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価格プレミアムの知覚とブランド・パーソナリティ

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Academic year: 2021

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(1)論. 説. 価格プレミアムの知覚とブランド・パーソナリティ. 白. 井. ].はじめに. 美由里 一・. Jスタマー)と顧客とのダイレクトな接点. を持っている.七つ目はクラブの法則で,ブラ.  優れた強力なブランドには価格プレミアムが. ンドの夢に共鳴する顧客が構成メンバーとなる. 形成される.価格プレミアムとは,販売価格を. クラブ的な性質を持っている.八つ目はエージ. 同一カテゴリー内の他のプランドの販売価格よ. ング不在の法則で,老齢化が起こらない仕組み. りも高く設定しても,それが消費者に受容され ることを意味する.したがって,価格プレミア. を持っている.九つ目は倫理性の法則で,社会 との関係を重視している.これらの法則に示さ. ムの大きいブランドは企業に高い収益をもたら. れる企業の姿勢や努力がブランド評価の高さに. すことができる.当然,価格プレミアムはその. つながっているのである.その結果,顧客はそ. ブランドの評価が高いゆえに生じる効果であり,. のブランドに高い価値を感じ,高価格を受容す. 高いプランド評価は企業努力の結果である.片. るのである.エルメスやアルマーこなどの高級. 平(1999)によれば,強力なブランドを持つ企. プランドは価格プレミアムが形成された典型的. 業には共通する9つの法則がある.一つ自は夢. なブランドである.. の法則で,顧客だけでなく従業員をも歓喜させ.  ここで,一つの疑問が生じる.それは,消費. る適切で固有,かつ長期にわたって受け継がれ. 者がブランドのどのような評価に価値を見出し,. てきた夢を持っている.二つ目は一貫性の法則. それゆえにより多く出費することを厭わないの. で,その夢が長期的に継続しているだけでなく,. だろうか,ということである.これまでに行わ. そのプランド名が付けられている全商品とマー. れたプランドに関する研究は主にブランド構築. ケティング・ミックスにおいて一貫している.. やブランド管理に焦点を当ててきており,ブラ. 三つ目は革新性の法則で,技術の先進性を継続 的に追及し,新しいことに挑戦する組織風土が. ンドのどの評価が消費者にとってより多く支払. あり,経営者にブランドの将来を絵にする能力. 部構造と価格プレミアムの関係に着目した分析. がある.四つ目は主役の法則で,経営者にリー. を行っていない.低価格商品の品質が改善し,. う価値のあるものなのかといったブランドの内. ダーシップがある.五つ目は日本モデルの法則. ブランド間の知覚品質差異が小さくなっている. で,終身雇用の慣行と従業員尊重の企業文化が. 現在では,消費者が耐久性や性能などの実用的. あ1) ,経営者は生えぬきである.その組織形態. な機能だけに支払い価値を認めているというの. は経営者と従業員がふれあうことができるフラ. は考えにくい.. ットなものである.六つ目はスーパ・一・カスタ.  プランドは多機能であり,それらは保証機能,. マーの法則で,顧客を代表する目利き(スーパ. 差別化機能,意味づけ機能に大別されることは.

(2) 横浜経’営田f究  第26巻  第3 ・4号 (2006). ユ6(366). 図表1 ブランド・パーソナリティの構造. ブランド・パーソナリティ. 圃子. ファセ・vト. 誠実{Si皿肥ritv).  刺激(Excitement}.  能力 eC。m”e民nce).  堅実な.  いとしい. しっかりした. iDowrt.earth). @Φaring}. @{Re]iab]e). @正直な. @快活な. @(Honest). @(Spirite[D. ilntelligent). @健全な. z像力に富んだ. ャ功した. iImaginatiΨe). kSucc¢s5ful). iWhole50皿e). @明るい. @斬新な. @(Cheer血1). @(Up・to・date). @知的な.   洗練侶ODhistic且tion). たくましさ iRuggednes5). ハイクラスな i擢鵠饗) @(Charm血9). アウトドアな @(Outdo。rsy). @頑強な @(i日〕u帥}. 出所:Aaker(1997, Figure 1). いくつかの文献において指摘されている(青木. 井は,保証機能と差別化機能がもたらす様々な. ほか1999,池尾1997,栗木2002など).保証機. ベネフィットの支払い価値の分析から次のこと. 能は商品に一定の品質が一貫して提供されてい. を明らかにしている.第一に,支払い価値は保. ることを保証する.これにより,消費者はプラ. 証機能に結びつくベネフィットでは思考型製品. ンドへの信束副生を高め,安心して購入すること. の方が,自己表現や自己満足など購入者の心理. ができる.差別化機能は商品を他の類似商品か. に結びつくベネフィットでは感情型製品の方が. ら識別する.これにより消費者は自分の好みに. 高くなる傾向にある.第二に,ベネフィットの. 合った特定のブランドを選択することができる.. 支払い価値は顕示性の高い製品の方が低い製品. 意味づけ機能は商品に意味を付与する.プラン. よりも高い傾向にある.第三に,支払い価値の. ドの意味とは当該ブランドに対する消費者のイ. 水準が複数の製品で共通して高いベネフィット. メージである.これらの機能は従属関係にあり,. は品質・性能の良さに関するもので,共通して. 保証機能と差別化機能は意味づけ機能から生じ. 低いベネフィットは多くの人が持っているとい. ると考えられる.なぜなら,保証機能も差別化. う安心感・信頼感と社会的受容に関するもので. 機能も消費者にそれらと関連するイメージが植. ある.第四に,重要度は高くてもより多く支払. え付けられることで可能となり,そしてそれら. ってもよいとする消費者が半数程度のベネフィ. のイメージは意昧づけ機能の働きにより生じる. ットがある.. からである.例えば,ある消費者がブランドを.  本研究では保証機能と差別化機能の源泉であ. r信頼できる」という評価から購買したのであ. る意味づけ機能に焦点をあて,この機能から生. れば,まず意味づけ機能によってそのイメージ. 成されるブランドのイメージ,すなわちブラン. が生成され,それが保証機能や差別化機能とし. ド・パーソナリティと価格プレミアムとの関係. て働いたのである.もしも「エレガントである」. を分析する.具体的には,ブランド・パーソナ. という評価から購買したのであれば,意味づけ. リティに基づいてブランドの価格プレミアムを. 機能から生成されたそのイメージが差別化機能. 分解し,消費者が支払い価値を認めるプラン. として働いたのである.. ド・パーソナリティを探ることを試みる.ブラ.  保証機能と差別化機能と価格プレミァムの関. ンド・パーソナリティは,様々なイメージの中. 係は白井(2006)によって分析されている.白. でも特に明瞭に形成され,そして永続的に保持.

