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土地区画整理事業の事業計画決定の処分性

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判例研究

土地区画整理事業の事業計画決定の処分性

平成一七︵行ヒ︶三九七行政処分取消請求事件

平成二〇年九月一〇日最高裁判所大法廷判決破棄差戻し

]事実

一一判旨

三評釈

1伝統的な処分概念との関係 2青写真判決と反対意見 3事業計画の決定に処分性が認められた例 4本判決の検討 ︵1︶涌井裁判官の意見 ︵2︶藤田裁判官の補足意見 ︵3︶泉裁判官の補足意見

5まとめ

渡邊

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白鴎法学第15巻2号(通巻第32号)(2008)182

事実

静岡県内の自治体Yは、鉄道線の連続立体交差事業の一環として、上島駅周辺の公共施設の整備改善等を図るため、 西遠広域都市計画事業上島駅周辺土地区画整理事業︵以下﹁本件土地区画整理事業﹂という。︶を計画し、平成一五年 一一月七日、土地区画整理法︵平成一七年法律第三四号による改正前のもの。以下﹁法﹂という。︶五二条一項の規定 に基づき、静岡県知事に対し、本件土地区画整理事業の事業計画において定める設計の概要について認可を申請し、同 月一七日、同知事からその認可を受けた。Yは、同月二五日、同項の規定により、本件土地区画整理事業の事業計画の 決定︵以下﹁本件事業計画の決定﹂という。︶をし、同日、その公告がされた。 Xらは、本件土地区画整理事業の施行地区内に土地を所有している者であり、本件土地区画整理事業は公共施設の整 備改善及び宅地の利用増進という法所定の事業目的を欠くものであるなどと主張して、本件事業計画の決定の取消しを 求めた。 原審は、次のとおり判断し、本件訴えを却下した。土地区画整理事業の事業計画は、当該土地区画整理事業の基礎的 事項を一般的、抽象的に決定するものであって、いわば当該土地区画整理事業の青写真としての性質を有するにすぎず、 これによって利害関係者の権利にどのような変動を及ぼすかが必ずしも具体的に確定されているわけではない。事業計 画が公告されることによって生ずる建築制限等は、法が特に付与した公告に伴う付随的効果にとどまるものであって、 事業計画の決定ないし公告そのものの効果として発生する権利制限とはいえない。事業計画の決定は、それが公告され た段階においても抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないから、本件事業計画の決定の取消しを求める本件訴えは、

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不適法な訴えである。

二判旨

﹁原審の上記判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。﹂ ︵土地区画整理法に基づいて事業計画決定後に加えられる各種の規制に触れたうえで︶﹁施行地区内の宅地所有者等 は、事業計画の決定がされることによって、前記のような規制を伴う土地区画整理事業の手続に従って換地処分を受け るべき地位に立たされるものということができ、その意味で、その法的地位に直接的な影響が生ずるものというべきで あり、事業計画の決定に伴う法的効果が一般的、抽象的なものにすぎないということはできない。﹂ ﹁もとより、換地処分を受けた宅地所有者等やその前に仮換地の指定を受けた宅地所有者等は、当該換地処分等を対 象として取消訴訟を提起することができるが、換地処分等がされた段階では、実際上、既に工事等も進ちょくし、換地 計画も具体的に定められるなどしており、その時点で事業計画の違法を理由として当該換地処分等を取り消した場合に は、事業全体に著しい混乱をもたらすことになりかねない。それゆえ、換地処分等の取消訴訟において、宅地所有者等 が事業計画の違法を主張し、その主張が認められたとしても、当該換地処分等を取り消すことは公共の福祉に適合しな いとして事情判決︵行政事件訴訟法三一条一項︶がされる可能性が相当程度あるのであり、換地処分等がされた段階で これを対象として取消訴訟を提起することができるとしても、宅地所有者等の被る権利侵害に対する救済が十分に果た

