日本語の受身文における助詞
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(2) . 日 本 語 の 受 身 文 に お け る 助 詞. 小. 野. 米. 一. ・. 秦. 光. 華. 現代日本語の助詞の使い方には, いろいろなものが考えられるが, 本稿では受身文における助詞 「から」 「で」 「に」 「によって」 の特徴及びその異同について, 次の四つの点を通して明らかにし たい,. ー. 受身文に見られる助詞の諸相について. 二. 動作主と助詞との関連について. 三. 述語動詞と助詞との関連について. 四. 受身文の構文上の特色について *. 一. *. *. *. *. 受身文に見られる助詞の諸相について. 受身文を助詞の用法との関連から観察すると, 次の6種の場合が考えられる, 一の1 動作主の作用・行為が直接に被動作主に働きかける意を示す直接受身文に用 いて, 動作 主を表す. (用例の出典及び略号については本稿末尾参照.) ①今この下人が, 長年使われていた主人 1から/に/△によって1丑段を出された. (羅) ② 「どうして 日本 は心臓移植をしないのか」 と向こうの医者 1から/に/×によって1・さかん に 聞かれたよ. (朝) ③余り にも敬意を表わしすぎると, かえっ て相手 1から/に/×によって1 見下され, 反対に強 圧的に出られる, (表) ④花子はいつも男の人 1から/に/×によって… じっと見られていいな, (変) ⑤その老人は, 近くの人々 1から/に/△によって1 嫌われている, (文) ⑥その二人は, それぞれ両親 1から/に/△によってi 反対されて心中した. (朝) ⑦あの男 は理由もなく人 1から/に/△によって1 悪 口 を 言 わ れ て い る, ⑧A君はバスの中でスリ iから/に/△によって1 財布を取られた. ⑨太郎はきれいな恋人ができて, 同僚 1から/に/×によって1 羨しがられている. (文) ●恨まれている, (文) ⑩この会社はあくどいことをするので, 同業会社 fから/に/×によって1. ⑪人命救助で警察 1から/に/によって1 表彰された. (文) ⑫七人の主婦がトラック 1から/に/×によって1 引かれて死んだ. (朝) ①~⑧の 「によっ て」 はきわめて書きことば的な表現であって話しことばとしては一般に用いら れない, 特に②と④では文末に終助詞がついているの で使えな い, ⑨と⑩は 「によって」 は動作主 の意図的動作・行為を表すため, この二つの文の「恋人ができて」「あくどいことをするの で」によっ.
(3) . 小野米一・秦光華 て, 「同僚が羨しくなる」 こと, 「同業会社が恨む」 ようになるのは, 無意図的で, 自然なことなの で 「によって」 は用いにくい, ⑪では 「警察」 は場所ではなくゞ 人と同様に扱うことのできる集団 である, このような集団・団体を動作主として表現するとき 「から」 か 「によって」 を用いること )で は あ る が こ の 場 合 人 間 の 意 志 に よ て 走 て い る は少 な く な い. ⑫ の 「トラ ッ ク」 は 無 情 物1 っ っ ,. ため, 人格化した意志性をもつものと見なされれば, この表現が可能である. 一の2 動作の出どころを表す. 動作主の作用・行為は主語の意志を無視して行われたり, 主語 とは無関係に存在 したりしているが, 結果として間接的に主語に迷惑・恩恵, 残念な気持を与える こ と にな る,. ⑬太郎は雨 1×から/に/×によって1 降られて風邪を引いた. .⑭私は晩秋の涼 しい風 1×から/に/×によって1 吹かれながら, 学生時代の楽しい生活を思い , 出 して い た.. ⑯夕 べ, 隣室の赤ち ゃん 1×から/に/×によって1 泣かれて, 一睡もできなかっ た. (日) ⑯山田さ んは妻 iから/に/×によって1 寝 込 ま れ て 困 っ て い るき ベ ての欲望も泣き声によって大 ⑮の動作主 「赤ちゃん」 は, 有情物ではあるが, まだ小さくてす・ 人に合図をするに過ぎず, 意志をもって 「泣く」 のではないと考えられるため,「から」 は 使 え な い, それに対して, ⑮の場合 「から」 は 「に」 と比べて動作主の意志が働いているため, 「から」 が使 え る の で あ る,. 一の3. 