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組み込みソフトウェア開発技術:7.事例1-ディジタル家電ソフト開発の現状

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Academic year: 2021

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(1)特集 組み込みソフトウェア開発技術 7. 事例 1 −ディジタル家電ソフト開発の現状. 7. 事例 1 − ディジタル家電ソフト 開発の現状 前田 哲司. [email protected]. 田中 博文. 三好 圭哉. [email protected]. 坂本 賢. [email protected] [email protected]. 松下電器産業(株) パナソニック AVC ネットワークス社. 特長に,グローバルに立ち上がりつつある.特に 2004. はじめに. 年以降,日本の地上ディジタル放送のスタートや,北 米での DTV チューナ装備義務化などにより市場の急拡.  ディジタル TV(DTV)の基本要素であるシステム LSI. 大が期待される.その一方で,ディジタル放送方式は,. とソフトウェアの規模は,飛躍的な拡大をし続けている. MPEG2(Moving Picture Experts Group-2)規格をベース. (図 -1) .10 年前のアナログ TV と比較して,LSI で 40 倍. とするものの,以下のような地域ごとに異なる方式が策 1). 以上(3500 万トランジスタ) ,ソフトウェアでは 500 倍. 定されている .. 以上(8MB) と,パソコンに匹敵する大規模なものとなっ. • 北米:ATSC 方式(Advanced Television Systems. てきた.その結果,LSI とソフトウェアの開発が,TV 全. Committee). 体開発工数の約 80%を占めるまでに高まってきており,. • 欧州:DVB 方式(Digital Video Broadcasting). ディジタル TV の商品化を左右するものになってきた.. • 日 本 : I S D B 方 式( I n t e g r a t e d S e r v i c e s D i g i t a l.  また,放送のディジタル化は,1994 年の米国衛星放. Broadcasting). 送で商用スタートしたのを皮切りに,欧州/日本に波及. •(中国は独自方式を策定中). し,多チャンネル・高画質・高音質・多機能化などを.  このように,ディジタル TV の開発は,世界共通ではな. ��用ソフトウェア規模. ��用��� 規模 ����� ����万Tr. ����. ����万Tr ���. ����万 ����万. ����万Tr. �� ��. �����. (������) (������). ���万Tr ����. ��万 ��万 アナログ �� ������. ディジタル�� ������. パソコン ���. ��� ��� アナログ �� ディジタル�� ������ ������. パソコン ��. 図 -1 LSI とソフトウェア規模の急増 IPSJ Magazine Vol.45 No.7 July 2004. 709.

(2) 特集 組み込みソフトウェア開発技術. 欧州ディジタルTV. 日本ディジタルTV. 北米ディジタルTV. 欧州アプリケーション. 日本アプリケーション. 北米アプリケーション. 欧州ライブラリ �����������. 日本ライブラリ ����ブラウザ �. 北米ライブラリ ����������. 機種別アプリケーション. 地域別開発部. ソフトウェア 機種共通部. ディジタル��用 標準ライブラリ. ハードウェア 機種共通部. 各放送方式 固有ライブラリ. 基本ソフトウェア ��� システム ���. DTVグローバルプラットフォーム(共通コア開発). 図 -2 DTV グローバルプラットフォーム構造. く,地域別に各規格に対応した開発が必要になる.開発.  以降では,共通プラットフォームのポイントとなる,. 規模の拡大に伴い,地域ごとに個別開発していては,工. システム LSI を用いた基本ソフトウェアとリファレンス. 数が爆発し,商品導入ができないという問題に直面する.. 開発環境について説明する.. TV グローバルプラットフォーム構想. ● DTV ソフトウェア  ディジタル TV では,テレビの基本機能である番組選 局やオーディオ・ビデオ(AV)再生制御に加え,番組表.  ディジタル TV の基本構成は,チューナとディジタル. 提示,データ放送処理などをすべてソフトウェアで制御. 復調部で構成される「フロントエンド処理部」と,トラ. しており,ソフトウェアがきわめて重要な技術になって. ンスポートデコーダ,AV デコーダ,システム制御マイ. いる.今後,ソフトウェア開発力が,ディジタル TV の. コン(CPU) ,周辺インタフェース部で構成される「バッ. 市場競争力の源泉になることは間違いないが,開発工数. クエンド処理部」に大別される.これらは,半導体技術. の爆発が容易に予測され,工数増大を抑制するため,以. の進歩を背景に,ほとんどの機能がシステム LSI で実現. 下の取り組みを行った.. されるようになってきた.また,ディジタル放送を受信. • OS にオープンな仕様を持つ Linux を採用する.これに. するための一連の処理は,これらシステム LSI を制御す. より,広く世の中に普及しているフリーソフトの流用. るソフトウェアで実現される.すなわち,システム LSI. や他社技術の効果的な導入を可能にする.. とソフトウェアがディジタル TV の心臓部といえる.. • DTV ソフトウェアを,放送方式やディジタルサービ.  我々は,基本となるシステム LSI とソフトウェアをグ. ス等地域によって異なる部分と AV 再生,選局処理等. ローバルに共通化し, 各地域固有の機能やアプリケーショ. MPEG 規格に従った共通の部分に分け,共通部を OS. ンのみを個別に開発するという, 「DTV グローバルプラッ. 部とともにプラットフォーム化する.. トフォーム」を導入した(図 -2) .これは,現場レベルで のソフトウェアプロダクトラインの実践といえる.. ●基本ソフトウェア部(Linux).  世界共通コア部となるシステムLSIと基本ソフトウェア.  Linux をベースとした基本ソフトウェア構成を図 -3 に. を日本主導で開発し, 海外の開発拠点に供給するとともに,. 示す.システム LSI に内蔵されるマイコンに Linux カー. 各地域の特定機能(データ放送やEPGなど)やユーザイン. ネルをポーティングし,フロントエンド,トランスポー. タフェースは, 地域ごとに開発し, 商品展開を図る.プラッ. トデコーダ,AV デコーダなどのデバイスドライバを開. トフォームの共通化により,開発の選択と集中を図るとと. 発した.デバイスドライバは独自のリアルタイム OS で. もに,コア部品(LSIやソフトウェア)の再利用により,開. ある PiE-OS で開発してきたものを流用し機能追加,改. 発を効率化し,グローバルな商品展開を可能にする.. 良を加えている.アプリケーションからは UNIX のデ. 710. 45 巻 7 号 情報処理 2004 年 7 月.

