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固体直流電気伝導度による海氷の結晶構造の異方性

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Academic year: 2021

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(1)Title. 固体直流電気伝導度による海氷の結晶構造の異方性. Author(s). 戸山, 陽子; 西尾, 文彦. Citation. 北海道教育大学紀要. 自然科学編, 50(1): 49-62. Issue Date. 1999-08. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/520. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 北海道教育大学紀要 (自然科学編) 第50巻 第1号. 平成 11 年8月. lof Hokka ido Un iver Jouma i ion(Natura ISc ty ofEducat i l )Vo s ences .50 .I , No. Augus t ,1999. 固体直流電気伝導度による海氷の結晶構造の異方性. 戸山 陽子・西尾 文彦 北海道教育大学教育学部釧路校 応用理学コース (地球惑星科学研究室). Sea ice structure and anisotropy by ECM method. Yoko TOYAMA and Fumihiko NISHIO Ear i i th and P1 tary Sc ido Un iver i ion ane tyofEducat ence Laboratory ro Campus s ,Kush , Hokka. Abstract. ECM (E1ectricaIConduct ivi iedto measurethesal ty Measurement ini i leofsea )methodi typrof sappl icecorecol lected attheseaicef loe asconvenient method. 1n Antarct icsealcecore twasshownthat ,i ini the h i ty wasindicatedthe h i なlevel gh sal gh ECA ‐ However ,at Lake saroma, Eastern Hokkaido, Japan,i ti iated wi ththe anisotropy ofseaicecrystalstructure, sshownthatthe ECM 1evel s are assoc thati s s and ,the higher currents are measured in the sea ice composed of granular crystal , on the contrary,thel ower currents arein the columnar crystals of sea ice t could be suggested thatthe . 1. degreeof movementsofelectr icalcharge may becaused bythe mobi l i tyinthe grain boundary ofsea icecrystal .. 1. は. じ. め. に. 固体直 流電 気 伝 導度 (E1 ivi i IConduct ty Measur t r ec ca ement , 以 後 ECM と 呼称 する) 測 定 は氷 コ ア を鉛. 直方向に半割れの二つに切断し, 電極で切断面上を走査して電極間を流れる電流を検知し, 電気的特性の違 いから氷に含まれている不純物などの濃度を測定する方法である. この測定法が応用されたのは, 南極やグ リ ー ンラ ン ドで氷床 コ ア 解析 の際 に, コ ア に含 ま れて いる 火 山の シ グナル の抽 出やコ ア の 年代 を推定 する た め に用 い ら れ, 掘 削現 場 での有 効 な解析 手 段 と して取 り入 れ られた(Hammer 1980 ). 海氷 への応用 と して, , ECM 法 を用 いて, 南 極オ ングル海 峡 にお ける 海氷コ ア の 塩分 量 を測定 した 例 え ば海 氷 のリモ ー トセ ンシ ン .. グの研究では, 海氷の塩分量等の物理的性質の調査が必要である. また, 海氷の塩分は時間の経過と共に脱 落 して いく た め, 迅速 に測 定 する 必 要 があ る. ECM 法 による 測定例 で は 塩分 量 と EC レベ ル によ い相 関 が ,. あることが示された.本研究では南極での海氷の測定例から,ECM 法により簡便に海氷コアの塩分量の測定 を行うために, 海氷コアの掘削現場での解析手法の開発を目的とした. 海氷の測定は北海道東部に位置する サ ロマ 湖 の 海氷 を用 い て 行い, EC レベルと海氷塩分量の相関を調べた その結果 海氷における固体直流電 , .. 気伝導の機構は温度と結晶構造に強い依存性が見られた.ここでは,ECM 法による海氷構造と異方性につい て得られた結果およびEC レベルと塩分量の相関について述べる. ( ) 49.

(3) . 戸山 陽子・西尾 文彦. 50. 2. 氷の電気伝導の機構とECM の原理 氷をはさんだ二つの電極間に直流電場をかけると, 電流は氷結晶中の電荷の移動度と濃度に加えて, 電極 ) 81 と氷結晶間での電荷の交換の程度 (空間電荷) に応じて流れると考えられている (前野, 19 . また, 時間 の経過と共に電極における電荷の交換は電流を制限するようになる. 氷結晶中では電極中の電流は電子の移 動 によ っ て 流 れる の で はなく, 正の電 荷 (プ ロ ト ン) の 移動 によ っ て 流 れる 機 構 をもつ. この 過程 は, 氷 結. 晶中で生じる配向欠陥とイオン欠陥の発生に応じて正の電荷 (プロトン) が移動することによって起こる. ジ と生 じる. 結 合 の上 で二個 の 配 向欠 陥 は Fi g ‐1 のよう に 一個 の プロ トン が 隣の 水素結 合の 上 に ャ ンプする プロ トンの 存在 する 部 分 が (D 欠 陥), プロ ト ンの空 に な っ た部 分 が (L欠 陥) である. ジ プす る こ とによ っ て, H30十 と 一 方, イ オ ン欠 陥 と は, Fig .2 のよう に水 素結 合上 を プロ ト ンが一 回 ャ ン 0H‐ の 一対 のイ オ ン欠 陥が生成 さ れる.. )イオンは電極に出入りする電子に変換される. そ )イオンと(H30+ 電極と氷の接触面で氷の中の (OH-. D de荘児t. Dde云 c尤t. 一1 ‐÷÷. Ldeg t ec. ldef iona i Fig. 1. or ect entat .. +. -. 日 0十 3. 0日-. 日 0{ 3. 2 Fig. c defect . . loni. ) ( 50.