無情物対有情物か, 無情物対無情物の受身文で, 動作主を表す, 事実そのものを客観的. に描写する. ⑰文部省 1×から/△ で/×に/によっ て1 教育制度が改められた. (文) ⑩この文章は, 山田氏 1×から/×に/によって1 書かれたものである. (変) ・っ、て1 書 か れ て しまり, ていると は ⑲私の書こうと思ったことが,.既 に山田氏 1△ か ら / に / に よ. 残念だ. (変) ‐ターレス 1×から/×に ⑳帯電現象は, 紀元前600年 ごろ ,/によって1 発見されたものだ, ⑰は 「で」 を使うと 「文部省」 は述語 「改められる」 という動作を行う場所になってしまうため, 用いにく 、い, ⑰・⑯・⑳の客観的な表現に対して, ⑲は 「によって」●は 「に」 ほど密接的な関係を 表せないため, 「によっ て」 を使ってもいい. ⑩で 「から」 を使うと, 主語の主観的な 「残念」 な 気持が強調されることになる. 一の4. } そ の 状 態 を 成 立 さ せ て いる 内 容を 表 す.2. ⑪日本は温泉 1×で/に1 恵まれている, (文) ⑫富士山は真っ 白な雪 1△で/にi・覆われている, (教) ⑳遠くにある立木が空 1×で/に1・包まれている, (変) ⑳白い壁 1△ で/に1 囲まれて いる仲屋病院. ⑫と⑭の文に 「で」 を使うと,一後述の ミ材料 を 表 す こ と にな る, 一の5メ 原因・理由を表す. (1) ある心理的動きを引き起すもとを表す, ⑮私は息子の成長 1で/に1 どれほど慰められたことか. (教) ⑳田中さんの情熱 1で/に1 心を動かされた. ⑰私と女房は頭痛 1で/に1 悩まされている. (道). 3 ) , (2) 主に自然現象として, ある状態を起す原因を表す. ⑳集中豪雨 iで/×に/によ・ って1 両村を結ぶ橋が流されてしま っ た, (文) 2.
(4) . 日本語の受身文における助詞. ・(文) ⑩先日の台風 fで/×に/によって… 木が倒された. ⑩な だれ 1で/×に/によって1 山小屋がつぶされた, (文} ‘ ⑪河川は工場の廃水 1で/×に/によって1 汚染された. (3) 翻訳調の文体による影響 で, 主語が無生名詞か抽象名詞である場合1 普通 「によって」 が 用 い ら れ る,. ⑫人はその配偶者. で/ × に / に よ っ て1 人生を左右される.. ⑳不平等 lxで/×に/によって1 救われているこの人間のきびしい事実の一面を見逃すことは でき な い. (ユ). ⑭意見によって出来たものは, やがて意見 lxで/×に/にようて- こわされる宿命をもってい る, (基) 一の6. 材料・手段を表す. ただし, この場合は問題の助詞の前の名詞は動作主とはな らない, ⑮日本人は, 水とは切っても切れない縁 1で/×に/によって1 結 ばれている. 〔表). ⑯職人たちの手 iで/×に/によって1 飾 り つ け ら れ る 心 づ く しの ク リ ス マ ス ・ ツ リ ー. (朝) ⑰酒は米 iで/から/△によって… 作られる, 二. 動作主と助詞との関連について. 以上は, 受身文に見られる助詞の諸相について述べたものである, 次に受身文の動作主と助詞と の関連について述べ よう, 前に挙げた例文を見るとわかるように 動作主 (動作の出どころ) を表 , すとき 「から」「に」「によって」 すべて使える場合もある し, 「から」 と 「に」 だけ あるいは.「に」 , しか使えない場合もある. これは動作主を表す助詞の前にく●る名詞の性質によるものである , 二の1 直接受身文では, 主語も動作主も有情物であるため, 動作主を表すとき 「から」 も 「に」 も使え, 両者を置き換えても, 一向にさしつかえはない, ⑳彼女の母親 1から/に/△によってチ 視力 がもっと落ちてしまうから 子供を生ませないでく , れと釘をさされていた. (離) ⑳医者 1から/に/△によって… 走ることを止め られた, ⑩突然, 同僚のA 君 iから/に/×によって1 プロポーズをほのめかされた. (道) 二の2 二の1とは逆に動作の出 どころを表す名詞が無情物の場 合には 「に」 しか使えない, ⑪A氏はB 国の宣伝 1×から/に/△によって1 魅 せ ら れ て しま っ た. ⑬太郎は雨 、 1×から/に/×によつて… 降られて,、風邪を引いた, ⑪は 「から」 を使う と すれ ば動作主を表わさずに 「起点」 の意になってしまう.●⑩は 「風邪を引い た」 原因の出もと 「雨」 が自然界に存在する物であるため, 「から」 は使えない. 三. 述語動詞と助詞との関連について. 三の1. 述語動詞が物理的・心理的な移動の意を含む意志動詞である受身文 では 「に」 を用い , て動作主を表してもいい. しかし述語動詞の行為・作用, 物の移動の方向をより明確にするには , 〉の関係から考えられること で 「から」 を使うほう がいい, これは述 語動詞と助詞との組みあわせ4 あ る.. ⑫山口百恵さんは, 大勢の観衆 1から/に1 花を贈られた, (文) ⑩A氏はB 大学 1から/に1 名誉教授号を贈られた,.
