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平成25年 度 修 士学位論文

自発 運 動 が 摂 食 行 動 に 及 ぼ す 影 響 一ス トレス との 関 連 性 一

首都大学東京大学院 人 間健康科学研 究科 人 間健康科学 専攻 ヘル スプ ロモ0シ ョンサイエンス学域

田村

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別紙様式1

修 士 学 位 論 文

自発 運 動 が 摂 食 行 動 に 及 ぼ す 影 響

一ス ト レ ス と の 関 連 性 一

平 成26年1月8日 提 出

首 都 大 学 東 京 大 学 院

人 間 健 康 科 学 研 究 科 博 士 前 期 課 程 人 間 健 康 科 学 専 攻 ヘ ル ス プ ロモ ー シ ョ ンサ イ エ ン ス 学 域 学 修 番 号:12899605

名:田

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要 旨

ス トレ ス に よ り摂 食 抑 制 が 生 じ る こ と は よ く知 られ て い る 。 ス ト レ ス 性 の 摂 食 抑 制 に は 、 視 床 下 部 ・下 垂 体 ・副 腎 皮 質 軸(且PA軸)の 活 性 化 や 視 床 下 部 コ ル チ コ トロ ピ ン 放 出 因 子(CRF)ニ ュ ー ロ ン の 賦 活 が 関 与 し て い る こ と が 示 唆 さ れ て い る。HPA軸 神 経 内 分 泌 系 の ひ とつ で あ り、 ま たCRFニ ュ0ロ ン はHPA軸 の 惹 起 に 加 え 自律 神 経 系 や 情 動 反 応 を 調 節 して お り、 い ず れ も 生 体 に お け る 主 要 な ス トレ ス 反 応 系 で あ る 。 これ ま で い くつ か の 研 究 か ら 、 運 動 に よ り摂 食 抑 制 が 生 じ る こ とが 報 告 され て い る 。 強 制 運 動 や 高 強 度 の 運 動 で は 且PA軸 やCRF=一 ユ ー ロ ン の 活 性 化 が 引 き 起 こ され る こ

と が 知 られ て い る こ と か ら 、 ス トレ ス 性 の 摂 食 抑 制 が 生 じて い る と考 え られ る 。 し か し一 方 で 、 自発 運 動 で は 、 強 制 運 動 で み られ る よ う な ス ト レス 反 応 系 の 応 答 は ほ と ん ど生 じ て い な い に も か か わ らず 、 摂 食 抑 制 が 生 じ る こ と が 報 告 され て い る 。 こ の こ と は 、 自発 運 動 に よ る 摂 食 抑 制 の メ カ ニ ズ ム は 、 必 ず し も ス ト レ ス 性 の 摂 食 抑 制 と は 一 致 し な い 可 能 性 を 示 唆 す る。 そ こ で 本 研 究 で は 、 自発 運 動 に よ る 摂 食 行 動 へ の 影 響 が ス ト レ ス 性 の 摂 食 抑 制 と異 な る か ど うか を 明 らか に す る こ と を 目的 と し、 自発 運 動 と ス トレ ス 負 荷 に よ る 摂 食 行 動 、 ス トレ ス 関 連 行 動 、 お よ び 摂 食 関 連 脳 部 位 の 神 経 活 動

の 変 化 に つ い て 比 較 検 討 した 。 実 験 に は 、Wistar系 雄 ラ ッ トを 用 い 、通 常 飼 育 群(コ ン トロ ー ル 群)、 自発 運 動 群(ラ ン ニ ン グ ホ イ ー ル へ の 自 由 ア ク セ ス)、 ス トレ ス 群(拘 束 ス ト レス:2時 間/日)の3 群 に 分 け4週 間 飼 育 し 、 摂 食 量 の 経 時 的 変 化 、 ス ト レス 関 連 行 動 お よ び 摂 食 関 連 脳 部 位 の 神 経 活 動 に つ い て 比 較 検 討 し た 。 ス ト レ ス 関 連 行 動 は 高 架 式 十 字 迷 路 テ ス ト(不 安 様 行 動 評 価 テ ス ト)を 用 い て 評 価 し、 脳 内 神 経 活 動 に っ い て は 免 疫 組 織 化 学 的 方 法 に よ り同 定 した(実 験1)。 ま た 、 実 験1の 結 果 が 短 期 間 の 飼 育 条 件 で も み られ る か ど

うか を 確 認 す る た め に 、 飼 育 期 間 を1週 間 と して 同 様 の 実 験 方 法 に よ り検 討 した(実 験2)。 さ ら に 、CRF受 容 体 阻 害 薬 の 脳 室 内 慢 性 投 与 が 自発 運 動 に よ る摂 食 行 動 に 影 響 す る か ど うか に っ い て 行 動 薬 理 学 的 観 点 か ら検 討 し た(実 験3)。

実 験 の 結 果 、 自発 運 動 群 、 ス ト レス 群 と も に飼 育 開 始1週 目か ら摂 食 抑 制 が み と め ら れ た(実 験1,2)。 し か し 、 ス トレ ス 群 で は そ の 後 も摂 食 量 が 抑 制 さ れ た ま ま で あ っ た に も か か わ らず 、自発 運 動 群 で は 飼 育3週 目か ら摂 食 量 は 回 復 す る 傾 向 に あ っ た(実 験1)。 ス トレ ス 関 連 行 動 に つ い て は 、 自発 運 動 群 で 低 下 あ る い は ス トレ ス 群 で 増 加 す

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る傾 向 が み と め ら れ た 。 ま た 神 経 活 動 に つ い て は 、 ス ト レ ス 反 応 お よ び 情 動 反 応 と 関 連 す る 摂 食 関 連 脳 部 位(視 床 下 部 室 傍 核 、 扁 桃 体)の 神 経 活 動 に 自発 運 動 群 と ス ト レ ス 群 の 間 に 差 が み ら れ た 。 興 味 深 い こ と に 、 末 梢 の 栄 養 状 態 を 脳 に 伝 え る 脳 部 位(視 床 下 部 弓 状 核)に も 自発 運 動 群 と ス ト レス 群 に 差 異 が み と め られ た(実 験1,2)。 さ ら に 行 動 薬 理 学 的 実 験 か ら 、CRF受 容 体 阻 害 薬 の 脳 室 内 慢 性 投 与 は 自 発 運 動 に よ る 摂 食 抑 制 を 阻 害 し な か っ た(実 験3)。

こ れ ら の 結 果 か ら 、 自発 運 動 は 、 ス ト レ ス 負 荷 と 同 様 に 摂 食 抑 制 を 引 き 起 こす が 、 摂 食 量 の 経 時 的 変 化 、 ス ト レ ス 関 連 行 動 、 摂 食 関 連 脳 部 位 の 神 経 活 動 は ス トレ ス 負 荷 に よ る反 応 と異 な る こ と が 示 唆 さ れ た 。 ま た 、 自発 運 動 に よ る 摂 食 抑 制 に はCRF神 系 の 関 与 は 少 な く 、 ス ト レ ス 性 の 摂 食 抑 制 メ カ ニ ズ ム を 介 し て い な い 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。 以 上 の こ と か ら、 自発 運 動 は 一 過 性 に 摂 食 抑 制 を 引 き 起 こ す が 、 そ の 摂 食 抑 制 は ス トレ ス 性 の も の と は 異 な る も の と考 え られ る 。

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目次

第1章 緒 言 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …1 第2章 研 究 の 背 景 ・ ・ ・ … 。 ・ ・ ・ …'・'● ●"● ・ …4 第1節 摂 食 行 動 の 調 節 に 関 与 す る 神 経 機 構 ・ ・ ・ ・ ・ …4 第2節 ト レ ス に よ る 摂 食 へ の 影 響 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …9 第3節 運 動 と 摂 食 行 動 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …14 第4節 免 疫 組 織 化 学 染 色 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …17 第5節 行 動 学 的 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …19

第3章 験1.・

3.1目 …...

3.2方 …...

3.3結 …...

3.4考 …...。 。...。..。 。.

