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STEAM A 富山大学大学院人間発達科学研究科 富山大学大学院教職実践開発研究科 A Study of the Concept of A in STEAM Education Hanako TSUJIAI* 1, Haruo HASEGAWA* 2 * 1 Graduate School of H

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Academic year: 2021

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93 Ⅰ.はじめに 現在,諸外国とともに我が国においてもますます STEAM教育が注目されているが,STEAM 教育におけ る“A”の概念は,現在,大きく分けて「芸術(ART)」 と「教養(ARTS)」の2通りの考え方がありその定義 は未だ定まっていない.そのため研究の際には,その 都度,当該研究において“A”とは何かをまず定義し てから進めるという状況となっている(例えば,山崎 ら,2016;芳賀・森,2019;山崎ら,2019;渡辺ら, 2019). このように枠組みが確定しないままに STEAM 教育 が急いで進められようとしている背景には,急速に進 展する科学技術やグローバル社会,社会システムの変 革に代表されるように,先行きの見えない変化の激し い時代の中で,その変化に向き合い,他者と協働して, 主体的に対応することができるような資質・能力を育 成することが世界的に望まれていることが挙げられる (国立教育政策研究所,2016;奈須,2017).その資質・ 能力の概念として,OECD は DeSeCo プロジェクトにお いて「キー・コンピテンシー」(Rychen et al., 2003) を提案し,米国では「21世紀型スキル」(Griffin et al., 2012)が定義された. 我が国においては2016年,内閣府により策定され た第5期科学技術基本計画(内閣府,2016)で,未来 社会の姿として Society5.0(1)という概念が提示され, それを受けて,文部科学省は,2018年「Society 5.0に 向けた人材育成~社会が変わる,学びが変わる~」 (文部科学省,2018)(以下「Society 5.0に向けた人材 育成」)を発表した.その中で,新たな社会を牽引す るのは,「技術革新や価値創造の源となる飛躍知を発 見・創造する人材と,それらの成果と社会課題をつな げ,プラットフォームをはじめとした新たなビジネス

研究論文

STEAM

教育における“A”の概念について

辻 合 華 子

長谷川 春 生

富山大学大学院 人間発達科学研究科 教職実践開発研究科富山大学大学院

A Study of the Concept of “A” in STEAM Education

Hanako TSUJIAI*

1

, Haruo HASEGAWA*

2

*1Graduate School of Human Development, University of Toyama

*2Graduate School of Teacher Training Development, University of Toyama

STEAM education is attracting attention in Japan as well as in other countries as an education to cultivate the qualities and abilities required for modern issues. However, in education policy-related documents in Japan, the concept of “A” in STEAM education has not yet been determined because of the confounding of ART and ARTS. Therefore, this paper aims to investigate and clarify the concept of “A” in STEAM education in the United States, the birthplace of STEAM education. As a result of the investigation, it became clear that ART has different meanings in the singular and plural forms, and STEAM education is practiced on the basis of its own educational theory. Because there is no concept of plural or article in Japanese, it is difficult to understand the difference. However, in the future, it will be important to understand the differences between the concepts of ART and ARTS and the thinking behind them, in order to further discuss STEAM education in Japan based on the respective educational theories.

