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体温情報による養殖マグロの遊泳・消化に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)B u l l. F i s h . L a b . Ki nki U n i v ., No.13, 291 - 367 ( 2 0 1 3 ). 体温情報による養殖クロマグロの遊泳・消化に関する研究 久 保 敏 彦. S t u d yo fSwimmingBehaviorandD i g e s t i o no fC u l t u r e dB l u e f i nTuna,Thummus h eBodyT e m p e r a t u r e t h y n n u so r i e n t a l i s,Basedont. T o s h i h i k oKubo. 目次. 序論・・・・・・・・. . . .. . . . . .. . . . .. . .. .. . ... . . . . . 293. 第 I章.成長に伴うクロマグロ ( Thunnuso r i e n t a l i s ) 稚魚の全熱交換係数と体温. 295 I ・1.成長に伴う体温変化・. 295. 1 1・1.材料と方法-. 295. 1 1・ 2 . 結果・. 300. I ・1 3 . 考察-. 303. I ・ 2 . 遊泳に伴う体温変化・. 305. ・ 2 -1.材料と方法・. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 305 I. 1 2・ 2 . 結 果 ・ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 306 ・2 ・3 . 考 察 ・ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 306 I. 第I I章 . 摂 餌 に 伴 う 腹 腔 温 と 筋 肉 温 度 変 化 の 関 係 ・ ・ ・ ・ ・ ・. I I 1 . 摂餌に伴う腹腔温と筋肉温度変化の関係・. 309 309. I I 1・1.材料と方法・. 309. I I 1 2 . 結果・. 312. I I 1 3 . 考察・. 315. 合)本論文は近畿大学課程博士論文である。. 291.

(2) 近大水研報. 13号. (2013). 第I I I章.腹腔温によるクロマグロ摂餌情報の解析・. ...... ..... .... 317. 1 I I -1.絶食時の体重を基にした水温変化が腹腔温に及ぼす影響・. . . . . . . . 317 I I I l・ 1 . 材 料 と 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・. 317. I I I l・ 2 . 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 322 I I I l・ 3 . 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 331 I I I 2 .水温の季節変化からみた摂餌と腹腔温変化・・・・・. 334. 1 I I 2・1.材料と方法・. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 334 1 I I 2 2 . 結 果 お よ び 考 察 ・ ・ ・ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 336 1 I I 3 . 腹 腔 温 情 報 を 用 い た 配 合 飼 料 と 生 餌 の 消 化 性 の 比 較 ・ . . . . . . . . . . 340 1 I I 3・1.材料と方法・. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 340 I I I 3 2 .結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・. 341. 1 I I 3・ 3 .考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・. 344. 第 IV章 . 総 合 考 察 ・ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 346. I V l . 身 焼 け と 体 温 の 関 係 ・ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 346 I V l -1.釣り上げ直後の温度上昇・. 346. I V l・ 2 . 釣り上げから数分後の普通筋温上昇・. 348. I V 2 . 養殖漁業と小型測器の腹腔内挿入・ I V 2 -1.作業理念・. 349 349. I V 3 . 腹腔温と摂餌量からみた最適水温環境-. 349. IV ・ 4 . 何故内温性を持つのか・. 351. 要約・・・・・・・・. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 352. Summary. .. . . . .. .. • . .. . . .. .. . .. .. . . . . • . . . .. . 356. 謝辞・・・・. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 362. 文 献 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・. 安)本論文は近畿大学課程博士論文である 。. 292. 363.

(3) 久保 :体温情報による養殖クロマグロの遊泳・消化. 序論. マグロ類の成魚は環境水温よりも高い体温を維持する(内温性, Endothermy) 0 高い 体温保持能力を持つことによってマグロ類が外洋に広範囲に回遊し. (Blocke ta , . l 2005,. Schicke ta , . l 2004,Musyle ta , . l 2003,Marcineke ta , . l 2001,Ohtae ta , . l 2005) , 摂 餌 の た め に 水 温 躍 層 を 超 え て 冷 た い 水 深 へ と 潜 水 す る こ と を 可 能 に す る (Kitagawae ta , . l. 2000,F r i t s c h e se ta , . l 2005,Inagakee ta , . l 2001,Altringhame ta, . l 1 997) 。 このよう な低水温環境で、もマグロ類は体温を維持することができる。これまで,太平洋クロマグロ. (τ'hunnuso r i e n t a l i s )の鉛直遊泳深度と周辺水温の関係が調べられてきた。 Kitagawae t . ( 2000) と I t o (2006) は , ク ロ マ グ ロ の 大 き さ と 生 息 周 辺 水 温 が 行 動 に 及 ぼ す 影 al 響について議論している 。 太 平 洋 ク ロ マ グ ロ は 北 太 平 洋 の 亜 熱 帯 水 域 か ら 亜 寒 帯 水 域 に 広 く 分 布 す る ( Inagakee t , . l 2001,I t o he ta , . l 2003) a 獲データをもとに,. 0. 索餌水域と水深は季節的に変化する o I t o h (2006) は漁. 日本列島沿岸のクロマグロ漁場の短期的変化と季節的変化を分析した 。. Kitagawae ta 1 . (2004) は , 太 平 洋 ク ロ マ グ ロ の 鉛 直 遊 泳 行 動 が 鉛 直 水 温 分 布 の 季 節 的 変化の影響を受けることを指摘した。夏季にクロマグロは摂餌のために東シナ海の水温躍 層を超えていくが,冬季には表面混合層で摂餌する 。 一般にクロマグロの体温は,自由遊 泳するクロマグロの腹腔内に外科的手法により挿入されたデータロガーを用いて測定され る。 ある程度大きなクロマグロ(尾叉長 4 0.0cm以上)でなければデータロガーの挿入が困 難であったことから,尾叉長 4 0.0 cm以 下 の ク ロ マ グ ロ 仔 稚 魚 の 体 温 に つ い て は ほ と ん ど 調べられていない。. GrahamandDickson (2001) は 何 故 ク ロ マ グ ロ 体 内 の 局 部 温 度 が , 水 温 よ り も 高 く維 持されるかについて議論した 口彼らによると,高い体温を保つためには ( 1) 代 謝 熱 の 供 給源,および ( 2 ) 代謝熱を保持しておくための機構が必要となる 。 マグロ類では,熱の 供給源は組織での代謝熱(例えば,筋肉の好気的および嫌気的運動,消化のための化学的 熱産生)と密接に関係する (HochachkaandLewis,1971,Korsmeyerθ ta1 .,1996,B r i l l. andBushnell,2001) 。 一方で,熱は体表面と偲の両方から失われてし、く. O. 上昇する体温. は,暖かい静脈血と冷たい動脈血によって形成される対交流熱交換器によって維持される. D. マグロ類は奇網 ( r e t em i l r a b i l e ) と呼ばれる対交流熱交換器を用いて効率的に身体を温め る。 Kishinoue ( 1923) は 1920年 代 に 特 徴 的 な 血 合 筋 , い わ ゆ る 「 ク ロ チ ア イ 」 と し て この部位を記述した 。 アカウミガメやアオウミガメのようないくつかの海洋性動物は,奇網のような機構を持 た ず に 体 温 を 周 辺 水 温 よ り も 高 く保つことができる ( N e i l landSteven,1974) Satoe ta 1 . 0. 293.

(4) 近大水研報. 13号. (2013). ( 1994) は産卵期のアカワミガメ成体の胃内温度と周辺水温を同時に測定した。彼らは, もしアカウミガメの体重が十分に大きければ,アカウミガメは環境温度よりも高い体温を 保つことができることを示唆した。このような場合では,体重は非常に重要な要因といえ る. D. この提案が妥当なものであれば,体温と水温の温度差は成長とともに大きくなるかも. しれない. D. クロマグロの成長に伴って,体温と水温の温度差が大きくなることはありうる。. しかしながら,尾叉長 40.0cm以下のクロマグロの成長が温度差に及ぼす影響について, 利用可能なデータはほとんどない 。 また,尾叉長 40.0cm以上のクロマグロ稚魚についても,未解決課題が残されている 。. ta1 . それは,腹腔温が筋肉の温度から熱的に独立しているかということである 。 Carey e ( 1984) は ク ロ マ グ ロ の 解 剖 学 的 知 見 を 調 べ た 。 彼 ら に よ る と , ク ロ マ グ ロ の 腹 腔 は と もに熱を通しにくい分厚い脂肪と鯨に覆われており,これらの断熱性組織の働きによって, 腹腔温が独立していることを論理的に証明した。近年では腹腔温の独立性をベースとして, さまざまな海域,季節,または環境条件でマグロ類の腹腔温情報が活用されている (Gunne ta , . 1 2001) 。しかし,腹腔温の熱的独立性を証明するための研究はされておら. ず,腹腔温情報を本種の遊泳・消化情報として取り扱うには不十分である 。 これを証明す るためには,腹腔温と主要な熱源であると考えられている,血合筋および普通筋の温度を 同時に測定して,解析する必要がある。 本 研 究 で は 第 I章で尾叉長 40.0cm以下のクロマグロの血合筋温,普通筋温,腹腔温を 調べ,成長に伴う体温保持能力の推移を調べた 。 さらに腹腔温と筋肉温の相互関係につい て明らかにした。この結果から血合筋温と普通筋温が,腹腔温に影響しないことが明らか となったが,腹腔温の独立性を証明するためには,腹腔から筋肉への熱輸送経路について. 1 章ではクロマグロが摂餌した直後の腹腔温上昇が, も明らかにする必要があった。第 1 筋肉に影響するかについて調べた。本種の腹腔温は,摂餌後の温度上昇に伴って筋肉温よ りも高くなる。この温度差によって生じる熱伝導が筋肉の温度に影響するかを調べた。第. 1章,第 1 1章 の 結 果 を も と に , 第 1 1 1章ではクロマグロの摂餌と腹腔温の関係について解 析した。. 294.

