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〈研究ノート〉新聞を通して「いのちと平和」を考える : 関西学院中学部での取り組み

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える : 関西学院中学部での取り組み

著者

福島 旭

雑誌名

関西学院大学人権研究= Kwansei Gakuin

University journal of human rights studies

15

ページ

19-31

発行年

2011-03-31

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としての利用をある高等学校で実践したことに遡 り、現代ではその取り組みは世界において52カ国 で展開されている。日本では1985年に静岡で開か れた新聞大会で提唱され、社会性豊かな青少年の 育成や活字文化と民主主義社会の発展などが目的 として掲げられたことが最初の取り組みである。 その後、日本新聞協会は1996年にNIE基金を発足さ せ、NIE事業を「新聞提供事業」と「研究・PR事 業」に分け積極的に推進し始めた。そして、NIE事 業は、日本新聞協会から1998年に設立された日本 新聞教育文化財団へと引き継がれている。 学校に新聞を提供する形でのNIEの実践は、1989 年に東京都内の小学校1校、中学校2校で始まり、 1997年には全国へ拡大した。学校での実践は、ま ず新聞全体を読み解くというスタイルから、複数 の新聞を読み比べて研究するスタイルや特定の記 事に注目するスタイルなど、担当する教師のアイ デアと工夫で、さまざまな取り組みが展開されて きた。その報告会が定期的に開かれ、成果が報告 集という形で都道府県ごとにまとめられている。 家庭での切り抜きとスクラップ中心の方法から、 学校の授業時間を中心に新聞を手に取って読み解 く形は、グループ活動などでも展開が可能で、よ り多様的な新聞の読み方を生み出している。また、 世の中の出来事に対する多面的な見方や、特に写 ! はじめに 関西学院中学部は特色ある授業として「土曜日 自由研究・選択講座」と呼ばれている選択制の授 業を展開している。このたび、2008年度から2010 年 度 の 3カ 年 に わ た っ て 、 NIE(Newspaper in Education∼教育に新聞を)の授業実践を「土曜日自 由研究・選択講座」の選択授業の一つである「ラ イフ&ピース∼いのちと平和を考える」の講座で 取り組んだ。本稿は過去3年間、NIE実践指定校に 選任されたことを受け、「ライフ&ピース」の授業 や聖書科の授業の中で展開した取り組みを中心に、 生徒たちの声を掲載しながら、教育の場における 新聞の活用の可能性についてまとめてみたい。以 下に取り上げる内容は「いのちと平和」というテ ーマを中心にしつつも、主に新聞という媒体に関 心を持つきっかけになった研究を中心に、「いのち」 や「平和」のテーマと直接は関係がないものも合 わせて掲載している。 @ NIEとは NIEとは学校などで新聞を教材にして活用する取 り組みのことを表している。その起源はアメリカ で1930年代にニューヨークタイムズが新聞の教材

新聞を通して「いのちと平和」を考える

福 島   旭

∼関西学院中学部での取り組み

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トを展開した。日常的に新聞に親しんだ経験がな い生徒ほど、時間が経つのも忘れて記事の切り抜 き作業に熱中し、結果的には時間切れで毎回が終 わるという形になった。各プロジェクトの概要と 生徒たちの声を紹介してみたい。プロジェクトに 用いたものは朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、日 本経済新聞、産経新聞、神戸新聞の6紙である。 $ 新聞記事比較研究プロジェクト 1 第一面記事の比較 2 スポーツ欄の比較 3 社説の比較 4 投稿欄の比較 5 四コマまんがの比較 6 広告欄の比較 7 文字数・文字の大きさ・広告の面積・テレビ 欄の詳しさ等の比較 以上の7部門別に、各2∼3名に分かれて作業、研 究をした。 特にある日の第一面記事の見出し語を比較し、 たとえばある新聞の場合、見出し語の活字の大き さ最大直径5.8cm(「ノーベル化学賞下村氏」)、最 小直径1.3cm(「東証 7日で3,000円超下げ」)に4倍も の差があること、広告に割かれている面積が最大 210cm2、最小14.5cm2と14倍以上の開きがあること 真表現の豊かさやテクニックを学ぶことは読解力 のみにとどまらず、芸術的技巧力も養う結果を生 んでいる。短絡的にも活字離れを食い止める効果 があるとされる。 また、複数の新聞を読み比べることによって、 出来事の解釈の違いや偏った報道を見出すことも でき、結果的に情報メディアを主体的に読み解い て必要な情報を引き出し、その真偽を見抜き、活 用する能力であるメディア・リテラシーを習得す ることにつながっていく。 まずは関心を持つことに始まり、知ることによ って理解を深め、それを動機に行動を起こしてい く、そういった形のきっかけの部分に、この作業 がうまく取り入れられたならば豊かな展開が可能 となるだろう。 ただ、新聞社は営利目的をもった企業であり、 このプロジェクトが新聞の売り上げに加担するよ うな形での取り組みにならないように留意すべき ことを付記しておきたい。 # 選択講座「ライフ&ピース∼いのちと平和を 考える」 選択講座「ライフ&ピース∼いのちと平和を考 える」は、本校の中学生2・3年生が受講し、定員 は20名という少数のクラスで、主体的に関心を持 つ男子生徒が受講している。年間で14回開催され、 一回の授業時間は90分である。本校の通常の45分 の授業とは異なり、毎回、設定されたテーマにゆ とりをもって取り組むことができる時間が約束さ れている。今回、毎年度の14回の講座のうちの数 回をNIEの授業実践に割り当てた。時期は10月から 11月であった。 新聞活用という形は生徒たちには新鮮なものに 映ったようで、まずは新聞に親しむという作業か ら導入した。その上で以下に挙げる各プロジェク

