現代日本の経済構造と法則
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(2) . VO I .22 No .2. lof Hokkai Journa do Univer i t ion (Sec i s t t y of Educa on I B). January ,1972. 現代日本の経済構造と法則 石. 沢. 微. 北海道教育大学旭川分校史学研究室. Toru lsH工zAWA : The Construction and its Laws. of Economic System in Japan Today. 次. . 1 戦後日本経済の歩んだ道--歴 史的プロセス-- 1 . 終戦時の日本経済の実態 2 . 朝鮮動乱の勃発による日本経 済の回復 3 . 朝鮮動乱後の日本経済 4 . 日本産業の高度成長化の傾向 5 . 反省期に入る 口 国際社会の中の日本経済 1 . 米国の従属国としての日本経 済 2 . 世界市場の中の日本経済 イ, 国際的諸条件 ロ, 輸出市場について ハ, 日本の輸入市場 二, 総 括 皿 国民政府の性格と国民政府およ. び経済管理社会の経済思想と理念. 1 . 国民政府の性格 2 . 政府の経済思想. 3 . 戦後経済界の指導的経営陣 W 国民政府の経済政策 1 . 国民政府の経済目標 2 . 国民政府の対外政策. 1. 3 . 国民政府の国内経済政策と経. 済管理社会 V 高度技術革新の経済法則. 1 . 技術革新と労働力の価値 イ, 高度の産業革命 ロ, マルクス労働価値説の不適 性 ハ, 利潤を生みだすもの ニ ー国民文化向上のための国民 教育. 2 , 技術革新と経済成長の関係 3 . 技術革新と設備投資の関係. 4 . 技術革新がもたらすその他の 問題 W 今日の経済市場の法則 1 . 市場の世界性 2 . 経済市場を左右する諸勢力 3 , 信用経済の発達した経済 4 , 宣伝が市場を左右する経済 W 国民経済の成長率の問題 1 . 経済成長についての見解 2 . 日本経済の景気と成長率の問 題 3 . 物価高騰の問題. 戦後の日本経済の歩んだ道--一歴史的プロセス--. 1 . 終戦時の日本経済の実態 940年) 8月1 4日 昭和20年 (1. 日本はポッ ダム宣言を受諾. この中で 「日本は, その経済を支持 し, かつ, 公正な実物賠償の取り立てを可能にするような産業の維持を許される, しかし, 日本を ・ して, 戦争のための再軍備を可能に するような産業 は許されなし 」 という条件の下に再出発した.. 日本産業の戦争による被害は, 部門別にいえば, 最高の被害では, 動力工業, 業種別では, 石油 精製業, 最低の被害では, 非鉄金属工業とスフであ った. 終戦時の生産力は, 鉄鋼や水力発電など. - 72 -.
(3) . 第 22 巻 第. 2号. 北海道教育大学紀要(第一部B). 昭和47年1月. の軍需に関係ある若干の基幹産業は, 戦前の最高能力を上回る設備をもっていたが, 消費関連部門 0%である. では, 戦前の最高能力に比して, 繊維は, 33%, 硫安は42%, 洋紙は46%, 自転車は2 0~12年平均) の6分の1にすぎず, 遊休してい しかし, 鉄工業生産は,20年末では, 戦前 (昭和1 た.. 1月末までに, 266億円を支 政府は, 臨時軍事費として, 軍需工場救済のために, 終戦時から, 1 働者らに手当を 学生労働者 軍需工場から解放の労 出. また, 復員軍人, 徴用労働者, 動員解除の , 支出した. 終戦の8月末のみで, 日銀券発行高は420億円に達した. 戦争需要がなくなったので, デ フ レに な る か と 思 っ た が, こ の よ う な 事 情 で, イ ン フ レを 起 こ した.. 0%上昇, GHQ よりの臨時軍事費支出が禁止された後も, 政府の占領 この間に卸売り物価は, 2 軍費用の支払い (終戦処理費) , 戦時中の銀行預金の引出し, 民需転換のための企業への銀行貸出. の増加で, イ ンフレは進行した. 21年1月, 卸, 小売とも’ 物価は終戦時の2倍以上, 闇値は公定 6日, 幣原内閣はイ ンフレ対策として, 金融緊急措置の, 旧円の流 0倍となった, 21年2月1 価格の4 00円生活を強制. 3月 3 日には, 新物価体系の 通を禁止, 新円への切替を実施, 勤労者には, 月5. 公布 .物価統制令の実施を行なった. 一時, 日銀券の発行高は減じたが, まもなく増 加 し て い っ た,. この時期のイ ンフレの意義については, 後に石橋湛山蔵相は, 財政演説で, 終戦後, 甚だしきア ンダー .エソプロイ メ ソトで, 失業者が満ちていた. かかる状態での通貨膨脹. 物価騰貴は, 普通 の 意味 のイ ン フ レで は な い, こ のイ ン フ レー シ ョ ンの 時 期 に, 「動 員 と再 編 成」 に よ り, 日 本 経 済. は, 国民の 「生活用」 の物資を増産 するようにな っていた, と評価している. 1年春より秋にかけ て, 米ソ冷戦関係が生じ, 対日理事会の中で, ソ連のテ レビヤ ソコ中将とア 2 メリカ代表 の対立がめだってきた. 21年8月12日, GHQ との密接な連絡の下に, 経済の安定と再. 建のための 「経済安定本部」 と 「物価庁」 を発足させた, 安本は第 一次経済白書を発表 し, 翌年7 月には 「公定物価大系」 を完成した. イ ンフ レ昂進の抑制と同時に鉄鋼中心の 金属産業の維持・拡 大再生産を目的とした. 政府の流通秩序の確立のための努力はあまり成功 しな かった. 22年 に, ア メ リカ の対 日 方 針 は 変 わ り, 日 本 経 済 の 再 建 を 目 指 す よ うに な り, 2 ・ 1 ゼネ ス トは. マ ッ カ ー サ ー に よ り 禁 止 さ れ, トル ー マ ン・ ドク トリ ンの 線 に 沿 っ て, 現 物 賠償 は 放 棄 さ れ, 23年. ‘ 9月には, ガリオ7 (占領地行政救済費) 援助に加えて, エロア (経済復興援助資金) による工業 原材料の輸入が始ま った. 総食糧の21%は輸入食糧によっていたが, 外国からの補給の68%は援 助 であった, 占領期間中に, 21億 ドルの外国からの補給があり, そのほかに, 特需 ドルの収入があ っ た.. 23年10月には, 日本経済の安定成長 のために, 賃上げ禁止の 「賃金三原則」 12月末には 「経済 4年2月に, デトロイ ト銀行頭取ジョセフ・M・ ドッ ジが公使兼GHQ 財政 九原則」 が発表され, 2 し 金融顧門と して来日 , 24年度から, 強力な安定計画 ドッ ジ・ライ ンが実施された. ドッ ジ・ライ. 』1 了. J 11 .. ンは, 日本経済自立のために, 「二本の竹馬」(アメリカ援助と国内補給金) を切りすてて, 国内市 場を縮少させ, 企業の自主的合理化を促進すると共に, 輸出を拡大せんとするものである, 超均衡 予 算 の 編 成 と 単 一 為 替 レー トの設 定 (1 ドル =360円) に あ っ た. ドッ ジ・ ライ ンの 実 施 に よ り,. 日本経済は再生産の軌道にのったが, ディ ス・イ ンフレ政策の下で, 有効需要の不足 に 悩 ま さ れ た, 滞貨がまし, 中小企業の金詰りは深刻となり, 倒産・整理が続出 し, 失業者をだした. 海 外市. 況の悪化から, 生産過剰となり, 金詰りは大企業にも及び, 安定恐慌の様相となった. GHQ の勧告による経済の民主化政策と して, 第1次・第2次農地改革の実施, 労働面では, 労 働組合法, 労働関係調整法, 労働基準法の労働3法の公布, 財閥解体では, 4500社を制限会社に指 一 73 -. -.
