半導体微積分 --シリコンとの35年の関わり--
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(2) は洋々としていたので,反対に超清浄のクリーンルームを必要とするシリコンの研究は大学 では難しく思われ,ほとんどの大学がポストシリコンとしての GaAs など化合物半導体の 研究にシフトしました.東北大学をはじめ僅かの大学がシリコンにも注力していました. 私もは入社後数ヶ月は大学でやっていた GaAs の研究を続けましたが,すぐにシリコン に転向しました.シリコンデバイスの中で特に発展が予想されたのが,構造が簡単な MOS トランジスタです.これはソース-ドレーンの間に流す電流を絶縁膜を介してゲート電圧で 制御するものです.MOS トランジスタを最初に作ったのはベル研究所のカーンで,韓国人 ですが日本語を普通に話し,日本の応用物理学会にもよく来ていました.カーンの作った MOS トランジスタのゲートは Al でチャネル長は約 20μm でしたが,それから 50 年経ち, 今最先端の MOS トランジスタのゲートは約 20nm と 1/1000 になっています. MOSトランジスタではゲート絶縁膜が重要な役割を果たしているのですが,シリコンを 熱酸化すると均一で優れた絶縁性をもつSiO2皮膜が形成でき,Si界面の欠陥が非常に少な いということが,今日までのシリコンLSIの発展を可能にしてきたといっても過言ではあり ません.しかしながら,SiO2は不純物拡散,例えばボロンの拡散に対する阻止力がそれほ ど強くなく,電気的なストレスで劣化する,あるいは誘電率が小さいといった問題がありま した.ムーアの法則に従って最小加工寸法を 3 年で 0.7 倍に縮小していくと,ゲート絶縁膜 の厚さも間もなく 10nmを切るようになることが予想されます.ゲート絶縁膜の薄膜化が重 要な技術課題になってくると考えられ,新規な高信頼ゲート絶縁膜の研究が必要と考えまし た. シリコン熱酸化膜に代わる絶縁膜としては,シリコンとの直接反応で生成することが不可 欠と考えると,窒化物と炭化物しか考えられません.そこで,バンドギャップの大きなシリ コン熱窒化膜に注目しました.シリコン窒化膜はSiO2膜より密度が高く,いわゆるCVD法 でシランとアンモニアを反応させ,表面から堆積させたものがパッシベーション膜として使 われていました.しかし,これは膜中と界面に欠陥を多く含むためゲート絶縁膜には使えま せんでした.シリコンと窒素を反応させた熱窒化の過去の報告を調べると,1300℃の高温 では反応はするものの不均一で欠陥が多く絶縁性が全く,ゲート絶縁膜としては全く使えな いというのが結論でした. Si-N-O系の平衡安定組成領域をしらべてみると,酸素分圧が 10-20気圧とわずかでも酸素 があるとSiO2が安定組成となり,Si3N4となるためには酸素分圧を極めて小さくし,窒素分 圧を高くする必要があります.このため地球上ではシリコン窒化物は安定組成として存在し ません.わずかに,カナダのエイビー地方に落ちた隕石がSi窒化物を含む隕石として発見さ れた程度です. そこでシリコンを窒素でなく活性なアンモニアと反応させることを考え,酸素,水の混入 防止とアンモニアガスの RF プラズマ励起を利用しました.RF 誘導加熱プラズマ励起装置 や高純度なアンモニア精製装置をはじめここにあるような様々な技術を開発し,シリコン基 板に均一な Si 熱窒化膜が生成できるようになりました. さっそく,この熱窒化膜を使ったトランジスタを試作し,ISSCC に発表しました.当時. 2.
