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Fig. 111‑14. Correlation between gastric evacuation rate and water temperature when fish was fed 4 and 5 %Mb mackerel.
111‑3.腹 腔 温 情 報 を 用 い た 配 合 飼 料 と 生 餌 の 消 化 性 の 比 較
111‑3・1.材料と方法
実 験 魚 は 111‑1で用いた Series2の 個 体 の デ ー タ を 用 い た (TableIII ‑2) 0 2006年 に 奄 美 で 天 然 親 魚 か ら 採 卵 さ れ た ク ロ マ グ ロ の 卵 を 奄 美 か ら 串 本 ま で 空 輸 し て 飼 育 し た 。 こ れ らのマグロは2006年 の 11月8日, 11月29日, 12月 1日, 12月6日に白浜に輸送され,
縦 12m, 横12m,深さ 8mの 正 方 形 生 賓 に 各57尾 ず つ 収 容 さ れ た 。 実 験 を 開 始 す る 2007 年 1月 28日までは生餌と配合飼料を交互に給餌した。 1月 28日 か ら 一 方 の 生 賓 に は 生 餌
の イ カ ナ ゴ の み を 給 餌 し ( 生 餌 区 ) , も う 一 方 の 生 賓 に は 配 合 飼 料 の み を 給 餌 し た ( 配 合 飼 料 区 ) 。 配 合 飼 料 区 生 餌 区 の 給 餌 量 , 給 餌 時 間 を 記 録 し た 。 ク ロ マ グ ロ が 新 し い 生 賓
環 境 に 順 応 し て 十 分 に 摂 餌 す る こ と が 確 認 さ れ た 後 で , ク ロ マ グ ロ の 腹 腔 内 に デ ー タ ス ト fJ l
レージタグ (DSTmilli, DST micro)を挿入して,腹腔温を測定した。同時に生賓周辺の 水温も測定した。生餌区で 3尾,配合飼料区で 3尾から 1ヶ月間以上の長期データが得ら れた。これらの腹腔温データから胃内容消化時間を抽出して,生餌と配合飼料を比較した。
実験に用いられた配合飼料の魚粉には酵素処理魚粉が用いられた。水分含量が異なる生餌 と配合飼料を比較するために,配合飼料の摂餌量を 4倍した。これらの餌の一般化学成分 比もまた調べられた。
111‑3・2.結 果
1)摂餌量と成長
Fig. 111‑15に一尾あたりのマグロの摂餌量 (%Mb)を示した。実験開始当初配合飼料に なれないためか,生餌の摂餌量の方が配合飼料の摂餌量を上回っていたが, 2月 20日ご ろから生餌と配合飼料の摂餌量は同等量となった。 TableIII‑5に一般化学成分比を示し た。
生餌区にはイカナゴのみ,配合飼料区には配合飼料のみを与えてから 30日から 40日ま で の 問 で 両 区 の ク ロ マ グ ロ 稚 魚 の 体 重 に 有 意 な 差 は み ら れ な か っ た (Fig. 111 ‑16)。
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2007/1/18 2007/2/7 2007/2/27 2007/3/19 2007/4/8 Date
Fig. 111‑15. Daily amount of food. Gray square means daily amount of sandeel. White diamond is dry pellet converted into wet weight.
341
(2013) 1 3号
近大水研報
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2006/11/1
Date
Fig. 111‑16. Daily amount of food. Gray square is daily amount of sandeel. White diamond is dry pellet converted into wet weight.
