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〈論説〉フランスにおける動産質(3・完)

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Academic year: 2021

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(1)法科大学院論集. フ ラ ンス に お け る動 産 質(3・. 下 目. 村. 第9号. 完). 信. 江. 次. 一. は じあ に. ニ. フ ラ ンス に お け る質. 三. フ ラ ンス に お け る動 産 質 1⊥. 概. 要. 9乙. 要件(以 上,創 刊号). 90. 動産質権 の効力. 4. 動産質権者及 び設定者 の義務 戻﹂. 動産質権 の消滅. 食U. 四. 動産質 の特徴及 び問題点 フ ラ ンス担 保 法 改 正 に お け る動 産 質 の処 遇. 1フ. ラ ンス民 法 典 改 正 の動 向. 2フ. ラ ンス担 保 法 改 正 準 備 草 案 に お け る動 産 質(以 上,3号). 32006年. フ ラ ンス担 保 法 改 正 に よ る質 権 規 定 に 関 す る改 正 内容 の概. 要 五. お わ りに. 99.

(2) フ ラ ンス に お け る動 産 質(3・. (四. 完). フラ ンス担保 法改 正 にお ける動 産質 の処 遇. 32006年. フ ラ ンス担 保 法 改 正 に よ る質 権 規 定 に 関 す る改 正 内容 の概 要. 02006年. フ ラ ンス担 保 法 改 正 に よ る民 法 典 の改 正. 2006年3月23日. の オ ル ドナ ン ス2006-346号. され た(1>。フ ラ ンス民 法 典 第3編 規 定 が,従 編. 承 前). 来 の ま ま,あ. に よ り,フ. ラ ンス の担 保 法 が改 正. に規 定 され て い た保 証 及 び 物 的 担 保 に関 す る. る い は,改. 正 さ れ,さ. ら に 新 た な 規 定 を 加 え て,第4. 「担 保 」 編 と さ れ た の で あ る。. (⇒ 質 権 規 定 の概 要 2006年 2章. に. 一6条)(2). フ ラ ン ス 担 保 法 改 正 後,第4編. 。 そ し て,第2節. が 規 定 さ れ た(2329∼2376. 「有 体 動 産 の 質 権(Dugagedemeublescorporels)」 「無 体 動 産 の 質 権(Dunantissementdemeublesincor一. porels)」(2355∼2366条)が. 規 定 さ れ る こ と に な っ た(3)。改 正 前 は,「 質 権(Du. フ ラ ンス担 保 法 改 正 につ い て は,山 野 目章 夫=平. 法 改 正 の 概 要 」 ジ ュ リ1335号32頁 以 下(2007年),山 ンス(担. が 「物 的 担 保 」 と さ れ,第2一. 「動 産 担 保(DessOret6ssurlesmeubles)」. (2333∼2354条),第3節. (1)2006年. 第2章. 保 法2006年 改 正)」 日仏 法 学25号9頁. 析 が な され て い る。 ま た,改 (担 保 に 関 す る2006年3月23日 慶 慮 法 学8号163頁. 正 規 定 は,平. 以 下(2009年)に. 野 裕 之=片. 山直 也 「2006年 フ ラ ンス担 保. 野 裕 之=片. お い て,す. 山 直 也 「特 集. フラ. で に詳 細 な 紹 介 及 び分. 山直 也 「フ ラ ン ス担 保 法 改 正 オ ル ドナ ン ス. の オ ル ドナ ンス2006-346号)に. 以 下(2007年)に. ンス質 権 規 定 に 関 して は,優. 野 裕 之=片. 野 目章 夫=平. よ る民 法 典 等 の 改 正 及 び そ の 報 告 書 」. お い て 訳 出 さ れ て い る。 した が っ て,2006年. の改正後の フラ. れ た論 稿 に恵 ま れ て お り,本 稿 は,屋 上 屋 を架 す に過 ぎ な い も の で あ. る が,本 稿 の執 筆 途 中 に お い て,フ. ラ ンス担 保 法 の改 正 が行 わ れ た こ と か ら,執 筆 当初 の 問題 関心. の範 囲 に 限定 す る形 で,改 正 後 の フ ラ ンス民 法 に お け る質 権 に関 す る概 要 を論 じる もの とす る。 な お,概 要 の記 述 及 び条 文 訳 につ い て は,こ (2)2006年. れ らの文 献 を参 照 させ て頂 い て い る。. の担 保 法 改 正 時 は,動 産 担 保 の規 定 は,2329条. ル ドナ ンス2009-112号. に よ り,2372-1∼2372-5条. ∼2372条 で あ っ た が,2009年1月30日. に 関 す る 規 定 が 導 入 さ れ た。 この 改 正 に関 して は,平 野 裕 之 「海 外 金 融 法 の動 向(フ 融 法 研 究 第26号147頁 (3)改. 以 下(2010年)を. のオ. に 「担 保 と して譲 渡 さ れ た所 有 権 」(譲 渡 担 保) ラ ンス)」 金. 参照。. 正 後 の フ ラ ンス民 法 に お け る質 権 につ い て は,注(1)に 引用 した2006年 フ ラ ンス担 保 法 改 正 に 関. 100.

(3) 法科大学院論集 nantissement)」(旧2071∼2091条)と 質(Dugage)」(改 て,有. い う章 に お い て,動. 正 前2072条)と. 体 動 産 の 質 権 はgage,債. 第9号. 産 の 質 契 約 を 「動 産. し て い た ④。 そ れ が,2006年. の改 正 に よ っ. 権 等 の 無 体 動 産 の 質 権 はnantissementと. 呼ば. れ る こ と に な っ た 。 質 権 の 客 体 に よ っ て 用 語 が 異 な る こ と と な っ た が,gage に は,目. 的 動 産 を 占有 す る形 態 の も の も 占有 し な い 形 態 の も の も含 ま れ る。. 第2節. 「有 体 動 産 の 質 権 」 は,第1款. commundugage)」,第2款. 「有 体 動 産 質 権 の 一 般 法(Dudroit. 「自 動 車 に つ い て の 質 権(Dugageportantsur. unv6hiculeautomobile)」,第3款. 「共 通 規 定(Dispositionscommunes)」. ら成 っ て い る。 改 正 前 は,特. 別 法 で 規 定 さ れ て い た 自 動 車 に つ い て の 質 権(5)が. 民 法 に 置 か れ る こ と に な っ た 。 第3款. は,2354条. の み で あ り,「 本 章 の 規 定 は,. 商 事 関 係 に つ い て 規 定 さ れ た 特 別 の 規 律,又 autoris6)に. か. は 公 認 さ れ た 質 権(gage. 基 づ く金 融 機 関 の た あ の 特 別 の 規 律 を 妨 げ る も の で は な い 」 と す. る 。. ⇔. 有 体 動 産 の質 権. (1)有. 体 動 産 の質 権 の概 要. フ ラ ン ス 民 法2333条1項. は,「 質 は,設 定 者 が 債 権 者 に,動. 産 財 産(bienmo一. す る論 稿 の な か で も,平 野 裕 之 「改 正 経 緯 及 び不 動 産 担 保 以 外 の主 要 改 正 事 項 」 ジ ュ リス ト1335頁 36頁 以 下(特. に,40頁. 以 下)(2007年)(以. 下,「 平 野 ① 」 と 引用 す る)及 び 同 「改 正 経 緯 及 び不 動. 産 担 保 以 外 の主 要 改 正 事 項 」 日仏 法 学25号9頁. 以 下(特. に,17頁. 以 下)(2009年)(以. 下,「 平 野 ② 」. と 引用 す る)を 参 照 。 な お,こ. れ らの論 稿 に お い て は,「 質 権 債 権 者 」 とい う訳 語 が 用 い られ て い るが,本. 稿 は,「 質 権. 者 」 と い う表 現 を用 い て い る。 @)旧. 規 定 につ い て は,耐 戸 大 学 大 學 外 國 法 研 究 會 『仏 蘭 西 民 法 〔V〕 財 産 取 得 法(4)』(有 斐 閣,1956. 年)182頁. 以 下,ま. た,旧. 規 定 に お け る質 権 の 概 要 に つ い て は,拙. 近 畿 大 学 法 科 大 学 院 論 集 創 刊 号184,185頁(2005年)(以 (5)自. 動 車 質 は,1934年12月29日. の法 律 及 び1953年9月30日. ンス の 自動 車 質 に 関す る もの と して,伊 巻3=4号1頁. 稿 「フ ラ ンス に お け る動 産 質(1)」. 下,「 拙 稿(1)」 と 引用 す る)参 照 。 の デ ク レに よ っ て定 め られ て い た。 フ ラ. 藤 英 樹 「フ ラ ンス の 自動 車 質(1)(2)(3・. 以 下(1980年),24巻1=2号1頁. 以 下(1980年),24巻3=4号1頁. が あ るQ. 101. 完)」 法 学 研 究23 以 下(1981年).