000一り22224

第4章 験2.・ …49

4.1目 …49

4.2方 …50

4.3結 …52

4.4考 …70

第5章 験3.・ …72

5.1目 …72

5.2方 …72

5.3結 …75

5.4考 …83

第6章 …85

a射 舌 辛 …6・ 。89

…90

…'●"●"●96

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第1章 緒 言

摂 食 行 動 は 、 生 体 内 の エ ネ ル ギ0状 態 の 変 化 に よ っ て 決 定 され る こ とは よ く知 られ て い る。

生 体 に お け る 主 な エ ネ ル ギ ー 源 は グ ル コー ス や 遊 離 脂 肪 酸 で あ る が 、血 液 中 の これ ら の変 化 に 応 じて 摂 食 行 動 が 調 節 され て い る。 さ らに 長 期 的 に は 、体 内 に 貯 蔵 され て い る脂 肪 組 織 か らの 情 報(例 え ば レプ チ ン)に よ っ て も影 響 を 受 け て い る。 通 常 、 摂 食 量 は これ ら の シ グ ナ ル を も と に 消 費 エ ネ ル ギ0と 摂 取 エ ネ ル ギ0が 等 し く な る よ うに調 節 され て お り、そ の調 節 に は視 床 下 部 が 重 要 な 役 割 を 果 た し て い る 。

視 床 下 部 に よ る 摂 食 行 動 の 調 節 に お い て 、 特 に 重 要 な 脳 部 位 は 視 床 下 部 外 側 野(lateral hypothalamus:LH)と 視 床 下 部 腹 内側 核(ventromedialhypothalamus:VMH)で あ る。LHの 損 傷 は 深 刻 な摂 食 量 の 低 下 を 引 き 起 こす こ と か ら摂 食 行 動 の 促 進 に 重 要 な 脳 部 位 で あ る。一 方 、 VMHの 損 傷 は過 食 と肥 満 を 引 き 起 こす こ とか ら満 腹 中 枢 と も い わ れ 、摂 食 行 動 の 抑 制 に重 要

な 脳 部 位 で あ る。 これ らのL且 、VM且 は 血 中 の 遊 離 脂 肪 酸 や グ ル コー ス の 状 態 を 感 受 し、 摂 食 行 動 に 対 して 拮 抗 的 に 作 用 す る こ とに よ りエ ネ ル ギ ー バ ラ ン ス を調 節 し て い る(Anandand Brobeck,1951;Belletal.,2007)。 ま た 、 これ らの脳 部 位 へ は 視 床 下 部 弓 状 核(hypothalamic

arcuatenucleus:Arc)か ら 内 的 エ ネ ル ギ ー 状 態 に 関 す る情 報 が 送 られ て お り、脂 肪 組 織 か ら分 泌 され る レプ チ ン、す い 臓 か ら分 泌 され るイ ン ス リン 、 胃 か ら分 泌 され る グ レ リ ン な ど 、末 梢 の 栄 養 状 態 に 関 わ る ホ ル モ ン を受 容 して 、そ の情 報 をL且 お よびVMHに 伝 え て い る。 この よ うにLHお よびVMHは 、エ ネ ル ギー 状 態 の 恒 常 性 が 維 持 され る よ う摂 食 行 動 を 調 節 す る 基 盤 とな る脳 部 位 で あ る とい え る。

摂 食 調 節 に 影 響 を 及 ぼ す 要 因 と して 、エ ネ ル ギ0バ ラ ン ス の維 持 以 外 の も の も明 らか と な っ て き て い る 。 例 え ば 、 ス トレス を感 じ る と食 欲 の 低 下 あ る い は 過 剰 充 進 が 生 じる こ とが あ る。

こ の ス トレス 性 の 摂 食 行 動 の 変 化 に は 、ス ト レス応 答 に お い て 重 要 な脳 部 位 で あ る視 床 下 部 室 傍 核 や 、情 動 や 恐 怖 反 応 に お い て 重 要 な脳 部 位 で あ る扁 桃 体 の 関 与 が 示 唆 され て い る(Smagin etal.,1999;Jochmanetal.,2005)。 ま た 、 何 を食 べ る か に よ っ て も摂 食 行 動 は変 化 し 、嗜 好 性 の 高 い 食 物 は摂 食 行 動 を 促 進 す る こ と が 知 られ て い る。これ は 様 々 な行 動 に 対 す る動 機 づ け お よ び 快 の感 覚 に お い て 重 要 な 腹 側 被 蓋 野 の ドー パ ミ ン 神 経 活 動 の 充 進 に よ る も の で あ る

こ とが 示 唆 され て い る(Avenaetal.,2008;Kudoetal.,2012;CiccocioPPoetal.,2003)。

さ らに 、摂 食 障 害 、例 え ば神 経 性 大 食 症 や 神 経 性 無 食 欲 症 を示 す 患 者 で は 、食 欲 に 異 常 が 生 じ て お り、これ ら の 患 者 で は セ ロ トニ ン レベ ル の長 期 的 な低 下 が 生 じ て い る こ とが 報 告 され て い る(Kayeetal.,2005;Kayeetal.,2008)。 セ ロ トニ ン は 気 分 の調 節 や 免 疫 系 の 反 応 を 変 化 さ

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せ 、 摂 食 行 動 に 影 響 す る も の と 考 え ら れ て い る(Kopfetal.,2011)。 こ れ ら の こ と か ら 、 摂 食 行 動 は 内 的 な エ ネ ル ギ ー 状 態 の 変 化 だ け で な く 、情 動 性 の 変 化 や 嗜 癖 な ど に よ っ て も 影 響 を 受

け る こ と が 考 え ら れ る 。

こ の よ う に 、 摂 食 行 動 は 複 雑 な メ カ ニ ズ ム に よ り制 御 さ れ て い る が 、摂 食 行 動 の 調 節 は 肥 満 解 消 や ダ イ エ ッ トに 密 接 に 関 わ り 、 社 会 的 に も 注 目 を 浴 び て い る 。 近 年 、 肥 満 の 予 防 ・改 善 や 体 重 管 理 に 、 運 動 が 身 近 で 効 果 的 な 方 法 と し て 用 い ら れ て い る 。 一 般 的 に 、 運 動 は エ ネ ル ギ ー 消 費 量 を 増 加 させ る こ と に よ り体 重 の 減 少 を 引 き 起 こ す と 考 え られ て い る 。 し か し 、 運 動 に よ る 体 重 減 少 お よ び 肥 満 予 防 へ の 効 果 は エ ネ ル ギ ー 消 費 量 の 増 大 の み に よ る も の で は な い こ と をEbalら(2006)は 指 摘 し た 。 彼 ら は 、 ラ ッ トに 低 強 度 の 運 動 を 課 す と 主 に 体 脂 肪 率 の 低 下 に よ る 体 重 減 少 が み ら れ た が 、こ の 体 重 減 少 は 運 動 に よ る カ ロ リ ー 消 費 量 の 増 加 で 計 算 上 期 待 さ れ る 体 重 減 少 量 よ り も 遥 か に 大 き か っ た 。 運 動 を 課 し た 群 に お い て 、 コ ン トロ ー ル 群 よ り も 摂 食 量 が11%低 下 し て お り 、大 幅 な カ ロ リ ー 摂 取 量 の 減 少 が 生 じ て い た こ と を 示 し た 。 こ の こ と か ら彼 ら は 、 運 動 に よ る 体 重 減 少 は 、 摂 食 量 の 低 下 に よ る と こ ろ が 大 き い こ と を 示 唆 し た 。 す な わ ち 、運 動 は エ ネ ル ギ ー 代 謝 だ け で な く 摂 食 行 動 自 体 に も 影 響 す る も の と 考 え られ る 。 し か し 、 運 動 が 摂 食 行 動 に 与 え る 影 響 に つ い て は 、未 だ 不 明 な 点 が 多 い 。 こ れ ま で 運 動 と摂 食 量 の 関 係 に 焦 点 を 当 て た 研 究 は 少 な い が 、運 動 が ス ト レ ス 応 答 を 引 き 起 こ し 、ス ト レ ス 性 の 摂 食 抑 制 を 生 じ て い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ て い る(Zhaoetal.,2011)。

こ れ ま で 多 く の 先 行 研 究 か ら ス ト レ ス 負 荷 が 摂 食 量 を 低 下 さ せ る こ と が 知 ら れ て お り (Chibaetal.,2012)、 こ の ス ト レ ス 性 の 摂 食 抑 制 の メ カ ニ ズ ム と し て 、 大 き く 内 分 泌 系 と神 経 系 の 機 構 の 関 与 が 示 唆 さ れ て い る 。

