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皮膚創傷治癒過程におけるDectin-1とDectin-2の役割の相違

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(1)

皮膚創傷治癒過程におけるDectin-1とDectin-2の役

割の相違

著者

山口 賢次

学位授与機関

Tohoku University

学位授与番号

11301甲第19148号

URL

http://hdl.handle.net/10097/00129293

(2)

博⼠論⽂

⽪膚創傷治癒過程における

Dectin-1

と Dectin-2 の役割の相違

東北⼤学⼤学院医学系研究科医科学専攻

外科病態学講座 形成外科学分野

⼭⼝賢次

(3)

⽬次

Ⅰ.要約 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 Ⅱ.研究背景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 Ⅲ.研究⽬的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 Ⅳ.研究⽅法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 Ⅴ.研究結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28 Ⅵ.考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40 Ⅶ.結論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51 Ⅷ.⽂献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52 Ⅸ.図の説明 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 65 Ⅹ.表 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 74 Ⅺ. 謝辞 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 75

(4)

Ⅰ.要約

【⽬的】

⽪膚創傷治癒過程は炎症期、増殖期、再構築期から構成される。創傷治癒過程にお いて炎症を惹起する物質に、微⽣物由来の pathogen-associated molecular patterns (PAMPs)および⾃⼰成分の damage-associated molecular patterns (DAMPs)がある。 これらのうち多糖を認識する C 型レクチン受容体の中に dendritic-cell-associated C-type lectin (Dectin)-1 と Dectin-2 がある。Decitn-1 および Dectin-2 は真菌の細胞壁 を構成する α-mannan(以下 Mannan)およびβ-glucan をそれぞれ認識し、感染防御 に寄与する⼀⽅、創傷治癒においてはβ-glucan が治癒を促進し、Mannan が治癒を 遅延させるという真逆の結果となることが明らかになってきた。しかしながら、両者 の創傷治癒における役割や相違に関してはいまだに不明な点が多い。本研究では Dectin-1 および Dectin-2 の好中球性炎症反応や NETosis を中⼼に解析を⾏なった。 【⽅法】

野⽣型(WT)マウス(C57/BL6)および Dectin-1、Dectin-2 遺伝⼦⽋損(KO)マウス の背部⽪膚に⽣検パンチにて 3 mm の⽪膚全層⽋損創を作成した。WT マウスを⽤い て、Dectin-1、Dectin-2 の経時的 mRNA 発現量を定量 PCR で測定し、Dectin-1、 Dectin-2 発現細胞を免疫染⾊およびフローサイトメトリーで同定した。創部 DAMPs

(5)

について、免疫染⾊および Dectin-1、Dectin-2 レポーター細胞を⽤いて解析した。 Dectin-1KO マウスおよび Dectin-2KO マウスについて、マクロ所⾒により創閉鎖率 を、ミクロ所⾒により再上⽪化率を、免疫染⾊により増殖期および再構築期マーカー (PCNA, CD31, α-SMA)および好中球数を解析し、WT マウスと⽐較した。創閉鎖 率 に 関 し て は 、 caspase recrutement domain-containing protein 9 knockout (CARD9KO)マウスおよび IL-17AKO マウスについても解析した。WT マウスの創傷 に dZymosan あるいは Mannan を投与し、上記の解析に加え、サイトカインおよびケ モカイン(TNF-α、IL-17A、IL-1β、KC、MIP-2、MCP-1)産⽣を測定し、vehicle 投与と⽐較した。dZymosan あるいは Mannan 投与の NETosis への影響や Dectin-1KO マウス、Dectin-2KO マウスにおける NETosis をシトルリン化ヒストン(Cit H3) の免疫蛍光染⾊やウエスタンブロッティングで解析した。また、NETosis により創閉 鎖が遅延するかについて DNase I を⽤いて調べ、抗 Gr-1 抗体により好中球を枯渇さ せた WT マウスにおける創閉鎖率や NETosis を解析した。さらに Dectin-2KO マウ スの再構築期マーカー(ヒドロキシプロリン量、COL3A1/COL1A1 ⽐、TGF-β、 MMP2、8)および好中球エラスターゼ量について、WT マウスと⽐較した。 【結果】 WT マウスでは、創作成後 6 時間をピークに Dectin-1 が発現し、Dectin-2 は 12

(6)

時間をピークに発現することが明らかになった。Dectin-1 および Dectin 2 は創部に 集積する好中球やマクロファージ、線維芽細胞で発現していた。創部には Dectin-1 の DAMPs として報告がある Vimentin、β-glucronidase(Dectin-2)が発現しており、 DAMPs として作⽤する可能性が⽰唆されたが、実際に創部ホモジネート上清により、 Dectin-1、Dectin-2 レポーター細胞の GFP 活性が誘導された。Dectin-1KO マウス では WT マウスに⽐べて創閉鎖が遅延し、Dectin-2KO マウスでは促進した。創作成 後 5 ⽇⽬の表⽪内の PCNA 陽性細胞数、⾁芽組織内の CD31 陽性⾎管内⽪細胞数は Dectin-1KO マウスで低下したが、⾁芽組織内の CD31 陽性⾎管内⽪細胞数、αSMA 陽性細胞数は Dectin-2KO マウスでいずれも上昇した。Dectin-1KO マウスでは WT マウスと⽐較し、6 時間で好中球集積が低下したが、Dectin-2KO マウスでは 6 時間 で上昇し、5 ⽇⽬に低下することを観察した。Dectin-1 を刺激する dZymosan の創傷 への投与は創閉鎖を促進させ、Dectin-2 を刺激する Mannan の投与は創閉鎖を遅延 させた。Dectin-1 および Dectin-2 共通のシグナル伝達アダプター分⼦である CARD9 の KO マウスでは WT マウスと⽐較し、dZymosan による創閉鎖促進と Mannan 投 与による創閉鎖遅延が消失し、IL-17AKO マウスでは WT マウスと⽐較し、Mannan による創閉鎖遅延のみが消失した。 創作成後 5 ⽇⽬の PCNA 陽性細胞数、CD31 陽 性⾎管内⽪細胞数、αSMA 陽性細胞数はいずれも溶媒投与に⽐較し、dZymosan 投与

(7)

で有意に上昇したが、CD31 陽性⾎管内⽪細胞数、αSMA 陽性細胞数は溶媒投与に ⽐較し、Mannan 投与で有意に低下した。炎症の指標となる好中球数の推移を追った ところ、dZymosan 投与では溶媒投与に⽐較し、6 時間から 12 時間で有意に好中球の 上昇を認めた。⼀⽅、Mannan 投与での好中球は溶媒投与に⽐較し、24 時間以降、有 意に上昇し、5⽇⽬にピークを迎えた。この好中球集積に対応して、dZymosan 投与 においては溶媒投与に⽐較し、6 時間で KC、MIP-2 が多く産⽣され、Manann 投与 においては溶媒投与に⽐較し、3 ⽇⽬に KC、MIP-2、MCP-1 に加え、TNF-α、IL-17A の産⽣が増加していた。創部 NETosis は Mannan 投与後 5 ⽇⽬において溶媒投 与、dZymosan 投与に⽐較し、亢進していた。⼀⽅、Mannan を投与しない状態での ⽣理的 NETosis は、創作成後 3 ⽇⽬をピークに亢進していた。この3⽇⽬の NETosis は Dectin-2KO マウスでは WT マウスに⽐較して低下を認めたが、Dectin-1KO では 認めなかった。DNaseⅠを創作成前⽇から解析前⽇まで投与したところ、Mannan 投 与による5⽇⽬の創閉鎖遅延がキャンセルされた。また、抗 Gr-1 抗体により好中球 を枯渇した WT マウスでは、3 ⽇⽬の NETs 形成が低下し、創傷治癒が改善したこと から、NETs によって治癒が遅延することが⽰唆された。創作成後 10 ⽇⽬の Dectin-2KO マ ウ ス で は 、 WT マ ウ ス と ⽐ 較 し て ハ イ ド ロ キ シ プ ロ リ ン が 増 加 し 、 COL3A1/COL1A1 ⽐の低下から再構築の促進が起こっていることが⽰唆され、これ

(8)

らの誘導につながる TGF-βの上昇、MMP-2、8、エラスターゼ活性の減少を確認し た。

【結論】

⽪膚創傷治癒の過程で重要な働きをする炎症反応において、炎症のトリガーとなる Dectin-1 と Dectin-2 の役割の違いを検証した。Dectin-1 ⽋損下においては好中球の 創傷への集積が早期に少なく、組織形成を低下させることで増殖や再構築が阻害され、 治癒が遅れる。dZymosan で Dectin-1 を刺激すると、Dectin-2 ⽋損下と同様に早期 の好中球性炎症反応が起こり、治癒が促進した。⼀⽅、Dectin-2 ⽋損下において好中 球は早期に創傷へ集積し、速やかに消退することで、治癒が促進された。Mannan で Dectin-2 を刺激すると、好中球が遷延し、NETs 形成が促進され、治癒が遅延するこ とが明らかになった。このように、Dectin-1 および Dectin-2 は、⽪膚創傷治癒の炎 症期から増殖期において重要な調節因⼦として作⽤することが⽰された。Dectin-2 は 創傷治癒を低下させることから、過剰な瘢痕やケロイド形成のブレーキの役割を担う 可能性が⽰唆された。