(5) 久保 :体温情報による養殖クロマグロの遊泳・消化. 第 I章.成長に伴うクロマグロ (Thunnuso r i e n t a J i s ) 稚魚の全熱交換係数と体温. 尾叉長 40.0cm以下のクロマグロ稚魚に関して,成長が温度差に及ぼす影響について利 用できるデータはほとんどない. いくつかのパラメーターが身体と環境水の熱的関係を見. 積 も る た め に 用 い る こ と が で き る :1 ) 全熱交換係数(全熱交換は体内の短期的な温度変 ) 主要部位(血合筋,普通筋,腹腔)と環境 化 の 過 程 を 見 積 も る た め に 用 い ら れ る ) ,2. 水の温度差(腹腔内は行動や生理情報を測定するための主要なデータロガー挿入部位とな ) 好気的および嫌気的遊泳に伴う血合筋内部での産生熱と,その熱が他の部位に る) , 3. 及ぼす影響,である口 本章では,クロマグロの体温と周辺水温の関係について 3つの項目に焦点を絞り調査し ) 全熱交換係数, 2 ) 血合筋,普通筋,腹腔と水温との温度差, 3 ) 遊泳速度が血合 た :1. 筋,普通筋,腹腔に及ぼす影響。本章では異なる 2つの方法(第 I章 1節 お よ び 2節)に ) では,血合筋温,普通筋温,腹腔温と周辺水温の温度 よって実施された 。 1節 (Exp. 1. 差を比較するため,各組織の温度と周辺水温は同時に測定された 。 血 合 筋 / 普 通 筋 の 重 量 比と温度差(組織・水温)についても調べられた。血合筋から奇網を分離することは難しい ) では,異なる遊泳 ために,奇網の量的変化を調べることはできなかった 。 2節 (Exp. 2. 状態における血合筋温変化と腹腔温変化が相互に及ぼす影響の有無を調べた。魚は好気的 代認すから嫌気的代謝へと切り替わる遊泳速度を持つが. この遊泳速度は魚の成長ステージ. によって異なる 。 また,筋肉の温度は,好気的代謝のときと嫌気的代謝のときで異なる値 を示すかもしれない 。好気的代謝から嫌気的代謝へと切り替わる臨界遊泳速度は,太平洋 クロマグロの稚魚について知られていない。そこで,回流水槽の流速を変えてクロマグロ 稚魚の臨界遊泳速度を調べた. D. 好気的遊泳と嫌気的遊泳が体温変化に及ぼす影響を調べる. ために,流速と体温変化の関係、も調べられた。. 1 -1.成長に伴う体温変化. 1 1・1.材料と方法. 1 ) クロマグロ. 実験で用いられた全ての個体は 2006年 6月 18日に近畿大学水産研究所奄美実験場 ( F i g .. 1 1 ) で得られた卵から飼育された。卵は 2000年 産 天 然 種 百 を 蓄 養 し て 育 て た 親 魚 か ら 得 られた 。得られた卵は奄美実験場から同白浜実験場まで空輸され,白浜実験場の飼育槽で 飼育された 。 卵は到着後 2 日で解化した。 295.

(6) 13号. 近大水研報. (2013). 0. 35. (Z) ω. て コ. コ. :~ !. + . J. 3300. < < d O ゲ. ¥Am amiI s l a n d. 0. 0. 135. 130. E ) Longitude( -1 i t e susedf o rexperiment. F i g .1 fb l u e f i ntunaaquacultures .Locationo. i t emuscle Wh Redmuscle. Peritoneal cavlty 2 .Crosss o s i t i o nalongthebodyfrom45% F i g .1 e c t i o n a lschemao fb l u e f i ntunaa tap n s e r t i n gthermistorprobes (arrows). foreheadpartwherei. 296.

(7) 久保:体温情報による養殖クロマグロの遊泳・消化. この実験では,体重 0 .3gから 3900.0g (尾叉長 3.0cmから 55.5cm) までの 35個 体 が 用いられた。これらの個体は陸上施設内の飼育水槽または海上養殖生賓から無作為に取り 上げられて,供試された。仔稚魚の成長にあわせてシオミズツボワムシ,アルテミア,マ ダイ鮮化仔魚,イカナゴ切り身,および配合飼料が給餌された。摂餌,消化,吸収,同化 に 伴 う 熱 的 要 因 の 影 響 を 取 り 除 く た め に , 実 験 の 2 日 前 か ら 餌 止 め し た (Carey e ta , . 1. 1984,Gunne ta , . 1 2001,I t oe ta , . 1 2003) 。 実 験 終 了 後 に ク ロ マ グ ロ を 輪 切 り に し て サ ー F i g .1 2 )。 ミスターセンサーの挿入位置を確かめた ( 輪 切 り に さ れ た 身 は Funakoshi e ta1 . (2006) の 方 法 に 従 い 血 合 筋 と 普 通 筋 が 分 離 さ れ,血合筋/普通筋比が計算された。この比は各部位の体温と水温の温度差のような他の. 1 日まで実施さ パ ラ メ ー タ ー と 関 連 し て い る 。 実 験 は 2006年 9月 1日から 2007年 7月 1 れた。. 2 ) 温 度 計 (TUNATHERM) クロマグロ仔魚は非常にスレに弱く傷つきやすい。筋肉温と腹腔温を同時に測定するた めには微細な温度センサーが必要となる。そこで,本実験のために温度計が開発された. (TUNATHERM;AlecE l e c t r o n i cC o .,Japan) 。 血 合 筋 , 普 通 筋 , 腹 腔 , お よ び マ グ ロ の鯨に海水を供給するためのビ、ニールホースを通る海水温度を測定するためには 4本 の 温 度センサーが必要となる。センサープローブは非常に壊れやすく,まれに取り替える必要 があるため, 1 2本 の 予 備 温 度 セ ン サ ー が 準 備 さ れ た 。 プ ロ ー ブ は 長 さ 2m, 直 径 0.5mm の銅線とその先端に直径1.17mmの球形センサー(サーミスター)から成る。温度センサ一 部の逆側はインターフェースに接続されている。データはインターフェースを介してパー ソナルコンビューターに. 1秒 間 隔 で 記 録 さ れ る 。 温 度 セ ン サ ー の 分 解 能 は 0 . 1土 0 . 0 3Cで , 0. 時定数は 0 . 1秒 で あ る 。 セ ン サ 一 部 は 脆 い た め に 標 識 用 ダ ー ト タ グ に 抱 き 合 わ せ て 用 い た 。 ダートタグの先端部に直径 2 . 0m mの 穴 を あ け て , 穴 の 中 に セ ン サ ー を 通 し て , ダ ー ト タ グと温度センサーを接着剤で接着した。ダートタグの返しが組織内で引っかかるために, 温 度 セ ン サ ー を 決 め ら れ た 位 置 に 120分 間 以 上 固 定 す る こ と が で き る. D. 3 ) 実験方法とデータ解析. クロマグロ体温変化の経時記録を得るために,マグロは腹を上に向けて仰向けに手術水 槽の中に固定された。実験の間マグロの口にホースを差し込んで鯨に給水した ( F i g .1 3 a )。 ハンドリングの間マグロの体温は急激に上昇する。その後偲へと海水を供給されると,体 温は緩やかに減少して一定の値に収束していく。高温から一定の値へ収束するまでの温度 下 降 は (1 ) 式で近似された,. 297.

(8) 近大水研報. ( dT d t=ki 乙-Tb)+T i b/ m. 13号. (2013). (1 ). i (ニ 1, 2, 3 ) ここで kは各測定位置の組織温度と環境温度の全熱交換係数 (whole-bodyheatt ransfer. c o e f f i c i e n t ) , Tbiは各部位における温度(i. e .,血合筋:i=1 ; 普通筋:i=2, 腹 腔 ;i=3) ,. Z は口に海水を供給するチューブ内の海水温,および T m は組織内部での産熱による温度 の時間変化を表す。. ( a ). ( c ). Water f l o w. S e n s o r. w. F l u i dc i r c u l a rtank. F i g .1 3 .Schematicviewo fexperiments, ( a ) o u t l i n eo fExp.1, ( b ) s i d eviewo fExp. c ) schemao fExp.2.R M:redmuscle;W M:whitemuscle;PC:peritonealc a v i t y ; 2, ( W :water.Arrowi n ( C ) i sflowd i r e c t i o n .. 温 度 測 定 開 始 時 (t=O) のときの体温を Tb ( 0 ) とすると,. 九i ( t )=九 (( 0 ) -ぇ)e-Mt+え え=え +Tm/k. ( 1 ) 式は次のようになる,. ( 2 ) ( 3 ). t~ O , Tb ~え. 同様の解析方法は Ne i l landSteven (1974) および Kitagawae ta1 . (2001) によっ. 298.

(9) 久保:体温情報による養殖クロマグロの遊泳・消化. て試みられている. 彼 ら は kを全熱交換係数と定義した。 kは代謝熱の保持能力を見積も. るためのパラメーターとして用いられた。例えば ,k値 が 大 き い と き , 熱 拡 散 が 大 き く 組 織内での温度保持能力が小さいことを表す。逆に k値が小さくなれば,温度保持能力が向 上したことを意味する o た。水温. ( 1 ) 式で用いられた各パラメーターを F i g .1 4 aに模式的に示し. Z は実験中一定に保たれた。水温は夏から秋へと,稚魚の成長に従って実験し. たため変化した。全熱交換係数 kは 1秒間隔で測定された血合筋温,普通筋温,腹腔温の 経時データを近似して求められた。. H a n d l i n g S t a r t i n gp o i n t. T b l O ). 。乙 ~. Ta. T T b l C り一乙ノeーが tチ T i b の= ( e. "T'". : t=0. 0. 4. Q). ~. E. /'EX. , ノ 、 LU. ~ 26.0 。 g. ( a ). 2 4 . 0 2 2 . 0 、 , 工. . . . . . . ー ‘ ・ ー . . . . . . . . . ー -- - … 十 一 一 - - -ぺ 人 ー 一 ' ー ー 一 " 一 一 ". _ -. 2 0 . 0. H a n d l i n g O. 1 0 0 0. , ー ー ー ' . 一ー ‘ ー 一 、 司 ー一. 2000. T i m e ( s e c ) F i g .1 4 . ( a ) Ty p i c a lprocesso fbodytemperaturechangeinducedbyhandlings t r e s s from soon a f t e r handling. Ta:water temperature; T e : b o d y temperature; T x i : t h e r m a l d i f f e r e n c e between body and environment. Arrows mean the s t a r t i n g point o f measurement ( t= 0 ノ , andexponentialregressioncurvetoestimatewholebodyheat t r a n s f e rc o e f f i c i e n t ( k ) ( b ) Recorded temperature change i n Tuna 32 from handling t o 2000 s e c .S o l i d l i n e : r e dmuscle,thinl i n e : w h i t emuscle;grayl i n e : p e r i t o n e a lc a v i t y ;dottedl i n e : w a t e r .. 299.

(10) 近大水研報. 13号. (2013). 1 1・2 . 結果. 1 ) 血合筋/普通筋比. 筋肉の重さと尾叉長の関係は, Forklength ( y ). ( x ) と Redmuscle/Whitemuscleration. として F i g .1 5に示された 。 尾 叉 長 20. 0cm以 下 で 血 合 筋/ 普通筋比は大きくなる. が,尾叉長 20.0cm以 上 に な る と そ の 比 は 次 第 に 減 少 し て い っ た 。 尾叉長 4.0cm以下の個 体については,普通筋から血合筋を区別することができなかった。. 1 6 . 0. ヌ 乙 1 2 . 0. ー. ・ + 司 L0 4 d. B. q C u n E J. 80. コ. 己 」 q 主 J. ー t a d B. 4 . o ハ リ. ハ リ. ハ リ. ハ リ. 2 0 . 0 4 0 . 0 Forkl e n g t h(FL, cm). 6 0 . 0. F i g .1 5 .Correlationbetweenf o r klength (FL) andmuscler a t i o (red/white:%i n weight) .. 2 ) 体温経時変化. 海水温の季節変化によって,各実験日の飼育水槽または養殖生賓の環境水温は,. 2 8 . 70C ( 9月)から 2 0 . 20C ( 1 1月 ) ま で 変 化 し た 。 全 て の 環 境 水 温 は Miyashita (2002) と Sawadae ta 1 . (2005) に よ っ て 報 告 さ れ た , ク ロ マ グ ロ の 最 適 飼 育 状 態 の 範 囲 内 に あ った 。 これらの実験環境状態は Tablel-1にまとめられた 。 Tuna32の体温情報をみると, 釣り上げ,輸送,センサー挿入作業などのハンドリングの結果急激に上昇した ( F i g .1 4 b ). 300.