(4) フ ラ ンス に お け る動 産 質(3・. bilier)ま. 完). た は 現 在 な い し将 来 の 有 体 動 産 財 産 の 集 合 体(unensembledebien. mobilierscorporel)」. に つ い て,他. の 債 権 者 に優 先 して支 払 い を受 け る権 利 を. 付 与 す る合 意 で あ る」と 定 め る 。 フ ラ ン ス 民 法 典 旧2071条(「 は,債. 務 者 が 負 債 の 担 保 と し て,あ. る物 を 自 己 の 債 権 者 に 引 き 渡 す 契 約 で あ. る」)と 比 較 す る と 明 ら か で あ る が,物 と さ れ な く な り,動. 産 質 は,い. 質(nantissement). の 引 渡 し は,質. ま や,要. 権 の成 立 の た あ に必 要. 物 契 約 で は な い(6)。こ の 点 が,2006年. 改 正 の 主 要 な 改 正 点 の 一 つ で あ る(7)。し た が っ て,フ. ラ ン ス 民 法 典 に お い て は,. 占有 質 と非 占有 質 を 明 確 に 区 別 す る形 で 規 定 さ れ て い る わ け で は な い が,改 前 と 同 様 に,目. 正. 的 物 の 占有 を 債 権 者 に 移 転 す る動 産 質 権 も存 続 し て い る こ と か. ら,以 下 で は,「 占 有 を 奪 う有 体 動 産 の 質 権(legageavecd6possession)」,「 有 を 奪 わ な い 有 体 動 産 の 質 権(legagesansd6possession)」. 占. の順 に概 観 す る こ. と に す る。 (2)占 oう. 有 を 奪 う有 体 動 産 の 質 権(占 成. 有 動 産 質 権). 立. 質 権 の 成 立 に 物 の 引 渡 が 不 要 と な っ た こ と か ら,物 り,ま. た,目. の 引 渡 は 対 抗 要 件 とな. 的 物 の 範 囲 も拡 大 す る こ と に な っ た 。 動 産 質 権 は,要. な く な っ た が,質. 権 は,担. 保 さ れ る債 務,質. 物契約 では. 権 が 設 定 さ れ る財 の 数 量,種. 類及. び 性 質 を 明 ら か に す る 書 面 を 作 成 し な け れ ば 成 立 し な い も の と さ れ た(2336 条)。. した が っ て,要. 式 契 約(uncontratsolennel)で. あ る。 こ の 書 面 は,私. 署. (6)AynさsL.etCrocqP.,Less血ret6s,Lapublicit6fonci6re,Defr6nois,6e6d.,2012,nQ500, ChristopheAlbigesetMarie-PierreDumont-Lefrand,DroitdessOret6s,Dalloz,2e6d.,2009,n° 387. 本 稿 は,各. 注 に 掲 げ る 諸 文 献 に よ る も の で あ る が,フ. 明 や 一 般 的 な 理 解 等,フ 改 正 後,さ べ く,参. ラ ン ス 法 に 関 す る 記 述 の う ち,各. ラ ン ス の 教 科 書 等 に お い て,ほ. ほ ど 時 間 が 経 過 し て い な い こ と も あ り,特. 制 度 の説. ぼ 同 様 に 説 明 さ れ て い る 事 項 に つ い て は,. に,必. 要 な 場 合 を 除 き,注. 記 の煩 項 を避 け る. 照 文 献 を示 す 注 を付 して い な い場 合 が あ る こ と を あ らか じめ お断 り して お き た い。. (7)LegeaisD.,SOret6setgarantiesducr6dit,LGDJ,8e6d.,2011,n°451.CabrillacM.,Mouly Ch.,CabrillaCS.etP6telPh.,DrOitdeSSaret6S,LiteC,9e6d.,n°737.. 102.

(5) 法科大学院論集. 第9号. 証 書 で も公 署 証 書 で も良 い と さ れ て い る(8)。 債 権 者 に 引 き 渡 す 必 要 が な く な っ た た あ,将 と が で き る よ う に な っ た(2333条1項)。. 来 の 有 体 動 産 を 目 的 物 とす る こ. ま た,現 在 な い し将 来 の 有 体 動 産 の 集. 合 体 も 目 的 物 と す る こ と が で き る(2333条1項)。 的 と す る場 合 で も,書 ま た,消 に,債. 面 に よ り特 定 さ れ る必 要 が あ る(2336条)。. 費 物(chosefongible)を. 目 的 物 と す る こ と も で き る が,そ. 権 者 が 占有 を す る と き に は,自. し な け れ ば な ら な い(2341条1項)。 に は,債. た だ し,将 来 の 動 産 財 産 を 目. 己 に 属 す る物 と は 分 離 し て そ の 物 を 保 管. 債 権 者 が か か る義 務 を 免 除 さ れ て い る と き. 権 者 は 質 に 供 さ れ た 物 の 所 有 権 を 取 得 し,同. け れ ば な ら な い(2341条2項)。. の場合. 種,同. 量 の物 を返 還 しな. 目 的 物 が 消 費 物 で あ る 金 銭 で あ る 場 合 に は,改. 正 前 に 実 務 に お い て 認 あ ら れ て い た 金 銭 を 対 象 と す る質 権(gage-especes)(9)と の 関 係 が 問 題 と な り う る ⑩。 こ の よ う な 金 銭 を 対 象 と す る 質 に つ い て は,こ が 質 権 で あ る の か,信. 託 的 譲 渡(cessionfiduciaire)と. さ れ て い た か ら で あ る(ll)。 そ こ で,金 場 合 に は,動. れ. 解 す る の か の議論 が な. 銭 の 所 有 権 の債 権 者 へ の 移 転 が 存 在 す る. 産 質 権 と信 託 的 譲 渡 の 二 つ の 可 能 性 が あ る と考 え ら れ る こ と に な. る よ う で あ る⑫。 設 定 者 は,質. (8)な. お,1日2074条. に 供 さ れ る動 産 の 所 有 者 で な け れ ば な ら な い 。 フ ラ ン ス 民 法 典. は,担. し て い た 。 し か し,こ な く,第. 保 さ れ る債 務 や 目 的物 を記 載 した公 署 証 書 あ る い は私 署 証 書 の作 成 を要 求 れ ら の 証 書 は,質. 権 設 定 契 約 の効 力 発 生 に必 要 で あ る と さ れ て い た わ け で は. 三 者 に 対 す る 対 抗 要 件 で あ る と さ れ て い た 。Ayn6setCrocq,op.c".,n°506,Legeais,op.. c〃.,n°456. (9)平 ω. 野 ①. ・前 掲 注(3)43頁,平. 野 ②. ・前 掲 注(3)22頁. フ ラ ン ス 担 保 法 改 正 準 備 草 案 で は,預. で は,「 種 類 質 権 」 と 訳 さ れ て い る 。. 金 通 貨 質 権(nantissementdemonnaiescrupturale)や. 融 証 書 質 権(nantissementd'instrementsfinanciers)の. 金. 規 定 を 設 け る こ と が 提 案 さ れ た が,2006. 年 の 改 正 で は こ れ ら の 規 定 は 導 入 さ れ な か っ た 。 こ れ ら の 条 文 案 に つ い て は,平 「フ ラ ン ス 担 保 法 改 正 予 備 草 案 」 慶 慮 法 学9号203頁. 以 下(2008年)を. (IDJobard-BachellierM.-N.,BourassinM.etBr6mondV.,Droitdess血ret6s,Sirey,2e6d.,2010, n°1663,AlbigesetDumont-Lefrand,op.c".,n°406. ⑫Ayn6setCrocq,op.c'ム,n°505,Legeais,op.o'ム,n°457.. 103. 参 照 。. 野 裕 之=片. 山直 也.

(6) フ ラ ンス に お け る動 産 質(3・. 2335条. 完). は,「 他 人 の 物(chose)の. 質 権 は 無 効 で あ る。 債 権 者 が そ の 物 が 他 人 に. 属 す る こ と を 知 ら な か っ た な ら ば,(債. 権 者 に)損. 害 賠 償 が 認 あ られ る 。」 と定. あ る。 し か し,こ の 規 定 に つ い て は,す で に 問 題 の あ る こ と が 指 摘 さ れ て い る 。 な ぜ な ら,担 に は,質. 保 法 改 正 以 前 に は,質. 権 の設 定 者 が質 物 の所 有 者 で な か った場 合. 権 者 は フ ラ ン ス 民 法 典 旧2279条1項(現2276条1項)⑬. に よ っ て,設. 定. 者 が 所 有 者 で な い こ と に つ き,善 意 で あ れ ば,保 護 さ れ て い た ⑭。 た と え ば,所 有 権 を 留 保 し て 売 却 さ れ た 物 に つ い て,動 そ こ で,改. 正 前 と 同 様 に,2276条. 産 質 権 者 の質 権 が 認 め られ て い た 。. に よ っ て,善. 意 の 質 権 者 に 質 権 が 認 あ られ て,. 質 権 者 が 保 護 さ れ る の で あ れ ば,2335条. は無 用 の規 定 で は な い か との疑 義 が生. じ た の で あ る 。2335条. の 適 用 が 排 除 さ れ る と 考 え る な ら ば,. 従 前 は2276条. に よ っ て,2276条. で 保 護 さ れ た 善 意 の 動 産 質 権 者 が 保 護 さ れ な い 結 果 と な る。 こ の. 問 題 に つ い て は,立. 法 者 が2276条. わ れ な い こ と か ら,他. の 保 護 を 否 定 す る こ と を 目指 し て い た と は 思. 人 物 売 買 に 関 す る1599条 ⑮ と 同 様 に 解 釈 す る こ と が 主 張. さ れ て い る ⑯。 す な わ ち,こ. こ で の 無 効 は,質. 無 効 で あ りq7),2335条. 権 者 が真 の 所 有 者 か らの請 求 を 待 た ず に質 物 を返. ⑱2008年6月17日 2276条. の 法 律2008-561号. に よ り,フ. ラ ン ス 時 効 法 が 改 正 さ れ た こ と に 伴 い,旧2279条. と な っ た 。 フ ラ ン ス の 時 効 法 改 正 に つ い て は,金. 山直 樹 編 崇. は,質. 「消 滅 時 効 法 の 現 状 と 改 正 提 言(別. 「時 効 法 の 改 正 」 日仏 法 学26号16頁. ω. 旧2279条. ⑮. フ ラ ン ス 民 法 典1599条. 冊NBL122号. 以 下(2011年)を. に よ る 質 権 者 の 保 護 に つ い て は,拙. 務 大 臣 官 房 司 法 法 制 調 査 部 編. 山 直 樹=香. 川 崇. は,. 「フ ラ ン ス の 新 時 効 法 」 金. 』(商 事 法 務,2008年)165頁. 以 下,香. 川. 参 照 。. 稿(1)・ 前 掲 注(4)186頁. は,「 他 人 の 物 の 売 買 は,無. こ と を 買 主 が 知 ら な か っ た と き は,損. 権 者 の み が主 張 で き る相 対 的 な. を 参 照 。. 効 で あ る 。 こ の 売 買 は,そ. の物 が他 人 に属 す る. 害 賠 償 を 生 じ さ せ る こ と が あ る 」 と 定 め る 。 本 条 文 訳 は,法. 「フ ラ ン ス 民 法 典 一 物 権 ・債 権 関 係 』(1982年)を. 参 照 させ て い た だ. い た。 ⑯AynさsetCrocq,oμc'乙,n°504,SimlerPh.etDelebecquePh.,Lessαret6s-Lapublicit6 fonciaire,Pr6cisDalloz,5e6d.,2009,n°613,MichelFarge,Lessaret6s,PUG,2007,n°237, Jobard-Bachellier,BourassinetBr6mond,o君cl'.,n°1657,CabrillacM.,Mouly,CabrillacS.et P6tel,op.c".,n°743. ⑰. な お,MarcMignot,Droitdessαret6s,Montchretien,2010,n°1315は,こ る の は 真 の 所 有 者 の 利 益 で あ っ て,債. 権 者 の 利 益 で は な い こ と を 理 由 に,絶. るQ. 104. こ で 問題 と な っ て い 対 的 な無 効 で あ る とす.

