F .
(1 7) 下村 : ロ靴電気泳潮 に関す る研究 ( 第 3 報) 973
( 長崎大学 薬学部 ,長崎 市) .( 昭和 3 0 ・ 年 2 月 21 日受 理)
口 紙 電 気 泳 動 に 関 す る 研 究 ( 第 3 報 )
難 溶性 塩 お よび錯 イオ ンの生 成時 にお け る濃 度 一泳 動 度 曲線 につ いて
下 村 値
F q
・ ′ 第 ′ 2報
1)におい て弱酸 および弱塩基の泳動 度 と電解液
・ の pH との関係 について検討 し,それ らの解離定数か ら 分 離 に適 当な pH 条件 を推定で きることを知 り緒 た。
試料 イオ ンの泳 動 皮に大 きな影響 を串よぼす電解液組 成 として は,前報 の水素 イオ ンのほかに難溶性垢 または
・ 錯 イオ ンを生 成す るよ うなイオ ンが考 え られ る
。錯 イオ ンの生成 は効果 的な金属 イオ ンの分離法 としてすでに多 数の報告2 )をみ ることがで きるが ,それ らにおけ る分離
̲ 条件 は経験的に求 め られた ものが多 く,一段的な分灘 条 件 の選定法 に関す る報告 はまだないよ うであ る
。また著 者は さ きに C卜 , Br ,Ⅰ を鉛塩電解液 を 用 いて明際 に分離検 出で きることを知 った*。 とれは溶解度の 異 な ったハ ロゲ ン化鉛 の生成によ ると考 え られ るが , この種 の分離法 について もまだ報告 をみないよ うである。
. 著 者 は難溶性塩 および錯 イオ ン生成の場合について, そ れ らが いか な る場合に分離 に利用 で きるか,また分離
・
・ に利用 で きる場合 にはいかな る条件 を選 ぶべ きか を知 る ために試 料 イオ ンの泳動 度 と電解液地建 との既係 を求 め
・ て溶解 度 ,錯解 離定数等 との比較 を試みた。
また さ らに難静 陸塙 または錯 イオ ン生成時の泳動 度に 対す る pH の影響 を知 るために,種 々の pH において泳 動度 と電解液濃度 との関係 を求 め,分離 に好都合 な濃度 ● 一 条件 および pH 条件 につ いて検討 した。
実 験
A.実験方法
装置 および 実験操作法 は 前報 と 同様であ るので省 略 し,他 の二 ,三 の点について述べ る。
(a) 濃 度‑泳動 度曲線 を求 める実験におけ る電解液 : t 篤 1表 中のA液 とB液 を種 々の比 に混 じて使用 した。 A
1 ) 下村,本誌 76 ,5 6 2 ( 1 9 5 5 ) . 一
‥ 2 ) H.H.St r a in , Anal .Che m.24,3 5 7( 1 9 5 2 ); 牧,分析化学
3 ,3 9 3( 1 9 5 4 ) 等.
‑
‑暮
未発表 . , 0. 0 5mol e Pb( NOB )2 を用い 1 0V/ cm , 1 時間で C] ‑:‑9. 0cm ,
13r‑
I.:‑ ‑7 . 5cm,I ‑:‑5 . 0cm ( 1 9o C) .
液 は試料 イオ ンC P泳動 度の影響 を与 えると考 え られ る を含み,B 液 は試料 イオ ンの泳動 度に無関係で,かつ 液 との混合 によって A 液成分の濃度以 外の影響 ( pH , オ ン強圧, 電流値等) が な るべ く生 じないよ うに 選 だ。
第 1表 電解 液 の組 成 ( 1)
電 解 液 の
和知
‑ー ̲ ー ̲ ̲ ̲ ‑̲ ー ∫‑
鎗 塩
鉄 塔
鉄 塩
食 塩
ヨ ウ 化 カ リ ウム シア ン化 カ リ ウ
ム
シ ュ ウ 酸
A ( mol e) P b ( N O B ) 2 0 . 03
A g N O3 0 . 0 4
F e (N OB ) 3
1/ 60
0. 03
0 . 01
0 . 0 4
0 . 01
KCN 0 . 0 5
シ ュ ウ 酸 0. 05
B
( mol e)
NaN O3 0 . O i
( K "崇 . ? 3
( :a I .