(9)

略語

Dectin : Dendritic-cell-associated C-type lectin PAMPs : pathogen-associated molecular patterns DAMPs : damage-associated molecular patterns NETs : neutrophils extracellular traps PRRs : pattern recognition receptors

CLRs : C-type lectin receptors TLRs : toll like receptors

CRD : carbohydrate recognition domain Syk : spleen tyrosine kinase

CARD9 : caspase recruitment domain-containing protein9 Bcl10 : B cell leukemia-lymphoma 10

Malt : mucosa-associated lymphoid tissue

ITAM : immunoreceptor tyrosinebased activation motif IL : interleukin

TNF-α : tumor necrosis factor-α

(10)

DIC : disseminated intravascular coagulation SLE : systematic lups erythematosus

ANCA : anti-neutrophil cytoplasma antibody RA : rheumatoid arthritis

PAD4 : peptidylarginine deiminase 4 MMP : matrix metalloproteinase COL3A1 : procollagen type Ⅲ alpa Ⅰ COL1A1 : procollagen type Ⅰ alpa Ⅰ KC : keratinocyte-derived chemokine MIP2 : macrophage inflammatory protein 2 MCP-1 : monocyte chemoattractant protein-1 αSMA : α smooth musle actin

PCNA : proliferating cell nuclear antigen

Ras-GFR-1 : ras-guanine-nucleotide-releasing factor 1 ERK : extracellular signal-regulated protein kinase PKCδ : protein kinase C-delta

(11)

NLRP3 : NOD-like receptors family member 3 FcRγ: Fc receptor-γ chain

GFP : green fluorescent protein PBS : prostate buffer saline PB : pacific blue

APC : allophycocyanin

APC/Cy7 : allophycocyanin cyanin7 FCS : fetal calf serum

PE : phycoerythrin

(12)

Ⅱ. 研究背景 創傷は様々な種類に分類することができるが、急性創傷と慢性創傷に分ける場合が 最も多い。急性創傷の代表といえば外傷、熱傷による創が、慢性創傷では褥瘡や糖尿 病性潰瘍などがある1)。急性創傷はいかに瘢痕を残さずにきれいに直すか、慢性創傷 はいかに創を治癒に導くかが重要となる。 ⽪膚の創傷治癒過程は炎症期、増殖期、再構築期の過程を経て治癒に⾄る(図1)。 炎症期では好中球やマクロファージを主体とした炎症系細胞が中⼼となり、創部の浄 化や各種サイトカインを放出する役割を果たす 2)3)、次いで、増殖期では⾎管新⽣や 線維芽細胞が主体となり⾁芽組織を形成し、再構築期ではそれらの組織が正常組織へ と置換されて治癒に⾄る4)。この⽪膚創傷治癒過程が正常に進⾏しない状態が慢性創 傷であり、創部の局所感染や炎症の遷延化が原因のことが多い。 ⽇常診療において創部感染の原因として問題となるのは、細菌のみならず、真菌の こともある5)6) 。代表的な真菌である Candida は⽪膚の常在菌であると同時に、易感 性宿主では重度の真菌症を引き起こすなどの負の側⾯も持っている。真菌が⽣体の障 壁を超えて増殖することに起因する感染症を⼀般に真菌症と呼び、問題となる真菌感 染にはほとんどの場合 Candida が関連するとされる。これまでに、6918 例の熱傷患 者の多施設共同研究で 6.3%が真菌培養陽性であり、その 85%が Candida であり、

(13)

Candida 以外でも酵⺟型真菌が 21%を占めたとの報告がある7)。熱傷創以外にも、糖 尿病性下腿潰瘍患者 518 名の創部を解析した臨床研究より,潰瘍の約 3 割から Candida 属などの真菌が検出されたという報告8)がある。真菌感染は⽣命予後に⼤き く関わる 9) 10) ことから、創傷治癒においても真菌感染との関連を⼗分に検討する必 要がある。 ⽪膚は損傷を受けると、微⽣物からの外因性病原体関連分⼦パターン(PAMPs)お よび損傷細胞からの内因性ダメージ関連分⼦パターン(DAMPs)によって炎症が引き 起こされる。これらの分⼦は⾻髄系細胞で主に発現する Toll 様受容体(TLR)や C 型 レクチン受容体(CLRs)などのパターン認識受容体(PRPs)に認識され、NF-κB など の転写因⼦を活性化させ、炎症性サイトカインやケモカインなどの発現を誘導する 11)12)

本研究のテーマである Dectin-1 (Clec7a)と Dectin-2 (Clec4n)は真菌防御に重要な 役割を果たす CLRs である。両者は細胞外領域に単⼀の炭⽔化物認識ドメイン(CRD) を有する膜貫通型のタンパク質で、Dectin-1 はβ-glucan を Dectin-2 は α-mannan

(Mannan)を認識する13)。真菌の細胞壁は普遍的に多糖類である β-glucan と Mannan

で構成されており,Candida の場合は最外層に Mannan がその内側に β-glucan が存

(14)

重合した多糖であり、その形状や強度に関連する。Mannan はタンパク質に結合して 細胞壁に存在し、その 30-40%を占めている(図 2)。CLRs は PAMPs だけでなく、 Vimentin やβglucronidase などの DAMPs も認識する。多様な細胞に存在する細胞

⾻格タンパク質の Vimentin は Dectin-1 に結合15)し、広範な組織に存在し、D-グル

コン酸を加⽔分解する酵素であるβglucuronidase は Dectin-2 に結合する16)ことが報

告されている。Dectin-1 は細胞質内ドメインに ITAM をもち、Syk を介して PKCδ から CARD9 へ、ROS から NLRP3 インフラマソームなどへシグナルを伝達する。 CARD9-Bcl-10-Malt1 三量体は NF-κB を活性化する。CARD9 は Ras-GFR-1、H-Ras とも三量体を作り、ERK を活性化する。Dectin-1 には ITAM 依存せず Ras-GFR-1、H-Ras を介 して Raf-1 から NF-κB を活性化する経路もある。NF-κB や ERK の活性化により、 IL-6、IL-12、IL-17、proIL-1β、proIL-18 などの炎症性サイトカインやケモカインが

産⽣される 17)18)。NLRP3 インフラマソームの活性化により、成熟型の 1βや

IL-18 が産⽣される18)。⼀⽅、ITAM モチーフを持たない Dectin-2 は ITAM を有する

アダプター分⼦ FcRγ と会合し、Syk を介して Dectin-1 と同様の経路を使ってシグ

ナル伝達を⾏うが、Ras-Raf1 を経由するシグナル伝達は利⽤しないとされる18)

上記のように、β-glucan は感染防御に免疫機能を増強するが、その他に⽪膚細胞

(15)

容体である Dectin-1 が創傷治癒関連で研究され始めた。これまでに、β-glucan の創 への投与により創傷治癒の促進作⽤があること20)、マウス創部の TNF-α 産⽣を誘導 することがこれまでに報告されている 21)22)のに加え、臨床でも創部にβ-glucan を投 与することが試みられ創閉鎖の促進に⼀定の成果をあげている20) ⼀⽅、三浦らの報告では、Mannan の創への投与により、治癒の遅延が引き起こさ れることを初めて明らかにした23)。加えて、Mannan 投与により好中球の NETosis が 誘導されること23)、CLRs を介した必須のシグナル伝達分⼦である CARD9 が創傷治 癒に関与することを実証した24) 。これらのことから、創傷治癒における Dectin-1 と Dectin-2 の相違には好中球への作⽤の違いが考えられると推察した。 好中球は創部が損傷などの炎症性刺激を受けると迅速に創部へ集積する25)。この 集積にはケラチノサイト由来ケモカイン(KC)、マクロファージ由来炎症性タンパク 質(MIP-2)、腫瘍壊死因⼦(TNF-α)、IL-17 などが関与する26)。⽪膚創傷治癒過程 において、PAMPs、DAMPs により活性化した好中球は創部のデブリードメントに 加え27)、病原体を殺処理するための Neutrophils Extracellular Traps (NETs)を放出

する。NETs は好中球が細胞外に放出した DNA と抗菌物質などの集合体であり、

NETs 形成による好中球の細胞死を NETosis と呼ぶ28)。NETs 形成は活性酸素種

(16)

トルリン化することから始まる。ヒストンと DNA の結合が弱まりクロマチン構造 が不安定となり、核膜やリソソームなどの細胞内⼩器官の膜が崩壊し、最終的に形 質膜が破綻して、内容物が放出される。NETs には、DNA の他にエラスターゼ、ヒ