(7) 法科大学院論集. 第9号. 還 して損 害 賠 償 請 求 を す る こ とを可 能 に して い る と考 え るの で あ る。 この よ う に考 え る と,改 正 前 と同 様 に,所 有 権 留 保 売 主 に対 して,(善. 意 で,か つ 物 を. 現 実 に 占有 して い る)質 権 者 が優 先 す る と解 す る こ とが可 能 とな る。 この よ う な見 解 が多 数 で あ る と思 わ れ るq8)。 被 担 保 債 権 は,現 在 の もの で も将 来 の もの で もよ い が,将 来 の債 権 は特 定 可 能 で な け れ ば な らな い(2333条2項)。 ま た,動 産 質 権 は,債 務 者 又 は第 三 者 に よ って合 意 す る こ とが で き,第 三 者 に よ る場 合 に は,債 権 者 は,担 保 に供 され た財 産 に つ い て の訴 権 の み を有 す る こ とに な る(2334条)。 この 規 定 に よ り,「物 上 保 証(cautionnementr6el)」. と呼 ぶ もの の な か に,. 第 三 者 が個 人 的 な債 務 を 負担 す る合 意 を認 あ る こ とを否 定 した判 例 が確 立 され た とい わ れ て い る⑲。 (イ)対 抗 要 件 占有 を奪 う動 産 質 に つ い て は,占 有 が第 三 者 に対 す る対 抗 要 件 で あ る。 す で に み て き た と お り,2006年. の 改 正 後,占. 有 は,質 権 の 本 質 的 な 要 素 で は な く. な って お り,質 権 の成 立 に は書 面 の作 成 が必 要 とな るが,第 三 者 に対 抗 す るに は 占有 の 取 得 が 必 要 で あ る⑫ ① 。 目的 動 産 は,債 権 者 あ る い は 合 意 され た第 三 者 に 引 き渡 され る こ とに よ り第 三 者 に対 抗 で き る(2337条2項)。 (ウ)効 ①. 力. 被 担 保 債 権 の弁 済 期 前 の債 権 者 の権 利 義 務 ⑳. 債 権 者 は,質 に供 され た 財 を保 管 す る義 務 を 負 う。 そ の か わ り,設 定 者 は,. ⑱. な お,Mignot,op.c",,n°1315は,質. 権 者 の 善 意 占 有 は,契. 約 の 無 効 を妨 げな い とす る。. ⑲AlbigesetDumont-Lefrand,op.cε'.,n°398. ⑳AlbigesetDumont-Lefrand,op.cε'.,n°410. ⑫1)2006年. の 民 法 改 正 前 の 質 権 者 の 権 利 義 務 に 関 し て は,拙. 学 法 科 大 学 院 論 集3号55,56頁(2006年)(以. 稿. 「フ ラ ン ス に お け る 動 産 質(2)」 近 畿 大. 下,「 拙 稿(2)」 と 引 用 す る)を. 105. 参 照 。.

(8) フ ラ ンス に お け る動 産 質(3・. 完). 債 権 者 又 は 合 意 さ れ た 第 三 者 に,質. 物 の保 管 の た あ に支 出 され た必 要 費 お よ び. 有 益 費 を 償 還 し な け れ ば な ら な い(2343条)。. 債 権 者 ま た は合 意 され た 第 三 者. が,保. 存 義 務(uneobligationdeconservation)に. 違 反 し た 場 合 に は,設. は,損. 害 賠 償 請 求 を 妨 げ ら れ る こ と な く,質. の 返 還 を 求 あ る こ と が で き る(2344条1項)。 物 と す る場 合 に,債. 者 で あ る場 合 に は,こ. の 債 権 者 は,質. 設 定 者 は,債. 定 者 は,2344条1項. の. 質 物 の保 管 者 が被 担 保 債 務 の債 権 息 に,利. と が で き る(2345条)⑫. 務 が,元. 目的. 己 に 属 す る物 と は 分 離 し て. 物 の 果 実 を 収 受 し,利. と き に は 元 本 に 充 当 す る(imputer)こ. 払 わ れ る ま で は,質. 消 費 物(chosefongible)を. れ に 違 反 す る と,設. 規 定 を 援 用 す る こ と が で き る(2341条1項)。. で あ る(2349条)。. 権 を 設 定 さ れ た 動 産(biengag6). 権 者 が 占有 を す る と き に は,自. そ の 物 を 保 管 し な け れ ば な ら ず,こ. 定者. 本,利. 権 の 設 定 さ れ た 財 産(bien)の. 息 がない. 。 質 権 は不 可 分. 息 および費用 について全部支 返 還 を求 あ る こ とが で き な. い(2339条)。 ②. 留置権. 占有 を 奪 う動 産 質 を 有 す る債 権 者 に は 留 置 権 が 認 あ ら れ る。2006年 改 正 に よ っ て,民. 法 典 中 に 留 置 権 の 規 定 が 設 け ら れ た(2286条)㈱. に よ る と,「 そ の 債 権 の 支 払 い ま で 物 の 交 付 を 受 け た 者 」 が,そ 置 権 を 主 張 で き る こ と に な る。 そ し て,こ 権 が 認 め られ る ⑳。 留 置 権 は,倒 置 権 が 認 あ ら れ る こ と は,質 は,物. の 規 定 に よ り,動. 。2286条1号 の 物 につ き留. 産 質 権 者 に は留 置. 産 手 続 が 開 始 し て も影 響 を 受 け な い た め,留. 権 者 に 有 利 な地 位 を 認 め る こ と に な る。 留 置 権. の 占 有 が 任 意 に 失 わ れ た 場 合 に の み 消 滅 す る(2286条2項)。. ⑫2006年. の担 保 法. 倒産処理手. 改 正 前 は,動 産 質 権 者 は質 物 の果 実 を受 領 す る こ と は で き な い と さ れ て い た。 こ の点 につ. き,拙 稿(2)・前 掲 注 ⑳56頁 参 照 。 ⑬. 改 正 前 の留 置 権 と質 権 の 関係 につ い て は,拙 稿(2)・前 掲 注 ⑳48∼51頁 及 び そ こ に 引用 した諸 文 献 を参 照 。. ⑫φ 改 正 前 は,旧2082条. に よ っ て留 置 権 が認 め られ て い た。. 106.

(9) 法科大学院論集 続 が 開 始 し て も,留. 置 さ れ た 財 が 事 業 活 動 の 遂 行 に 必 要 な 場 合 に は,債. 支 払 い を 受 け ら れ る(商. 法 典L.622-7条. 却 の 代 価 に 移 さ れ る(商. 法 典L.642-25条4項)㈱. ③. 及 びL.642-25条)し,留. 第9号 権者 は. 置 権 は,売. 。. 質 権 の実 行. 質 権 は,他. の 債 権 者 に 優 先 し て 弁 済 を 受 け る権 利 で あ り,債. い 場 合 に は,占. 有 し て い る財 産 に つ き,質. 担 保 法 改 正 の 目 的 は,設. の 改 正 前 と 同 様 に,差. 権 を 実 行 す る こ と が で き る。2006年. 定 者 の 利 益 を 犠 牲 に す る こ と な く,実. す る こ とで あ った⑫ ③ 。 も っ と も,優 押(強. 務 者 が履 行 しな. 行 手 続 を容 易 に. 先 的 な 弁 済 を 受 け る 方 法 と し て は,2006年. 制)売. 却(venteforc6e)及. び債 権 者 に 対 す る質. 物 の 付 与 の 二 つ で あ る⑳。 担 保 さ れ た 債 務(dettegarantie)の 権 者 は,質. 権 の 設 定 さ れ た 財 産(biengag6)の. こ と が で き る(2346条)。 に 従 っ て 行 わ れ,こ 条)。. 弁 済(paiement)が. した が っ て,自. な い 場 合 に は,債. 売 却 を 裁 判 所 に 命 じて も ら う. こ の 売 却 は,民 事 執 行 手 続 に よ り定 あ ら れ て い る方 式. れ と異 な る合 意 を す る こ と は で き な い と さ れ て い る(2346 由 売 却 条 項(clausedevoiepar6e)⑫$の. 禁 止 は 改 正 後 も維. 持 さ れ て い る こ と に な る⑳。 フ ラ ン ス 担 保 法 改 正 準 備 草 案2334条 れ る優 先 権 は,動. で は,動. フ ラ ンス倒 産 法 につ い て は,フ 2005年),同. よ って与 え ら. 産 売 主 の 先 取 特 権 と 同 一 の 順 位 で あ る と さ れ て い た が,こ. 規 定 は オ ル ドナ ン ス に よ っ て 導 入 さ れ ず,動. ㈱. 産 質 権(gage)に. の. 産 質 権 者 と他 の 債 権 者 と の 優 先 順. ラ ン ス倒 産 法 に つ い て は,小 梁 吉 章 『フ ラ ン ス倒 産 法 」(信 山 社,. 「フ ラ ンス倒 産 規 則 」広 島法 学30巻1号228頁. 以 下,2号172頁. 年 フ ラ ンス債 務 整 理 法 改 正 の意 義 」 広 島法 学33巻2号286頁. 以 下(2009年)を. 以 下(2006年),同. 「2008. 参照。. (2⑤Legeais,01λc舐,n°465. 伽2006年 ㈱. の担 保 法 改 正 前 の動 産 質 権 の実 行 につ い て は,拙 稿(2)・前 掲 注 ⑳51∼55頁. 中村 紘 一=新. 倉 修=今. 関 源 成 『フ ラ ンス法 律 用 語 辞 典[第3版]』440頁. を参 照 。. に従 い,「 自由 売 却 条 項 」. と させ て い た だ い た。 (29フ. ラ ンス民 法 典 旧2078条 が こ れ を禁 止 して い た。 な お,フ. つ い て は,フ. ラ ンス担 保 法 に お け る流 担 保 の禁 止 に. ィ リッ プ ・デ ュ ピ シ ョ(吉 井 啓 子 訳)「 物 的 担 保 法 の経 済 的 効 率 性 」 慶 慮 法 学15・16. 合 併 号173頁 以 下(2010年3月)を. 参照。. 107.