(3) 価格プレミアムの知覚とプランド・パーソナリティ (白井美由E4三). (367)17. 図表2 図fi 1のファセットの構成要素. フアセツト             形質 堅実な(Down−to・earth). 堅実な(Down−to−eartll),家庭的な(Family−oriented),. 正直な(HOnest). 正直な(Honest),誠実な(Sincere),真正な(Real). 健全な(Wholesome)    {. 健全(Wllolesome),オリジナルな(Original). 1]月るい (Cheerful). 明るい(Cheerful),センチメンタルな(Sentimenta1),. f‡トな(Small.town). lなつっこい(Friendly)” いとしい (Daring). いとしい(Daring),トレンディーな(Trendy),. 快活な(Spirited). 快活な(Spirited),冷静な(Cool),若い(Young). h激的な(Exciting) 想像力に富んだ(lmaginative). 想像力に富んだ(lmaginative),ユニークな(Unique). 斬新な(Up−to−date). 斬新な(Up−to・date),独立した(lndependent),. 煙サ代的な(Contemporary) しっかりした(Reliable). しっかりした(Reliable),勤勉な(Hard working),. タ心な(Secure) 知的な(lntelligent). .知的な(lntelligent),精通した(TeclmicaD,. ?ミ的な(Corporate) 成功した(Successful). 成功した(Successful),リーダー(Leader),. ゥ信に満ちた(Confident) ハイクラスな(Upper class). ハイクラスな(Upper class),華やかな(Glamorous), 嵭ハよし (Good looking). 魅力的な(Charming). 魅力的な(Charming),女性的な(Feminine),. f敵な(Smooth) アウトドァな(Outdoorsy). アウトドアな(Outdoorsy),男性的な(Masculine),. 頑強な(T・ugh). 頑強な(Tough),たくましい(Rugged). Eェスタン (Western) 出所:A・k・・(1997),APP・・ldi・Aの一部を抜枠. される傾向にあるとされる(Aaker 199Z p,348).. がって本研究では複数の製品を対象として分析. したがって,ブランド・パーソナリティに基づ. する.. いてブランドの価格プレミアムの構造を探るこ とは可能と想、われる.重視されるブランド・パ.  以下では,まずブランド・パーソナリティに ついて詳しく説明する.続いて,仮説を提示し,. ーソナリティは製品カテゴリーによって異なる,. 本研究で行った調査の内容と分析結果について. ことが予想される.例えば,ファッション商品 ,のように顕宗性の高い製品カテゴリーでは自己. 説明する.最後に,結果をまとめ,インプリケ ーションについて述べる.. 表現に関連するものが,製品ライフサイクルが 短く,消費者の購買頻度が低いような耐久性製. 2.フランド・パ→ソナリティ. 品では,消費者の製品知識は限られるために信.  プランド・パーソナリティは,ブランドと関. 頼性に関するものが重視されるであろう.した. 連づけられる人問のパーソナリティ特性の集合.

(4) 横浜経営研究 第26巻 第3・4号(2006). 18(368). 図表3 日本人のブランド・パーソナリティの構造. ブランド・パーソナリティ. 因子. マn,セ・vト. 刺激. 能力. 平和. 誠実. 洗練. {Excitement}. (Comneteme). ↓Pp即P右11酪“). 【Sin肥ritv). 〔SODhistication). エレガンス. 話し好き. 責任感. 平穏. 暖かさ. (Talkativeness). (Resp。nsibUity). 伽ildnεss). (Wnr皿th). 自由. 決断力. 素朴. スタイル. (Fエeed。m). (DeterminatiorD. (NaiΨety). (Style). 幸福. 忍耐力. (H叩pines5). (Paロenoe). (E亘明ance). 活気 (Ener卵). 出所:Aaker(2001, EgUi’e 2). と定義される.すなわちブランド’パーソナリ. ただし,多くの研究者は主に,消費者自身や消. ティは,消費者が人間のパーソナリティを表現. 費者の理想,あるいは消費者に関連する特定の. する形容詞を用いてプランドのイメージを表現. 次元を表現するのにプランド・パーソナリティ. したものである.プランドは多くの人々に共通. がどう貢献できるかという点に関心を向けてき. の事項を想起させる固有名であるので(栗木. た.実務家もまた,ブランド・パーソナリティ. 2002),ブランド・パーソナリティの多くは消. をブランドの差別化や消費者による選好や使用. 費者間で共通すると考えられる.陶山・梅本. などの中心的要因と認識し,文化の異なる様々. (2000)によれば,ブランド・パーソナリティ. な市場でのブランドの販売において異文化問共. は,プランドと関連付けられる人々(その企業. 通の特性であるブランド・パーソナリティの有. の従業員や経営者,ブランドの推奨者や使用者. 用性の高さに関心を示してきた(Aaker 1997,. など)のパーソナリティがブランドに直接的に. P、347).マーケティング研究におけるプラン. 転化されることにより,そして製品属性,製品. ド・パーソナリティへの関心は,人間のパーソ. カテゴリー連想,ブランド・ネーム,シンボル. ナリティ構造に関する心理学的研究に基づいて. やロゴ,広告,価格,流通チャネルなどを通し. プランド・パーソナリティの構成次元を理論化. て間接的に結びつけられることにより形成され. し,信頼性が高く一般化した測定尺度を開発し. る.消費者がブランドを人格としてとらえ,そ. たAaker(1997)の研究が牽引車となり高まっ. のパーソナリティを認識することは,ブランド. たと見られる.Aakerの研究は,ブランド・パ. に対する緊張を解消し,現在および将来にわた. ーソナリティが図表1に示されているように階. る信頼関係を築くことを意味するのである.ケ. 層構造になっていることを発見している.ブラ. ラー(2000)は,適切なブランド・パーソナリ. ンド・パーソナリティは5つの因子(factors). ティを有するブランドが,使用者に「私の製品. で構成され,それぞれの因子は複数のファセッ. みたいなもの」というように自分自身との適合. ト(facets)で構成される.さらに,ファセッ. を感じさせ,そのブランドとの関係をいっそう. トは図表2に示されているように複数の形質. 強固にすると説明している.. (traits)で構成される.1}.  プランド・パーソナリティという概念は1980.  続いて行われたAaker et al.(2001)の研究. 年代から認識されており,決して新しくはない.. は日本人のブランド・パーソナリティを分析し.

