研 究 論 文
顕微鏡法 ( フェレー径)とレーザ回折法で測定 した粒子径分布の比較
‑
Srフェライ トの粉砕産物 について ‑
小 竹 直 哉 , *本 間 裕 介 , *戸井田 直 之 * 望 月 隆 裕 , *岡 一 郎 , *神 田 良 照 * 田 口 仁 **
A ComparisonofParticleSizeDistributionsMeasured byMicroscopic(FeretDiameter)andIJaSerDiffract,ionMethod
‑ GroundProductofSr‑Ferrite‑
NaoyaKoTAKEIYusukeHoNMA†NaoyukiToIDATTakahiroMocHIDUKI† lchiroOKAYYoshiteruKANDATandHitoshiTAGUCHIH
Abstract
ltisaimportantanalysistOevaluatecorrectlythesizeoffineorultrafineparticlesfor raw materialsorproductsinmanykindsofindustries. TherearemanydifferentprlnClplesto measuretheparticlesize. Thelaserdiffractionandscatteringmethodisthemostpopularone, butitisfirstnecessarytoconfirm theparticlesizebyamicroscope.
Inthisstudy,sizedistributionsofSr‑ferriteparticlesweremeasuredbythemicroscopic methodandthelaserdiffractionmethod. TheSr‑ferriteparticlesusedasthesamplewere groundinthedry,thewetanddrygrindingwithmethanolasgrindingaidbyaballmill. The particlesizedistributionswhichweremeasuredbythetwomethodswerecompared.
Asaresult,thesizesmeasuredbythelaserdiffractionmethodwerelargerthantheferet diametersmeasuredbythemicroscoplCmethod.
Key Wordes:SizeDistribution,MicroscopicMethod,LaserDiffraction Method,Sr‑Ferrite Particle,BallMillGrinding
1.
緒 言
セラ ミックス,金属,医薬品,食品工業 にいたる多 くの産業 分野 において,その原材料である粉体の特性を知 ることは重要 である。その中で も特 に粒子径あるいは粒子径分布 は製品の設 計や品質管理 に大 きく影響す るため正確 に把握す ることは極 め て重要である。
粉体の粒子径分布の測定方法 は多種多様で,例えば測定粒子 径の物理的意味 によって分類す ると,1)幾何学 的特性 によ る 顕微鏡法 (画像解析法),電気的検知法。2)動力学的特性 によ る遠心沈降光透過法,Ⅹ線透過法。3)光学 的特性 による レー ザ回折 ・散乱法,光子相関法などが主 に挙 げ られ る。 これ ら測 定方法の特徴 は,成書 1)で詳細 に述べ られている。現在用 い ら れている測定方法の多 くは,2),3)の よ うで あ る。 これ らの 測定方法 は粒子径をある物理量 に変え, これを再度粒子径に変 平成12年1
月
24日受付*山形大学工学部物質工学科
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* *
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換す る間接的測定法であり,特 に装置の操作性 とデータ解析処 理の両面か ら充実 している遠心沈降光透過法や レーザ回折 ・散 乱法が多 く用い られている。 しか し, これ らの測定結果 は間接 方法であるため微粒子,特 にサ ブ ミクロン粒子域 については電 子顕微鏡 によって確認 され ることが多い。その理由は,粒子径 が原料粉体や製品 に関与す る様 々な現象を理論的に検討す ると
きに真の粒子径が必要 になるためである。
本研究では,測定試料 に自発磁化 による凝集力があ り,分散 しに くいフェライ ト粒子2)を乾式,助剤添加および湿式 によ る 3種類の粉砕方式で得 た粉砕産物を試料 と し, これ らの粒子径 分布 を顕微鏡法 と間接的測定法 として広 く使用 されているレー ザ回折法 により測定 し,両者の測定結果 について比較 したので 以下 に報告す る。
2.試料 の粉砕方法
実験 に用 いた試料 は密度 pが5,150kg・m‑3, 50%通 過 粒 子 荏 (メデ ィア ン径)x。5が1.86pmのSrフェライ トであ る。 な お, x。5は次節で説明す る顕微鏡法 より測定 した値である。
粉砕装置 はTablelに示す ジルコニア製 のボール ミルを用 い た。試料のフィー ド質量,粉砕媒体質量 はそれぞれ0.38kg,3.5 kgであり, ミル回転速度を1.8S 1一定 としたときの石英 ガ ラス
の粉砕 における最適条件3)を参考 に した。粉砕方式 は乾式粉砕, 助剤添加 による粉砕および湿式粉砕の3種類で行 った。助剤添
14 小竹直哉 ・本間裕介 ・戸井田直之 ・望月隆裕 ・岡 一郎 ・神田良照 ・田口 仁