2)腹 腔 温 解 析
生 配 合 飼 料 区 の 個 体 で 3尾(Tuna47,51, 54) , 1ヶ月以上のデータが得られたのは,
Fig. 111‑17に配合飼料区の 3尾 (Table 111‑2)。
となった (Tuna56, 57, 60)
餌 区 で 3尾
Fig. 111‑18に生 餌 区 の 3尾 の 温 度 記 録 を 示 し た。配 合 飼 料 区 の 温 度 変 化 は の温度記録を,
配 合 飼 料 区に比べて 小 さ か っ た。配 合 飼 料 区 の デ ー タ ロ ガ ー 挿 入 個 体 で 摂 餌 が 確 認 さ れ た こ れ ら の 温 度 変 化 と 給 ( Fig . 111 ‑18)。
Tuna54で4回 確 認 さ れ た の は T una47で2回,
摂 餌 に 伴 っ て 腹 腔 温 が 上 昇 す る と き の 水 温 変 化 は ほ ぼ 一 定 で あ る 餌時聞が一致しており,
Fig.III‑18に 示 さ れ た 腹 腔 温 変 化 は 摂 餌 に 伴 う 温 度 変 化 で あ る と 断 定 さ れ た口 ことから,
生餌区の温度変化の場合,
配 合 飼 料 区 の 摂 餌 後 の 腹 腔 温 変 化 は 生 餌 区 の そ れ と は 異 な っ た。
配 合 飼 料 一方,
そ の 後 大 幅 に 上 昇 す る。 餌を飲み込んだときに腹腔温は急激に下降して,
温 度 は 少 し 上 昇 し た 後 に そ の 一 定 の 摂餌直後に急激な温度低下はなく,
区の温度変化は,
温 度 を 保 っ た 後 に 下 降 す るo
生 餌 区 で は T una56か ら 最 多 の 摂 餌 反 応 が 見 出 さ れ た。 配 合 飼 料 区 で は T una54から,
Fig.1II‑19に 配 合 飼 料 区 こ れ ら の 摂 餌 に 伴う温 度 記 録 か ら 胃 内 容 消 化 時 間 が 算 出 さ れ た。
と 生 餌 区 の 胃 内 容 消 化 時 間 と 摂 餌 量 の 関 係 図 を 示 し た。配 合 飼 料 を 摂 餌 し た と き の 胃 内 容 消 化 時 間 は 生 餌 を 摂 餌 し た と き の 消 化 時 間 よ り も 長 い よ うに思われたD 摂 餌 量 で 2.9から 配 合 飼 料 を 摂 餌 し た 場 合 318.3分となったが,
生餌よりも約1.6倍 3.3%Mbまでの胃内容消化時間の平均値は,
生 餌 を 摂 餌 し た 場 合 197.5分 と な っ た。配合飼料を消化するために,
長い時間を要すると考えられた。
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Fig. 111‑17. Peritoneal cavity temperature fluctuation after feeding of dry pellet.
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Fig. 111‑18. Peritoneal cavity temperature fluctuation after feeding of sandeel.
343
近大水研報 1 3号 (2013)
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Fig. 111‑19. Peritoneal cavity temperature fluctuation after feeding of dry pellet.
Table 1II ‑5 Energy contents of sandeel and dry pellet
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111‑3・3.考察
腹 腔 温 情 報 を 用 い て 配 合 飼 料 と 生 餌 の 胃 内 容 排 出 時 間 を 評 価 し た 。 腹 腔 温 は 生 餌 を 食 べ た場合に,配合飼料を食べた場合よりも高くなった。このことは生餌を消化するために,
時間あたりに産生される熱量が配合飼料に比べて大きいことを意味する。おそらく,配合 飼料に用いられた酵素処理魚粉は,あらかじめタンパク質の鎖を切断されているために,
消化に伴う 反応基 質 がイ カ ナ ゴ に比 べて 少な かっ たと 考え られ る。 その 結果 ,加 水分 解 熱 量が小さくなり,配合飼料摂餌後の腹腔温はそれほど高くならなかったと考えられる。
しかし,配合飼料は酵素処理が施されているにも関わらず,配合飼料の胃内容消化時間は 生餌の胃内容消化時間の約1.6倍の時間を要した。この検証は, 111‑1の結果(胃内容消化 時間は水温と摂餌量の影響を受ける)をもとに,配合飼料と生餌を比較する際に同じよう な水温条件,同摂餌量,同サイズで比較された。したがって,配合飼料と生餌の消化時間 の差は餌の違いに起因すると考えられる。
345
近大水研報 1 3号 (2013)
第 IV章.総合考察
クロマグロの体温変化を通じて得られた結果の総合考察として,最初に漁業に関係する 側面を取り上げたい。それらは 海洋漁業現場に関連して, IV‑1)クロマグロの体内産熱 と体外熱拡散による体温変化と身焼けの関係であり,養殖漁業に関連して, IV‑2)クロマ グロ養殖における最適水温環境と摂餌量の関係であるo
IV‑1.身焼けと体温の関係、