(5) 価格プレミアムの知覚とプランド・パーソナリティ (白井美由里」. (369)19. 図表4 図fi 3のファセットの構成要素. ファセット                   形質 話し好き(Talkativeness). 話し好きな(Talkativeness),ユーモアがある(Funny), y観的な(Optimistic). 自由(Freedom). 積極的な(Positive), i現代的な(Contemporary),. ゥ由な(Free) 幸福(Happiness). 人なつっこい(Friendly),ほがらかな(Happy),. 、想の良い(Likable). 活気(Energy)    1. 若々しい(Youthful),元気な(EnergeUc),快活な(Spirited)                        」. 責任感 (Responsibility). 一貫した(Consistent),責任感のある(Responsible),. 決断力(Determina60n). 堂々とした(Digni丘ed),意志の強い(Determined),. 忍耐力(Patience). 忍耐強い (Patient),粘り強い (Tenacious),. オっかりした(Reliable). ゥ信に満ちた(Co頭dent) j性的な(Masculine) 平和(Mildness). 内気な(Shy),おっとりした(Mild mannered), C平和な(Peaceful). 素朴(Naivety). ナイーブな(Naive),寂しがり屋な(Dependent), q供っぽい(childlike). 暖かさ(Warmth). 暖かい(Warm),気が利く(ThoughtEul),優iしい(Kind). エレガンス(Elegance). 上品な(Elegant),素敵な(Smooth),. スタイル(Style). おしゃれな,(Stylish),洗練された(Sophisticated),. 鴻}ンティックな(Romantic) o沢な(Extravagant). ている.図表3と図表4に示されているように,. 平和因子は類似性が低く,それらは文化的特性. 日本人のブランド・パーソナリティもまた階層. の強い因子であることが確認されている.. 構造をしている.v Aakerらはさらに,前述の. Aakerらは,日本人のブランド・パーソナリテ. 1997年の研究で発見した誠実,刺激,能力,洗. ィにたくましさ因子が存在しないという結果が,. 練,たくましさの5因子とこの研究で発見した. 東アジアの文化においては自己主張に関連する. 刺激,能力,平和,誠実,洗練の5因子の類似 性を比較している.1997年の研究はアメリカ人. 属性や行動は受容されないことを示唆する研究. のブランド・パーソナリティなので,これはア. を重んずる文化があるとして,平穏因子が存在. メリカ人と日本人のブランド・パーソナリティ. することの妥当性を説明している.. の比較である.その結果,誠実,刺激,能力,. 洗練の4因子に対する両者の知覚空間の類似性. と一致すると説明している.また,日本には和. 3.仮説. が高いことが明らかにされている.相関係数は,.  本研究が対象とするのは高級ブランド,ある. 言成実力て0.63, 束‖6}宜力ぎ0.75, 6PブコカsO.80, i先糸東力書. いは同じ機能をもつ他のブランドに比べ価格が. e.81であり,特に能力と洗練の類似性が高い. また,アメリカ人のたくましさ因子と日本人の. 相対的に高い有名ブランドである.また,本研 究ではこれらのブランドについて,ブランド・.

(6) 20(370). 横浜経営研究 第26巻 第3・4号(2006). パーソナリティに対する支払い価値をできるだ. したがって,次の仮説がたてられる.. け一般的な水準で分析することを目的としてい. 仮説ll思考型製品では能力と関連するブラ. るので,特定のブランドではなくサブ・カテゴ.  ンド・パーソナリティの支払い価値が,感情. リーを対象とする.例えば,ファッションのカ. 型製品では外見や革新性と関連するブラン. テゴリーであれば,エルメスやシャネルといっ.  ド・パーソナリティの支払い価値が高くなる.. た個別ブランドではなく,高級ファッションの ブランドというサブ・カテゴリーを対象とする.  顕示的かどうか,あるいは人目につくかどう. のである.さらに本研究では,様々な製品カテ. かという次元もまた,製品の分類基準として有. ゴリー間での評価の違いを探るために,性質の. 用である.顕示性が消費者の購買意思決定に影. 異なる製品カテゴリーを複数分析する.ここで. 響を与えることはいくつかの研究において示さ. 着目した製品分類の次元は思考型一感情型と高. れている.Bradley(ユ995)は,10代の若者が. 顕示型一低顕示型の2つである.. ブランドを重視する製品は,下着,シャンプー,.  思考型一感情型という次元は,Vaughn. 文房具などの顕示性の低い製品よりもスニーカ. (1980)のFCBグリッド・モデルを参考にして. ーラジオ,CDプレーヤーなどの顕示性の高. いる.このモデルは消費者の購買意思決定過程. い製品であることを示している.Childers and. を思考型と感情型に分類している.Vaughnは,. Rao(1992)は,ゴルフクラブ,腕時計,自動. 人間の左脳は認知的で思考的な機能を,右脳は. 車,服,スキーなどの顕示性の高い製品は,冷. 感情的な機能を持っていることから,人間の反. 蔵庫,毛布,ビデオゲームなどの顕示性の低い. 応を思考的か感情的かという次元で識別するこ. 製品よりも年齢や地位が近い準拠集団の影響を. とができるとしている.Vaughnはもう一一つの. 受けやすく,友人や同僚の評価を気にする傾向. 次元として製品関与(高関与型vs.低関与型). にあることを指摘している.田申(1997)は,. を対象としているが,本研究で対象とする高級. ブランドの機能の一つとして顧客アイデンティ. ブランドや価格が相対的に高い有名プランドは. ティ形成機能を挙げ,優れたブランドには使用. 消費者の製品関与が相対的に高いと考えられる. 者・所有者に対して「そのブランドを持ってい. ので,ここでは閤与が高い場合のついてのみ説. るので,このような人間性を持っている」とい. 明する.思考型で高閲与の製品の購買意思決定. うようなアイデンティティを付与できる機能が. では,製品の客観的評価が最初に行われるので,. あるとし,特にファッションのように顕示性の. 機能に関する情報やイメージが重要となる.反. 高い製品において,このような機能が重要とな. 対に,感情型で高関与の製品の購買意思決定で. ることを説明している.ショア(2000)は,消. は製品に対する感情が最初に生起されるので,. 費者が顕示性の低い製品よりも顕示性の高い製. 機能的な情報よりも自尊心と関わる好みやイメ. 晶において高価で上位に位置するプランドを選. ージが重要となる.つまり,思考型製品と感情. 択する傾向にあることを発見している.以上の. 型製品では,重視される情報やイメージが異な. ことから,製品の顕示性とプランド選択には関. るのである.消費者が重視するブランド・パー. 係があり,ブランドのイメージは顕示性の高い. ソナリティもまた,これらの製品間で異なるこ. 方が重視されることが示唆される.tそこで,ブ. とになる.恩考型製品では責任感や決断力など. ランド・パーソナリティの支払い価値もまた,. の能力と関連するブランド・パーソナリティに. 顕示性の影響を受けることが予想され,次の仮. より高い価値を置くのに対し,感情型製品では. 説がたてられる.ここでは,顕示性の水準によ. デザインや革新性と関連するプランド・パー一ソ. って支払い価値の高いブランド・パーソナリテ. ナリティに高い価値を置くことが予想される.. ィのタイプが異なるということではなく,支払.