Table1 Dimensionsofmillandballused Mill
Diameter(m) 0.13 Volume(m3) 2×10 3
Grindingball 0.02
Table2 Grindingconditionsfordrygrindingwith grindingaid
Grindingaid Methanol Volumeofgrinding 0 0.24,0.41,
aidX106(m3) 4.8,7.2 Volumeratio,¢AX102 0 0.32,0.55,
(m3.m‑3) 6.5,9.7
Table3 Grindingconditionsforwetgrinding
Vol(mumeofwat3) erX104 0.37,0.74,1.48,2.22 Vol
( m
umer3. m‑
3at)io,¢W 0.5,1,2,3加 による粉砕ではTable2に示すようにメタノールを助剤 とし て用 い,添加量 はフィー ド粒子の表面積 に対 して単分子層 を形 成す る2.4
×1
0 7m3とその20倍 (4.8×1
06m3),30倍 (7.2×10J6m3) と乾式粉砕 における限界表面積 に対 して単分子層 を形 成す る4.1
×1
0 7m3とした (メタノール分子1個の占有断面積 ; 16.5Å 2)。また,湿式粉砕 における添加水量 は砕料 の フ ィー ド 体積である7.4×1
0 5m3を基準 にTable3のように0.5倍 (3.7×105m3),同体積,2倍 (1.48×104m3),3倍 (2.22×104m3) と 変えた。また,粉砕実験 は所定時間までサ ンプ リングしない完 全回分式で行 い,粉砕時間 は乾式粉砕で は4点,助剤粉砕 で は 助剤の添加量 ごとに5点,湿式粉砕では添加水量 ごとに6点 に ついて調べた。
3.粒子径分布 の測定方法 3.1顕微鏡法 による測定
試料である粉砕産物 は円錐四分法 により5g程度 にな るまで 縮分 し,超音波槽で3分間分散 し, この懸濁液を速やか に採取 して検鏡台 に滴下 して検鏡台 ごと乾燥 した。粒子の写真撮影 に 用 いた顕微量削ま, 日本電子 (秩)製走査型電子顕微鏡JSM‑T 330である。
投影像か ら測定 され る粒子径 には数種類 あるが ここではフェ レ‑荏 (定方向径)を採用 した。 フェ レー径 はFigurelに示 すように一定方向の平行線で投影像 をはさんだ平行線間の距離 で あ る。試料 の細 か さによ り,顕微鏡 の拡 大 倍 率 を5,000‑
素材物性学雑誌
15,000倍 に変化 させて写真撮影 を行 い,デジタル ノギ スを用 い て直接測定 した。測定個数 は全実験 を通 して‑試料 につ き10,0 00個 である。粒子径分布 は質量基準で表 され ることが一般 的で
あるので, ここでは粒子 をフェレー径£1(〃m)を直径 とす る 球 と仮定 して次式 より質量分率 /.(一)を求めた。
x苧Nl+ x塁N2+ ‑ + xヲNl+‑ P
HI
ここで,Nl(‑) は
i
成分粒子の個数, p( kg・m
3) は密度 で あ る。次 に粒子径 xl以下の粒子 の積算質量分率 Ql(‑)をEq.(2) より算出 した。Ql
NIX苧+N2x2+・・.+NIX亨
(2)
∑ NIX雪
1‑1
3.2 レーザ回折法による測定
レーザ回折法 は,SYMPATECH社製流動式乾式分散ユニッ トRODOSを用 いた。 この装置 で は,気相 中 に分散 した粒子 群 に レーザ光を照射 し,発生 した光の回折パ ター ンを レンズに 集 めて検出器 に投影 し,得 られたフランホーファ回折 の強度分 布 よ り粒子を球 と仮定 して数理的解析を行 って粒子径分布 を求 める方法である。 ここで, ジェ ッ トノズルの圧力 は7×105Pa 一定 として測定試料を分散 させた。
3.3比表面積の測定
試料の全体的な紬か さを見 るために比表面積を測定 した。測 定方法 は窒素分子吸着 によるBET法で,使用 した装置 は島津 製作所製流動式比表面積 自動測定装置Flow SorbII2300で あ
る。
Figure1 Feretdiameter,x
第13巻 第1号 (2000年6月)
4.測定結果
4.1顕微鏡法 における測定者の影響
顕微鏡での直接測定 において は測定者 の個人差が出る可能性 がある。また統計的粒子径 といわれているフユレー径では測定 個数4)が測定結果 に影響す る。そこで本研究 において は, は じ めに測定者,測定個数 の影響 を見 るために粉砕前 の フェライ ト 試料 を3人の測定者A,B,Cが それぞれ10,000個 の粒子径 に ついて測定を行 った。その結果をFigure2に示 した。 この図 か ら,3名の測定者 による粒子径分布 は良 く一致 してお り,粒 子径分布 の測定 に個人差 はほとん どないことがわか る。またサ ンプル数10,000個 は粒子径分布の測定精度を上 げるの に十分 な 個数であることがわか る。そこで以後の実験 においては各実験 における粒子個数 は10,000個 とし,測定者 による誤差 は少 ない ものとし,乾式,助剤添加および湿式 による粉砕産物について, それぞれ3人で測定を行 った。
4.2顕微鏡法 とレーザ回折法 による測定結果の比較
1 0.8 T O・6
ヽ O ■ ̲
′O.40,2 0
101 100 101
x( L l m)
Figure2 Comparisonofcumulativeundersizedistribu‑
tionsmeasuredbydifferentworkers.