(4) . . 1 5. 固体直流電気伝導度による海氷の結晶構造の異方性. して (OH- ) イ オ ンの移動 度 よ りも 小さ いた め に プラ ス の電 極 での電 荷 の交 換 が ) イ オ ンの 移動度 は (H30+. 電流を決定すると考えることができる. そのため純氷における ECM は氷 中の (H30+) イ オ ンの 移動 度 と濃 度によるものである. また, 氷内に流れる電流の決定には空間電荷の生成が起こり, 氷に接触し固定した電 i ) 極を流れる電流は減少していくため, 空間電荷の考慮もしなければならない (F g .3 . ). EC レベ ル と酸 性度 (氷の 融 解液 中の pH 濃度) との 間 にはよ い 正 の相 関 関係 がある (Hammer , 1980 1 80 と高 い EC レベルが同期し 所々ピークで違 1 80 の 関係 は Fi EC レベ ル と げ g ‐4 に示 すよう に夏期 間の , 80 にお ける 季 節 変化 はほ ぼ一致 して いる Fi い が見 ら れる が, EC レベ ル と 1 .4 の ピーク の ず れは火 山 起 . g. 原 な どの EC レベルを高める酸を生成する化学性物質の供給があるからである.. 3. 海氷の電気伝導の機構 前章で述べたことは, 純氷における電気伝導とその機構の概念である. 海氷における電気伝導機構は, 氷. ◎. ◎. e. ◎. e. 套 曾塞 e e. ◎. e. e g 」. . . . chargeConversion disabled. GP. e ◎ ◎e ◎. e. …う. e ◎ e. e. Charge converslon enab1ed Neg紙i vec無鵜潔 憾唖 郡 PO縦口▽echmgeαm m . i i ld Fig‐ 3 let l te ) c diagram ofspace charge bu ‐up(Nef ‐ Schemet .a . . ,1985. 210 211 212. 稼. 覇 >÷. 212 213 214 215. 区ヨ. 3 0 ‐. 6 之4 ヤ ーデ. 0. 11副. 3. 『-.9 m, -. 12. 80)and EC1 IVariations on oxygeni Fig. l 4 sotoPe(げ1 eVe s . Seasona . 80 record Compari fseasonalfeaturesinthe ECM s igna landthe β1 son o low surfacein Dye3 G l d J f l th of865 t at a dep ( r 1 r ・be ) r e e n n a e e e tal . . , ,1985. ( ) 51.

(5) . 戸山 陽子・西尾 文彦. 52. ‐等の 結 晶 内 にお ける プロ ト ンの 移動 によ っ て 電 流 が決 定さ れる よ りも, 海氷 内の ブライ ン中に存 在 する C1. 濃度により決定される(藤野, 1 ) 967 . また, ブラインが海氷内で結晶粒界か結晶格子間のどちらに存在する か によ っ て EC レベ ル が大きく 異 な っ てく る.. 海氷は純氷とブライ ン, 固体塩から構成されている. ブライ ンは海氷の結晶粒界やC軸に垂直方向に並ん だ ブライ ン ポ ケ ッ トと して 存 在 し, 高 い塩分 濃度 をもつ. 海氷 の 温度 が 下 が る と, ブライ ン内 で変化 が起 こ 0 る. Fi g .5 に そ の 変 化 を 示 す. -23Cに な る と ブ ラ イ ン 内 か ら NaC1・2H20 が 析 出 し,一4ずCに な る と MgC1 ) と呼 ぶ.-5ずC以 下 になる と i i i int tat onpo prec p 2・12 H20 が 析 出さ れる. この二つ の温度 を析出点 (. 液体のブラインはほとんどなくなり, 海氷は氷と固体塩だけから構成される. この温度を共融点 ) と呼 ぶ また,-8. Cでも Na point 2S04・1OH .. (eut ict ic. が析 出 する が, この図 か らもわ かる よう に, 析 出する 塩. の 主 なもの は NaC1・2H20 と MgC1・12H20 である. また, EC レベ ル は温度 依 存性 をもち,- 5oC以 上 に なる と, EC レベ ル は疑似 液体層 による 表面電 流 が支配 的 となり,-50C以 下 になる と体積 電流 の機 構 によ る. 伝導を示す. ここで述べる体積電流とは,疑似液体層の影響を受けず,海氷内の結晶粒界や結晶格子を伝わっ て流 れる 電流, およ び ブライ ンポケ ッ トな どを介 して 伝 導 する 電流 のこ と をさ す.. ‐10. ‐20. ‐30. ‐40. ‐60. ‐70. Temper atu re(℃). Fig. 5 ce . TemPerature dePendency on brineandi iner 1 9 8 6 ) te ln seai ce(N‐ Unters ‐ ,. 4. ECM 測定 方法. ECM の測 定 装置 は Fig .6 に示すよう に二本 の電極 と, 直 流高圧 電 源, 5~loko の抵 抗 の両端 の電圧 変 化 を測 定 するた めの × -Y レコ ー ダーか ら構成さ れてい る. 電 極 は直径 2‐3 mm の真 鋳 の棒 を加工 した もの を. 使用した.電極のホル ダーはベークライ ト製の絶縁版を使用した.電極の走査については約4cm の幅の電極 に約 500g 相 当の重 り をのせ, 手 動 で走 査 した. また, 個々 の 結 晶構 造 の ECM の測定 に関 して は, 約2cm. 幅の電極を海氷内に埋め込んで定常電流の測定を行った. ここで述べる定常電流とは, 次のように定義する. i 氷に直流電圧をかけ, 氷を通して流れる電流の時間変化を測定すると, F g .7に見られるような瞬間的に流 ( ) 52.