(7) 価格プレミアムの知覚とプランド・パーソナリティ(白井美由里). 価値の程度が異なるということを予想している..  仮説2:ブランド・パーソナリティの支払い  価値は,顕示性の低い製品よりも高い製品の  方が高くなる.. (371)21. および権威(OLのみ)の5因子を発見してい る.この内,エレガンスは上述の12のブラン ド・パーソナリティに含まれているので除外し,. 信頼と権威の形質が一部重複しているので,こ. 4.調査 4.1 ブランド・パーソナリティの選択.  ブランド・パーソナリティは,2節で説明し. れらを「信頼・権威」として一つにまとめた. その結果,追加されるブランド・パーソナリテ. ィは,豪華さ,オリジナル,信頼・権威の3つ に絞られた.豪華さの形質は豪華な,贅沢な,. たAaker et al.(2001)の分析結果に基づいて. および特別な,であり,オリジナルの形質はオ. 選択する.既に見たように,日本人のブラン. リ’ジナルな,個性的な,しゃれた,であり,信. ド・パーソナリティは5因子で構成され,それ. 頼・権威の形質は信頼できる,権威がある,で. ぞれの因子が複数のファセットで構成され,そ. ある.したがって,調査に用いるブランド・パ. れぞれのファセットが複数の形質で構成される. ーソナリティは全部で15種類である.. というように,階層構造になっている.本研究 では,粗すぎず,かつ細かすぎないレベルのブ. 4.2 製品カテゴリーの選択. ランド・パーソナリティを用いるという観点か.  本研究で対象とする製品カテゴリーの選択基. ら,ファセット・レベルでのプラン,ド・パーソ. 準は,高級あるいは有名ブランドが市場の中心. ナリティを用いることにする.したがって,話. となっているカテゴリーで,消費者の購買関与. 好き,自由,幸福,活気,責任感,決断力,忍. が高いカテゴリーであることである.また,購i. 耐力,平穏,素朴,暖かさ,エレガンス,スタ. 入者が男性と女性の両方であることも考慮した.. イルという12のブランド・パーソナリティが分. 既に説明したように本研究では,思考型一感情. 析対象となる.ただし,被験者にプランド・パ. 型と高顕示型一低顕示型の2次元で分類される. ーソナリティを提示するときには,より正確な. 「感情&高顕示型製品」,「思考&高顕示型製品⊥. 理解を促すために形質も同時に提示する.例え. 「感情&低顕示型製晶」,「思考&低顕示型製品」. ば,「スタイル」というプランド・パーソナリ. の4つの製品タイプを分析対象とするので,そ. ティについて質問をする場合には「おしゃれな,. れぞれのタイプについて典型的な製品カテゴリ. 洗練された,賛沢な,などのスタイルに関連す. ーを一つずつ選択した.Vaughn(1980)は思. る個性」という表現を用い,おしゃれな,洗練. 考型と感情型の典型的な製品カテゴリーを挙げ. された,贅沢な,という3つの形質を,それら. ており,Ratchford(工987)は254製品をこの次. が属するスタイルというファセットとr緒に示. 元に基づいて実際に分類している.これらの研. すのである.また,Aaker et al.(2001)で採. 究を参考にしながら,感情&高顕示型製品カテ. 用された「話好き」という名称は,その形質か. ゴリーには高級ファッションのブランドを,思. ら判断してより妥当な表現と思われる「社交性」. 考&高顕示型製品カテゴリーには高級自動車の. という名称に変更する.. ブランドを,感情&低顕示型製品カテゴリーに.  さらに,.本研究では上述の12種類のプラン. は有名な香水のブランドを,そして,思考&低. ド’パーソナリティの他に,3つのイメージを. 顕示型製品カテゴリーには有名なテレビのブラ. ブランド・パーソナリティとして加えることに. ンドを選択した.. した.小島(1986)は,主婦とOLを対象とし.  続いて,この選択の妥当性を確認するために. た29個の高級品のイメージ調査から,豪華さ,. 大学生123名を対象としてプリテストを行なっ. エレガンス,オリジナル,信頼(主婦のみ),. た.具体的には自動車,ファッション商品,香.