(3) はまだゲート酸化膜厚は 50 ナノメータ程度だったものを 1 桁程度薄いゲート絶縁膜で高性 能なトランジスタ動作が可能であることを示したことにより関心を集めました.一般に学会 発表の目的はいろいろありますが,この発表を機にベル研のカーンや IBM のデナードある いは Si 熱酸化モデルのディールなどと議論できたことは私にとっては大きな収穫でした. その後,カーンも熱窒化関係の論文を何篇か発表しています. その後,いくつかの応用回路を試作し学会発表しましたが,なかなか実用的なものにはな りません.その理由としてはシリコン熱酸化膜技術の進歩もありますが,シリコン熱窒化膜 は厚い膜ができないため当時の標準的な 5V の電源電圧に耐える膜厚を得ることができな かったことがあります.シリコン熱酸化はいわゆるディール・グローブの時間の平方根式に 則って,大体 1μm 位が成長できますが,熱窒化の場合は時間の対数で成長しますので,実 時間で 10nm にも成長しないので,5V の電源電圧では絶縁耐圧がとれません. ひとつの応用として選択酸化素子分離への応用がありました.従来,LOCOS といったプ ロセスで CVD 窒化膜をマスクにして素子分離の熱酸化膜を成長させていましたが,この問 題はエッジのところでバーズビークという酸化のもぐりこみが発生し,素子分離領域が無駄 に広くなってしまうことです.熱窒化膜をマスクにすると Si 基板との密着性がよいのでバ ーズビークが短くなり,SRAM や DRAM 等のチップ面積の縮小が可能になります. DRAM はひとつの MOS トランジスタとひとつのキャパシタで 1 ビットを構成しますが, この DRAM のキャパシタ絶縁膜として CVD 窒化膜と Si 熱窒化膜を組み合わせて使うと, DRAM の寿命を熱酸化膜を使った時とくらべ 2 桁延ばせることがわかり,16MDRAM 世代 から半導体各社で採用されるようになりました.全くの推定ですが,これを使った世界の累 積生産チップ数は 100 億個以上になると思われます.ただし,この応用も当初目的とした SiO2 に代わるゲート絶縁膜としてではありません. ある時,Si熱酸化膜をマスクにしてSiが露出したところを熱窒化すると,SiO2表面がフッ 酸に溶けなくなることに気がつきました.表面は何か変質しているようですが,SiO2は窒 素とでもアンモニアとでもギブスの反応自由エネルギー変化はプラスなのでほとんど反応 しないことになります.しかし,深さ方向の組成を分析しますと,確かに酸素が減り,それ に対応して窒素が増えていることが確認され,明らかにSiO2が窒化していることが判明し ました.酸化膜の熱窒化は,酸化性不純物の除去と窒化種の励起によって弱い結合のSi-O がSi-Nに置き換わり,SiONを結合を作ると考えています.この方法で生成したSi窒化酸化 膜はSiO2に近い電気特性とSi3N4に近い緻密性すなわち不純物拡散阻止力や電気的ストレ ス耐性を兼ね備えています.なにより,膜厚を 1μm程度まで自由に制御できます.新しい ことにはドローバックがつきものです.ここでは低電界の電子移動度がやや低下すること, 膜中に正の固定電荷を含みしきい値電圧がシフトするなどの問題がありましたが,窒素量を 制御することで対策されています.後になってのことですが,第 1 原理計算によってSi酸化 膜中でも窒素原子がエネルギー的に安定に存在できることは計算されていますが,熱力学だ けからではSiO2の窒化は見つからなかったということです.. 3.