(10) フ ラ ンス に お け る動 産 質(3・. 完). 位 は 明 確 で は な い が,改. 正 前 と 同 様 で あ る と 考 え ら れ て い る ⑳。 そ こ で,動. 特 別 先 取 特 権 で は な く,留. 産. 置 権 に よ って他 の債 権 者 に優 先 す る こ とが可 能 とな. る と考 え ら れ る。 ま た,債. 権 者 は,弁. 済 と し て,質. 権 の 目 的 で あ る 財 産(bien)を. 自己 に帰 属. さ せ る こ と を 裁 判 所 に 命 じ て も ら う こ と が で き る(2347条1項)。 値 が 担 保 さ れ た 債 務 の 金 額 を 超 え る場 合 に は,残 に 質 権 者(cr6anciergagiste)が 2006年. 余 額 は 債 務 者 に 返 還 さ れ,他. い る場 合 に は,供. の 担 保 法 改 正 ま で は,債. そ の財 産 の価. 託 さ れ る(2347条2項)㊤1)。. 務 者 の 履 行 の な い 場 合 に,債. 権 者 が質 物 の所. 有 者 と な る こ と を 合 意 す る こ と は 認 あ ら れ て い な か っ た(旧2078条)。 流 質 条 項(pactecommissoire)は. いわゆ る. 禁 止 さ れ て い た こ と に な る 。 こ れ は,高 利 貸. し か ら債 務 者 を 保 護 す る た あ で あ る と さ れ て き た が,し. か し,暴. 利行為 にはあ. た ら な い 場 合 に も債 権 者 へ の 所 有 権 の 帰 属 が 認 あ ら れ な い こ と は 過 度 の 制 限 で あ る と考 え ら れ る よ う に な り,ま. た,他. も増 加 し て い る こ と か ら す れ ば,厳. 方 で,担. 保 名 義 で の所 有 権 移 転 の利 用. 格 な流 質 の禁 止 は金 融 取 引 の要 請 に合 致 し. な い も の と な っ て い た ㈱。 そ こ で,判. 例 は,動. 産 質 権 設 定 後 に 合 意 され た流 質. 条 項 は 有 効 で あ る と し た り㈱,金 銭 を 対 象 と す る 質(gage-esp6ce)に. は,流. 質. は 禁 止 さ れ な いGの と し た り して い た 。 2006年. の 担 保 法 改 正 に よ り,「 質 権 設 定 時 又 は そ の 後 に,担. (obligatongarantie)の. 履 行 が な い 場 合 に は,債. 保 され た債務. 権 者 が質 権 の設 定 され た財 産. ⑳Jobard-Bachellier,BourassinetBr6mond,op.c'ム,nQ1695,Legeais,op.o'ム,n°466,Albigeset Dumont-Lefrand,o皿c鼠,nQ430.な 「フ ラ ン ス 先 取 特 権 制 度 論(下)」. お,フ. ラ ン ス 法 に お け る 先 取 特 権 の 順 位 に つ い て は,拙. 帝 塚 山 法 学4号129頁. 以 下(2000年)に. お い て,簡. 稿. 単 に 紹 介 した. こ と が あ る。 eDな. お,設. 定 者 の 倒 産 手 続 に お い て,か. か る 裁 判 上 の 付 与(attributionjudiciaire)は,制. け る 。Jobard-Bachellier,BourassinetBr6mond,op.c".,n°1699,AynさsetCrocq,op.c".,n°514. 勧AynさsetCrocq,o君c",,n°515,Legeais,op.c'ム,n°452et470,Jobard-Bachellier,Bourassinet Br6mond,op.c".,n°1700. ㈱CaSS.Civユe「,17nOv.1959,BUILCiv.1,n°480;D.,60,SOm.,37. 髄Cass.com.,9avril1996,D.,1996.399,n.Ch.Larroumet;RTDciv.,1996.669,n.P.Crocq.. 108. 限 を受.

(11) 法科大学院論集. 第9号. の 所 有 者 に な る と い う こ と を 合 意 し て お く こ と が で き る」 と さ れ た(2348条1 項)。 ま た,通. 貨 ・金 融 法 典(Codemon6taireetfinancier)の. 意 味 で組織 さ. れ た 市 場 に お け る 財 産 の 公 定 価 格(cotationofficielledubien)が 財 産 の 価 値 は,当 て,所. な い 限 り,. 事 者 の 合 意 に よ り又 は 裁 判 所 に よ り任 命 さ れ た 鑑 定 人 に よ っ. 有 権 移 転 時 を 基 準 と し て 決 定 さ れ,こ. れ に 反 す る一 切 の 合 意 は,記. さ れ て い な い も の と み な さ れ る と さ れ て い る(2348条2項)。. 載 が. 鑑 定 が行 わ れ る と. い う点 で,設 定 者 の 保 護 は 維 持 さ れ て い る㈱。 そ し て,財 産 の 価 値 が,担 保 さ れ た 債 務 の 金 額 を 超 え る場 合 に は,残 る場 合 に は,そ. 余 額 は 債 務 者 に 返 還 さ れ,他. に質 権 者 が い. れ は 供 託 さ れ る(2348条3項)。. も っ と も,消 費 信 用 に 関 し て は,流 質 条 項 は 禁 止 さ れ て い る(消 費 法 典L311 -32条3項). 。 ま た,保. 護 手 続(proc6duredesauvegarde)㊤. 質 条 項 の 締 結 及 び 実 行 を 妨 げ る(商. ④の 開 始 決 定 は,流. 法 典L.622-7条)⑳. 。. (⇒. そ の 他 の 占有 を 奪 う動 産 質 権. ①. 自動 車 に つ い て の 質 権(Dugageportantsurunv6hicule). フ ラ ン ス に お け る 自動 車 質 は,1934年12月29日. の 法 律 及 び1953年9月30日. デ ク レ に よ っ て 定 め ら れ て い た ㈱。 こ れ ら の 規 定 が,い て,2006年. 担 保 法 改 正 に よ り,フ. 民 法 典 に 導 入 さ れ る以 前 は,自. ラ ン ス 民 法 典2351条. くつ か の 修 正 を 施 さ れ ∼2353条. 動 車 質 を 利 用 で き る債 権 者 は,自. び 自 動 車 購 入 代 金 の 融 資 者 に 限 定 さ れ て い た が,こ. に導 入 され た 。 動 車 の売 主 及. の よ うな 制 限 が な くな っ. た 。 登 録 さ れ た 陸 上 用 自 動 車 及 び 牽 引 車 に 質 権 が 設 定 さ れ る 場 合 に は,質 は,コ. の. 権. ン セ イ ユ ・デ タ の デ ク レ に よ り定 あ ら れ る要 件 の 下 に 公 的 行 政 機 関 に な. 駒Legeais,01λc舐,n°470. ㈹. 小 梁. ・前 掲 注 ⑫励引 用 の 論 稿 で は,「 救 済 」 の 訳 語 が 用 い ら れ て い る 。 本 稿 で は,中. 注 ㈱388頁 ⑳2006年3月23日. の オ ル ド ナ ン ス に よ っ て,商. 法 典L622-7条. れ た。 ㈹. 村 ほ か ・前 掲. に 倣 い,「 保 護 」 と さ せ て い た だ い た 。. 注(5)参 照 。Jobard-Bachellier,BourassinetBr6mond,op.c".,n°1729ets.. 109. に,流. 質 条 項 に 関す る規 定 が追 加 さ.

(12) フ ラ ンス に お け る動 産 質(3・. 完). さ れ た 届 出(d6claration)に. よ り第 三 者 に 対 抗 で き る(2351条)。. そ し て,こ. の 届 出 の 受 付 証 の 交 付(d61ivranceduregudelad6claration)に. よ っ て,質. 権 者 は,質. 権 の 設 定 さ れ た 財 産 に つ い て 占有 を 保 持 し て い る も の と み な さ れ る. (2352条)。. 受 付 証 の 交 付 が 物 の 引 渡 と 同 等 で あ る と さ れ る の で あ る。 そ こ で,. こ の 占有 は,擬. 制 で あ る が,そ. れ で も,自. 動 車 質 は,占. で あ る と さ れ て い る。 こ の 擬 制 的 な 占有 の 利 点 は,債 る こ と に あ る。 自動 車 に つ い て の 質 権 の 実 行 は,債 条 ∼2348条 ②. 有 を 奪 う動 産 質 の1つ. 権 者 に留 置 権 が認 あ られ. 務 者 の 資 格 を 問 わ ず,2346. に 定 あ ら れ た 規 範 に 服 す る(2353条)。. 商事質. フ ラ ン ス 民 法 典2354条 の 規 律,又. は,「 本 章 の 規 定 は,商 事 関 係 に つ い て 規 定 さ れ た 特 別. は 公 認 さ れ た 質 権(gageautoris6)に. 基 づ く金 融 機 関 ㊤9の た め の 特. 別 の 規 律 を 妨 げ る も の で は な い 」 と す る。 商 法 典L.521-1条. ∼L521-3条. に 商 事 質 が 定 あ ら れ て い る。 少 な く と も,. 債 務 者 に と って被 担 保 債 権 が商 事 に 関 す る もの で あ れ ば商 事 質 で あ る と され て い る⑳。2006年3月23日 し た た あ,商. オ ル ドナ ン ス2006-346号. は,商. 法 典L.521-2条. 事 質 も要 物 契 約 で は な く な っ て い る。 対 抗 要 件 は,物. を廃 止 の 引渡 しあ. る い は 登 録 簿 へ の 登 録 で あ る。 (3)占. 有 を 奪 わ な い 有 体 動 産 の 質 権(非. す で に 述 べ た と お り,2006年. 占有 動 産 質 権). の フ ラ ン ス 担 保 法 改 正 は,質. 権 の成 立 の た め に. 目 的 物 の 占有 を 債 権 者 に 移 転 す る こ と を 要 し な い も の と し た 。 民 法 上 の 一 般 的 な 動 産 質 権 と し て 非 占 有 質 権 を 認 あ た の で あ るω。 した が っ て,条 有 を 基 準 に カ テ ゴ リ ー 化 さ れ て い る わ け で は な い が,従. ㈹. こ れ は,か. つ て の 公 営 質 屋(Mont-de-pi6t6),現. 文 上 は,占. 来 ど お り の 占有 を 移 転. 在 の 市 町 村 信 用 金 庫(Caissedecr6ditmunicipal). を 指 す よ う で あ る 。Legeais,op.c",,n°475. ㈹AynさsetCrocq,op.c",,n°503. ql)gageと. い う 同 じ 呼 称 で,占. 有 を 奪 う 担 保 と 占 有 を 奪 わ な い 担 保 を 指 す こ と に つ い て は,疑. さ れ て い るQLegeais,op.o".,n°477.. 110. 問 も呈.