(5) . 小野米一・秦光華 ⑧バスの中で, スリ 1から/に1 財布を取られた. 1 椅子に座られて しま っ た (中略) このような A - B 間に直接の橋 三の2 「私 は横の人 目こ 渡 しとなる べき行為や作用のない受動意識は 「……に……られる」 であっ て, 「から」・に置き換え 5 )という説に対 して ,次のような間接受身文の 「に」 は 「から」 に置き換 えら ること はできない」 , れ る 場 合 につ い て 考 察 し て み よ う.. ⑯田中さ んは妻 1から/に1 寝 込 ま れ て 困 っ て い る. ⑭田中さ んは妻 1×から/に1 逃げられて大変喜んでいる, ⑮気の毒にも, 斎藤さんは長男 iから/に1 死なれた. (変) ⑯では, 田中さんの奥さんは重病で, 自分自身ではもうコン トロールできない状態になってやむ を得ず寝ている場合なら 「に」 しか使えない. けれどもしその夫婦の間に冷たい風が吹き, 奥さん がわ ざと田中さんを困らせるため, 仮病で寝ている というように考えると, 「に」 より 「から」 を ・るが, ⑯の 「困ってい 使うほう がよい, ⑭では⑯と同 じように述語が心理的活動を表す動詞ではあ と考えていたが, る」 と逆に 「大変喜んでいる」 のである. 、つまり田中さ んは前から妻を追い出そう な か な か い い チ ャ ン ス が な く て 悩 ん で い る と こ ろ に う ま く 逃 げて く れ て 良 か っ た と い う よ う に 考 え. れば, 「から」 を使わずに 「に」 を使うのが一番適切であろう, ⑮は, 「に」 を使えば 「自然死」 -- 長男の意志によることのできない病死・事故死・他殺という意に取れる, 逆に 「から」 を使 うと, 長男 が父親 (斎藤さん) に不満を持ってわ ざと困らせるために死んでみせてやる (自殺) の 意に取れる. 三の3 次の文は動作の出どころが無情物であって, 述語が状態を表す自動詞か, 自動詞化され )である このような文の述語動詞 と助詞との関連については 金田一春彦の 「その動作・ た動詞6 , , . 作用 が自然に行われるという点に特 色があるもので,その意味は可能相 というよりも受動相に近い, 松下大三郎博士が 「自然動的被動」 と呼んだのにならえ ば, 自然受動相という べきだろう. (中略) 7 }という考えかたが参考になる 「に」 格の補足語を取る点 が特色である,」 , ⑯下北は清らかな水 1に1 恵 ま れ て い る, ⑰九日, 日本列島は朝から移動性高 気圧 1に1 覆われていた. (朝) i そそられて, 坊っ ちゃんはその店に入つた. (坊) ⑬うまそう な匂い ”こ ⑲実はなかなか賛成 しかねることだっ たが, 友だちの情 1に1 ほだされて, 手を挙げた わけだ. ⑮~⑩の文では動作主を表すには 「に」 しか使えない. 述語は状態を帯 びる意味の動詞が使われ る こ と が多 い,. 心理的動きを引き起すもとを表す時, 「に」 も 「で」 も使え, 述語は主語の心理的動き, }に限られ それと組み合わせる名詞 が 主語の動作・作用 を起す原因に 状態を含む意の態度動詞8 , , 関する名詞である. ⑩春の陽気 1×で/に1 誘われて, オー プンした潮干狩り場, (通) 三の4. ⑮私は息子の成長 1で/に1 どれほど慰められたことか. (教) ⑳田中さんの情熱 1で/に1 心を動かされた. ⑭人々 は新幹線の騒音 1で / に… 悩 ま さ れ て い る, 四. 受身文の構文上の特色について. 9 ) 次のような文では, 対応する能動文が「⑧が④を◎に……する」の形で, ④⑬◎がすべて有情物, あるいは④⑩が有情物で, あとに目的語がついている受身文では, 動作主の行為・作用及 びその方.