(11) 久保:体温情報による養殖クロマ グロの遊泳・消化 ー. 2 ) 式 から 全 熱 交 換 係 数 kを見積 測定開始後から約 15分間体温は最高値を保っていた 。 ( もるために,最高温が 終 わる時を基準. 1 4 b ). 0. (t:=0 ) として,. 温度の時間 変化を測定した ( F i g .. また,各組織と海水の温度差 (T x ) は実験 終 了直前の温度状態から求め られた 。. g ) o Table1 -1 .Date,f o r klength (FL) andbodymass ( ftunausedi nexperiment, watertemperature,andestimatedk,Tm,and Tx .1ndexnumbers:1 ,redm uscle; 2, whitemuscle;3,p e r i t o n e a lc a v i t y . Exp.No.TunaNo.. 2. Date. FL(cm) Bwt 勾). Ta. Redm u s c l e 3 3 k 1X 1 0 Tm1x1 0. W h i t em u s c l e アXl. Tuna1 Tuna2 Tuna3 Tuna4 Tuna5 Tuna6 Tuna7 Tuna8 Tuna9 Tuna10 Tuna11 Tuna12 Tuna13 Tuna14 Tuna15 Tuna16 Tuna17 Tuna18 Tuna19 Tuna20 Tuna21 Tuna22 Tuna23 Tuna24 Tuna25 Tuna26 Tuna27 Tuna28 Tuna29 Tuna30 Tuna31 Tuna32 Tuna33 Tuna34 Tuna35. 2006/9 /1 2006/9 /1 2006/9 /1 2006/9 /1 2006/9 /1 2006 /9 /9 2006/9 /9 2006/9 /9 2006/9 /1 6 2006/9/1 6 2006/9 /1 6 2006/9 /1 6 2006/9 /2 3 2006/9 /2 3 2006/9 /2 3 2006/9 /2 3 2006/9 /30 2006/9 /30 2006/9 /30 2006/9 /30 2006/9/30 2006/1 0/7 2006/1 0/7 2006/1 0/7 2006/1 0/1 4 2006/1 0/1 4 2006/11/2 2006/11 /2 2006/11/2 2 0 0 6/1 1/2 1 1 2 0 0 6/11/2 1 2006/11/2 2007/7 /1 1 1 2007/7/1 2007/7/1 1. 4 . 9 3. 3 3. 4 3. 6 3 . 0 6. 4 6 . 3 6. 7 7. 8 4 7. 7 . 7 8. 1 9. 9 1 0. 9 9 . 6 1 0. 0 1 3. 6 1 3. 9 1 0. 6 1 2. 8 1 3. 7 1 6. 5 1 7. 1 1 7 . 3 1 9. 5 1 7. 8 20. 4 2 3 . 3 .9 21 32. 6 3 5. 9 3 4 . 9 5 5 . 5 5 4 . 5 5 5. 3. 1 . 1 0. 5 0. 5 0. 5 0. 3 3 . 3 3. 3 4 3. 5. 3 4 . 3 5. 0 6. 0 1 2 . 5 4 1 6. 9. 8 1 2 . 0 3 3 . 3 3 9. 1 1 7. 6 2 9 . 9 3 9 . 9 4 7 6. 8 5. 0 9 6. 9 1 4 3. 0 1 0 4. 0 1 6 5. 0 206. 0 1 8 4 . 0 6 1 6 . 0 910. 0 874. 0 3800. 0 3900. 0 3700. 0. 2 8. 3 2 8 . 6 2 8 . 6 28. 6 28. 6 28. 7 28. 7 28. 7 27. 4 27. 4 2 7. 4 2 7. 4 2 7. 3 27. 4 27. 5 2 7 . 5 26. 1 26. 1 2 6 . 1 26. 1 26. 1 24. 6 24. 5 2 4 . 5 2 4 . 1 24. 2 23. 7 23. 9 24. 2 23. 0 22. 4 2 1 . 2 22. 8 22. 8 22. 8. 2 . 9 7 . 1 4. 4 3 . 7 3 . 9 3. 2 1 . 9 2. 3 1 . 4. 0. 9 1 . 0 0. 7 0. 9 0. 5 1 . 4 0. 5 1 . 2 1 . 1. 0. 3 0 .1 0. 2 0. 2 0. 1 0 . 5 0. 2 0. 5 0. 8. 1 . 5 1 . 3 1 . 4 0. 8. 2. 2 4. 7 6. 1 2 . 1. 1 .5 3 . 6 4. 4 2. 6. Tuna36 Tuna37 Tuna38 Tuna39 Tuna40. 2006 /1 0 /2 1 2006/1 0 /2 1 2006/1 0 /28 2 0 0 6/1 0/28 2006/1 0 /28. 2 1. 4 2 0 . 2 1 7. 7 20. 9 20. 9. 1 7 2. 0 1 6 9. 0 8 1 . 0 170. 0 1 6 3 . 0. 2 4 . 5 24. 7 22. 2 22. 3 2 2 . 5. 6. 1 8. 8 6. 0 2. 6 1 . 9. 3. 7 5. 5 3. 9 1 . 6 1 . 2. 0 . 6 0. 6 0. 7 0 . 6 0. 6. 3 ) 全熱交換係数. k2 X 1 03 Tm2x1 03. 374. 2 4 225. 1 7 6. 9 1 0 3. 4 7 5. 5 9 5. 6 1 2 8 . 1 1 2 1. 3 29. 4 30. 4 24. 0 9 8. 7. TX2 0. 0 0 . 0 0 . 0 0. 0 0 . 0 0. 0 0. 0 0 . 0 0 . 0 0. 0 0. 0 0. 0. 4 5 . 2 24. 7 34. 5 1 2. 3 5. 8 2 0 . 0 1 7. 5 5. 7 4. 9 1 0 . 5 4 . 3 4 . 5 3 . 4 3. 6 3. 5 2 . 9 1 . 5 0. 8 1 .1 0. 4 1 .6 0 . 7. 0 . 0 0 . 0. 1 . 4 0. 3 0. 4 0 . 9 0. 8 1 .5 0. 6 3. 1 2 . 3. 0. 1 0 . 0 0. 0 0. 1 0. 3 0. 2 0. 3 0. 1 0. 0 0. 4 0. 1 0. 1 0. 6 0. 9 1 . 3 1 . 6 2. 0 3. 3. 6. 7 7. 3. 0 . 9 2. 0. 0 . 1 0. 3. 2. 7 2. 3. 1 . 3 1 .0. 0 . 5 0. 5. 。 。 。 。 0. 5 0. 3 1 . 2 1 . 6 1 . 3 0. 4. P e r i t o n e a lc a v i t y 3 Tm3x1 0 TX3. k3Xl 03. 2 1 2 . 0 1 9 8. 7 2 7 5 . 7 7 2 . 1 22. 0 67. 9. 0. 0 0 . 0 0 . 0 0. 0 0. 0 0. 0. 42. 9 7 9. 6 45. 6 64. 3. 0. 0 。 。. 7 0 . 0 1 0 5. 2 94. 9 7 . 9 4 5. 5. 1 1 7. 9 8 . 0. 0. 0 0 . 0 0 . 0 0. 1 0. 0 0 . 0 0. 1 0. 0. 2 3. 4 6. 4 3. 2. 0 . 0 0. 0. 0. 5 0. 9. 1 . 6 0 . 6 0. 3. 1 0. 9. 0. 1 0 . 1 0 . 1 0. 0. 1 .0. 1 .0. 1 . 0. 1 .0 3. 2. 1 . 3 2. 7. 1 . 3 0 . 8. 5 . 3. 0. 8. 0 . 1. 1 3. 1 32. 7 7 . 8 2. 7 1 . 7. 1 . 3. 0. 1 0. 0 0. 1 0 . 1 0. 1. 0. 4 0. 4 0. 2. ( k ) と組織と水温の温度差 (T x ). ( 2), ( 3)式の パ ラメーターは F i g .1 6abにそれ ぞれ k と FLの関係, Tx ( : =Te-Ta ) と FLの関係として示された 。全熱 交換係 数 k と尾文長の関係、 は全ての組織と水温との間. F i g .1 6 a)。 血合筋,普通筋,腹腔における温度差は尾叉長 50. 0cmの で類似して いた ( ときに腹腔で最も低く,血合筋で最も高かった 。 尾叉長の増加よる各成長段階において, 各 組 織 で kの数値に差はみられなかった 。. 301.

(12) 13号. 近大水研報. 2 1 0 -. 企・&ぬ自口. 、EFJ. (υo)88包出弓吉岡出ω戸H. 3 1 0 -. ・ •・. , e i x. hu. 4 . 0. 1 0 -1. 1 0-4. 4. (-ー∞)EC田8Q話回潟担恵三宮 310-04β. ( a ). 企 村. 監企. 1 00. I t 5 . 0. (2013). ロ. 3 . 0. 4. 2 . 0. ロ. ロ. ハU. A. AV. ハU. A. QU. 1 .0 20.0. 40.0. 6 0 . 0. Forkl e n g t h(FL,cm) F i g . I 6 .( a ) Relationshipbetweenf o r klength ( h o r i z o n t a la x i s ) andwholebodyheat t r a n s f e rc o e f f i c i e n t ( v e r t i c a la x i s ) .Blackdiamond:redmuscle;whites q u a r e :white muscle;grayt r i a n g l e:p e r i t o n e a lc a v i t y . ( b ) Thermald i f f e r e n c ebetweenbodyandambientwatertemperatures.Symbolsare sameasshowni n( a ). . (2006) は体重 (W) と kの 回 帰 式 を 以 下 の よ う に 示 し た 。 Kitagawae tal. 3 O6 9 5 k=1 . 0 4 9x1 0 X W-.. ( 4 ). しかし, 彼 ら の 結 果 は 体 重 4kg以 上 の ク ロ マ グ ロ 稚 魚 の デ ー タ を も と に 解 析 さ れ た も の である. O. 腹 腔 の 全 熱 交 換 係 数 k と体重の関係を示すために,. ( 4 ) 式と本実験で得られた. 尾叉長 4 .0kg以 下 の ク ロ マ グ ロ 稚 魚 の デ ー タ と の 適 合 度 を 調 べ た ( F i g .1 7 )。 こ れ ら の 値. 1 か ら 得 ら れ た 値 と よ く 一 致 し た (P<0.005,x2 は Kitagawa e ta1 . (2006) の Table 1 t e s t ). 302.