(4) . Vo l ,22 No .2. Journal of Hokka ido Uni i i i t vers t on (Sec on I B) y of Bducat. January ,1972. 定し, 22LO人の会社役員が追放され, 独禁法 (私的独占の禁止および公正取 引の 確保に関する法 律) が公布され, つ づいて, 「過度経済力集中排除法」 が公布された . しかし, このような集排法の実施期に, すでにGHQの対日政策が転換され, ドレーパ ー調査団 により, 集排法は可及的小範囲に と どめるべ きだとの勧告があ って, 集排法の結末は, 竜頭蛇尾に 終わった.. 2 . 朝鮮動乱の勃発による日本経済 の回復 2 5年6月, 朝鮮動乱が勃発した. 動乱による特需と内外市場の急速な拡大は, 経営者を刺戟し, 戦後は じめて, 企業が意欲的に近代化, 合理化を推進した 動乱は日本経済の超死回生の薬とな っ . た. 朝鮮地域国連軍 の軍用資材の発注で, 25年7月から4年間に, 23億70000万 ドルに達した. 動 乱を契機に, 輸出 ブームとなり, 金属機械・セメ ント・肥料・化学薬品を中心に輸出した, アメリ カのア ジア政策の変更により, 日米経済協力のために, ドッ ジ・ライ ンが修正され, 長期輸出金融 の便宜のための日本輸出銀行, 設備金融のための日本開発銀行が開かれた. n, 朝鮮動乱後の日本経済 2 5年3月, アメリカの戦略物資買付けが停止されて, 反動期に入った. 多量の原料を買いこんで. い た 新 三 品 (大 豆 ・ 皮 革・ ゴ ム) の 暴 落 と な り, 6 月 に はイ ン ドネ シ ア 向 け 輸 出 のキ ャ ンセル が あ. り, 26年春より夏にかけて商業不振とな った. しかし, この頃より, 日本産業の新 しい局面の生産力の拡大や, 不況に対処しての近代化により 産業発展をみ, 新興産業としては, ナイロ ン・ ビニ ロ ン, トヨタ・日産の乗用車, 石油化学部門の 開発がすすめられた. 4 . 日本産業の高度成長化 傾向. 昭和20年代に, 日本産業は戦後復興を完了し, 30年代に入ると, 日本経済は成長期に入った, 30 年代の経済成長は, 何よりも技術革新が原動力となった. 日本の技術革新は, 第一には, 新しい産 業面での, 高分子化学や電子工学・オートメーショ ン・原子力な どの技術革新だが, 従来の産業面. でも, 欧米諸国の技術よりもおくれていた乗用車・水力発電機な ども技術革新 して, 欧米とのギャ ッ プを埋めて生産の向上がみ られた. 政府も外国技術の導入の 容易なように便宜をはかった. 企業 合理化促進法を制定 し, 固定資産税の減免を した. 第二には, 投資が投資を招いた. 新技術の導入による工業化, 近代化のための設備投資が盛んに 行なわれた. 技術革新の中心は, 重化学工業であ ったが, 全体の産業に関連があるので, 革新投資. は, あ らゆる産業・企業に及んだ. 世界経済に立向うための規模の拡大化の投資も行なわれ, 投資 が投資を呼ぶ現象が生まれた. 産業設備投資は30年に94 41億円だ ったのが, 36年には4兆231 7億円 と4倍以上にもな った. 39年には5兆円台に達した. 経済構造の変化が生じ, 軽工業国から重化学 工業国へと飛躍 した. 2 ) 技術革新進行によ って, 成長産業と衰退産業と 第三には重化学工業の飛躍的発展がみ られた.. に分かれたが, その中で重化学工業は急速にすすみ, 20年代には外貨獲得の主要な 担 い 手 と な っ た. 20年代の後半か ら, 鉄鋼 ・電力 ・造船・硫安な どの基幹産業を 中 軸こ, 生産設備が近代化され. てい った. 鉄鋼業の圧延部門の近代化は, 機械工業の発展をもた らした. 電源も 「水主火従」 から 「火主水従」 へとかわり, 石炭から石油に エネルギー源をもとめるようにな った. 石油精製業の急 3 ) 速な発達がみ られた,. 第四には新産業が興 った, 高度産業の進歩から, 合成繊維, 合成樹脂, 石油化学などの高分子化 学の発展, 半導体関係で, 国産 トラ ンジスターとダイオー ドの生産に成功し, 電子器機が発展し,. 家庭電器機具が多く生産されて消費革命をもたらし, 自動車な どの新興成長産業が発展した, - 74 一.
(5) . 第 22 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要 (第一部B). ,. 昭和47年1月. 第五には経営の革新がすすんだ. 現代の技術革新に即応 した経営が必要となった, 技術革新の中. 心 は, 原 子 力, エ レク トロ ニ ク ス, 高 分 子 化 学 な どの 新 物 質 の創 造, オ ー トメ ー シ ョ ン化 な どだ. が, これらのものをよく制 御 してゆくための経営組織の確立と, 新しい労使関係, 人 的 能 力 の 養 成, 事務の機械化な どの経営全般の革新が必要 であ った. 経営管理技術の近代化には, 昭和30年3. 月に発足した日本生産性本部が大きな役割を果した. 経営技術の導入の普及には, 日本能率協会そ の他の協会が役立った. 5 .. 反 省 期 に 入 る.. 技術も経営方法についても, アメリカに学び, アメリカの技術の導入に必死だったが, その全貌 が明らかになるに つれて, 日本の風土や日本人の性 格にあわないもの, 無理なもの, 日本の社会に. 不和や緊張をますもののあることに気付きだ した. 同時に, 重化学工業の生みだす公害, 工場の都 市集中より生ずる困難などが, 今日, 反省をもたらしている. また, 大企業化され, 生産の巨大化. にもかかわらず. 管理価格によ って, 物価を下げるよりも, 物価上昇の原 因となっていることも, 社会的に反省されつつある. 日本風土にあ った経営哲学の確立, 公害の排除, 都市生活の改善, 産 業二重構造の改善な どが今日の問題と して提起されている. 1. ) 国際社会の中の日本経済4. 1 . 米国の従属国としての日本経済 日本は連合国軍隊, 実質はアメリカ軍隊によって占領された. アメリカの占領目的は, イ, 日本 国が再び米国の脅威とならざることを保障すること, 口, 国際連合憲章の理想と原則 に 示 さ れ た. ろ, 米国の目的を支持すべき, 平和的, かつ責任ある政府を究極において樹立することにあ った,. つ ま り, アメ リ カ の 従 属 国 と して の 日 本 が 求 め ら れた. ア メ リカ は, こ の 目的 達 成 のた め に, 日 本. の民主化政策をとった. 主権を国民に帰し, 権力の分散をはかる憲法が強制 された, 憲法それ自体 が, 憲法学者美濃部達吉氏のいうように, 独立国の憲法ではなくて,!米国の従属国としての憲法で あり, その表裏をなすものと して, 日米安保体制の下に, 米国軍隊の支配下におかれ, 米国のアジ. ア政策に従うものとされた. 後に, 平和条約も結ばれたが, 米国協同の国々との平和条約で, 米国 の安保体制下におかれた. その外に, 民主化として, 男女平等, 教育制度の改革, 民主主義の自由 ,. . ●. ▲ ● .. 戦争責任者の公職追放を行な った. 経済の民主化としては, 日本経済が米国の恐威 とな らぬように と, 日本経済の経済的海外発展, ア ジア市場の占有のできないようにと抑制された. 労働者階級の. 民主化として, 国際的基準に即応 して, 基本的な労働法規をつく った. 日本資本主義を救うために は, 地主を犠牲にしても, 農民の解放が必要であるとし, 農民を自営化し, 中立化せんと して, 土. 地改革を行なわせた. 世界状勢の変化. ・ ′. 米国が日本民主化に努力していたときに, 世界状勢は変化し,米ソ冷戦が激化した. 1 、ルーマン・. ドク トリ ンが 発 表 さ れ, 冷 戦 に対 応 す る 方 針 に変 わ っ た. ヨ ーロ ッ パ で は 「鉄 の カ ー テ ン」 が 下 さ. れ, 中国にも共産主義政権が成立した. 低開発地域では, 民族主義運動が展開され, 多くの独立国 が生まれた. 原爆はソ連でも成功した. 世界状勢の変化で, アメリカの対日政策も変化してきた. 1 . 日本に軍事基地をおく, 3 . 日本の再軍備 (警察予備隊の設置) 2 . 日本資本主義を強化す る,. 23年1月, ロイヤル米陸軍長官は, サンフラ ンシスコで, 対日占領政策の方向は, 極東に再び戦 争または侵略が起きないよう, これを防止するに役立つ強力な民主政府を育成することに向けられ. る, とのべた, 軍需工場の破壊は, 平和的能力にも悪影響を及ぼ し, 産業の過度の分割は, 経済の 一 75 -. ● - 一 ーr. - -. ・ e ..