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を創造する人材である」と示し,さらに,高等学校に おいては,「思考の基盤となる STEAM 教育を,すべ ての生徒に学ばせる必要がある」(文科省,2018: 13) と示している. 一方,経済産業省は2018年,「『未来の教室』と EdTech 研究会 第1次提言」(経済産業省,2018)(以下「第 1次提言」)を発表した.その中で,米国,中国,オ ランダ,イスラエル,シンガポールの STEM/STEAM 教育の紹介があり,それらを踏まえて我が国において も同様に,STEAM 教育(2)を推進することを提言して いる.そして翌2019年には「『未来の教室』と EdTech 研究会 第2次提言」(経済産業省,2019)(以下「第 2次提言」)を発表した.第2次提言では「学びの STEAM化」として「一人ひとりのワクワクする感覚 を呼び覚まし,文理を問わず教科知識や専門知識を習 得すること(=「知る」)と,探究・プロジェクト型 学習(PBL)の中で知識に横串を刺し,創造的・論理 的に思考し,未知の課題やその解決策を見出すこと (=「創る」)とが循環する学びを実現する」(経産省, 2019: 4)という説明とともに提言されている. 以上のことからわかるように,次世代の課題に立ち 向かう資質や能力を育成するために STEAM 教育が有 効であるという見地に立ち,性急に教育政策が進めら れている状況が見受けられる. Ⅱ.問題の所在と研究の目的 先に述べたように,我が国の STEAM 教育における “A”については,大きく分けて2つの概念が存在する. 1つは,「芸術」の概念に近い ART.そして2つめは, 「教養」の概念に近い ARTS である.これについて山 崎らは,「特に,『Arts(アーツ)』を『ファインアー ツ(絵画,彫刻,意匠等をはじめとした美術)』に限 定して定義するか,それとも,『アーツ』概念を美術 のみならず広義に解釈するのかは,国内外では多様な 見解がある」(山崎ら,2019: 196)と,事実を述べる にとどまるが,一方,胸組は,「Arts の内容について は芸術とする捉え方と Liberal Arts まで広く捉え方が あるので議論を要する」(胸組,2019: 64)と述べ,問 題として捉えている. また,政策に目を転じると,「芸術」の概念で使用 していると思われるのが,文部科学省の「Society 5.0 に向けた人材育成」と経済産業省の「第1次提言」で あり,「教養」の概念で使用していると思われるのが, 経済産業省の「第2次提言」である. 文部科学省の「Society 5.0に向けた人材育成」では 脚注に「STEAM:Science, Technology, Engineering, Art, Mathematics」(文科省,2018: 13)という記述があり, “A”が ART を示していることがわかる.また経済産 業省の「第1次提言」では脚注に「科学(Science),技 術(Technology),工学(Engineering),数学(Mathematics) の分野のことで,テクノロジーの進化を背景に世界で 注目されている.芸術(Art)を加え STEAM と表記 されることもある.」(経産省,2018: 2)という記述が ある.つまり,前半部分で STEM 教育を説明し,後 半部分で STEM に“A”を加えた STEAM 教育を説明 しており,文中の“A”は ART を示していることがわ かる.しかし,続く「第2次提言」では,「『STEAM』 は,今後の社会を生きる上で不可欠になる科学技術の 素養や論理的思考力を涵養する『STEM』の要素に加 え,そこに,より幸福な人間社会を創造する上で欠か せないデザイン思考や幅広い教養,つまりリベラル アーツ(Arts)の要素を編み込んだ学びである.文 系・理系に関わらず様々な学問分野の知識に横糸を 通して編み込み,『知る』と『創る』を循環させ,新 たな知を構築する学びであると言えよう」(経産省, 2019: 2)と述べ,“A”は ARTS であると示している. このように,文部科学省においては STEAM 教育にお ける“A”は ART(芸術)と捉えられているが,経済 産業省においては第1次提言から第2次提言にかけて ARTから ARTS へと方針転換されている.これらの ことから,現在,我が国においては研究面においても, 政策面においても,ART の概念と ARTS の概念が並 立して存在しており,STEAM 教育について,共通理 解を基にした議論を進めることが難しい状況にあると いえる. また,山崎ら(2016)は,欧米における「エンジ ニアリング」の概念と我が国の「工学」の概念の「ず れ」が我が国の STEAM 教育の遅れをもたらしている 一つの理由であると述べている.用語概念の不一致と いう類似した状況(3)を鑑みると,STEAM 教育におけ る“A”の概念について共通理解がないことは,将来 も続く可能性のある問題であると言わざるを得ない. しかし,そもそも STEAM 教育は STEM 教育に“A” の概念を追加したものであるので,“A”について論 ずる前に,まず STEM 教育について概観する.

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科学教育研究 Vol. 44 No. 2(2020) 95 のアクロニム(acronym)(4)である.1990年代に米国の

National Science Foundation(以下,NSF)は“SMET” (Science, Mathematics, Engineering, Technology)という アクロニムを使用し,SMET 教育を推進していたが, “SMET”は好ましくない英単語と発音が類似している ため,各語の順序を入れ替えた“STEM”という呼称 に変更された(Sanders, 2009). STEM教育が推進された背景には学力低下がある. 米国は2000年 PISA 調査の「科学的リテラシー」で14 位,「数学的リテラシー」において19位となり,理数 教育レベルの低下が顕著となった(国立教育政策研究 所,2002;OECD, 2003).それを受け,「米国の競争力 強化には,良質な教育が必須との認識の下,全学生が 高等教育機関での教育を受けるべきであり,教師の質 の向上,研究成果に基づいた効果的な科学・技術・工 学・数学分野の教育を支援する」(文科省,2008: 31)こ とを目指し,2007年8月に「米国競争力法(The America COMPETES Act)」(110th Congress, 2007)が成立した. そして2012年,National Research Council(5)(以下,NRC) が幼稚園児から高校生までを対象とした科学教育の指 針である“A framework for K-12 science education”(NRC, 2012)を発表し,さらにそれを基にして2013年には 「次世代科学スタンダード(NGSS: Next Generation of

Science Standards)」(NRC, 2013)が作られた.そして 2015年10月,「STEM 教育法(STEM Education Act of 2015)」(114th Congress, 2015)が成立したのである. この法律は,公教育以外の STEM 教育を推進するため に研究助成をするものである.このように STEM 教育 は政治的背景をもとに米国で始まり,推進されている ことがわかる.

