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中国農業の持続可能な発展 -- 知的財産権の創造能力からみた分析 (特集 中国農業の持続可能性)

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Academic year: 2021

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全文

(1)

中国農業の持続可能な発展 -- 知的財産権の創造能

力からみた分析 (特集 中国農業の持続可能性)

著者

宋 敏

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

193

ページ

17-20

発行年

2011-10

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00004133

(2)

一.

 農

る知的財産権の重要性

  将来の農業発展の趨勢を考える と、農地面積、灌漑用水といった ハ ー ド 面 で の 資 源 制 約 を 乗 り 越 え、農業資源の不足と急激な人口 増加という対立する課題を解決す るための基本的な鍵は科学技術の 進歩にあるといえるだろう。すな わち、第一に人口増加によって拡 大 す る 農 産 物 需 要 を 満 た す た め、 技術進歩によって農産物の単収を 増加させ、全体の生産量を増加す ることができる。第二に、所得水 準の上昇に応じて多様化する消費 に見合うよう、技術進歩によって 農産物の種類を増やし、品質を向 上させることが可能となる。第三 に農業の持続的発展のために科学 技 術 に よ っ て 気 候 変 動 に 対 応 し、 自 然 災 害 に 対 す る 制 御 能 力 を 高 め、また一方で農業による環境へ の負の影響や資源劣化を未然に防 がなければならない。農業部の統 計によれば、中国の一ムー当たり 食糧生産量は一九四九年から現在 までに六九キロから三三〇キロに まで増加し、 食 糧の総生産量は同 時期に一一五〇億キロから五三〇 八億キロにまで増加した。食糧生 産における技術進歩の寄与率は少 なくとも全体の五一%、優良品種 の導入による寄与率は約四〇%で ある。   科学技術が農業発展のなかで重 要な位置を占めるようになるに従 い、知識の創造、伝播および実用 の各段階における密接な連携と知 的要素のスムーズな循環が現代農 業の基本的な発展モデルを構成す るようになった。これまでの実績 が証明するように、知的財産権と いう制度は知識の創造と活用を推 進するために最も有効なシステム である。当事者が関与する知的財 産の権利をきちんと保障するだけ で、 知 的 財 産 の 利 用 に 関 わ る フ リーライダー行為を減少させ、ま さに「特許制度は天才の火に利益 という油を注いだ(訳者注:特許 庁 ホ ー ム ペ ー ジ 参 照 )」 と い う リ ンカーン元アメリカ大統領の名言 の通り、科学技術の開発担当者に 強いインセンティブを与え、新し い知識の創造を加速させる。同時 に知識と情報の伝播、利用におけ る 各 主 体 の 利 益 の 対 立 を 減 少 さ せ、知識の公開、知的商品取引と 活 用 の 推 進 に 役 立 つ。 こ の た め、 知的財産権の創造、実用化、権利 の管理・保護の水準が直ちに一国 の農業の将来的な発展に向けた潜 在能力を決めると言ってよい。   農業のグローバル化が進展し各 国農業の市場競争が激化するにつ れ、技術は一種の拡大された市場 力、国際競争における強力な武器 へと進化してきた。ある技術が法 律の庇護を受け独占的な知財権と して保護されると、市場における 競争相手に打撃を加えるための有 効な武器となる。権利として保護 された技術が国際的に通用する技 術 基 準 へ と 転 換 さ れ る と、 「 経 路 依存」によってそれ以降の関連す る製品の生産、販売市場における 主導権を握ることができる。農業 においては、遺伝子などの資源を 利用する方法、あるいは利用した 結果としての品種などが知財権を 取得すれば、実際にはそのなかの 遺伝子資源の独占権をも獲得する ことになる。したがって、農業国 際競争においては知財権は市場を 独 占 す る 武 器 で あ る の み な ら ず、 農業生物資源を囲い込むための重 要な道具ともなる。

二.