ストンやミエルペルオキシダーゼなどが含まれる29)。NETs は糖尿病患者に⽣じた

創傷の慢性炎症部位で治癒に悪影響を及ぼすことが報告されている30)。その他、

NETs が⾎管内⽪細胞を障害すること31)、Acute respiratory distress syndrome

(ARDS)、Disseminated intravascular coagulation (DIC)など致死的病態につながる

32)33)こと、⾃⼰免疫疾患である全⾝性エリテマトーデス(SLE)、抗好中球細胞質抗体 (ANCA)、関節リウマチ(RA)などにも関連することが近年明らかとなってきている 34)35)。創部では感染していない初期状態で TNF-αが産⽣されるため36)、このことか らも、⽪膚損傷部位では⽣理的に NETosis が引き起こされる可能性がある。 この様な背景から、本研究では⽪膚創傷治癒過程、特に好中球性炎症反応、NETs 形成における Dectin-1 と Dectin-2 の役割の相違を解析することを⽬的とした。これ までの報告から、創傷治癒において Dectin-1 リガンドは創傷治癒を促進し20) 、Dectin-2 リガンドは創傷治癒を遅延させる23)という真逆の結果が得られている。Dectin-1 と Dectin-2 の創傷治癒過程におけるアクセルとブレーキとしての機能を明らかにする 事で、新たな創傷治癒薬の開発に寄与しうると考える。

(17)

Ⅲ. 研究⽬的 本研究では、Dectin1 と Dectin2 の⽪膚創傷治癒過程における機能の相違を解明す ることを⽬的とする。そのために、マウスの背部⽪膚⽋損創モデルを⽤いて以下の点 を明らかにする。 1) ⽪膚創部における Decin-1 および Dectin-2 の発現と好中球集積のタイミングの 相違

(18)

Ⅳ. 研究⽅法 本研究のすべての実験は, 「国立大学法人東北大学動物実験に関する規定」「国立大 学法人東北大学遺伝子組換え実験安全管理規程」 に準じ, 東北大学環境安全委員会 動物実験専門委員会及び遺伝子組換え実験安全専門委員会の承認を得た上で実施し た (承認番号:2013 医動-505, 2016 医動-038, 2017 医動-333, 2018 医動-159, 2013 医 組換-125, 2018 医組換-109) 。 1. 動物と各種実験手法、測定方法 1) 動物 実験には、野⽣型マウス (WT マウス) として 7-8 週齢の C57BL/6 マウス (CLEA Japan, Tokyo, Japan) 、CARD9 遺伝⼦⽋損マウス (CARD9KO マウス:⿅児島⼤学⼤ 学院医⻭学総合研究科感染防御学講座免疫学分野 原博満教授より供与)、Dectin-1 遺 伝⼦⽋損マウス(Dectin-1KO マウス)、Dectin-2 遺伝⼦⽋損マウス(Dectin-2KO マウ ス)、IL-17A 遺伝⼦⽋損マウス (IL-17AKO マウス) (東京理科⼤学⽣命医科学研究所 実験動物学研究部⾨ 岩倉洋⼀郎教授より供与)を⽤いて⾏った。マウスは東北⼤学⼤ 学院医学系研究科付属動物実験施設において SPF 環境下で飼育されたマウスを使⽤ し,餌と⽔は常時摂取できる環境とした。

(19)

2) 創作成と組織採取

マウスの⿇酔⽅法は、導⼊時に 40mg/kg のペントバルビタール(Kyoritsu seiyaku corporation, Tokyo, Japan)を腹腔内投与し、維持⿇酔にイソフルランを(Mylan Inc., South point, PA, USA)を吸⼊投与した。背側の体⽑を除⽑して、⽪膚を完全に露出さ せ、70%エタノールで消毒後、⽪膚⽣検⽤ 3mm パンチ(Biopsy Punch,Kai Industries Co., Ltd., Gifu, Japan)とハサミを⽤いて、マウス1匹につき6箇所の全層⽋損層を作 成した。創部はポリウレタンフィルム (Tegaderm Transparent Dressing, 3M Health Care, St. Paul, MN, USA) と弾性粘着包帯 (Hi-latex, Iwatsuki ,Tokyo, Japan ) で閉鎖

環境においた。創作成日を0 日目とし、創作成から 6 時間、12 時間、24 時間、 3 日

後、5 日後、7 日後、10 日後にマウスを犠牲死させたのち創部を含む皮膚組織を皮膚

生検用の8 mm パンチを用いて摘出した。実験期間中、マウスの鎮痛を図るため飲用

水にアセトアミドフェノール (Wako Pure Chemical, Osaka, Japan) を 0. 4 mg/マウ ス/日となるように加えた。

3) 創閉鎖率測定

創作成直後および各タイムポイントで、デジタルカメラ (CX-4, RICOH, Tokyo,

Japan) を用いて創を撮影した。撮影した画像は、画像解析ソフト Axio Vision (Carl Zeiss Micro Imaging , Japan, Tokyo, Japan) を使用して創の辺縁をトレースし、創面

(20)

積を測定し、創閉鎖率を以下の式で算出した:創閉鎖率=(1-各タイムポイントの創面 積÷創作成時の創面積)×100(%)。全ての解析は盲検的に行った。 4) 創部ハイドロキシプロリン(HP)濃度測定 コラーゲンに特徴的なアミノ酸であるハイドロキシプロリン量を測定することで、 創部に含有されるコラーゲン量を推定した。創を摘出後、2 ml の 6N 塩酸に溶解し、 120℃で 21 時間インキュベートした。回収後、サンプルを水酸化ナトリウムで中和 し、1 ml の 0. 05 M クロラミン T (Nacalai Tesque, Kyoto, Japan) を加えて室温で 20

分間静置後、3. 15 M 過塩素酸(Nacalai Tesque)を 1 ml 加え攪拌し、5 分間室温で静

置した。その後、20% p-ジメチルアミノベンズアルデヒド (Nacalai Tesque) を 1 ml 加え、20 分間 60 ℃でインキュベートし、Smart SpecTM3000 (Bio-Rad, Hercules, CA,

USA) を用い 557 nm の吸光を測定した。スタンダードには、L-ハイドロキシプロリ ン(Nacalai Tesque)を 100μg/mL に調整し、最低濃度 0.8μg/mL まで 2 倍段階希釈 したものを用いた。 5) 病理、免疫組織学的解析 創部皮膚組織は 4%パラホルムアルデヒドリン酸緩衝液で固定後、創部正中で頭尾 側方向に半切した後にパラフィン包埋した。半切した断面から薄切した切片を作成し、 各染色を行った。HE(Hematoxyline-Eosin)染色像を用いて創端から進展した表皮細

(21)

胞の先端までの距離を測定し、再上皮化率を評価した。

免疫組織化学染色には、正常血清ヒストファインブロッキング試薬 10%ウサギ正

常 血 清(Nichirei Bioscience, Tokyo, Japan) を 反 応 さ せ た 後 、 抗 Dectin-1(1:25,

Biolegend, SanDiiego, CA, USA) あ る い は 抗 Dectin-2 抗 体 (1:100, Bio-RadLaboratories, Herculus, CA, USA)、抗 Vimentin 抗体(1:100, ab92547; Abcam plc, Cambridge, UK )、抗β-glucronidase 抗体(1:100, Proteintech, USA)、抗 CD31 抗体 (Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA, USA)、抗 anti-α-smooth muscle actin (α-SMA)抗体 (1:200,Vector Laboratories,Inc., Burlingame, CA, USA)、抗 PCNA (proliferating cell nuclear antigen;増殖細胞核抗原)抗体 (1:100, Aglient Technologies, CA, USA) を反応させた。対照の一次抗体としてコントロール IgG (IgG Dako Cytomation Negative Control Mouse IgG2a, DAKO, Santa Clara, CA, USA) を用いた。

抗 PCNA 陽性細胞数は、染色標本中の創端部から新生表皮末端の表皮内の染色陽 性細胞をカウントし、単位面積当たりの陽性細胞数を算出した。抗CD31 陽性細胞、 抗α-SMA 陽性細胞は肉芽組織内の染色陽性細胞数をカウントし、単位面積当たりの 陽性細胞数を算出した。 蛍光免疫染色では凍結切片を作成し、ブロッキング後、一次抗体として抗Ly6G 抗 体(1:500, #127601, BioLegend)、抗シトルリン化ヒストン抗体[Rabbit anti-Histone

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H3(citrullineR2+R8+R17)antibody, 1:500, ab5103; Abcam plc, Cambridge, UK]を用

いて4℃で終夜反応させ、二次抗体として Goat anti-Rat IgG, Alexa Fluor 555(1:100,

A21434, Invitrogen, San Diego, CA, USA) 、 Goat anti-Rabbit IgG, Alexa Fluor 488(1:100, A11008, Invitrogen, San Diego, CA, USA)を室温で 60 分間反応させ、二

重染色を行なった。染色標本を蛍光顕微鏡 AXIO Imager.A1(Zeiss, Oberkochen,

Germany)で観察し、NETosis を評価した。

6) mRNA 抽出と RT-PCR(定量リアルタイム PCR)測定

ISOGEN(Nippon Gene Co.Ltd., Tokyo, Japan)を用いて、摘出した創部組織から

total RNA を抽出した。抽出した RNA は Prime Script® first-standard cDNA synthesis kit(Takara Bio Inc., Otsu, Japan) を 用 い て 逆 転 写 反 応 を 行 い 、 complementary deoxyribonucleic acid (cDNA) を合成した。得られた cDNA は遺伝子特異的プライマ ーとFastStart essential DNA green master mix (Roche Applied Science, Branford, CT,

USA) を用いて、StepOne Real-Time PCR System (Thermo Fisher Scientific,Inc., Waltham, USA)にて解析した。使用したプライマー配列は表 1 に示した。

7) サイトカイン、ケモカイン濃度測定(ELISA)