(4) Si熱窒化酸化膜をゲート絶縁膜として用いると,従来のSiO2ゲートより 1 桁以上MOSト ランジスタの寿命を延ばすことが広く確認できたため,0.25μm以降の世代からCMOS製品 の一部に採用され始めました.特に,Si熱酸化膜の厚さが 5nmを切るようになると,ゲー ト電極に含ませたボロンなどの不純物がSi側につきぬける問題が深刻になり,このような拡 散を完全にシャットするSi熱窒化酸化膜の優位性が決定的になりました.今,製品で出回っ ている 90nm以降のCMOSロジック製品ではSi熱窒化酸化膜は必須となっていると思われ ます.2 年前にインテルが発表した 45nm世代のMOSトランジスタの断面写真を見ると, ゲートにはメタルを使ってゲート絶縁膜にはHigh-k膜すなわち高誘電率膜を使っています. 65nmの世代まではSiONすなわちSi窒化酸化膜を使っていることが記されていますが, 45nmではHigh-k膜を使ってゲートのリーク電流を低減しています.High-kの材料として はHfOベースと言っているだけで詳細はわかりませんが,HfOを直接Siに堆積すると,Si 基板との間にSiO2膜ができてしまい実効的な膜厚が増加してしまうので他の学会発表では 酸化バリア膜としてSi熱窒化酸化膜を使うのが一般的です. これまで,Si の熱窒化の研究を振り返ってみましたが,このほかにもいろいろな半導体 微細化プロセスの研究に着手しました.集積化による半導体の付加価値の増大は,システム の小型化,低消費電力化,機能あたりの低コスト化によってもたらされてきましたが,これ を実現する要素技術の約 50%が微細化プロセスのインパクトで,残り 10%がウェハの大口 径化,20%がデバイス構造の革新,20%が回路の革新と見積もられます. これらの研究は役に立ったものもありますが,そうでないものもたくさんあります.ひと つだけ研究の例を紹介します.半導体プロセスにはプラズマが各所で使われていますが,プ ラズマには色々な励起子が混在しています.波長選択できる光を使ってガスを励起すれば, 励起状態をシンプルにできます.ここれはシンクロトロン放射光を使ってジシランを解離し, 発生期のSiラジカルでSiのエピ成長をさせようというものです.放射光ビームラインは高エ ネ研のBL-17 というラインを専用で借りまして,そこにエピチャンバを取り付けました. シンクロトロンは 10-12Torrの超高真空ですので,放射光を窓なしで大気圧に近いエピチャ ンバに引き出すために,数段の作動排気ポンプを使いました.これにより,100℃でSiエピ 成長を実現しました.この光励起Siエピタキシャル成長のルーツは,東北大学の西澤先生が SiウェハにUVを当て従来より 40℃低い 735℃でエピ成長が可能になったという 1968 年の 報告にあります.その後,我々は大面積に紫外線を照射できる装置を開発し 600℃でエピ成 長を実現し,エピベースという新構造の高速バイポーラトランジスタを開発しました.さら に,SiCをエミッタに使ったヘテロバイポーラトランジスタの開発につなげました.バイポ ーラトランジスタを用いるECL-LSIは大型コンピュータに向けたものでしたが,5kゲート でも 5Wの電力を消費するため,既に消費電力の限界に来ていました.1993 年にバイポー ラLSIの開発は中止になりました.それ以降大型コンピュータのロジックLSIはCMOSに置 き換えられましたが,シリコンの世界にはこのような研究としては面白いテーマがまだ沢山 ころがっています. 以前,西澤先生に基礎研究とは何ですかと伺ったことがあります.先生は基礎も応用もな. 4.
(5) い,誰もやっていないことをやるのが研究だ,と非常に明快にお答えになりました.その上 で,私は面白くなければ研究でないし,研究した成果は世の中で実際に使われて初めて技術 であるという思いが何時も私の頭をよぎっていました.今,我々のところだけでなく、色々 な研究機関で,死の谷とかダーウィンの海が問題となって議論されています.膨大な研究費 を使った多くの研究が”研究”までで止まっている.死の谷を乗り越え、製品化を経て,競争 に勝ち,世の中に役に立つまでなかなか行かないというものです.ダーウィンが言っている 言葉が二つあります.生き残るものは,決して優れたものや強いものではなく,環境に適応 した者のみが生き残るということ,それから,進化はひとつずつ理由があって進むもので, 決して自然は飛躍しないというものです.