(13) 法科大学院論集. 第9号. す る(占 有 を奪 う)動 産 質 権 も残 って お り,占 有 を奪 う動 産 質 権 に特 有 の規 定 も存 在 す る こ とか ら,本 稿 で は,占 有 を奪 う動 産 質 権 の 内容 に つ い て先 に概 観 して き た。 そ こで,以 下 で は,占 有 を奪 う動 産 質 権 と 占有 を奪 わ な い動 産 質 権 に共 通 す る事 項 を指 摘 しつ つ,占 有 を奪 わ な い有 体 動 産 質 権 に特 有 な規 定 を 中 心 に み て い く こ とに す る。 この よ うな 占有 を奪 わ な い動 産 質 権 を認 あ た こ とが 2006年 の担 保 法 改 正 の主 要 な改 正 事 項 の1つ で あ る。 (ガ 成. 立. 占有 を奪 う動 産 質 権 と同様 に,書 面 の作 成 が 有 効 要 件 で あ る(2336条)。. 目的. 物 に つ い て も,す で に み た とお り,占 有 を奪 う動 産 質 権 と同様 に現 在 な い し将 来 の動 産 財 産(bienmobilier)を. 目的 物 とす る こ とが で き る(2333条1項)。. の動 産 質 権 は,在 庫 商 品 の動 産 質 権 とな り う るが,2006年3月23日 ンス は,フ. こ. の オ ル ドナ. ラ ンス商 法 典 に,在 庫 商 品 に つ い て の 占有 を奪 わ な い動 産 質 権 を挿. 入 した幽。 この た あ,在 庫 商 品 を 担 保 とす る手 段 と して,民 法 の 動 産 質 権 と商 法 の 動 産 質 権 の両 方 が競 合 す るた め,両 者 の 関係 が 問題 と され て い る⑬。 質 権 の成 立 の た め に 目的物 の 引 渡 を必 要 と しな いの で,同 一 の 財 産(bien)に. 動産. 質 権 が設 定 され う る。 同一 の財 産 が,占 有 を奪 わ な い動 産 質 権 の対 象 と され た 場 合 に は,債 権 者 の順 位 は,そ の 登 録 の 順 序 に よ り決 定 され る こ と にな る(2340 条1項)。. ま た,占 有 を奪 わ な い動 産 質 権 が設 定 され た財 産(bien)が,そ. の. 後,占 有 を奪 う動 産 質 権 の対 象 とされ た場 合 に は,先 行 す る質 権 者 の 優 先 権 は, そ れ が正 式 に公 示 され て い る とき に は,後 に質 権 を取 得 した債 権 者 に,そ の留 置 権 を妨 げ られ る こ とな く対 抗 す る こ とが で き る(2340条2項)。 被 担 保 債 権 に つ い て は,占 有 を奪 う質 権 と同 じで あ り,将 来 の債 権 で も担 保 す る こ とが で き る(2333条2項)。. 幽. 平 野=片. 山 ・前 掲 注(1)227頁 以 下 に,フ. ラ ン ス商 法 に挿 入 され た 動 産 質 権 に 関 す る 規 定 の 翻 訳 が. あ るQ ⑬. 平 野 ① ・前 掲 注(3)43頁,平. 野 ② ・前 掲 注(3)21頁 を参 照 。. 111.

(14) フ ラ ンス に お け る動 産 質(3・. 完). (イ)対 抗 要 件 フ ラ ンス民 法2337条 は,有 体 動 産 質 権 の対 抗 要 件 は公 示(publicit6)で. ある. と定 あ る。 公 示 は,改 正 前 の物 の 引渡 しに相 当 す る もの で あ る。 動 産 質 権 の公 示 は,特 別 の 登 記 簿 へ の 登 録(inscriptionsurunregistresp6cial)に 行 わ れ る(2338条)。 そ の 方 式 は,2006年12月23日. よ って. の デ ク レ及 び2007年2月1日. の ア レテ に よ っ て定 あ られ て い る鱒。 ま た,有 体 動 産 質 権 が 適 式 に公 示 さ れ た 場 合 に は,設 定 者 の特 定 承 継 人 は,2276条(旧2279条)を な い(2337条3項)。. 援 用 す る こ とが で き. 設 定 者 は,担 保 され た 債 務 が,元 本 及 び利 息 な らび に費. 用 に つ い て全 部 支 払 わ れ るま で は,登 録 の抹 消 を求 あ る こ とは で き な い と され て い る(2339条)。 (ウ)効. 力. 占有 を奪 わ な い動 産 質 権 で は,設 定 者 が質 権 の 目的物 を 占有 す る こ とに な る た あ,質 権 者 の利 益 を保 護 す るた あ の規 定 が設 け られ て い る。 占有 を奪 わ な い 動 産 質 権 の設 定 者 は,動 産 質 権 の対 象 と され た財 産 を保 管 す る義 務 を負 う。 設 定 者 に この義 務 に対 す る違 反 が あ った場 合 に は,動 産 質 権 者 は,質 物 の補 充 を 了承 しな い 限 り,担 保 され た債 務 の期 限 の利 益 の喪 失 を主 張 す る こ とが で き る (2344条2項)。 占有 を奪 わ な い動 産 質 権 が消 費 物(chosefongible)を. 対 象 とす る場 合 に は,. 同等 の物 の 同量 に よ って補 填 す る こ とを義 務 づ け,合 意 に よ り容 認 して い る と き に は,設 定 者 は,そ の物 を譲 渡 す る こ とが で き る(2342条)。 占有 を奪 わ な い動 産 質 権 の 公 示 は,債 権 者 に 優 先 弁 済 権 と追 及 権 を 付 与 す る㈲。 占有 を 奪 わ な い動 産 質 権 の 実 行 方 法 は,占 有 を奪 う質 権 の 実 行 方 法 と変 わ る と ころ は な い。 債 権 者 は,裁 判 上 の決 定 に よ り質 物 の付 与 を受 け る こ と も. 鱒. 平 野=片. 山 ・前 掲 注(1)240頁. 以 下 に2006年12月23日. が あ るQ ㈲Legeais,oノ. λc註.,n°486.. 112. の デ ク レ 及 び2007年2月1日. の ア レテ の 翻 訳.

(15) 法科大学院論集 で き る し(2347条),当. 事 者 は,債. 務 の 履 行 が な い 場 合 に は,債. 目 的 物 の 所 有 者 に な る こ と を 合 意 す る こ と が で き る(2348条)。 適 式 に 公 示 さ れ た 場 合 に は,設 で き な い(2337条3項)と. 定 者 の 特 定 承 継 人 は,2276条. さ れ る が,こ. 第9号. 権者 が質権 の 有体動産質権 が. を援 用 す る こ とが. の規 定 の適 用 範 囲 に つ い て は議 論 が あ. る。 設 定 者 の 特 定 承 継 人 は2276条. を 援 用 す る こ と が で き な い が,目. 的物 の転 得. 者(sous-acqu6reur)は,2276条. を 援 用 し う る 可 能 性 が あ り㈲,そ. う で あ れ ば,. 動 産 質 権 者 が 保 護 さ れ な い 場 合 が あ る こ と に な ろ う。2006年 階 で は,占. の担 保 法 改 正 の段. 有 を 奪 わ な い 動 産 質 権 に は 留 置 権 は 認 あ ら れ ず,占. 権 の ほ う が 留 置 権 が 認 あ ら れ る た あ,債 がqの,2008年8月4日. の 法 律2008-776号. 有 を 奪 う動 産 質. 権 者 に と って有 用 で あ る と され て い た が,2286条. な い 動 産 質 権 を 有 す る者 」 を 加 え た 結 果,占. に4号. と し て,「 占 有 を 奪 わ. 有 を 奪 わ な い 動 産 質 権 者 に も留 置. 権 が 認 あ ら れ る こ と と な っ て い る㈹。 ←⇒. そ の 他 の 占有 を 奪 わ な い 動 産 質 権. ①. 商 法 に規 定 され た在 庫 商 品 に つ い て の有 体 動 産 質 権. 2006年3月23日. の オ ル ドナ ン ス に よ っ て,商. 産 質 権 に 関 す る 規 定 が 挿 入 さ れ た(フ こ れ も,占. 法 典 に,在. 庫 商 品 に つ い て の動. ラ ン ス 商 法 典L.527-1∼L527-11条)。. 有 を 奪 わ な い 動 産 質 権 で あ る。 金 融 機 関 に よ り,私. 法人 またはその. 事 業 活 動 の 範 囲 内 に お け る 自然 人 に 対 し て な さ れ た 与 信 は,こ. れ らの者 が保 持. し て い る在 庫 商 品 に つ い て の 占有 を 奪 わ な い 動 産 質 権 に よ っ て 担 保 す る こ と が で き る と さ れ て い る(フ よ っ て 設 定 さ れ る(フ. ラ ン ス 商 法L.527-1条)。. ラ ン ス 商 法L.527-1条2項)。. こ の 質 権 は,私 そ し て,こ. 署証 書 に. の 証 書 に は,. ⑱R.Boffa,L'opposabilit6dunouveaugagesansd6possession,D.2007,chr.p.1361,Legeais,op。 c",,n°488,AlbigesetDumont-Lefrand,op.c'ム,n°449,AynさsetCrocq,op.c".,n°511. qのFarge,01λc舐,n°255. ⑱. し か し,動 が,ど. 産 質 権 者 が 現 実 に 占 有 を し て い る わ け で は な い こ と か ら,占. 有 を奪 わ な い動 産 質 権 者. の よ う に し て 留 置 権 を 行 使 す る か の 問 題 が 生 じ る 。 こ の 問 題 に つ き,AlbigesetDumont-. Lefrand,01フ.d'.,n°425.. 113.