創部組織を摘出後に急速凍結し、生理食塩水を添加して氷上でホモジネートとした

(23)

で測定した。TNF-α、IL-17A、IL-1β濃度は Biolegemd の ELISA キット(San Diego,

CA, USA)を用いて測定した。KC、MIP-2、MCP-1 濃度は R&D systems の ELISA キ

ット(Minneapolis, MN, USA)を用いて測定した。測定における検出限界はそれぞれ

16pg/mL、8pg/mL であった。

8) 創部組織中の⽩⾎球分離

8 mm の皮膚生検用パンチで摘出した皮膚創部組織を細切し、10 mM HEPES(4-2hydroxymethyl-1-piperazineethanesulfonic acid)(Sigma-Aldrich) と 10% fetal calf serum (FCS) (Bio west, Nuaille, France)、1 mg/ml collagenase (Sigma-Aldrich, St. Louis, MO, USA) と 1 mg/hyaluronidase (Sigma-Aldrich) を加えた RPMI(Roswell Park Memorial Institute)1640 培養液 (Sigma-Aldrich)に入れ、37℃にて 2 時間インキ

ュベートした。ホモジネートを70 µm のナイロンメッシュ (BD Falcon, Bedford, MA,

USA) で濾過した後、1300rpm、4℃、5分間の遠心をし、細胞の沈渣を 0.1%アジ化

ナトリウム、1%FCS 添加 PBS で3回洗浄し、同じ液を懸濁した。懸濁液中の白血球

数は血球計算盤にて計測した。

9) フローサイトメトリー

前 述 の 方 法 で 得 ら れ た 細 胞 を pacific blue(PB) 標 識 CD45 抗 体 (clone-F-11, BioLegend)、allophycocyanin(APC)標識 CD11b 抗体(clone M1/70, BioLegend)、

(24)

allophycocyanin cyanin7 (APC/Cy7)標識抗 Ly6G 抗体(clone 1A8, BioLegend)、Alexa Fluor®488 標識 F4/80 抗体(clone BM8, BioLegend)、APC 標識 CD140a 抗体(clone APA5, Biolegend)、 phycoerythrin(PE)標識 Dectin-1 抗体(cleone RH1, Biolegend)、 fluorescein isothiocyanate (FITC)標識 Dectin-2 抗体(clone KVa7-6E7, Miltnyi)で染

色した。対照として、アイソタイプを一致させたIgG にて染色した。染色後に、BD

FACS CantoⅡ flow cytometer(BD Bioscience, Franklin Lakes, NJ, USA)で解析した。 解析は、CD45+CD11b+Ly6G+細胞を好中球、CD45+CD11b+F4/80+細胞をマクロファ

ージ、CD45-CD140a+細胞を線維芽細胞とした。

10) ウェスタンブロッティング

NETosis の特異的指標であるヒストンのシトルリン化を Westen Blot 法で解析し

た。皮膚創傷凍結サンプルに1% protease inhibitor cocktails (P8340;Sigma-Aldrich)

含有lysis buffer(RIPA buffer,182-02451;Wako Pure Chemical)を加えてホモジネート

し、4℃以下で20000g にて 20 分間遠心分離し、上清をサンプルとした。各サンプル

のタンパク質含有量はビシンコニン酸法(BCA Protein Assay Kit, 23227; Pierce

Biotechnology, Rockford, IL, USA)にて計測した。サンプルを濃度勾配ゲル(Mini-Protean TGX Gel 4-20%, 456-1095; Bio-Rad)を使用して電気泳動を行った。ゲル上 の分離タンパク質は、Semi-dry 法にて polyvinylidene difluoride membranes (AE-6665;

(25)

ATTO Corporation, Tokyo, Japan) 上 に 転 写 し た 。 0.5% ス キ ム ミ ル ク お よ び 0.1%Tween を含有する tris -buffered saline(TBS)に浸漬し、室温で2時間振盪した

後、4℃にて1晩1次抗体に反応させた。使用した1次抗体は、rabbit polyclonal

anti-Histone H3(Citrullin R2+R8+R17)antibody(1:1000, ab5103; Abcam)、rabbit

polyclonal anti-Histone H3 (D1H2)antibody (1:2000, #4499; Cell Signaling, Danvers, MA, USA)および loading control として mouse anti-Glyceraldehyde-3-phoshate Dehydrogenase antibody(1:2000, M171-3; MBL, Nagoya, Japan)であった。一次抗体

反応終了後、1時間室温にて二次抗体反応を行った。使用した二次抗体は、goat anti-

rabbit IgG(1:5000, #7074; Cell Signaling)、goat anti-mouse IgG(1:5000, #7076; Cell Signaling)であった。化学発光検出には、Chemi-Lumi One Ultra(#11644; Nacalai Tesque)を使用し、LAS4000(Fuji Film, Tokoy, Japan)で撮影を行った。

11) エラスターゼ活性測定 創部組織に、生理食塩水を添加して氷上でホモジネートし、遠心分離後の上清中の エラスターゼ活性を Enz chek® Elastase assay kit (Thermo Fisher Scientific)を 用いて測定した。1 単位(U)は pH8.8、37℃および 20 分間で 1mg のエラスチンを可溶 化するのに必要な酵素の量として定義され、測定における検出限界は 2 mU/mL であっ た。

(26)

2. dZymosan(Zymosan depleted)、α-mannan の投与

β-glucan を 主 成 分 と し Toll like receptor (TLR) へ の 結 合 性 を 消 失 さ せ た dZymosan(Hot alkali-treated Zymosan from Saccharomycescerevisiae, Invivogen, SanDiego, CA, USA)、Mannan (α-mannan from Saccharomyces cerevisiae,Sigma-Aldrich, St.Lois, MO, USA) を PBS でそれぞれ 0.5 mg/mL、100mg/mL に希釈して 使⽤した。創作成直後に dZymosan 投与群は1つの創あたり 2.5 μg の dZymosan を、 Mannan 投与群は1つの創あたり 300μg の Mannan を創局所に投与した。対照群に は溶媒の PBS を投与した。いずれも投与後、溶液が創部にとどまり周囲に漏れない ことを確認した。

3. DNaseⅠ投与

NETs による組織障害を阻害する⽬的で DeoxyribnucleaseⅠ(DNase, Wako, Tokyo, Japan)を⽣理⾷塩⽔に溶解し、250 U/mL に調整した。DNase I は創作成 1 時間前に から⽬的のタイムポイントまで連⽇ 200μl を腹腔内投与した。対照として、同量の ⽣理⾷塩⽔を腹腔内投与した。

4. 抗 Gr-1 抗体投与

抗 Gr-1 抗体ハイブリドーマ(clone RB6-8C5)培養上清から protein G column (Kirkegaard & Perry Laboratories, Milford, MA, USA)を⽤いて抗 Gr-1 モノクローナ

(27)

ル抗体を精製した。これは Miura らが報告23)しているものと同じ抗 Gr-1 抗体であ

る。創作成 1 ⽇⽬に、濃度 2mg/mL 調整した抗 Gr-1 抗体の 200μl を腹腔内に投与 した。対照として、同量の Rat IgG (ICN Pharmaceuticals, Aurora, OH, USA)を腹腔 内投与した。

5. Dectin-1、2 レポーター細胞への創部上清による GFP 活性化測定

創作成後3 時間と 24 時間目に 8mm パンチで打ち抜き、10% FCS/RPMI を用いて

ホモジネートにした。その遠心上清からデブリスなどを 0.8μm のフィルター(BD

Falcon, Bedford, MA, USA)で除去したものを刺激に用いた。Dectin-1 あるいは

Dectin-2 の NFAT-GFP レポーター細胞37)に創部上清を加え、20 時間インキュベー

トした。ポジティブコントロールとして Dectin-1 には dZymosan(60μg/mL)を

Dectin-2 には Mannan(3 mg/mL)を使用した。刺激後の細胞を APC(allophycocyanin) 標識 CD-3 抗体(clone:145-2C11, Biolegend)で染色し、BD FACS CantoⅡ flow

cytometer(BD Bioscience, Franklin Lakes, NJ, USA)で解析した。

6. 統計解析

得られたデータは統計学的解析ソフト(SPSS 13. 0J for Windows, SPSS Japan,

Tokyo, Japan)を用いて解析を行った。全ての数値データは平均 (mean) ± 標準偏差 (SD: standard deviation)で示した。各実験群間の比較は両側分布を用い、非等分散の

(28)

2 標本を対象とする Welch T-test を用いて行った。2群を比較するために unpaired t test を用い、P<0.05 を有意差ありとした。

(29)