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など想像以上にさまざまなことが判明した。 また、連続掲載マンガについて調べた結果、「の のちゃん」「アサッテ君」「こぼちゃん」「ひなちゃ んの日常」「ちびまるこちゃん」と「ちゃん」が付 く表題が多いことを驚きつつ発見した。同じニュ ースの第一面の記事の表題のサイズや強調方法な どの工夫を比較し、同じ記事であっても新聞社に よって扱いの差が違うことを発見した。 《生徒たちの声》 「 新 聞 の 切 り 抜 き は エ ネ ル ギ ー が 要 る 作 業 だ」 「切り抜く作業はとても楽しい」「新聞を研究する のは初めてなので興味を持った」「新聞がこんなに 薄い紙に印刷されていたとは知らなかった」「これ からは新聞をゆっくり読もうと思う」「各社の記事 を比較するのが面白い」「各社の工夫や特徴がわか った」「知らぬ間にのめりこんでしまった」「家で 読んでいる新聞と違うレイアウトであることを発 見し、刷り上った時刻で新聞がどんどんと変えら れていくことを知って面白かった」「隅から隅まで 読むと知らなかった情報がいっぱいあることに気 づいた」「記事に写真を載せるというのは読者の関 心を惹くだけではなく、その記事がとてもわかり やすくなるという利点に気づいた」「家で読んでい る新聞と違い、カラーの写真が多い新聞はとても 読みやすい」「有名人の記事を取り上げることによ って売り上げを伸ばそうというように思えた」「色 が付いている記事の方が注目されやすい」「見出し を小さな時にしている新聞はインク代を節約して いるのではと感じた」「新聞にも個性があることが わかって、人間が生み出しているということを感 じた」「新聞によってマンガのクオリティが違い、 面白いものと面白くないものの差を感じた」「新聞 に載っているマンガはタイトルからして親しみや すいように工夫されていることがわかった」 % 新聞記事テーマ研究プロジェクト 1 いのちに関わる記事 2 平和に関わる記事 3 教育に関わる記事 4 凶悪事件・死亡事件に関わる記事 5 海外の記事 6 ローカル(地域)に関わる記事 7 芸能に関する記事 8 衣食住に関する記事 9 健康に関する記事 以上の9部門別に、1人が1つのテーマを選んで、 そのテーマに関係する記事を切り抜きまとめる作 業、研究をした。 《生徒たちの声》 「なかなか自分が探しているテーマの記事に出会 えない」「新聞でしか伝えられないニュースがある ことを知った」「記事を通して世の中にはたくさん の出来事があることを知った」「人を殺せば逮捕さ れ、死刑になる可能性もある。一生、『殺人者』と いうレッテルを貼られることになる。本人だけで なく、家族や親しい人までもが世間から冷たい目 で見られることになるだろう。凶悪犯罪というも のをやりたくてやっている人間などいないと思い たい。そうせざるを得なくなった理由は何だった のか。多くの記事を読んで、そのような状況に陥 らないように、みんなで万全のケアを尽くせない だろうかと考えさせられた」「同じ日の新聞を比較 すると凶悪事件の取り上げられ方が全く違うとい うことわかった。しかし、神戸市北区で起こった 高校生による殺人事件はどの新聞も共通して連日 大きく取り上げていた。現在の記事に合わせて、 過去の凶悪事件の裁判をまとめていたのはとても よくわかった。新聞の役割として今の出来事を伝 えるだけではなく、過去の出来事との関連を伝え ようとしている働きがわかった」