(13) 久保:体温情報による養殖クロマグロの遊泳・消化. Ei 唱. AU. AU. Ei 唱. AU. 'Ei. 戸汽. 今 ,h. Ei 唱. o u d. 唱Ei. 、 司AU. H ω同∞口付さ8﹄ 凡 な 。AE22 冒20 沼ω。Q 民. ∞ 、 ー 〆. 1 0-4 4 1 0 -. 3 1 0 -. 2 1 0 -. 1 0 -1. 1 00. 1 01. Bodymass( B ¥ ¥ にkg) F i g .1 7 . C o r r e l a t i o nbetweenwhole-bodyheattransferc o e f f i c i e n to fperitonealc a v i t y andbodyweighto fbluefintunashownbyl o g l o gs c a l e .Linei sdrawnbasedonthe datao fKitagawae ta1 . (2001).. 1 1 3 . 考察. 血合筋/普通筋比と全熱拡散係数 尾叉長 16.5cm以下の個体について血合筋と水温の温度差の値を得ることができなかっ た。 ほ ぼ 全 て の デ ー タ は 尾 叉 長 16.5cm 以 下 の 個 体 の 普 通 筋 温 と 腹 腔 温 で ゼ、ロであった. ( F i g .1 6 b,Table1 1 )。このことは内温性が尾叉長 16.5cm以下では十分に発達していな. ta1 . (2000) に示されたブラックスキッ かったことを意味する 。 同様の結果は Dicksone プジャック Euthynnusl i nθatus稚魚で報告されている. D. 彼 ら は , 奇 網 は 尾 叉 長 9.59cm. 以上の稚魚で観察され,内温性は尾叉長 20.7cm以上で発現することを報告している。尾. i n e at u sは体内に奇網を欠くために,環境水温よりも高 叉長 9.59cm以下の Eughynnusl 303.

(14) 近大水研報. 13号. (2013). い血合筋を維持することはできない 。 クロマグロはこれとよく似た生理学的特徴を持つよ うである 。 本 実 験 で は , 血 合 筋/ 普通筋比は尾叉長 20.0cm以下の稚魚では 8から 9%とな. F i g .1 5 ) 。 一 方 , 尾 叉 長 20.0cm以上の稚魚では血合筋/普通筋比は 8から 12%ま った ( で増加した。尾文長 17.7cmのTuna38がTuna36からTuna40の中で最も小さいにも関 わらず環境水温よりも 0.66C高 い 体 温 を す で に 持 つ こ と か ら , ク ロ マ グ ロ の 内 温 性 は 尾 0. 叉長 15から 18cmの間で明瞭になると思われる。同様の温度差は各組織の中で最も温度 の低い腹腔温でもみられた。そのときの腹腔と環境水との温度差は 0 .06Cであった 0. D. 尾叉長 34.9cmのTuna32の血合筋とその環境水の温度差は1.5Cであったが,尾叉長約 0. 55.0cmに増加すると,その温度差は急激に増加し 2 . 6から 4. 4Cとなった(Tunas33,34 0. and3 5 ;Table1 1 ). 0. この増加速度はおそらく筋肉重量と好気的遊泳と関連すると思われ. る。体温の上昇に寄与する好気的産生熱は主に遊泳中に血合筋で産生される 。 マグロ類の 血合筋繊維は持続的遊泳のために最適化されており,高いミオグロビンレベルを持つ 。 高 い温度とミオグロビンレベルは毛細血管からミトコンドリアへの酸素拡散速度を速める. (Brill1996). 0. Hattorie ta 1 . (2001) はクロマグロの解化仔魚から,尾叉長 15.0cmの. . 0 から 稚魚までの筋肉の発達過程を報告した。彼らによると,筋肉重量は尾叉長 8 10.0cmの聞に劇的に増加する 。 この発達期間中,血合筋/普通筋の体積比は F i g .1 -4に 示された結果と同様に増加する 。 太平洋クロマグロは養殖生賛環境において解化後 80 日 で尾叉長 20.0cmに達する (Miyashita,2002). 0. その他の内温性サバ科魚類もまた知られている 。 Uda (1941) は,漁場において釣り 上げられた直後にカツオの体温が環境水よりも高いことを報告した 。 この温度上昇はハン ドリングが原因であると考えられるが,本実験でも同様の結果が得られた ( F i g .1 4 b )。. Hollande ta1 . (1992) は,メバチ T .obesusの熱↑貫性 (thermali n e r t i a ) が水温躍層 を通って上昇するとき(加温)と潜水するとき(冷却)の聞の体温変化を決定することを 示した 。 もしマグロが表層から水温躍層下の低水温域へ鉛直遊泳したら,組織と環境水の温度差 は遊泳速度と温度勾配に比例して急激に増加する 口 この時組織ごとの温度変化の遅れ時間. (timel a g ) に 差 が 生 じ る の か ?Ne i l landStevens (1974) は遅れ時間を数学的に解析 し,それらの式に表される現象を理論的に調べるために全熱交換係数 kと内的熱産生を導 入した 。 Figure1 8は腹腔温と血合筋温変化に遅れ時間が存在しないことを表す D 多くの研究者が,アーカイバルタグ,超音波送信機,ポ ップアップサテライトタグを用 い て 自 由 遊 泳 す る ク ロ マ グ ロ の 腹 腔 温 変 化 と 水 温 の 関 係 を 報 告 し て き た (Carey and. ta1 .,2007,Stokesburye ta 1 .,2004,Gunn,2001) 。 これらの報告で Lawson,1973,Teoe は,腹腔温は体温として定義されていた 。 しかし,絶食状況下で血合筋と環境水の温度差. 304.

(15) 久保:体温情報による養殖クロマグロの遊泳・消化. は腹腔のそれよりも 8倍高い 。腹腔温と血合筋を同時に時系列記録として,さらに直接的. 1973) は,クロマグロの筋肉と に比較した報告はほとんどない。 CareyandLawson ( 胃内温度を超音波送信機により測定したが,両者を同時に測定してはいない 。. 1 2 . 遊泳に伴う体温変化. 1 2・1.材料と方法. この実験では容量 2301の ト レ ッ ド ミ ル タ イ プ 回 流 水 槽 (PERSONALTANK; West. t d .,Japan) が用いられた 。 回流水槽内の海水は可 JapanEngineeringLaboratoryC o .,L 変回転式モーターによって循環する 。 クロマグロの行動を真横から観察するため,長さ. 60cm,幅 30cm,深さ 30cmの回流水槽内を透明のアクリル板で仕切って幅を狭めた ( F i g . 1 3 b ) 。透明アクリル板は長さ 60cm,幅 30cmで. 2枚用意した 。 2枚のアクリル板を. それぞれ回流水槽の端から 10cmのところに固定して,マグロが十分に泳げるように中央 に幅 10cmのスペースを残して,マグロが回流水槽内で旋回することを防いだ ( F i g .1 3 c の点線) 。 回流水槽の流速には 5段階の速度が用いられた:それらは 2 6 . 7, 41 .7, 4 7.6,. 5 6 . 6, 71 .6cm/secである 。 実験終了後,流速は 3-D超 音 波 微 流 速 計. ( V e c t r i n o,Nortek. AS,Norway) を用いて較正された 。 .0gから 1 72.0g (尾叉長 1 7 . 7から 21 .4cm) までの 5個 体 が 用 い ら れ 供試魚には体重 81. た ( Table1 1,Tu na36・4 0 ) 。 これらの個体は 1節の実験で用いられた群と同じものであ る。飼育水槽から釣り上げたマグロを口から針を取り除かないままで手術台に載せた。マ グロの口にホースを挿入して,口から麻酔液 (300ppmのエチレングリコールモノフェニ ルエーテル)を流し込んだ。 麻酔と平行して. 1 節の実験と同じ位置(血合筋,普通筋,. F i g .1 2 )口センサー挿入作業が終わると,マグロを麻 腹腔)に温度センサーを挿入した ( 酔状態のまま 26.7cm/sec で循環する回流水槽に入れた 。 麻酔が切れるまでの間,流れの 上流方向に釣り糸を結びつけ,流れの上流部にマグロの吻端がくるように固定された. ( F i g .1 3 b ) 。偲に新鮮な海水が供給されることにより麻酔の効果が切れて,マグロが自 力で遊泳できるようになったら,口元で糸を切り離して測定を開始した。回流水槽の流速 を変えて体温情報を得た. D. 305.

(16) 近大水研報. 13号. (2013). 1 2 2 . 結果. 遊泳速度と各組織温度の関係. i g .1 8に示す。縦方向の点線は回流水槽の流速を変えた それぞれの個体の温度変化は F 時を示す。流速の変化に伴って 2種 類 の 異 な っ た 組 織 内 温 度 変 化 ① , ② が 得 ら れ た : ① は Tuna37と 40でみられたように実験期間中体温が一定に保たれるもの,②はTuna36, 38, 0. . 1から 0 . 3C上昇するものである。 および 39でみられたように流速の増加に伴って体温が 0 .34 土0 .05C, 腹 腔 で 組 織 と 水 温 と の 温 度 差 は , 血 合 筋 で 0.63土0.003C, 普 通 筋 で 0 0. 0. 0.08: 1 :0 .001Cとなった。それぞれの組織問での温度変化の遅れ時間と相互相関係数を見た 0. ところ,各組織問での遅れ時間はみられなかった。すなわち,測定された血合筋,普通筋, 腹腔の温度変化は同時に起きたことが示された。しかし,血合筋と水温との温度差は腹腔 と水温のそれよりも 8倍大きかった。. 1 2・3 . 考察. 遊泳速度と組織温度 本実験では血合筋,普通筋,腹腔における熱変化について次のような特徴が明らかとな. F i g .1 8 ) ;1 ) 環境水との温度差は腹腔で低く温度変化も小さい, 2 ) 温度差は血 った ( ) 流 速 の 変 化 に 伴 っ て 次 の よ う な 熱 変 化 の 特 徴 2 つが見られた;①流 合筋で最も高い, 3. 0 ) ,②遅い流速から速い流速 速が変化しても体温は一定の値で維持される(Tunas37,4 9 ) 。嫌 気 遊 泳 中 の 血 合 筋 で の 温 に切り替わるとすぐに温度は上昇する(Tunas36,38,3 度上昇は後者によって起こるように思える。 この実験結果には好気的遊泳速度から嫌気的遊泳速度に切り替わる,遷移速度が含まれ ていたと思われる 。 Katz (2002) は回流水槽を用いた実験で,キハダが安定した巡航速 度から, 3 . 2 5FL/s e cで突進遊泳に切り替わることを観察している 。 DewarandGraham. l . (1994) は,回流水槽内を遊泳するキハダは 3 . 0FL/s e c以上 (1994) , Dewarθta の遊泳速度では,遊泳を 40分から 60分間継続することができないことを報告している。 外洋では,小さなクロマグロは 0 . 5から1.0BL/s e cの平均巡航遊泳速度を示し, 3 . 5BL/. s e cの最大遊泳速度を 1時間続けたことを示した (AltringhamandBlock,1997) 。 これ . 3 3. 4FLと一致する (Miyashita,2002)。本実験の結果と比較すると, らの体長 BLは 3 7 . 7から 21 .4cmの範囲のものを用いた 。 最も速い流速 71 .6cm/s e c クロマグロは尾叉長 1 ( 4 . 0 FL/s e c相 当 ) で 5分間以上持続的に遊泳することが困難であったため,最も小さ い尾叉長 17.7cmのTuna38は1.5FL/s e cから 3 . 2FL/s e cの流速条件下に置かれていた. 306.