(6) . 5 3. 固体直流電気伝導度による海氷の結晶構造の異方性. も8. E1 t ec rode. l l de cecor eho r. Fig.6. 1nStru fEC 4 ] 菖 I ent o .. にー 心ヒコ U. Stationary. Current. . . Fig. 7 i ialand stationary current on ECM record. t . ln. れる 初期 電 流 ( i i lcur ) とこれ に続 いて 時間 ととも に指 数函 数 的 に減 衰 して いく 吸収電 流 と呼 ばれる t ni a rent 電 流 が観測 さ れる. こ の電 流 は長 時間 の あ とに は1=工 ionary tat s o の値 の 一 定電 流 となり, そ れ を定常 電 流( )という. 直 流高圧 電 源 につ いて は, 氷 床コ ア で1,250V, 湖 氷 で90OV, 海 氷 で12V 程 度 の電 源 を rent cur 使用 して いる. 氷 の測 定 面 は経 時変化 ( i f ) を受 け, EC レベルが低下するので, 氷の新しい測定 t ag ngef ec. 面を出して,経時変化による EC レベルの変化やその機構,電極を走査する速度によってEC レベルの振る舞 い の変化 が ないよう に考 慮 しな けれ ばな ら ない. 5. EC レベルの経時変化. ECM 測定を行う前に, 海氷の新しい測定面を出してからEC レベ ル が変化 する 経 時 変化 を調 べた. Fig.8 oCに保ち 新 しい測定 面 を作成 し 6 に経時変化による EC レベ ル の変化 を示 す. 低 温室 内 で海氷コ ア を-13 , , 分 後, 11 分, 23 分, 53 分, 1 時 間53 分, そ して 14 時間 が経過 した 後 に EC レベルをそれぞれ測定し それ ,. から更に約5時間後に再度測定を行った. 測定開始から約5 3分後までは, EC レベルの再現性もよく, レベ ルの大 きさ も ほ と ん ど変化 が 見 られな か っ た.14 時間 を過 ぎる と, レベル の大 きさ が初 めの 60% 程度 に減 少 した が, 再 現性 は見 られた. そ の後約 20 時間た っ て も レベ ルの大 きさ, 再 現性 とも 変化 は見 ら れな か っ た.. ) ( 53.

(7) . 戸山 陽子・西尾 文彦. 54. 37 9/8 17 :. ‐ F. 0. 0. 17 43 :. 48 17 :. 0. 0. 18 00 :. r デ 〆 i ド 〆暮 30. り. 5 J2 t 5.. も ]2 5. “. - ‐. o c語』 馨 僻. 0. 6-r l nin. 1 5 0. 3 5 O. 30 18 :. 0. 三2 5.. 11-min. 3 0」. 3 0.. 30 -. 1. 3 5. J2 1 5. ・. . ・ o lso So lo C t (〆A) u r r e n. 3 5. o c群 tJ鶏 .(. 19 3o :. S I O. 27 9/98 :. 0. 35 0. 23‐ ‐m min. - ‐ 0 5 0 10 0 15 C t (”A) r e n u r 20 9/913:. ず 曇ず # 喜ず ソ. リ2 5, 3 0「 3 5 O. 53- 53 min -m. ▲ S o lo o 150 C t r r e n (”A) u. 禦壷 l h53mm …総帥 “. S 3 O. *. リ2 5. 0. 1 14h50 i ヒ mn. 30 」 3 5 O. *. C (はA) t u r r e n. o S o lo C t (“A) r r n u e. 15 0. 2 S. ‐ 19h33mi n 3 0に 3 5 O. ▲ ▲ S o lo o C t (”A) u r r e n. i f f Fig. 8 4currentsareplot tedf ord erentti.nesafterremovedsurfacelayer。fsea ‐ ECハ oC ice core and measured at -1 3 .. 一般に海氷は多結晶構造と短冊状の結晶構造で構成されており, ここでいう再現性とは, この多結晶氷で 高 い レベ ル が 見 ら れ,短冊状 氷 になる と EC レベ ルが低く なる 現象 が 見 ら れる という こと である.経 時 変化 に oCの 条 件 よる EC レベ ル の低 下 は, 多 結 晶氷 において 顕 著 に見 ら れた. 短冊状氷 に関 して は, コ ア の温度 -13 において, 12V の直 流電 源 で は EC レベ ルの シグナ ル を抽 出 する こ とが出 来 な かっ た. よ っ て, 時間 経過 に. 関係なく EC レベ ルの 変化 はほ とん ど見 ら れなか っ た. 6. 海氷コアの現場測定 (北海道サロマ湖) 1996 年,1997年,1998 年の2月 中旬 に北 海 道東 部 に位置 する サロマ 湖 にて ECM を用 いて 海 氷 の EC レベ ル の測 定 を 行 っ た. Fig ‐9a , b に示 すよう に サロ マ湖 での海 氷 の EC レベ ル と塩分濃 度の 関係 は, 海 氷コ ア 温度 の違 い によ っ て, 二 つ に分類 できた. Fig .9-a のよう に EC レベルと塩分濃度がほぼ比例関係をもつ場 合 と,Fi g ‐9‐b のよう に EC レベ ル と塩分 濃度 に比例 関係 をもた ない で, む しろ EC レベルは結晶構造に依存. し, 多結晶氷ではEC レベルが高く, 短冊状氷で低いEC レ ベ ル が み ら れ る も の で あ る. Fig‐9-a はコ ア の 温 o 度 が-20Cの 時に測定 した もの で, Fig ‐9‐b はコ ア の 温度 が -8 Cの 時 に測 定 した も の である.EC レベ ル と. 塩分量の関係は, 測定温度に依存性が見られる. したがって, この温度依存性によりECM 値と塩分濃度の検 定曲線の作成を試み, EC レベルから海氷の塩分濃度を測定する手法の開発を考察した.. ( ) 54.