STEAM教育は,STEM 教育のアクロニム“STEM” に“A”の概念を追加したものである.我が国におい ては,ART と ARTS の2つの概念が存在し,未だ共 通理解が確立されていないことを先に述べたが,それ は,STEAM 教育発祥の地,米国に由来するのではな いかと考えた.なぜなら米国においても同じく2つの 考え方が存在するからである. これについて,先行研究を調査したところ,STEAM 教育の“A”の概念について特化して調査研究したも のはなかった.そこで本稿では STEAM 教育における “A”の概念について,米国における発祥当時からの 経緯を調査し,明らかにすることを目的とする. Ⅲ.研究の方法 “ART”及び“ARTS”の語義には,元となった思想 が込められているのではないか,そしてその思想に立 脚すれば,STEAM 教育における“A”の位置づけを論 ずる視座が形成されるのではないかと考えた.そこで まず,The Oxford English dictionary Second Edition(Simpson et al., 1989)(以下,OED(6))を使用し,ART と ARTS の古い用法から現在までの移り変わりを調べ,言語的 背景を調査する.また,現代の用法と比較するため に Oxford Advance Learner’s Dictionary(Hornby et al., 2010)(以下,OALD)を使用する.その後,STEAM 教育発祥の地である米国での STEAM 教育における, ARTと ARTS それぞれの位置づけを,文献を基に調 査する. Ⅳ.結果と考察 1.ART と ARTS の言語的背景

調査に使用した OED の編纂方針は「historical principle」 である.すなわち,「各語について可能な(または必 要な)かぎり過去にさかのぼって語形・語義を時代順 に提示し」ている(永嶋,1983: 45).従って,第1に 挙げられている意味は,その語句の出典が確認された 最も初期に使用されていた意味となり,その後時代を 経て,意味が追加された順に掲載されている. 以下に調査の結果を示した後,解説する. 1.OED に見る「ART」の当初の意味は,「技能」 に関するものであったが,時代が下るにつれて 芸術的な意味合いが濃くなった. 2.複数形にした場合は,OED は「リベラルアー ツ」の意味とされていたが,OALD では「理系 以外」という表現が使われている(7) 3.これは自由七科の概念が現代においては通用し なくなったことと,人文科学以外にも新たな概 念が増えたためであると思われる(8) 4.OED は定冠詞の有無にかかわらず「リベラル アーツ」であったが,OALD においては定冠詞 があると「芸術の総称」となっている. まとめたものを表1に示す. OEDを見てみると,「ART」の全項目は19個あり, そのうち最初の意味から7つめまでが STEAM 教育に おける“A”の概念と関係があると思われた.なお, 1つめから6つめまでは抽象的な意味を表わす不可算 名詞である.

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第1に挙げられている意味は,「Skill in doing anything as the result of knowledge and practice.(知識や実践の 結果としての何かを振る舞う技能)」,であり(日本語 訳は第1筆者による.以下全て),2つめは,「Human skill as an agent, human workmanship. Opposed to nature. (主体的な行為者としての人間の技能.nature(9)と対 比される)」,である.先に述べたようにこれらは, 「ART」の古くから存在する用法であるので,「ART」 の元となった思想が込められているのではないかと考 えられる.そして5つめに記載されている意味からは, 「(略)The application of skill to subjects of taste, as poetry,