内 分 泌 系 と し て は 、 ス ト レ ス 応 答 に お い て 中 心 的 な 働 き を す る 視 床 下 部 一下 垂 体 一副 腎 軸 (hypothalamic‑pitutary‑adrenalaxis;且PA軸)の 活 動 が ス ト レ ス 性 の 摂 食 抑 制 に お い て 重 要 な 役 割 を 担 う こ と が 明 ら か に な っ て き て い る 。 且PA軸 と は 、ス ト レ ス 刺 激 に よ っ てPVNの ル チ コ ト ロ ピ ン 放 出 因 子(corticotropin・releasingfactor:CRF)神 経 活 動 が 充 進 さ れ 、 血 中 へ 放

出 さ れ たCRFが 下 垂 体 に お い て 副 腎 皮 質 刺 激 ホ ル モ ン(adrenocorticotropichormone:ACTH)

の 血 流 へ の 分 泌 を 促 進 し 、ACTHを 受 容 す る 副 腎 に お い て グ ル コ コ ル チ コ イ ドの 分 泌 が 促 進 さ れ る ス ト レ ス 反 応 系 で あ る(Dallmanetal.,1994;且ermanetal.,1997)。CRFやACTHが

ス ト レ ス 性 の 摂 食 抑 制 に 関 与 す る こ と が 多 く の 先 行 研 究 に よ り示 唆 さ れ て い る(且ottaetal., 1991;Richardetal.,2002;Krahnetal.,1986;Ferrarietal.,1992)。 ま た 、 グ ル コ コ ル チ コ イ ドに は 摂 食 促 進 効 果(Tatarannietal.,1996;UchoaetaL,2010)と 摂 食 抑 制 効 果(Won Jahngetal.,2008)両 方 の 報 告 が な さ れ て い る 。 こ れ ら の こ と か ら 、 ス ト レ ス 性 の 摂 食 行 動 の

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調 節 に 対 し てHPA軸 の 活 動 が 重 要 で あ り 、CRFやACT且 、 グ ル コ コ ル チ コ イ ドが 直 接 的 ・ 間 接 的 に 摂 食 調 節 を 司 る 脳 部 位 に 作 用 し て ス ト レ ス 性 の 摂 食 抑 制 に 関 わ る と 考 え られ る 。

ま た 、 神 経 系 に よ る ス ト レ ス 性 の 摂 食 調 節 の メ カ ニ ズ ム と し て は 、CRF神 経 の 関 与 が よ く 知 られ て い る(Hottaetal.,1991;Richardetal.,2002;Krahnetal.,1986;Slnaginetal.,

1999;OhataandShibasaki,2011;Sekinoetal.,2004)。CRFは 且PA軸 反 応 の 引 き 金 と し て 働 く だ け で な く 、神 経 伝 達 物 質 と し て 脳 内 の 広 範 囲 に 存 在 す る 受 容 体 に 作 用 し 、様 々 な ス ト レ ス 反 応 を 調 節 し て い る 。 摂 食 と の 関 連 で は 、PVNの オ キ シ トシ ン 神 経 やL且 の オ レ キ シ ン 神 経 と い っ た 摂 食 調 節 に 重 要 な 神 経 にCRF受 容 体 が 発 現 し て お り 、 ス ト レ ス 性 の 摂 食 抑 制 と

の 関 連 が 示 唆 さ れ て い る(Olsonetal.,1991;小 澤 、2008)。 ま た 、 扁 桃 体 に 存 在 す るCRF受 容 体 も ス ト レ ス 性 の 摂 食 抑 制 に お い て 重 要 な 役 割 を 担 う と 考 え られ て い る(Jochmanetal.,

2005;Ciccocioppoetal.,2003)0

実 際 、 強 制 運 動 や 高 強 度 運 動 は 他 の ス ト レ ス 刺 激 と 同 様 に 且PA軸 お よ びCRF神 経 を 活 性 化 す る こ と が 知 ら れ て お り(Contartezeetal.,2007)、 先 述 の よ う に 、 こ れ ら が 運 動 に よ る 摂 食 抑 制 に 関 与 し て い る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。 し か し な が ら 、 運 動 に よ る 且PA軸 やCRF神 の 活 性 化 は 、運 動 の タ イ プ(強 制 ・自 発)、 強 度 、時 間 に 依 存 し て 異 な る こ と も 示 唆 さ れ て い る 。 運 動 の タ イ プ に 関 し て 、Yanagitaら(2007)は 、 ラ ッ トの 実 験 で1時 間 の 自 発 運 動 お よ び 強 制 運 動 に よ るPVNCRF神 経 の 活 動 に つ い て 検 討 し 、 同 一 の 運 動 量(走 行 距 離)に お い て も 強 制 運 動 の ほ う が 自発 運 動 よ り もCRF神 経 の 活 動 が 高 く 、 自 発 運 動 のCRF神 経 活 動 に は 運 動 を し な い コ ン トロ0ル 群 と の 違 い は み ら れ な か っ た こ と を 報 告 し て い る 。 ま たSoyaら(2007)は ッ トの ト レ ッ ド ミル 走 に お い て 、 運 動 強 度 が 乳 酸 性 作 業 閾 値(約20m/minの 走 行 速 度)を こ え る と血 し ょ う 中 のACTI{が 上 昇 す る こ と を 明 ら か に し て い る 。 ま た 、Kawaguchiら(2005)は ラ ッ トを ラ ン ニ ン グ ホ イ ー ル で 自 由 に 走 行 で き る 状 況 で 飼 育 し 、自 発 運 動 に よ っ て も 摂 食 抑 制 が 生 じ る こ と を 報 告 し た 。 こ れ ら の こ と か ら 、 強 制 運 動 や 高 強 度 運 動 で は 且PA軸 の 活 性 化 や CRF神 経 活 動 の 充 進 が 摂 食 抑 制 に 関 与 し て い る 可 能 性 が 考 え られ る が 、 自 発 運 動 に お い て は こ れ ら の ス ト レ ス 反 応 系 の 関 与 は 小 さ い と 考 え られ る 。 す な わ ち 、 自発 運 動 に よ る 摂 食 抑 制 の メ カ ニ ズ ム は 必 ず し も ス ト レ ス 性 の 摂 食 抑 制 メ カ ニ ズ ム と は 一 致 し な い 可 能 性 が 考 え ら れ る 。

そ こ で 本 研 究 で は 、自 発 運 動 に よ る 摂 食 行 動 へ の 影 響 が ス ト レ ス 負 荷 に よ りみ ら れ る 摂 食 抑 制 と 異 な る か ど うか を 明 ら か に す る た め に 、 摂 食 量 、 ス ト レ ス 関 連 行 動 、 脳 内 神 経 活 動 の 観 点 か ら 比 較 検 討 す る こ と と し た 。

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第2章 研 究 の背 景

第1節 摂 食調 節 に関与す る神経機 構

摂 食 行 動 は 、 内 的 な エ ネ ル ギ ー 状 態 の 変 化 に 基 づ い て 決 定 さ れ て お り 、我 々 が エ ネ ル ギ ー 源 と す る グ ル コ ー ス や 遊 離 脂 肪 酸 の 血 液 中 で の 変 化 が 引 き 金 と な り摂 食 行 動 が 調 節 さ れ て い る 。 さ ら に 長 期 的 に は 、体 内 に 貯 蔵 さ れ て い る 脂 肪 か ら の 情 報 に よ っ て も 影 響 を 受 け て い る 。通 常 、 こ れ ら の シ グ ナ ル を も と に 消 費 エ ネ ル ギ ー と 摂 取 エ ネ ル ギ ー が 等 し く な る よ う に 摂 食 量 は 調 節 さ れ て お り 、 こ れ に は 視 床 下 部 外 側 野(lateralhypothalamus:L且)、 視 床 下 部 腹 内 側 核 (ventromedialhypothalamus:VMH)が 重 要 な 役 割 を 担 う。 ま た 、 こ れ ら の 脳 部 位 へ は 視 床 下 部 弓 状 核(hypothalamicarcuatenucleus:Arc)か ら 内 的 エ ネ ル ギ0状 態 に 関 す る 情 報 が 送 ら れ て お り 、Arcは 末 梢 の 栄 養 状 態 に 関 わ る ホ ル モ ン を 受 容 し て 、 そ の 情 報 を 視 床 下 部 外 側 野 お