?3
( 崇 . 0 3
( K H: O i 3 3
( K K. " : 3
0 . 0 :
0 . 0 :
0 . 0 ∠
0 . 0 (
0 . 0 :
0
.0:0 . 0 ∠
0 .0:
0 .0と 0 . 0(
酢
酸0 . 1
しか しシ ュウ酸電解液 においては電流値が各濃度 にく って大 きな変化 を示 した。多 くの実験 において は有効 享 の濃度 を 0. 03 , 0. 01 , 0. 0 0 3 , 0. 0 01 , 0. 0 0 0 3 , 0. 0 0 0 mol eの 6 種 を用 いて実験 した。
( b) 牡建一泳動 度 曲線 に対す る pH の影響 を知 るブ めの電解液 :第 2 表 の4, B を混 じて製 した種 ・ kの濃 I E
の液 と, B , Cを混. じて製 した種 々の pH の液 とを種
ノの組合せで それぞれ 同容ずつ 混合 して 用 いた。 この毛 令,鉛塩 , ヨウ化 カ リウムについては各寵解滋 の pHE . Aの含量 によってほ とん ど変化 しないが , クエ ン酸で 与 く その相違が大 きいので各電解液 について それぞれ pH , : 測定 した。 pH の測 定 は前報 にな らい ロ紙吸収後の桁毎
について行 った。
なお第 1 表 B 欄 中
に2 種記入 してあ るのは 共存で J
り,第 2 表 C 欄 中の ものは各 々別 の溶液 を示す。
97 4 . 昭 和 3 0 年 9 月 日 本 化 学 雑 誌
節76 番
第9 号 (1 8 )
第 2 表 電解液の組成 (2) 電解液
の種 穀
* 水 酸化 カ リウム を加 えて 自沈 の 生 じな い 程 度 に 中
和 した もの( pH 5. 7 ) .
(C) ロ紙 :寛洋 口紅 No.1 31 , 1×6 0cm の ものを 用いた。食塩電解液 を用い る実験のみに対 しては,あ ら か じめ脱塩処理 をほ どこした ものを用いた。すなわち■ , 1/ 1 00mol e 水酸化 アンモニウムで 潤 して 1 2 V / c m で 5 時間通電後, 1 5 分間蒸留水の流れで 洗い 夙乾 して用 いたが,実験の結果 よ り脱塩が不完全であったか もしれ
ない と考 え られ る。 ●
(d) 顕 色 :本実験では顕色法の鋭敏 匿が その結果 l に相当影響す ると考 えられ るが,鋭敏度 を同一 にす るこ とは困難であるので 第 3表 の試薬で 普通 の方法によっ
た。B. 実験結 果
難溶性塩および錯イオ ン生成時における有効塩の汲度 と泳動度 との関係 を第 1 ‑6 図に,またp H の影響 につ
A ・ J
tTJ8u IU ㌦ ル /
2 3 4
‑1 0 gC 21o C
第 3 表 顕色法
試 料 イ オ ン 顕 色 試 薬
C卜 , Br ‑ , Ⅰ ‑, Cr O4 2 ‑, S2 03 2 , 酒 石 酸
Br Oa , Ⅰ 03 , NO2
‑Fe( CN) 6 4 , CNS ,サ リチ ル 酸
Fe( CN) 6 3
Ag十,Pb2 十 , Hg2 + , Cd2 十 , Cu2 十 , Ni 2 十 , CO2 十
A1 3 + P
O 435% AgNO3 , 紫 外線.
50 / oKI , 50 / oH2 SO
4r5% 鉄 明バ ン 5% FeSO4 5% Na乞 s
キ ナ リザ■リ ン モ リ ブ デ ン酸 ア ン モ
ニ ウ ムー SnC1 2
いては第 7‑9図に示 した。図は縦 軸 に泳動 度,横軸 に・
有効塩捜度の逆数の対数 をと り,実験温度 は水温で表わ・
し● た。図の曲線申第 1 ‑3 図,第 5 図 (コバル ト,ニ ッ
ケ ル) , 第 6図 ( 鉛 , 級), 第 7図, 第 8図 ( 鉛) は牲 溶性塩生成の場合で,その他 は錯 イオ ン生成 と考 えられ るが明確 に区別で きない もの もある。曲線中の点線 は顕 色 した色樺の不鮮明,ぼけ,あるいは尾 を引 くことを元.
し,矢印は試料 イオ ンが一部原線に留 るか,あるいは極.