(8) 22(372). 横浜経営研究 第26巻 第3・4号(2006). 水,テレビそれぞれの購買意思決定について性. ンド・パーソナリティが存在する可能性もある. 能・品質を重視する程度,自分の感覚に依存す. と考え,そのことを調べるために重要度も測定. る程度,購入商品を話題にしたり見せたりした. することにした.続いて,4つの製品カテゴリ. いと思う程度を「1=非常にそう思う」から. ー別に消費者の知覚する商品価値に関する質問. 「7=まったくそう思わない」までの7段階尺. を行った.最後に,被験者のブランド志向に関. 度で測定した.消費者の製品解釈は,性能・品. する質問を行った.. 質の重視度が高けれぱ思考型であることを,感.  調査には315名が参加した.この内,入力内. 覚への依存度が高ければ感情型であることを,. 容に不備のあった41名を除いた274名の回答を. 話題にしたり見せたりしたいという意向が高け. データ分析に用いた.被験者の内訳は,性別で. れば高顕示型であることを示している.測定の. は男性112名,女性162名,年齢構成別では20代. 結果,性能・品質の重視度の平均値は自動車が. 92名,30代102名,40代62名,50代15名,60代. 1.8,ファッション商品が4.2,香水は4.5,テレ. 3名,未既婚別では未婚167名,既婚107名,そ. ビが1.8(F=185.9,p<.OOO1),感覚への依存. して,職業構成別では会社員105名,専業主婦. 度の平均値は自動車が4.2,ファッション商品. 64名,パート・アルバイト28名,学生23名,自. が1.4,香水が1.8,テレビが4.7(F=194.6、 P<. 営業18名,公務員9名,教職4名,弁護士・医. .oeOl),話題にしたり見せたりしたいという意. 師・会計士などの専門職3名,その他20名であ. 向の平均値は自動車が1.7,ファッション商品. る.. が2.8,香水が4.2,テレビが4.9(F=66.0,p<. 高く,ファッション商品は感情型で顕示性が高. 4.4変数の測定  この調査で測定した変数は,ブランド・パー. く,香水は感情型で顕示性が低く,テレビは思. ソナリティの支払い価値と重要度,各製品カテ. .0001)となった.自動車は思考型で顕示性が. 考型で顕示性が低い傾向にある.したがって,. ゴリーに対するバリュー・フォー・マネーの知. これらの製品選択は妥当と判断できる.. 覚,およびブランド志向性である.支払い価値. 4.3 調査の手順とサンプル. するためにカテゴリー尺度を用いた.また,製.  調査はインターネット上で実施した.調査の. 品による価格帯の違いの影響を回避するために. 実施はライフメディア社に依頼Lた.調査の手. 実際の金額ではなく,販売価格をベースとする. 川頁は次の通りである.最初に,調査の目的とブ. 割合で測定することにした.まず,各ブラン. の測定では,被験者が回答に要する負担を軽減. ランドをパーソナリティで表現することについ. ド・パーソナリティについて,「このような個. て説明した.次に,15種類のブランド・パーソ. 性を持っているとした場合,持っていない場合. ナリティそれぞれについて,4つの製品カテゴ リー別に,その支払い価値と重要度に関する質. に比べてより多くのお金を支払っても良いと思. 問を繰り返し行った.15種類のプランド・パー. 製晶カテゴリー別に「思わない」,「販売価格が. ソナリティは,予めランダムに決定した順序で. 1∼2割高くても良い」,「3∼5割高くても良. 提示した.重要性と支払い価値の回答値の間に は,そのブランド・パーソナリティが重要であ. い」,「6∼8割高くても良い⊥「2倍ぐらい高 くても良いj,「3∼5倍高くても良い」,「6∼. るほど支払い価値も高くなるというように正の. 8倍高くても良い」,「10倍ぐらい高くても良い」,. 相関関係が予想される.しかし,重要ではある. 「10倍以上高くても良い」の9種類の選択肢の. けれどもより多く支払うほどではないというよ. 中から一つを選択してもらった.分析ではこの. うな,必ずしも正の相関関係にはならないプラ. 回答値を「より多く支払う」と「より多く支払. いますか?」という質問を提示し,4タイプの.

(9) 価格プレミアムの知覚とプランド・パーソナリティ(白井美由里). (373)23. 図表5 より多く支払う被験者の比率. 感情&高顕示型. tァッション. 思考&高顕示型. 思考&低顕示型. 感情&低顕示型. @ 自動車. @ テレビ. @  香水. エレガンス. 80.7%. 70.4%. 39,896. 63.5%. 責任感. 67.9%. 839%. 64.2%. 4ao%. 活気. 438%  1 41鍋. 30,796. 32.9%. 素朴. 157%       α9%. 暖かさ. 4且2%. 46.4%. 34.7%. 30,396. スタイル. 87.2%. 8L4%. 57,796. 66ユ96. 決断力. 55.5%. 68.6%. 47.8%. 33296. 幸福. 26,396. 23.4%. 2α4%. 24596. 平穏. 17.2%. 16.4%. 15.3%. 15,796. 忍耐力. ユ9.7%. 42,096. 24896. 13.1%. 社交性. 25.2%. 21596. 21.9%. 23,796. 自由. 5Z2% 1 529% 7a1% 1 745%. 45696 1 34796 55.8%. 620%. 豪華さ. 7a596            799%. 5τ6%. 6a1%. 信頼・権威. 72.3%            825%. 69.7%. 46,796. 独創性. わない」の2値に単純化したものを使用する..  ブランド・パーソナリティの重要度は,15種 類のブランド・パーソナリティそれぞれについ. 9ユ96              15ピ096. われますか?jという質問を提示し,ファッシ ョン,自動車,テレビ,および香水の4製品カ. て,「このような個性をイメージとして持って. テゴリー別にf1=まったくそう思わない」か ら「7=非常にそう思う」までの7段階尺度で. いることは重要だと思いますか?」という質問. 回答を求めた.この質問では,高級,あるいは. を提示し,4タイプの製品カテゴリー別に. 有名という表現を製品カテゴリーの名称から外. 「1=まったくそう思わない」から「7=非常. している.そして,1∼3を選択した被験者を 非ブランド志向者,5∼7を選択した被験者を ブランド志向者とした.     「. にそう思う」までの7段階尺度で回答を求めた.  バリュー・フォー・マネーの知覚は,「それ ぞれの製品について,その金額に見合うだけの. 5.分析結果. 価値があるのか疑問に思うことがよくあります. か?」という質問を提示し,4タイプの製品カ. 5.1 仮説の検証. テゴリー別に「どのブランドに対しても,よく.  仮説検証ではプランド・パーソナリティの支. ある」,「どのプランドに対しても,たまにある」,. 払い価値を分析するが,・重要度についても合わ. 「一部のブ.ランドについてのみ,よくある」,. せて分析する.支払い価値については,支払い. 「一部のブランドについてのみ,たまにある」,. 価値の有無と購買意思決定タイプで作成される. および「まったくない」の5種類の選択肢の中. クロス表に対するx珊定を各ブランド・パー. から一つを選択してもらった.ブランド志向性 は,「実際にそれぞれの製品を購入すると仮定. ソナリティについて行う.重要度については, 購買意思決定のタイプ(思考型vs.感情型)と. したときに,あなたはブランドを重視すると思. 製品の顕示性(高低)の2要因,およびそれら.