music, dancing, the drama, oratory, literary composition, (詩,音楽,ダンス,演劇,歌劇,文学作品のような 分野への技能の応用)」.6つめは,「The application of skill to the arts of imitation and design, painting, engraving, sculpture, architecture; the cultivation of these in its principles, practice, and results; the skilful(10) production of the beautiful in visible forms.(模造,絵画,彫刻,彫像, 建築芸術への技能の応用.原理,実践,成果の醸成. 視覚化と審美的な制作)」.このように,ようやく5つ めと6つめにおいて,芸術的な意味を示している.そ して7つめは,「chiefly in pl. Certain branches of learning which are of the nature of intellectual instruments or apparatus for more advanced studies, or for the work of life; (略) Applied in the Middle Ages to ‘the trivium and quadrivium, a course of seven sciences, introduced in the sixth century…the trivium contained grammar, logic, and rhetoric; the quadrivium arithmetic, geometry, music, and astronomy (略); called also the free or liberal arts.(主に 複数形で)より高度な研究あるいは生活のための知的 手段または装置の性質を有するある種の学問分野. (略)7科目の「三学と四科」は6世紀に導入され,中 世に盛んとなった.三学は,文法,弁証法,修辞学で あり,四科は,算術,幾何,音楽,天文学である. (略)「自由七科」あるいは「リベラルアーツ」と呼ば れている)」と書かれている. このように「ART」は初期の,主に「技能」に関す るイメージから「芸術」的なイメージを持つ意味へと 変化していることがわかる.また,「リベラルアーツ」 の意味で使用するときには,主に複数形が使われると の記述があった.以下に,概念を表わす不可算名詞の ARTと,「リベラルアーツ」の意味を表わす可算名詞 ARTの複数形である ARTS の関係を図1に示す. 図1 ART と ARTS の関係 (OED における ART の記述を元に作図) 次に OED と比較するために,使用した辞書は,OALD である.こちらは学習者向けであるため,現代にお ける頻出順に編集されている.この OALD において 「ART」は,全部で7項目あり,そのすべての項目が STEAM教育における“A”の概念と関係があると思 われた.以下にそれらの対訳を示す.

第1に挙げられている意味は,「the use of the imagination to express ideas or feelings, particularly in painting, drawing or sculpture(特に,絵画,線画,あるいは彫刻で,アイ デアや感性を表現するための想像力の使用)」である. 以下,2つめは,「examples of objects such as paintings, drawings or sculptures(絵画,線画,彫刻などの作品)」, 3つめは「the skill of creating objects such as paintings and drawings, especially when you study it(特に,絵画, 線画のような作品を創造するための探究と技能)」,4 つめは,「the arts [pl.] art, music, theatre, literature, etc. when OED (歴史的経緯順配列) (現代頻出順配列)OALD ART 技能 特に,絵画,線画,ある いは彫刻で,アイデアや 感性を表現するための想 像力の使用 ARTS リベラルアーツ 理系以外の科目.例えば語学や歴史,文学 THE ARTS リベラルアーツ(1946 年の用例から)芸術の総称 表1 記述の比較

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科学教育研究 Vol. 44 No. 2(2020) 97 you think of them as a group(芸術[複数形]美術,音

楽,演劇,文学などの総称)」,5つめは,「a type of visual or performing art(視覚芸術または舞台芸術の一 種)」,6つめは,「[C, usually pl.] the subjects you can study at school or university that are not scientific, such languages, history or literature([可算名詞,通常複数形]学校や 大学で学ぶことのできる理系以外の科目,例えば語学 や歴史,文学)」,7つめは,「[C,U] an ability or a skill that you can develop with training and practice([可算, 不可算ともに]トレーニングと練習で開発できる能力 または技能)」である. これらの語義が現代における頻出順であることから, 現代では芸術的な意味が優先的に使用される場合が多 いが,「技能」という意味の用法も存在していること がわかる.また,注目すべきは,ART の古い用法であ る OED の第1の意味,「知識や実践の結果としての何 かを振る舞う技能」と,第2の意味,「主体的な行為 者としての人間の技能.nature と対比される」(図2) は,STEAM 教育によって育成が期待される資質・能 力に極めて近い概念であるということである.すなわ ち,主体的な行為者として,相対する nature に働きか ける技能を身につけることは STEAM 教育におけるひ とつの目標であるといえよう.これらは,現在におい ても使われている用法であり,OED が編纂されている 英国をはじめ,キリスト教文化の背景を持つ英語圏に おいては暗黙的に STEAM 教育のニュアンスに含まれ ていると考えられる. 図2 ART と Nature の関係 (OED における ART の記述を元に作図) それを示すひとつの根拠として,1643年に英国で 出版された「Religio Medici」がある.それは17世紀の 医師であり著述家である Thomas Browne によって書 かれ,キリスト教思想に基づいた医師としての信条を 著したものである.当該著書は,現在も出版されてお り,一般の書店で入手できる.そのことから,現代社 会においても広く受け入れられている思想であると考 えられる. 本稿では「Religio Medici」の1886年版を参照した (Browne & Digby, 1886)(11).それによると,“Now nature

