電子スピン共鳴装置
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(2) 図2 電子スピン共鳴装置(日本電子製,JES−FA200型) 【電子スピン共鳴装置の概要】. 本センターに開設当初から設置されていた電子スピン共鳴装置(日本電子製,JES−ME3X)の 更新機種として,2003年8,月に日本電子製JES−FA200型電子スピン共鳴装置(図2)が設置され た。主たる仕様は次のようである。 1.マイクロ波ユニット. 周波数範囲:8.75∼9.65GHz,マイクロ波出力:0.1μW∼200 mW. 2.空洞共振器 共振モード:円筒型TEoll, Q値(無負荷):18,000,試料管外径(最大):11mm 3.電磁石 最大磁場:1.3T,掃引幅:士0.01∼500 mT. 4.データシステム. OS:Windows XP,スペクトル分解能:16bit,シミュレーション:等方性および異方性 多様な測定を可能にする下記のアクサリーが利用可能である。 1.温度可変装置 温度可変範囲:一170∼200℃ (図3). 2.挿入デュワー. 測定温度:液体窒素温度(77K)(液体窒素料金は利用者負担). 13.
(3) 圏. 図4 1H−NMR精密磁場測定器. 図3 温度可変装置. 3.lH−NMR精密磁場測定器 磁場測定範囲:0.03∼1.5T (外部磁場の精密測定,図4). 4.マイクロ波周波数カウンター. 周波数測定範囲: ∼18GHz 5.広帯域プリアンプ. 周波数帯域:50Hz∼2 MHz (時間分解能05μs,近日購i入予定) (時間分解ESR測定の場合は,パルスレーザーを利用者が持込むこと) 6.真空ライン 圧力範囲:0.Ol∼760 Torr(気体試料測定用,八木研究室製,図5). 7.紫外線照射装置. 光源:lkW水銀キセノンランプ. 灘灘難難難. 購糠. 麟. 蹴. 図5 気体試料測定用真空ライン(2台). 14.
(4) 【測定対象物質】. 多くの分子において,αスピンをもつ電子とβスピンをもつ電子が対をなし,全スピン角運動量. がゼロになる。そのためスピンによる寄与だけを考えれば,分子は全体として磁気モーメントを もたない。電子スピン共鳴法を適用するためには,対象となる系が対をなしていない電子,すな わち「不対電子をもつ」ことが必要である。以下に示すように多くの系が不霊電子をもっている。 1.奇数個の電子をもつ原子. 水素原子等 2.多くの遷移金属イオン Cu2+:3d9, Fe3+:3d5, Ti3+:3d1等. 3.物質内の欠陥. Fセンター等,物質に放射線照射あるいは不純物添加. 4.フリーラジカル: フリーラジカルは1個の不義電子を持つ化学種 有機ラジカル(エチルラジカル ・CH2−CH3等). イオンラジカル(ナフタレン陰イオンラジカルCloH8一等) 5.三重項状態および多重項状態の分子 基底状態の酸素分子(基底三重項分子),有機化合物のりん光状態(光励起三重項分子) イオンラジカル塩(熱励起三重項分子),高スピン有機分子(基底多重項分子) 【電子スピン共鳴法の最近の応用例】. 1.新物質・材料研究への応用. 無機i材料の磁気機能評価,有機材料の磁気機能評価,ESR放射線線量測定, ESR年代測定 2.医療への応用. フリーラジカルと疾患,活性酸素種発生の測定,抗酸化能の測定,生体内ラジカルの検出 3.環境科学への応用. 環境汚染ラジカル種の検出と同定,環境汚染物質の体内動態と健康影響 【電子スピン共鳴法の特長】. 電子スピン共鳴法は不対電子を検出する明快な手法である。吸収スペクトルや蛍光スペクトル のような光学的手法ではフリーラジカルの存在を間接的にしか示せないが,電子スピン共鳴信号 は対象となる系が不対電子をもつことの決定的な証明となる。気体,液体,固体,いずれの状態 の試料でも測定可能であることも,電子スピン共鳴法の便利な特性である。また,電子スピン共 鳴スペクトルは不対電子の置かれた環境に敏感であるため,電子スピン共鳴法は不対電子周辺の 物質の構造を解明するのに適した手法である。 【おわりに】. 本センターの電子スピン共鳴装置は自動化が進行した最新型であり,標準的な測定ならば熟練 者でなくとも比較的容易に行える。また,装置維持費の配分が受けられるようになった2004年か ら,使用料金(自己測定)が1時間あたり1,000円から200円へと大幅に引き下げられた。 本装置が多くの方に活用されることを期待している。. 15.
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