(16) フ ラ ンス に お け る動 産 質(3・. 完). 当事 者 や火 災 や滅 失 の場 合 の保 険者 の名 称 な どが記 載 され な け れ ば な らず,こ れ ら の記 載 が な い 場 合 は 無 効 とな る。 流 質 は 禁 止 され て い る(フ ラ ン ス商 法 L.527-2条)。 れ な い(フ. また,所 有 権 留 保 条 項 に服 して い る財 産 に は この 質 権 は設 定 さ. ラ ン ス商 法L.527-3条)。. そ して,在 庫 商 品 の 質 権 は,債 務 者 の本. 社 な い し住 所 地 の裁 判 所 の文 書 課 に よ って監 理 され て い る公 的 な登 録 簿 に登 録 が され る と効 力 を生 じ,設 定 行 為 か ら15日 以 内 に登 録 が な され な け れ ば無 効 と な る(フ ラ ン ス商 法L.527-4条1項)。. 質 権 を 有 す る者 の 順 位 は,登 録 の 日付. に よ って決 定 され る(フ ラ ンス商 法L.527-4条2項)。 この よ うに,商 法 に規 定 され た在 庫 商 品 に つ い て の動 産 質 権 は,民 法 に規 定 され た 占有 を奪 わ な い動 産 質 権 よ り も制 約 の多 い動 産 質 権 とな って い る㈲。 ②. そ の他 の 占有 を奪 わ な い動 産 質 権. 2006年 の担 保 法 改 正 後 も,動 産 担 保 証 書(warrant)6①. も設 備 品 に つ い て の質. 権6Dも 改 正 され ず,維 持 され て い る。. ㈲. 無 体 動 産 の質 権. (1)無 体 動 産 の質 権 の概 要 2006年 の フ ラ ンス担 保 法 改 正 前 に は,フ. ラ ンス民 法 典 に お い て,無 体 動 産 の. 質 に つ い て,有 体 動 産 の質 権 に 関 す る規 定 と特 に 区別 が な され て い た とい う こ とは な く,旧2075条. が,無 体 動 産 に質 権 が設 定 され る場 合 に は,作 成 され た公. 署 証 書 あ るい は私 署 証 書 が質 権 を設 定 され る債 権 の債 務 者 に送 達 され る,あ る. ㈹. フ ラ ンス 商 法 上 の在 庫 商 品 に つ い て の 動 産 質 権 に つ い て の 詳 細 は,平 野 ① ・前 掲 注(3)44,45頁, 平 野 ② ・前 掲 注(3)23∼25頁 を参 照 。. ⑳. た と え ば,ホ. 6D1951年1月18日. テ ル証 券 に 関す る フ ラ ンス商 法 典L523-1∼L.523-15条 の 法 律 に よ っ て創 設 さ れ た が,現. に規 定 さ れ て い る。 な お,こ. 在 は,フ. な ど。. ラ ンス商 法 典L.525-1∼L.525-20条. の質 権 につ い て は,伊 藤 英 樹 「フ ラ ンス の設 備 品 の質 入 に 関す る法 律. に基 づ く 占有 移 転 な き 動 産 質 制 度(1)(2)(3)(4・ 完)」 法 学 研 究20巻1号51頁 下,20巻3号1頁. 以 下(1976年),20巻4号35頁. 以 下(1977年)に. 114. 詳 しい 。. 以 下,20巻2号35頁. 以.

(17) 法科大学院論集 い は,そ. 第9号. の 債 務 者 が 公 署 証 書 に よ り承 諾 す る こ と が 必 要 で あ る 旨 が 規 定 さ れ て. い る 程 度 で あ っ た ⑫。2006年. の 担 保 法 改 正 後 は,第2-2章. に,第3節. と して,. 「無 体 動 産 の 質 権(Dunantissementdemeublesincorporels)」(2355∼2366条) が 規 定 さ れ る こ と に な り,ま. た,無. 体 動 産 を 対 象 と す る 質 権 はnantissement. と い う 呼 称 が 用 い ら れ る こ と に な っ て い る。 フ ラ ン ス 民 法 典2355条1項. は,「 無 体 動 産 質 権(nantissement)は,無. 産 財 産(bienmeubleincorporel)又. 体動. は 現 在 な い し将 来 の 無 体 動 産 財 産 の 集 合. 体(ensembledebiensmeublesincorporelspr6sentsoufuturs)を,債 ligation)の. 務(ob-. 担 保 に 供 す る こ と で あ る 」 と 定 義 す る 。 無 体 動 産 質 権 は,合. は 判 決 に よ る(2355条2項)と. さ れ て お り,判. 決 に よ る無 体 動 産 質 権 は,民. 執 行 手 続 に つ い て 適 用 さ れ る規 定 に よ っ て 規 律 さ れ る(2355条3項)。 債 権 に つ い て の 合 意 に よ る無 体 動 産 質 権 は,特 3節)に. よ っ て 規 律 さ れ(2355条4項),こ. 権 は,特. 意又 事. そ して,. 別 の 規 定 が な い 限 り,本. 節(第. れ ら以 外 の 無 体 動 産 に つ い て の 質. 別 規 定 が な い 限 り,有 体 動 産 の 質 権(gage)に. つ い て規 定 され て い る. 規 律 に 服 す る(2355条5項)。 以 下 で は,ま. ず,2006年. の 担 保 法 改 正 後,民. 法 に お け る債 権 質 が ど の よ う な. 担 保 と な っ て い る か を 概 観 す る㈱。 (2)債 (ガ. 権質権 成. 2006年. 立 の 担 保 法 改 正 後 は,条. 文 上,現. 在 な い し将 来 の 債 権 騨 を 債 権 質 の 目 的. と す る こ と が で き る よ う に な っ て い る。 将 来 の 債 権 を 目 的 と す る場 合 に は,無 体 動 産 質 権 者 は,債. 権 が 成 立 す る と 同 時 に 債 権 の 上 の 権 利 を 取 得 す る(2357. ⑰. 拙 稿(1)・ 前 掲 注 ④189,190頁. 鯛. 以 下 の 無 体 動 産 質 権 に 関 す る 記 述 に つ い て は,こ. を参 照 。 れ ま で す で に 参 照 し,引. 保 法 の 基 本 書 等 の ほ か,PierreCrocq,Nantissement,Rep,civ.Dalloz,2008も 6の. た と え ば,賃. 料 債 権 に つ い て は,期. 限 が 未 到 来 の 賃 料 は,将. る と さ れ て い る 。Jobard-Bachellier,BourassinetBr6mond,op.c".,n°1795.. 115. 用 して い る フ ラ ンス担 参 照 して い る。. 来 の 債 権 で は な く,現. 在 の債 権 で あ.

(18) フ ラ ンス に お け る動 産 質(3・. 条)。 ま た,不 条2項)㈲. 可 分 で な い 限 り,債. 権 の 一 部 を 対 象 と す る こ と が で き る(2358. 。 当 事 者 が 異 な る 合 意 を して い な い 限 り,債 権 質 権 は,債. も の(accessoire)に ま た,預 に は,質. 完). 拡 張 さ れ る(2359条)。. 金 口 座(compte)に. 債 権 質 権 を 設 定 す る こ と も で き る が,そ. 権 の 設 定 さ れ た 債 権 は,民. を 問 わ ず,担. 項)。 設 定 者 に つ い て,裁 に は,債. の場 合. 事 執 行 手 続 に よ って 規 定 され て い る方 式. に 従 い 運 用 中 の 取 引 の 調 整 は 留 保 さ れ る が,暫 (d6finitif)か. 権 の従 た る. 定 的(provisoire)か. 確 定 的. 保 実 行 時 に お け る 預 金 残 高 を 対 象 と す る(2360条1 判 上 の清 算 手 続 や 裁 判 上 の 更 生 手 続 が 開 始 した場 合. 権 質 権 者 の 権 利 は,手. 続 開 始 判 決 時 に お け る預 金 残 高 に 及 ぶ と さ れ る. (2360条2項)。 債 権 の 質 権 は,書. 面 に よ っ て 締 結 さ れ な け れ ば な ら ず,こ. は 無 効 で あ る と さ れ る(2356条1項)。. し た が っ て,書. 質 権 設 定 契 約 は 要 式 契 約 で あ る。 フ ラ ン ス 民 法 旧2075条 か,あ. れ に 反 す る場 合 に. 面 は 有 効 要 件 で あ り, で は,公. る い は 登 録 さ れ た 私 署 証 書 に よ る と さ れ て い た が,そ. 署証書 によ る. の よ うな証 書 で あ. る必 要 は な く な っ て い る。 被 担 保 債 権 及 び 質 権 が 設 定 さ れ る 債 権 は,証. 書(acte)に. 記載 されなければ. な ら ず(2356条2項),被. 担 保 債 権 及 び 質 権 が 設 定 さ れ る債 権 が 将 来 の 債 権 で あ. る場 合 に は,証. 務 者,支. 書 は,債. 払 場 所,債. 権 額 又 は 評 価 額,期. 限 の 表 示 な ど,. 債 権 の 特 定 を 可 能 と す る 記 載 が な け れ ば な ら な い と さ れ て い る(2356条3 項)6④。. ㈲. な お,2358条1項. は,債 権 質 権 は,一 定 の期 間 に 限 っ て設 定 で き る と定 め る。 こ れ はす で に職 業. 債 権 の質 権 につ い て認 め られ て い た も の で あ る。Legeais,op。c".,n°514. ⑬. こ れ らの手 続 は,職 業 債 権 の譲 渡 に 関す る ダ イ イ法 の制 度 が簡 素 化 さ れ た も の で あ る と い わ れ て い る。Jobard-Bachellier,BourassinetBr6mond,op.c肱,n°1797. 1981年1月2日. の法 律(ダ. イ イ法)は,現. 在 は,廃 止 さ れ,職 業 債 権 の譲 渡 は,通 貨 ・金 融 法 典. に規 定 さ れ て い る。 ダ イ イ法 及 び ダ イ イ法 の そ の後 の展 開 に関 して は,池 (増 補2版)』(弘. 文 堂,2004年)300頁. 144頁 以 下(1998年),同. 以 下,同. 「海 外 金 融 法 の動 向(フ. 「海 外 金 融 法 の 動 向(フ. 116. 田眞 朗 「債 権 譲 渡 の研 究 ラ ン ス)」 金 融 法 研 究14号. ラ ン ス)」 金 融 法 研 究15号146頁. 以 下(1999年),.