is not at variance with art, nor art with nature: they being both the servants of his providence: Art is the perfection of Nature: Were the world now as it was the six day, there were yet a Chaos: Nature hath made one world, and Art another. In brief, all things are artificial; for nature is the Art of God”(Browne & Digby, 1886: 36–37),との記述 がある.当該箇所の,生田ら(1998)の訳は,「さて, 自然は技巧(12)と争ってはおらず,技巧も自然に逆 らってはいない.両者はともに神の摂理の僕である. 技巧は自然の完成した姿に他ならない.世界が天地創 造の第六日目のままであったならば,未だに混沌が続 いていよう.自然が一つの世界を作り,技巧がもう一 つの世界を作ったのだ.要するに,自然も神の御業で あるがゆえに,万物は技巧の所産なのである」(Browne 著 生田・宮本訳,1998: 45–46)(13),となっている. Browneの記述を図に表わしたものを,図3に示す. 図3 「Religio Medici」(Browne, 1886)における世界観 このように,OED や「Religio Medici」における「ART」 という語句を見たとき,キリスト教文化を背景とする 「ART と Nature の相対的な関係」が,前提となってい ることがわかる.例えば,OED においては,キリス ト教には言及せず相対的な関係であることが明示さ れるにとどまるが,「Religio Medici」においては,著者 Browneのキリスト教思想の立脚点となっている. これらのことから,「ART」は「ARTS」よりも,抽 象的な概念を表わすことが可能であり(図2,図3),

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「ARTS」は,可算名詞であるが故に,具体的なひと つひとつの技能の集まりを表わすことがわかった(図 1).例えば,Language Arts(言語技術),Martial Arts (武術),Fine Arts(美術)などは,ひとつひとつの具 体的な技能が集まってできている概念である. 「ART」は単数であり,「ARTS」は複数であるから, 「ARTS」のほうが指し示す範囲が広いというわけで はない.日本語の名詞には,単数形や複数形が存在し ないため,日本人には理解しづらいが(今井ら,2012), 「ART」のほうが「ARTS」よりも抽象的で広い概念 を表現することが可能だといえる. 2.STEAM 教育における「ART」と「ARTS」 a.ART

米国の RISD(Rhode Island School of Design)は,2010 年より「STEM to STEAM」教育運動を推進している. 運動当初,学長であったジョン・マエダは,「STEM + ART = STEAM」と定義し(Maeda, 2013),STEM の各分野は収束思考なのでイノベーションが生まれな い,それらに ART を追加することによって,批判的 思考が加わり,より深い思考となってイノベーション が生まれる(Maeda, 2013)と主張した.なお,ジョ ン・マエダ自身も科学者であり,アーティストでもあ る(Somerson & Hermano 著,久保田・大野訳,2017; Maeda, 2008).また,Sous と Pilecki も同様に STEM 教 育に芸術的要素を加えることを提案し,STEM を収束 思考と位置づけ,それに対して ART を拡散思考とし, 「収束思考は,明快な正解に至るように定義された問 題にはよく機能する.(略)拡散思考は十分に定義さ れていない問題を多面的に解決するのに最もよく機能 する」と述べた上で,作曲家の例を挙げ,作曲家は, メロディやハーモニーを創り出すときは拡散思考を用 い,できた曲を楽譜に書き留めるときは収束思考を用 いると述べている(Sousa & Pilecki 著,胸組訳,2017: 41–42),(Sousa & Pilecki, 2018).Sousa と Pilecki の図 (Sousa & Pilecki, 2018: 35)を翻訳し図4に示す.この 図4を,先に挙げた作曲家の例を当てはめると理解し やすい. また,渡辺ら(2019)は,授業デザインにおいて共 通感覚的学習を中心にして,子どもの拡散的思考とし て多様な表現を促し,収束的思考として話し合いや発 表を通して吟味と合意形成を行う学習活動に可能性を 見出している.

これらの STEAM 教育の概念において“A”は ART を示しているが,いずれも STEM 教育における収束思 考に対して,対照的なものとして,ART における批判 的思考(Maeda, 2013)や,拡散思考(Sousa & Pilecki 著,胸組訳,2017),拡散的思考(渡辺ら,2019)を 位置づけている.すなわち,STEM と ART は,その 問題解決アプローチにおいて対極的であるが,そのた め補完しあい,互いに必要不可欠なものであるという 主張である. これらの考えに立脚して,拡散思考と収束思考がと もに使われることで生まれるものを図5に表わす.図 5は,「拡散思考の ART」と「収束思考の STEM」の 2つのアプローチで課題に取り組み,拡散思考の結果 生まれるものを「成果」とし,収束思考の結果生まれ るものを「合理的な答え」とした.そしてそれらが合 わさってイノベーションが生まれることを表わして いる. なお,拡散思考からは3本の矢印が出ているが,そ れは課題解決に向けてあらゆる方向から自由な発想を する思考の比喩表現であり,「3本」に,数的意味は ない.また,収束思考から出ている1本の矢印は,課 題を効率よく解決するための発想をする思考の比喩表 現であり,「1本」にも,数的意味はない. 一方,美術教育の視座から,Liao(2016)は,STEAM 教 育 に お け る ART の 有 効 性 を 認 め つ つ,ART が STEM分野を学習するための手段として使われている と指摘し,ART 中心のアプローチで STEAM 教育を 進めることを提案している. 図4 拡散思考と収束思考の違い (Sousa & Pilecki, 2018: 出典を筆者が翻訳)

