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〈巻頭言〉砂時計

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Academic year: 2021

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(1)近畿大医誌(MedJKi nkiUni v)第37巻1,2号. 2 01 2. 砂時計 近畿大学医学部生化学教室教授 宗. かつて「ふるさと. 像. 浩. 生事業」が実施され,地域振興のために多くの. 市町村に一億円が配布された.それを. って各市町村ではいろいろ. なことが行われた.なかにはかなり話題になったものもあった.その 一つに巨大な砂時計がある.鳴き砂で有名な琴ケ浜のある,島根県の 町が作った,半日以内の誤差で一年間を測れるというもので,一年砂 時計と呼ばれている.また,それほどではないが大阪駅にも大きな砂 時計はあったが撤去されたようだ.そんなに大きくなくて,よく親し まれているのは三 違いなしの「三. 計とか五. 計とかだろう.今なら流行語大賞間. 間待つのだぞ」が流行っていたころから砂時計を持. っている人が増えたように思う. われわれ人間が生きていくうえで,というように大仰に言わなくても,日常生活で,さまざま な感情,もろもろの欲望に浸ったり,襲われたりすることしばしばである.ヒトという生物とし てうまれたからには当然と割り切れればいいのだが,世の常,人の常,喜怒哀楽の感情の起伏, いろいろな欲望は必ずついて回る.それらがどのようにして生じるかの完全な理解は永遠に不 可能かもしれないが,それらの反応が化学的なもののみならず,仮に物理的,電気的なものであ ったとしても,根本にあるのは物の変化,すなわち,ある物質が他の物質へ変わるとか,他の物 質からある物質がつくられるとか,その物質が移動して,その場所における物質の量が変わると か,というような物質の何らかの変化によって起こるのは確かなように思える.細胞外の情報, 細胞表面で起こる一連の反応,細胞内における情報の伝達,タンパク質その他の物質の変化,な どなど.また,カルシウムの局在が変わったり,濃度が変化したり,あるいはシナプスの小胞が 移動する,間. への放出,節後線維の受容体への結合,などなど.新たな転写や翻訳を必要とす. る場合は時間がかかるが,上に挙げたようなものは一連の反応が極めて速やかに起こる.しかも ずっと続くわけではなくやがて終息する. 前述のようなある種の欲望や感情の起伏が起こったとしよう.例えば,ダイエットに挑戦して いる人が無性に甘いものが食べたくなったとか,禁酒している人が酒を飲みたいとか,禁煙を試 みている人が煙草を吸いたいとか,あるいは,腹が立って仕方がない,怒りがこみ上げてくると.

(2) 宗 像. いった状況を. 浩. えてみよう.そのまま,ずるずるとどらやきに手を伸ばす.いろいろなものや人. に怒りをぶつけてしまう.そういう解決法は結果的にはマイナスだろう.そんな時,砂時計を出 して逆さにして置いてみよう.砂が落ちきるころ平安が訪れているだろう.生存に関わる場合は 別として大抵の欲望,感情などはある程度の時間で収まるものだ.CDが出る以前は音楽の媒体 はレコードだった.LPは別として,EP,ドーナツ版などの片面は三∼五. が一般的だった.い. やなことがあっても聴き終えると収まっていたのを思い出す. 砂時計の. 用も一つの方法だが, 「近畿大学医学雑誌」 ,「Act aMedi caKi nkiUni ver s i t y」を. 開くというのはどうだろう.ついつい引き込まれて夢中になり,没頭してしまう.そんな優れた 論文が今にも増してたくさん掲載されることを期待しつつ筆をおく..

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