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Title
歯周病学研究における今後の展望を探る
Author(s)
山崎, 和久
Journal
歯科学報, 116(5): 379-379
URL
http://hdl.handle.net/10130/4104
Right
Description
379
歯科学報 Vol.116,No.5(2016)
シ ン ポ ジ ウ ム
歯周病学研究における今後の展望を探る
新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔保健学分野
山崎 和久
演者は1980年代後半より歯周疾患における免疫病理学的解析を行ってきた。幸運なことに免疫学が急速な進
歩を遂げた時代に重なり,T 細胞のフェノタイプ,サイトカインプロフィール,T 細胞レパートリー解析は,
新たに発見された分子やサイトカインを研究に応用することで様々な知見を重ねることができたが組織破壊と
関連する決定的な分子の同定には至らなかった。しかし,これらの研究過程で歯周炎に罹患した歯肉に浸潤す
る T 細胞が認識する抗原の一つとして HSP60を同定できたことから研究は思わぬ方向に展開することになる。
ヒト HSP60は
P. gingivalis などの原核生物が持つ GroEL と相同性が高い。事実,歯周炎患者では HSP60,
P. gingivalis GroEL 両方の分子に対する抗体が上昇しており,さらにそれらは交差反応性を示すことも明らか
になった。ヒト HSP60は動脈硬化症の関連分子として注目されていたことから歯周疾患と全身疾患の関連研
究に関わることとなった。両者の関連は菌血症や炎症性サイトカインで説明されるといわれているが,動脈硬
化自然発症マウスへの
P. gingivalis 投与実験でそれらを示すことができなかったことが長らく疑問として残っ
ていた。その後腸内細菌とメタボリックシンドロームの関連研究を知ることとなり,口腔細菌と腸内細菌の関
連がペリオドンタルメディスン研究の鍵を握るのではないかと強く思うようになった。当初,共同研究を申し
込んだ腸内細菌の研究者は口腔細菌が腸内細菌叢に影響を与えるとの仮説には半信半疑であったが,予備的に
行った解析結果はそうした状況を変えた。
口腔を含む消化管などのバリア臓器が,他臓器との密接な相互関係の中で,生活習慣病,冠動脈疾患,脳血
管疾患,難病,がん,などの様々な疾患の発症・進展と関連しているという考え方が広まりつつある。歯学研
究を基盤とした全身の健康の維持・増進と健康寿命の延伸のための研究はますます重要なものとなることが予
想される。我々はこのことを強く意識して学際的な研究を進めていく必要があるのではないだろうか。
本講演ではこれまでの演者の研究を振り返りつつ,今後の展望を皆さんと論じたい。
≪プロフィール≫ 1986年 クイーンズランド大学(オーストラリア)研究
員(1988年まで)
1988年 新潟大学歯学部附属病院第二保存科講師
1993年 日本歯周病学会専門医
1996年 日本歯周病学会指導医
1999年 新潟大学歯学部歯科保存学第二講座助教授
2004年 新潟大学歯学部口腔生命福祉学科口腔衛生支援
学講座教授
2006年 新潟大学超域学術院教授(併任2012年まで)
<略 歴> 2010年 新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔保健学分
1980年 神奈川歯科大学卒業 野教授
1985年 新潟大学大学院歯学研究科修了 現在に至る
1985年 新潟大学歯学部附属病院第二保存科助手
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