(8) . 固体直流電気伝導度による海氷の結晶構造の異方性. 55. 7. EC レベルの温度依存性と塩分濃度の検定曲線. サロマ 湖 に お ける 海 氷コ ア の ECM 測 定 結果 か ら, 温度 の違 い によ る ECM の 振 る 舞 い を低 温室 に お いて 実験 した. 使用 した 海氷コ ア は,1998 年2月 サロマ湖 で採取 した 海氷コ ア を用 いた. Fi g .10 に示すよう にコ ア長 41cm で多 結 晶氷 と短冊 状 氷 が 交 互 に ある 海 氷 構 造 を も つ. こ のコ ア を-3‐1℃ か ら-55.ザCま で 温度. oC以下の場合はドライ アイスを入れた発砲スチ を下げていった. 温度変化は低温恒温漕を用い, 測定は-40 ロールの箱の中で行い, コアの中心にドリルであげた穴の中で測定した温度が, 目的の温度に到達してから 約 60 分 後 に ECM 測定 を行 っ た. この測 定 の 時 に用 いた 電 極 は, 約 幅3.5cm の 電極 で, 手 動 で電極 をコ ア の 表面 に 沿 っ て走 査 した. 測 定 直 前 には鞄 でコ アの 表面 を 削り, 新 しい面 を出 して す ぐに測 定 を行 っ た.Fi g . oC以 上 の 11は低温室で行ったEC レベ ル の 温度 の違 い によ る 振る 舞 い を示 して いる. 海氷コ ア の 温度 が-15. . 一方, 温度が-1庁C以下になると多結晶氷の部分で高い. 時 には EC レベルは塩分量とほぼ比例関係を示す. EC レベ ル を維持 して いる が, 短冊 状 氷 の部 分 に なる と低 い EC レベル になる こ とが顕 著 に見 られる -2庁C .. 以下になると9V の直流電源ではコアの下部の短冊状氷の部分ではほとんどEC レベ ル は見 られなく な り, 多結晶氷の部分にわずかなEC レベルを検知できる. 海 氷コ ア の 温度 の 違 いによる EC レベ ルの代 表 的な プ ロ フ ァイ ル を並 べて 比 較 した も の が Fig ‐12 である. o コ ア の 温度 が- 3℃ の 時 と-14Cの 時 に EC レベルを測定した -3℃の時の測定には塩分量とほぼ比例関 .. 係が見られる. コアの温度が-1ずCの時の測定では多結晶氷の部分でEC レベルが高く, 短冊状氷の部分で EC レベ ル が低く な っ て いる の が Fi g .12 で顕著 に見 られる. このよう に, ECM 法 による 海氷 の 結晶 構造 の. 異方性が温度に依存して出現することが低温室での実験により確かめることができた. 次 に, こ の 海氷 の EC レベルの温度依存性から, 塩分濃度との検定曲線の作成を試みた F 3に温度の g .1 . i 違 い によ る 検定 曲線 を示 す.こ の検定 曲線の 作成 に当た っ て は,一 つ の ブロ ッ ク か ら ECM 測定用と塩分濃度. 測定用の試料をそれぞれ切り出して作成した. また, 塩分濃度はlcm 毎にコアを切断し測定したが, EC レ ベ ル の値 と良 い対 応 を行 なう に は, EC レベル値を塩分濃度を測定したlcm 毎の値と対応させなければなら ない. Fi g .14-1に示 す よう に, lcm 毎 に EC レベル値を平均した値と塩分濃度の値との対応により検定曲. 線を作成した.しかし,塩分濃度の測定試料とEC レベル値の平均化との対応のずれが検定曲線のバラツキに oC以上 の 時 に海氷 表 面 に存 現わ れて いる と考 えら れる. また, 他のバ ラ ツキ の 原 因 に, コ ア の 温度 が約 -1o 在 する 疑似 液 体海 水層 が考 えら れる. コ ア の表 面 に電極 を置く と, Fig .14‐2 に示 すよう に, ECM は海 氷 と 海 水の 二 つ の電 気伝 導度 を測 定 する こ とに なり, 検定 曲線 に バ ラ ツキ が みら れる 要 因の 一 つ と推測さ れる .. 一方,-1庁C以下では, 疑似液体海水層がなくなるのでECM は海氷の電気伝導度のみを測定することにな り, 検定曲線のバラツキは少なくなる. 海水と電気伝導度の式より, この検定曲線は二次曲線になることが 予想 さ れる.. 8. 活性化エネルギーの計算 ECM 法によって海氷の結晶構造異方性を知るために, 海氷の結晶構造(多結晶氷, 短冊状氷)の違いによ る活性化エネルギーを求め, 海氷の直流電気伝導度がどの様な伝導機構の違いによる振る舞いを示すのかを 検討した. 氷の固体直流伝導による活性化エネルギーE は, 試料氷に温度変化を与えて, ある温度のときの伝導度 ぴ と絶対温度 T との関係式 ( ) 5 5.