(6) . Vol .22 No .2. i i i iver t ido Un l on I B) lof Hokka on (Sect s Jounla y of Educa. Janua l y ,1972. 自立をおく らせ, 米国の援助をな がびかせる. 人的問題でも, 有能な人材を活用すべき 必要のある を明 らかにした. かく して, 戦時体制下の, 設備や人物や財閥が活用され, 強化されるようにな っ た. これは, 全く米国のア ジア政策のためにとられた処置である. 戦時の経済体制が再建され, 保 護指導された. 国 民 総 生 産 が, 自 由 主 義 国 中, 第 2 位 に な っ て か らは, I M F の コ ンサ ル テ ー シ ョ ンや ガ ッ ト総. 会で, 日本の輸入制限の緩和が強く望まれは じめ, 34・5年の頃には, 重化学工業の生産性の上昇 で自由化をすすめることができるようになり, 低賃金商品よりも, 鉄鋼・化学品・ トラ ンジスタラ ジオ・自動車・ナイロ ン・テ レビな どが輸出で進出 した. 昭和39年度の白書で, 「開放体制下の日 本 経 済」 の 題 名 で, 日 本 経 済 は, I M F8 条 国 に 移 行 し, O E C D の正 式 メ ン バ ー と な っ て, 自 由. 貿易体制に入ったことを告げているが, 今日においても, 根本的な政治, 経済構造で, 米国の従属 国 であ る こ と に は変 わ り が な い.. 2 . 世界市場の中の日本経済 ( イ, 国際的諸条件5. パ 日本が世界市場に再登場 したときの国際的諸条件は, 1 , 東ヨーロッ とア ジアの 一 連 の 国 々 が, 資本主 義世界から離脱して, ソ連と共に, 社 会主義経済圏を建設 しつつあるが, その規模は, 地球上の陸 地面積の4分の1, 世界人口の3分の1に達 した, 資本 主義世界市場は, 外延的に狭く. 定 した市場もなしで, 世界市場 なった. 2 . 日本資本主義は, 戦前にも っていた植民地や比較的安 対外貿易の拡大を に再登場せねばな らなか った. 3 . 世界市場が縮少 したのみでなく, アメリカの が世界市場を ド 中心にして, 内面的な構造変動 がおこっている, 資本主義国では, 米国の ル , 支配 して い た. 円 は ドル に の み リ ンク さ れ た. ア メ リカ が 覇権 を に ぎ る 自 由 貿 易 主 義 の 下 に, ア メ リカ. は日本経済の発展を援助 し, 他方では拘束した, 低関税体制の設定と維持を強請され, 産業保護政 策上の武器を奪 われたままで, 日本経済は, 独占体の強化によ って, 産業発展を推進 した. 4 . 戦 後の初期には, 日本の慢性的な ドル不足, 国際収支の赤字がつ づいたが, アメリカの対日経済援助 にたすけられ, それが打ち切 られてからは, 特殊な対米輸出 (軍需品輸出) という特 需 に た よ っ た. ) 口, 輸 出 市 場 に つ い て,6. 貿易の動向の規制の中で, 日 本 貿 易 1 . 世界市場の構造的変動, 即ち, 社会主義圏の成立と東西 は, 東および東南アジアの近隣諸国との貿易は困難となり, 中日貿易は著しく停滞した. 2. 日 本 資 本 主 義 は, ア ジア で 蒙 る 困 難 を, 世 界い た る と こ ろ の市 場 (中 近 東 ・ ア フ リ カ ・ ヨ ー ロ ッ パ ・ 中. 南米) な どへの進出により, 地域によ っては, 植民制度の崩壊をも,輸出 ,市場の再分割に利用 して, い た る と こ ろ で, 先 進 工 業 国 と の 激 しい 市 場 戦 を 行 な っ てい る, 25年 後 半 に は, 北 ア メ リ カ 市 場 ・. アメリカ合衆国市場に進出 し, 34年には全輸出の3割を, アメリカ 一国に依存するという, 崎型的 貿易構造をつくりあ げた. アメリカが自由貿易主義をとっ ている中で, 日本経済は, 自国の保護貿 ともに不均等に 易主義をもって援助して発展 した, 3 . 日本と西 ドイ ツは, 25年代の世界市場で, 財輸出の性格をもち 進出 しているが, 日本の輸出 は, 西 ドイツと異なり, 基本的には消費 , 繊維・ 耐久消費財的軽機械, 一部食糧品・雑 貨な どをアメリカに 輸出 し, 日本資本主義は, アメリカ資本 「 主義の消費財部門の一分岐とな っている, 4 . 従来の主要輸出商品 には, いわゆる 労働集約的産 業」 の製品が多く, 低賃金が輸出に利用され ていたが, 25年の後半には, 工場規模と生産性で, 国 際水準に達した産業は, 国際競争力をも って輸出産業に転化する傾向を示した. 5. 円 の 為 替 レー は, 今日, なおある程度, 円安に表現されてい て, 輸出拡大に役立っている. 円 の切上げが問題 ト{ 定な海運市況に依存する とされ ている. 6 . 輸出商品の中心が流行品的性格があり, 消費財と不安 - 76 一.