端 な尾を引 きはじめる濃度を示すが, このよ う・ な部分 は 分離に利用す るには不適当だ と考 えられ る。
本実験に用いた試料イオ ン間の分離に対 す る最適濃度一 および pH 条件 は図よ りただ ちに知 ることがで きる。た
とえば,第 1 図よ り ■ CI , B「 ,Ⅰ は鉛 イオ ンの 濃度
第 1 図 ◆ 鉛塩電解液 (1) 第 2 図 鉛塩電解液 (2)
2 3 4
‑1 0gC
20o C
第 3 国 鉄塩電解液 l
(1 9) 下村 : 口紅電 気 泳 動 に関 す る研 究 ( 第 3 報) 97 f ・
TiE 官 n
A ・J tI rZ,u 13
1 9 C . C シュ ウ酸 1 8 o C , 鉄 塩 21 o C 食 塩 2 0o C ,ヨウ化 カ リウ ム 21 o C
, 第 4 凶 シア ンイヒカ リウム電 解 液 第 5 区Ⅰ シュ ウ酸電 解 液 (・印) 第 6 図 食 塩 電 解 液 ( ○印) お よび鉄 塩電 解 液 () く 印) お よび ヨウ化 カ リウム詑 解 液
(×印)
慕̲;射:・II;.I.I
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1 5 o C
.^ ・ 1 .q‑[ ・btu U
1 2c c
第 7 図 鎗 塩電 解 液 に 第 8 図 ヨウ化 カ リウム電 解 お け る pH の影 響 液 にお け る pH の影 響
ト ̲ T iU
0
con
/ , / . . 〆 , ナ y
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′/ ′/ 1
.1Jり・‑ バh弓 ノ ー
′g 十3
411oC
(種々の濃度における pH 一泳 動皮
rr摘泉より二次的に得た) 第 9 図クエン酸電解液に おける pH の影響
が かな り大 きな 電解液で 完全に 分離で きることがわか なお第 7 ‑9図における泳動度は電気参透の影響 を るo その他図よ り種 々の ことを知 り得 るが, これ らにつ 報 と同様の方法で補正 してあるが,第 1 ‑6 図におい
い ては次項で述べ る
。は補正 を行わなか った。
97 6 昭和 30 年 9月 日 本 化 学 雑 誌
飾76
各 節9 号 (20)
考 察
A・難溶性塩が生成す る場合の濃度‑泳動度曲線 試料 イオ ンと電解液成分 とが 難 惰性塩 を蕉成す るよ う な場 合で ,第 1 ‑3回,第 5 B 盛の コバル ト, ニ ッケル, 第 6 回の鉛 ,銀等が この壕 合 に相 当す る。動静 性塩 の飽 和濃 度付近 の弘虻におけ る電離 に関 しては解離定数 のよ うな ものが与 え られていないので,前報 におけ るpH の よ うにその曲線 の推定 を試み ることはで きない。以下脅 曲線 の一般的性 質および熔解度,俗解積 と比較 し● て得 た 二 ,三 の知見 を記す。
(a) 曲線 の一般的性質 :一般にその物 ' g iが難溶性で あ ると考 え られ● る場 合は ど曲線 の傾斜部が 図の右 のカ に あ り,かつ傾斜が急 である
。また有 横酸 の場合 は傾斜が 比較 的に暖 かであるが , 灘 塵酸 で しか も難瀞 性の場 合 は ほ とん ど垂直 ( 鉛婦中の CrO4 2,Fe( CN) 6 4 ‑,銀婦 中
の C 卜 等) にな るか, ある 濃 度以 上で 長 く尾 を 引 く ( 銀塊 中の CrO4 2,Ⅰ 03 等) ことが多 く, このよ うな 場 合 には濃度で泳動 度 を調節す ることが で きないか ら分 離 には利用で きない。
また田 よ り一 般に約 0・ 000 3mol e以下 の 払 蛙で はほ とん ど泳動 度 に影響 しない ことを知 り得 る