(9) . . 戸山 陽子・西尾 文彦. 56. ー ・ ・ ド錠 ‘・ 群!望 も 種【 1 , = 鰐 鴨 盤 鮭 . 岡 . 揺! .. ゴ. ノ ‘. 。‐. 一三. ・. I D一 ・ f -. 1 コ. だ 。 さ 一 (. 1 ロ. ,.. . ‐ ‐ - て i D~ ;. . ≧ ;. ) -- - - ー =・ . ~ ! 2℃ ℃… … 2 ‐. . t r r en ( Cu ‘A) ,. Sa l i i t ( t n ) y pp. 0 ゴ 1 1 ) 1 ゴー 1 ; 耳 O EC(ms Sa in l i呼( / cm). Fig. 9-a ‐ EC M Current measured at 0C sal i l -2 i typrof eand verti‐ , in hi calt n section ofsea ice.. . =「. 一. F. 脚閉じ . なに ○ごa①▽① 」 OQ. ^ Eo三五巻 きoo. r ー ÷ . 」 ÷ - ー r. l i 10 l ini Fig. nsec‐ typrof eand verticalthi . Sa ionofsealce‐ t. ム 一 ・ . 下メ ヱー ー′. 5・. - ’÷ r l. . o-. 国 1 1 0 1 11 ロ Z O O 覗川 1 t (“ A) Cu r r en Fig.9ーb. EC M. i Smi ( t ) t n PP y. 」園. h d ′ Qn t 紡げ ) o m ( u c m. 1園. 壱3 o.. b園 …b h d i 続 / Q ) t t ( ) u c m o m n y. 』 一. 団 園. 号 l L 室 量 巴. も。・. 圏 圏 d h / ) 窃n t 縞 t ( o m u c m y. 11 罰孤 国初 醐 0 1 11 四1 罰孤 初 1 刃‘ 1 (F l ) C 服 L 町 n ) q mご C m (”A にA 【 1 u r C c t c n. …, ,. 園 園. 圃. 1 . ・ ,」戸. i. …. ぞ. も。・. hym d のn t it ( ) m u c y. 5 ⑤1. f i. ‐,. d it h ′ Q ) ( ) t m o m n u c y. r 〆. 51 言1. i E司. 三2 5L. きル :. も。・. も冒 , ‐三 さ r ,『. 圭 一囲 1. sr 官l. 鷺. 』‘. 団 一 〉 園. ). ぎ. ; 5事 で, I. 3 5ト. ぎ. 三 ≧ ,. 葺き ,戸 も。. う. ′. ECM current mea- le 12 ini Fig‐ ty profi , , Sal oC andver 0 i 4 t ‐ sured at -3 C and -1 , hin section ofsea ice. calt. at. oC sa i l in i -8 typrof eand verti‐ , l i f lt h i t a ice c o n s e o ca n se -. ぎ 署. 」』 ≦ 三 コ 一 L J 〆. S縄 i i t ( t ) n y p p. measured. Current. 「. . . I F r き. 董も 図. 園 園. it h / d Q ) t ( ) n l o m n u c y. d h o ノ Q ) t i ” t ) { l n u c m n y. h ′ α ) d iけ ) ( t o m n u c m. 2 5ト 琵. 51 言1. 重 量. [ も。[. 園 園 d h / Q ) t iり ( m ) n u c m o ′. i f ferenttemperatures‐ Fig‐ 11 tedford . ECM currents are plot. ( ) 5 6. ‐. i戸/ , r …. 園 園. h d 紡げ / ) Q ) t ( c m o m n u.

(10) . 57. 固体直流電気伝導度による海氷の結晶構造の異方性. 7. 7. 6・ (. 6, 、. ・. 7 . .. ・ ・ し′′′ ′ ● /・ 0 ‘”′ y細叙3. ,. 7. も・ (. ・. 6.. ,. ん を ‐ ≦ 著 が 鰯 量 搾 ー 搾 警 〆 罷‘ ,. ’. 0. .. 1. 1. ・ . 一r ′′ シ′′. お〆 キ 露2r ◆. / キ ソ 茎 メ 13. .. ,. シノ ,′. ・. , .. ‐ る. *. o. 1 0 2 0 3 0 4 0 仇殴 t (回 n. 7. ,. 6. ,. . y ・ シ′ 住5- L/. ね. . 1‐ 0. 0. ‐. ・. 3. .. 国. .. 0. 0. ・. 1 0 もョ良 A ). 1 5. .. ,. 回. 0. 0. ・ ,. 3 3 ;5馬券 y. 0. 2 ふ 蜘 .. ・. 覆塾. 書 舵 1蒼 盗 盗. ニ. 蟹影ぁ,. 国. .. . . . ,. . 露2・ ・ .. O O 1 5 毛』, t {一. キ 警メ 4 メド 富. 0 0 0 5 1 0 1 5 2 O , , , , , C鵬n t } ( “A. 6 (. . . . / ・ ぎ3.¥ 進 ぞ 4 5 0 . y. o. 7. 7. 6-. 国 回 “. 7. 0. も d. 冴 ぞ 2 0 5 = y , 研 ,. ・ -. 〆. ,. ”. 0. 2 O {. 且5. 轡. 〆“ぢ ′ ◆ 9 1 o 2 7 ・ . 3 ′ 繍卿 ぎ 7 4 〆, 戸 X x y郷 1 i2 ・ r 図 囲 回 め1,. 露2r. 国 回. -‐. ‐. 6.. ・ ・. 灯. O 0 1 7 ‐ 6 7 :2 × y . ,. ‐. O O 5 O一2 1 5 A ). 3 0. J γ′. 1・. 7. 6・ (. , ・. , 乱5- ・. 1. 0. 1 0 0 2 0 0 C A ) t { 閉鎖 払. 霞2,. 回. 十. 7. 6・ (. 〉. 0. 2 0. 7‐. 0. 1. 0. 5 0 0 5 0一般 1 c A }. 0. 回. ′ ′′. ′ ・ 〆 r. 盗 盗. 『. 1・. 十. a5,. 0. 0. 1. 0. 1. ”. ‘. 0 0 1 A ) ( C臓ー 弘. 1. Fig. 13 in i f ferenttemperatures ofsea ice. 4Currents measured at di ty are pl tedforECD ot . Sal. 0. Seal ce-ECM. ー i i Seal t n ce-Sa. 画面面河 -. 5‐. こ. ’ ー. 言1O ‐ ‐. き15 -. ′. Co「 「es ondent. 20 ‐. 2 5‐. 回. 30. 0. 200 400 600 800 Cur r ent(仏A). 0. 2. 4. 6. 8. l i Sa i t n y(PPT). Fig. 14-1 ini i l typrof th respectto e Wi . ECM current andSa1 l i i f samp ng o sea ce core.. ) ( 57.