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科学教育研究 Vol. 44 No. 2(2020) 99 b.ARTS STEAM教育の概念は Yakman(Yakman, 2006)に よって初めて示された.そして,ピラミッドの図(14) を使って STEAM 教育の枠組みを表した.ピラミッ ド図は2006年の初出から更新され続けているが, Yakmanの論文(Yakman, 2008)で示されたものを翻 訳し,図6に示す. 図6について,筆者が着目したのは,分野別レベル の右端,「アーツ(原文では Arts)」である.Yakman は,論文中でアーツを「how society develops, impacts, is communicated and understood with its attitudes and customs in the past, present and future.(社会がどのよう に発展し,影響を与え,過去,現在,未来にどのよう な態度や習慣で伝えられ理解されているか)」(Yakman, 2008: 16)と説明しているが,一般的なリベラルアーツ についての説明とはいえず,理解がむずかしい.また, 同じく論文中で「Liberal(リベラルアーツ)」について は,(社会学,教育,政治学,哲学,神学,心理学,歴 史など)」と,しているが,その根拠が明確ではない(15) また,Yakman は,STEAM 教育の概念モデルとし て「STΣ@M(16)=Science & Technology interpreted

through Engineering & the Arts, all based in Mathematical

elements.(17),(STEAM 教育=数学的要素を基盤に, エンジニアリングとアーツを通して科学技術を理解す ること)」を公表した.つまり STΣ@M のすべての分 野の基盤となるのが数学であり,アーツとエンジニア リングはすべての分野に関わりがある,と主張してい る.しかし,ピラミッド図では,数学がすべての基盤 として描かれておらず,エンジニアリングもアーツも すべての分野に関わっているようには描かれていない. このように疑問点があげられるものの,2007年, 「STΣ@M」のロゴ(16)と概念モデル(17)が,米国におい て商標登録(16),(17)された.さらに,2008年には,ピラ ミッド図と概念モデルが著作権登録(17),(18)され,同年, 論文化された(Yakman, 2008).その後,米国のみな らず,韓国,中国,タイ,オーストラリア等でこれら の概念を基にした教育ビジネスを展開している(19) 3.考察 これまでみてきたように STEAM 教育における“A” の概念には ART と ARTS があり,それぞれが独自の STEAM教育の理論に位置づけられていることが明ら かとなった.

“A”を ART と捉えている立場(Maeda, 2013; Sousa et al., 2013; Liao, 2016)では,STEM と ART,それぞ れを支える思考が対照的であることに着目し,その違 いの相互作用によってイノベーションを生み出すよう な教育効果を期待している(図5).

一方,“A”を ARTS と捉えている立場(Yakman, 2008)では,分野横断的な教育によって結果的に全 体的な教育効果が上がることを期待している. ここで,改めてリベラルアーツについて考察する. 大口(2014)によると,リベラルアーツに相当する ギリシャ語は「エンキュクリオス・パイデイア」であ り,その意味は「普通の,日常の,誰もが認める教 育」である.極めて広義の概念であるといえよう.ま た瀬木は,「とりわけ,その横断的な共通性,つなが りを重視する含みをもって用いられる言葉」(瀬木, 2015: 4)だと述べている. これらを併せて考えると STEAM 教育の“A”をリ ベラルアーツと定義し,STEM 教育を補完するものと しての位置づけにすれば,広義の概念であることと, 図5 拡散思考と収束思考がともに使われることで生まれる もの