(17) 久保. 体温情報による養殖クロマグロの遊泳・消化. 56.6. (3. 3). (2. 6). Tuna36. EHESF 0し. F--'. 505 554 222. 0 しEdE邑Eト. 505 554 222. /. n u. T. 26. 0. フり一 7. 71.6. (2.6Sl). 制。一泊. 56. 6c m . . . . . . . . . . . s e c 26. 0. 56. 6. (2. 8). トーー一一一. 0 4 2. 。 引. O. 200. 400. 600. 800. 1000. (3.2). (2.4). 200. 400. 600. 1000. 800. 1000. 41.7. (2. 0). 2 4. 0. 2 4. 0. R 面白怪 hト 0し. 200. 400. 600. 800. 1000. 505 332 222. 505 332 222. 0し問面白匹 hト. 800. Tin1e (se c). 6 ﹀ 7 6' 一. 41.7. 5C. 56. 6. 7 ﹀0. 了 irne(sec). 0. 24.0. 200. Tirne(se c). 400. 600. Tirne (sec). 41.7. 47. 6. 56. 6. (2. 0). (2. 3). (2.7). 2 4. 0. Tuna40 0しEdEEEト. 505 332 222 22. 0 O. 200. 400. 600. 800. 市 000. Tirne(sec). F i g .1 8 . Temperature change i n each t i s s u eo fj u v e n i l eb l u e f i n tuna i nd i f f e r e n t swimmings p e e d .Redmuscle s o l i dl i n e ;whitemuscle thinl i n e ;peritonealc a v i t y: grayl i n e ;ambientwater:dottedl i n e .V e r t i c a ldottedl i n emeansthetimewhenflow i g u r e s means flow speed ( c m / s ) ,and speed s h i f t i n g,numerical value above the f numberi nparenthesesi sr e l a t i v e. ことになる 。 この結果は, Tu nas36,38,39が 3 . 0FL/s e c以 上 の 臨 界 速 度 で 好 気 的 遊 泳 モードから突進遊泳モードに移行し, 直 後 に そ れ ら の 個 体 の 筋 肉 温 度 が 上 昇 し た こ と を 示 している 。 流速 5 6 . 6から 71 .6cm/s e cは尾叉長 1 7 . 7から 22. 4cmの個体が, 定体温を維持 するための臨界速度であると考えられる 。 それ以上流速が速くなると, 体温は上昇するだろ フ。. 上記に示された結果から, マ グ ロ 類 は 好 気 的 遊 泳 状 態 の 聞 は 一 定 の 体 温 を 維 持 す る と 考 えられ,. このことは遊泳による内的産熱量が外部への熱損失量と平衡状態にあったことを. 示 す。 嫌気的遊泳の間, 酸 素 交 換 の た め の 偲 換 水 に よ る 熱 損 失 は 止 ま る. O. この現象は体内. で の 熱 産 生 と 同 様 に 熱 交 換 と 熱 伝 導 と が 関 係 す る 。 KitagawaandKimura (2006) は ,. 307.

(18) 近大水研報. 13号. (2013). 2つの生理学的パラメーターを用いて,クロマグロの熱収支モデルを理論的に分析した。 ひとつ目のパラメーターは動脈から組織への熱交換係数,もうひとつは筋肉の中心部から 体表面への伝導性の熱交換である。もしマグロが好気的運動から嫌気的運動に切り替わる と,鯨での換水が止まり. l. F i g .1 8で示されたように筋肉の中心部の温度は上がるだろう。. 普通筋温度上昇は熱に関するふたつの要因によって引き起こされる:血合筋からの熱伝導,. i g . および普通筋内での熱産生である。しかし,これらの影響はよく知られていない。 F 1 8に示されたほぼすべてのデータは,腹腔温が筋肉温と独立していることを示したこと から,腹腔温変動は他の組織での温度変化の影響をほとんど受けないと考えられた。. Careye ta 1 . ( (1984) はまた,胃は魚の中心部と熱的に独立していることを報告した。 溶 存 酸 素 (DO) 吸 収 は 熱 収 支 を 見 積 も る た め に 重 要 な 要 因 で あ る 。 も し マ グ ロ が 好 気 的 代 謝 か ら 嫌 気 的 代 謝 へ と 切 り 替 わ る と , 水 槽 内 の DO減 少 速 度 は 0に な り , 鯨 か ら の 熱 損 失は減少するに違いない。好気的代謝から嫌気的代謝への遷移過程の機構を明らかにする た め に は , 他 の 実 験 系 に よ り 体 温 と 実 験 水 槽 内 の DOを同時に測定する必要がある。. 308.

(19) 久保:体温情報による養殖クロマグロの遊泳・消化. 第 1 1章 . 摂 餌 に 伴 う 腹 腔 温 と 筋 肉 温 度 変 化 の 関 係. H・1.摂餌に伴う腹腔温と筋肉温度変化の関係. 第 I章 の 結 果 か ら , 絶 食 時 に 尾 叉 長 16cmの ク ロ マ グ ロ 稚 魚 の 筋 肉 温 は 腹 腔 温 よ り も 高 く保たれることがわかった。熱は温度の高い筋肉から温度の低い腹腔へと熱伝導によって 伝わるが,腹腔温はほとんど影響を受けなかった。このことは腹腔温の独立性を示唆した。. Carey e ta1 . ( 1984) は 腹 腔 内 の 解 剖 学 的 知 見 と 断 片 的 な 胃 と 筋 肉 の 温 度 記 録 か ら , 腹 腔温が熱的に独立していることを論理的に考察した。腹腔の周辺は熱を通しにくい脂肪と 浮き袋で覆われているために,体外に熱を奪われにくい。加えて,奇網を有することから 血液を介して鯨から熱を奪われにくくなる. (GrahamandDickson,2001) 。 ク ロ マ グ. ロの腹腔が熱的に独立していることを根拠に,さまざまな腹腔温測定実験が試みられ,腹 腔温と生理・行動との関係、が調べられている. (Kitagawa e ta , . 1 2006,Stevens and. Mcleese,1984,Gunne ta , . 1 2001 ) 。 しかし,腹腔温が他の組織から熱的に独立すること は実験的に証明されていない。残された課題として,腹腔温から筋肉温への影響を調べる 必要がある o これを証明するためには,摂餌後に腹腔から筋肉に熱が伝わるかどうかを検証する必要が ある 。 本 章 で は 摂 餌 後 の 腹 腔 温 と 普 通 筋 温 を 測 定 し て , 摂 餌 後 の 腹 腔 温 が 普 通 筋 温 に 及 ぼ す影響の有無を調べた。. H・1 -1.材料と方法. 1 ) クロマグロ 実験には. 2 群 の 産 卵 年 産 の 異 な る 養 殖 ク ロ マ グ ロ 稚 魚 が 用 い ら れ た 。 ひ と つ は 2007. 年に解化して近畿大学水産研究所奄美実験場で飼育された,比較的大きなクロマグロ稚魚. 1尾を用いた(Tu1 ) 。 体 温 測 定 は 2008年 7月 1 1日 に 同 奄 美 実 験 場 で 実 施 さ れ た 。 実 験 開始の 90分 前 ( 8:3 0 ) にサバを給餌した。 10:00に 直 径 32m,深さ 15mの 生 賓 か ら マ グロを釣り上げて. 10:00から 1 1:30ま で 体 温 が 測 定 さ れ た 。 セ ン サ ー が 正 確 に 目 的 位. 置(普通筋)に挿入されていること,および餌であるサバの消化具合を観察するために, 実験終了後にクロマグロ稚魚を解剖観察した。 次に近畿大学水産研究所奄美実験場で自然採卵された直後に白浜に輸送されて飼育され た , 尾 叉 長 20.0cm以 下 の 小 さ な ク ロ マ グ ロ 稚 魚 20尾 に よ る 実 験 を 試 み た 。 仔 稚 魚 飼 育 は. 第 I章 の 方 法 と 同 様 で あ る o 20尾 の 内 17尾 が 摂 餌 後 の 体 温 変 化 を 得 る た め に 供 試 さ れ ,. 309.

(20) 13号. 近大水研報. (2013). コントロールとして 3 尾 が 絶 食 状 態 の 体 温 変 化 を 得 る た め に 供 試 さ れ た. D. 実験開始 1 0'". 30 分 前 に キ ピ ナ ゴ 切 り 身 を 飽 食 量 給 餌 し て , 正 確 な 給 餌 時 間 を ノ ー ト に 記 録 し た 。 その 後 の 体 温 変 化 を 測 定 し た 。 尾 叉 長 20.0cm以 下 の ク ロ マ グ ロ 稚 魚 は 釣 り 上 げ や , セ ン サ ー 挿入作業時(ハンドリング)に頻繁に餌を吐き出すことから,実験終了後に胃・腸内を解 剖 観 察 し て 餌 の 有 無 を 確 認 し た 。 実 験 魚 の 体 重 と 尾 叉 長 は Table1 1 1にまとめられた 。. 2 ) 実験方法. 本 章 の 結 果 と 第 I章 の 結 果 を 比 較 す る た め に , 第 I章 と 同 様 の 方 法 で TUNA THERM を用いて体温を測定した 。 測 定 に 際 し て 第 1章 の 方 法 と の 相 違 点 は 2点である 。 ひ と つ は 実験 10"'30 分 前 に 給 餌 し て い る こ と , お よ び も う ひ と つ は 測 定 箇 所 の 変 更 で あ る 。 第 I 章 の 結 果 か ら 尾 叉 長 16.5cm以 下 の ク ロ マ グ ロ で は , 血 合 筋 が 非 常 に 小 さ く 正 確 に セ ン サ ー を 挿 入 す る こ と が 困 難 で あ っ た 。 そ の た め , 白 浜 の 尾 叉 長 20cm以 下 の 小 さ な ク ロ マ グ ロの体温測定項目から,血合筋を除いた腹腔,普通筋とした ( F i g .1 l b ) 。一方,尾文長. 81cmだ っ た 奄 美 の 大 き な ク ロ マ グ ロ の 体 温 測 定 項 目 は 腹 腔 1 ) ,普通筋腹部. (Whitemuscle2, 普 通 筋 脊 髄 周 辺 部. 普通筋背部 ( whitemuscle. (Whitemuscle3,Tennmi ),. 深層血合筋 ( Realredmuscle) , 表 層 血 合 筋 (Surfaceredmuscle) の 6か所とした ( F i g .. 1 l a ) 。個体は,飼育水槽または養殖生賛から釣り上げ仰向けの状態で作業台に固定した 。 口腔内に水中ポンプのホースの先端を差し込んで鯨に海水を流し,同時に,温度センサー を体温測定部位と水中ホースの内部に固定して,これらの温度を測定した。. /'E¥. hu. 、 ‘ . ノ. ( a ). Wh i t em u s c l e3( T e n m i ). Wh i t em u s c l e. Wh i t em u s c l e1 S u r f a c er e dm u s c l e. R e a lr e dm u s c l e. Wh i t em u s c l e2 c a v l t y. P e r i t o n e a l c a V l t y. F i g .1 1 -1 . Cross s e c t i o n a l schema o fb l u e f i n tuna a tap o s i t i o n along the body corresponding t o 45% from f o r e h e a d ;a ) Amami Lab.and b) Shirahama L a b . . 1 n s e r t i o np o s i t i o n so fsensorswereshownbyarrows.. 310.