(19) 法科大学院論集. 第9号. 現 在 の,ま た は,将 来 の債 権 で あ るか を 問 わ ず,債 権 質 権 は証 書 の 日付 に よ り当事 者 間 に効 力 を生 じ,ま た,第 三 者 に対 抗 で き る(2361条)。 (イ)対 抗 要 件 ①. 第 三 者 に対 す る対 抗 要 件. 2006年 の担 保 法 改 正 前 に は,質 権 が設 定 され た債 権 の債 務 者 へ の質 権 設 定 の 証 書 の送 達,あ. るい は,公 署 証 書 に よ る債 務 者 の承 諾 が,第 三 者 に対 す る対 抗. 要 件 で あ る と され て い た が,改 正 後 は,フ. ラ ンス民 法2361条 に よ って,債 権 質. 権 は,証 書 の 日付 の 時 か ら第 三 者 に対 抗 で き る こ とに な った。 ②. 第 三 債 務 者 に対 す る対 抗 要 件 等. 質 権 の設 定 され た債 権 の債 務 者 に対 抗 し う るた あ に は,債 権 質 権 が債 務 者 に 通 知 され るか,ま た は,債 務 者 が証 書 に 関与 して い な け れ ば な らず(2362条1 項),こ れ が な い 場 合 に は,設 定 者 の み が債 権 の弁 済 を有 効 に受 け る こ とが で き る(2362条2項)。. そ して,か か る通 知 が な さ れ た 後 は,無 体 動 産 の 質 権 者 の. み が元 本 及 び利 息 と も,質 権 を設 定 され た債 権 に つ い て有 効 に支 払 い を受 け る こ とが で き る こ とに な る(2363条1項)㈱. 。. ま た,被 担 保 債 権 の期 限 が到 来 して い る場 合 に は,質 権 の設 定 され た債 権 に つ い て支 払 わ れ るべ き金 銭 は,被 担 保 債 権 に充 当 され る(2364条1項)。. 被担保. 債 権 の期 限 が到 来 して い な い場 合 に は,質 権 者 は,担 保 され た債 務 が履 行 され た とき に は,返 還 す る義 務 を 負担 して,受 領 す る権 限 の あ る機 関 に 開設 され た 口座 に,受 領 した金 銭 を 保 管 しな けれ ば な らな い(2364条2項)。. この 場 合 に. は,質 権 の設 定 者 が支 払 い を な さず,か つ,遅 滞 に 陥 って か ら8日 間経 過 した とき に は,質 権 者 は,弁 済 を受 け て い な い金 額 の 限度 で,保 管 した金 銭 を被 担. 同 「海 外 金 融 法 の動 向(フ. ラ ンス)」 金 融 法 研 究18号133頁 以 下(2002年)に. お い て詳 細 に紹 介 及 び. 分 析 が な さ れ て い る。 ㈲. フ ラ ンス民 法 旧2081条 は,債 権 質 の場 合 に,債 権 者 が そ の債 権 の利 息 の支 払 い を受 け る こ と が で き る 旨 を定 め て い た。. 117.

(20) フ ラ ンス に お け る動 産 質(3・. 完). 保 債 権 に充 当 で き る こ とに な る(2364条2項)。 (ウ)効. 力. 債 権 質 権 者 は,他 の質 権 者 に適 式 に通 知 を した場 合 に は,質 権 の実 行 手 続 を 行 う こ とが で き る と され て い る(2363条2項)。 債 務 者 が支 払 い を しな い場 合 に は,質 権 者 は,判 決 に よ って又 は合 意 に よ っ て予 定 され た要 件 の も とに,無 体 債 権 質 権 の設 定 を受 け た債 権 及 び これ に付 属 す るす べ て の権 利 を,自 己 に帰 属 させ る こ とが で き る(2365条1項)。 意 は可 能 で あ るが,先 に 見 た とお り,商 法 典L622-7条. 流 質 の合. は,倒 産 手 続 の 開始 が. 流 質 の実 行 を妨 げ る こ とを定 あ て い る囎。 ま た,債 権 者 は,無 体 動 産 質 権 の設 定 を受 け た債 権 の期 限 の到 来 を待 つ こ と もで き る(2365条2項)。. 債 権 質 権 が 第 三 債務 者 に 通 知 され た 後 は,債 権 質 権 者. の み が債 権 の弁 済 を受 領 し う る こ とに な って お り(2363条1項),債. 権質権者 に. は債 権 の弁 済 を受 領 す る排 他 的 な権 利 が与 え られ て い る とい え よ う69。 無 体 動 産 の 質 権 者 が,担 保 され た債 務 以 上 の 金 額 の 支 払 い を 受 け た 場 合 に は,債 権 者 は そ の超 過 額 を設 定 者 に返 還 しな け れ ば な らな い(2366条)。 (3)そ ①. の他 の無 体 動 産 の質 権. 債 権 質 権 以 外 の無 体 動 産 質 権. 債 権 以 外 の無 体 財 産 に つ い て の質 権(nantissement)は,特 限 り,有 体 動 産 の 質 権(gage)に. 別 の規 定 が な い. つ いて の 規 定 に よ る と され て い る(2355条5. 項)㈹。. 働. た だ し,Crocq,op.c".,n°35は,質. 入 れ さ れ た 債 権 の 弁 済 を 受 領 で き る の は 質 権 者 の み で あ り,. 債 権 質 権 者 は期 限 の到 来 を待 て ば良 い こ と を指 摘 す る。 69通. 知 に よ り,他. の 債 権 者 へ の 弁 済 が 妨 げ ら れ る こ と に な る こ と か ら,2363条. は,droitdeblocage. を 認 め て お り,留 置 権 を 認 め る も の で あ る と 解 さ れ て い る 。AynさsetCrocq,op.碗.,n°444,JobardBachellier,BourassinetBr6mond,op.c".,n°1804. ㈹2008年. の 経 済 現 代 化 に 関 す る 法 律 に よ り2286条. 権 が 認 め ら れ る こ と に な っ た た め,債. が 改 正 さ れ,占. 有 を奪 わ な い有 体 動 産 質 権 に留 置. 権 以 外 の 無 体 動 産 の 占 有 を 奪 わ な い 質 権(nantissement. sansd6possessiondebiensincorporelsautresquedescr6ances)に. も留 置 権 が 認 め ら れ る こ と に. 118.

(21) 法科大学院論集 ②. 第9号. 特 別 法 に よ る無 体 動 産 質 権. 2006年. の 担 保 法 改 正 後 も,特. 別 法 に よ り認 あ ら れ る無 体 動 産 質 権 は 存 在 し て. い る。 金 融 証 書(instrementfinancier)の あ ら れ て い る61)。こ の ほ か,特 る こ と は で き な い が,た. 質 権 は,通. 貨 ・金 融 法 典 に よ り認. 別 法 上 の 無 体 動 産 質 権 は 多 く,す. と え ば,フ. ラ ン ス 商 法 典L142-1条. 質 権(nantissementdufondsdecommerce),知. べ て を列 挙 す. 以 下 に営 業 財 産 の. 的 財 産 法 典132-34条. 鋤 に ソフ. ト ウ エ ア の 営 業 権 の 質 権 が 認 あ ら れ て い る。. 五. お わ りに. 本 稿 は,わ が 国 の 質 権 が フ ラ ン ス の 民 法 規 定 に範 を と る もの と い わ れ て お り㈹,ま た,フ. ラ ン ス法 に お い て も質 権 設 定 契 約 の要 物 性 に つ い て 議論 が な さ. れ て い る と ころ か ら,フ ラ ンス法 に お け る動 産 質 権 に 関 す る制 度 を簡 単 に で は あ るが,概 観 し,フ ラ ンス に お け る動 産 質 権 の要 物 契 約 性 に 関 す る議 論 か ら何 らか の示 唆 を得 て,わ が民 法 に お け る 目的物 の質 権 者 に よ る 占有 の意 義 等 を検 討 しよ う と した もの で あ る。2006年 に フ ラ ンス担 保 法 が改 正 され,非 占有 の質 権 が認 あ られ た た あ,フ. ラ ンス担 保 法 改 正 前 に お け る質 権 の要 物 契 約 性 に 関す. る問題 は存 在 しな い もの とな った。 しか し,フ ラ ンス担 保 法 改 正 後 の 占有 の意 義 を知 る こ とに よ り,動 産 質 権 の意 義 に接 近 す る こ とが可 能 とな るよ うに思 わ な るQCrocq,op.c".,n°60. な お,2006年. の担 保 法 改 正 前 の フ ラ ンス法 に お け る留 置 権 につ い て は,清 水 元 「留 置 権 概 念 の再. 構 成 』(一 粒 社,1998年)8頁 ㈹1983年1月3日 法 典L.211-20条 な お,フ. 以 下,関. 武 志 『留 置 権 の 研 究 」(信 山社,2001年)121頁. に よ り認 め られ て い る。. ラ ンス担 保 法 改 正 準 備 草 案 で は,民 法 典 に,金 融 証 書 質 権 の規 定 を設 け る こ と が提 案 さ. れ て い た が(改. 正 準 備 草 案2365∼2378条),2006年. の 改 正 で は,か. か る規 定 は フ ラ ンス 民 法 に は導. 入 さ れ ず,通 貨 ・金 融 法 典 に よ り規 定 さ れ て い る。 ㈹1994年5月10日 ㈹. 以下を参照。. の法 律 に よ っ て,証 券 口座 の質 権 が認 め られ,改 正 を経 て,現 在 は,通 貨 ・金 融. の法 律 に よ っ て認 め られ た もの で あ る。. 林 良 平 編 『注 釈 民 法(8)物権(3)』(有 斐 閣,1965年)230頁. 119. く林 良 平 〉。.