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横断的でつながりを重視することから,収まりが良いよ うに思われる.しかし,リベラルアーツの「リベラル」 たる所以を起源から探ると,違った側面が見えてくる. 絹川は,「リベラル・アーツの西欧起源はいうまで もなく古典ギリシャにおける貴族階級(自由人)の教 育にある.「リベラル」という言葉は,リベラル・ アーツの内容を示すのではなく,その教育を受ける階 層を示した」(絹川,2018: 209),と述べている.つま り「奴隷労働からの自由」を享受する特権階級のため の教養であった(20).時代を下り,17世紀後半から18 世紀,リベラルアーツ教育は高等教育機関である大学 に受け継がれた.「そして,リベラル・アーツによっ て世界は良くなるという学問の価値を期待させた.学 問によって社会は進歩するという期待を,大学は人々 に期待させたのである」(絹川,2018: 213).その後 さらに時代を下り,現代においてもリベラルアーツ教 育は大学を中心に行われている(21)ことは周知の通り である. これらのことを鑑みると,STEAM 教育の“A”を, 「ARTS(教養)」であるとするならば,その前段階と して,リベラルアーツの背景的思想(20)や,リベラル アーツを我が国に導入した際の反省点(3),(7)を踏まえ た上での議論がなされるべきであろうと考える. 一方,先に述べた OED の記述にあるように,ART は抽象的技能を表わす広義の概念を示すことも可能で ある.それは「ART(芸術)」も「ARTS(教養)」も 内包する.さらに,実生活に基づいた「教科の枠では 捉えられない技能(例えば,災害時の振る舞いなど)」 も広義の ART であると考えられる(図1).学校内 はもちろんのこと,学校を取り巻く地域の人々の生活 の中に,ART と呼べる学びの種を発見し,STEM に 加えるならば,STEAM 教育には,具体的技能の枠に 縛られない,さまざまな展開可能性が考えられるとい えよう. Ⅴ.おわりに 近年,我が国においては STEM 教育の概念ととも に,それに“A”という新たな分野を加えたものが STEAM教育であると紹介され,その都度“A”とは ARTであったり,ARTS であったりと,場合に応じた 図6 ピラミッド図 (Yakman, G, 2008: 出典を筆者が翻訳)

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科学教育研究 Vol. 44 No. 2(2020) 101 概念を採用しながら推進されようとしている.そもそ

も日本語には,英語における複数形や冠詞の概念がな いため ART と ARTS を混同しやすく,ART と ARTS それぞれの概念を,実感を伴って理解するのは難しい. しかし,それらを考慮に入れても,やはり,用語の概 念について教育関係者の共通理解があやふやな状態の ままに STEAM 教育を推し進めることには疑問がある. ARTと ARTS,それぞれの概念の違いと背景にあ る思想を理解し,それぞれの教育理論を踏まえた上で, 我が国における STEAM 教育についてさらに議論を重 ねていくことが肝要であると考える. 注 (1) 「狩猟社会,農耕社会,工業社会,情報社会に続くよ うな新たな社会を生み出す変革を科学技術イノベーショ ンが先導していく,という意味を込めている」(内閣府, 2016: 11). (2) “S”(Sports)を加えた STEAMS 教育についても提案 している(経済産業省,2018: 9). (3) 類似した状況,すなわち,語義についての定義が曖昧 なまま教育が進められていく状況として,他にも,第二 次大戦後,米国のリベラルアーツ教育を日本に取り入れ た時の状況がある.絹川(2018)は,「新制大学発足時 に,『一般教育』の類型として,ハーバードの『レッド・ ブック』を手本としながら,同時に『グレート・ブック ス(古典・名著)』の方法が引用されていた.このこと が奇妙であることは,歴史を通さなければわからない. (略)『レッド・ブック』と『グレート・ブックス』は思 想的に対立していた.それらを同時受容することが出来 たのは,日本版『一般教養』が無思想であったからであ る.ついでにいうと,『一般教育』と『一般教養』を同 義語であるかのように全く区別していないところにも, 日本の無思想性が表れている」(絹川,2018: 234–235) と述べている(下線は筆者). (4) 「頭字語:語群の各語の頭字や頭音節を組み合わせて つくった語;(略)acronym は狭義には NATO[néitou] のようにつないで発音されるものを指し,NBC(National Broadcasting Corporation)などは initialism または initial word(イニシャル語)と呼ばれる」(小学館ランダムハ ウス英和大辞典第二版,1994).