(6) . 日本語の受身文における助詞. 向をはっきりさせるため 「に」 ではなくて, 「から」 を (学術文などでは 「によって」 も) 用いる, ⑫太郎は私 fから/×に/によって… 和子に紹介された. (文) ⑯式辞につ づいて, 校長 1から/△に/△によって1 卒業証書を渡された, (文) ⑭吉田さんは法務大臣 iから/△に● /△によって1 重要なポス トに任命された. ⑮太郎は次郎 fから/△に/によって1 ゴルフ場にひっ ぱり出された. ⑫と⑲は動作主と目的語の間に混乱を起すことを避 けるため,「に」を「から」にする必要がある. ⑭と⑮は修辞上の使い方の一つ で, 「に」 の重複を避ける ため, 「に」 を 「から」 にするほう がいい, 五. 概. 括. 以上の考察の結果, 現代日本語の受身文における助詞の諸相及びそれぞれの異同について およ , そ 次の よ う に 整 理 す る こ と がで き よう,. l. rから」 と 「に」 1 の (1). 述 語 動 詞 の 意 志 性 の 強 さ に よ る ニ ュ ア ン ス の 違 い,. o }「に」 は動作 作用を受ける場 「から」 は動作, 作用の時間的, 空間的な起点や出目を表す,l , 1 )また 「から」 は 「奪格」 「に」 は 「与格」 というず 合の動作の主や, 作用の出どころを表す,1 〆 っ と昔からの呼び方から見ると 「から」 は 「に」 より強そうな感じが与えられる, 例文① ③ ⑳ , , , 1 2 )という意 味は全然ない 述語動詞はすべ ⑲を考察してみると 「A-B 二者の間に隔たりがある」 . て強い意志を含む他動詞であるため, 動作主を示す時 「与格」 の 「に」 より 「奪格」 の 「から」 を 使うほう が, 動作主の主語に対する一方的働きかけの意志性がずっ と強く, 使役に近い受身文とも 言 える よう な ニ ュ ア ンス の 違 い が あ る,. また人対人の間接受身文では, 一般に 「に」 を用いて動作主を示すが話し手の意志と 文脈によっ て 「から」 も用いられ, 「に」 とは置き換えにくい. これには, 対応する能動文がな い. (例⑲⑭) 1 の (2). 直接受身文では 「から」 と 「に」 は同価 である場合が多い, 有情物対有情物の直接受身文 では, 「から」 も 「に」 も動作主を表せ, 主語に一方的働きかけの 意を表す. その結果として主語に利害を与える意を示す. 一般に, 置き換えられても文意は変らな い. 述語が他動詞に限られ, 対応する能動文がある. (例①~⑫) 1 の (3) 客観的な状態, またその内容を表 す場合と人対物の間接受身文の補語を表す場合 , 「に」 しか使えない, 対応する能動文がな い. (例⑭⑮⑪~⑮) 1 の (4) 構文上の特色による違い. 対応する能動文は 「⑩が④を⑥に……する」 の形 で, ④⑩⑥がすべて有情物で あるいは④⑨が , 有情物で, 後に目的語がついている場合, 動作主と目的語の間に混乱を起すことを避けるために , また文の修辞上 「に」 の重複を避けるた め, 「に」 ではなくて 「から」 か 「によって」 が使われる,. (例⑪~⑭) 2. 「に」 と 「によって」 の異同. 2の (1). 動作主を表す, 文体による違い, 「に」 が話しことば的 であるのに対して 「によって」 は翻訳調の , 文体 で, 読み手と聞き手にかたい感じを与えるため, 学術文には多く用 いられる, しかし 日常会 , 2 の (2). 話文 に は用 い ら れる こ と が少 な い. 5.
