さ れ るこ とだ と強調 していた。 モ ニ タ リング は、ケア を提供 しなが ら実施 してい る。教 育的 な指導 も実施 してお り、利 用者 が 自分 で実施 で き るよ うにな ることを重視 した関 わ りを少 しずつ行 うようになってきている。 サー ビス提供者間でケアプランを共有 して はいるが、いろいろな部署の人がサー ビス を提供す るので、ケースカンファレンスを 持つことは難 しい とのことであった。12.ケ
ア ラー ズ チ ョイ ス (Carer's chotte)Carer Support Worker
ケア ラー ズ チ ョイ ス (Carer's choおe)
は、介護者 に対す る相談 。支援 を行 つてい る。
正 式 名 称 は 、「
Commomwealh Carer
Respite and Care五五k Centte」 とい うBHS
とは異 な る組織 の1つだが、利用者 とな る介
護者 の利便性 を第一 に考 えて、
BHSの
建物の 中の一部屋 を使 用 してい る。 ここで言 う