 中

産権創造の現状

  知的財産権の創造能力は、 企業、 産業、国家の自主的な創造能力お よび国際競争力をはかる重要な尺 度である。農業は総合的な産業で あり、農業知的財産権はほとんど すべてのタイプの知的財産権(特 許、著作権、商標、植物の新品種 権、地域ブランド表示等)を網羅 している。本稿ではこのうち主に 植物新品種権と農業発明特許を取 り上げ、中国の農業知的財産権の 創造能力について考察したい。 ⑴出願・認可件数の推移   一九八五年に特許制度が成立し て以来、農業部門の発明特許出願 件数は年々増加傾向にあり、特に 近年急速に増加してきている。国 家知識産権局特許データベースの 検索結果によれば、第一一次五カ

中国農業の持続可能性

特 集

(3)

年計画(二〇〇六〜一〇年)期間 中、中国の農業特許出願件数は毎 年一八・〇%増加しており、その うち農業発明特許の年増加率は一 八・一%となっている。第一〇次 五 カ 年 計 画( 二 〇 〇 一 〜 〇 五 年 ) 期 間 で は そ れ ぞ れ 四・ 四 %、 四・ 〇%となっている。出願主体をみ ると企業による出願件数の増加が 著しく、政府による科学技術資源 以外に、民間の科学技術資源が農 業技術の領域に参入してきている こ と が わ か る( 図 1)。 技 術 領 域 からみると、農業生物技術、食品 産業による発明特許出願の増加が 目覚ましく、現在もっとも注目す べき領域を形成している( 図 2)。   一九九九年に出願受付が始まっ て以来、農業植物新品種権出願件 数および認可件数は小幅な変動な がら全体として増加する傾向にあ る。このうち、第一一次五カ年計 画期間中の農業植物新品種権の出 願件数および認可件数は、それぞ れ四・九%、二九・二%となって おり、第一一次五カ年計画期間と 比 較 し て そ れ ぞ れ 一 ・ 七 倍、 四 ・ 三 倍となっている。農業植物新品種 の選択・育成においては、国立の 研究・教育機関が依然として主要 な地位を占めている ( 図 3・図 4)。   農業発明特許権の出願件数と認 可件数も急速に増加しており、こ れは農業科学技術の創造能力およ び育種創造能力が高まり、農業の 競 争 力 が 絶 え ず 向 上 し て い る こ と を 示 し て い る 。 ⑵出願内容の推移   土地利用型農産物(穀物、綿花 など)のうち、 認可品種の 普及面 積が上位一〇位までの主要な作物 と そ れ ぞ れ の 普 及 率 を 挙 げ る と、 ト ウ モ ロ コ シ 三 三 ・ 〇 %、 冬 小 麦 三〇 ・ 五%、コメ(在来種)一六 ・ 三%、 コメ(ハイブリッド)一二 ・ 三 %、 大 豆 二 五 ・ 二 %、 綿 花( 在 来種) 一九 ・ 五%、 綿花 (ハイブリッ ド ) 二 四 ・ 三 % と な っ て い る。 認 可品種のうち、鄭単九五八、鄭麦 九〇二三、 徐稲三号、 楊両優六号、 中黄一三、魯綿研二一号、科綿三 号などの高生産性品種が農家の間 で評価が高い。   二〇一〇年末時点で有効な発明 特許および実用新型特許は四万八 四八三件に及んでおり、これは農 業 特 許 認 可 件 数 の 五 二 ・ 一 五 % を 占める。このうち、国内からの農 業 発 明 特 許 出 願 の 認 可 率 は 五 九 ・ 六 %、 平 均 認 可 年 数 は 六 ・ 八 年 で ある。これに対し海外からの出願 の平均認可率は七七 ・ 〇%に達し、 認可年数も一一 ・ 〇年と長い。 ⑶地域別の分布状況   二〇一〇年末までに、農業植物 新品種権の出願が七七六一件あっ たが、このうち国内からの出願は 七 二 六 八 件( 全 体 の 九 三 ・ 七 %) 、 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 教育・研究機関 企業 個人 共同 有 2007 2005 2003 2001 1999 1997 1995 1993 1991 1989 1987 1985 (年) 図1 主体別農業発明特許出願件数の変化 (出所)中国農業科学院農業知的財産権研究センターが国家特許局特許データベースを 基に計算した。 食品産業 水産業 農芸化学 農業生物技術 畜産業 耕種業 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 2007 2005 2003 2001 1999 1997 1995 1993 1991 1989 1987 1985 (年) 図2 領域別特許出願件数の変化 (出所)図1に同じ。 教育・研究機関 企業と個人 国外 700 600 500 400 300 200 100 0 (年) 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 図3 農業植物新品種権出願件数の変化 (出所)図1に同じ。 教育・研究機関 企業と個人 国外 700 600 500 400 300 200 100 0 (年) 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 図4 農業植物新品種権認可件数の変化 (出所)農業部植物新品種保護弁公室。

(4)