(10) 24 (374). 横浜経営研究 第26巻 第3・4号(2006). 図表6 重要度. 感情&高顕示型. tァッション. 思考&高顕示型. 思考&低顕示型. 感情&低顕示型. @ 自動車 509. @ テレビ. @ 香水. エレガンス. 6.03. 責任感. 540  1 a19. 活気 暖かさ. 426 251 457. 457. 4.06. スタイル. a50  1 丘16. 4.98. 決断力. 523        572. 4.76. 424 576 424. 幸福. 353        336. 346. 3.69. 平穏. 298  1 296. 2.92. 3ユ5. 忍耐力. 3.38        443. 361. 3」3. 社交性. 3.62. 340. 3.49. 自由. 504 a13. 5ユ1. 363 490. 素朴. 3.69. 5.57. 5.5ユ. 430. 4ユ9. 3.88. 4ユ0. 2.0ユ. 2.09. 2.84. 582. 5.17. 457 564. 豪華さ. a31  1 a28. 515. 丘63. 信頼・権威. 5.84       a43. 昼87. 508. 独創性. の交互作用を独立変数,各ブランド・パーソナ. プで支払い価値は低く,豪華さは両方のタイプ. リティの重要度を従属変数とする分散分析を行. で支払い価値は高いのである.以上の結果は,. なう.図表5と図表6は,それぞれのパーソナ. 仮説1と部分的に一致する.. リティについて計算したより多く支払うと回答.  続いて重要度についても分析する.分散分析. した被験者の比率と重要度の平均値を示してい. の結果,購買意思決定タイプの主効果はエレガ. る..  まず,仮説1を検証する.支払い価値に対し. ンス  (F= 263.5,p < .OOOI), 責f壬!惑 (F=. 128.8,p<.0001),素朴さ(F=49.1,p<」〕001),. てはκ2検定の結果,エレガンス(X:’=34,1,p. スタイル(F=48.1,P<.0001),決断力(F=. <.eOO1),責任感(X2=35.7, P<.OOO1),素. 26.2、p< 」0001), 等…福  (F= 3.7, p = .{〕5), 忍. 朴さ(κ2ニ8.6, p<.01),スタイル(X2=7.1,. 耐力くF=59.0,P<.0001),自由(F=4.3,P. p<.(〕1), idl断戊j (X2=21.lt p<.0001), 忍耐. <、05),独創’「生(F=20、8,p’く.OOOI),豪華iさ. 力(疋2=42.2.P<.0001),自由(X2ニ3.8,P. (Fニ8.4,p<.01),信頼・権威(、Fニ57.6, p<. <ユ),独創性(X2=30, P<.1),信頼・権威. .0001)で有意となった.この内,エレガンス,. (X2=34.6, p<.0001)で有意差が見られた.. 素朴さ,スタイル,幸福,独創性,豪華さの重. この内,エレガンス,素朴さ,スタイル,独創. 要度は感情型製品の方が,責任感,決断力,忍. 性の支払い価値は感情型製品の方が,責任感,. 耐力,自由,信頼・権威の重要度は思考型製品. 決断力,忍耐力,自由,信頼・権威の支払い価. の方が高い.ただし,幸福や自由への影響は相. 値は思考型製品の方が高い.ただし,独創性と. 対的に小さい.. 信頼・権威への影響は相対的に小さい.幸福と.  次に仮説2を検定する.支払い価値について. 豪華さは重要度では有意差が見られたが,支払. は,エレガンス(克2=67.0,pく.OOOユ),茸任. い価値では見られていない.幸福は両方のタイ. 感  (芹2=52.5,p<、0001), 浬}気  (X2= 14、1, p.

(11) 価格プレミアムの知覚とプランド・パーソナリティ(白井美由里). (375)25. 図表7 購買意思決定のタイプと顕示性の交互作用 エレガンス 7 6 5. 一←高顕示型. 4. +低顕示型. 3. 2 1. 思考型. 感情型. 責任感 7 6 5. +高顕示型. 4. 一』一低顕示型. 3 2 1. 思考型. 感惰型. スタイル 7 6. 5. ・→一高顕示型. 4. →書一低顕示型. 3. 2 1. 思考型. <£OOI),暖1かさ(xL’=2S.b. p<.0001),スタ. 感情型. 示型製品の方が低顕示型製品よりも高くなって. イル(xL’=:70.2,P<.0001),決断力(xL)=. いる.素朴さは重要度では有意差が見られたが,. 50・9,P<一(〕001), 忍而t戊J (λ「2=20.6, P<.0001),. 支払い価値は顕示性に関係なく低い.これらの. 自由(X2=17、O,P<.0001),独創性(X2=. 結果は,幸福,平穏,社交性,素朴さを除く11. 37・6, p “〈 .OOOI),豪華さ(X2=45.9, p<.OOOI),. のパーソナリティについては仮説2と一一致して. 信頼・権威(X2=46、1, Pく.OOOI)に有意差が. いることを示しており,仮説2を部分的に支持. 見られた.これらのパーソナリティは全て高顕. している..

(12) 横浜経営研究 第26巻 第3・4号(2006). 26(376). 図表7 購買意思決定のタイプと顕示性の交互作用(続き) 忍耐力 7 6 5. +高顕示型 +低顕示型. 4 3 2 1. 感情型. 思考型. 豪華さ 7 6. 5. +高顕示型 +低顕示型. 4 3. 2 1. 思考型. 感情型.  続いて重要度についても分析する.分散分析. うにエレガンス(F=29.1, p<.OOOI),責任感. の結果,顕示性の主効果はエレガンス(F=. (F=5.6,p<.{〕5),スタイル(F=7.4,pく.(〕1),. 114.1,pく.OOO1),責任感(F=103, p<.0001),. 忍耐力(F=5.0,p<.05),豪華さ(F=6.8, p. 活気(F=6.5,P= .Ol),素朴さ(F=5.0, P<. く.01)である.エレガンスは感情&高顕示型. .05),1暖かさ(F==16.6,pく.0001),スタイル. 製品で最も重視され,思考&低顕示型製品で最. (F=140.9,P<£OOO1),決断力(F=97.1, pく. も軽視されている.責任感と忍耐力は思考&高. .OOO1),忍耐力(F=30.5, pく.OOOI),自由. 顕示型製品で最も重視され,感情&低顕示型製. (F= 11.7,P<.OOI),独創’}生 (F=43、4, P<. 品で最も軽視されている.スタイルと豪華さは. 即01),豪華さ(F=109.2,p<.OOOI),信頼・. 意思決定タイプに関係なく高顕示型製品で重視. 権威(Fニ53.4,p<.0001)で有意となった.. され,思考&低顕示型製品で最も軽視されてい. 素朴さ以外は全て高顕示型製品の方が低顕示型. る.支払い価値については4製品カテゴリー×. 製品よりも高くなっている.ただし,顕示性が’. 2(より多く支払うかどうか)のクロス表のxL). 素朴さに与える影響は相対的に小さい.. 検定を行った.その結果,有意差が見られたの.  最後に,重要度に対する購買意思決定のタイ. は,エレガンス(X2=107.1, p<.OOOI),責任. プと顕示性の交互作用について説明する.有意. 感(克2 = 88.3,p<.OOO1),活気(Z2=14.6, p. となった交互作用は,図表7に示されているよ. く.01),素ホトさ (Z2=8.7, p<.05),暖かさ.