1
0.8
↑ 0・6 ヽヽ
̲
′0 0.4
0.2 0
101 100 101
x( Pm)
Flgure3 Comparisonofcumulativeundersizedistribu‑
tionsatdrygrinding
(
i‑ 16h,Sw‑2,746m2・kg1).4.2.1粒子径分布の比較
Figsure3‑5には比表面積 の小 さい順 に乾式,助剤 (¢A‑
6.5×102m3・m3),湿式
( ¢
W‑0.5m3・m3) 粉砕の粒子径分 布を,顕微鏡法 とレーザ回折法で測定 した結果の比較 を示す。測定試料 は全て16時間粉砕で得 た粉砕産物であ り,比表面積 も 示 している。 これ らの図より,測定試料 に関係な く,粒子径 は レ‑ザ回折法では顕微鏡法 に比べてやや大 きく測定 され る傾向 にある。また比表面積が大 きい,すなわち全体 として粒子 径が 微細 になるはどこの傾向が大 きい。 この理由 として, レーザ回 折法 による測定後の粒子の凝集状態 は観察 していないが,電子 顕微鏡では多 くの凝集粒子が観察 された こと,凝集力 は粒子径 が微細 になるほど大 きくなること,本論文 には示 さなか ったが 粉砕時間に対す る比表面積の増加 と顕微鏡法 による粒子径分布 の測定結果が レーザ回折法の結果 より比較的良 く対応 していた ことが挙 げ られ る。そ こで この傾向を見 るために同一粉砕方式 による粉砕時間の違 いで示 したのがFigure6で あ る。 これ よ
1
0.8
千 0・6 ヽ‑′ 0 0.4
0.2 0
101 100 101
x
( pm)
Figure4 Comparisonofcumulativeundersizedistribu‑
tionsatdrygrindingwithgrindingaid(¢A‑
6.5×102m3・m3,i‑ 16h,Sw‑3,402m2・kg1).
1
0.8
↑ 0・6 ヽー 0 0,4
0.2 0
10
‑
1 100 101x
( 汁m)
Figure5 Comparisonofcumulativeundersizedistribu‑
tionsatwetgrinding
(¢Ⅶ‑0.5m3・m3,i‑ 16h,Sw‑4,456m2・kg1).
1
0.8
T 06ヽ‑メ O O
. 4
0.2 0
16 小竹直哉 ・本間裕介 ・戸井田直之 ・望月隆裕 ・岡 一郎 ・神田良照 ・田口 仁
10‑1 100 101
x(pm)
Figure6 Comparisonofcumulativeundersizedistribu‑
tionsatdrygrindingwithgrindingaid
( ¢A
‑ 6.5× 10 2m3・m3,i‑ 1h,64h).(∈
ユ ) (i ) S . 1
2.5 2
1.5 1 0.5
00 0.5 1 1.5 2 2.5 xo.5(M)(Hm)
Figure7 Relationshipbetweenx
0 5( L)
andxo 5( M)
atdry grindingwithgrindingaid.32
(∈
ユ ) (1 )9 ..
x0 1 2 3 4
x..8(M)
(
pm)Figure8 Relationshipbetweenx08(L)andxD8(M)atdry grindingwithgrindingaid・
素材物性学雑誌
り,粒子径が微細 になるほど顕微鏡法 とレーザ回折法 による粒 子径分布の違 いが大 きくなることが確認で きる。
4.2.2 代表粒子径 による比較
大 きさに分布 を持っ粉体の細か さの表示法 には使 う目的によ りいろいろな方法があるが,代表粒子径 もその一つである。 こ こでは代表粒子径 として良 く用いられる50%通過粒子径 (メディ ア ン径)よ。5と80%通過粒子径よ。8に着 目 し, 顕微鏡法 と レー ザ回折法 による粒子径分布測定の違 いを定量的 に検討 した。乾 式粉砕の粉砕産物 については レーザ回折法 による測定数が少 な いため省略 した。
Figure7,8は助剤添加粉砕 における顕微鏡法 と レーザ回折 法 による50%通過粒子径 と80%通過粒子径の比較を示す。 また Figure9,10には湿式粉砕 において同様 に2つの代表粒子径 を 比べた。 ここでx .5
( M)
,x。
8( M)
はそれぞれ顕微鏡法 で測定2.5 2 Jiiコ
E
l
l・5ヽ ‑■ ■ ・
′′■ ヽ
.