よ び 腹 内 側 核 に 伝 え て い る 。 こ の よ うに 視 床 下 部 外 側 野 お よ び 腹 内 側 核 は 、エ ネ ル ギ ー 状 態 の 恒 常 性 が 維 持 さ れ る よ う摂 食 行 動 を 調 節 す る 基 盤 と な る 脳 部 位 で あ る と い え る 。

摂 食 行 動 に 影 響 を 与 え る 要 因 と し て 、エ ネ ル ギ ー バ ラ ン ス の 調 整 以 外 の も の も 明 ら か に な っ て き て い る 。 例 え ば 、 ス ト レ ス を 感 じ る と食 欲 の 低 下 あ る い は 過 剰 充 進 が 生 じ る こ と が あ る 。 こ の ス ト レ ス 性 の 摂 食 行 動 の 変 化 に は 、ス ト レ ス 応 答 に お い て 重 要 な 脳 部 位 で あ る 視 床 下 部 室 傍 核(paraventricularnucleus:PVN)や 、 情 動 や 恐 怖 反 応 に お い て 重 要 な 脳 部 位 で あ る 扁 桃 体

の 関 与 が 示 唆 さ れ て い る(Smagineta1.,1999;Jochmanetal.,2005;Cottoneetal.,2009)。

ま た 、何 を 食 べ る か に よ っ て も 摂 食 行 動 は 変 化 し 、 嗜 好 性 の 高 い 食 物 は 摂 食 行 動 を 促 進 す る こ と が 知 ら れ て い る 。 こ れ は 様 々 な 行 動 に 対 す る 動 機 づ け お よ び 快 の 感 覚 に お い て 重 要 な 腹 側 被 蓋 野(ventraltegmentalarea:VTA)の ドー パ ミ ン 神 経 活 動 の 充 進 に よ る も の で あ る こ と が 示 唆 さ れ て い る(Avenaetal.,2008)。 さ ら に 、 摂 食 障 害 、 例 え ば 神 経 性 大 食 症 や 神 経 性 無 食 欲 症 を 示 す 患 者 で は 食 欲 に 異 常 が 生 じ て お り 、こ れ ら の 患 者 で は セ ロ トニ ン レベ ル の 長 期 的 な 低 下 が 生 じ て い る こ と が 報 告 さ れ て い る(Kayeetal.,2005;KayeetaL,2008)。 セ ロ トニ ン 神 経 は 縫 線 核 に 密 集 し て お り 、気 分 の 調 節 や 免 疫 系 の 反 応 を 変 化 さ せ 、摂 食 行 動 に 影 響 す る も の と 考 え ら れ て い る(Kopfetal.,2011)。 こ れ ら の こ と か ら 、 摂 食 行 動 は 内 的 な エ ネ ル ギ ー 状 態 の 変 化 だ け で な く 、 情 動 性 の 変 化 や 嗜 癖 な ど に よ っ て も 影 響 を 受 け る こ と が 考 え ら れ る 。 こ の 節 で は 、 こ れ ら の 摂 食 調 節 に 関 連 す る 神 経 機 構 に つ い て 述 べ る 。

(10)

視 床 下 部 外 側 野(lateralhypothalamus:LH)、 視 床 下 部 腹 内 側 核(ventromedial hypothalamus=VMH)

通 常 の 摂 食 行 動 は 、 内 的 な エ ネ ル ギ ー 状 態 の 変 化 に影 響 を 受 け る。我 々 は グル コ0ス や 脂 肪 酸 をエ ネ ル ギ ー 源 と して 活 動 す る が 、これ らは グ リ コー ゲ ン お よ び 中性 脂 肪 と して 体 内 に 貯 蔵 され る。エ ネ ル ギ ー 源 が 消 費 され るエ ネ ル ギ ー 量 と 同 じ割 合 で使 用 され る な ら 、生 体 は適 切 な バ ラ ン ス状 態 に あ る。エ ネ ル ギ ー 源 の 摂 取 と貯 蓄 が一 貫 し て 消 費 を上 回 る と過 剰 な体 脂 肪 が 増 え 続 け 、肥 満 に 至 る。反 対 に エ ネ ル ギ ー 源 の 摂 取 が 消 費 量 に 追 い つ か な け れ ば 、脂 肪 組 織 は減 少 し、飢 餓 の状 態 に な る。 生 体 が バ ラ ン ス を 保 っ た め に は 、エ ネ ル ギ ー 源 の 貯 蓄 量 と供 給 量 に 基 づ い て摂 食 行 動 を調 節 す る手 段 が 不 可 欠 で あ る。視 床 下 部 は 内 的 エ ネ ル ギ ー 状 態 に 従 っ た 摂 食 調 節 に 関 与 す る こ とが 知 られ て お り、LHは 摂 食 中枢 、VMHは 満 腹 中枢 と して働 き 、 こ れ

ら の脳 部 位 が摂 食 行 動 の 制 御 に お い て 中 心 的 な働 き を持 つ と考 え られ て い る。

LHお よ びVM且 は 、血 中 の ブ ドウ糖 、 イ ン ス リン 、 遊 離 脂 肪 酸 を 受 容 して モ ニ タ リ ン グす る と と もに(Tsunekieta1.,2010)、 末 梢 の 内 的 エ ネ ル ギ ー 状 態 に 関 す る 情 報 をArcか ら受 け 取 る。こ れ らの 情 報 を 受 け てLHお よ びVMHは エ ネ ル ギ ー 状 態 の恒 常 性 が 維 持 され る よ う摂 食 行 動 を 調 節 す る 。Arcは 、 脂 肪 組 織 か ら分 泌 され るホ ル モ ンで あ る レプ チ ン や 、 血 中 グ ル コ ー ス 濃 度 が 上 昇 す る とす い 臓 か ら分 泌 され る イ ン ス リ ン、胃に食 物 が無 い状 態 の時 に 胃か ら分 泌 され る グ レ リン な ど、 末 梢 の 栄 養 状 態 に 関 わ る ホ ル モ ン を 受 容 して 、 そ の 情 報 をLHよ VM且 に 伝 え る。

LHの 損 傷 は 深 刻 な摂 食 量 の低 下 を 引 き起 こ し、 反 対 に 電 気 刺 激 を与 え る と満 腹 の 状 態 で あ っ て も摂 食 行 動 が み られ る こ と か ら、 摂 食 行 動 の促 進 に 重 要 な脳 部 位 で あ る とい われ る。LH は オ レキ シ ンやMCH(メ ラ ニ ン凝 集 ホ ル モ ン:melanin‑concentratinghormone)分 泌 な どの 機 構 を 介 し、 体 内 の様 々 な 器 官 に 作 用 して 摂 食 を促 進 す る(vanDijketal.,2011)。LHの

MCH神 経 は脳 の 広 範 囲 に連 絡 して お り、 特 に エ ネ ル ギ ー 状 態 を 大 脳 皮 質 に 伝 え る 上 で 重 要 な 役 割 を 担 っ て い る と考 え られ て い る 。 ま た 、LHの オ レキ シ ン神 経 は摂 食 促 進 ペ プ チ ドと して 知 られ て お り、 摂 食 行 動 を促 進 す る 。

対 照 的 に 、VMHの 損 傷 は 過 食 と肥 満 を 引 き 起 こす こ とか ら、摂 食 行 動 の 抑 制 に 重 要 な 脳 部 位 で あ る。VMHに は脂 肪 組 織 か ら分 泌 され る ホ ル モ ン で あ る レプ チ ン受 容 体 が 多 く発 現 して

お り、 この レプ チ ン受 容 体 を欠 損 させ る と肥 満 を生 じる こ とが 報 告 され て い る 。

この よ うに視 床 下 部 外 側 野 及 び 腹 内 側 核 は 摂 食 調 節 の 中 心 的 な 役 割 を担 い 、内 的 エ ネ ル ギ ー 状 態 を モ ニ タ リン グ して 摂 食 行 動 を調 節 して い る。

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視 床 下 部 弓 状 核(hypothalamicarcuatenucleus:Arc)