(21) 久保:体温情報による養殖クロマグロの遊泳・消化. Waterb a s i n F i g .1 1 2 .Measuremento ftemperaturechangei nt i s s u e so fb l u e f i ntunalarvae,W: Thermometer p o s i t i o n inserted i n water tube,WM: white muscle,PC: p e r i t o n e a l c a v i t y .. 3 ) 解析方法. FigureI I 3に筋肉(血合筋または普通筋) ,腹腔温,水温変化の模式図を示した。 ¥BFノ. /a1、. hu. ( a ). /. P e r i t o n e a lc a v i t ytemp. Wh i t emuscletemp.. Whi t emuscl 巴 t emp. 〆戸、. ρ 1 、.../. ω. j H. Watertemp.. Watertemp.. Whit emuscletemp. Pointofi n t e r s e c t i o n. 百~ater. temp.. Handling. Time F i g .I I3 . Time-series view o ftemperature f l u c t u a t i o no fwhite muscle ( b l a c k ), p e r i t o n e a lc a v i t y ( g r a y ) ,andwater (brokenline). ( a ) f a s t i n gc o n d i t i o n, ( b ) a f t e r feeding, ( c ) under the experimental c o n d i t i o n . Black arrow i s the time o f beginningt of e e d .Whitearrowi sd i r e c t i o no fconductiveheatt r a n s f e rfromhigher temperaturet i s s u et olowertemperaturet i s s u e .. 3 1 1.

(22) 近大水研報. ( a ) は絶食状態での温度変化,. 13号. (2013). ( b ) は摂餌後の温度変化. ( c ) は本章の実験に対応し. た温度変化の模式図を表す。 F i g .I I 3 a に示されるように,絶食状態のとき普通筋は腹腔 温よりも高く保たれる. (Kuboe ta , . 1 2008) 。. F i g .1 13 b )。 一方,摂餌後に腹腔温は消化に伴う産熱によって普通筋よりも高くなる ( 本章の実験設定で得られる腹腔温データはハンドリングと摂餌に伴う温度上昇の影響を受 ける ( F i g .1 13 c ) 。腹腔温と普通筋温はまずノ¥ンドリング後に上昇して,口から海水を流 し込まれることによってこれらの温度は下降する. D. 普通筋温は一定の値に収束していくが,. 腹腔温はあるところから摂餌による産熱によって再度上昇し始める。上昇した腹腔温は普 通筋温と交差して,一時的に普通筋よりも高く保たれることになる。この交点の前と後で の普通筋温変化を解析する。もし普通筋温の温度下降曲線に影響がみられれば,腹腔温は 普通筋に影響するということになる 。 逆に,普通筋温変化に影響がみられなければ,腹腔 温は独立していることが証明される. O. 普通筋温が受ける影響については 1 章と同じ方法で解析を試みた。第 I章で示された. ( 2 ) 式を用いて,腹腔温変化と普通筋温変化の両曲線の交点から前後 200秒 間 で 普 通 筋 の全熱拡散係数 kを計算した。同様に絶食状態の普通筋の全熱拡散係数 kを算出した。交 点から前 200秒間の kと交点から後 200秒間の kを比較して,腹腔温が普通筋に及ぼす影 響を見た。加えて,摂餌後の普通筋の k と絶食状態の普通筋の kについても比較した。. H・1 2 . 結果. 1 ) データ取得個体. 摂餌に伴う温度上昇が観察され,かっ実験終了後に胃内に餌があった個体は奄美で 1尾 中 1尾,白浜で 17尾中 2尾であった。他の 15尾に関しては実験序盤に全ての餌を吐き出 したことによって,摂餌後に見られるような温度上昇が確認されなかった。摂餌後の解析. 1 とする) ,白浜の個体 3尾(Tu2,3 ) ,絶食状態の解析には には奄美の個体 1尾(Tu) を用いた。 白浜の個体 2尾(Tu・ 4,5. 2 ) 白浜個体(Tu2か ら 恒1・ 5 ). F i g .1 1 4に摂餌後のTu2 とTu・ 3の腹腔温,普通筋温,水温の時系列グラフ,絶食時の Tu-5 のグラフを示した。Tu-2 の腹腔温はハンドリングの影響によって少し上昇したが, すぐに水温と同じ温度まで下がった。測定開始後約 150秒後(給餌後 34分 ) か ら 腹 腔 温 O. 4C高くなった。測定開始後約 500秒で温度が急激に下降したが, が上昇し始めておよそ O. このとき餌の吐き戻しが観察された。餌の吐き戻しと腹腔温の急激な下降の時聞が一致し. 312.

(23) 久保:体温情報による養殖クロマグロの遊泳・消化. ていることから, この温度上昇は消化に伴う腹腔温上昇であることが確認された。 一方, 0. の後普通筋温はゆっくりと下降して, 700秒で安定した温度へと収束した. D. そ. 引 1・2の普通筋についてみるとハンドリングに伴って普通筋温はおよそ 2C高くなった 。. 普通筋温が下. 降する間, 測定開始後 400秒のときに普通筋温と腹腔温が交差して, 腹腔温が普通筋温よ りも高くなった 。. 。. Handling 30.. Foodi n t a k e(Tu・2 ). 29. 5 2 9 . 0. ~. 2 8 . 5 2 8 . 0. 白 ω'H (O )255un目 。. 27. 5. 3 0 . 0. i ど: : 7 f r r :. Foodi n t a k e( T u・3 ). 2 9 . 5. コ ア. 29. 0. 三. 2 8 . 5 2 8 . 0. 3 0 . 0. 2 7 . 5. F a s t i n g( T u 5 ). 2 9 . 5 2 9 . 0 2 8 . 5 2 8 . 0 2 7 . 5. 。. 300. 600. 900. 1 2 0 0. 1 5 0 0. Time( s e c ) F i g .1 1 4 .Uppertwof i g u r e s ( Tu2,Tu3 ) aretemperaturechangeo fwhitemuscle peritonealc a v i t y( s o l i dgrayl i n e ) andwater ( d o t t e dl i n e ) a f t e r ( s o l i dblackl i n e ), foodi n t a k e .Lowerf i g u r ei stemperaturei nf a s t i n gcondition.. T u ・ 2,3の普通筋温と腹腔温の交点の前後 200秒間の普通筋の kと絶食状態の普通筋の k e c ) の範囲 1 2にまとめた。 全ての値は 3.6x10-3から 13.3x10・3 (0/s の計算結果を Table1 内にあり, 交差前 200秒間と交差後 200秒間の普通筋の kに顕著な差はみられなかった 。 さらに, 第 I章の Table1 1から絶食状態の普通筋から得られた k と体重 ( k g ) の関係を. 313.

(24) 13号. 近大水研報. (2013). F i g .1 1 5 ) を作成して, このグラフ上に Table1 示すグラフ ( 1 2にまとめられた数値をプ ロットして比較した 。 Table1 1 2にまとめられた普通筋の kは絶食状態の普通筋の k と同 じようにプロットされた。 これらの結果は交差の直前と直後で温度下降の傾向に差がない ことを示し, 摂餌後の腹腔温上昇が普通筋温にほとんど影響しないことがわかった。. 1 00. 八 。 O. S < >. V. トトト. 1A. AUAυ. Ei. 唱. 労グ:. Ei. 噌. 00 0. EA. 旬. 3 今. ハU. g z k f s E ω 2区. 。 匂. 今L. (五)苫20UM824ωS さ. O. O. O. Ei. 噌. 斗. 、、,,,. 1 01. 1 02. σ b. 町. A 曹. ,. AUF. o'K. nB. ,,,‘、. B. B. 10-3. anb 2m. σ 々 10. 10-4 10-4. o. F i g .1 1 5 . Relationshipbetweenwholebodyheatt r a n s f e rc o e f f i c i e n t ( k ) o fwhite muscleandbodymass.Graydiamondsarep l o t t e ddatao fwhitemuscleunderf a s t i n g c o n d i t i o nredrawnfromTable 1 -1 . Blacksquarei sk o fwhite muscle a f t e rf e e d i n g . Whitemuscledatahavenod i f f e r e n c ebetweenf a s t i n ganda f t e rf e e d i n g .. Table1 1・ 1 .Bodylengthandweighto fb l u e f i ntunausedi nexperiments. TunaNo.. FL( c m ) BW(g) 00000000. ハU A V A U A U. h. 凸i v. ウ右ウムウムウ. 凸 l w. 口 、 unδ. Ei. 咽. 今コ. ハU A υ ハυ ハU. し w. Ei. 唱. 3 今. nrnrnrnr. ρluρ. QO. σδοδ. 1 1J u .2008 8 l 1 . 0 1 6 . 4 1 6 . 5 1 9 . 4 1 5 . 2 ウ ム. T u 1 Tu-2 T u 3 Tu-4 T u 5. D a t e. 314. 1 1 3 5 0 . . 0 6 6 . 8 8 7 . 7 1 4 6 . 0 5 3 . 7.

(25) 久保:体温情報による養殖クロマグロの遊泳・消化. Table1 1 2 .Whole-bodyheatt r a n s f e rc o e f f i c i e n to fwhitemuscleo fexperimentalf i s h . 2andTu-3a r eestimateda f t e rf e e d i n g .Datao fT u ・ 4andTu5a r eestimated Datao fTuunderf a s t i n gc o n d i t i o n . T u N o . C o n d i t i o n. k. Tu-2 Tu-3 F e e d i n g F e e d i n g F e e d i n g F e e d i n g ka f t e r kb e f o r e kb e f o r e ka f t e r i n t e r s e c t i o ni n t e r s e c t i o ni n t e r s e c t i o ni n t e r s e c t i o n 5 . 8X10-3. Tu-4 F a s t i n g. Tu-5 F a s t i n g. k. k. . 6X10-3 3 . 6X10-3 6.2X10-3 7.1X10-3 1 3 . 3X10-3 6. 3 ) 奄美個体(Tu1 ). F i g .1 1 4に摂餌後のTu・ 1の腹腔,普通筋背部,普通筋腹部,普通筋脊髄周辺部,深層 血合筋,表層血合筋の温度,および水温の時系列グラフを示した 口 これらの部位はおおま かに腹腔,普通筋,血合筋に分類されるが,分類ごとに同じような温度変化を示した。例 えば,太い黒線で示された深層血合筋 ,表層血合筋等 2ヵ所の血合筋温は測定開始後 400 秒後から緩やかな下降をはじめ. 3ヵ所の普通筋温は測定開始後 300秒 か ら 急 激 な 温 度 上. 昇をみせた 。 これら 3ヵ所の普通筋温上昇は普通筋に特異的な温度上昇だったといえる 白 これら普通筋温上昇は摂餌に伴う腹腔温上昇よりも急激であったために腹腔温が普通筋温 に及ぼす影響をみることはできなかった 。普通筋温の代わりに深層血合筋で代用する必要 がある 。. .2x10-3 ,交差 そこで腹腔温が深層血合筋温に及ぼす影響を調 べ た。 交 差 前 200秒 で 2 4x10 ・3 となった 。 これらの値にも大きな差はみられなかった 。 もし接餌 後 200秒 間 で 8.. .2x10-3 後の腹腔温上昇が深層血合筋に影響するのであれば,交差後 200秒間の k値 は 2 よりも小さい値を示すことになる 。 しかし,交差後 200秒間の k値は交差前よりも大きい 値をとり,両値には大きな差がみられなかったことから,摂餌後の腹腔温もまた深層血合 筋温に影響しないことがわかった 。. H・1 3 . 考察. 1 ) 実験法検証. 摂餌に伴う温度上昇は 2尾のクロマグロ稚魚で観察された 。 実験後に胃内を開いて胃に 餌が残っていた個体の腹腔温は全て上昇していた 。 温度測定中に観察された吐き戻しのた. F i g .1 1 4 ) ,消化によって餌が暖かくなっていたこと びに温度が下がっていたことから ( 315.