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の「いじめ」はないのかを検証し、いじめについ て考えるワークシートに取り組んだ。 《生徒たちの声》 「近くで実際に起きた事件を詳しく知ることがで き、深刻な問題だと知った」「いじめと向き合うこ とはとても難しいと思う」「事件に保護者がかかわ ったことがきっかけで暴力とつながったのだと感 じる」「自分のいのちと共に他人のいのちを大切に することによっていじめはなくなると思う」「告げ 口をしたことが事件を大きくしたと思う。面白が って話を伝えることに僕も気をつけたい」「バカに されたからといって人を殺すことは許されてはい けない。僕もちょっとしたことで人生を無駄にす ることがないようにしたい」「自分と同じ歳の中学 生が殺人をしたという事実に驚いた。なぜ殺した のか、疑問である」 * 生徒独自の企画によるプロジェクト 上記に挙げた各プロジェクト以外に時間的にゆ とりのある生徒は以下のようなテーマを自分で設 定し研究した。 1.全面広告の比較研究 全面広告のページを並べて、その共通する特徴 やレイアウトのオリジナルな工夫を比較研究する。 《生徒たちの声》 「イメージ画や写真を大きく掲載し、キャッチフ レーズを目立つように載せ、下の方に詳細な説明 を書く形が多いことに気付いた」「全面広告は普通 に読んでいて自然に目につくと思った」「スペース を細かく区分して、いろいろな商品の説明をして いる形が多かった」「区分する形は情報量も多く、 伝えたいことがよく伝わるが、読んでいて目に止 まりにくいので、どちらの形も一長一短だと思う」 ^ 新聞記事オリジナル研究プロジェクト 1 「私のトップ記事・ベスト記事」による新聞の 再編成 2 読者投稿の傾向(テーマ、年齢、職業等)を探る 3 第一面記事に取り上げられたテーマの分類 4 各紙の傾向と特徴の比較研究 5 知らなかったことば探し 6 記事からヒーロー・ヒロインを見つける 7 こころ温まる記事を探す 8 記事に登場する名前ベスト10 9 写真だけを切り抜いてグラビア新聞の再編成 10 同じ日の新聞記事の比較 11 各社の新聞発行号数、ページ数、版、月額定 価の比較 以上の11部門のうち、自分が関心のあるテーマ を選んで、そのテーマに関係する研究を行う作業 をした。 特に顔写真だけを切り抜いてつなぎ合わせる作 業で芸術的な作品を生み出す生徒がいて注目され た。 《生徒たちの声》 「見出しや写真の大きさなどの工夫がなされてい て実に興味深かった」「これまではテレビ欄にしか 興味がなかったが、他の記事を読みたくなった」 「こんなに新聞を読んだことはなかったので奥深さ を感じた」「記事の中に知らない専門用語が多くし らべるきっかけになった」 & 新聞記事を通して「いじめ」を考えるプロジ ェクト 記者派遣でお話を伺った記者が取材され、特集 記事としてまとめられた伊丹で起こった中二暴行 死事件の記事を読み、「いじめ」の問題について話 し合った。その上で、自分たちの学校生活の中で

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2.びっくり仰天した記事の発見 自分が読んで初めて知る知識やエピソードを中 心に、何に驚き、何に関心を抱いたかをまとめる。 《生徒たちの声》 「『Mac Book』って何から始まったのか。自分は パソコンについてほとんど知識がなかったが、ア メリカのアップル社が発売した超薄型ノート型パ ソコン『マックブック・エア』の新機種の内容紹 介の記事を読んで驚いた。記憶媒体としてハード ディスク駆動装置(HDD)ではなく、半導体メモリ ーを使用し、薄さと処理速度を売りにしている。 『パソコンのマックとipadが出会った』と言われる 機種だという。本体の最も薄い部分の厚さは0.3cm、 最も軽い機種は1.06kgということらしいが、パソコ ンはこのままどこまで薄く、軽くなっていくのだ ろうと考えるとワクワクしてくる」 3.スポーツの写真の比較研究 生徒たちに特に関心が高いスポーツ欄に掲載さ れている写真の撮影角度や撮影シーンなどの特徴 を比較、研究する。 《生徒たちの声》 「新聞によっては敗戦したチームを大きく取り上 げているところがあった」「C球団のY投手が投打に 活躍したシーンを大きく取り上げていて、投球中 のシーンが多いが、中には投球後の姿のものもあ った」「同じ日の記事で6社とも違う写真を掲載し ていたが、どれも迫力を感じるものばかりだ」 4.スポーツ欄の見出しの比較研究 生徒たちに特に関心が高いスポーツ欄に掲載さ れている見出し語の特徴を比較、研究する。 《生徒たちの声》 「スポーツ欄の見出し語が新聞によって全然違う ことに気付いた」「自分がファンの球団をひいきし て書いている新聞に愛着を持つことができること もよくわかった」「見出し語も自分が気に入るもの はやはり自分が好きな球団を大きく取り上げてい るものだった」 5.スポーツ記事の比較研究 生徒たちに特に関心が高いスポーツ記事の内容 を比較、研究する。 《生徒たちの声》 「プロ野球のR球団の来季監督候補にHさんが挙げ られているという記事を比較した。最初に驚いた ことはY紙にはこのことに関する記事がまったく載 っていなかったということだ。A紙とM紙はHさん とHさんが今所属する球団との関係について重点を 置いた記事にしているのに対して、N紙、S紙、K 紙はHさんの発言を中心にして、R球団の来季監督 候補に挙がっているということに重点を置いてい た。また、Y紙は特定の球団に偏りのある記事が目 立っているということに気付いた」「やはりカラー の写真入りは見やすい」「6紙を比較して、スポー ツ欄に力を入れている新聞とそうでない新聞がは っきりとわかった。また、ある球団を偏って扱っ ているかいないかもよくわかった」「新聞によって、 個人を大きく取り上げているものとナインを大き く扱っているものとに分かれていた」 6.ビッグニュースから考える 世界中で有名になった衝撃的な事件を取り上げ、 どういう点が世界的に注目されるのかを分析する。 その出来事をどのようなことばと写真で取り上げ ているのかを研究した。チリでの鉱山落盤事故か らの救出のニュースを取り上げる生徒が多かった。 《生徒たちの声》 「チリでの鉱山事故で地下に閉じ込められていた 作業員が救出された記事にはとても驚いた。69日 間も地下で生活した人たちは本当につらかったと 思う。仲間割れはしなかったのか、いろいろと疑