(13) 価格プレミァムの知覚とプランド・パーソナリティ(白井美由里). (377)27. 図表8 スタイルと豪華さの支払い価値.  50  40  30 %.  20  10. 嘉.  50  40  30 %.  20  10. (X2=26.3, P<.OOOI),スタイル(X2=77.5,. 52 重要度と支払い価値の高いブランド・パ. p<.OOOI),決断力e(X2=72.O, p<.OOOI),自.   ーソナリティ. 由(X2=23.6, Pく.OOOI),独創性(X2=40.8..  それでは,重要度と支払い価値の高いプラン. pく.0001),豪華さ(X2 = 48.0, p<.OOO1),信. ド・パーソナリティに焦点を当てよう.より多. 頼・権威(X2 ・= 85.8, p<即01)である.忍耐. く支払ってもよいとする被験者が多いブラン. 力は重要度では有意差が見られたが,支払い価 値では見られていない.図表6からも分かるよ. ド・パーソナリティ(比率75%以上)は,ファ. s. ッションではエレガンス,スタイル,独創性,. っに,エレガンス,スタイル,活気,独創性は. 豪華さ,自動車では責任感,スタイル,豪華さ,. 感情&高顕示型製品で最も高く,思考&低顕示. 信頼・権威である.テレビと香水には該当する. 型製品で最も低くなっている.. ものはない.4製品カテゴリーに共通して支払 価値の高いパーソナリティはないが,4製品力.

(14) 28(378). 横浜経営研究 第26巻 第3・4号(2006). テゴリーに共通して支払価値の低いパーソナリ. り多く支払ってもよいとする被験者が非常に多. ティは活気,素朴,暖かさ,幸福,平穏,忍耐. い(比率が75%以上)パーソナリティは,ファ. 力,および社交性である.図表8はファッショ. ッションではエレガンス,責任感,スタイル,. ンと自動車の両方で支払い価値がかなり高いス. 独創性,豪華さ,信頼・権威,自動車ではエレ. タイルと豪華さの自発的支払い水準を示したも. ガンス,責任感,スタイル,独創性,豪華さ,. のである.この表から支払い水準は,1割∼5 割高に集中している.支払い価値の高い他のパ. 信頼・権威,テレビでは責任感,スタイル,信 頼・権威,そして香水ではエレガンス,スタイ. ーソナリティもまた,同様の分布型をしている.. ル,独創性,豪華さである.スタイルが4製品.  重要度が高いパーソナリティの平均値が6以. カテゴリーに,エレガンス,責任感,独創性,. 上と重要度の非常に高いものは,ファッション. 豪華さ,および信頼・権威の有意差が3製品で. ではエレガンス,スタイル,独創性,豪華さで,. 見られることから,これらのパーソナリティは. 自動車では責任感,スタイル,豪華さ,信頼・. プランド志向の消費者が支払い価値を認めるも. 権威である.4製品カテゴリーに共通して重要. のであると言えよう.. 度の高いパーソナリティは,独創性,豪華さ,.  重要度については,亡検定で統計的に有意差. および信頼・権威であり,4製品カテゴリーに. が認められ,かつブランド志向者がかなり重要. 共通して重要度の低いパーソナリティは,活気,. であるとする(平均値が6以上)パーソナリテ. 素朴,暖かさ,幸福,平穏,忍耐力,および社. ィは,ファッションではエレガンス,スタイル,. 交性である.. 信頼・権威,自動車では責任感,スタイル,豪.  最後に,重要度は高いのにより多く支払う価. 華さ,テレビでは信頼・権威,香水ではスタイ. 値はそれほど高くないブランド・パーソナリテ. ル;独創性,豪華さである.スタイルの有意差. ィが存在することを指摘しておきたい.ファッ. が3製品で見られることから,スタイルは特に,. ションでは自由と決断力,自動車では自由,テ. プランド志向の消費者が重視するものであると. レビでは独創性と豪華さ,香水では信頼・権威. 言える.. である.この結果は,消費者のブランドに対す.  次に,バリュー・フt−・マネーの知覚につ. る知覚価値は,重要度だけでなく支払い価値と. いて説明する.ブランドにその金額に見合うだ. いう点からも分析した方が,消費者のブランド. けの価値があるのだろうかといった疑問が,ど. 評価についてより詳細な理解ができることを示. のブランドに対してもよく生じる,あるいはた. 唆している.. まに生じると回答した被験者の割合は,高級フ. 5.3 その他の結果. のブランドでは55.5%,有名テレビのブランド.  ブランド・パーソナリティの評価をブランド. では52.2%,有名な香水のブランドでは55.1%. 志向者と非ブランド志向者で比較してみよう.. を占めている.一部のブランドに対してよく生. ブランド志向の被験者の比率はファッションで. じる,あるいはたまに生じると回答した被験者. ァッションのブランドでは67.9%,高級自動車. は55.5%,自動車では72.6%,テレビでは43.4%,. の割合は,高級ファッションのプランドでは. 香水では38.7%を占め,特に自動車においてプ. 30.7%,高級自動車のブランドでは37.2%,有. ランド志向者が多い.分析の結果は,重要度も. 名テレビのブランドでは38.0%,有名な香水の. 支払い価値も全てのパーソナリティにおいて,. ブランドでは32.5%を占めている.反対にその. 非ブランド志向者よりもブランド志向者の方が. ような疑問を全くもたない被験者の割合は,高. 高いことを示している.支払い価値については,. 級ファッションのブランドでは1.5%,高級自. x2検定で統計的に有意差が認められ,かつよ. 動車のブランドでは7.3%,有名テレビのブラ.