(11) . 戸山 陽子・西尾 文彦. 58. L i d-五kel ayer qui. o T < ‐15 C. o T > ‐15 C. l ikelayeronsea・ce iquid‐ Fig. 14-2 ‐ ECM currentsandl 0: ) surface measured above -15( ‐. exp(一E/RT) ぴ(T)=ぴo. ( ) 1. 1 )式の対 か ら, その 傾 き と して 求 める ことが 出来る. た だ し, 6 b はある基準になる温度での伝導度である.( 数をとると ( 2). 1nぴ/% ニ ーE/RT. となり, E はl n. o b を Y 軸 に1/T を X 軸 にと っ た とき の傾き -E/R と して 表わ す こ と ができ, (3). a = - E/R. 1・k- なの で - l とa に置き 換 える. R は気体定 数 で8‐3145J・mo , (4). E = -a・ R. ( 4 )式 に傾き を代入 する こ とによ り E を求 める こ と が でき る. た だ し, この 時 の単位 は kJ/molである. 活性 lよ り, 化 エネ ル ギー を eV で求 める とき, leV は96‐4877kJ/mo ( 5). E= -a・ R/96‐4877. と して 求 める こ と が できる. 氷 にお ける 活 性化エ ネ ル ギーの定義 は, 水分 子 の水素 結合 を越 えて プ ロ ト ンが. 移動するためのポテンシャル・エネルギーの一種であり, 電気の流れ具合を表わす指標となる. 9. 埋め込み型電極による活性化エネルギーの測定 結晶構造の違う海氷に幅2cm の電極を試料氷に埋め込み, 温度を変化させて定常電流を測定した. この測 定方法を「埋め込み型電極ECM 法」と名付けた. 今回, 行った低温室での測定法の妥当生を検証するために, ) の今ま でに得 られて いる 活 性化エ 市 販 氷 (commerciali ) の活 性化 エネ ル ギー を求 め, 純 氷 (purei ce ce ネ ル ギー を実測 値 と比較 する こ とか ら判 定 した.. 市販氷における電極の設置場所は, 結晶粒界を電極の間に交叉させて設置した. 温度変化の範囲は-1ずC か ら-31‐アCである. この とき の伝 導度 と絶 対 温度 の逆 数 を プロ ッ トした の が Fig ‐15 である.. i 5 5 )式を用いて活性化エネルギーを求めた.F この直線の傾きをa g ‐1 , 電極の両端にかけた電圧をVとし,( の 傾き を求 めて, 市販 氷 の活 性化 エネ ル ギー を求 める と0‐69eV とな っ た. この値 は純氷 にお ける 配 向欠 陥 による活 性化 エネ ル ギー の0.68ev に近似した値である. 市販氷の活性化エネルギーを今回考察した埋め込 み型電極 ECM 法 によ り 求める こ とが可能 である とみ な し,この測 定 法 によ っ て,海氷 の 活性化エ ネ ル ギー を 求 めた.. ) ( 58.

(12) . 固体直流電気伝導度による海氷の結晶構造の異方性. E\ o E;” ゴ 仁 O U { 仁 ;コU ロ. . -5. Tempe r at u r e (℃) ‐10 …17 ‐ -23. ‐ -30. 59. ‐ ー35. . . 3 6 .. 7 3 .. 3 8 .. 3 9 .. 4 0 .. 43. 4 2 .. fdc Fi i tyofcotル - Conduct 室 g・15- Temperature dependenceo vi i l i merca ce.. 1 0 . 海氷の活性化エネルギー ( 1 ) 電極の埋め込み方法 電極 を海氷 に埋 め込 む方法 は, Fig .16 の左 図 に示すよう に, 薄片 の結 晶構造 を見 て, 電 極 をハ ン ダゴ テ で 熱 しな が ら約 lcm 埋 め込 んだ. 電 極 を埋め 込 ん だ場 所 は, Fig .16 の 右 図に示 すよう に多 結 晶氷 に1点, 2. 本の電極を短冊状氷の粒界に平行にして1点, 垂直にして1点の合計3点で測定を行った. 埋め込んだ海氷 は, 縦 1ocm, 横1ocm, 厚さ 5cm の 試 料の 表面 である.. 「l xY 把cordぼキ granular sea lce. columnar sea ICe. ・ ・ ・ ・ ・ ・ ‐ ” . ” ・ ・ ・ ・ ‐ . , ‐ . , . . .. 美 義 騒擾 columnar sea lce. Fig. 16 lat ionofelectrodesintheseai tal i l i tec ce rc esind catethe . 1ns ・vvhi locat ion o felectrodesin the sea ice crystal .. ) ( 59.