Ⅴ. 研究結果 1. ⽪膚創傷治癒過程における Dectin-1、Dectin-2 発現推移 ⽪膚損傷に伴う Dectin-1 および Dectin-2 発現の推移を明らかにするため、WT マ ウスの正常⽪膚に創を作成後0、3、6、12、24 時間、3、5、7 ⽇⽬ Dectin-1、Dectin-2 の mRNA 発現を RT-PCR 法で解析した。Dectin-1 は早期に発現し、6 時間後にピ ークを迎え、速やかに元のレベルに戻ったのに対して、Dectin-2 は 12 時間後にピー クを迎え、その後も少し低下するものの7⽇⽬まで維持されていた(図 4a)。創作成後 24 時間の免疫組織化学解析では、分葉の核を持つ好中球、腎臓形を持つ⽐較的⼤型の マクロファージ、紡錘形で楕円形の核を有する線維芽細胞と考えられる細胞で Dectin-1 および Dectin-2 の発現を認めた(図 4b)。さらに、内因性リガンド(DAMPs) とされる Vimentin やβ-glucronidase を発現する細胞を Dectin-1 および Dectin-2 の 発現細胞が存在する領域で確認した (図 4b)。作成後 24 時間の創から分離した細胞 をフローサイトメトリーで解析したところ、好中球、マクロファージ、線維芽細胞に Dectin-1 および Dectin-2 が発現していることを確認した(図 4c)。好中球の Dectin-1 発現は 43.2(±3.4)%、Dectin-2 発現は 55.8(±7.5)%、マクロファージの Dectin-1 発 現は 30.2(±0.8)%、Dectin-2 発現は 19.3(±1.6)%、線維芽細胞の Dectin-1 発現は 33.7(±4.3)%、Dectin-2 発現は 13.4(±16)%であった。

(30)

2. DAMPs による Dectin-1、Dectin-2 への刺激活性

創部で DAMPs の Vimentin やβ-glucronidase の発現が確認されたため、形成後 24 時間の創から回収した⽪膚のホモジネート上清に Dectin-1 や Dectin-2 を刺激す る分⼦が存在するかを確認した。創のホモジネート上清で Dectin-1-NFAT-GFP レポ ーター細胞あるいは Dectin-2-NFAT-GFP レポーター細胞を刺激したところ、 Dectin-2 レポーター細胞で活性化が認められた(図 5)。⼀⽅、3 時間の創から回収し た上清では Dectin-1 のレポーター細胞が刺激されることを確認した(図 6)。この結果 から、⽪膚創傷部位に Dectin-1、Dectin-2 のリガンドとなる DAMPs が存在するこ とが⽰唆された。 3. Dectin-1、Dectin-2 ⽋損が⽪膚創傷治癒過程に与える影響の違い 創作成後に Dectin-1 と Dectin-2 が発現するタイミングが違うことは創傷治癒過程 における両者の役割の違いを⽰唆する。この点を明らかにするため、Dectin-1KO マ ウスと Dectin-2KO マウスを⽤いて、創傷治癒過程の各ステップを検証した。 1)創閉鎖率への影響 WT マウス、Dectin-1KO マウス、Dectin-2KO マウスにそれぞれ創を作成し、創 作成後 5 ⽇⽬における創閉鎖率を算出した。創閉鎖は時間とともに進⾏し、Dectin-1KO 群の創閉鎖は WT 群と⽐較して有意に遅延したが、Dectin-2KO 群では促進し

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た(図 7a)。 2) 再上⽪化への影響 創閉鎖に⼤きく影響する再上⽪化率を、創作成後 5 ⽇⽬の HE 染⾊像を基に算出し た。Dectin1-KO 群の再上⽪化率は WT 群に⽐べて低く、Dectin-2KO 群では⾼かっ た(図 7b)。この結果は創閉鎖率の結果と同じ傾向を⽰す。 3) ⾎管新⽣、筋線維芽細胞、上⽪細胞への影響 Dectin-1 あるいは Dectin-2 ⽋損の⽪膚創傷治癒の代替組織形成への影響について 調べる⽬的で、新⽣表⽪における上⽪細胞の増殖マーカーとして PCNA 陽性細胞数; ⾎管新⽣を⽰す⾎管内⽪細胞のマーカーとして CD31 陽性⾎管内⽪細胞数;創収縮に 関わる筋線維芽細胞のマーカーとしてαSMA 陽性細胞数について、免疫染⾊像を基 に次の項⽬を解析した。創作成後 5 ⽇⽬の PCNA 陽性細胞数は Dectin-1KO 群で WT 群より低かった。CD31 陽性細胞数は Dectin-1KO 群では WT 群より低く、Dectin-2KO 群では⾼かった。α-SMA 陽性細胞数は Dectin-群より低く、Dectin-2KO 群では WT 群より⾼かっ た(図 7c, d)。以上の結果から、Dectin-1KO マウスでは、上⽪細胞の増殖や⾎管新⽣ が低下するため、上⽪化が進まず、創閉鎖が遅れる⼀⽅、Dectin-2KO マウスでは、 組織形成が亢進し、創閉鎖が促進されることが⽰唆された。

(32)

4. ⽪膚創傷治癒過程における好中球性炎症反応への Dectin-1、Dectin-2 ⽋損 における影響の違い 好中球は創傷治癒過程早期の炎症反応において重要な役割を果たすことが⽰され ている38)。そこで、Dectin-1 および Dectin-2 の⽋損が好中球の創傷組織への集積に 及ぼす影響について、創作成後 6 時間および 5 ⽇⽬で検証した(図 8)。Dectin-1KO 群の好中球数は 6 時間で WT 群の半分程度であり、5 ⽇⽬では WT 群と有意な差が なかった。⼀⽅、Dectin-2KO 群の好中球数は 6 時間で WT 群の2倍となり、5 ⽇⽬ では逆に WT 群の 1/4 程度に低下した。これらの結果から、創傷治癒の促進には好中 球を早期に創部に集積させ、その後は速やかに消退させることが重要であり、Dectin-1 はこの過程に必要な因⼦で、Dectin-2 は逆に阻害する因⼦である可能性が⽰唆され た。 5. ⽪膚創傷治癒における Dectin-1、Dectin-2 シグナル活性化の影響の違い 1) 創閉鎖率への影響 遺伝⼦⽋損マウスを⽤いた実験から、創傷治癒過程における Dectin-1 および Dectin-2 の相反する役割が⽰唆された。そこで、Dectin-1 および Dectin-2 を既知の 外因性リガンドで刺激することで、それぞれの受容体からの強いシグナルが創傷治癒 過程に及ぼす影響を調べた。Dectin-1 リガンドとして dZymosan を投与した群、

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Dectin-2リガンドとして Mannan を投与した群、および Vehicle として PBS を投与 した群について、創作成後 3、5、7 ⽇⽬における創閉鎖率を算出した。その結果、 dZymosan 群の創閉鎖は 3 ⽇⽬、5 ⽇⽬、7⽇⽬で Vehicle 群よりも促進していた。 ⼀⽅、Mannan 群の創閉鎖は 5 ⽇⽬と 7 ⽇⽬において Vehicle 群よりも遅延した (図 10a, b) 。別の Dectin-2 リガンドとして Mannan を含むMarrassezia furfur の細胞壁 分画の Furfurman を⽤いたところ、創作成後 5 ⽇⽬の創閉鎖は Mannan 群と同様に Vehicle 群よりも低い結果が得られた(図 10c)。 2) dZymosan、α-mannan 局所投与による CARD9、IL-17A への影響 Dectin-1 および Dectin-2 の刺激は好中球の集積をはじめ、創傷治癒過程に異な る影響を与えるが、Dectin-1 および Dectin-2 からのシグナルは共通のアダプター 分⼦ CARD9 を介して伝達されるとされる。そこで、CARD9 ⽋損の創閉鎖への影 響を検証した。CARD9KO マウスに作成した創に dZymosan あるいは Mannan を 投与し 5 ⽇⽬の創閉鎖率を⽐較したところ、dZymosan による促進と Mannan によ る遅延の両⽅が消失した(図 10d)。この結果は、創傷治癒に関わる dZymosan によ る Dectin-1 シグナルおよび Mannan による Dectin-2 シグナルはすべて CARD9 を 経由していることを⽰す。また、好中球集積に関わる IL-17A の創傷治癒過程にお ける役割を明らかにするため、IL-17AKO マウスを⽤いて同様の検討を⾏ったとこ

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ろ、Mannan による遅延が解消された(図 10e)。この結果から、Dectin-2 からのシ グナルは IL-17A によって創に集積した好中球を介して創傷治癒を遅延させること が⽰唆された。 3) 再上⽪化、コラーゲン合成への影響 リガンドによる Dectin-1 あるいは Dectin-2 からのシグナルが創傷治癒過程のう ち、再上⽪化やコラーゲン合成に及ぼす影響について解析を⾏った。創作成後 5 ⽇⽬ において、dZymosan 投与群は Vehicle 群より⾼い上⽪化率を⽰し Mannan 投与群は 低い上⽪化率を⽰した (図 11a, b)。コラーゲンに特異的に存在するアミノ酸である ヒドロキシプロリンは dZymosan 投与群では Vehicle 群と同等であったが、Mannan 群では低下していた。(図 11c) 。この結果、Dectin-1 への刺激は再上⽪化の促進に働 く⼀⽅で、Dectin-2 への刺激はコラーゲン産⽣を低下させ、再上⽪化の遅延に働くこ とが⽰唆された。

4) ⾎管新⽣、筋線維芽細胞、上⽪細胞への影響

Dectin-1 および Dectin-2 シグナルの創傷治癒過程後期の組織形成への影響を解析 するため、dZymosan あるいは Mannan を投与した創の修復組織中の PCNA(上⽪細 胞増殖マーカー)発現細胞および CD31(⾎管新⽣マーカー)発現細胞、α-SMA(筋 線維芽細胞増殖マーカー)発現細胞数を解析した。創作成後 5 ⽇⽬で、いずれも