(7) . ▲ 第2号 第 22 巻 方. 一 部 B) 北海道教育大学紀要( 第一部B 子 ). 昭和47年1 月. 造船から成立っている.. 昭和45年には, 日本が自由主義国 では世界第一位で 日本の経常収支は 2 400万 ドルの黒字 , , 0億1. であ っ た.. ハ, 日本の輸入市場 昭和25年頃の輸入市場における日本資本主義の特殊性をあげると 1 世界市場の構造変 動が , . , 日本の輸入に及ぼす影響は, 輸出の場合とは必ずしも同じでなく むしろ有利に作用する側面をも , っている. 2 . 日本は主要資本 主義国とく らべて, 原燃料輸入国と しての, きわだ った特殊性をも っ て い る. 3 . 他面では, 日本は工業製品の輸入比率は, 機械を除くと, 極端に低い特殊性をもっ ている. 4 . 円の対 ドル・ レートが実勢より円安に表現されているため, 輸入商品, とくに輸入原. 燃料が割高となっており, 原単価切下げをめざす企業の合理化投資を刺戟するとともに より安い , 原燃料をめざす市場転換が 志向されたこと, 5 2 . 5年時の原燃料の国際市場価格の騰落は, 日本の 輸入に強い影響を与えた. 2 5年の最後の4分の1期以降における原燃料価格の低落と, そ の低い水 準での, かなりの安定性は, 輸入市場における日本資本主義の立場を相対的に有利 に し て い る , 6, 2 5年後半には, 食糧輸入の比重が, 構造的な低落をしめした. 2 5年時の日本資本主義は, 強力な為替管理による輸入統制下で, 専 ら原燃料と生産財的機械の輸 入を行なってきた. 輪入は, 海外植民地, 影響圏の喪失, 円 レートの割安など また原料高という , 条件の下で出発 したが, 海外市況の変 動の影響, 原料輸入地の変化をへて 2 5年後半期中の原燃料 ,. 国際価格の構造的低落で, 諸資本主義国にく らべて, 原燃料の輸入の比率が高いだけに 相対的に , か な り 有 利 な 地 位 に た っ と い う こ と に な っ た. 二, 総. 括. 昭和20年代後半, 30年代初頭に, 占領時代に生ま れたアメリカに対する軍事的・政治的,経済的. 従属依存の体制で出発したが, 民間貿易の再開では, ドルのみにリンクされた円の為替 レートが円 安で有利な立場にあり, ドル収支の赤字を, 一方では原材 料中心の低関税制度で 他方では不正常 , な軍需品輸出 (特需) で補いつつ, 強力な為替管理による輸入制限をし, 原燃料と生産財としての. 機械のみ輸入して, 大投資を行なっ て, 消費財中心の輸出をし, 生産と輸出で不均等 な 発 展 を し. . ・ ● . . ●. た.. 20年代後半の国際原料商品価格の構造的低落は, 大投資による主要産業の技術 生産性水準の国 , 際水準への接近と立場を有利とした. また, 資本輸入と外国資本との技術提携を利用 しつつかなりの規模の資本輸出国ともなった か . くて, 金融資本の世界的な結合と, 市場の分割,.銀行資本の国際的結合と国際的カルテルへの参加 の 傾 向 を み せ て い る.. m. 国民政府の性格と, 国民政府 および経済管理社会の経済思想 と理念. 1 . 国民政府の性格 a. 戦後の国民政府は, 占領軍の占領政策によ って, 民主化政策が求められた. 米 ソ対立の頃よ り, 戦時中の, 官僚・政界の人物・経済界の指導層の復活によ っ て, アメリカのアジア政策の前進 基地として, 経済の再建が求め られた. したがって, アメリカとの協調主義がとられた . b. 混合経済体制をとる今日の政府. 今日では, 政府の管轄下にあ る公共財や公共サービスの範囲が大きくなり, 他方では 景気循環 , のはげしい波をそのままにしておく犠牲 の大きいことの反省か ら, 自由放任主義の経済を改め あ , る程度, 国民政府の指導下におくように なった. 先進資本主義各国ともそうであるが, 戦後の日本 一 77 -. ー.
(8) . i ion (Sect i ido Uni on I B) lof Hokka t s Journa ver y of Bducat. Vo l .2 .22 No. January ,1972. 経済も, 混合経済体制とみとめ られる. 政府の実施 する, また,i実施 すべき種々の経済政策が, 民 間部門に強い影響をおよ ぼすのみでなく, 景気循環の形態も, 政府 の経済目標や 経済 政 策 の 如 何 で, 変化 しうる現状にある. 戦後の国民政府 の経済政策は, 完全雇用, 経済成長, 価格安定, 国際 収支の改善を目標と した. ) c. 国民政府の性格の差 による結果7 今日の国民政府は, 混合体制をとっているとい ったが, それなる が故に, また, 国民政府の性格 の如何によっ て, 実施 する経済目標や政策によ って, 独占資本 (経済界) に有利な政策をとるか, または, 国民大衆の生活に有利な政策をとるかの差, 経済優先の政策をとるか, 国民福祉優先 の政 策をとるかの差 が生まれる.. d. 国民政府は, 本来, 倫理的主体である, 国民政府は, 本来, 倫理的主体として, 経済の発展よりも, 国民の福 祉, 人道主義的理想の達成 が求め られる. 公害をゆるすことはできない, 交通問題は放置できない, 住宅難問題も放置できな い 等 々 で あ る.. 経済学は, 元来, 倫理学の一つとして考え られる. ア ダム・スミスは, 経済学を倫理学の一部門 と考えていた・ 歴史学派経済学者 は, 国民経済の倫理性を強 調した. 近代経済学者マーシャ ルも, 経済学は, 人間学たるべ しと考えた. 国家は, 経済のみでなく, 綜合的な国民の幸福と福祉を追求 する義務がある. 8 ) 2 . 国民政府の経済 思想 戦後の経済思想の変化を, 簡単にいえ ば, ケイ ンズ理論の導入によ って, 極端な不況やパニ ック を回避しつつあることであり, 独占資本につい ても, 公取委によって, ある程度, 抑 制 さ れ て い る. 中小企業の助成や農業の助成 も実施され, 経済成長を目標とする経済政策 がとられている. 政府の経済 思想の一端を, 金森久雄氏の 「日本経済を どうみるか」 にみることができる. それに は ニつの特徴をあげている. 経済目標の第一には, 経済成長を重視すること, 第二には, 有効需要 政策によ って安定成長をめ ざしていること, 第三には, 経済の成長率は, 制度を変えることによっ て高めることができる .制度は人の力によって変えられるということ. 制度は決 して固定的なもの でなく, ある程度, 動向を変える ことができる, 昭和39年末から不況の色がつよまり, 40年には一層強くな った. 政府は40年7月末 から8月にか けて, 公債発行, 政府支出の促進による有効需要の拡大, 刺戟政策をとった. 経済白書は, この政 策を支持して, 「景気が過熱する危険 があるときは, これを抑え, 逆に景気が沈滞におちこむおそ れがあ るときは, その回復を促進することは, 政府の任務である」 と. また, 自由主義経済の考え については, 「自由放任の終烏」 として, 経済の中には, 自由にまか せておいて, 需要と供給とを うまく均衡させるようなメカニ ズムが装置されているわけでなく, 金融財政面を通 じる有効需要対. 策 によ っ て, ミラ ンスをとってゆかねばならない, 41年の白書には, 持続的成長の維持に必要な財 政政策が正面から取りあげられている. ハンセ ンの 「財政政策と景気循環論」 や, ハロッ ドの 「動 態 経 済 学」, とく に, ハ ロ ッ ド・ ドマ ー ・ モ デ ル と い わ れ る 経 済 成 長 理 論 が と られ て い る,. これらの経済思想をみるに, 国家の倫理的主体たるを忘れているように思われる. 国家は, 倫理 的主体として, 人倫性の保持と確保 に努力すべきも のである. 経済合法則を超えて, 人倫性を守る べきものである. このような重大な点を, 政府, 経済指導層が強く自覚 していないと ころに, 今日 の問題 がある, 3 ,. ) 戦後経済界の指導的経営陣9. イ, 渉. 外. 派. 一 78 一.