国 外 か ら の 出 願 は 四 九 三 件( 六 ・ 四%)であった。認可されている 三四七三件の品種権の内訳は、国 内が三四〇九件(九八 ・ 二%) 、国 外が六四件(一 ・ 八%)であった。 国内で出願件数および認可件数が 最も多いのは四川省で、六四七件 ( 国 内 出 願 総 数 の 八 ・ 九 %) 、 認 可 件数は三七九件(一一 ・ 一%)で、 そ れ に 山 東 省、 河 南 省、 江 蘇 省、 吉林省、そして北京市が続いてい る。上位六省の出願件数は三四九 三 件 で、 全 体 の 出 願 件 数 の 四 八 ・ 一%、認可件数は一六八五件で全 体の四九 ・ 四%を占めている。   農業発明特許出願件数に占める 国内と国外の内訳は、それぞれ七 五 ・ 五 % と 二 四 ・ 五 % と な っ て い る。国内出願数の上位五省は沿海 地域の山東省(一万五四七四件) 、 江 蘇 省( 一 万 四 〇 一 六 件 )、 北 京 市(一万四〇〇八件) 、浙江省(一 万一三七七件)および広東省(一 万 一 三 三 六 件 ) に 集 中 し て お り、 上 位 五 省 で 全 体 の 四 〇 ・ 四 一 % を 占めている。他方、寧夏省、海南 省、青海省およびチベット自治州 といった内陸地域の出願件数は平 均して一〇〇〇件以下となってい る。認可数について上位五省をみ る と、 山 東 省( 八 〇 七 七 件 )、 北 京 市( 六 一 九 二 件 )、 浙 江 省( 五 九二三件) 、江蘇省(五九〇一件) 、 広東 (五四八五件) となっており、 合計で全体の三八 ・ 七%を占める。 前述の寧夏省、海南省、青海省お よびチベット自治州における認可 件 数 は 五 〇 〇 件 以 下 と な っ て い る。 ⑷業種別構成   農業植物新品種権出願と認可件 数のうち、土地利用型作物はそれ ぞれ八五 ・ 六%と九二 ・ 七%、商品 作物は野菜五 ・ 一%と三 ・ 六%、果 樹二 ・ 八%と一 ・ 六%を占める。土 地利用型作物の内訳は、トウモロ コ シ が 最 大 で 四 〇 ・ 三 % と 四 二 ・ 五 %、 続 い て コ メ 三 四 ・ 四 % と 三 五 ・ 七 %、 小 麦 一 〇 ・ 一 % と 九 ・ 九%、大豆四 ・ 七%と三 ・ 八%、綿 花四 ・ 二%と三 ・ 四%、 アブラナ二 ・ 八%と二 ・ 三%であった。   農業発明特許と実用新型特許出 願件数の業界別内訳は、食品産業 が 最 も 多 く 二 八 ・ 三 %、 続 い て 農 業 生 物 技 術 産 業 が 二 四 ・ 五 %、 耕 種 業 が 二 〇 ・ 七 %、 農 芸 化 学 が 一 五 ・ 一%、畜産業が七 ・ 〇%、水産 業 が 四 ・ 四 % と な っ て い る。 農 業 発明特許出願件数のなかでは農業 生物技術部門が最も多く、農業発 明 特 許 出 願 件 数 の う ち 三 二 ・ 五 % を占める。実用新型特許出願件数 では耕種業が最も多く、 四六 ・ 三% を占める。すでに認可されている 権利および現在も権利が継続中の 農業特許件数のうち、耕種業は三 二 ・ 〇%と二六 ・ 七%、食品業は二 四 ・ 〇%と二四 ・ 二%、農業生物技 術は一五 ・ 一%と二〇 ・ 五%、農芸 化学は一三 ・ 五%と一四 ・ 〇%、畜 産業は八 ・ 三%と八 ・ 八%、水産業 は七 ・ 一%と五 ・ 九%であった。

三.