(13) . . 戸山 陽子・西尾 文彦. 6 0. ) 海氷の結晶構造の違いによる活性化エネルギー ( 2 埋め込み型電極ECM 法により測定した海氷の結晶構造の違いによる伝導度と絶対温度の逆数の グラフを o o Fi g ‐17 に示 した. 温度 変化 の範 囲 は-2 Cか ら-70Cである. Fi g .5 で述 べた 海 氷 と ブライ ンの温度 依 存性 に基 づいて 現わ れる 2 つ .17の グラ フの 全て に共通 して, Fig. の析出点と共融点が顕著に現われている. 一般にブライ ンは結晶粒界に多く存在しているため, 同じ塩分濃 度のときには網目状の結晶構造をもつ多結晶氷で伝導度のレベルは高く, 短冊状氷の粒界に平行, 垂直の順 でレベルが低くなる. ここで, 短冊状氷に比べて多結晶氷の伝導度が一桁ほど高いのは, 多結晶氷の部分の ほうが塩分量が多いためである. また,-5ずC以下の温度条件では, 今回用いた測定機器において測定が不可 能 であ っ た た め, 活 性化 エネ ル ギー の値 を求 める こ と はでき なか っ た. 埋 め込 み型 ECM 法 に よ り 求 め ら れた 海氷 の活 性化エ ネ ル ギー を Tabl e .1にま とめた.. ) l ( 2‐1 ) 多 結晶 氷 (gr anu arcrystal. 海氷の結晶構造の異方性を,ECM 法によって測定した活性化エネルギーという観点から検討してみる.多. ‐5 1. ‐81 1. 溺. ‐. 言. が. 46 ‐ …. 65 ‐ ・. 81 ‐. I. 》 蓄,『. \ \. 5 - 暮1 0. ‐5. O に 且・o4 }. 、 \. 65 ‐ ・. LI -. 嘱. ▲. \ ー. を \. \ \. び ioJ. 7 ‐ 10. ‐ 7 10. 1が. 8 - lo. 、 、. 46 ‐ .. ;~ ぎ ~ -. 礼. 6 1び. 8 - lo. 23 ‐ ’. I - 10. - そが 礼~ 覇. \ \. 5 ” き io. 喜. 官1が. 亀. ー. 23 ‐ ‘. I ‐ 10. ;義. 喝 3 { ” ÷≧ Io. Tempe tu (℃) a r e r. (℃) Tempe tu r e r a. Tempe tu r e(℃) r a ‐46 ‐65 キ ;. 23 ‐ ◆. 6 ‐ 810. \ \. ~ \ 窮. l l ー Gr I ヒ c~S l a 「 a rC s anu 9 ‐ Io. 9 - lo 3 6 .. 8 5 2 4 0 4 4 4 ‐ ‐ . . 1/T×1080K) Tempe tu ( r e r a. - l l - - l Co ‐ t a r a e uml l a rC 1 pa ys. 2 4 4 4 8 5 3 6 4 0 ‐ . ‐ ‐ ‐ 1月÷×103oK Tempe tu ) r a r e(. - i l i l Co t - ca v rC 1 a Yen umna ys 1ぴ9 2 4 4 4 8 5 4 0 3 6 . ‐ ‐ ‐ ‐ Tempeだ 1′T×1030K) tu 1 e ( r. iVi Fig. 17 ty ofseaICe. ‐ Conduct . TemPerature dePendence ofdc. ion energy ofsea ice,sea water and purelce. ivat Tabl el ‐ Act a‐ Sea ice granular crystal. l l tal colunnnar c rys ‐paral e. ical ‐vert columnur crystal. oC T> -23. 0 35^)0 52 . ‐. 0 56 .. 0 46^)0 51 . .. oC -5ずC<T< -23. 0 64^)0 72 . .. 0 81 .. 0 82 .. oC T< -54. no. no. no. 40%. 16eV 0 .. or i ionaldefect entat. 68eV 0 .. 10%. 0 21eV .. loni c defect. 13eV 0 96±0 . .. b .Sea water. ( 60 ).