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白鴎法学第15巻2号(通巻第32号)(2008)184 されるとはいい難い。そうすると、事業計画の適否が争われる場合、実効的な権利救済を図るためには、事業計画の決 定がされた段階で、これを対象とした取消訴訟の提起を認めることに合理性があるというべきである。﹂ ﹁以上によれば、市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は、施行地区内の宅地所有者等の法的地位 に変動をもたらすものであって、抗告訴訟の対象とするに足りる法的効果を有するものということができ、実効的な権 利救済を図るという観点から見ても、これを対象とした抗告訴訟の提起を認めるのが合理的である。したがって、上記 事業計画の決定は、行政事件訴訟法三条二項にいう﹃行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為﹄に当たると解す るのが相当である。これと異なる趣旨をいう最高裁昭和三七年︵オ︶第一二二号同四一年二月二三日大法廷判決・民集 一一〇巻二号二七一頁及び最高裁平成三年︵行ツ︶第二〇八号同四年一〇月六日第三小法廷判決・裁判集民事一六六号四 一頁は、いずれも変更すべきである。﹂

三評釈

本判決は、とくに﹁青写真判決﹂として知られる最高裁判決をはじめとする判例において、行政事件訴訟法三条二項 の﹁処分﹂に該当しないとされていた土地区画整理事業の事業計画の決定︵以下、﹁本件事業計画決定﹂という。︶につ いて、処分性を認めたものである。以下では、まず、これまでの事業計画決定の処分概念をめぐる判例の理論的動向を 整理した後︵1、2︶、本判決による判例変更の意義を明らかにすることにしたい︵3︶。

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1伝統的な処分概念との関係 一般論として、ある行政活動に新たに処分性が認められるパターンとしては、①処分概念が拡大された結果、ある行 政活動が新たに処分に含まれるようになった、②処分概念は維持されているが、ある行政活動をそれに該当しないとし た判断が修正された、という、ふたつのものがある。①が﹁処分性の拡大﹂というべきものであるが、本判決は、これ ではなく、②のパターンに属するものと考えられる。 というのも、本判決は、本件事業計画決定がなされることによってXらの﹁法的地位に直接的な影響が生ずる﹂と指 摘して、その処分性を認める根拠のひとつとしているからである。ここでは、伝統的な処分概念、つまり、処分とは ﹁公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によつて、直接国民の権利義務を形成しまたはその 範囲を確定することが法律上認められているもの﹂という理解が前提とされていると思われる。近年、この定義に必ず しも当てはまらない行政活動に処分性を認める最高裁判例がみられ、﹁処分概念の拡大﹂という現象が指摘されている が、本件の行政活動については、正しく伝統的な処分概念に該当するものであると考えられている、と見てよいであろ う。 2青写真判決と反対意見 本判決の検討に必要な限りで、判例変更の対象となった﹁青写真判決﹂における事業計画の決定の処分性を否定する 見解を確認しておくと、その結論は、以下の三点に要約することができよう。 ①﹁事業計画は、それが公告された段階においても、直接、特定個人に向けられた具体的な処分ではなく、また、宅地・

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白鴫法学第15巻2号(通巻第32号)(2008)186 建物の所有者又は賃借人等の有する権利に対し、具体的な変動を与える行政処分ではない﹂︵以下、﹁青写真論﹂という。︶。 ②事業計画が公告されると、たとえば施行地区内において宅地、建物等を所有する者は、土地の形質の変更、建物等の 新築、改築、増築等につき一定の制限を受けるが、これは、﹁当該事業計画の円滑な遂行に対する障害を除去するため の必要に基づき、法律が特に付与した公告に伴う附随的な効果にとどまるものであつて、事業計画の決定ないし公告そ のものの効果として発生する権利制限とはいえない﹂︵以下、﹁附随的効果論﹂という。︶。 ③﹁直接それに基づく具体的な権利変動の生じない事業計画の決定ないし公告の段階では、理論上からいつても、訴訟 事件としてとりあげるに足るだけの事件の成熟性を欠くのみならず、実際上からいつても、その段階で、訴えの提起を 認めることは妥当でなく、また、その必要もない﹂︵以下、﹁未成熟論﹂という。︶。 なお、この判決には、奥野健一ほか五名の裁判官の同趣旨の反対意見があり、今般の判例変更を検討するに当たり、 ここに紹介しておく価値があろう。奥野健一の反対意見は、具体的に土地区画整理法の規定をあげた後、﹁土地区画整 理事業計画によつて、施行地区内の土地所有者、賃借権者等が、その権利の行使を制限されることは明らかであるから、 事業計画の決定は、少なくともそれが公告された段階においては、既に一の行政処分であつて、若し、その処分が違法 であり、これにより権利の侵害を受けた者があるときは、その者は事業計画に対して行政訴訟を提起する法律上の利益 を有するものと解すべきである﹂としている。これは、たとえ付随的効果であれ、土地区画整理事業計画の決定をいわ ば端緒として、施行地区内の土地所有者、賃借権者等が権利行使を制限される以上、そこには処分性が認められると考 えるものと言えよう。