 結論と政策提言

  第一一次五カ年計画期間中、中 国の農業特許と農業植物新品種権 の出願件数と認可件数が急速に増 加したことは、農業知識の創造能 力が急速に成長したことを示すと ともに、農業知財権が食糧の七年 連続の増産と農業の持続的発展の 重要な支えとなったことを表して いる。ただし一方で、中国の知的 財産権の創造能力は、先進国との 間に依然として大きな距離がある こ と を 認 識 し な け れ ば な ら な い。 我 が 国 の 有 効 な 品 種 権 の 保 有 量 は、アメリカのわずか一〇 ・ 八%、 日 本 の 二 六 ・ 六 %、 オ ラ ン ダ の 四 五 ・ 七 % に 過 ぎ な い。 世 界 の 農 業 生物技術特許出願件数のうち、中 国 の 占 め る 割 合 は わ ず か 二 ・ 五 % で あ る。 特 許 協 力 条 約( P C T: Patent Cooperat ion Treaty ) に 基 づく農業生物技術国際特許出願件 数のうち、アメリカの占める比率 が 六 二 ・ 九 %、 日 本 の そ れ が 九 % を占めるのに対し、中国の比率は 二%に過ぎない。さらに単位人口 当たり件数で比較すると、アメリ カの一万人当たり発明特許件数が 三二 ・ 一件、日本では九四 ・ 四件で あるのに対し、 中国は一 ・ 七件に留 まっている。このような情勢から みて、今後農業知財権の総保有量 を増加させ、先進国との距離を縮 め る べ く 努 力 す る こ と が 中 国 に とって重要な戦略となるだろう。   「 国 民 経 済 と 社 会 発 展 に 関 す る 第一二次五カ年計画概要」におい て、発明特許の件数が初めて国民 経済と社会発展の総合評価のため の指標体系に組み入れられ、国民 一万人当たりの発明特許保有件数 を 三 ・ 三 件 に 増 加 さ せ る こ と が 開 発 目 標 と し て 明 確 に 掲 げ ら れ た。 農業領域において一万人当たりの 発 明 特 許 件 数 を 二 〇 一 〇 年 の 一 ・ 七 件 か ら 二 〇 一 五 年 ま で に 三 ・ 三 件にするという目標は、前の第一 一次五カ年計画期間中の増加速度 からみても十分実現可能であると みられる。ただし、知的財産権の 内容、構成、地域分布などの要素 を総合的に勘案すれば、中国の農 業知的財産権の発展は以下のよう な厳しい困難に直面していると考 えられる。   まず、知的財産権の質を高める 必 要 が あ る。 「 中 国 に お け る 農 業 知的財産権の創造指数報告二〇一 〇年」の統計によれば、国内で出 願 さ れ た 農 業 特 許 の 認 可 率 は 二 三 ・ 一 % で あ る の に 対 し、 国 外 か ら の 出 願 の 認 可 率 は 三 三 ・ 〇 % で

中国農業の持続可能な発展―知的財産権の創造能力からみた分析

(5)