(15) 価格プレミアムの知覚とブランド・パーソナリティ(白井美由里). (379)29. ンドでは10.0%,有名な香水のブランドでは. 費者に比べてブランド・パーソナリティをより. 12.4%である.価格に見合った価値については. 重視する傾向がある.特にスタイルはブランド. 全体的に懐疑的である傾向が見られる.特に,. 志向者が重要,かつより多く支払う価値がある. 高級ファッションのブランドにおいてその傾向. とするブランド・パーソナリティである.また,. エレガンス,責任感,独創性,豪華さ,および. が強い.. 6.終わりに. 信頼・権威はブランド志向者がより多く支払う. 価値があるとするものである.第五に,重要度.  本研究では,消費者が高級ブランドに対する. は高くても支払い価値はそれほど高くないパー. 価格受容性の構造を解明することを試みた.具. ソナリティがある.ファッションでは自由と決. 体的にはブランドを分解することで,ブランド. 断力,自動車では自由,テレビでは独創性と豪. のどの部分が消費者にとって重要であり,そし. 華さ,香水では信頼・権威である.したがって,. てより多く支払う価値のあるものなのかを分析. 消費者のブランド価値の測定にはそれらを分け. した.ブランドを分解する方法は多数あるが,. て分析した方がより詳細な理解ができると言え. 本研究では近年注目を浴びているブランド・パ. る.最後に,消費者は高級ブランドに対して高. ーソナリティに着目し,15種〔類のブランド・パ. いだけの価値があるかという点について懐疑的. ーソナリティについて消費者の知覚する重要度. になる傾向が見られる.メーカーはそのような. と支払い価値を測定した.また,感情型一思考. ネガティブな印象が強くならないよう,十分に. 型と高顕示性一低顕示性の2軸で分類される,. 価値を伝える工夫する必要がある.その意味で,. 思考&高顕示型製品,感情&高顕示型製品,思. 機能的なベネフィットという製品の基本的価値. 考&低顕示型製品,および感情&低顕示型製品. における差別化はやはり重要となるであろう.. という4つの製品カテゴリーから代表的な製品.  これらの結果は,ブランド・パーソナリティ. カテゴリーを一つずつ選び,それらの製品間の. というイメージの重要性を再確認するものであ. 違いも分析した.. tl ,企業が消費者に対して行うコミュニケーシ.  分析の結果,次のこと’が明らかになった.第. ョン活動においてブランド・パーソナリティを. 一に,ブランド・パーソナリティの重要度と支. 考慮に入れることの有効性を示唆するものであ. 払い価値は,思考型製品で高くなるものと感情. る.適切なブランド・パーソナリティを強調す. 型製品で高くなるものがある.思考型製品では. ることにより,ブランドの価格受容性を高める. 賞任感,決断力,忍耐力,自由,信頼・権威な. ことが可能と考えられる.ただし,ブランド・. ど製品の内面的評価に詰びつくものが,感情型. パーソナリティには様々な製品に共通するもの. 製品ではエレガンス,素朴さ,スタイル,独創. もあれば,製品固有のものもあるので,製品の. 性など製品の外面的評価に結びつくものが高く. タイプによる使い分けは必要である.今後の研. なる.第二に,ブランド・パーソナリティの重. 究としては,同様の分析を同じカテゴリーに属. 要度と支払い価値は顕示性の高い製品の方が低. する個別のブランドに対して行い,本研究で得. い製品よりも高くなる.第三に,ブランド・パ. られた結果がブランド問で共通するものかどう. ーソナリティには重要度や支払い価値が高くな. かを確認することが挙げられよう.本研究は高. いものがある.それらは活気,素朴,暖かさ,. 級ブランド,あるいは価格が相対的に高い有名. 幸福,平穏,忍耐力,社交性である.これらの. ブランドというサブ・カテゴリーを対象として. パーソナリティがどのような価値をプランドに. 行われた.高級ブランドというカテゴiJ ・一に属. 提供しているかについては更なる分析が必要で. していても個々のブランドには固有の特徴があ. ある.第四に,ブランド志向者はそうでない消. る.一般に,高級ブランドではそれぞれのブラ.

(16) 横浜経営研究 第26巻 第3・4号(2006). 30(380). ンドの個性はかなり強いと思われる.したがっ.   of Youth,”Brandweelf,36(7), February 13,. て,適切なブランド管理のためにも,このよう.   P.32,. な分析は重要と思われる.また,もう一つの重 要な研究課題として,ブランド・パーソナリテ ィ以外のブランドの特徴を対象とした同様の分. Childers, Terry L. and Akshay R, Rao(1992),.   “The Influence of Familial and Peer−Based   Reference Groups on Consumer Decisions.”   ノounコat of Consumer」?esearch.19 (2). 198−   21],. 析が挙げられる.ブランド・パーソナリティだ. 池尾恭一(1997),「消費社会の変化とプランド戦略」. けでは,消費者が高級ブランドに見いたしてい.   『最新ブランド・マネジメント体系』,第2章,. る価値を十分に解明できないことは,本研究で 得られた結果からも明らかである. 注. 1)図1と図2にある訳語は定訳ではない. 2)図表3と図表4にある日本語の表現はAaker・et  aL(2001)が実際に用いたものである..   日経広告研究所. 片平秀貴(1999),『新版 パワー・プランドの本質」   ダイヤモンド社. ケビン・レーン・ケラー(200由『戦略的ブランド・.   マネジメント』東急工一ジェンシー(恩蔵直   人・亀井明宏訳). 小島外弘(1986)『価格の心理』ダイヤモンド社.. 栗木契(2002),「ブランドカとは何か ∼プラン   ド・マネジメントのデザインのために∼」『マー   ケティング・ジャーナル』,22(4),12・27. ’Ratchford, R T.(1987),“New Insights abeut the.         参考文献 Aaker. David A.(1996), Building Strong Brands,.   Free Press:New York、 NY. Aaker, Jennifer L.(1997),‘‘Dimensions of Brand   Personality’,, Journal ofハ4a」rlfe tingL Research,34.   FCB Grid,”Jou.rnヨ10f A dvertising Research,27   (4) 24−38.. ジュリエット・B・ショア(2000)『浪費するアメリ   カ人』岩波書:店(森岡孝二監訳).. 白井美由里(2006)「消費者の価格プレミアムの知覚.   (August),347・356..   の分析」『消費者行動研究」,12(1&2)(校正中).. Aaker, Jennifer L., Veronica Benet−Martinez, and.   Jordi Garolera(2001),‘℃onsumption Symbo!s. 田申洋(1997)「ブランド志向のマーケティング管理   概念序説」『城西大学経済経営紀要』,15(1),.   as CarrierS of Culture:AStudy of Japanese and.   71・85..   492−508.. 陶山計介・梅本春夫(2000)『日本型ブランド優位戦   略 一「神話」から「アイデンティティ」へ一』   ダイヤモンド社.. 青木・電通プランドプロジェクトチーム(1999),   『プランド・ビルディングの時代 一事例に学ぷ.   APIanning ModeL”∫ournal of Advertising・.   Spanish Brand Personality Constructs,”」’ournal   of Personality alコd Social Psychology,81 (3) ,.   プランド構築の知恵』電逓. Bradley, Sam(1995),“Prospecting for the Fortune. Vaughn. Richard(1980),‘cHow Advertising Works:   Research,20 (5), 27−33..             | 〔しらい みゆ1). 横浜国立大学大学院国際社会科学研究科助教授〕.        〔2005年11月10日受理〕.

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