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3事業計画の決定に処分性が認められた例 本判決を検討する上で、さらに注目に値するのは、その後、都市再開発法に基づく第二種市街地再開発事業の事業計 画の決定に対する取消訴訟において、処分性が認められていることである。

パイロ

本事件の第一審判決が、青写真判決とほぼ同様の論理を展開して、事業計画の決定の処分性を否定したのに対し、控 訴審判灘は、都市計画事業が土地収用法三条所定の事業とみなされており、第二種市街地再開発事業においては、知事 等の認可が、抗告訴訟の対象となる土地収用法二〇条の事業認定に代わるものとされることなどを指摘して、﹁事業計 画決定は、その公告時点において施行地区内権利関係者の権利、利益に対し直接かつ特定、具体的な影響を及ぼす性質 を有する行政庁の行政行為﹂であるとして、その処分性を認めている。最高裁判決も、具体的に都市再開発法の規定を あげることにより、事業計画の決定が、﹁その公告の日から、土地収用法上の事業の認定と同一の法律効果を生ずるも のである﹂と指摘したうえで、﹁施行地区内の土地の所有者等の法的地位に直接的な影響を及ぼすものであって、抗告 訴訟の対象となる行政処分に当たる﹂という結論を導いている。 この判例においては、土地の所有者等の法的地位への直接的な影響が、形式的には土地収用法三条の効果であるとし ても、それは﹁付随的効果﹂ではなく、事業計画の決定そのものの効果で︵も︶あると考えられているといえよう。し たがって、これに処分性を認めることは、上記の青写真論や付槌的効果論とは必ずしも矛盾するものではない。最高裁 判決が、青写真判決の判例を変更していないのには、そもそも事業計画の種類が異なるということに加えて、こうした 事情があると思われるが、後に述べるように、ここには今回の判例変更につながる重要な理論的要素が含まれている可 能性があることには注意してよいであろう。

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白鴫法学第15巻2号(通巻第32号)(2008)188

4本判決の検討

先に見たように本判決は、本件事業計画決定の処分性を認められる理由として、﹁法的地位への直接的な影響﹂をあ げているが、それは処分性︵ないしはその一要素︶があることの﹁言い換え﹂に過ぎない。問題は、それをいかに根拠 づけ、かつ、どのように処分性の有無の判断に組み込むか、ということにある。その方法としては、理論的には、いく つものものが考えられるのであり、実際に、多数意見の見解についても複数の解釈の可能性が残されているようである。 それを知るためには、三人の裁判官の意見ないし補足意見が重要であり、以下、それぞれに検討を加えておこう。 ︵1︶涌井裁判官の意見 まず、﹁本件事業計画の決定が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとする多数意見の結論には賛成するが、その 理由付けの仕方について多数意見とは考え方を異にする点がある﹂とする、涌井裁判官の意見︵以下﹁涌井意見﹂とい う。︶からみよう。そこでは、﹁問題となる行為が、個人の権利・利益を直接に侵害・制約するような法的効果を持つも のである場合には、そのことだけで処分性が肯定されるのが原則とされる﹂という考え方にもとづいて、次のような処 分性を認める見解が示されている。 事業計画が定められ所定の公告がされると、施行地区内の土地については、許可なしには建築物の建築等を行うことができない等 の制約が課せられることになっているのであるから、この事業計画決定が個人の権利・利益を直接に侵害・制約するような法的効 果を持つものであることは明らかである。確かに、この建築制限等の効果は、土地区画整理事業の円滑な施行を実現するために法 が事業計画に特に付与することとした付随的な効果ともいうべき性質を持つものではある。しかし、この建築制限等の効果が発生