(9) . 第 22 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要 (第一部B). 昭和47年1月. 戦後の経済界は, 占領軍の経済界の民主化政策からして, 財閥解体, 公職追放令の 財 界 へ の 適 用, 集排法の実施が行なわれたので, この占領 軍との接渉が主となり, 経済界も, このような渉外 派的経営陣が主導権を握った. 浅野良三・小松隆・鮎川 義介・高 崎達之助・白州次郎・長崎英造 ら で, 彼らは英会話が得意 で, 占領軍に近づき, 日本の特殊性を認識させ, 占領政策の行過ぎや過誤 を訴えた, ロ, 労. 務. 派. 労働界の民主化政策からして, 労働攻勢が激化してく ると, 経営陣も, 労務問題のエキスパ ート の手を必要とするようになった. ことに, 占領軍の政策が, 米ソ対立などから右旋回 しは じめてか ら, それに呼応 して, 日本経営者団体連盟が結成され, 労働問題のエキスパ ート が財界, 経営陣の 主流となった. 山川良一・山本浅吾・岡野保次 郎 ・大槻文平・早川勝・渡辺斌衡 ・三村起一 ・河田 重.栗田淳一・箕浦多一・水野成夫・熊沢貞夫 ・磁村乙己・桜田武・宮崎輝・今里広 記 らである .. , ● ● 1 ー . ・ 1 L. 戦後の技術時代に, 技術系経営者の進出はめざましい. 石川一郎・田代茂樹・倉田主税・安藤豊 禄・西山弥太郎・井深大・本田宗一郎・ 山川良一・秋葉武定らだ.. ● ● 1 ‘ . ’ 1 . 1 . ; ● ● 1 1. 彼らは労使問題の処理で才腕をふるい, 大いに経済界の指導的地位を占めた. ハ, 技術系経営者の進出. 彼らは科学技術の振興につく した. 企業の中に, 技術スピリッ トを貫き, 科学技術の国際的 レベ ルまでの向上に尽 した. 技術第一主義で, 経営の合理化に努力した.. . ・ 1 r. 二, 営業系経営者の時代 経営の正常化, 設備投資, 生産拡大とすすんでく ると, 営業経営が第一の問題となってきた. 加 藤五一・神谷正太郎・佐々木弥市・柴田清・原吉平・ 道面豊信・森広 三郎・松 下 幸 之 助・永野重 雄・桜田武らは, 営業マンとしての手腕を発揮してく る. W. o ) 国民政府の経済政策l. 1 . 国民政府の経済目標 今日の政府は, ア ダム・スミスのいう夜警 国家ではなくて, 経済目標をたて, 経済政策を実施す る経済的主体である. 現在の政府のも っている影響力は, 各国とも大きな力をもち, その行動の合. . : . ・. ・ 一. 理性が要求される. 国家は倫理的主体として, 経済政策以前に, 人倫の確保と努力が必要である . 失業対策・住宅問題・公害排除・社会政策・交通安全対策など経済に優先する 課題の実施を要求さ れ てい る,. 特に経済政策の目標と考えられるものには, 1 . 完全雇用, 2 . 物価安定, 3 . 国際収支の改善, 4 経済成長 5 資源の有効な配分 6 社会的必要の充足 この外にも 特定地域の保護育成 . , . , . . , ,. ・. 幼稚産業保護, 重要な基礎物資の確保, 労働時間の短縮 などがあげられる. これらの政策 目標は, 各国で異なり, 日本では, ヨーロッパ の社会主義政党がとっている政策を, 池田内閣の保守党の下 で, 専 らに経済成長を重要視した.. 政策手段と しては, 1 . 財政手段に, 財政収支のバラ ンス, 歳出面の諸項目 (政府投資, 企業に 対する補助金とトラ ンスフ ァー, 家計へのトラ ンス ファー, 政府在庫投資, 賃金および俸給, 海外. へのトランスフ ァーな ど) 歳入面の諸項目 (個人所得税・法人税・関税・社会保 障 分 担 金・財 産 税・相続税・海外からのトラ ンスフ ァーな ど) 2 . 金融手段の項目n)(政府借入および貸付, 政府 の既発行債の操作, 利子率の操作, 信用創造の規制, 公共企業体を含む民間での貸出または借入の 規制) 3 . 為替レートの変更 (円安の切上げが問題とさる) 4 . 直接統制 (政府が直接, 価格, 賃 金, その他を直接統制する) a. 貿易・為替・対外支払い, 人口移動 な ど の 統 制l b 賃金・配 . 【 79 一. ↓ー. ●.
(10) . vo . ・22 No.2. ion I B) i i i t t ido Un lof Hokka on (sec Journa vers y of Bducat. } anuary ,1972. 当, 賃貸料を含む価格の統制, c, 国内経済に関 するすべての統制=投資・生産 活動・労働条件・ 原材料の配分・資源開発・品質や規格な どの統制措置, 6. 制度の変更 (税制の変更・法律の変更 な ど). ) 日本政府は戦後に とくに, 計画概念を導入し, 国民経済につい ての整合的予 1 2 渡部経彦氏は, , 測を前提とした一連の経済政策をと った. その主たる日的は, 政府の手による 「一般化されたろ市 場研究」 の成果を, 民間企業の投資活動に対 する誘導指標として示し, 投資活動に必 然 的 に 伴 う 「不確実性の減少」 を図らんとするものだ. 現実問題と して, 日本ほ ど, 考えうる政策手段を幅広 くかつ, 選択的に採用 した国はないかも知れない, という. 戦後の経済政 策としては, 完全雇傭, 経済成長, 価格安定, 国際収支の改善な どが目標とされた.. 貿易政策) 2 . 国民政府の対外政策 (対外関係と 国民政府は, 敗戦によ って, 米軍の占領下に 入り, 対米協調外交, む しろ, 対米追 随, 対米従属 関係に入った. 経済においても, 米国経済界の指導下に入 った. アメリカの政策が, 日本をア ジア 政策の一貫と して, ア ジアにおける 自由陣営の強力な経済力を もった国た らしめるにあ ったから,. 日 本 の 東 南 ア ジ ア 諸 国 と の 経 済 外 交 や, E ・ E ・ Cと の 関 係, ま た, 1963年 の O E C D へ の加 盟 の. 成 功 に つ い て も, ア メ リ カ の 助 言 や 援 助 に よ っ た.. 3 )戦争直後の, アメリカ占領軍のことを, 日本民主化の救世主のように迎えたが, 日本共産党は1 米ソ冷戦, コミ ンテルンの批判, 朝鮮戦争の勃発で, 戦後の民主化は す べてごまかしであり, 主た る五つの改革も, 民主化ではなく して, 欺滴だという. 天皇制が温存され, 旧指導層 が 復 活 さ れ,1 日官僚制が温存され, 強化されたことは, 明らかに官僚王国 の官僚政治であるが, 日本はアメ リ カ 追 従 外 交 で あ り, アメ リ カ 従 属 の 経 済 関 係 に よ っ て 存 立 して い る の で あ る か ら, アメ リカ の 政. 権を, 帝国主義政府と考えるな らば, 当然, 占領軍による日 本民主化政策は, 憲法をはじめ, す べ て欺隔だというの も一理がある. しかし, アメリカが戦後の日本占領政策を, 民主化を目標とした と考えるものには, それなりの評価が生まれてくる, アメリカ が帝国主義であるか否かにかかわら ず, 日本は世界第二次大戦で, アメリカと戦って敗れて今日の状況におかれた ことを思えば, 対米 協調外交と対米協調経済を基調とするのは当然 である ,しかし, 今後の問題は, 対米 協 調 の 中 に も, 広く国際関係をよく してゆくということが, 経済政策の第 一とされる. 3 . 国民政府の国内経済 政策と経済管理社会 国民政府のな しうる政策の可能な範囲や実際に行なわれた方法については, 1 . で, 大体はのべ たとおりである. 今日の政府は, 制度上, ある程度, 経済界を指導 し, 支配 しうる力を与えられて いるので, その経済目標と 経済政策の適否が問われる. 今日の国家権力が, 国家独占資本主義とい 1 4 ) 妥当な表現か否かは別として, 国家が投資 しうる資本が巨大となり, 国家が われたりするのは, 経済をある程度動かしうるほ どの力をもってきたのみでなく, 経済の景況を 左右 しうるほどの支配 力 を も っ て い る こ と に よ る.. 国家が経済の景況を左右 しうるというのは, 日本経済 が, つねに成長経済にあるか らして, 成長 経済の伸長度を左右 しうるということである. 太平洋戦争前の, 日本経済の不 況時代, 入超のつづ いた時代に, ケイ ンズ政策がとられたとしても, 一時的救済策たりえても, 景況を持続しうるほ ど. の経済力を, 日本がもっていたとは思われない. 今日, 経済成長を促進 し, 持続せ しめている最も重要な要因は, 国際的貿易関係の中で, 日本は つねに技術 革新と, 経営の改新があり, それをせきたてられているので, 企業はつねに設備投資の. 資本を要求している. 政府は, 日銀の手, その他の手をへ て左右 しうる. 大企業が設備投資を必要 としなくな っても, 中小企業が改善を要求する. 技術革新の急速な進歩な しでは, 国家の日銀等を - 80 -.