(7) . 小野米一・秦光華 2の (3). 主語と動作主の性質による 違い.. 有情物対有情物の受身文で は, 動作主を示す 「に」 は, 主語に対して主観的な一方的な働きかけ の意を表す, それに対して 「によって」 の受身文の主語は普通無情物か, 描象的名詞であるため, 主語への働きかけの意が全然ない. ただ事実そ のものの客観的な描写か, 表現である, 従って, 両 者は置き換えにくい, 対応する能動文 がある, 2の (4) 原因・理由を表す場合の違い. 〈1 〉 文体による違いがある. 前項2の (2) 参照, . 〈2〉 「に」 は主語の心理的動きを起す原因しか表せない. 「によって」 は主に自然現象として, ある状態を引き起す原因 を表す. 対応する能動文と同義である. (例⑮~⑪) 〈3〉 主語が抽象名詞である場合,「によって」 は 「に」 より用いやすい, (例⑰~⑭)「によって」 は現代日本語の受身文に用い られて, 動作主, 原因, 手段などを表すのは, いずれも翻訳調の使い 方で, 日本語本来の受身文ではない. 「で」 と 「によって」 {1) 文体による違いがある, 前節2の (2) 参照, (2) 主に自然現象としてある状態を引き起す原因を表すのに両方とも用いられる. (例⑮~⑪). 3. (3) 手段・材料を表す. (例⑯~⑰) いずれも置き換えることができ, 対応する能動文 がある, 4. 「で」 と 「に」 いずれも主語の心理的動きを起す原因を表す, 対応する能動文 がある, 相互に置き換えられる.. 「から」 と 「で」 ちらも置き換えること い ずれも話しことば的文体である, 物の材料・構成要素を表す. 助詞はど・ ができ, 対応する能動文がある.. 5. *. *. *. ′ ●*. 本稿では私たち が日常生活の中で, 何気なく使っ ている日本語の受身文における助詞の用法につ いて, 掘り下 げて考察してみたが, 案外にそれぞれの相異 点, 特徴及 び微妙なニュアンスの違いを 持 っ て い る こ と, ま た こ れ と 同 じ 表 現 で あ っ て も 発 想 の 違 い に よ っ て 内 容 が 異 な っ て く る こ と が わ の 使 い 方 につ,い て, 更 に 研 究 を 深 め る こ と に し た い. か っ た. , こ れ か ら も, 現 代 日 本 語 の 助 詞. 1) 有情, 無情の反映 -- すなわち, 事物を人格のあるものと認めるか否か. これがなかなか重要視さ れ, そのことが用言の用い方に反映してくるのです. 芳賀緩「ことばの使い方用言(動詞を中心として)-」{『日 本文法講座』 5所収, 明治書院, 昭和33年) p, 191 . 2) 阪田雪子 「に」(松村明編 『日本文法大辞典』 所収, 明治書院, 昭和46年) p. 624による, 1 -- 助動詞を中心にして --』(凡人社, 昭和55年) p. 23~2好こよる, 3) 国際交流基金 『文法1 』 (む ぎ書房, 1983年) に, 格助詞 (を, に, で, へ, 4) 言語学研究会編 『日本語文 法・連語論 (資料編).