(3) DTV共通ミドルウェア. 7. 事例 1 −ディジタル家電ソフト開発の現状. データ放送 (�������� 統合ブラウザ). 選局 コントロール. � ������ ������. 番組表. 番組予約. その他 (地域ごと). 選局・�� 再生/アプリケーション管理. テーブル サーバ. �� �� ���. サービス リスト 管理. その他 (地域ごと). 基本ソフトウェア. シェル. �����カーネル トランスポート ビデオ オーディオ デスクランブル. デコード. �� 出力 フロント エンド 制御 制御. 画面 表示 制御. ��� ���. 図 -3 DTV 基本ソフトウェア構成. バイスドライバとして制御できるように工夫しており,. 要求される選局要求に対し,排他・同期制御を行う.. open/read/write/ioctl などの UNIX の標準システムコー. • チャンネルリスト管理. ルでデバイスを操作できる..  現在,放送されているチャンネルの登録,削除,保存.  フロントエンドドライバは,衛星(QPSK(Quadrature. をアプリケーションの要求により行う.このチャンネ. Phase Shift Keying)/ 8PSK(Phase Shift Keying) ) ,地上. ルのリストは他のアプリケーションからも参照可能で. 波(OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing). あり, リストに変化があった場合には, アプリケーショ. /8VSB(Vestigial Side Band modulation)) ,ケーブル. ンに通知を行うことも可能である.. (64/256QAM(Quadrature Amplitude Modulation) )の各. • HTML/BML 統合ブラウザ. 2). 変調方式に対応できる.ビデオドライバは,ハイビジョ.  日本のデータ放送(BML:Broadcast Markup Language). ン(HDTV)/標準 TV(SDTV) や, PAL/NTSC に対応, オー. と ブ ロ ー ド バ ン ド の HTML(Hyper Text Markup. ディオドライバは,MPEG-AAC(MPEG-Advanced Audio. Language)コンテンツの両方に対応する統合ブラウザ. Coding),MPEG- BC(MPEG-Backward Compatible),. である.HTML ブラウザ部は,HTML4.0 に準拠して. AC-3 に対応している.. おりグローバルに展開可能である.. ● DTV 共通ミドルウェア部. ●リファレンス開発プラットフォーム.  ディジタル放送受信においてグローバルに共通とな.  地域固有の機能やアプリケーションを開発するため,. る処理は,プラットフォームに取り込んでいる(図 -3 参. 地域ごとのカスタマイズを容易化するリファレンス開発. 照) .. プラットフォームを構築している.同一の環境で,シス. • X Window System. テム LSI 検証からディジタル TV としての全体システム.  アプリケーションの GUI(Graphical User Interface)作. 検証,さらにソフトウェアの開発を行うことが可能な共. 成に必要なウィンドウ・グラフィクス機能のために X Window System を移植した.X Window System もオー. 通開発プラットフォームである(図 -4).. プンソースとして広く世の中に普及しており,フリー. ●モジュール型ボード構成. ソフトの利用などが期待できる..  リファレンス開発プラットフォームは,ディジタル. • テーブルサーバ. TV の必須機能(AV 出力など)と拡張スロットを備えた.   番 組 情 報(SI)のキ ャッシ ュ,SI の 更新 監視 等 を 行. 「マザーボード」と,システム LSI を搭載する「ドーター. い,情報をアプリケーションに提供する.ISDB/DVB/. カード(マザーボードに特定の機能を提供するための拡. ATSC の SI テーブルに対応している.. 張カードのこと)」,地域ごとに選択するチューナカード. • 選局コントロール. やモデムカードなどの「モジュールカード」から構成す.  選局処理を代行し,複数アプリケーションから独立に. る.たとえばチューナカードと周辺機能を取り替えるこ IPSJ Magazine Vol.45 No.7 July 2004. 711.