これを技術の世界にあてはめると,市場環境に適 応した技術ビジョンをしっかりと持つということと,飛躍しないということは,人と人との つながりでしか発展していかない,ということだと思われます. このころ出会った非常に印象的な一冊の本があります.”Engines of Innovation”です.こ の中に Moore がインテルの研究開発の方針のようなものを書いています.これは Moore の 経験に則った半導体の研究開発のひとつのあり方としてうなずけるところを多く含んでい ます.まず,最小情報の原則.問題解決に必要な情報は少なければ少ないほど良い.問題は 解決されればよいので,真理の探究や知識の蓄積はする必要がないということ.研究所を作 らない.技術者は技術水準が上がるにつれ自前に頼るので,フェアチャイルドセミコンダク タ社の失敗ように,研究所からの技術移管というものはうまく行かない.生産ラインを実験 の基盤とする.製造と研究・開発を同居させ,製造ラインで新技術を試す.そのために, Ph.D を沢山生産現場に配置する.新領域,基礎研究は大学など外部との連携で補完する. そのために目利きを持つ.ロードマップからはブレークスルーは生まれない等々というもの です.多分,こんなことを言ってる会社に優秀な研究者は魅力を感じないと思いますが,競 争力のある半導体技術を効率的に開発するための正論かもしれません. LSIはどこまで発展するのですか,という質問をよく受けます.これは1機能素子あたり の原子数を縦軸にとって,色々なデバイスの原子数を示したものです.Siの原子の堆積を 10-29m3としてそれぞれの体積を割った値です.そうすると,1904 年にフレミングが作った 2極真空管が 1027個,最初のポイントコンタクトトランジスタが 1020個, カーンが作った 最初のMOSトランジスタが 1015個,4nmとこれまでで最も短いゲート長のMOSトランジス タが 106個,というようにプロットできます.これを延長して,1機能を原子1個で実現す るのが限界とすれば,2040 年ごろになり,後 30 年くらい,少なくとも 15 年くらいは進歩 するだろうと予想されます. LSI の長年の夢は3次元化です.これは丁度,住宅が平屋建てから高層マンションになっ て,面積効率と人口密度が上がったようなものです.800m のドバイのタワーまではどうで しょうか.これまでの 2 次元 LSI を 3 次元 LSI にするためには,3 次元の配線間に自由に トランジスタを配置する技術の開発が必須になってきます.こうすることで,トランジスタ を結ぶ配線長も短くなり,高速・低電力で信号伝達が可能になります.既に,ウェハあるい は LSI チップを重ねて 3 次元化した LSI は生産されていますが,それと区別するために. 5.
(6) True-3D と呼んでいます.3 次元 LSI の究極のターゲットは脳機能システムです.脳細胞 は 1000 億個以上の神経細胞があり,それぞれが1万個以上のネットワークに繋がっている といわれています.神経細胞の数では既に LSI 技術で実現可能なレベルにありますが,LSI の各素子のファンアウトのネットワークはせいぜい 10 程度ですので,脳機能とは大きなギ ャップがあります.一方,半導体ではひとつひとつの信号伝達が早く正確であるなど,脳機 能より優れた特性もあります.これらの特徴を生かして高機能な 3 次元 LSI を実現するた めに,RF アナログ回路,不揮発メモリ,高性能薄膜トランジスタ,あるいはオンチップ光 配線などの研究を行っています.また,これまで Si ウェハは大体3世代ごとに大口径にな ってきました.大きなインゴットを成長させるのには大量の電力が必要です.直径 45cm の ウェハでは,厚さは大体 1mm 程度ですが,デバイスに必要な領域はその1万分の1で,表 面の 0.1μm 程度です.シリコンウェハのほとんどはそれを支える支持基板としての役目し か持っていません.薄膜トランジスタでは 0.1μm程度の Si しか必要としないので,材料 面では非常にエネルギー節約になり,環境配慮デバイスと言えます. 薄膜トランジスタの電流駆動力を上げるために,ナノグレーティングチャネルを提案しま した.通常は真平らな Si 表面を使いますが,ここではナノメータオーダのグレーティング を形成し,そのグレーティング溝に沿って電流を流す構成にすれば,表面積が増えることに より同じウェハ面積で実効的なチャネル幅が増大し,さらにチャネル歪で正孔の移動度が上 がる効果もあります.p チャネルも n チャネルも,従来に比べて,トランジスタ電流が増大 できることが試作で確認できます.