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問に思う」「見出しは『世紀の救出完了』、短くて わかりやすい表現だ」「6紙を比較して面白いこと に気付いた。一面に載せられた作業員の写真が新 聞によって違う人物であるということだ」「救出さ れた33人にはそれぞれのドラマがあって、その人 や家族の思いを前面に出して伝えようとしている ことがわかった。両手を上げる姿、家族と抱き合 う姿、どれを見ても、生きるということの喜びを 伝えようとしていることがわかった」「全員が無事 救出されて本当に良かったと思う」「[その日の夕刊 を比較したところによると]夕刊ではY紙とS紙の見 出し語が『69日ぶり奇跡の生還』と全く同じにな っていた。また、A紙とS紙に使われている写真は 『AP』によるもので全く同じ写真であった」 7.一面記事の写真や見出し語の比較研究 ある日の一面の最も大きな写真や見出し語を比 較して気付くことをまとめる。チリでの鉱山落盤 事故からの救出のニュースを取り上げる生徒が多 かった。 《生徒たちの声》 「チリでの鉱山事故の見出しでY紙は『神が引っ 張ってくれた』、M紙は『神の手を握った』と大き く書いていたのが特徴的だった」「人間の力を超え たものを感じたという救出された人の感想を見出 し語にしていた」「見出し語に発言したことばその ものを載せるのは珍しいような気がする」「K紙の 『16人生還 救出作業続く』という状況説明の言葉 よりも先の言葉の方がインパクトが強いと思う。 同じ日の一面でN紙は『若年層収入 女性が上回る』 が一番大きな見出しであるということも面白い。 世界中でトップ記事にしているものをあえてトッ プに載せないのも何かこだわりを感じる」「北朝鮮 の総書記の後継者問題でまったく同じ写真を用い ている新聞があることに気付いた。これはおそら くその写真が北朝鮮政府から提供された限られた ものであるからの可能性が高いからだと思う」 8.決定的場面の写真の比較研究 一見してインパクトのある報道写真を探して切 り抜いて、貼り出し、比較し感想を述べるという もの。 《生徒たちの声》 「何か火とか水が噴き出しているシーンの写真を 探した。写真はどれもブワァッといった迫力があ り、人が喜びを表す場面の瞬間を表しているもの ばかりであった。一枚の写真が伝える力を感じた」 「テニスのナダル選手と野球のマートン選手がラケ ットやバットにボールを当てる瞬間をとらえてい る写真を見て、その瞬間の写真を撮ることは大変 難しいと思った。カメラマンはただ写真を撮るの ではなく、いかに読む人にインパクトを与えるか を考えて、その瞬間のすごさを伝えているのだと 思う」「写真一枚に込めた熱意を感じる」 ( GOOD NEWSプロジェクト 夏休みの課題として全校生を対象に 「GOOD NEWSレポート∼新聞から見つけた心温まるホット なニュース」を募集した。まず校内コンクールで 優秀作品を選び、またその中から日本新聞協会が 企画している「HAPPY NEWS2008、2009、2010」 に応募した。 2年目は母校が甲子園に出場したこともあり、そ の関連の記事を扱った生徒が約3分の1もいた。し かし、他方でこのプロジェクトは2年目ということ もあって、視点を広げて多くの人が見逃してしま いそうなニュースを取り上げる生徒が激増した。 生徒たちは一つの記事を通して、さまざまな思 いを抱き、時間をおいて再び感想を書き直すこと でより多くの感動を発見することができた。新聞 記事は読後の第一印象が大切であるが、しばらく

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時間がたってから読み直すという作業によって、 その後起こった出来事や事件との関連での新たな 発見があり、読み直すことで感想に広がりがある ことがわかった。新聞記事を読みきるのではなく、 寝かせていることで熟したものを再検討していく 読み方があることを教えられた。 また、このプロジェクトと関連する形で2010年 度の夏休みには、新聞記事を家族とともに読んで 意見を聞いたうえで自分の感想や意見をまとめる 「『いっしょに読もう!新聞』コンクール」に自由 提出課題として公募し、約30名が参加、応募した。 《生徒たちの声》 「悲しいニュースが多くハッピーな記事を探すのは 大変だった」「殺人事件など痛ましい記事が多く、 平和を願う記事やつい笑みがこぼれるような記事 を増やしてほしい」「悲しい記事が目立つ中で、う れしくなる記事をいかに多く見つけられるかで、 その人の人間性のようなものがわかるのではない だろうか」「いつもはスポーツ欄しか読まなかった が、生まれて初めてこんなにたくさんの新聞記事 を読めて、いい機会になった」「新聞には心温まる 記事がいっぱいあることを知ることができた」 ) 記者派遣プロジェクト∼新聞記者をお招きして 1.M新聞・Y.Y.記者をお招きして M新聞記者であるY.Y.さんが90分間の授業を 担当してくださった。前半は自己紹介から始まり、 記者の七つ道具の説明、記者の一日、具体的な仕 事など、生徒たちの事前の質問に答える形で「ウ ラ話」をお聞きした。後半はインドネシア・スマト ラ島沖地震によって壊滅的な被害にあったスリラ ンカの村での体験を通して、ボランティアや支援 活動のあり方や社会が復興していく姿の写真を提 示していただきながら伺った。また、「『余命数ヶ 月』がんの女性が高座に」等の記事の取材エピソー ドをお話いただいた。 《生徒たちの声》 「 新 聞 記 者 は と て も ハ ー ド な 仕 事 だ と 知 っ た」 「悲しい事件の場合は遺族の気持ちを考えて取材す る配慮の必要性を知った」「ネットとは違い、新聞 は一面でさまざまな情報を得ることができる」「新 聞を作るのにとても大変な努力があることを知っ た」「ドラマの張り込みを見ているようだった 」 「新聞の読み方がわかった」「新聞記者にはなれな いと感じた」「記者はとてもカッコいい」「あらゆ る状況で臨機応変に対応しなければならない記者 の苦労を知った」「記者になると貴重な体験ができ ることを知った」「睡眠時間も短く、重いカバンを もって走り回らないといけない記者は大変だ」「記 事を通して人々に勇気を与える仕事はすばらしい」 「災害被害者のたくさんの墓が並ぶ写真には驚い た」「モットーを持って記者を続けておられること に感動した」「忘れてしまいたいこともあるが、世