。(b) 溶解度 との比較 :第 4 表 に ロ紙上で生 成す ると 考 え られ る難静 性 塩 ゐ 溶解度 と3 ) , 各 曲晩 の 泳動 度変 化亀 鑑 とを色鞘 の性状 によ りA. B.C.D に分 けて表 余 したoAは溶解度がかな り大で , 実験 した牲度範囲で は ほ とん ど泳動 度が変化 しない もの, B 闇 色相が比較的鮮 明で その泳動 度変化が分離 に利用 で きる もの, Cは色鞘 が幾分 ぼけて変化が非' T T , ' に急 な もの, D は著 し く尾 をひ くか あ るい は二部原線 に留 る もので,泳動 度変化渉度 と しては泳動 度が大体 1/ 2 にな る点の洗度 を とった。第 4 表 よ りB の場 合 の泳動度 変 化洩比 は大林 1 0‑2 ・ 5mol eよ り大で,その場 合 の 搭解度 は 無横堤 で 1 0‑3mol e以 上, 有機塩 の場合 はや や小 で 1 0‑5mol e以 上 , また泳動 度 変化 を起 すに必婁 な 最大溶解度 は BrO3 ‑ ( 銀塊 申) の
ごと き例 外 もあるが ,大体 1 0‑ 1 ・ 5mol e 位で あ ると推定 され る
Cすなわ ち溶解姥が 大体 1 0‑
1・ 5 ‑1 0‑Smot e ( 鮮 磯塩),1 0 5mol e ( 有機垢)の範囲にあれ ば改定 による 泳動 度の変化 を分離 に利用 で きると考 え られ る。また試 料 イオ ンと闇解液 イオ ンが反対 の組合せの場 合 は,第 4 表 の Pb‑C l ,Pb‑Ⅰおよび Ag‑Cl の例 か ら, 両 者の汰
3)
本 報 中の潜解皮お よび錯解離定数 は下 記文献 によ った.
日本化学会 =化学便覧" ( 1 9 5 2 )・ , 電気化学協会 ‑電気化学班覧"
( 1 9 5 3 );A・ Sei de l l , HSol ubi l i t i es of l nor gani c and Met alOr gani cCompounds" ( 1 9 4 0 ) .
第 4 表 溶 解鹿 と泳動政変イヒ渋皮 との 閲 係
A
BrO3 同 上 Pb ヱ十
ビク1 )ン酸
鉛 塩
鎚 塩
食
塩
鉛
塩Cl Br
Ⅰ ‑ NO 了
S2 03 2 Fe( CN)6 3
酒 石 酸 サ 1 )チル離 Pb2 十 Co2 十
+ Cq fL 0 N N
α=1. 47 α‑2. 25 α=1. 46
α=1. 46 α‑1. 64 α‑2. 85
α=3. 02 α‑1. 4 a=4. 0 4
α=2. 85 α‑3. 84 α=4. 69 α=1. 71
a‑1. 3 b‑1. 4 a‑1. 6 a‑1. 9 a‑2. 4 b . ‑1. 4 a‑2. 4 a‑・ 1. 8 a‑1. 7 b‑2. 2 a‑2. 3 . ら‑1. 4
. D 42 l 0 3 cr m
〟
PO4 3 Ag十 ( 轟 接
Q義 泡
QP避 撃 7)y 観 .翼 常 盤 )
q3 2
極 〃 塩
鉛 塩
鎚
塩食 塩
一′一■′
ノXt
∫
∫ ′
′α=4. 1 α=3. 81 α‑4. 45 α‑4. 81 α‑5. 0
c̲i一一一6
.
・1
一一
メ
む>3. 5
̲I‑I‑
A
‑日 80 ‑ ‑ ‑ で ニ
1 2 3 45 6 7 α ( 溶解度の逆 数 の対数) 第 1 0
凶溶解鹿 と泳動皮変化濃度 との的係 動 度変化
汲度 は必ず し も一致 しない ことを知 り得 る
oB・
および C の場合 における溶解度 と泳動 皮変化濃度 との粥 係 を図示すれば,第 1 0 図の ごと く同一線 上にはないが, I 大体 の泳動 度変化漁度 は溶解 度 よ り推定で きると考 えら れ る
。(C) 溶解積 との比較 ‥溶解積 を知 り得 た塩約 1 0 種・
について溶解度 の場合 と同様 に して比較 したが ,溶解 度
の場合以 上の ことを知 り得 なか ったoなお溶解積 よ り擾
(21) 下村 : ロ釈電気泳動 に閲す る研 究 ( 第 3 報) 9 7 7
諭的 に泳動度変化濃度を知 るために, ロ紙の吸着によ● る 電解顔中のイオ ン 牡 鹿の減少の測定 を試みてい るが,ま だ結論 を得 ない' )
B. 錯 イオ ンが生成す る場合の濃度一泳動度曲線
(a) 曲線 の‑股的性質' ・第 4 図, 第 5 図( AI 缶 + , Fe 3 + ,
サ リチ