(11) . 第 22 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要(第一部B). 昭和47年1月. 通じての, 規整力は弱まらざるをえない. 国家独占資本の支配力は, 技術革新による企業の設備投 資や企業合理化の意欲と伸張の速度を左右する力による. 問題は, 技 .術革新を行な っても, 購買力 の向上なしでは不可能である、 国内市場はいうまでもないが, 海外貿易の発展なしでは, 不可能で. ある. 日本にとっては, 海外市場の確保は必須の命題である. 経済成長率でも, 海外貿易の発展と いう条件を考えないでは, 全く意味をなさない. それを武力で確保しようとしたのが, 日本の大陸 策戦であったが, 当時, 列強は ブロック経済圏を, つく っていたか ら, 日本も, 大陸との間に, 経 済 ブ ロ ッ ク 圏 を, 武 力 を 用 い て も, つく らん と した の であ っ た.. 国家が, 上述のような経済の指導性と支配力をもっていることからして, その政府がどのような 理念をもっ て経済を指向するかの差がでてく る, 産業重点主義か, 国民生活中心かの相違があ らわ れる. そこには, 国家の倫理性に関する問題がある. 人類社会は, 生存競争で, 適者生存, 弱者死 滅による, 経済法則の貫徹によって存在してきたのではない. 人類社会の, すべてのものが平等に. 幸福を亭受すべきものであるとの理念によ って, 存立 している. 国家は, 経済法則以前に, この人 倫の確保に努力する義務があ る. 技術革新は, 今日, 多くの弊害, 自然的な人間の生存をさえ危く. するまでに, 危険な弊害を生みだ している. それを除去するのは, 国家の人倫性に関する至上命題 であ る.. 戦後の経済管理社会は, アメリカの対外政策の下で, 経営方針としては, 渉外対策, 労務対策, 技術革新と, その時々の課題に対処するという, 主た る課題は変わってきたが, すべ てアメリカの 経済学を学び, 生産性本部をつく り, 欧米の技術を導入 し, 技術革新と生産工程の組織の改善, 経. 1 1. が も と め られ てい る.. 1 ・. 営の合理化をはかっ てきたのだ. 今日の経営陣は, 経済管理社会をつくり, 資本家とは別個の存在 とな っている. 現在では, 渉外, 労働対策 ‐技術対策と個別的ではなくて, も っと高度の綜合経営. V. ) 5 高度 技術革新の経済法則,1. 1 , 技術革新と労働力の価値 イ, 高度の産業革命, 即ち, 重化学工業部門の産業革命, とくに朝鮮戦争によってもうけた資本. 1 1 1 1 … 1. による新 しい設備投資と技術革新のおかげで, おく れていたもの, 戦争で失っ ていたものを, 新し くするために投資し, 新しい産業革命を導入したおかげで, 経済成長をとげることができた, 設備 投資が生産力の向上を支え, また, 海外市場への貿易の力を伸ばした. しかも, 日本経済は, 今後 も, 設備投資, 即ち, 技術革新をつづけねば, 経済成長は維持されず, 日本経済は停滞する. 口, マルクス労働価値説の不適性 軽工業中心の産業革命の時代には, マルクスの分析のとおりに, 人間の簡単肉体労働 (マルクス の用語) が生産を生み, 労働時間が価値を生み利潤を生ぜしめた. しかし, 技術革新の著 しくなる 中で, 肉体労働が生みだす生産力が相対的に倭少化し, 価値を生みだすことも少くな った, それは. 人力車と自動車との能力の比較でも容易に知られる. したがって, 知識労働が増大し, ホワイ ト・ カ ラ ー 族 が 著 増 した,. 6 ) ハ, 利 潤 を 生み だ す も の,1. マルクスの根本的考である技術の進歩が経済構造を変え, 社会変革を求めるものであるという根 本の考は正 しいが, 価値を生みだすものは何であるかを正 しく把握しえなかった. 今日では価値を 生みだすものは, 主として技術革新であることは, マルクス時代では考えられないことであ った, 技術革新と労働の質的向上によって生産をたかめ, 利潤を生みだすことができた, 技術革新と経営 の向上は, 精神労働の生みだ したもの・国民文化の生みだしたものである. それ故に, 技術革新に 一8 1一. ミニ) ●ニコ園. ー.
(12) . Vo l .2 ,22 No. i i lof Hokka i do Un i i f Bducat t on I B) t on (Sec Journa ver s yo. January ,1972. よる利益は, 当然に, 国民文化の向上に, つまり, 社 会に還元させ, 再生産させる べ き も の で あ る, 企業家・労働者・資本家・消費者・国民文 化と社会の進歩に努力せる機関に配分さるべきもの である, マルクスの労働価値説は, 労働者の人権を守らんとする, 経済法則前の, 人倫の問題であ る.. 二, 国民文化向上のための国民教育 日本が速かに, 高度産業の回復を達成 しえたのは, 国民教育が普及し, 高度の技術を 速かに吸収 しえたからである. 高度の技術革新は, 高度の技術と生産工程の管理が必要であるから, 高度の技. 術教育と経営教育が必要である. 2 . 技術革新と経済成長の関係. 現在の日本の成長経済は, 主と して技術革新と企業規模の拡 大のための投資 によ っ た も の で あ る. 渡辺経彦氏は, 「日本の経済成 長」 の中で, 技術進歩が現実の経済成長率のうちで, どのく ら いを占めるかをの べて, 日本では技術進歩 が経済成 長への貢献率は大きい, と. アメ リカでは, 年 平均2%程度だ が, 日本は5%だ. 日本の技術革新は, 日本独自の開 発でなく, 輸入技術であるが, 「あとから来た国 (し「ト・カヌー) の利益」 がある. 先進国では 有効性の低くな った技術が, あ と か ら 来た 国 に は 有 効 だ と いう こ と であ る. アメ リ カ の 資 本 の 質 の 向 上 率 が 1.4 % で あ る の に, 日. 本 では 4.8 % で あ る.. 現在の成長経済が, 技術革新投資によるものである ことについては, 昭和31年の経済白書にも書 かれており, その後の白書にもの べ られている. 昭和33年を底として, その後の3年間に, 年率30 %という増加の技術革新の投資の火がもえた. 技術革新のための近代化投資こそは, 今後の経済の 高成長の動力となる べきものである, と. 下村治氏も, 「成長発展は ” 非常なイノ ベーショ ンを前 提としている」 「今日, 日本経済は, 全面的に, 経済全体が近代化革新を受けようとしている. そ のような変化が進みつつある時期だと考える べきである」 と, 1 7 3 . 技術革新と設備投資の関係, ). 「日本の設備投資」 (綜合政策研究会編) では, 設備投資は どうして急増 したかの理由として, ィ, 最近のめざましい技術進歩に対応 して, 全産業にわたり, 近代化投資が行なわれており, 増. 産の要請にも応えている. 口, 貿易自由化対策と して, 自由化による国際競争への直面を予 想して, 生産規模の拡大による コスト低下をね らった投資 が行なわれている. 自動車工業や, 自由化の圧力に抗するための企業経 営の多角化を目的とする投資, この著書の目的は, 設備投資の行過 ぎのないようにとのために, 安 定 した経済成長のために書かれたものである. なお, 労賃の向上から, 生産拡大のための設備投資 だ という説を主張する人もある,. 4 . 技術革新がもた らすその他の問題 イ, 失業者の問題. 技術革新の激化とともに, 資本の増大・市場寡占率をたかめる, マルキシズムによれば, それに よ って失業者が増大すると考えられているが, 筋肉労働の職場は少くなるが, 技 術 革 新に関 連し て, 新 しい職種が増大する. たとえば, スタ ンド石油給油所や簡易自動車 修 理 工 場 のようなもの. や, レジャ ー産業が発達する. 巨大企業の下請企業が増加する, 企業 が 巨大化するにつれて, 情報 の蒐集や整理という情報産業 が増大する. 職種や仕事が増大する. 統計的にも, 巨大産業の市場寡 占率が増大するのに, 大企業の下請工場である中小企業や新職種が増加 している. 経済成長のつづ く限. り, 今は労働力の不足ひこ悩むようになってきた. 8 ) ロ, 技術革新は, 産業の二重構造を深める,1. - 82 一.