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に伝えていかねばならないことがあることを知っ た」「記者はやりがいのある仕事だ」「記者は命が けのつらい仕事だとわかった」「現場からパソコン を打ってすぐに送るということを知り驚いた」 2.A新聞・O.F.記者をお招きして A新聞記者であるO.F.さんが90分間の授業を 担当してくださった。前半は「A新聞24hours」と いうビデオ鑑賞から始まり、最近の一週間のご自 身の歩みを振り返られて、記者の一日、具体的な 仕事などをリアルタイムの形で話された。また、 七つ道具の携帯電話、カメラ、名刺、ノート、パ ソコン、手帳などを披露され、特にこれまで入社 されたときから書き溜められてきたノートに生徒 たちは感激していた。Oさんは一年半の記者生活を 振り返って、今まで経験された事件や災害、高校 野球の取材等、パソコンを用いての写真を提示さ れながら説明された。特に佐用町の水害の出来事 への取材は生徒たちにとって心打つものとなった。 《生徒たちの声》 「新聞社の現実や記者の仕事内容など、普段あま り知らない貴重な体験だった」「ビデオで新聞社が 世界の時差を考えて記事を集め、会議を行い、デ ータを集めていくという連携のすごさを知った」 「新聞は記者が一所懸命行動し、集められた記事ば かりだと知って、改めて新聞を見直そうと思った」 「戦争や紛争中の危険な場所で取材をする記者がい て新聞ができていることを知った」「記者は突然呼 ばれて事件を追わなくてはならない過酷な仕事ら しい」「火事の現場などいろいろな感情がある中で の取材は大変だろうし、精神力が強くないとでき ないと思う」「生死をかけた場面で自分の在り方を 追求されているように感じた」「嬉しい記事より、 つらい記事を書かなくてはならない記者は大変だ と思う」「取材現場の写真はすべて僕たちに伝わり やすいものだった」「記者は命をかけていて大変な 仕事だとわかった」「記者は体力と精神力とを備え ていなければ務まらないと知った」「記者が一番大 事にされているのは携帯電話だと知って驚いた」 「記者の一日はいつもどうなるかわからないのだと 知った」「いろいろな人々の気持ちをたくさんの 人々に伝えようとしている行動に心を打たれた」 「記者はすばらしい仕事だ」「災害現場に行くと被 害にあった人と同じような気持ちになり、つらく なることがある中で記事を書くのは難しいだろう」 3.S新聞・A.Y.記者をお招きして S新聞の記者であるA.Y.さんが90分間の授業を 担当してくださった。実は本来は他の記者が派遣 される予定であったが、前日に西宮で殺人事件が 起こり、予定されていた記者が本校に来ることが 不可能という事態にあって、ピンチヒッターとし て本社から急きょ来てくださった。そのこともあ り、事前の打ち合わせは一切なしで、予定してい た内容ではないものとなった。 前半は最近のニュースの紹介と特に海上保安庁 の職員によるビデオ流出事件の報道の経過をリア ルに話された。新聞記者が入社後、どのような仕 事を経験していくのかをご自身の経験を通して教 えてくださった。新任記者が主に「社会部」に入 り、体験していくことは、他の職業とも共通して、 その後の自分の適性や希望する道を選択していく 試金石になっていくこともわかりやすく話された。