J
VI⊂J,〉 1*
0.5
00 0.5 1 1.5 2 2.5
x
..5(M)( Hm)
Figure9 Relationshipbetweenx
0 5( L)
andxo
5( M)
atwet grinding.32
(∈ ユ ) (i ) 9 .. x
0 1 2 3 4
x.8(M)
(
um)Figure.10 Relationshipbetweenx
0
8( L)
andxo
8( M)
at wetgrinding.第13巻 第1号 (2000年6月)
した50%通過粒 子径 と80%通過粒子径であり, x。5(L), x。8(L) はレーザ回折法 により求めた50%通過粒子径 と80%通過粒子径 である。図中のパ ラメータは助剤添加粉砕で は試料体積 あた り の助剤添加量¢ A,湿式粉砕では試料体積 あた りの添加水量¢、、 を表 している。 これ らの結果 より,Figure3‑6か らもわか る ようにいずれの試料 において も50%通過粒子径および80%通過 粒子径 は顕微鏡法よ りもレーザ回折法の方が大 きくなっている。
両者の関係を最小二乗法で求 め るとx05につ いて はEqs.
( 3)
,( 4)
, x08についてはEqs.(5),(6)となる。 この関係 を図 中で は点 線で示 した。x
。
5( L)
‑0.853x。5(M)+0.360 (助剤添加粉砕) (3)x
。
5( L)
‑0.770x。5(M)+0.634 (湿式粉砕) (4)x
。
8( I J )
‑1.09x。8(M)+0.371 (助剤添加粉砕) (5)x
。
8( L)
‑0.912x。8(M)+0.898 (湿式粉砕) (6) Eq.(3)とEq.(5),Eq.(4)とEq.(6)の関係を見 ると,代表粒子径 が 50%通過粒子径か ら80%通過粒子径 と大 きくな ると2つ の測定 法による違 い も大 きくな り,先 に述べたように顕微鏡法 に比 べ レーザ回折法が粒子径分布を大 きく測定す る傾向が明 らかにな る。またEqs.
( 7) 〜(
10)
には参考のため原点 を通 る直線 で最小二乗 法で求めた結果を示 した。また図中にはこの関係 を破線で示 し た。x。5(L)‑ 1.11 x。5(M)
x
o
5( L)
‑1.24xo
5( M)
x
。
8( L)
‑1.26x。
8( M)
x
o
8( L)
‑1.32xo8(M)7
89
川川111‑1
‑ ・‑
砕砕砕砕粉粉粉粉加式加式添湿添湿刺(刺(助助((なお,Figs.7‑10中の実線 は勾配1の直線である。
5.結 言
本研究ではフェライ ト粒子の粉砕産物を試料 に用 いて,顕微 鏡法 とレーザ回折法 による粒子径分布 について比較,検討 し, 以下の知見を得た。
1)全体 として フェライ ト粒子 は レーザ回折法 の方 が顕微鏡法 に比べて大 きく測定 され,その傾向はフェライ ト粒子が微細 に なるほど顕著 に現われた。 これは, フェライ ト粒子の分散 の難 しさが一つの原因 と思われ る。また, この違 いを代表粒子径 と して50%通過粒子径 と80%通過粒子径を用いてその相関関係 を 実験式で表 した。
2)顕微鏡法ではサ ンプ リング個数を多 くす る ことによ り測定
なか った。
Nomenclature
fl:massfractionofparticlesizexl (‑)
Nl:numberofparticlesinsizexl (一)
Q:cumulativeundersizemassdistribution (‑) Sw:specificsurfacearea (m2・kg1) t:grindingtime (h)
x :feretdiameter h m)
xoS(L):mediandiametermeasuredbylaserdiffraction
method (〟m)
£ 05(M):median diameter measured by microscopic
method 也m)
xo8(L):particlesizepassing80% ofproductsmeasured bylaserdiffractionmethod QLm)
xoS(M):particlesizepassing80% ofproductsmeasured bymicroscoplCmethod (〟m) β:denslty (kg・m3)
¢A:VOlumeratio
‑ (volumeofgrindingaid)/(volumeoH eedsam‑
ple) (m3・m‑3)
¢、、:volumeratio
‑ (volumeofwater)/(volumeoffeedsample) (m3・m 3) Subscrlpt
i:indexforsizeinterval References
い
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