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すると、施行地区内の土地は自由に建築物の建築を行うことができない土地になってしまい、その所有者には、これを他に売却し ようとしても通常の取引の場合のような買い手を見つけることが困難になるという、極めて現実的で深刻な影響が生じることにな るのである。このような効果は、抗告訴訟の方法による救済を認めるに足りるだけの実質を十分に備えたものということができよ う。 これは、涌井意見が自ら要約するように、本件事業計画決定の処分性を肯定する法的根拠として、﹁建築制限等とい う法的効果の発生という一事で足りるものとする考え方﹂であり、さらに﹁国民にとっても明確で分かりやすい形で訴 訟の門戸を開いていくことによって、行政訴訟による権利救済の実効性を確保するという見地からするなら、処分性の 有無の判断基準としても、できるだけ明確で分かりやすいものが望ましい﹂という点にも触れられている。涌井意見は、 すでに青写真判決においてみられた奥野健一裁判官ほかの反対意見と同趣旨のものということができるが、本判決にお いても、その考え方は多数意見によっては採用されなかった。 ︵2︶藤田裁判官の補足意見 多数意見による本件事業計画決定に処分性を認める根拠については、藤田裁判官が、﹁涌井裁判官からの意見がある ことに鑑み、私の考えるところを補足しておくこととしたい﹂として、次のような補足意見を述べている,︵以下、﹁藤 田補足意見﹂という。︶。 藤田補足意見は、﹁私人の権利義務に対し直接の法的効果をもたらす各種の計画行為の中で、他を差し置いても土地 区画整理事業計画決定については処分性を認めなければならない固有の理由は何かを問うことには、十分な意味がある﹂

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白鴎法学第15巻2号(通巻第32号)(2008)190 という立場から、﹁土地利用計画と異なる土地区画整理事業計画決定の固有の問題は、本来、換地制度をその中核的骨 格とするこの制度の特有性からして、私人の救済の実効性を保障するためには事業計画決定の段階で出訴することを認 めざるを得ないというところにある﹂という見解を示し、これを以下のように敷術している。 土地区画整理事業計画の場合には、純粋に理論的には、計画の適法性を、後続の換地処分等個別的処分の取消訴訟においてその前 提問題として争うことも可能であるとは言い得るものの、多数意見も指摘するとおり、換地制度という権利交換システムをその骨 格とする制度の性質上、実際問題としては、この段階で計画の違法性を理由に個別的処分の取消しないし無効確認を認めることに なれば、事業全体に著しい混乱をもたらすこととなりかねない。それ故、換地処分の取消訴訟においては、仮に処分ないしその前 提としての計画の違法性が認められても、結果としては事情判決をせざるを得ないという状況が、容易に生じ得る。このような事 態を避け実効的な権利救済を図るためには、事業プロセスのより早い段階で出訴を認めることが合理的であり、かつ不可欠である、 ということができる。 一方、藤田補足意見は、多数意見の﹁施行地区内の宅地所有者等は、事業計画の決定がされることによって⋮⋮換地 処分を受けるべき地位に立たされるものということができ、その意味で、その法的地位に直接的な影響が生ずるものと いうべき﹂であるという指摘の意味について、以下のような説明を加えている。 換地の法的効果自体は、土地区画整理事業計画決定から直接に生じるものではないが、一度計画が決定されれば、制度の構造上、 極めて高い蓋然性をもって換地処分にまで到ることは否定し得ないのみならず、まさに、その段階に到るまでの現実の障害の発生 を防止することを目的とする︵いわば計画実施保障制限とも称すべき︶建築行為等の制限効果が直接に生じることとなっている。 そして、この制限は換地処分の公告がなされるまで継続的に課されるのであって、この意味において、事業計画決定は、土地区画