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dZymosan 投与群ではいずれの細胞も Vehicle 投与群に⽐べて多く、 Mannan 投与群 では CD31 発現細胞、α-SMA 発現細胞が少なかった (図 11d, e)。この結果は Dectin-1 への刺激が組織形成を促進し、Dectin-2 への刺激が抑制することを⽰唆する(図 Dectin-12)。 6. dZymosan、α-mannan 局所投与が好中球集積に与える影響 Dectin-1KO および Dectin-2KO マウスの解析から、創形成後に組織形成に⾄るま での過程に好中球性炎症が⼤きく影響している可能性が⽰唆された。そこで、 Dectin-1 および Dectin-2 に対するそれぞれのリガンドによる刺激が好中球の集積へ 与える影響を免疫組織染⾊およびフローサイトメトリーで評価した。dZymosan 投 与では、Ly6G 陽性の好中球の創部への浸潤は 6 時間で Vehicle 投与より多く、5 ⽇ ⽬では減少して Vehicle 投与と同等になった。⼀⽅、Mannan 投与では 6 時間で Vehicle 投与と同等に少なかったが、5 ⽇⽬では増加し、Vehicle 投与より多い結果 となった(図 13a)。フローサイトメトリーにより創部の好中球数およびマクロファー ジ数の継時変化を評価したところ、好中球は dZymosan 投与により早期の 6、12 時 間において Vehicle 投与より多く、24 時間以降は Vehicle 投与と同レベルで低下し ていった。⼀⽅、Mannan 投与は早期では Vehicle 投与と同等だったが、後期は 5 ⽇ をピークに増加し、遷延した(図 13b)。マクロファージの集積は好中球に似た傾向を ⽰したが、Vehicle 投与との差は⼩さかった (図 13c)。Dectin-1 および Dectin-2 そ

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れぞれのリガンドの投与により、創部への好中球集積のタイミングが明確に違うこ とが⽰された。 Dectin-1、Dectin-2 シグナルの創部好中球集積の機序を明らかにするために、創作 成後 6 時間、3⽇⽬に創ホモジナイズを作成し、好中球遊⾛に関与するケモカインの MIP-2 と KC、単球の遊⾛に関わるケモカインの MCP-1、好中球の活性化や遊⾛に 関わるサイトカインの誘導に関与する IL17A、炎症を誘導する TNF-αと IL-17A の 産⽣にも関わる IL-1βを ELISA で測定した。dZymosan 投与により、6 時間後には KC、MIP-2、MCP-1 が Vehicle 投与より多く産⽣された。Mannan 投与では3⽇⽬ に TNF-α、IL-17A、KC、MIP-2、MCP-1、IL-1βのいずれもが Vehicle 投与より多 く産⽣された (図 13d)。Dectin-1 シグナルによる早期の好中球の遊⾛にはケモカイ ンの作⽤が中⼼であり、Dectin-2 シグナルによる好中球集積の遅れと遷延はケモカイ ンに加え、好中球の活性化に関与するサイトカインが関与することが明らかになった。 7. dZymosan、α-mannan 局所投与による NETosis への影響 好中球が創傷治癒に悪影響を及ぼす機序として、細胞毒性が強い NETs の放出が 考えられる。そこで、dZymosan および Mannan 投与による創部 NETosis と NETosis のトリガーとなるヒストンのシトルリン化を蛍光免疫染⾊とウェスタンブロッティ ングで解析した。5 ⽇⽬における創の好中球(Ly6G; ⾚⾊)とシトルリン化ヒストン

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(CitH3; 緑⾊)の蛍光⼆重染⾊では、Mannan 投与において、好中球とシトルリン化ヒ ストンの共局在が認められた(図 14a)。ヒストンのシトルリン化を定量するため、創 中のシトルリン化ヒストン(CitH3)とヒストン(H3)をウエスタンブロッティング で検出し、ウェスタンブロッティングのバンドの濃さを ImageJ にて数値化し、CitH3/ H3 ⽐を算出した。Mannan 投与群において創作成後 5 ⽇⽬にシトルリン化の上昇を 認めた(図 14b)。創作成後 6 時間では Mannan 投与だけでなく dZymosan 投与におい ても上昇は認めなかった(図 14c)。この結果より、Dectin-1 ではなく Dectin-2 が NETosis 誘導に関与することが⽰唆された。 8. 創部の⽣理的 NETosis と Dectin-1、Dectin-2 シグナル⽋損による NETosis への影響 マウス創傷における⽣理的な NETosis の誘導時期を明らかにするため、WT マウ スに創を作成後、CitH3/ H3 ⽐を経時的に検討した。WT マウスの CitH3/ H3 ⽐は 創作成後増加し、3 ⽇⽬をピークに 10 ⽇まで⾼値を⽰した(図 15a)。Dectin-2KO マ ウスでは、3 ⽇⽬の CitH3/ H3 ⽐は WT マウスに⽐べ低下していた(図 15b)が、 Dectin-1 マウスでは WT マウスと同等であった(図 15c)。この結果は Detin-2 からの シグナルが NETosis の誘導に関与することを⽰唆する。

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9. DNaseⅠ投与における創傷治癒と NETs 形成への影響

Wong らの報告により糖尿病マウスにおいて DNaseⅠ投与により創傷治癒が改善

したとの報告がある30)。 ⽣理的条件下のマウスあるいは Mannan 投与マウスにおい

て DNaseⅠ投与が創閉鎖に及ぼす影響を検討した。DNaseⅠあるいは Vehicle を創作 成1時間前に腹腔内に投与し、以後 24 時間ごと摘出⽇まで投与した。創作成時に Mannan あるいは Vehicle を1回投与した。その結果、Mannan 投与群で5⽇⽬に観 察される創閉鎖治癒遅延が DNaseⅠ投与によりキャンセルされた(図 16a)。⽣理的 NETosis に対して DNaseⅠを投与することにより創閉鎖が促進する現象は創作成後 5 ⽇⽬でははっきりしなかった(図 16a)が、3 ⽇⽬で確認された(図 16b)。ヒストンの シトルリン化が DNase I によって影響を受けないことを創作成後 5 ⽇⽬の Cit H3/ H3 ⽐で⽰した (図 16c)。これらの結果から、Dectin-2 によるシグナルで誘導された NETs を DNaseⅠで分解することにより遅延していた治癒が促進に向かうことが明 らかになった。 10. 抗 Gr-1 抗体投与における創傷治癒と NETosis への影響 上記の結果から、好中球の NETs が創傷治癒過程を阻害している可能性があること から好中球を枯渇させたマウスにおける NETs 分解と創閉鎖との関係を検証した。抗 Gr-1 抗体を創作成後 1 ⽇⽬に投与し、以降の好中球を枯渇させたマウスでは 3 ⽇⽬

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の創閉鎖率が対照マウスに⽐べ改善した (図 17a)。好中球が枯渇する中で、抗 Gr-1 抗体投与マウスでは Cit H3/ H3 ⽐も低下した(図 17b)。これらの結果から、好中球 が NETs を放出することが創傷治癒を阻害することが明らかになった。 11. Dectin-2 の創傷治癒後期に与える影響 Dectin-2 からのシグナルが後期の好中球集積と遷延に関わり、好中球が放出する NETs が増殖期、再構築期における創傷治癒プロセスを調節している可能性が⽰唆さ れた。そこで組織再構築の中⼼となるコラーゲン量を⽰すヒドロキシプロリン、創傷 部位で未熟なⅢ型コラーゲンから成熟したⅠ型コラーゲンへの移⾏を⽰すマーカー としての COL3A1/COL1A1 ⽐、増殖因⼦の TGF-β、コラーゲンの分解に関わるマ トリクスメトロプロテアーゼ(MMP)-2、8 とエラスターゼを WT マウスと Dectin-2KO マウスで⽐較した(図 18a-e)。Dectin-Dectin-2KO 群では、創作成後 10 ⽇⽬のヒドロキ シプロリン量が WT 群と⽐較して増加し、COL3A1/COL1A1 ⽐は低下する傾向を認 めた。線維芽細胞やコラーゲン産⽣に関わる TGF-βは Dectin-2KO 群で上昇する結 果を得た。創傷関連分⼦であり、コラーゲンの分解に関与するマトリクスメトロプロ テアーゼ(MMP)-2、8 とエラスターゼは Dectin-2KO 群で WT 群に⽐べて低下を認 めた(図 19d,e)。これらの結果は、Dectin-2 シグナルが⼊らない状態では、成熟コラ ーゲンの産⽣が進む⼀⽅で、コラーゲンの分解が抑制されることにより創の成熟が進