Arcは 、 末 梢 の エ ネ ル ギ0状 態 に 関す る 情 報 を受 け取 る脳 部 位 と して 知 られ る。Arcに は摂 食 調 節 や 基 礎 代 謝 に 重 要 な メ ラ ノ コル チ ン 系 が 存 在 す る(ManiamandMorris,2012)。 メ ラ ノ コル チ ン4型 受 容 体(MC4受 容 体)は 視 床 下 部 、海 馬 、視 床 に 発 現 し、摂 食行 動 の調節 に関与す る こ とが 知 られ る。MC4受 容 体 の 活 性 化 に よ っ て 摂 食 行 動 が 抑 制 され る こ と が 知 られ て お り、

特 にLH、PVNに 分 布 す るMC4受 容 体 が こ の摂 食 抑 制 に 関 与 す る と考 え られ て い る。MC4 受 容 体 に対 して 促 進 的 に 働 く の がproopiomelanocortin(POMC)の 分 解 産 物 で あ り、Arcに 細 胞 体 が 存 在 す る αMSHで あ る 。ま た 、MC4受 容 体 の 内 因 性 阻 害 物 質 と して 知 られ る ア グー チ 関 連 ペ プ チ ド(agouti‑relatedprotein:AgRP)の 細 胞 体 もArcに 存 在 す る。 末 梢 の 脂 肪 細 胞 か ら 分 泌 され る レプ チ ンがArcに お い て 受 容 され る と 、 αMSHの 前 駆 体 で あ るPOMCの 合 成 が 促 進 され る 一 方 でAgRPの 合 成 が 抑 制 され 、食 欲 減 少 や 代 謝 充 進 に働 く。 肥 満 者 に お い て は AgRPの 過 剰 産 生 やAgRP、MC4受 容 体 お よびPOMCの 遺 伝 的 異 常 が 関 与 す る可 能 性 が あ る

と考 え られ て い る(清水 、2002)。

ま た 、Arcに 存 在 す る ニ ュmペ プ チ ドY(NPY)神 経 の 細 胞 体 も摂 食 調 節 に お い て 重 要 な役 割 を担 う。 空 腹 時 に はNPYの 分 泌 は増 加 し 、ま た 、NPYの 脳 室 内 投 与 は 強 い摂 食 充 進 を 引 き 起 こす こ とが 知 られ る(河 野 、 矢 田 、2007)。NPY神 経 細 胞 は レプ チ ン、 グ レ リン 、 イ ン ス リ ン な ど の受 容 体 を持 ち 、 これ ら の 摂 食 行 動 へ の 影 響 を介 在 す る と考 え られ て い る。 空 腹 時 に 胃 か ら分 泌 され る グ レ リ ン はNPY神 経 活 動 を 充 進 させ 、 摂 食 行 動 を 促 進 させ る と考 え られ て い る 。 ま た 、 脂 肪 細 胞 か ら分 泌 され 、摂 食 抑 制 に働 く レ プ チ ン の 受 容 体 が 弓 状 核NPY神 経 細 胞 に 豊 富 に発 現 し て お り、ArcのNPY神 経 活 動 の 抑 制 を 介 して レプ チ ン が 摂 食 抑 制 を 引 き 起 こ す と考 え られ て い る。NPY神 経 はPOMC神 経 細 胞 に抑 制 性 の投 射 を持 ち 、POMC神 経 細 胞 の 活 動 を抑 制 す る こ と も知 られ る。

こ の よ うに 、Arcに 存 在 す る αMSH、AgRP、NPYな どの 神 経 細 胞 の 活 動 は末 梢 か らの エ ネ ル ギ0バ ラ ン ス に 関連 す る情 報 を 受 け 取 り、摂 食 調 節 に 働 く。

視 床 下 部 室 傍 核(paraventricularnucleu.sofhypothalamus:PVN)

PVNは ス ト レ ス 応 答 に お い て 重 要 な 役 割 を 担 う脳 部 位 で あ る が 、 エ ネ ル ギ ー バ ラ ン ス の 調 節 の た め の 摂 食 調 節 に も 関 与 す る こ と が 知 られ る 。PVNは 、ArcのNPY、AgRP、 お よ びPOMC 神 経 の 投 射 先 と し て 重 要 な 部 位 で あ る 。PVNに はMC4受 容 体 が 豊 富 に 発 現 し て お り 、PVN で のMC4受 容 体 発 現 を 低 下 さ せ る と肥 満 が 生 じ る こ と が 報 告 さ れ て い る(Balthasaretal., 2005)0

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ま た 、PVNのCRF神 経 は 、 全 身 で の ス ト レ ス 応 答 を 引 き 起 こ す 視 床 下 部 一下 垂 体 一副 腎 軸 (hypothalamic・pitutary‑adrenalaxis;HPA軸)の ト リ ガ ー と し て 働 き 、 ス ト レ ス 応 答 に お い て 重 要 な 役 割 を 担 うが 、PVNのCRF神 経 と摂 食 行 動 と の 関 連 性 が 示 唆 さ れ て い る 。 例 え ば 、 PVNお よ び そ の 周 辺 に 存 在 す るCRF2型 受 容 体 の 賦 活 化 に よ り、 摂 食 抑 制 と 体 重 減 少 が 生 じ

る こ と が 示 唆 さ れ て い る(Smagineta1.,1999)。 一 方 で 、PVNのCRF神 経 活 動 が ト リ ガ ー と な りHPA軸 を 活 性 化 す る と 、 グ ル コ コ ル チ コ イ ド(ヒ トで は コ ル チ ゾ ー ル 、 マ ウ ス ・ ラ ッ トで は コ ル チ コ ス テ ロ ン)が 副 腎 皮 質 か ら 分 泌 さ れ 、糖 新 生 や 脂 肪 分 解 が 促 さ れ る と と も に 摂 食 行 動 が 促 進 さ れ る と い う報 告 も あ る(Gluck,2006;WolkowitzetaL,2001)。 ま た 、 ラ ッ ト に 嗜 好 性 の 高 い 餌 を 与 え る と 視 床 下 部 に お け るCRFmRNAの 発 現 レ ベ ル が 低 下 す る こ と や 、

うっ の 患 者 に お い て 過 食 が 脳 脊 髄 液 中 のCRFレ ベ ル を 低 下 さ せ る こ と(Dallmanetal.,2003) が 示 唆 され て い る こ と か ら 、 高 嗜 好 食 の 摂 取 がPVNのCRF神 経 の 活 動 を 抑 制 し 、 ス ト レ ス を 緩 和 す る 可 能 性 が 示 唆 さ れ て い る 。

扁 桃 体

扁 桃 体 は 不 安 や 恐 怖 な どの 負 の 情 動 の 発 現 に 重 要 な の脳 部 位 で あ る こ とが 知 られ る が 、扁 桃 体 が摂 食 行 動 に も 関 与 す る こ とが 明 らか とな っ て き た 。Jochmanら(2005)は 、 ラ ッ トの 扁 桃 体 外 側 基 底 核(basolateralamygdala;BLA)にCRFを 局 所 注 入 す る と摂 食 量 が低 下 す る こ

と、そ の 摂 食 量 変 化 のパ タ ー ン が ス トレス を 負 荷 した 場 合 に み られ る場 合 と類 似 して い た こ と 、 及 びBLAにCRF受 容 体 の 阻 害 剤 を 注 入 す る こ とで ス トレス 負 荷 を して も摂 食 量 低 下 が 生 じ な くな っ た こ と か ら、BLAが ス トレス 性 の 摂 食 抑 制 に 関 与 して い る と報 告 した 。

ま た 、扁 桃 体 の 亜 核 で あ り、 不 安 や 恐 怖 、嫌 悪 とい っ た 負 の 情 動 の 生 成 に 関 わ る こ とが 知 ら れ る分 界 条 床 核 にCRFを 投 与 す る と摂 食 抑 制 が 生 じる こ と が報 告 され て い る(Ciccocioppoet al.,2003)。 分 界 条 床 核 は 快 の 感 覚 や 動 機iづけ に 関 わ るVTAにGABA性 の 神 経 投 射 を 持 っ 。 分 界 上 床 核 の 神 経 活 動 が 充 進 す る とVTAの 活 動 が 抑 制 され る こ と(Kudoetal.,2012)か ら、