ある。認可済み特許の更新可能率 は 国 内 か ら の 出 願 で 五 九 ・ 六 %、 平 均 認 可 年 数 は 六 ・ 八 年 で あ る の に対し、国外からの出願の更新可 能率は七七 ・ 〇%、年数は一一 ・ 〇 年である。このように、農業特許 出願の認可率、特許の寿命のいず れをみても国内からの出願は海外 か ら の そ れ を 大 き く 下 回 っ て お り、我が国の知的財産権創造力の 質をさらに向上させる必要がある ことを示している。   第二に、農業知的財産権の品目 別、産業別内訳の構成にも改善の 余地がある。まず作物別の農業植 物新品種権出願および認可件数を みると、 三大作物のトウモロコシ、 コメ、小麦に集中している。出願 件 数 と 認 可 件 数 に 占 め る 比 率 は、 最大のトウモロコシがそれぞれ三 四 ・ 五%と三九 ・ 四%、つぎにコメ の二九 ・ 四%と三三 ・ 〇%、小麦の 八 ・ 七 % と 九 ・ 二 % と 続 く。 一 方、 商品作物の内訳をみると野菜はそ れぞれ五 ・ 一%と三 ・ 六%、果樹は 二 ・ 八%と一 ・ 六%に過ぎない。続 いて業界別内訳をみると、農業発 明 と 実 用 新 型 特 許 出 願 件 数 の う ち、 食 品 産 業 が 最 も 多 く 二 八 ・ 三%、続いて農業生物技術が多く 二四 ・ 五%、 以下耕種業二〇 ・ 七%、 農 芸 化 学 一 五 ・ 一 %、 畜 産 業 七 ・ 〇 %、 水 産 業 四 ・ 四 % と な っ て い る。農業発明特許出願の内容では 農業生物技術の占める比率が最も 多 く、 全 出 願 件 数 の 三 二 ・ 五 % を 占める。国内の農業発明特許出願 は主に耕種業、畜産業、水産業な ど 伝 統 的 な 領 域 に 集 中 し て お り、 国外からの出願は農芸化学、農業 生物技術など現代的な技術領域に 集中している。   第三に、農業企業の知的財産権 創造能力を強化していく必要があ る。公立の研究・教育機関が農業 植物新品種権の出願件数と認可件 数に占める比率は、 それぞれ五六 ・ 一 % と 六 一 ・ 八 % と 最 大 で あ る。 これに対し、 企業はそれぞれ三二 ・ 〇 % と 三 二 ・ 三 % を 占 め る に 過 ぎ ない。国内の農業発明特許認可件 数 と 有 効 特 許 件 数 の う ち、 研 究・ 教 育 機 関 の 占 め る 比 率 は 四 〇 ・ 二 % と 四 三 ・ 四 % で あ り、 企 業 に よ る も の は わ ず か 一 五 ・ 三 % と 一 八 ・ 五 % と な っ て い る。 研 究・ 教 育機関主導型の中国の農業科学技 術の開発は、中国の農業知的財産 の創造が政府の財政資金に依存し たものであり、民間部門の科学技 術に対する資源投入が不足してい ること、農業知的財産の開発の原 動力が依然として単一であること を表している。   以上で述べたような問題を踏ま え、今後農業知的財産権の創造力 を一層向上させ、中国農業の競争 力 を 速 や か に 高 め る こ と に よ り、 農業の持続可能な発展を確かなも の に し て い か な け れ ば な ら な い。 そのために、まずは農業科学技術 開発に対する政府の財政的な支援 を継続して増やしていく必要があ る。同時に公共投資と民間部門の 投資の協調をはかり、公平な市場 競争の秩序を整え、公共投資によ る開発促進作用を十分に発揮させ るとともに社会から幅広く農業科 学技術の開発に対して投資を募ら なければならない。つぎに、科学 的かつ合理的に知的財産権の質を 評価するための評価体系を整備し ていく必要がある。これにより農 業科学技術の初歩的な創造に対す るインセンティブを与え、支援す ることができるだけでなく、レベ ルが低く、内容が重複している研 究 に よ る 資 源 の 浪 費 を 防 止 で き る。とりわけ、ひたすら出願件数 のみを増やそうとするバブル的な 現象を途絶させ、農業知的財産権 に関する事業の良好かつ速やかな 発 展 を 促 す こ と が で き る だ ろ う。 第三に、知的財産権の取引とライ センシングを促すための優遇政策 を整備し実施するべきである。多 様な主体が参加する国家主導型の 知的財産権運営基金を設立し、知 的財産権を紐帯とした農業技術研 究・教育機関と農業企業の協力体 制を作り、農業科学技術開発に関 わ る 専 門 家 集 団 の 分 業 と 協 同 に よって科学技術資源の効率的な配 分を促進し、農業知識の創造、伝 播および実用化に向けたスピード を加速させ、中国の農業発展モデ ルの転換を有効にバックアップし ていくべきである。 ( SONG Min / 中 国 農 業 科 学 院 区 画研究所教授、翻訳・山田七絵) 〈参考文献〉 ① 宋敏 ・ 劉麗軍 ・ 蘇穎異 ・ 張鋭[二 〇 一 〇 ]「 抗 草 甘 膦 EPSPS 基 因 的 慹 利保 � 分析」 (『中国生物工 程 雑 誌 』 三 〇( 二 )、 一 四 七 ― 一五二ページ。 ② 劉麗軍・宋敏・蘇穎異[二〇一 〇 ]「 主 要 農 作 物 転 化 事 件 的 専 利保護及対我国的 娷 示」 (『中国 生 物 工 程 雑 誌 』 三 〇( 一 一 )、 一一二―一一七ページ) 。 ③ 宋敏・林祥明・劉麗軍[二〇一 〇] 「 Cry 基因家族的 恛 利分布分 析」 (『農業生物技術通報』第一 期、農業部優秀論文一等賞) 。 ④ 宋 敏・ 劉 麗 軍[ 二 〇 〇 九 ]「 実 施植物新品種保護戦略発展創新 新型農業」 (『農業科技管理』二 八(三) 、三七―四〇ページ) 。 ⑤ 中 国 農 科 院 農 業 知 識 産 権 研 究 中 心 [ 二 〇 一 〇 ]『 中 国 農 業 知 識 産 権 創 造 指 数 報 告 ( 二 〇 一 〇 年 )』 ( h tt p :/ /w w w .c ci p a .o rg / up loa ds /1 10 42 5 )

参照

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