(4) 特集 組み込みソフトウェア開発技術. ��� ���内蔵レコーダ 内蔵レコーダ. 欧州 I DTV 欧州IDTV. 北米����内蔵TV 内蔵TV 日本ディジタルTV 北米���� 42 �� BSD. モジュールカード. ドーターカード. チューナ. ����. ���� ���. マザー ボード. ���. 世界共通の開発プラットフォーム. 図 -4 リファレンス開発プラットフォーム. とで,日米欧のディジタル TV システムを容易に実現で きる.また,ディジタル TV 内蔵のレコーダ機器への展. まとめ. 開時にも,記憶メディアなど必要な機能ブロックを追加 することで対応可能な構成としている..  DTV グローバルプラットフォーム開発により,当社.  このようなモジュール構成により,地域/機種ごとに. は,2003 年 12 月 の 地 上 デ ィ ジ タ ル 放 送 開 始 に 先 駆 け. 個別のハードウェアを開発しなくとも,商品と同等機能. 9 月からプラズマ TV ,液晶 TV ,ブラウン管 TV ,さら. を持つ環境を容易に構築でき,開発期間の短縮を図るこ. にはチューナにいたる全 10 機種のディジタル TV だけで. とができる.また,ドーターカード変更で複数の LSI 世. はなく,欧州,北米のディジタル TV の商品化を実現した.. 代に対応できることから,ベースプラットフォームとし.  家電機器開発の特徴は,毎年の機能追加・変更が継続. て長期使用を可能にした.. して起こることにある.この点は,大きな新規開発の後 に保守フェーズに移行するビジネス向けソフトウェア開 発と大きく異なる特性を有している.そのため,プラッ. 考察. トフォームを再構築する際は,既存の商品開発と並行し て進める必要があることや,プラットフォーム移行を円.  家電機器のソフトウェアは,ハードウェア制御主体で. 滑に行う必要があり, 開発パワーや品質確保の観点から,. あった小規模の頃から,年々の規模拡大を続けている.. 本質的にプラットフォーム再構築の決断を下し難い開発. そのため,小規模であった頃の名残として,対象となる. 形態にある.つまり,「 効果は明らかだが,着手が難し. 機器個別に開発を行うことが多く見られた.今回, グロー. い 」 といえる.その意味で, グローバルな視点からプラッ. バルな視点から製品機能を見直し, 共通となるハードウェ. トフォームの再構築を実現した本活動は,機種開発が繰. ア/ソフトウェアのリファレンス開発プラットフォーム. り返される家電機器開発の中では,重要な活動であると. を構築した.これにより, 機器仕様にあわせたハードウェ. 考えている.. アおよびソフトウェアの構築が容易となった.  また,リファレンス開発プラットフォームが明確になっ たことにより,システムの下位層の影響を受けにくいア プリケーションソフトウェアの開発がハードウェア/ OS の開発に先行してスタートできるとともに,ソフトウェ ア資産の共用化や再利用を図ることが可能となった.. 712. 45 巻 7 号 情報処理 2004 年 7 月. 参考文献 1)山口 隆 他:日本の地上デジタルテレビジョン放送規格概要と世界の デジタル放送規格,Matsushita Tech. Journal 50, No.1, pp.7-12(2004) . 2)山本創造 他:デジタルテレビのネットワーク対応,Matsushita Tech. Journal, Vol.49, No.7, pp.34-38(2004). (平成 16 年 6 月 4 日受付).

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