(5) 「one of the four National Academies in the US which carries out research and provides expert advice and information to the government and Congress.(調査をし,政府と議会に 専門的な助言と情報を提供する米国の4つの国立アカデ ミーのうちの1つ)」(Hornby et al., 2010). (6) 「OED は古い英語の研究に威力を発揮するのみでなく, 現代英語の語義用法に関してもまた常に典拠とされてい る.(略)“言葉”としての英語に関しては OED は常に 必見の書なのである」(永嶋,1983: 46–47). (7) 「日本側は,市民の育成といった general education の理 念,学生が所属するカレッジと教員が所属するデパート メントの違い,general education の科目が liberal arts and sciencesからなること,カレッジによって general education の比重が異なることなどを知ってはいなかったろう.そ もそも general education とは何かを知らず困惑したこと を,当時の関係者の多くが後になって吐露している」 (吉田,2019: 11)(下線は筆者).ここに書かれた「Liberal

Arts and Sciences」という用語に見られるように,Liberal Artsは Science を内包するものではない.以下に実際の 大学における例を示す.

Harvard College

https://college.harvard.edu/academics/liberal-arts-sciences Yale University

Faculty of Arts and Sciences https://fas.yale.edu/

東京大学大学院総合文化研究科・教養学部

Graduate School of Arts and Sciences, College of Arts and Sciences

http://www.c.u-tokyo.ac.jp/eng_site/info/ 京都大学 国際高等教育院

https://www.kyoto-u.ac.jp/en/about/profile/faculty/organizations/ liberal_arts-1.html

(8) 例えば,Harvard College では,「Electrical Engineering(電 気工学)」や「Mechanical Engineering(機械工学)」が開 講されており,東京大学教養学部 前期課程では「地球 環境論」や「人間生態学」が開講されている.

(9) 単純に日本語の「自然」に置き換えることはできない. 例えば OED には以下のような記述がある.「The essential qualities or properties of a thing; the inherent and inseparable combination of properties essentially pertaining to anything and giving it its fundamental character.(物の本質や性質; 本質的に何かに関係し,それに対してその基本的な性質 を与える特性の,固有で分けることができない組み合わ せ)」(Simpson et al., 1989).

(10) 原文ママ

(11) 「Religio medici with the Observations」というタイトルで, Thomas Browneの著作と Kenelm Digby の解説が1冊に なっている. (12) 生田ら(1998)は,「Nature」を「自然」と訳し,「ART」 を「技巧」と訳している. (13) 「ブラウンの全著作のうち,『医師の信仰』はとりわけ 広く知られた作品である.その性格は基本的に若きブラ ウンによる一種の信仰告白と規定してさしつかえないと 思われる」(Browne 著 生田・宮本訳,1998: 309). (14) STEAM pyramid history

https://steamedu.com/pyramidhistory/

(15) 「CNAEA, 1994; Featherstone, 1986; IRA-NCTE, 1996; ITEA, 2000; NASPE, 2004; NCSS, 1994」(Yakman, 2008: 16)と,

(10)

リベラルアーツについての書籍や複数の教育団体のスタ ンダードが示され,それらについて調査,研究した事 実は述べられているが,具体的にどの部分に立脚して ARTSの概念を確立したかという理論的な記述が見当た らない. (16) STΣ@M Reg. No. 4,270,906 first used—Oct. 3rd, 2007 first commercialized—Oct. 3rd, 2007

(17) STΣ@M=Science & Technology interpreted through Engineering & the Arts, all based in Mathematical elements. Reg. No. 4,315,629

first used—Apr. 11th, 2007 first commercialized—June 1st, 2007 Copyright Registration VA 1-799-658 (18) Pyramid

First published Feb 23, 2008 Copyright Registration VA 1-799-658 (19) STΣ@M Education https://steamedu.com/ (20) 「これらは,(略)プラトンのアカデメイアと,(略)イ ソクラテスの修辞学校などによって継承されてゆき,『教 養の環』(enkyklios paideia[『百科事典』の語源])の名 で呼ばれるにいたる.人々がこの語に託したのは,『青 年の人格的陶冶と有徳なる市民の育成は,専門科目で はない諸学によってこそなされる』という思いであっ た.農耕術などの実学を『奴隷の学』と呼び,自由人た る市民に対しては個別学を超えた総合的判断能力を求め たギリシャの人々の考えが,この語には込められている. (略)『自由学芸』という名称は,『自由人が学ぶにふさ わしい諸学』の謂である」中川(2008: 76–77)(下線は 筆者). (21) リベラルアーツ教育を謳っている中学校や高等学校が 存在する.以下に示す. 神田女学園中学校高等学校 https://www.kandajogakuen.ed.jp/education/liberal_arts/ 実践学園中学・高等学校 https://www.jissengakuen-h.ed.jp/shs/liberal_arts_shs/ 市川学園市川中学校・高等学校 http://www.ichigaku.ac.jp/schoolinformation/nazuna/104-1/ ヴォーリズ学園 近江兄弟社高等学校 http://vories.ac.jp/SeniorHigh/special/ 文献

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(11)

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