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携帯メールの普及により、記事の集約が携帯電話 によってなされている状況や朝刊、夕刊の原稿締 め切り時刻に合わせて記者が取材していることな ど、表には表れない新聞記者の日常を垣間見るこ とができた。 後半は生徒たちからの質問を受けて答えるとい う時間を持った。主な質疑を以下に掲げると、 Q「記事にするのがつらいのに仕方なく載せる記 事はありますか?」 A「被害者や遺族の方々への取材はつらいことが 多い」 Q「これまでで一番印象に残っている事件は?」 A「自分がチーフとしてかかわった臓器移植の問 題。そして、京都支局にいた時、「宗教記者ク ラブ」という世界ではバチカンにしかないと 言われている取材にかかわったこと」 Q「誤報を出してしまった時はどうするのか?」 A「すぐに訂正を掲載する。特に電話番号を間違 った場合は苦情が多い。風評による被害が起 こらないようにも気を付けている」 90分間途切れることなく話されたが、具体的で リアルタイムの話ばかりで生徒たちは飽きること なく、聞き続けることができた。 《生徒たちの声》 「新聞の仕組みがよくわかった」「自分は今まで 新聞記者になりたいと思ったことはなかったが、 選択肢の一つに記者という世界が増えた」「その仕 事に携わっておられるプロの方々の多忙で大変さ がわかった」「取材を極める人が頼もしく見えた」 「めげずに仕事に向かう記者の精神力の強さを知っ た」「新聞を作る手間がわかった」「記者が携帯電 話からのメールで記事を書いているということを 初めて知った」「お話を聞いてこれからは新聞を違 った角度で読むことができると思う」「新聞社の中 のことがよくわかり、貴重な体験であった」「とて もリアルな話でわかりやすかった」「記者は先を読 み、頭の回転が良くないとできないと感じた」「記 者たちが協力し合って、チームワークで大変な作 業に向かっておられることを知った」「楽しい取材 もたくさんあることがわかった」 _ 「ののちゃんの自由研究」を教材とした研究 A新聞が「ののちゃんの自由研究」と題した教材 を別刷り形式でまとめ、授業で用いやすい形にし たものを発行された。カラー印刷の上、写真やイ ラスト、グラフを多用した紙面作りは生徒たちに は取り組みやすい形式であったため、その別刷り を授業で用いた。学年単位で、今回は2年生を対象 に、各テーマに従って、設問を解き、ワークシー トに書き込む形で研究した。研究したテーマのう ち、4つを取り上げて生徒たちの感想を挙げておく。 1.テーマ「核兵器ってなくせるの ?」 記事見出し…「冷戦下で増え、現在2万3千発」「広 がる保有国、野放しなら危険」 記事の要旨…核兵器は冷戦の下で増えていき、核 ミサイルを保持することで脅し合い平和が保たれ るという理屈の「抑止論」がある。「核不拡散条約 (NPT)」などによって、核兵器の数を減らすと約束 が成立しながらも世界に核兵器はまだたくさん存 在する。しかも、核兵器を持つ国は増えている。 こうした世界の状況を野放しにしておけば、「抑止 論」も成り立たなくなり、危ない現状だ。 《生徒たちの声》 「今、世界には2万3千発も核兵器があるという。 これには驚きだ。これを使用すると、人類を滅亡 させても余るほどだという。こんなことにどうし てなったのだろうか。それは、昔、『もしも核で攻 撃されたら、それ以上の数の核で報復するぞ』と 脅し合っていれば、実際には核兵器は使えないの で平和が保たれるという理屈の『抑止論』という

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もので増えてしまったらしい。今、すぐに使える 核兵器は8千発もあるという。こんな核兵器をなく すことはできるのだろうか。この世界に『抑止論』 は合わなくなってきている。まず、核兵器をなく すには、大国のロシアやアメリカからなくすると 『あの大国が―核兵器をなくしたのだから…』と他 の国もなくし始めるのではないだろうか。その国 の国民が核兵器のない世界を望まない限り、なく なることはないだろう。」「『核不拡散条約』や『包 括的核実験禁止条約』が締結されても実際に核は なくなっていない。核保有国が核を持っていない 国に『核を持つな』と言っても自分たちが持って いるのに意味がない。核保有国を減らしていくこ とから始めないといけない」「原爆を経験した人が まだ生きている今だからこそできることがある。 核兵器で脅し合ってつくった『偽りの平和』など 無意味だ。将来、核兵器がいつどこから落ちてく るのかわからない不安と恐怖にとらわれた絶望の 世界になるか、人種や宗教など関係なくみんなが 手を取り合い、笑っていられる希望の世界になる かは、今を生きる私たちに責任があると思う。い ま世界では『核不拡散条約(NPT)』や『包括的核実 験禁止条約(CTBT)』などが作られているが、なか なか核爆弾が処理できないというようなことにな り、まだまだ問題点は多い」「広島と長崎に原爆が 落とされたということは知っていたが、日本が世 界で唯一核爆弾を落とされた国だということは知 らなかった。広島と長崎で20万人以上のいのちを 奪ったのだ。20万人という数は信じられない数だ。 そんな破壊力を見た人類はいまだに核兵器をなく すことができていないのはなぜなのか。世界中で 同時に核兵器の廃止ができないものだろうか」「核 保有国がどのような国なのかはだいたい知ってい たが、核爆弾の具体的な数などは知らなかったの で核爆弾の保有数の多さに大変驚かされた。それ までは、一番核爆弾を保有している国でも数十発 程度だと思っていたが、数千発もあるので驚いた。 また、核爆弾を保有しているのは、アメリカ、ロ シア、フランス、イギリスなど先進国だけだと思 っていたが、イスラエル、パキスタン、インド等 が保有していたのにも驚いた。また、難民問題を 抱える南アフリカやリビア等が過去に核開発して いたことも初めて知った」「アメリカは24発、ロシ アは44発もの核弾頭を持っていることがわかった。 オバマ大統領が核のない世界にすると言っていた が、大幅に減らしたとしてもまだ核を作っている のならば、無駄なことではないかと思う。また、 抑止論も成り立たなくなると思うと、とても不安 になる。今の世界で大きな戦争がないのは抑止論 のおかげなので、抑止論はずっと持ち続けないと いけないと思った」 2.テーマ「エコで夏を涼しく!」 記事見出し…「部屋の中に風の通り道を」「エアコ ンに頼る前に工夫しよう」 記事の要旨…東京のある小学校にはへちまによる 「緑のカーテン」があり、陰を作っている。キュウ リやブドウも栽培し収穫している。「打ち水」も見 直されている。エアコンのスイッチを押す前に、 地球のことを考えてみたい。 《生徒たちの声》 「今世間で温暖化とかCO2を減らそうとか言われ ているけれど、こういう風に人の役に立ってCO2を 減らせるのは良いことだと思う」「今問題になって いる環境問題との関連性が高く、子どもから老人 まで幅広い層の人が実行できることが良い」「打ち 水は簡単にできることなので、実行していけば地 球も良くなるし、ガーデニングが好きな人は緑の カーテンを作るなどして楽しく地球にも優しくし てほしい」「エアコンを使うと地球にも悪いので打 ち水などをしてすずしくしないといけないと思っ た」「エアコンなどを使わなくても、少し考えれば