その結果,同じ電流駆動力の CMOS で比較すると,面 積を約 35%縮小できることになります. それから,絶縁膜上に薄膜トランジスタを作るため,CWグリーンレーザによるSi結晶化 技術を開発しました.コンケーブ状のビームにすると 500μmくらいの幅で,非常に長い帯 状のSi結晶が得られます.帯方向に電流を流すと結晶粒界によるキャリア散乱の影響を避け ることができます.試作した薄膜トランジスタの電子移動度は,バルクSiと同程度の 500 ∼600cm2/Vs値が得られます.高周波特性はトランジスタパターンにまだ改良の余地があり ますが,GHzで動作が可能です.絶縁膜上に帯状に大きな単結晶の粒を成長させることが 可能になりましたので,結晶粒より狭くSiをパターニングすると,ある程度の長さまで細線 を単結晶にすることができます.断面のTEM像では単結晶の電子回折像で確認できます. しかしながら,この単結晶の結晶配向は制御されていません.配向制御が 3D-LSIに向けて の大きな課題です.同じCWグリーンレーザを使ってガラス基板上PZT薄膜の強誘電特性を 得ることができます.これは 3D-LSIに用いる不揮発メモリを目的としたものです.PZTの 結晶化は一般には 600℃以上が必要なのですが,ガラス基板を加熱しないでも強誘電性ペロ ブスカイト結晶化が可能になっています. これらの技術は,将来的には 3D-LSI を目指しているものですが,研究では長期目標とと もに短期目標を設定することが大事と思います.ここでは,短期目標として TFT 型低コス トユビキタスチップ(U チップと名づけています)を取り上げました.この提案は,幸い, 科学技術振興調整費プロジェクトに採択されました.これは RFID や無線タグと呼ばれる. 6.
(7) IC チップの類ですが,安価なガラス基板やプラスチック基板に安価な高機能 RFID を実現 することにより,ユビキタス社会における RFID の応用拡大に繋がることが期待できます. ガラス基板を使うことにより,オンチップアンテナを集積化できれば,全くの試算ですが, バルク Si の 1/5 くらいのコストが期待できます.U チップとしてはまだ研究途上ですが, この研究の中でプロセス技術だけでなく、オンチップアンテナ,整流回路,クロック生成回 路,メモリ読み出し回路などとして必要な要素技術を開発しました. TFT のもうひとつの応用として,アクティブマトリックス制御人工腎臓と言うものを提 案しています.TFT をマトリックス状に配置し,血液中の色々なイオンを電界をかけて分 離し,人工透析を行おうというものです.現在基本的なチップを試作して動作確認を行って います. 半導体の将来展望です.これからの技術開発は,環境を抜きにしては考えられないわけで すが,半導体は環境配慮社会の中核技術であり,経済の成長エンジンです.本当の微細化限 界は20年以上先ですが,原子レベルの制御が不可欠になり,消費電力の抑制が益々重要課 題になります.また,長年の夢である 3 次元 LSI へチャレンジする時期が来たと思われま す.課題は,絶縁膜上で配向制御した単結晶 Si の成長であり,今後半導体以外の各種デバ イスと CMOS との融合に有用な構造になると考えます.半導体産業は 70 年代に米国ベン チャー企業から始まって,80 年代に日本の大手電機メーカが DRAM でシェアを拡大しま した.その後は,90 年代,韓国の財閥系あるいは台湾の政府系専業企業が存在感を示しま した.これは市場の拡大とともに,投資の巨額化,技術の高度化・多様化といった外部環境 変化に適応した結果です.2000 年以降は外部のリソースを有効活用した戦略的オープンイ ノベーションの企業と思われます.そこでのキーは戦略的な産学連携ですので,大学の役割 は益々重要になります. 最後に,大学の電子回路の講義の中で川上正光先生が言われたことを紹介します.研究者 とかけてブルトーザと解く,というものです.そのこころは,私の前に道がない,私の後に 道がある,です.私の場合は,けもの道が多かったですが,35 年間,シリコンとともに歩 んで大変楽しい研究生活を過ごすことができたと思います.これも,ご支援いただいた先生 方,事務の皆様,そして一緒に研究に携わった研究室スタッフや学生の皆様のおかげと心か ら御礼申し上げます.恩師のひとりの高橋先生が以前に言われた微分積分(わずかにわかっ てわかったつもり)をお借りして,本日の最終講義題目を「半導体微積分」としました. (完). 7.
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