(8) . 日本語の受身文に, おける助詞 から, まで) と動詞との関係が詳細にとりあげられている .. 5) 森田良行 『日本語の発想』(冬樹社 昭和5 6年) p. 28~29 , ,. 6) 森田良行によれば, このような場合, 「対応する自動詞を欠くときには 「他動詞十受身+ている」 と 「ら れる」 を付けて他動詞を自動詞化させる」(『基礎日本語1』 角川書店 昭和52年 , , p, 473) という. 7) 金田一春彦 『日本語セミナー』 二 日本語のしくみ (筑摩書房 昭和5 7年) p. 3 12 , , , 8)「態度動詞」 という考えかた は, 注4) p, 302(奥田靖雄執筆) による ,. 9) 森田富美子は 「 「に」 と 「から」 と 目こよって」<受け身潟(日本語教育学会編 『日本語教育事典』 所収 ,. 大修館書店, 1983年, p. 457) において 「もとの能動文が 「⑧が④を⑥に~する」 の形で ④ ⑩ ◎ , , , , がすべて人を表す名詞の場合, 動作・行為の方向を明確にするために 「に」 の重複を避けて 「⑥から」 を , 用いる,」 と指摘している. 10) 阪田雪子 「から」(松村明編 『日本文法大辞典』 所収 明治書院 昭和46年) p, 138による. , , 11) 注2) に 同 じ. p,,624. 12) 注5) p. 30には, 「「から」 は起点や出 目を表す助詞で 「に」 のような密着 した関係ではな い A - , , B 二者の間に隔たりがあるからこそ, A が行為や作用の起点となう たり出どころとなったりして B に到達 するわけである.」 との指摘がある,. 用例の出典一覧 本稿で資料として使った作品及びその略称は, 次の通りである. 特にことわりのないものは 作例である . , 1. 坊 坊っちゃん 夏目減石 岩波文庫 1929年 2. 羅 羅生門 芥川龍之介 講談社 昭和35年 3, ユ ユーモア 新島 正 潮文社新書 1976年 4, 離 離婚 角川武大 文芸春秋 昭和53年 5. 通 通りやんせ 高橋洋子 中央公論社 昭和56年 6. 表 日本語表と裏 森本哲郎 新潮社 1985年 7, 変 変形文法と日本語 (下) 井上和子 大修館書店 1978年 8, 文 文法ロー助動詞を中心にして- 国際交流基金 凡人社 昭和55年 9, 基 基礎日本語1 森田良行 角川書店 昭和52年 10 日本語教育事典 日本語教育学会 大修館書店 1983年 ,教 11 日本学習与研究 中国北京対外経済貿易大学 1985年第四期 .臼 12 朝日新聞 1986年1月~3月 .朝 13 北海道新聞 1986年1月 ,道. 参考文献 井上和子著( 1 9 7 8 )『変形文法と日本語(下) 』 大修館書店 国際交流基金(1980)『文法1 1 -÷助動詞を中心にして --』(教師用日本語教育ハン ドブック④. 倉持保男執筆) 国立国語研究所 ( 1 8 1 9 )『日本語の文法(上) 』(日本語教育指導参考書4 寺村秀夫執筆) 柴谷方良著 (1978)『日本語の分析 --生成文法の方法 --』 大修館書店. 阪田雪子. 大蔵省印刷局. 日本語教育学会編 ( 1 9 8 3 )『日本語教育事典』 大修館書店 文化庁 ( 1 9 7 1 )『外国人のための基本語用例辞典 (第二版) 』 大蔵省印刷局 松村明縞 ( 1 9 1 )『日本文法大辞典』 明治書院 7 森田良行著( 1 9 7 8 )『基礎日本語1』 角川書店 森田良行著( 1 9 8 1 )『日本語の発想』 冬樹社 王秀珍 ( 1 9 8 5 )「被動句中表示補語的幾個格助詞」(『日語学習与研究』 第四期 中国北京対外経済貿易大学). 7.
(9) . 小野米一・秦光華 付記. 小稿は小野のもとに留学中の秦が素稿 をしたため, 小野の意見に従って書き改めたもので. あ る, (1986. 3, 1). (小野. 本学教授,旭川分校, 秦. 本学旭川分校研究生・中国四川省成都科学技術大学教員). 、 .. . r. 8. }.
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