(26) 近大水研報. 13号. (2013). は間違いない。得られた 2 尾のデ-タが摂餌後の温度変化であったことは間違いない。し たがって,この 2尾から得られた結果は有効である。. 7尾中 1 5尾が餌を全て吐き戻したという点で,この実験方法は効率的である しかし, 1 とはいえない。予備実験の段階で Papastamatioue ta1 . (2004,2005,2007a,2007b) が データロガーを胃内に挿入したように,クロマグロに麻酔をかけて餌を胃内に流しこむ方 法も試されたが,食道があまりにも細いために管を通すと食道が破れやすかった。また管 を胃まで通すことができても,細い管を通して餌を胃内へ送り込むことができなかった。 もし小さなクロマグロの摂餌後の腹腔温上昇を観察するのであれば,もう少し効果的な方 法を検証する必要がある。. 2 ) 腹腔温の独立性. F i g . 摂餌後の腹腔温上昇は普通筋および血合筋の温度下降に影響を及ぼさなかった (. I I4,5 ) 。 こ の 結 果 と 第 I章の結果,絶食状態で血合筋温と普通筋温は腹腔温に影響しな い,等の結果を併せて考えると,腹腔温が他の組織の温度と独立した温度状態を持つこと が証明された。. Carey e t al .( 1 9 8 4 ) は,腹腔から筋肉に直通する血管が存在する可能性を示唆した (Heatpathway) 。 も し こ の 直 通 経 路 が 存 在 す れ ば , 腹 腔 ま た は 筋 肉 で 産 生 さ れ た 熱 を 利用して,腹腔は筋肉を,筋肉は腹腔を相互に暖めることができ,熱分配機構として働く と考えられる。一方,この直通経路が存在しない場合,腹腔または筋肉で血液に伝わった 熱は奇網で熱交換されてもとの部位へと戻るが,熱交換後の残熱は鯨から失われる がって,この血液が違う器官へと流れても,その器官を暖める熱源にはならない。. 316. D. した.

(27) 久保:体温情報による養殖クロマグロの遊泳・消化. 第1 1 1章 . 腹 腔 温 に よ る ク ロ マ グ ロ 摂 餌 情 報 の 解 析. I章の結果から腹腔温は,他の組織とは独立した温度状態を持つことが 第 I章および第 I 明らかになった。腹腔温と筋肉温が互いに影響を及ぼし合わないことから,消化器内での 代謝産熱が直接腹腔温に反映されると考えることができる。本章では腹腔内での生理学的 反応,特に餌の摂餌・消化・吸収が腹腔温に及ぼす影響について調べた 。. 1 1章の構成について記述する。第 I章の結果で示されたように尾叉長と体重が増加 第 1 することによって熱保持能力が向上して,腹腔温と水温の温度差は高くなっていく 。 クロ マグロの成長は. I I -1.養殖クロマ 腹腔温を解析する上で切り離せない要因といえる 。I. グロの成長では. まず生賓内でのクロマグロの成長と腹腔温変化に焦点をあてた 。. 1 1 1-1.絶食時の体重を基にした水温変化が腹腔温に及ぼす影響. 1 1 11 -1.材料と方法. 1 ) 実験海域. 実験は 3海 域 で 実 施 さ れ た 。 そ れ ら は 近 畿 大 学 水 産 研 究 所 白 浜 実 験 場 ( 和 歌 山 県 同. i g . I 1 ) であった。これらの実験水 大 島 実 験 場 ( 和 歌 山 県 同 奄 美 事 業 場 ( 鹿 児 島 県 ,F 域の特徴は,冬季に季節風の影響を受け大阪湾側から低温水が流入する白浜,黒潮の離接 岸に伴う沿岸湧潮により水温変化が激しい串本と,周年水温変化の少ない奄美とに大別で. t a l . (2006) によると,串本の水温は黒潮の小蛇行および風向によって, きる 。 Takashie 0. 1 2 . 5Cから 2 8 . 3Cの 間 で 短 期 的 に 変 化 す る 。 一 方 , 奄 美 で は 季 節 風 お よ び 海 流 の 影 響 が 0. 少なく,水温は 1 9 . 0Cから 3 0 . 2Cで比較的安定している 口 0. 0. 2 ) 温度計と小型記録計. 本実験には第 1 1章で用いた TUNA THERMを使用した 。尾叉長 4 0 . 0c m以下のクロマ グロは,小さすぎて手術により腹腔に小型温度記録計を挿入して測定することができない ことから,微細な温度センサーを直接腹腔内に装着して記録を得た 口 尾叉長が 4 0 . 0c mを超えるクロマグロの腹腔温については,小型記録計の一種であるア. rchivalt a g ;W i l d l i f ecomputersI n c .,U . S . A . ) と 3種類のデータ ーカイバルタグ (Mk-9A ストレージタグ (DSTc e n t i e x,DSTm i l l i,DSTm i c r o ;Star -OddiL t d .,I c e l a n d ) が用い. . 0 5C) を同時に測定することができ, られた。アーカイバルタグは腹腔温と水温(分解能 0 0. 加えて遊泳深度(分解能 0.5m) を 5秒 間 隔 で 78日間測定できる. 317. D. アーカイバルタグは比.

(28) 近大水研報. 13号. (2013). 較的大きいため,尾叉長 6 0 . 0c m以 下 の 個 体 に 挿 入 す る に は 難 し か っ た 。 デ ー タ ス ト レ ー ジタグは水温センサーを持たないため水温を測定できないが,アーカイバルタグと比べて 小 さ い た め に 尾 叉 長 40. 0c mの ク ロ マ グ ロ の 腹 腔 内 に 挿 入 可 能 で あ る 。 デ ー タ ス ト レ ー ジ タグをクロマグロの腹腔内に挿入して, 10分 間 隔 で 腹 腔 温 を 測 定 し た 。 10分 間 隔 で 測 定 した場合, DSTc e n t i e xで 1208日 , DSTm i l l iで 150日 , DSTmicroで 150日間腹腔温 と遊泳深度を測定することができる 。 データストレージタグで測定できないクロマグロの遊泳する周辺水温を測定するために,. l e c t r o n i cCo. ,Japan) が 用 い ら れ た 。 水 温 を 測 定 で き る 小 型 記 録 計 (MDS-Mk5/T;AlecE これは分解能が 0 .015: f :0 . 0 5Cで,水温を 10分 間 隔 で 測 定 し た 。 こ の 小 型 記 録 計 で 実 験 生 0. 賓の水温を鉛直的かつ経時的に記録した。小型生賓の場合. 1mから 7mまで 1m間隔で,. 大 型 生 賓 の 場 合 1, 5, 10, 15, 20mの 深 さ に 小 型 記 録 計 が 設 置 さ れ た 。 各 測 定 し て い な い水深の水温については線形補間によって温度を推定した。 こうして得られた鉛直水温プ ロファイルから,データストレージタグに記録されたクロマグロの遊泳深度に対応した水 温を周辺水温として用いた。. 3 ) 腹腔温と環境水温測定. so r i e nt a J i sは 3 つ の シ リ ー ズ に 分 け ら れ た ; 実 験 に 用 い ら れ た ク ロ マ グ ロ Thunnu [ S e r i e s1 ]2006年 に 白 浜 で 鮮 化 し て 飼 育 さ れ た 尾 叉 長 3 . 0から 5 5 . 0c mの小さなクロマグロ である o こ の ク ロ マ グ ロ は シ オ ミ ズ ツ ボ ワ ム シ (DHA-enrichedr o t i f e r s ),ブラインシ Z リンプ Artemianau p J l i ,マ ダ イ 仔 魚 , キ ビ ナ ゴ 切 り 身 , イ カ ナ ゴ 切 り 身 を 成 長 に あわせ て 給 餌 ・ 飼 育 さ れ た 。 餌 の 摂 餌 ・ 消 化 ・ 吸 収 に 伴 う腹 腔 温 上 昇 の 影 響 を 取 り 除 く た め に. (Careye ta , . 1 1984,Gunne ta J .,2001,I tohe ta , . 1 2003) ,実験の 2 日前から給餌を止 めてクロマグロを絶食状態にした。 実験当日,魚を釣り上げ,手術台に腹側を上に向けて 固定した 。 魚 の 暴 れ る の を 抑 え る 黒 色 の ビ ニ ー ル で , 両 眼 を 覆 い 隠 し た 。 そ の 処 置 を 施 し た 後 酸 素 を 送 る た め , ホ ー ス で 口 か ら 偲 へ と 海 水 を 流 し 込 ん だ。 ク ロ マ グ ロ の 腹 腔 温 は 温 度 計 (TUNATHERM) で測定された(Tuna2からTuna40, TableI I I -1 a ) 。 実験終了 後に各個体の尾叉長と体重が測定された o S e r i e s1の 詳 細 に つ い て は Kuboe ta1 .( 2 0 0 8 ) にまとめられた。. [ S e r i e s2 ]2006年 に 串 本 で 瞬、 化して飼育されたクロマグロは, 2006年の 1 1月 8日 , 1 1 月 29 日 , 1 2月 1日 , 12月 6 日に白浜に輸送された 。 こ れ ら の 魚 は 縦 12m, 横 12m, 深 さ 8mの 正 方 形 生 賓 に 各 57尾 ず つ 収 容 さ れ た 。 一 方 の 生 賓 に は 生 餌 の イ カ ナ ゴ を 給 餌 し (生餌区) , も う 一 方 の 生 賓 に は 配 合 飼 料 を 給 餌 し て ( 配 合 飼 料 区 ) ,そ れ ぞ れ の 給 餌 量 が記録された。 クロマグロが新しい生責環境に順応して十分に摂餌することが確認された. 318.