摂 食 行 動 に 対 す る 動 機 づ け に 対 す る 情 動 性 の 影 響 を 介 在 す る役 割 を 持 つ 可 能 性 が 考 え られ て い る。 ま た 、扁 桃 体 は 嗜 好 性 に 関 わ る摂 食 行 動 に お い て も重 要 な役 割 を 担 うこ と が報 告 され て お り、部 分 的 に 味 覚 情 報 が 扁 桃 体 に 送 られ 快 ・不 快 に つ い て の 価 値 判 断 が 行 われ る と考 え られ て い る(Olsen,2011)。 これ ら の こ とか ら、 摂 食 行 動 の 調 節 系 と して 扁 桃 体 が 大 き な 役 割 を果 た す こ とが わ か っ て き て い る。

腹側被蓋野

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腹 側 被 蓋 野 は 行 動 に 対 す る 動 機 づ け や 報 酬 、快 の感 覚 の 発 現 な どに お い て 重 要 な役 割 を担 う 脳 部 位 と して 知 られ る(Avenaetal.,2009)。 摂 食 に影 響 す る要 因 の 一 つ に 、 嗜 好 性 、 つ ま り 飲 食 物 摂 取 に 伴 う快 感 が あ る 。 こ の よ うな食 物 に 対 す る嗜 好 性 とそ れ に 関 わ る摂 取 行 動 は 、腹 側 被 蓋 野 ド0パ ミン神 経 系 を 中 心 に構 成 され る脳 内 報 酬 系 の 神 経 活 動 に よ っ て 生 じ る と考 え

られ て い る(山 本 、2006)。 す な わ ち 、腹 側 被 蓋 野 ドー パ ミ ン神 経 の 活 動 に よ り快 の感 覚 が 生 じ、嗜 好 性 に 基 づ い た 摂 食 が促 進 され る こ とが 示 唆 され て い る(Avenaeta1.,2008;Berridge, 1996)。 腹 側 被i蓋野 の ド0パ ミ ン神 経 は 主 に側 坐 核 に 投 射 す る。 側 坐 核 か ら は 主 に腹 側 淡 蒼 球 へ の 投 射 経 路 が 存 在 し、腹 側 淡 蒼 球 を 介 して 腹 側 被 蓋 野 の ド0パ ミ ン神 経 活 動 は 摂 食 中枢 と し て 知 られ る 視 床 下 部 外 側 野 を 活 性 化 させ る と考 え られ て い る。視 床 下 部 外 側 野 の 活 動 が充 進 す る とオ レキ シ ンが 産 生 され 、 脳 内 に 広 く作 用 して 覚 醒 、摂 食 、 消 化 管 機 能 な どが 促 進 され る

(Furudonoetal.,2005;Kobashietal.,2002)。 神 経 性 拒 食 症 の 患 者 で は 、 腹 側 被 蓋 野 ド0 パ ミン 神 経 系 に 異 常 が 生 じて い る こ とが 示 され て い る。長 期 に 渡 っ て過 食 を経 験 した ラ ッ トで

は 、嗜 好 性 の 高 い 食 べ 物 を摂 食 して い る とき 以 外 の側 坐 核 ド0パ ミン レベ ル が 過 食 を経 験 して い な い ラ ッ トよ り も低 下 して い る こ とが 報 告 され て お り、 ドー パ ミン レベ ル の 低 下 が 過 食 を 促 し て い る 可 能 性 が 指 摘 され て い る(Geigeretal.,2009)。

側 坐 核

側 坐 核 は 腹 側 被 蓋野 と と も に 快 の 感 覚 や 動 機 づ け を 司 る脳 内報 酬 系 を構 成 す る脳 部 位 で あ り、腹 側 被 蓋 野 か ら ドー パ ミ ン神 経 の 投 射 を受 け る。 ま た 、味 覚 情 報 お よび 嗅 覚 や 口腔 感 覚 と い っ た 摂 食 時 の感 覚 の 統 合 に お い て 重 要 な 役 割 を担 う大 脳 の 島皮 質 や 眼 窩 前 頭 皮 質 か らの神 経 投 射 も確 認 され て お り、摂 食 行 動 に お け る快 の 感 覚 や 報 酬 価 値 に 基 づ い た 摂 食 促 進 に 関 与 す る 可 能 性 が 示 唆 され て い る(Saperetal.,2002)。

縫 線 核

縫 線 核 に は セ ロ トニ ン 神 経 の細 胞 体 が 多 く存 在 し、気 分 や 覚 醒 の 調 節 に 関 わ る こ とが 知 られ て い る。摂 食 障 害 、例 え ば 神 経 性 大 食 症 お よ び 神 経 性 無 食 欲 症 を 呈 す る患 者 に は 食 欲 の 異 常 が 生 じて い るが 、神 経 性 大 食 症 お よび 神 経 性無 食 欲 症 の ど ち らに お い て も脳 脊 髄 液 中 の5・HIAA 濃 度 の 低 下 が み られ る こ とが 報 告 され て い る(Kayeetal.,2005;Kayeetal.,2008)。5‑HIAA

は セ ロ トニ ン の 要 代 謝 産 物 で あ り、セ ロ トニ ン レベ ル の長 期 的 な低 下 が 摂 食 行 動 に影 響 を 及 ぼ す こ と が 示 唆 され て い る。

ま た 、縫 線 核 は 免 疫 反 応 の 調 節 に も関 与 して お り、初 期 の免 疫 反 応 と して 生 じる摂 食 抑 制 に

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縫 線 核 セ ロ トニ ン神 経 が 重 要 で あ る こ と が示 唆 され て い る。Kopfら(2011)は 、 細 胞 毒 素 で あ る リポ ポ リサ ッカ ロイ ド(LPS)の 投 与 に よ っ て 生 じ る摂 食 量 の 低 下 に縫 線 核 の神 経 活 動 が 重 要 で あ る こ と を 報 告 した。

ま た 、縫 線 核 セ ロ トニ ン神 経 に は レプ チ ン 受 容 体 が 多 く発 現 して お り、 こ の レプ チ ン 受 容 体 と縫 線 核 セ ロ トニ ン神 経 特 異 的 に 欠 損 させ た 動 物 で は 摂 食 行 動 の 充 進 や 肥 満 を 呈 す る こ とが 示 され て お り、 縫 線 核 セ ロ トニ ン神 経 が 摂 食 抑 制 に働 く こ とが 示 唆 れ て い る(Yadavetal., 2009)a

第2節 ス ト レ ス に よ る 摂 食 へ の 影 響

第1節 で は 、エ ネ ル ギ ー バ ラ ン ス の 調 節 の 調 節 以 外 に も摂 食 行 動 に 影 響 を及 ぼす 様 々 な要 因 が 存 在 し、そ れ ら の影 響 を介 在 す る摂 食 行 動 の 複 雑 な 制 御 機 構 の い くつ か に 触 れ た 。 そ の よ う な 摂 食 行 動 に影 響 を与 え る 要 因 の 一 つ と して 、我 々 の 社 会 に お い て 身 近 な 問 題 とな っ て い る の が ス トレス に よ る 摂 食 行 動 の 変 化 で あ る。ス トレ ス と摂 食 行 動 の 関 係 に着 目 した 先 行 研 究 か ら、

ス ト レス負 荷 が 摂 食 量 を低 下 させ る こ と が 広 く知 られ て い る。Chibaら(2012)は 、 ラ ッ トを4 週 間 に 渡 り毎 日拘 束 ス トレス に 曝 露 す る と、摂 食 量 お よび 体 重 増 加 量 が 継 続 的 に低 下 す る こ と を報 告 した 。 こ の よ うな ス トレス 性 の 摂 食 抑 制 に は 、大 き く分 類 して 視 床 下 部 一下 垂 体 一副 腎 軸 (HPA軸)と 呼 ば れ る 内 分 泌 系 の 機 構 の 関 与 と、中枢 神 経 系 の 機 構 の 関 与 が 示 唆 され て い る 。こ の 節 で は 、 ス トレス 負 荷 に よ る摂 食 抑 制 の メ カ ニ ズ ム に つ い て 概 略 を 述 べ る。

ス ト レ ス 負 荷 に よ る 摂 食 抑 制

Chibaら(2012)は 、6・7週齢 の雄 性Wistar系 ラ ッ トに 、4週 間 に渡 り毎 日拘 束 ス トレ ス を負 荷 した 。 これ を ス トレ ス群 と し 、毎 日5分 間 ハ ン ド リン グ を 行 っ た だ け の 動 物 を コ ン トロ0ル 群 と した 。 ス トレ ス 群 と コ ン トロー ル 群 に飼 料 と水 を 自 由 に摂 取 させ 飼 育 した とき の摂 食 量 、