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整理事業の全プロセスの中において、いわば、換地にまで到る権利制限の連鎖の発端を成す行為であるということができる。 以上のように、藤田補足意見は、本件事業計画の処分性を認める根拠を、①土地区画整理事業については、事業計画 決定の時点で出訴を認める﹁固有の﹂理由があること、および、②それが、上記のような意味での、法的地位に対する 直接的な影響を生じさせるという点に求めている。この見解は、多数意見が本件事業計画決定について、やはり両者の 点に触れていることを思うと、その理論的根拠についての有力な説明と考えることができよう。 ︵3︶泉裁判官の補足意見 泉裁判官の補足意見︵以下、﹁泉補足意見﹂という。︶は、本件事業計画の決定が処分性を有する理由について、藤田 補足意見とは異なる見解を示しており、注目される。泉補足意見は、土地区画整理事業にかかわる法体系を説明すると ともに、先に見た、第二種市街地再開発事業の事業計画の決定に処分性を認めた最高裁判決などを引用した後、本件事 業計画の決定の法的性質を検討し、次のような結論に至っている。 土地区画整理事業の事業計画の決定は、そこにおいて定められる設計の概要についての認可が都市計画法五九条に規定する都市計 画事業の認可とみなされるのであり、その公告により施行者に法的強制力をもった事業の施行権が付与されるという点において、 平成四年判決の第二種市街地再開発事業の事業計画の決定や、平成一七年判決の都市計画施設の整備に関する事業に係る都市計画 事業の認可、ひいては土地収用法二〇条の規定による事業の認定と同じ性質を有するものである。法的実現を担保する手法が、土 地区画整理事業にあっては公用換地であるのに対し、第二種市街地再開発事業等にあっては公用収用であるという違いがあるにす

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白鴎法学第15巻2号(通巻第32号)(2008〉192 ぎないのである。 この見解は、本件事業計画決定の処分性を肯定する法的根拠として、おもに涌井意見の﹁建築制限等という法的効果 の発生という一事で足りるものとする考え方﹂を念頭に置いて、施行地区内の宅地所有者等が換地処分を受けるべき地 位に立たされることこそが、﹁本来的な理由﹂である、という趣旨で述べられたものと思われる。しかし、それは同時 に、換地の法的効果自体が、土地区画整理事業計画決定から、いわば﹁直接﹂に生じると捉える点で、藤田補足意見の 考え方とも異なっているものといえよう。こうした考え方が、①本件事業計画決定によって生じる法的地位への直接的 な影響および、②決定の段階で取消訴訟の提起を認めることの合理性を掲げた多数意見と整合的かは微妙であると思わ れる。というのは、泉補足意見も引用する第二種市街地再開発事業の事業計画の決定に処分性を認めた最高裁判決がそ うであったように、ある事業計画決定から直接に法的効果が生じるのであれば、それに対する訴えの提起は当然に認め られるのであって、提起の認められる段階について考える必要はないからである。

5まとめ

本判決においても、本件事業計画決定の処分性が認められた理由である﹁法的地位への直接的な影響﹂をいかに根拠 づけ、かつ、どのように処分性の有無の判断に組み込むか、という点について一義的な解答が与えられたわけではない。 しかし、採用されなかったものも含めると三つの考え方があることが明らかになった。これを青写真判決の﹁青写真論﹂、 ﹁附随的効果論﹂、﹁未成熟論﹂と比較して整理しておくと、以下のようになるであろう。