(29) 久保:体温情報による養殖クロマグロの遊泳・消化. 後 で , ク ロ マ グ ロ の 腹 腔 内 に デ ー タ ス ト レ ー ジ タ グ (DSTm i l l i,DSTmicro)を挿入して, 腹腔温を測定した。同時に生賛周辺の水温も測定した(Tuna41からTuna60). 0. S e r i e s3 ]では, 2003年 , 2004年 , 2005年 に 西 部 太 平 洋 で 釣 り 上 げ ら れ , 奄 美 に 輸 送 されて,実験サイズまで飼育されたクロマグロを用いた。 S e r i e s3の 実 験 魚 を 飼 育 す る た め に 使 用 し た 生 賓 の サ イ ズ は 直 径 16m,深さ 10mの 円 形 生 賛 お よ び 直 径 35m,深さ 20m の も の で あ る 。 餌 と し て サ パ , ア ジ , イ カ ナ ゴ , イ カ な ど の 餌 が 1 日に 1 回,または 2 回給餌された ( Table1 1 1 2 ) 。意図的に絶食状態をつくるために毎週日曜日を無給餌日と した。また,台風接近時に生賓に行けないときには給餌していない。遊泳するクロマグロ の 腹 腔 温 は デ ー タ ス ト レ ー ジ タ グ (DSTc e n t i e x,DSTm i l l i,DSTmicro) とアーカイバ ルタグで測定された口. 4 ) 成長と摂餌量. S e r i e s 2お よ び 3で 用 い た 実 験 魚 に つ い て , 尾 叉 長 (FL,cm) お よ び 体 重 (B M , kg) の成長履歴を別途見積もった。理由は,小型記録計を腹腔内に挿入するときに,クロマグ ロ に 与 え る ス ト レ ス を 最 小 限 に お さ え る た め に 作 業 を 30秒以内に終わらせる必要があり, 実験開始時の尾叉長と体重を知ることができないためである o つまり,腹腔温測定終了時 にしか尾叉長と体重が測定できない。そこで,群れを形成させるために生賓内に加えた, 実験魚以外のクロマグロを用いた。それらの個体は,順次鮮魚市場へ出荷される際,尾叉 長と体重が記録される。このデータを用いて, 2004年産(奄美) , 2005年産(奄美) ,. 2006年産(白浜の配合区,生餌区)の各生賛における平均的な成長履歴を計算した口同じ 出生起源のクロマグロが,水温環境の相違で変わる成長履歴を見積もることができる. D. 2003年産(奄美)の成長履歴については,台風接近のために生責内のクロマグロが全滅し てしまったために作成できなかった。得られた全てのデータは, von B ertalanffy の成長 曲線式 ( simpleVBGmodel)で近似された (Harada, 1966,Hearn,2003). 見. =F L i n f( 1 -e一的ーら)). B M=B M i n f(1 -e 一助一t o ))3. (1 ). ( 2 ). ここで FLinfと BMi n fは そ れ ぞ れ FL と B λ;fの極限値を意味する。近似する際に尾叉長. 270.0 cm,体重 403.9kgを 最 大 値 と し て , そ れ 以 下 の 範 囲 で 近 似 さ せ た 。 こ の 最 大 値 は 近畿大学におけるクロマグロ最大個体の記録 ( 15歳)である (Miyashita2002,熊井, 2006)。. 319.

(30) 近大水研報. K は成長係数. 13号. (2013). tは生賓の魚を測定し始めた日からの経過日数, t oは定数項を示す。. 小型記録計が挿入されたときの個体の成長曲線を見積もるために. 各生賛での平均的な. 成長履歴は,実験終了時に記録された尾叉長と体重をもとに補正された 。 小 型 記 録 計 挿 入 個体から得られる尾叉長と体重の実測値(それぞれ A お よ び A 'とする)は実験終了時に得 た。 一 方 , 各 生 賛 の 平 均 的 な 成 長 曲 線 か ら も , 実 験 終 了 時 の 尾 叉 長 と 体 重 の 計 算 値 (B,. B 'とする)が得られる 。 各生賓の平均的な成長曲線式は A と B の比率を掛ければ小型記録 計挿入個体の成長曲線を見積もることができる 。 す な わ ち ;. FL=( E q . l ) xA / B. ( 3 ). BM=( E q . 2 ) xA ' / B '. ( 4 ). となる 。 ( 3 ), ( 4 ) 式から小型記録計挿入時の尾叉長と体重を求めた 。 水温が成長に及ぼす影響を知るために,奄美 ( 2 0 0 5年 , S e r i e s3 ) と白浜 ( 2 0 0 6年 生 餌区, S e r i e s2 )の成長を比較した 。 さらに成長と摂餌量の関係をみるために,奄美 ( 2 0 0 5 年 ) と白浜 ( 2006年 生 餌 区 ) の 摂 餌 量 を 比 較 し た 。成 長 す る ク ロ マ グ ロ の 摂 餌 量 を 標 準. F i z t g i b b o ne ta , . l2 0 0 7 )。 化し,摂餌量が体重に占める割合 ( % λ1b)として表した (. 5 ) 腹腔温データ処理 ( S e r i e s1 ) 得られた腹腔温変化 T f ( t ノの代表値として絶食時・定常状態の腹腔温を用いた 。 絶 食 状態のクロマグロを釣り上げてハンドリングする間,おそらく嫌気的代謝によって対流性. Kuboe t の熱損失が遮断されるために,腹腔温は上昇する(摂餌に伴う温度上昇ではない ( al .,2 0 0 8 ). 0. クロマグロの口から鯨へと海水が供給されると , T f ( t ノは緩やかに下降し. fと Z の 1セットが各実験魚から抽出さ 始めて安定した値に収束してい く 。 安定状態の T れた 。. 6 ) 腹腔温データ処理 ( S e r i e s2, 3) S e r i e s 2, 3 では生賛内で給餌,飼育されたクロマグロの長期データが得られるため, t ) のみを抽出する必要がある 。 給餌記録から給餌の有無を見て, 絶食状態の腹腔温 Tf (. これに腹腔温情報を併せて,クロマグロが絶食状態にあった日を特定した 。 土曜日(給餌 日) 9 : 0 0と 1 6 : 0 0に給餌して,. 日曜日(無給餌日, F i g .1 1 1 1 a ) には給餌していない 。 土. 6 : 0 0にクロマグロが摂餌したあと,腹腔温 Tb ( t ) は急激に上昇して, F i g .1 1 1 -1 aの 曜 1. 3 2 0.

(31) 久保 :体温情報による養殖クロマグ、ロの遊泳・消化 -t Ea' '. J'E. J'. 、 ふ し , 、 、 ,,,‘、. を調べたところ,. 、 、 4L 、 、. 破 線 で 示 さ れ た 絶 食 状 態 の 腹 腔 温 Tf. へと収束する 。 実 験 で 得 ら れ た 腹 腔 温 変 化 Tb. 日曜日 12:00 時 以 降 腹 腔 温 が 下 が ら な か っ た こ と か ら ,. 日曜日. 12:00から月曜日 9:00ま で 腹 腔 温 は 絶 食 状 態 で あ っ た と 判 断 で き る 。 また, 小 型 記 録 計 挿 入作業に伴うハンドリングストレスにより, ク ロ マ グ ロ は 約 7 日 間 餌 を 食 べ な い こ と が 知. (Gunne ta , . l 2001). られており. 模式的に示した F i g .I I 1 1の よ う な 絶 食 状 態 が 引 き 起. こされる 。. a. /,. 唱. F'. F a s t i n g. hu. 、 ・. , ‘ 、. ( a ) O Illi--v. 4 主. E 吋. /. Q). 巳4. g ω. H. /. 乙( t ). T a ( t ) 0: 00. 1 2 : 0 0. 0 : 0 0. 1 2: 00. 0: 00. 1 2 : 0 0. Time F i g .1 1 1 -1 . ( a ) Schematictime s e r i e so fperitonealcavitytemperaturefluctuation a f t e rtwiceperdayf e e d i n g . Ta,watertemperature; T b,peritonealcavitytemperature duringd i g e s t i o n ;T , f p eritonealcavitytemperaturei nf a s t i n gc o n d i t i o n .Arrowshows thetimewhenf i s hfeedandrapiddescendingi ntemperaturei scausedbyc o l dd i e t swallowing. ( b ) Schematic time s e r i e so fperitoneal cavity temperature in fasting condition duringnon-feeding O . e .Sunday). Tuna41からTuna87までの個体において, 全 無 給 餌 日 の 12:00から 23:50ま で の 腹 腔 温 の 平 均 値 (Tfmean) お よ び 水 温 の 平 均 値. (Tamean). を求めた 。. 一尾のクロマグロの絶食時の腹腔温の季節変化を調べるために, 各 個 体 に つ い て と. Tameanの 関 係 を 最 小 二 乗 回 帰 し た ;. Tfmean. =Y xえm ω +z. ( 5 ). ここで y と Z は係数である o. 321. Tfmean.

(32) 1 3号. 近大水研報. (2013). S e r i e s2と 3の結果は時系列データとして得られるために, S e r i e s1のデータと比較で きない 。 S e r i e s 2, 3のデータと Tfと Z の 1セットとして得られる S e r i e s 1の解析結果 を比べて成長に伴う T f ( t ノの変化を調べるために, S e r i e s2と 3の絶食状態の全ての D ( t ノと Ta ( t ノは 1セットの T fと Z に平均化された 。 S e r i e s 1, 2,および 3の全個体. fと Z を体重 0 . 0 0 . 2 k g, 0 . 6・ 1 .4kg, 2 . 0 7. 4kg, 7 . 5・ 44.1kgで類別し,比 の 1セットの T 較した 。. 1 1 1 1・2 . 結果. 1 ) 環境水温. T,成 長 , お よ び 摂 餌 量 I 1. 全 実 験 魚 の 尾 文 長 と 体 重 の 成 長 履 歴 お よ び 実 験 期 間 中 の T una74について見積もられた. i g . 1 1 1 2 に ま と め ら れ た 。 最 小 二 乗 近 似 さ れ た 各 年 代 ・ 生 賓 の Von 成長曲線は, F I 1 -4にまとめられた 。 全個体の測定開始,終了時の Bertalanffy成 長 曲 線 の 係 数 は TableI 1 1 -1, 2, 3にまとめられた 口 尾 叉 長 と 体 重 の 実 測 値 ま た は 推 測 値 は Table1. 160.0 〆 ー ヘ. ( 的. 日. FL T u n a 7 4. 120.0. u. 叫. 山 、 J. 。 。 ロ 二. 80.0 吾 2005. ( ] ). 40.0. 。 』. 2006. 弘 司. 0. 0. 80.0 , . 旬 、、 b 1 }. ( b ). 言60.0. f 主 義。 . .. . 土ロ. 向. 8. 詔 40. 0. FL T u n a 7 4. d. 日. ~. 令. 。20.0 AU. ハU. 伺. ハU. 2006. 200. 400. 600. 800. Daysa f t e ras t a r t i n gm e a s u r e m e n td a y, t (d a y ) F i g .1 I I 2.Correlationbetweenf o r klength (upper) ,bodymassincrease ( lower) o f culturedb l u e f i ntunaanddaya f t e rmeasurementbeginning.. 0 S e r i e s 1の尾叉長 3.0cmから 55.5cmまでの 31尾のクロマグロ腹腔温は, 21 .7Cから. 28.7Cの水温環境下で測定された 。 水 温 は こ の サ イ ズ の ク ロ マ グ ロ に と っ て 適 当 な 飼 育 環 0. 322.

Table 1 1 ・ 1 .Body length and weight o f  b l u e f i n  tuna used i n  experiments 
Table 1 1 1 ‑ 1 .   S e r i e s  ID o f  experiment s t a r t  and end day o f  experimental period ,  study  s i t e ,  b i r t h   year  o f  f i s h ,  f o r k   length ,  body mass ,  mean value  o f  p e r i t o n e a l   c a v i t y  temperature i n
Table 1 1 1 ‑ 2  S e r i e s  1D o f  S e r i e s  2 ,  s t a r t  and end day o f  experimental period ,  study s i t e ,  b i r t h  year o f  f i s h ,  f o r k  length ,  body mass ,  mean value o f  p e r i t o n e a l  c a v i t y  temperature  i n  
Table 1 1 1 ‑ 3 .   S e r i e s  1D o f  experiment s t a r t  and end day o f  experimental period ,  study  s i t e ,  b i r t h   year  o f   f i s h ,  f o r k   length ,  body mass ,  mean value  o f  p e r i t o n e a l   c a v i t y  temperature i n
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