体 重 増 加 量 、不 安 様 行 動 、 うつ 様 行 動 、 ス トレス 応 答 の 指 標 に ど の よ うな 変 化 が 生 じ るか に つ い て 検 討 した。 が 継 続 的 に低 下 す る こ と を報 告 した 。4週 間 の 測 定 期 間 に お け る 週 毎 の 摂 食 量 にお い て 、4週 全 て で コ ン トロ ー ル 群 と比 較 して ス トレス 群 の 摂 食 量 が 有 意 に低 下 した 。 飲 水 量 に お い て は コ ン トロー ル 群 とス トレス 群 に違 い は み られ な か っ た 。 体 重 増 加 量 に お い て 、コ ン トロ0ル 群 に対 して ス トレス 群 の 体 重 増 加 が4週 に 渡 り継 続 的 に 抑 制 され た。不 安 状 態 を調 べ るテ ス トと して よ く用 い られ る 高 架 十 字 式 迷 路 テ ス トで は 不 安 傾 向 が 低 い 状 態 に あ る とオ

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一 プ ン ア ー ム に よ り長 く滞 在 し

、不 安 傾 向 が 高 い と ク ロ0ズ ドア ー ム に よ り長 く滞 在 す る と さ れ る が 、 コ ン トロ ー ル 群 と比 較 して ス ト レス 群 の オ ー プ ンア ー ム滞 在 時 間 が 有 意 に減 少 し、 ク ロ ー ズ ドア.̲̲.ム滞 在 時 間 が 有 意 に 増 加 した 。 ま た 、ス トレス 群 で は 、 うつ 様 状 態 を 示 す 指 標 の 一 つ と して よ く用 い られ る甘 味 に 対 す る動 機 づ け の 低 下(無 快 楽 症:anhedonia)が み られ た

。4 週 問 の 各 条 件 の 飼 育 後 、ス トレス 群 に お い て 拘 束 ス トレス 負 荷 を 行 っ た 直 後 の 血 し ょ う中 グル

コ コル チ コ イ ドレベ ル が 、ス トレス 負 荷 を行 わ な か っ た コ ン トロー ル 群 と比 較 して 有 意 に 上 昇 して い た 。

こ れ らの こ と か ら 、ス トレス 負 荷 に よ り生 理 学 的 な ス トレス 応 答 が 慢 性 的 に 生 じ、情 動 状 態 に ネ ガ テ ィ ブ な 影 響 を 与 え る と と も に 、 長 期 的 な 摂 食 抑 制 を 引 き 起 こす と考 え られ る。

視 床 下 部 一下 垂 体 一副 腎 軸(且PA軸)を 介 し た ス ト レ ス 性 の 摂 食 抑 制 の メ カ ニ ズ ム

HPA軸 は ス ト レ ス 応 答 に お い て 中 心 的 な 働 き を す る 神 経 内 分 泌 系 で あ る 。 ス ト レ ス 刺 激 に よ っ て 視 床 下 部 室 傍 核CRF神 経 の 活 動 充 進 が 生 じ 、CRFが 血 中 へ 放 出 さ れ る とCRFは 垂 体 に お い て 副 腎 皮 質 刺 激 ホ ル モ ン(ACTH)の 血 流 へ の 分 泌 を 促 進 し 、ACTHは 副 腎 に お け る グ ル コ コ ル チ コ イ ドの 分 泌 を 促 進 す る(Dallmanetal.,1994;Hermanetal.,1997)。 グ ル コ コ ル チ コ イ ドは 血 流 に よ り全 身 に 運 ば れ 、 様 々 な 器 官 に 作 用 し ス ト レ ス 応 答 を 引 き 起 こ す 。 視 床 下 部 室 傍 核 のCRF神 経 の 活 動 が 、 ス ト レ ス 反 応 を 全 身 に 引 き 起 こ す ト リガ ー と な っ て い

る 。 こ の よ う に ス ト レ ス 反 応 を 調 節 す る シ ス テ ム が 、 視 床 下 部 一 下 垂 体 一 副 腎 軸 (hypothalamic・pituitary‑adrenalaxis,HPA軸)と 呼 ば れ る 。 慢 性 的 な ス ト レ ス 状 態 で は 視 床 下 部 室 傍 核 か ら過 剰 にCRFが 分 泌 さ れ 、 そ れ に 伴 っ て グ ル コ コ ル チ コ イ ド レベ ル が 慢 性 的 に 高 い 状 態 に あ る こ と が 報 告 さ れ て お り、HPA軸 の 活 動 が 過 剰 に 充 進 し て い る と 考 え られ る

(Arboreliusetal.,1999)o

HPA軸 に よ る ス ト レ ス 応 答 に お い て 主 要 な 役 割 を 担 うCRF、ACTH、 グ ル コ コ ル チ コ イ ド の そ れ ぞ れ が 摂 食 行 動 に 与 え る 影 響 に つ い て 多 く の 検 討 が な さ れ て い る 。視 床 下 部 室 傍 核 に お け るCRF神 経 の 活 動 充 進 は 、且PA軸 の 活 動 を 誘 発 さ せ る ほ か 、他 の 脳 部 位 に 作 用 し て 摂 食 抑 制 に 働 く と 考 え ら れ て い る 。 た と え ば 、CRFの 脳 室 内 投 与 に よ り摂 食 抑 制 が 生 じ る こ と や (Hottaetal.,1991;RichardetaL,2002)、CRFの 受 容 体 の 非 選 択 的 阻 害 薬(alpha・hehcal CRF(9・41))の 脳 室 内 投 与 に よ っ てCRF誘 発 性 の 摂 食 抑 制 お よ び ス ト レ ス 誘 発 性 の 摂 食 抑 制 が 軽 減 さ れ る こ と(Krahnetal.,1986)が 報 告 さ れ て い る 。 さ ら に 、CRFの 脳 室 内 投 与 に よ り視 床 下 部 室 傍 核 の オ キ シ トシ ン(OT)神 経 の 活 動 が 充 進 す る こ と が 知 られ て お り 、CRFに 誘 発 さ れ た 摂 食 抑 制 がOT受 容 体 阻 害 薬 の 脳 室 内 投 与 に よ っ て 完 全 に 消 失 す る こ と(Olsonetal.,

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1991)か ら、視 床 下 部 室 傍 核 のCRF神 経 活 動 の 充 進 に よ りOT神 経 活 動 が誘 発 され 、満 腹 中枢 で あ りOTの 受 容 体 を 多 く持 つ 視 床 下 部 腹 内 側 核 に作 用 して 摂 食 抑 制 を 引 き 起 こす 可 能 性 が 指 摘 され て い る。 こ の よ うに 、HPA軸 の 活 動 の 誘 発 に お い て 重 要 なCRFに は 摂 食 抑 制 効 果 が 確 認 され て お り、ス トレス と摂 食 抑 制 の 関 連 に お い て 重 要 な役 割 を 担 う とい え る(Smaginetal.,

19990hataandShibasaki,2011Sekinoetal.,2004)O

ACTHの 摂 食 抑 制 効 果 に つ い て も報 告 が な され て い る 。Ferrariら(1992)は 、 十 字 迷 路 に飼 料 を 置 き 、ACTHお よ び 溶 媒 を脳 室 内 投 与 した ラ ッ トに 迷 路 を探 索 させ た と き の 摂 食 行 動 お よ

び 不 安 様 行 動 を 検 討 し、ACTHノ 投 与 に よ り摂 食 量 が 低 下 した こ と を報 告 した 。 この 実 験 で 使 用 され たACTHの 投 与 量 は オ0プ ン ア ー ム ・ク ロ.̲̲.ズドア ー ム 滞 在 時 間 や グル0ミ ン グ行 動 とい っ た 不 安 様 行 動 、お よ び 活 動 量 に は影 響 しな か っ た こ とか ら、不 安 様 行 動 の 増 加 な どに よ り相 対 的 に摂 食 行 動 に 割 か れ る時 間 が減 少 した の で は な く、ACTH投 与 が 摂 食 行 動 へ の 動 機 づ け を 低 下 させ た こ とが 示 唆 され て い る。 さ らに 、 彼 らはACT且 に よ り摂 食 抑 制 が 生 じ る モ デ ル お よ び 拘 束 ス トレス に よ り摂 食 抑 制 が 生 じる モ デ ル を 作 成 し、前 も っ て 両 群 に 抗 不 安 ・抗 う つ 効 果 を 持 つ ドー パ ミ ンD2型 受 容 体 の 選 択 的 ア ゴ ニ ス トで あ るB・且丁920を 腹 腔 内 投 与 した と こ ろ 、 どち らの 群 に お い て も摂 食 抑 制 が 消 失 した こ と を報 告 した。