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まず、およそ事業計画は行政処分の対象とならないとする﹁青写真論﹂は、今回の判例変更によって否定されたとみ てよいであろう。﹁附随的効果論﹂については、権利制限や換地が附随的効果であることが処分性を否定する理由には ならないという議論が見られる一方で、泉補足意見は、換地を附随的効果とは捉えずに、本件事業計画決定そのものの 効果とみることによって処分性を肯定している︵泉補足意見の考え方によれば、権利制限が附随的効果にすぎない場合 には、処分性は否定されることになると思われる。︶。前者の立場をとる場合、附随的効果であるか否かにかかわらず、 権利制限が生じれば処分性を認めるという涌井意見は﹁未成熟論﹂を全面的に否定するものであるが、藤田意見は、 ﹁未成熟論﹂とは異なる形ながら、処分性の判断に当たり、なんらかの成熟性を考慮に入れるものといえよう。 ︵1︶ ︵2︶ ︵3︶ 最大判昭和四一年二月≡二日民集二〇巻二号二七一頁。判例評釈として参照、阿部泰隆・行政判例百選︵新版︶二三一二∼二三四頁、近藤 昭一一丁街づくり国づくり判例百選五〇∼五一頁、原田尚彦・行政判例百選∬︵第三版︶三七四∼三七五頁、山下竜一・行政判例百選■︵第 四版︶四〇〇∼四〇一頁、上野国夫・法律のひろば一九巻六号四六頁、田村浩一・民商法雑誌五五巻三号一四八頁、渡部吉隆・法曹時報 一八巻四号一一八頁、藤田宙靖・土地収用判例百選九六∼九八頁、南博方・判例評論九二号二二頁。 最判昭和三九年一〇月二九日民集一八巻八号一八〇九頁。判例評釈として参照、下山瑛二・土地収用判例百選二〇〇∼二〇一頁、宮田三 郎・街づくり・国づくり判例百選二三〇∼二三一頁、原田尚彦・行政判例百選H︵第三版︶三七六∼三七七頁、松島諄吉・民商法雑誌五二 巻六号七八頁、川上克己・判例評論七九号一六頁、田中真次・神奈川法学一巻一号一五一頁、北原仁・行政判例百選H︵第四版︶三九八 ∼三九九頁、綿貫芳源・行政判例百選■三六〇∼三六二頁。 最判平成一六年四月二六日民集五八巻四号九八九頁︵食品衛生法の通知︶。判例評釈として参照、角松生史・法政研究︹九州大学︺七二 巻二号八一∼九八頁、橋本博之・判例時報一八八二号一六八∼一七四頁、今本啓介・法令解説資料総覧二七一号九七∼九九頁、西口元・ 平成一六年度主要民事判例解説二六八∼二六九頁、西田幸介・平成一六年度重要判例解説四四∼四五頁、大久保規子・ジュリスト=三〇 号一八∼二四頁、大橋真由美・法律のひろば五八巻八号六五∼七二頁、林俊之・法曹時報五八巻一一号一六〇∼一七一頁。

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白鴎法学第15巻2号(通巻第32号)(2008)194 最判平成一七年七月一五日民集五九巻六号一六六一頁︵病院開設中止勧告︶。判例評釈として参照、寺洋平・法学セミナー六一六号 二八頁、杉原則彦・ジュリストニニ〇七号一六九∼一七一頁、杉原則彦・法曹時報五八巻三号三〇二∼三二二頁、牛嶋仁・法令解説資料 総覧二八九号七三∼七六頁、楠井嘉行、大西欣範・判例地方自治二七三号四∼八頁、玉川淳・賃金と社会保障一四二五号六二∼七二頁、仲 野武志・自治研究八二巻一二号二二九∼一五〇頁、宮嵜秀典・民事研修五九九号三五∼四四頁、下井康史・平成一七年度重要判例解説四七 頁、太田幸夫・平成一七年度主要民事判例解説一二一五号二八O頁、角松生史・行政判例百選H︵第五版︶三四四頁、山本隆司・法学教室 三三三号四一頁。 ︵4︶大阪地判昭和六一年三月二六日行裁例集三七巻三号四九九頁。 ︵5︶大阪高判昭和六三年六月二四日行裁例集三九巻五・六号四九八頁。 ︵6︶最判平成四年一一月二六日民集四六巻八号二六五八頁。判例評釈として参照、安本典夫・民商報雑誌一〇九巻一号一一九∼一三二頁、 江原明則・ジュリスト一〇二一号九八∼一〇三頁、山下竜一・行政判例百選■︵第四版︶四〇二∼四〇三頁、小高剛・法律の広場四六巻六 号五三∼六一頁、常岡孝好・法学教室一五一号一二二∼一二三頁、村上武則・平成四年度重要判例解説三八∼三九頁、中江利政・判例地 方自治一一八号八一∼八二頁、田中舘照橘・法令解説資料総覧二一西号六四∼六九頁、福岡右武・法曹時報四六巻一二号二四九∼二七二頁。 ︵本学法学部准教授︶

参照

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