(22) フ ラ ンス に お け る動 産 質(3・. れ る。 そ こで,フ. 完). ラ ンス民 法 に お け る改 正 後 の質 権 規 定 の改 正 点 を確 認 し,質. 権 者 が質 物 を 占有 しな い質 権 ㈹ とい う もの の意 義 を確 認 して お き た い。 フ ラ ンス担 保 法 改 正 前 に お い て は,質 権 の設 定 され る物 の 引渡 しが,動 産 質 権 の効 力 発 生 要 件(成 立 要 件)で. あ るの か,対 抗 要 件 で あ るの か に つ い て の議. 論 が あ った が,伝 統 的 に は,質 権 者 に よ る質 権 の 目的物 の 占有 が動 産 質 権 設 定 契 約 の本 質 的 な要 素 で あ る と考 え られ て い た。 この た あ,後 に は緩 和 され た と は い え,債 権 質 の場 合 に は,特 に,明 示 的 に要 求 す る条 文 が存 在 しな い に もか か わ らず,判 例 が債 権 証 書 を債 権 者 に 引 き渡 す こ とが必 要 で あ る と判 断 した 時 期 が あ るわ け だ が,こ れ は,そ れ ほ ど,質 権 者 へ の 占有 の移 転 が重 視 され て い た結 果 で あ る とい って よ い だ ろ う。 と こ ろ が,2006年. の担 保 法 改 正 に よ って,. 物 の 引渡 しを必 要 と しな い動 産 質 権(占 有 を奪 わ な い動 産 質 権)が 認 め られ た 。 物 の 引渡 しが必 要 で あ る とす る と,将 来 の財 産 を対 象 と して動 産 質 権 を設 定 す る こ とは で き ず,在 庫 商 品 に動 産 質 権 を設 定 す る こ と もで きな か っ た と こ ろ㈹, これ が可 能 とな った わ け で あ る。 改 正 前 に,す で に特 別 法 に よ って,多 占有 質 権 ㊨ ③が認 め られ て い た が,2006年. くの非. の改 正 後 は,民 法 の一 般 的 な制 度 と し. て,動 産 の非 占有 質 権 が認 あ られ た こ とに な る。 非 占有 の動 産 質 権 を認 め る特 別 法 が多 く存 在 した こ とは,非. 占有 の動 産 質 権 の必 要 性 が大 き か った こ とが窺. わ れ,ま た,す で に特 別 法 で認 あ られ て い た とい う こ とは,フ. ラ ンス民 法 に お. い て非 占有 の動 産 質 権 を認 あ る こ とに対 す る抵 抗 を少 な く して い た よ うに も思 わ れ る。 わ が 国 で は,質 権 の 目的物 の 占有 は,質 権 の成 立 及 び そ の留 置 的効 力 に必 要 で あ るほ か,動 産 質 権 に つ い て は,質 物 の継 続 占有 が対 抗 要 件 で あ る と され て い る(民 法352条)。 した が って,動 産 質 権 の成 立 に 占有 を必 要 と しな い場 合 に. ㈹. こ こ で は,不 動 産 質 権(antichrさse)に. ㈲Legeais,o皿c'ム,n°452.フ ㈹. つ い て は,検 討 の対 象 と して い な い。. ィ リ ップ ・デ ュ ピ シ ョ(吉 井 啓 子 訳)・ 前 掲 注 ⑳162頁 以 下 も参 照。. 自動 車 に対 す る質 権 の よ う に,占 有 を擬 制 す る質 権 も存 在 して い た。. 120.

(23) 法科大学院論集. 第9号. は,動 産 質 権 の公 示 手 段 を検 討 す る必 要 が 生 じるが,フ ラ ンス民 法 にお いて は, 2006年 改 正 以 前 も,動 産 質 権 の対 抗 要 件 は 占有 で は な か った。 フ ラ ンス民 法 旧 2074条 は,動 産 質 権 の 先 取 権(優 先 権privil6ge)は,第. 三 者 に対 して は,被 担. 保 債 権 や動 産 質 権 の 目的物 を記 載 した,適 法 に登 録 した公 署 証 書 又 は私 署 証 書 が あ る限 りで な け れ ば生 じな い 旨を規 定 して い た。2006年 改 正 後 は,フ ラ ンス 民 法2337条1項. は,公 示(publicit6)が. 有 体 動 産 質 権 の第 三 者 対 抗 要 件 で あ る. とす るが,2項 は,債 権 者 又 は合 意 され た第 三 者 へ の 目的物 の 引渡 しが第 三 者 対 抗 要 件 で あ る こ とを定 あ て い る㈲。 占有 を奪 う動 産 質 権,す な わ ち,占 有 質 権 に つ い て は,質 権 の 目的物 の 占有 は,第 三 者 に対 す る対 抗 要 件 と して有 用 で あ る こ とを示 して い る と も考 え られ よ う。 フ ラ ンス の 質 権 制 度 の2006年 改 正 に お い て は,流 質(流 担 保)(pactecommissoire)が. 可 能 と な った こ とが 改 正 の主 要 な 点 で あ る と され て い る㈹。 フ ラ. ン ス担 保 法 改 正 後 の 有 体 動 産 質 権 の 実 行 方 法 は,質 物 の売 却(フ 2346条),裁 保)条 項(フ. 判 上 の 付 与(帰 属 決 定)(フ ラ ンス民 法2348条)で. ラ ンス民 法2347条),及. あ るが,こ れ は,2006年. ラ ン ス民 法. び 流 質(流 担. 改 正 後 の抵 当権 の. 実 行 方 法 と 同様 で あ る㈹。 抵 当権 の 実 行 方 法 が動 産 質 権 の 実 行 方 法 に近 づ い た とい う こ とに な るよ うに み え るが,動 産 質 権 に お け る 占有 が動 産 質 権 の効 力 要 件 で は な くな った こ と も併 せ て考 え る と,動 産 質 権 と抵 当権 との違 い は,目 的 物 が動 産 あ るい は不 動 産 で あ る こ とに過 ぎ な い と考 え る こ と も可 能 で あ るよ う に思 わ れ る㈲。 動 産 質 権 の な か に は,質 権 の 設 定 さ れ た 目的 物 を 債 権 者 が 占有. ㈹. 設 定 者 が登 録 に よ っ て,自. 己 の債 務 が公 示 さ れ る こ と を望 ま な い場 合 が あ る こ と が指 摘 さ れ て い. る。Jobard-Bachellier,BourassinetBr6mond,op.c'∫.,n°1668. ㈱. な お,消 費 法 典L.311-32条. ㈹. フ ラ ンス担 保 法 改 正 後 の抵 当権 規 定 の 内容 につ い て は,片. は,流 質 を禁 止 して い る。. い て」 ジ ュ リス ト1335号49頁 以 下(2007年),片 日仏 法 学25号46頁 以 下(2009年)に ㈹2006年. 山直 也 「不 動 産 担 保 に関 す る規 定 につ. 山 直 也 「不 動 産 担 保 に 関 す る改 正 お よ び そ の 意 義 」. 詳 しい紹 介 が あ る。. 改 正 後 の フ ラ ンス民 法 に お い て は,有 体 動 産 質 権 と無 体 動 産 質 権 と を 区別 して 規 定 さ れ て. お り,動 産 質 権 の 内部 で も,質 権 の客 体 を基 準 に分 類 さ れ て い る と い え よ う。. 121.

(24) フ ラ ンス に お け る動 産 質(3・. 完). す る形 態 の もの が存 在 す るが,担 保 目的物 の 占有 ・非 占有 が担 保 の分 類 の基 準 た りえ な くな って い るの で あ る。 他 方 で,2006年 の フ ラ ンス担 保 法 改 正 に よ り,フ ラ ンス民 法 典 第4編 第2-2 章 第4節. に,所 有 権 留 保 が 規 定 さ れ た(フ. 2009年1月30日. ラ ン ス民 法2367∼2372条)⑳ 。 また,. の オ ル ドナ ンス2009-112号 に よ り信 託 法 の改 正 が行 わ れ,こ の. オ ル ドナ ン ス に よ り,民 法 に信 託 担 保(譲 渡 担 保)の 規 定 が 導 入 さ れ て い る (フ ラ ンス民 法2372-1∼2372-5条)⑫. 。 そ こで,フ. ラ ンス民 法 に お け る物 的担. 保 は,所 有 権 を移 転 す る担 保 も含 む もの とな り,多 様 化 して い る とい え よ う。 フ ラ ンス の動 産 質 権 の改 正 に お い て は,所 有 権 留 保 や譲 渡 担 保 の発 展 も影 響 を与 え て い る と考 え られ る⑬。 担 保 目的 物 の 占有 が もは や 重 要 で はな い と して も,フ ラ ンス民 法 上,約 定 の動 産 担 保 と して は,動 産 質 権,所 有 権 留 保,譲 渡 担 保 の い ず れ か を利 用 す る こ とが可 能 で あ る。 そ こで,フ. ラ ンス法 に お け る動. 産 質 権 の意 義 の検 討 に あ た って は,他 の物 的担 保 との比 較 検 討 が不 可 欠 で あ ろ う。 ま た,他 の物 的担 保 との比 較 検 討 作 業 に お い て は,設 定 者 に倒 産 手 続 が 開 始 した場 合 の担 保 権 の処 遇 も視 野 に入 れ る必 要 が あ るよ うに思 わ れ るが,他 の 物 的担 保 との比 較 検 討 や倒 産 手 続 に お け る効 用 等 の確 認 等 に つ い て は,今 後 も 継 続 して検 討 して い く課 題 と した い。. ⑳2006年. の 改 正 の 際 に は,第4節. られ た が,そ. の後,2009年1月30日. ンス法 で は,信 託 担 保)の. と して,「 担 保 と して 留 保 され た 所 有 権 」 に つ い て の 規 定 が 設 け の オ ル ドナ ンス2009-112号. 規 定 が追 加 さ れ た こ と に伴 い,第4節. に よ っ て,い. わ ゆ る譲 渡 担 保(フ. ラ. は 「担 保 と して留 保 又 は譲 渡 さ れ. た所 有 権 」 に改 め られ た。 2006年 の担 保 法 改 正 後 の フ ラ ンス法 に お け る所 有 権 留 保 につ いて は,注(1)に 引用 した文 献 に詳 し い。 ま た,筆 者 も拙 稿 「民 事 再 生 手 続 に お け る所 有 権 留 保 と対 抗 要 件 の要 否 」 法 律 時 報84巻12号84 頁 以 下(2012年)に ⑫2009年1月30日. お い て,簡 単 に紹 介 した こ と が あ る。 の オ ル ドナ ン ス に よ る 信 託 担 保 規 定 の 民 法 へ の 導 入 経 緯 及 び 規 定 内容 に つ い て. は,平 野 裕 之 「海 外 金 融 法 の動 向(フ. ラ ンス)」 金 融 法 研 究26号147頁 以 下(2010年)に. 詳 しい紹 介. と条 文 訳 が あ る。 ㈱. た と え ば,所 有 権 を利 用 す る担 保 を認 め る と,動 産 質 権 に お いて 流 担 保 条 項 の禁 止 を維 持 す る こ と に い か な る意 義 が あ る の か疑 問 が生 じて くる こ と に な る。. 122.

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