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Ⅵ. 考察

本研究は Dectin-1 および Dectin-2 の⽪膚創傷治癒における役割の違いを研究した 初めての論⽂である。Dectin-2 ⽋損下で Dectin-1 シグナルが伝達される状況、ある いは Dectin-2 が存在する中でも dZymosan 刺激により強い Dectin-1 シグナルが伝達 される状況では、好中球性炎症反応が早期に起こり、その後好中球の速やかな消退に よって、治癒が促進されることが明らかになった。⼀⽅、1 ⽋損下で Dectin-2 シグナルが伝達される状況、あるいは Dectin-1 が存在する中でも Mannan 刺激に より強い Dectin-2 シグナルが伝達される状況では、好中球性炎症反応が遅く開始し、 NETossis が遷延することによって治癒が阻害されることが明らかになった。 本研究の結果から、Dectin-1 および Dectin-2 は創傷治癒の炎症期から増殖期への 移⾏に関わる重要な調節因⼦であり、それぞれがアクセルとブレーキの相反する役割 を持つことが⽰唆された。 Dectin-1 はケラチノサイト、樹状細胞、マクロファージ、好中球、線維芽細胞、⾎ 管内⽪細胞に発現することが報告されている39-42)が、Dectin-2 はケラチノサイト、樹 状細胞、マクロファージ、好中球に発現することが報告されている。本研究は、Dectin-2 が創部に集積した線維芽細胞に発現することを新たに明らかにした。Dectin-状細胞、マクロファージ、好中球に発現することが報告されている。本研究は、Dectin-2 の⾎ 管内⽪細胞への明らかな発現の所⾒は得られなかったが、今回の結果で CD31 陽性細

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胞は Dectin-2KO で上昇し、Mannan 投与下で低下したことから⾎管内⽪細胞にも発 現している可能性は残されている。その他に、Dectin-1 は早期の炎症性単球で発現が ⾼く、Dectin-2 は遊⾛してきた炎症性単球で発現が⾼いことが報告されている 40) また、Taylor PR らは、組織常在型マクロファージに注⽬して解析を⾏い、肺の上⽪ マクロファージや腹腔常在型マクロファージでは、Dectin-1 は強く発現しているが、 Dectin-2 はほとんど発現していないことを報告している 40)。本研究においても炎症 早期の創部の、Dectin-2 発現マクロファージが 19.3±1.6%であったのに対し、Dectin-1 発現マクロファージは 30.2%±0.8%であったことから⽪膚組織常在型マクロファ ージや炎症早期の創部に存在するマクロファージでは Dectin-1 の発現が⾼いことが ⽰された。 Dectin-1 および Dectin-2 は、ともに真菌防御にも関わる CLRs であり、それぞれ 外因性リガンドとして β-1,3-glucan と high-mannose structures をそれぞれ認識し、

NF-κB の活性化を介して炎症反応の促進に関わる43)44)。Dectin-1 は内因性リガンド

としてほとんどの細胞の内部に存在する Vimentin15)を、Dectin-2 は樹状細胞やマク

ロファージ上に存在する β-glucuronidase16)を認識するが、下流に伝達されたシグナ

ル が 炎 症 反 応 の 誘 導 に 関 与 す る か 否 か は 明 ら か に さ れ て い な か っ た 。 筆 者 は Vimentin、β-Glucuronidase が Dectin-1、Dectin-2 陽性細胞存在領域で発現するこ

(43)

とを確認するとともに、創ホモジネート上清中に Dectin-1、Dectin-2 を活性化する 分⼦が存在することを明らかにした。Mori らは、Dectin-2 に認識される⾃⼰のリガ ンドとして、β-Glucuronidase 以外のタンパク質の存在を⽰した16)が、⾻髄系細胞に ⼤量に存在する 45)タンパク質である β-glucuronidase の可能性は⾼いと考えられる が、これらは今後の検討課題である。 本研究で、創部の好中球性炎症反応に対し、早期では 1 が、後期では Dectin-2 が関与している結果を得たが、Dectin-1 刺激ではケモカイン (KC、MIP-Dectin-2) 依存的 に好中球が創部に集積する⼀⽅、Dectin-2 刺激では KC、MIP-2 に加えて TNF-α、 IL-17A も好中球動員に関与することが明らかになった。KC は上⽪細胞、好中球、マ クロファージが、MIP-2 は単球、マクロファージが主に産⽣する46)。6 時間での Dectin-1 刺激の KC は上⽪細胞や組織常在型のマクロファージが、MIP-2 も組織常在型のマ クロファージが産⽣を担っている可能性がある⼀⽅で、3 ⽇⽬での Dectin-2 刺激の KC は好中球、遊⾛してきたマクロファージが、上⽪細胞が、MIP-2 も遊⾛してきた マクロファージが産⽣を担っている可能性が考えられる。van den Berg らは

Dectin-1 はケラチノサイトの遊⾛を⾼め、再上⽪化の促進に働くことを 39)、Leal Jr.らは

Aspergillus fumigatus ⾓膜炎モデルを⽤いて、β-glucan が⾓膜常在型マクロファー ジ上の Dectin-1 を介して感染早期の KC 産⽣と好中球動員に重要な役割を担うこと

(44)

を報告している47)。⼼筋虚⾎再環流障害マウスモデルにおいても、マクロファージ上 の Dectin-1 が KC を介して早期の好中球遊⾛に寄与し、72 時間以内に消退すること が報告されている48)。創傷においても、マクロファージ等の組織常在型細胞上に発現 した Dectin-1 が早期のダメージを感知し、ケモカインを介して好中球を動員し、役 割を終えた後は速やかに消退する可能性が⾼いと考えられる。 これまでに Dectin-2 の発現は炎症開始後に遊⾛してきた炎症性単球で⾼いことや 40)、⼼筋梗塞モデルで梗塞後 7 ⽇⽬まで、マクロファージでの発現が持続すること が確認されている12)。これまでの研究で、創への Mannan 投与後に Dectin-2 発現が ゆるやかに上昇し、増殖期以降の好中球集積と治癒遅延に関与することを⽰した22) が、その研究は Mannan2回投与のモデルであり、1回投与のモデルで検証するこ とで、Mannan 刺激後の Dectin-2 の動態の解釈を明確にするため、本研究において 再確認の実験を⾏なった。その結果、⼀回投与によっても Dectin-2 の発現が⽪膚損 傷後 7 ⽇⽬まで持続し、Dectin-2 依存性に好中球性炎症反応が遷延することを明ら かにした。また、レポーターアッセイの結果から、Mannan の GFP 活性が dZymosan の活性に⽐べて低く affinity が弱いために遅れて活性化されている可能性 に関しては、Dectin-2 は MCL とヘテロ⼆量体を形成することでより効率的に Mannan を認識することが知られているため49)、Dectin-2 を単独で発現する

(45)

Dectin-2-NFAT-GFP レポーター細胞では活性が弱かった可能性が考えられる。 Mannan により Dectin-2 を刺激した創では、TNF-α および IL-17A の産⽣が創 傷治癒早期で低く、後期で⾼かった。TNF-αはアポトーシスを誘導することで好中 球の消退に関わり50)、IL-17A と共に好中球遊⾛と NETosis 誘導にも関わることが 報告されている51) 52)。また、早期のアポトーシス抑制は後期まで好中球を遷延さ せ、遷延した好中球により NETosis が亢進することも報告されている53)。従って、 初期のアポトーシス抑制によって残存した好中球や、TNF-α や IL-17A によって産 ⽣を⾼められ、ケモカインによって動員された好中球が、後期における NETosis を 起こしていると考えられる。実際、これまでに筆者らは NKT 細胞⽋損マウスの創部 における好中球のアポトーシスが WT マウスに⽐べて低下しており、そのために好 中球集積が遷延することを観察し報告している54)

Taylor らは、真菌に対する免疫応答において、Dectin-1 は補体と同様に“primary pathogen recognition system”として働き、病原体と免疫細胞の直接的な相互作⽤を媒

介することを指摘している41)55)C. alibicans など多くの真菌は、Mannan で構成され

る外層の内側に β-1,3-glucan (Dectin-1 ligand) 等で構成される内層を有する56)。⽣

体内に侵⼊し、酵⺟型から菌⽷型に変わると、内側に位置する β-1,3-glucan が細胞

(46)

よる免疫誘導は Mannan よりも強いと報告されている 56) 59)。本研究において、⽣理 的条件下でも、dZymosan を投与した場合でも、Dectin-1 は創作成後 6 時間で強く発 現することが明らかになった。早期に発現した Dectin-1 によって早期に集積した好 中球が早期の創部清浄化に寄与するものと考えられる。 本研究により、創作成後に⽣理的条件下においた時、あるいはリガンドを投与した 時でも、Dectin-1 と Dectin-2 の発現のピークのタイミングが異なることが明らかに なった。Dectin-1 と Dectin-2 は同時に強く発現することがないことや、Dectin-1 を ⽋損した単球、マクロファージで Dectin-2 の発現が亢進することが報告されており

40)、Dectin-1 と Dectin-2 には相互に制御しあう機構が存在する可能性があると考え

られる。Dectin-2 は CLR member の MCL (Dectin-3)とヘテロ⼆量体を形成するこ

とで、より効率的にシグナルを伝える49) という報告があり、Dectin-1 の速やかな発

現低下は、Dectin-2/ MCL 複合体によって間接的に制御されている可能性を⽰唆す る。⼀⽅、Dectin-1 シグナル伝達は別の CLR member である Mincle を介して阻害

されることが報告されている60)。Dectin-1 と Dectin-2 の間の相互制御機構は複雑で

あり、その解明は今後の課題の1つである。

本研究において、WT マウスに創作成後、3⽇⽬をピークに NETs が誘導された⼀ ⽅、Dectin-2KO マウスではその誘導が低かったことから、⽣理的な NETs 形成が

(47)