(13) . 第 22 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要(第一部B). 昭和48年1月. 高度の技術革新は, 産業規模の巨大化・組織化をもた らすが, 高度技術革新についてゆけない中 小企業や農業・沿岸漁業などと, 技術革新をとげた企業との間に, いよいよ格差を 生じてく る. 経 済の二重構造をはげしくする. 当然に, 労働・ 賃金の格差をはなはだしくする. 昭和32年の経済白書 も, 日本経済の分析で, 二重構造の問題を取扱 っている. 1 9 ) a. 寡占資本のこと (独占資本のこと) ,. 儀我壮一郎氏の 「現代日本の国家と独占」 によれば, 日本は昭和2 7年IM Fに, 30年8月にガッ. トに 加 盟, 39年, I M F 8条国に, ガッ ト1 1条国に移行 し, 同年4月, OECD 加 盟が 決 定 さ れ. て, 貿易の自由化と資本取引の自由化がいよいよ重点とな ってきた. それに対応して, わが国の企 業結合=企業集中の加速度化と, 国内的企業集中と国際的企業集中が深化してきた. 現行の独占禁止法に関係して, わが国のカルテルはニ つに分類される. 1 . 「地下カルテル」 の 型の自主カルテル, 即ち, 暗黙の合意 (紳士協定) による地下カルテルで, 公正取引委員会も多く. は黙認の現状である. 2 . 独禁法自体の規定にもとづく不況カルテルと合理化カルテル, これは僅 行政カルテルと独禁法適用除外法にもとづく か存在している. 3 カルテル, 産業新 秩 序 づ く り . の, 特定産業振興法案は, 合理化カルテルの独禁法適用外範囲を拡大し, 独占にと って有利な側面 を発展させ, 資金面・税制面からの手厚い優遇措置が与え られているトラストのこと,. 昭和28年の緩和以後の独禁法は, トラスト (企業結合) には, 全く制限的役割を果していない. 雪印乳業とクロバ ー乳業の合併, 帝国製麻と中央繊維の合併, 乗用車・石油化学な どの企業合併と. 9年6月の三菱三重工の再合同以来, わが国の企業合同運動は, 三井・三菱・ 課税上の優遇措置. 3 住友らのコンツ ェル ンのような同一資本系統の 枠内の合同やコソツ ェエルソの支配範囲の拡大の合. 同が進行. 資本系列や銀行系列を超えた企業合同も注目される. (大阪商船と三井船舶, 日産と プ リンス, 東洋紡と呉羽紡な ど) .また, 最近の特徴としては, 外国資本との間の企業合同が進行しつ つ あ る.. 1 ‐. IEヨ. , i- ヒ. 0 ) b. 日 本 の 中 小 企 業 の こ と,2. 現代の資本 主義では, 独占資本や巨大企業は優越性は明らかである. しかも, 多数の中小零細企 業が, 工・商・サー ビス業に多く存在し存続している. マルクス主 義者は, 日本資本主義の特殊性. 1 , 11. にありとし, 近代経済学では中小企業存在の積極的意義について論じている. あるいは, 不完全競 争論によ り, あるいは低賃金労働依存論により説明 している.. 5年度の中小企業白書は, 従来の大企業対中小企業の二重構造はかなりの程度まで解消 したと指 4 摘し, 中小企業は, 低い生産性と低賃金の悪循環によって, た えず存立をおびやかされ, 保護さる べき 「経済的弱者」 とみるのは, もはや妥当でない. 中小企業は, 体力をつけて, 大企業と共に, 経済発展を担う 一人前となったと論じ, しかし, 物価・公害問題・資本の自由化・発展途上国に対 する特恵関税の供与な どの今後の困難な問題に 立向うために, 一層の近代化の必要なことを論じて い る.. ハ, 技術革新は, 公害や都市問題・交通問題・その他の問題を惹起する, 技術革新がもた らす最も困難な問題は, いわゆる公害と称せられる問題で, これが除去には大き な費用を要する. 企業の経済合理性から都市に集中するために, 住宅問題や交通難を生じ, 社会施. 設のおくれや, 過密地帯, 過疎地帯問題, 低生産部門による物価上昇のつきあげから物価高騰の問 題が発生している, 国民総生産が世界第2位という背景には, 国民の家族生活の 破 壊, 健 康 の 犠 牲, 一切の人間らしい自然の生活の犠牲の中から生まれていることを銘記せねばならぬ.. これらの諸問題の発生に対して, 国家は人倫的主体として, 経済合理性を超えて, 人倫的目標の 達成に努力すべきものである,. - 83 -. ず11. 十十十.