(14) . 固体直流電気伝導度による海氷の結晶構造の異方性. 61. oC以 上 の0 35ev と いう 数 値 は海 水 の 10% の 時 の 活 性 化 エ ネ ル ギー0 21 v と 近 似 した 値 結 晶 氷 で は-23 o ‐ ‐ e. oC以上の海氷の電気伝導度の機構は網目上構造の結晶粒界中に存在するブ をとっている.このことから,-23 ライ ンが大 き な役割 をもっ と解釈 できる. oC~ -54 oCの 温度 範 囲 で は ブライ ンが析 出さ れて いるた め伝 導度 は低 下 し ま だ析 出さ れて い ない -23 , ,. 結晶粒界に存在するブライ ンに依存してくる. -5ずC以 下 に なる と, 海 氷 中 の ブライ ンは全て 析 出さ れ固 体 塩 と なるた め ECM 法 による 電 気 伝 導度 は純 oC以 下 に なる と12V の 電源 では シ グナル を抽 出 氷 の 時 に近 い振る 舞 い をする よう に な っ てく る. また,-50 する こ とが不 可能 に なるた め,5 kv まで出力可能の電源装置にかえたところ,伝導度が2桁以上も極端に小 さ く な っ た. この 現象 の理 由 と して, ECM の測定 回路 に お けるイ ン ピー ダ ンス の 問 題 を考 慮 する 必 要 が あ る.. l ) ( 2‐2 ) 短冊状 氷 (平 行) ( l ‐para=e co umnarcrystal. 結晶構造が短冊状氷の部分に2本の電極を粒界に平行においた場合の活性化エネルギーの解釈を次のよう に考察した. 電極を結晶粒界に平行に設置することは, ブライ ンの配置に平行になるので, 伝導度は良くな る. ただし, 網目上の多結晶に存在するブライ ン配置の上に設置した場合と比較すると伝導度は小さくなり, oC以 下 では多 結 晶の 時 と同様 純 氷 の値 と類似 した 値 を示 して いる と考 活 性化 エネ ル ギー は大 きく なる.-50 , え ら れる. ( 2‐3 ) 短冊状 氷 (垂 直) ( ical ) l t -ver co umnarcrystal. 短冊状氷の部分にいくつかの粒界をまたいで2本の電極を置いたときは, 多結晶や短冊状氷 (平行) の時 とは少し異なる振る舞いを示す. 析出点, 共融点は顕著に現われているのが, 短冊状氷 (平行) の塩分量と ほ ぼ同 じ塩分量 をもつ部 分 である の に活性化 エネ ル ギー が大 きく 異 なる. この こ とか ら,EC レベルには海氷 構造 にお ける 結 晶 の異 方性 が現わ れて いる こと がう か が える. つ まり, 粒 界 が 伝 導度 の 障害 となり, 結果 と して活 性化 エネ ル ギー が高く な っ た と解 釈 できる.. 11 . 結果とまとめ. 氷のECM(固体直流電気伝導度測定法)の機構の振る舞いを, 市販氷と海氷において測定した. 手動によ る電極の走査から始まり,埋め込み型ECM 法を用いて結晶構造別の活性化エネルギーを求め,より定量化し た解釈を行った. 市販氷においては埋め込み型ECM 法を用いて純氷における配向欠陥の活性化エネルギー とほ ぼ近 い値 をもつ こ とが明 らか にな っ た. また, 海氷コ ア の温度 が-1庁C以 上 の条 件 の 時 に, 掘 削現場 に oC以上 の 条件 で は 海氷 の 表面 おいて 簡 便 に塩分量 を測定 する こ とが 可能 である こと が 明 らか にな っ た.-15 ,. にその箇所の塩分量を含んだ疑似液体層ができ, ECM は表面電流に影響を受けると解釈できる. 一方,- 1庁C以下の温度条件では, ECM は結晶構造に強く依存することが明らかになった. oC以上の条件では電気伝導 活性化エネルギーにより電気伝導の機構を議論すると, 海氷コアの温度が-23 の機 構 は ブラ イ ンを介する もの と考 えら れる. また, 海氷コ ア の温度 が-5ずC以 下 の条 件 で は ブライ ン内の. 液体がすべて固体塩として析出さ れているため, 電気伝導の機構は純氷や市販氷の時と同じ振る舞いをする と考えられる.. ( ) 61.

(15) . 戸山 陽子・西尾 文彦. 62. 1 2 .今 後 の 課 題 oCを境 に EC レベル値が塩分濃度を表す場合と結晶構造を表す場合 とに分けられたが 海氷温度 が 約 -15 ,. これは実験的に求められた結果であるため,今後,理論的にEC レベル値が塩分濃度を表す温度と結晶構造を 表す温度との境界温度を考えていく必要がある.その境界温度以上の海氷コアにおいて,塩分量とEC レベル の検定曲線を実験的に求め, ECM 法を用いた海氷コアの塩分量測定装置を開発し完成させる予定である. また, 海氷の単結晶を人工的に成長させ, 埋め込み型電極法を用いて, 活性化エネルギーを求め, 海氷の 結晶構造の違いによる ECM の振る舞いを明らかにする.海氷は構造が複雑で,今後さらに精度の高い実験を 必要とされる が,今回測定に用いた埋め込み型ECM 法は,氷の結晶個々に対して固体電気伝導度を測定する ことが可能であるため, 氷の結晶構造別における電気伝導度の機構を議論することが可能であると考えられ る.. 辞. 13. 謝. この研究は, 宇宙開発事業団との共同研究「AMSRによるオホーツク海の海氷密度アルゴリズム開発」の 一 部 と して実 施さ れま した. ここ に深く お礼 を申 し上 げま す.. 参 考 文 献 藤 野和夫 ( 1967 ):海氷の誘電的性質 に関する 研究, 低温科学, 物理編, 127一168. ISeries,Series B:Physics 1986 i t The Geophysicsofseal ) edby N. Untersteiner ce( :ed . . Vol .146 ,1196 , NATO AS ing iontoabsolutedat tvol ty ofpolaricecoreinrelat cani sm,andradioechos Hammer 1980 ) ‐ :Acidi .J .G1aciol , ,pas .U.( ,C 25 . ,359‐372 , No.93. 1981 ):氷の 科学, 北海道大学図書刊 行会, 77‐132 前野紀- ( . ivi ty on 1985 S f f ,C. U. Hammer( i ) Nef l sofa k te : Measurement nd ofdc‐conduct .Schwander ,J , B‐ tau er , A. , M‐Andree coresf rom Dye‐3. Geophys. Monograph33 . ,AGU,32‐38. 1991 ):火山活動から求めた グリ ー ンラ ン ドSi t Jコアの年代. 文部省科学研究費報 西尾文彦, 庄子仁, 成田英器, 亀田貴雄( e ‐. 7 ‐ 1 0 6 告 「氷コア解析による氷河・氷床の動力学的特性と環境変動に関する総合的研究」 ,9 . ivi tyon工ceSamplesfor fer(1983 o h ,B.Stauf Schwander ) rectCurrentConduct tel : MeasurementofDi . ,J , H‐ esc ger ,A.Nef icat ions c. imatol ogi caI App. . .87 .Phys .Chem‐ ,4157M4160 ,J , Vol. 1編, 海氷, 海洋科学基礎講座4, 東海大学出版会, 146‐160 1977 ):海洋物理, W-第1 田畑忠司 ( .. ) ( 62.

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参照

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