Dectin-2 依存的であることが明らかになった。Dectin-2 のシグナルは Syk を介して ROS へも伝えられる18)ため、ROS を介して peptidylarginine deiminase 4 (PAD4)が

活性化し、ヒストンをシトルリン化することで、NETs を誘導する可能性がある。 マウスの好中球の枯渇は、感染していない傷の再上⽪化を促進させることが⽰され

ている61)。本研究において、抗 Gr-1 抗体投与により好中球を枯渇させたところ、創

閉鎖が促進することを確認したが、同時に NETs マーカーである Cit H3/ H3 ⽐の減 少を認めたことから、NETosis に陥った好中球が治癒を妨げる可能性が⽰唆された。 好中球から放出される DNA は NETs の主たる構成成分であり、DNaseⅠの投与

が NETs により遅延した治癒を回復することが報告されている29)が、DNaseⅠの作

⽤機序は不明であった。本研究において、DNaseⅠ投与により Mannan 投与なしの 創と Mannan 投与ありの創の両⽅で創閉鎖率が改善したが、NETs 放出前の核内で 起こるヒストンのシトルリン化を表す Cit H3/ H3 ⽐には影響がなかった。このこと から、DNaseⅠの投与によって NETs の DNA を分解することで創傷治癒を促進す

る可能性が⽰唆された。⼀⽅、A. fumigatus や β-glucan も ROS 産⽣62) を介して

NETosis 誘導63)に関与することが報告されている。

近年、外傷や⼿術、熱傷後の瘢痕は⼤きな問題であり、しばしば整容⾯の低下をも たらすことから、瘢痕を形成しない創傷治癒に注⽬が集まっている。中でも、肥厚性

(48)

瘢痕やケロイドは、慢性炎症性疾患と位置付けられ、治療法が検討されている 64)65) 創傷治癒の炎症反応の過程で TGF-β1 が瘢痕部位で過剰に検出され、TGF-β1 をノ ックダウンすると瘢痕形成が減少することが報告されている 66)。TGF-β1 は線維芽 細胞からのコラーゲン合成を促進する因⼦として知られており、創傷部位で未熟なⅢ 型コラーゲンから成熟したⅠ型コラーゲンへの移⾏にも寄与する67)。これまで、瘢痕 形成の詳細なシグナル伝達やメカニズムは解明されていなかったが、本研究において、 Dectin-2KO マウスでコラーゲンは増えるが、COL3A1/ COL1A1 ⽐は低下を⽰した ことから、線維芽細胞に発現する Dectin-2 が TGF-β1 の産⽣やコラーゲンの産⽣お よび成熟型コラーゲンへの移⾏を抑制することにより創傷治癒の調整や瘢痕形成の 制御に働いている可能性が考えられる。 これまでの抗腫瘍効果に関する研究では、Dectin-1 は NK cells による腫瘍増⼤の 抑制に関わること68)、Dectin-2 と MCL 複合体は肝臓に常在する Kupffer 細胞による 癌細胞の貪⾷により転移の抑制に関わること69)が報告されており、同じ CLRs family であっても異なる反応を導くことが⽰されている。⽪膚創傷治癒においても、異なる 作⽤をもたらす Dectin-1 と Dectin-2 を備えることにより、どのような内部環境・外 部環境であっても治癒に導く機構を備えていると考えられる。 慢性的な炎症過程では NETs が分解されずに抗原として認識され,⾃⼰抗体が誘導

(49)

されることにより,局所から全⾝性に⾄る様々なタイプの⾃⼰免疫疾患を(SLE、RA、 ANCA 関連⾎管炎など)やその他の⾃⼰免疫疾患において、NETs は形質細胞様樹状 細胞を活性化させる⾃⼰抗原として認識され、⾃⼰反応性 B 細胞の活性化を引き起 こすことが知られている70)。また、NETs が DAMPs として作⽤し71) 72)、慢性炎症へ の引き⾦となっている可能性も考えられる。SLE や他の⾃⼰免疫疾患、嚢胞性線維症 などに DNaseⅠを投与することで炎症が緩和されることが報告されている 73-75)

DNase I により NETs の DNA が分解され、絡みついていた組織障害物質や抗原物質、 DAMPs などが拡散するためかもしれない。これらから、⾎漿もしくは創部に含まれ る DNaseⅠが創傷治癒を調節する可能性が考えられる。 今回の研究は、Dectin-1 ⽋損下において⽪膚創傷治癒が阻害されること、Dectin-1 シグナル誘導において、早期の好中球性炎症反応が起こり、創傷治癒が促進するこ とが⽰された。⼀⽅、Dectin-2 ⽋損下において⽪膚創傷治癒は促進され、Dectin-2 シ グナル誘導は NETs 形成を伴う⻑期の好中球性炎症反応を起こし、TGF-β発現を減 弱させ、コラーゲン合成を低下させることで創傷治癒の遅延に関与していた。これら のことから、⽣理的に Dectin-1 のみでは創傷治癒を促進、組織形成を亢進させるこ とで過剰⾁芽や瘢痕を形成する可能性が考えられるが、Dectin-2 が創傷治癒速度を低 下させることでバランスをとり、瘢痕、ケロイドへの進⾏を防ぐ可能性が⽰唆され、

(50)

Dectin-1 および Dectin-2 は、炎症期から増殖期への移⾏中にアクセルとブレーキと して働く重要な調節因⼦として作⽤している可能性がある。 加えて、Dectin-1 シグナルは炎症反応の引き⾦として作⽤し、創傷治癒を活性化さ せるため、β-glucan 投与は現在、臨床に適⽤され始めている20)。同時に、本研究に より Dectin-2 シグナルは創傷治癒速度の低下に関与しており、過剰な Dectin-2 シグ ナルは創傷治癒の遅延と併せて、慢性創傷の病態に関わる可能性から、Dectin-2 antagonist や DNaseⅠによる NETs 阻害や三浦らが⽰した好中球エラスターゼ阻害 剤(シベレスタット)は、慢性創傷を解決するための新しい治療法としての可能性が⽰ 唆され、今後のさらなる研究が望まれる。 最後に、今後の研究課題として、Dectin-1 と Dectin-2 は相互に制御機構が存在す る可能性が⾼く、その確認を⾏いたい点、今回は、好中球に特に焦点をあてて研究を ⾏なったが、創傷治癒のメカニズムは複雑であり、好中球のみで説明するのは困難で ある。創傷部位の集積に有意な差を認めたマクロファージやその他、上⽪細胞、⾎管 内⽪細胞などに対しての詳細な解析も必要になる点、Dectin-1 と Dectin-2 がほとん ど同様の細胞に発現し、in vitro では Dectin-1、Dectin-2 細胞にβ-glucan、Mannan を投与することで、KC、MIP-2、IL-17A、TNF-αなども同様に誘導されることが報

(51)

Dectin-2 の発現の時相の違いによる直接効果や細胞特異性によるサイトカインなど を介した間接効果が考えられる。直接的な Dectin-1、Dectin-2 リガンドの細胞への 効果は本研究で解明するには⾄らなかったが、それぞれの細胞を抽出し、in vitro で 刺激を⾏うことによる反応の相違を検討することは今後の研究課題である。加えて、 現在まで in vitro で好中球を C.albicans で刺激した場合に NETs 形成を誘導する報告

はある 79)ものの、好中球を直接 Mannan で刺激して NETs 形成を確認した報告はな

い。そのため、今後この解析を⾏うことで、Dectin-2 の NETs 形成の効果が直接的か

を解明するとともに、NETs 形成に関与すると報告のあるTNF-α や IL-17A51) 52)による

(52)

Ⅶ. 結論

⽪膚創傷治癒において、炎症反応の相違に関連する Dectin-1、Dectin-2 の役割の 違いを検証した。Dectin-1 ⽋損下において⽪膚創傷治癒は阻害され、Dectin-1 シグ ナル誘導において、早期の好中球性炎症反応を併せて、創傷治癒が促進することが⽰ された。⼀⽅、Dectin-2 ⽋損下において⽪膚創傷治癒は促進され、Dectin-2 は NETs 形成の促進と共に、⻑期の好中球性炎症反応に関与しており、TGF-β発現およびコ ラーゲン合成を調節すること、治癒の遅延に関与していることが⽰された。Dectin-1 および Dectin-2 は、主に炎症期から増殖期への移⾏中に重要な調節因⼦として作⽤ する可能性が⽰唆されるとともに、Dectin-2 は⽣理的に治癒を低下させることで過剰 な瘢痕を防ぐ、すなわちブレーキの役割を担う可能性がある。加えて、Dectin-2 は慢 性創傷との関与も⽰唆され、Dectin-2 を標的とした治療や創部の NETs を対象とし た治療も有望であると考えられた。

図 2 カンジダの形態と細胞壁構造 酵母型の Candida albicans 菌糸型の Candida albicans 真菌細胞膜キチンβ-glucanα-mannan 文献 82 より引用 文献 81 より引用病原性文献80より引用
図 3 C 型レクチン受容体と創傷治癒 樹状細胞 マクロファージα-mannanDectin-2 β-glucan Dectin-1SykRaf1SykFcRγCARD9Bcl10MALT1 NF-kB 炎症性サイトカイン ケモカイン産生 創傷治癒遅延 促進 真逆の反応PKCδ

参照

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