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涼しくなる方法なんて沢山あると思う。機械に頼 らなくてももっとエコな生活をしたい」「簡単にで きることなので、冷房を使わずに実行することで エコするべきだと思う」「クーラーや扇風機を使わ ずに涼しくなるので、エコができて自分も涼しい と一石二鳥で良いと思う」「工夫次第で自分も気持 ちよくなるし、エアコンを使わないからエコなの で続けていくとみんなも良い気分になるからすご く良い」「今年の夏はいつもの夏に比べてとても暑 かった。このように夏に自然の力で夏を乗り切る のもいい」「自分は、夏はエアコンしかないと思っ ていた。しかし色々な工夫で夏を乗り越えられる ことを知った」「小学校で緑のカーテンを使って、 暑い夏を乗り切ることは驚きだ。エアコンはすぐ にはつけずに、暑い夏を涼しく生きたい」「楽しく、 美味しく、暑い夏を涼しく過ごせるならぜひ取り 組みたい」「地球がエコになるとやっぱり嬉しい。 地球に貢献している感じがするので、このような ことをどんどんやって欲しいと思った」「人間が 色々なものを作って、便利になって喜んでも、人 間にとって本当に必要なのか。自分たちで自分た ちの首を絞めていないだろうかと考えさせされる」 「機械に頼らずいきている自然を生かしたい」「緑 のカーテンは知っていたけれど、ここまで実用さ れていると知っておどろいた」「身の回りにこんな に簡単にできるエコがあるのだなんて思わなかっ た。またエコで熱中症予防にもなり、地球の環境 も良くできて一石二鳥だと思った。また世界も大 きなエコからはじめるのではなく、このような小 さなエコから地球を良くしていけば良いのではな いか」 3.テーマ「地域で育てる猫 ?」 記事見出し…「野良猫を増やさないために」「ルー ル守ってみんなで飼う猫」 記事の要旨…決められたルールに従って、地域の みんなで飼う「地域猫」がいる。「飼い猫」と「野 良猫」の中間の存在である。この仕組みは1999年3 月に始まった。この活動を通じて「いのち」の大 切さを地域で考えることになっている。動物との ふれあいと共存を考えたい。 《生徒たちの声》 「いのちを大切にする姿勢がこのような活動にな ったと思う」「全国でも野良猫で悩んでいる所があ るので地域猫制度は取り入れていったらいいと思 う」「地域猫が増えてくると、各地の町がきれいに なりといいことが沢山ある。その反面、猫が絶滅 しないかは心配」「動物のために活動している人た ちがもっと増えて話し合えば、動物を大切にし、 自然を大切にする。そうなってほしい」「猫が増え て困る人がいると知って無責任なことはやめよう と思った。野良猫はもともと人間の飼っていたペ ットなので、責任をもって人間が対応するべきだ と思うので、この活動が広まるといいと思う」「初 めてこの運動があることを知った。地域猫にする ことで住民同士のコミュニケーションが深まるこ ともおどろいた。僕が住む地域でもしてほしい」 「猫はゴミはあさるし、夜はうるさいし、正直うっ とおしいと思っていたが、1匹の猫のために1,500円 ∼30,000円のお金を使って、猫を助け、地域を守っ ている場所があると知って驚いた」「町でよく見か ける野良猫が地域で話し合うほどの問題になって いるところがあるとは知らなかった。この地域猫 は一方的に猫を嫌がるのではなく、共存しようと いう姿勢があって僕は賛成だ。だがあまり知名度 は高くないので、もっと全国によびかけるべきだ と思う」 4.テーマ「口蹄疫ってどんな病気 ?」 記事見出し…「蹄が偶数の動物の伝染病」「宮崎で 29万頭も犠牲に」 記事の要旨…宮崎県で広がり、大きな被害を生み