身焼けは釣り上げ直後に脊椎周辺部の普通筋(テンミ, Fig. II‑l)部分の温度が上昇し て,テンミ周辺部位の価値を著しく下げる現象である。Blocket al. ( 1994) によると身 焼けが発生してヤケ肉になると,マグロ肉本来の赤い透明な色調が失われ,灰褐色かっ不 透明で水っぽい感じのする肉質のものがみられるという o この原因として,漁獲後の高い 体温のもとで解糖反応が急に進行して pHが 5.6付近まで低下し,筋原繊維タンパク質が 変性したためであると考えられている口大型のマグロ類で発生頻度が高く,マグロ類だけ でな くブリ類でもよくみられる。身焼けは漁業関係者,研究者から漁業従事者まで,広く 知られる現象であるにも関わらず,その発現機構についてはほとんど議論されていない。
経験則をもとに現在施されている生マグロの身焼け対策としては,大別して2つ 挙 げ ら れ る:1)釣り上げ時になるべく暴れさせない, 2)急速に冷やす,である。例えば, 1)は 釣り上げるときにエレキショ ッカーを用いて,電気刺激によりマグロをマヒ状態にするこ と , お よ び マ グ ロ を 即 殺 し て 筋 肉 で そ れ 以 上 熱 を 産 生 さ せ な い こ と で あ る。2)は 氷 で 急 速に冷やすことである。一般にこの作業は釣上げ後,偲と内臓を取り除いた後に行われる。
これらの処置が施されているにも関わらず,身焼けは完全にはな くならない。身 焼 け の 被 害を最小限にとどめるためには,その出現機構を正しく理解して,より細やかな対策をと る必要がある。IV‑1で は 本 研 究 か ら 得 ら れ た 知 見 か ら , 身 焼 け の 出 現 機 構 を 考 察 し , 身 焼け防止のためのアイディアを示したい。第I章,第II章から身焼けに影響し うる2件の 普通筋温上昇パターンがみられた。1件目は釣り上げなどのハンドリ ング直後に起こる温 度上昇 2件目は釣り上げ後から数十分後に起こる温度上昇である。この 2件 の 事 例 に つ いて検証したい。
IV‑1・1.釣り上げ直後の温度上昇
第 I章の結果から クロマグロが嫌気的状態に置かれると血合筋,普通筋,腹腔温が急 激に上昇することが明らかとなった。釣り上げ直後の温度上昇は全個体の血合筋,普通筋,
腹腔などほぼ全身でみられた (Fig.1 ‑3)。マグロを釣り上げて海水中から空中に出すと,
嫌気的状況下に置かれることとなる。この状態で熱損失の過程を追うと,組織=今血流=今鯨
=今海水中の鯨から海水中への熱損失がなくなる。したがってマグロが暴れることによって,
体内で産生された熱は組織内に留まる。このような熱平衡バランスの崩れによって体温は 上昇する。体温が水温と同じ温度で保たれるブリ類(外温性魚類)でも,頻繁に身焼けが 起こる。ブリ類は奇網を持たないため,体内で産生された全ての熱は鯨から海水中へと拡 散して,体温と 水 温 が同 じ にな る 。しかし,空気にさ らされ る と,偲 か らの拡 散 による 熱 損失は止まり,体内の産生熱で体温が上昇し始めると考えられる。魚が空中に置かれたと
き,おそらく熱を産生する全ての組織で、熱平行バランスが崩れ,各組織の温度は上昇するo
従って,この温度上昇はテンミに特異的に起こる温度上昇とはいえず,身焼けを引き起こ す主要因になるとは考えられない。しかし,身体全体の温度上昇は身焼けを引き起こす副 要因となると考えられることから,これを回避することは身焼けを防ぐために有効な手段
となることは間違いない。
現在行われている身焼け対策の内の 1)釣 り 上 げ 時 に な る べ く 暴 れ さ せ な い こ と は 有 効 な手段である。マ グ ロ を 即 殺 す る こ と に よ っ て 狂 奔 に 伴 う 熱 産 生 を 早 い こ と と め て , 体 温 上昇を最小限に食い止める効果がある。
一方,身焼け対策の内の 2)氷で急速に冷やすことは,釣り上げ直後に上昇した体温を 下げるために効果的ではないように思える。上記したように,〆られたマグロは鯨と内臓 を取り除かれて氷漬けにされる。もちろん鯨と内臓が取り除かれたあとにできる空間にも 氷を詰めて冷やされるD しかし,体重30kg以上の出荷サイズのマグロの筋肉は,非常に 重厚で、かっその身は熱を伝えにくいため,氷による冷却の効果が弱くなるかもしれない。 Carey et a1. (1984) はマグロの身体,特に脂肪と鯨が熱を通しにくいことを示唆した。 極端ではあるが,断熱性の高い発泡スチロールを氷で冷やそうとしてもなかなか冷えない ことが,例として挙げられる。また冷却面から,冷やしたい部位までの距離も重要となるo
熱 ( 冷 却 ) エ ネ ル ギ ー が 伝 導 す る 量 は , 距 離 に 反 比 例 す る こ と か ら , 距 離 が 長 く な れ ば 熱 (冷却)伝導量は小さくなり,冷却の効果が小さくなる。身焼けの発生部位であるテンミ の位置は,氷と接する体表面および腹腔の壁面から最も離れているために (Fig. 11 ‑1) , 冷却の効果は小さくなるo この影響はマグロが大きくなるほど顕著になる。マ グ ロ の 成 長 に伴って冷却面から,冷やしたい部位までの距離が長くなるために,冷却により長い時聞 が必要になる。Kitagawaet a1. (2006), Kubo et a1. (2008) はクロマグロ稚魚が成 長に伴って熱しにくく冷めにくい身体になることを実験的に証明した。これらの傾向は,
大型個体で身焼けが頻発することに矛盾しない。以上のように既存の冷却法は十分でない ように考えられたことから,新しい冷却法を模索する必要がある。
筋肉の冷却方法を探すためのヒントもまた第1章の結果にみられた。釣 り 上 げ 直 後 に 上
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