グル コ コル チ コイ ドも摂 食 調 節 に 深 く関 わ る こ と が 知 られ て い る。グ ル コ コル チ コイ ド投 与 に よ り摂 食 量 と体 重 増 加 量 が増 え た とい う報 告 や(Tatarannietal.,1996)、ACT且 の 標 的 器 官 で あ り、グル コ コル チ コ イ ドを分 泌 す る器 官 で あ る副 腎 を 摘 出 す る と摂 食 量 が 低 下 し、副 腎 摘 出 を行 っ た 動 物 に グル コ コ ル チ コ イ ドを 投 与 す る と こ の 摂 食 抑 制 が 消 失 す る(Uchoaetal., 2009)な ど の 報 告 か ら、 グル コ コル チ コ イ ドは 摂 食 行 動 の 維 持 に 重 要 で あ る とい わ れ て い る。

ま た 、 肥 満 の ヒ トに お い て は 、 血 し ょ う中 グル コ コル チ コイ ド濃 度 の 上 昇 と 且PA軸 の 過 剰 充 進 が み られ る こ と が 知 られ て い る(Weaveretal.,1993)。 一 方 で 、 ス トレス 負 荷 や 人 工 的 に合 成 さ れ た グ ル コ コル チ コイ ドで あ る デ キ サ メ タ ゾ ン の 投 与 に よ り血 し ょ う 中 グ ル コ コル チ コ イ ド レベ ル が 高 い 状 態 に お い て 摂 食 量 が 低 下 す る と の 報 告 も な され て い る こ と か ら(Won Jahngetal.,2008)、 グル コ コル チ コ イ ドが 摂 食 充 進 ・摂 食 抑 制 の 双 方 向 の 影 響 を 併 せ 持 つ と 考 え られ て い る 。これ は 、グ ル コ コル チ コイ ドに よ り摂 食 充 進 に働 く メ カ ニ ズ ム(CRFの 抑 制 、 NPYの 増 加 な ど)と摂 食 抑 制 に 働 く メ カ ニ ズ ム(レ プ チ ン の 増 加 、 メ ラ ノ コル チ ン系 の 制 御)の 両 方 の 分 泌 が調 節 され 、そ れ らの 複 雑 な バ ラ ン ス や 相 互 作 用 に よ っ て 摂 食 へ の影 響 が 決 定 され

る か ら で あ る と い わ れ る。

ス トレス 状 態 に お い て グ ル コ コル チ コイ ドが 分 泌 され る と、海 馬 に 多 く存 在 す る グル コ コル チ コイ ド受 容 体 が これ を受 容 し、HPA軸 応 答 の 中枢 に お け る ト リガ ー と して働 く視 床 下 部 室

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傍 核 のCRF神 経 に対 して ネ ガ テ ィ ブ フ ィー ドバ ッ ク が 生 じ、結 果 的 にCRF神 経 の 活 動 が抑 制 され 、HPA軸 の 活 動 抑 制 に働 く。 この グ ル コ コル チ コイ ド受 容 体 は 摂 食 調 節 に お い て 重 要 な 役 割 を担 う視 床 下 部 の 弓 状 核 や 外 側 野 、室 傍 核 とい っ た 脳 部 位 に も分 布 して お り、こ れ らの 脳 部 位 を介 した グル コ コル チ コ イ ドの 摂 食 へ の影 響 も示 唆 され て い る 。

ま た 、 グル コ コル チ コイ ド レベ ル の 上 昇 に よ り血 中 の イ ン ス リン が 増 加 し、視 床 下 部 弓 状 核 に お い て 摂 食 促 進 効 果 を 持 つ ア ミ ノ酸 ペ プ チ ド神 経 伝 達 物 質 で あ る ニ ュー ロペ プ チ ドY(NPY) の 発 現 を増 加 させ 、 摂 食 を増 進 させ る こ とが 知 られ る(Satoetal.,2005)。

WonJahngら(2008)は 、 デ キ サ メ タ ゾ ン を投 与 す る と摂 食 抑 制 に働 くペ プ チ ドホ ル モ ン で あ る レプ チ ン が 末 梢 の脂 肪 細 胞 か ら分 泌 され 、投 与 し た デ キ サ メ タ ゾ ン の 濃 度 依 存 的 に レプ チ ン の血 し ょ う中 濃 度 高 ま る こ と を報 告 した 。 レプ チ ン は視 床 下 部 弓 状 核 に 細 胞 体 を 有 す る摂 食 抑 制 ペ プ チ ドαMS且/CARTの 活 動 充 進 させ 、αMSHが 視 床 下 部 外 側 野 のMC4受 容 体 に作 用 し 、摂 食 抑 制 に 働 く。 ま た 、MC4受 容 体 の 内 因 性 阻 害 物 質 で あ り、視 床 下 部 弓状 核 に 細 胞 体 が 存 在 す る摂 食 促 進 に働 くア グー チ 関連 ペ プ チ ド(AgRP)は レプ チ ン レベ ル の 上 昇 に よ り分 泌 が抑 制 され る。した が っ て 、グ ル コ コル チ コ イ ドレベ ル の 上 昇 に よ る レプ チ ン の 分 泌 促 進 は 、 摂 食 抑 制 に 働 く。

これ らの こ と か ら 、グ ル コ コル チ コイ ドは摂 食 調 節 に 関 わ る脳 部 位 に 直 接 作 用 して 、 あ るい は 末 梢 の器 官 の ス トレス 応 答 を 介 して 摂 食 調 節 に 関 わ る こ とが 報 告 され て い る 。

以 上 の こ とか ら、 生 理 学 的 な ス トレス 応 答 を 引 き 起 こす 且PA軸 を構 成 す るCRF、ACT且 グ ル コ コル チ コイ ドに お い て そ れ ぞ れ の 摂 食 行 動 に 対 す る影 響 が 指 摘 され て お り、HPA軸 活 動 が ス トレス 性 の 摂 食 抑 制 に 関 連 す る と考 え られ る。

中 枢 神 経 を 介 し た ス ト レ ス 負 荷 に よ る 摂 食 抑 制 の メ カ ニ ズ ム

中 枢 神 経 に お い て ス ト レ ス 性 の 摂 食 抑 制 に 関 わ る メ カ ニ ズ ム に っ い て も 先 行 研 究 に よ り検 討 さ れ て い る 。 ス ト レ ス の 摂 食 行 動 へ の 影 響 を 介 在 す る 神 経 伝 達 物 質 と し て 注 目 さ れ て い る も の の 一 つ に 、CRFが 挙 げ られ る 。CRFは 脳 内 で 神 経 伝 達 物 質 と し て 広 範 囲 に わ た り受 容 体 を 持 っ が 、CRFの 脳 室 内 投 与 に よ り摂 食 抑 制 が 生 じ る こ と や(且ottaetal.,1991;Richardetal.,

2002)、CRFの 受 容 体 の 非 選 択 的 阻 害 薬(alpha‑helicalCRF(9・41))の 脳 室 内 投 与 に よ っ てCRF 誘 発 性 の 摂 食 抑 制 お よ び ス ト レ ス 誘 発 性 の 摂 食 抑 制 が 軽 減 さ れ る こ と(1(rahnetal.,1986)を は じ め 、 ス ト レ ス 性 の 摂 食 抑 制 にCRF神 経 が 関 与 し て い る こ と が 多 く の 先 行 研 究 に よ り示 唆

さ れ て い る(Smaginetal.,1999;OhataandShibasaki,2011;Sekinoetal.,2004>。

視 床 下 部 室 傍 核 のCRF神 経 は 、HPA軸 応 答 に お い て 重 要 な 役 割 を 担 うだ け で な く 、 中 枢 神

参照

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