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全国的に話題になった「口蹄疫」という伝染病は、 牛、豚、羊など蹄(ひづめ)が二つまたは四つに分か れた偶蹄類がかかりやすい。この病気を予防する ためにワクチンを打った家畜も結果的に殺処分さ れてしまう。「口蹄疫」を広げないようにするには どうすればいいだろうか。 《生徒たちの声》 「一回口蹄疫が広がったら他国からの信頼を取り 戻すのは難しいと思った」「いつも美味しく頂いて いる豚、牛などの動物がこの間に大変な事件が起 こり、大量に殺処分されていると知り、感染を防 ぐためにしているようだが、かわいそうだと思っ た」「家畜が病気になったら人間が困る。やっぱり 人間と動物は共生していかなければならないと思 う」「鞄や服についたウイルスなどから簡単に感染 するので、また新しい病気を広げないよう考えて いくべきだ」「口蹄疫から助かった家畜も殺処分さ れるなんて、もっといい方法はないのだろうか?」 「口蹄疫という病気を知って、大変なことだったの だと思った。何気なく口蹄疫のニュースを見てい たが、農家の人たちが大切に育てた牛や豚をどん な思いで殺処分しなければいけなかったのかと考 えると、とても心を打たれた」「こういう社会問題 をもっと知らなければいけないと思った」「口蹄疫 にかかった家畜の肉を食べても、人間には特に害 がないと知って安心した。そのため家畜が可哀想 だとは思うが仕方がない」「口蹄疫によってたくさ んの牛の命が奪われたことがとても残念だが、こ れからまたおいしい肉を作ってほしい」「改めて食 べ物が食べられることに感謝しようと思った」「一 つのウイルスが感染していって29万頭も殺したこ とはとても怖い」「この病気にかかるのは動物だが、 原因は人間にあるのかもしれない」「最近では簡単 に外国に行けるが、外国からウイルスをもらって きたりするので、手洗いやうがいやその他の消毒 をもっとしっかりし、日本にウイルスを持ち込ま ないように注意するべきだ」「自分の家畜を殺さな ければならなかった畜産農の人はとても辛かった だろう」「どこの誰が運んできたかわからないウイ ルスのために、何の罪もない牛や豚が殺された。 こんな理不尽なことはない」「日本の肉の信頼が落 ちてしまい農家が気の毒だ」「宮崎の農家の人々は これから大変だと思うが、元気な家畜が育てられ るように頑張ってほしい」「ワクチンを打ったのに 殺すというのは二度手間である。それならワクチ ンを打たずに殺すか、ワクチンを打ったものは生 かしておくべきだ」 + おわりに 「新聞記事の切抜き作業は宝探しのようで楽し い」とつぶやく生徒が全体的に多かった。驚きの 発見を通して生徒たちは発展的に疑問を抱くこと ができた。ただ、疑問を解決するまでの作業が充 分にできなかったのは残念である。毎回、授業の 最後に作業の成果と感想を生徒たちが書いたが、 自分たちの新しい発見を通して、次へのステップ に結びつけることができたと思う。また、3年連続 の新聞記者の講師との出会いとふれあいは生徒た ちにとっては大きな刺激と財産になった。 最初は取っ付き難いと愚痴を漏らしていた生徒 がみるみるうちに熱心に時間を忘れて切り抜き作 業をしている様子を見て、新聞が持つ不思議な魅 力を改めて感じた。驚きは新たな関心を引き起こ し、それは違う意欲へと結び付くのである。あえ て「大きな文字」と「大きな写真」を切り抜くこ とから取り組んだ。それは入り口としては正解で あったと思う。生徒たちが持っている先入観、そ こには活字が列挙されているだけの読む気になら ない新聞というイメージがあるに違いない。先入 観が砕かれれば、ぐんと新聞の魅力の本質へと近 づいていける、そう実感しつつ取り組んだ。しか

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し、どうしても時間の制約があり、「ゆとり(遊び)」 をもって取り組むことができなかったのは残念で ある。しかし、この体験が契機となって、次の何 かのステップに結びついていくに違いないと感じ ている。 授業を通して、新聞という媒体の役割を再認識 し、新聞という形によって伝達する意味が理解で きた。ほとんどの生徒がこの実践を機会に新聞に 関心を抱くようになったことは嬉しい限りである。 情報にあふれる現代社会を生きる青少年たちが 多種多様の情報の中から、その真偽を見分けなが ら、自分自身の人生や生活にいかに活かしていけ るのかを支援することが教育の緊急の課題である。 批判的な判断能力と能動的な適応力を養い、蓄え た知識を相互補填しながら、その知識を生きたも のとして生活化させていくための教育はこの時代 に欠くことができないものとなっている。これか らは自分たちが生きている世界、社会の実態をし っかりと分析し、よい方向へと変革していくため の生き方を行動として示すための力、自分の価値 観を打ち破る力、いのちと平和を新たに創造して いく力を生徒たちが養っていくための教育が大切 である。今回の実践はそのような教育の将来の方 向性を見いだすためにとても意義あるものであっ たことを感謝したい。 ≪参考≫ウェブページ「教育に新聞を」http://nie.jp

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参照

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