(14) . Vol .22 No .2. W. i ion I B) i Journalof Hokkaido Univer t t on (Sec s y of Educat. January ,1972. 今日の経済市場の法則. 1 . 市場の世界性 日本の経済市場が, 狭い国民経済から世界経済に拡大し, 世界市場に強く結びつ く よ う に な っ た. 日本経済のアメ リカ経済との結びつきは, アメ リカ経済の従属国ともいわれるほどの結 びつき で, ア メ リ カ の 景 気 に 支 配 さ れ て い る. ア メ リ カ のイ ン フ レは, 直 ち に, 日 本 に も 影 響 す る. 世 界. 経済の中で, 日本は特に重化学工業中心の国となり, その点で, 他の先進諸国と, 世界市場で競争 するようになった. 世界市場で自由な経済活動をするためには, 貿易の完全な自由化と, 資本の輸 出入の自由化が必要とな ってきた.. 2 . 経済市場を左右する諸力 自由な経済市場では, 需要と供給の関係が作用 して, 自律的に生産と消費を調節し, 価格が決定 されるものであると考え られていたが, ケイ ンズ革命以来, そのような作用は信ぜられないように. な った. 国民政府が福 祉国家を目指 し, 社会投資資本が増大 し, 国民的世論の力が大きくな って,. 経済市場を左右する力が大となった. その外に, 大きな経済支配力をも っているものには, 大企業 の管理価格の支配や, 労働組合の強力な賃金の突上げや, 農業団体, 医師会な どの圧力団体の突上 げな ども, 市場を左右 している. これらの利益集団の政治的圧力に対 して, 如何にして, 社会的に. 公平な調和をはかるかは, 国家の重要な任務とな っている. 2 1 ) 3 . 信用経済の発達 した経済,. 今日の経済は, 著しく信用経済の機能の発達 した経済だ. 独占資本の発達は, 大企業や信用のあ る企業への信用の集中化現象である. 信用経済の発達は, 社会の安定, 政治の安定によ って成立す るものであり, そのおかげで, 金本位制の貨幣経済を脱 却 して, 管理通貨制度を発達させる ことが できた. 信用経済の発達 しているときは, その信用をもとにして, 経済発展のために, 金融政策を とることができる. 下村治氏もいうように, 国債発行による成長政 策をとることもできる. 4 . 宣伝が市場を左右する経済. 今日の経済市場は, 情報技術や情報機能の発達, 広告, 宣伝の技術の発達により, それを有効に 利用 して, 需要を作成する経済市場である. 供給 が需要をひき起こすのである, 情報科学技術の発 達は, 思想や文化の傾向をさえもつくりあ げている. 出版社・書店が思想や文化の傾向をつくり,. 放送局や新聞社 が, 文化や思想の傾向をつくりだす強い力をも っている. この傾向は, 真の文化の 1 ) 2 発展を停滞させ, 生命を奪う危険がある. 孤. 2 ) 国民経済の成長率の問題,2. 1 . 経済成長についての見解 近代経済学は, 国民経済の成長率の測定を重要な課題としているが, 短期間 の, しかも, 経済外 的要因のないものとしての測 定である, ごく一定条件の下での予測が成長率の問題である, ) 戦後の特殊要因としては, ( 3 1 ) 日本経済の成長の起動力についての篠原三代平氏の見解では,2. 4 1 後進国交 2 ) 技術革新の導 入テ ンポ, (弱 労働組合勢力の強化と農地改革, ( 戦後の回復要因, ( 2 ) 長期波動の要因, 1 ) 輸出成長率の要因, { 易条件の全般的好転をあげ, 長期の要因と しては, (. 4 } 企業家意識をあげている, 3 ) 資本集中, 二重構造と高成長によるもの, ( ( 4 ) 金森久雄氏は, ( 1 )40年のように, 需要と供給の 高度成長を挫折せ しめる三つの理由として,2 して高成長したために 2 ) 国際収支の天井を突破 均衡が崩れたとき, ( , 国際収支のバラ ンスのため に成長を落 したとき, (引 総需要, 総供給では バラ ンスしていて も, 部門間のバラ ンスが崩れたと. - 84 -.
(15) . 第 22 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要(第一部B). 昭和47年1月. きに生ずる不安定から, をあげている. 経済成長の哲学 成長経済の持続を重視するのは, 産業革命・技術革新が高度に進行中であるから, それに応 じた 設備投資をして, 生産機構の改善をはからねばな らない. 生産利潤は, 人間の労働よりも, 機械が 生みだすのが 巨大だからである. しかし, 深く反省する必要があるのは, 公害問題や都市問題でも. わかるように, 都市住民の身を犠牲にしての勤労や, 家族制度の破壊, 史上まれにみる人間として の不幸な, 生活の犠牲の上にな っている経済の繁栄であるということだ. ) 2 5 2 . 日本経済の 「景気と成長率」 の問題, 現代の景気循環は, 他のいろいろの政治的, 国際的な作用を除いては, 技術革新に 伴 っ て 生 ず る. 一定の技術革新によ って, 他との競争の間に, 利潤を獲得する. 一つの技術革新か ら, 次の技 術革新の間に, 大きな景気循環の周期がある. 今日では, 景気変動は, 経済成長の中に含まれてい. る. 技術革新が経済に変化を生ぜしめ, それが景気循環の形をとる. 今日のように, 成長率が名目 0%から20%も拡大している中では, 景気循環 があっても, 大きな重要性をも た な く な っ で年に1 た. まして, 金本位制の束縛から脱却した経済では, 政府当局や通貨当局が, 自ら調整する能力を もっているので, 景気循環的現象をある程度さけることができるからである・ 3 .. 6 ) 物 価 高 騰 の 問 題,2. 労働攻勢による賃上 げ要求, コスト・ プッ シュにより, 企業拡張にせまられ, 借金によって設備 投資をつづけるので, 物価高騰をまねくのだという説をとる人がある, 一面の真理ではあるが, 問. 題の核心にはふれていない. 設備投資は, 技術革新や貿易の自由化に伴 って生ずるもので, 国民生 9位だということからもわかるように, 労 働 者 は 決 し 産が世界第2位だというのに, 国民生活は1 て, 国民総生産に相応 しただけの生活には達していない, 大企業の労働者でも, 大きな犠牲を払 っ ている. 長い通勤時間, 狭い住宅, 不健康な都市生活, 家族制度の破壊という大きな犠牲に よって 支 え られ て い る.. 問題は, 生産性のあ が らない中小企業や農業部門, 沿岸漁業部門, 流通部門が, その労働者の生 活の一般的水準の保持のために, 賃金の上昇をもた らし, コスト・ プッ シュ的な物価高騰をよび起 こすことが大きい. 物価の上昇は, 生産性の向上を伴わない中小企業や農業・沿岸漁業・自由業な. : ‐ : ≦ [ 〕 L .ー. どのコスト・ ブッ シュや, 大都市化現象から発生する住宅問題 (土地価格の急上昇) や, 流通機構 の不備から生じているが, 国民政府や経済管理社 会の無策にも, その責はある . 註1) 揖西光速:日本経済史 (p ) .254 揖西ら:日本資本主義の没落 1 .2 .3 .4 有沢広己監修:日本産業百年史 上, 下, 名島太郎編:日本産業読本, 2) 3 ) 独占資本研究会:現代日本の独占資本 4) 松井清ら:日本貿易読本 古畑義和:現代日本資本主義の構造 高橋正雄:日本資本主義入門, 8) 0 )18 )22 ) )1 7 ) 正村公宏:現代日本経済論, 1 5 )22 ) )16 )21 6 ) 川村鈴次:戦後の日本経済, 11 9) 4)1 7 ) 今井義則他:日本の国家独占資本主義, 1 8 ) 本庄栄次郎;日本経済思想史 金森久雄:日本経済をどうみるか,24 ) 9) 鈴木松夫:戦後の日本財界史 2 ) 0 1 ) 渡部経彦:現代の経済政策, 1 6 ) 儀我壮一郎:現代日本の国家と独占, 1. - 85 一. -f L 圭 [ 【1.
(16) . Vo l ,22 No .2. lof Hokkaido Um 謁r i Journa i i t s t on (Sec on IB) y of Educat. 1 1) 小西一夫・小松隆三;金融市場 1 3) 小山弘健:日掛資本主義論争の現段階 1 5) 星野芳郎:日本の技術革新. 1 7 ) 綜合政策研究会:日本の設備投資 8 1 ) 馬場啓之助編:日本農業読本 20 ) 中村秀一郎:日本の中小企業問題. 1 2 ) 東洋経済編:金融読本. 下村 治:日本経済は成長する 22) 大内兵衛ら:日本経済図説 23) 篠原三代平:日本経済の成長と循環 越村信三郎ら:独占資本論への道 25 ) 泉 三義:日本産業構造論 26) 難波田春夫:警告日本経済の破綻. - 86 一. January ,1972.
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