知的障害者の地域生活 と地域資源 I
〜秋 田県 における地域 ネ ッ トワークづ くりにむけて〜
佐藤 圭吾 事 秋田大学大学院
内海 薄
日秋田大学教育文化学部
本研究 は,秋田県 における知的障害を もっ人たちの 「 地域生活を支援するネットワーク」
の在 り方を考え ることを目的 とした. この検討のため,養護学校進路指導の視点か ら地域 ネ ッ トワークの全国的動向を踏 まえ,秋田県の地域資源を見直 した.
結果か ら,秋田県 は各 エ リア毎の人 口や地域資源 に大 きな格差があることを認め, また 各 エ リアに共通 して不足す る地域資源を指摘 した. そ して 「 地域生活支援への移行 とその 支援の構図」を示す とともに,各地域資源の開発 とともに地域 エ リアでのネ ッ トワークづ
くりへ取 り組んでい くことの必要性を提起 した.
キーワー ド:知的障害,進路指導,地域生活,地域資源, ネ ッ トワーク
1 問題の所在
( 1 ) 能代養護学校の進路状況か ら
知的障害養護学校 ( 以下,養護学校)の進路指導 は, この
10年 の新たな動向の もとに転換期を迎えて いる( 1 ) .先進地では,新 たな動向を課題化 し転換期 を主体的にきり拓 く新 たな進路指導の実践 ( 進路学 習の取 り組み,個別移行支援計画
(2)・ネ ッ トワー ク
による支援)が模索 されて きている
(3).秋田県立能代養護学校では,高等部卒業生を平成
8
年か ら平成
13年度 まで
6期
,62名を地域 に送 り出 して きた.卒業時点の進路先の内訳 は,一般就労者 が約
44%,適所型施設が約
19%,入所施設が約
8%, 小規模作業所が約
21%,等である.
グラフ 1は,能代養護学校高等部卒業生の 「 卒業 時点」の進路先 と 「 平成
14年
4月
1日現在」の進路
2003
年
1月
20日受理
ILocallifeandResourcesforPeoplewithlntellec‑ tualDisabilities
‑AnAttempttoEstablishaNetworkSystem in AkitaPrefecture‑
*
KeigoSAでO,GraduateSchool,AkitaUniverslty Akita.*り unUTSUMI,FacultyofEducationandHuman Studies,AkitaUniverslty,Akita.
第25号 2003年
先を示 した ものである. このグラフか ら,卒業後 に 進路先変更をす る者が多 くいることがわか る.能代 養護学校では全卒業生 の
20%にあたる
14名が進路先 変更を している.表 1 は,進路変更 を した者 うち, 一般就労への変更
(2名)を除 く
12名の変更理由を 示 した ものである.避 けがたい事業所倒産 ・事業縮 小 に伴 う解雇
(2名)の他 は進路先での就労や活動 が困難な状況 に陥 っての変更 とな っている. さらに この うち
60%にあたる
6名が複数回の進路先変更を している. これは一度困難な状況 に陥 ると,孤立 し た り不十分な支援 しか受 け らなか った りして困難な 状況を繰 り返 して しまう傾向を示す ものである.変 更理由の
2/3を占める 「 対人関係 の トラブル」 や
「 意欲減退」
,「 保護者 の意向」 は, 何 らかの支援 や 手だてで回避で きた可能性がある.
また表
2は,進路変更を学校側が どのように把握 したかを示 した ものである. この うち,事前 に連絡 または相談があ った ものは
7件,事後 に把握 した例 は
5件 ある.事後 に把握 したケースの ほとん どが, 本人 ・保護者が学校をは じめ,各関係機関 に相談を
してお らず,困難な問題を家庭で抱え込んでいると いう点で共通 していた. この場合,家族 も支援や対 応 に困難 さを感 じていること,諦めている様子や当
53
一 触 就 労 連 帯 擾 重 大 新 授 産 適 所 更 生 入 所 更 生 小 規 模 作 業 所 在 宅 (Ds) 8 % (* # ) 在 宅 (そ の 他 ) 入 暁
0 5 10 15 20 25 30
グラフ 1 秋 田県立能代養護学校高等部進路状況 ( 卒業時と
H.14,4.1現在 の比較)
H8から
13累積 単位 :人
面在宅 とす るが, その後 の見通 しはない ことなどが 訪問調査か ら分か っている.
その後の状況で は平成
14年
4月現在,
4名が依然 在宅のまま困難 な状況 にある. それぞれ療養,求職 活動, デ ィサース利用等 について学校 と関係機関 と
が連携 して支援を行 っているが,活動が断続的にな りがちで,希望す る進路実現 に向けての活動 は長期 化 して きてお り深刻 さは増 して きている.
(2)
秋 田県 の進路動向
秋 田県で は,生活 の場が散在 している. これが希 望す る進路 を実現 しなが ら地域生活 を してい くこと のネ ックとなることが しば しばある.つ ま り,進路 先 となる事業所や福祉施設等 の資源の存在が全体的 に乏 しいのである.通 え る範囲で希望職種がなか っ た り,勤務時間に合わせた通勤が不可能であったり, また余暇支援 を行 っている資源が不足 しているとと が多 い ことが根本的な課題である.
表 1 進路変更理由 N‑1 2
変更理 由 人数
対人 トラブル 4
意欲減 退
3疾 患 1
保護 者 意 向 1
訓練後 不採用 1
甘 卒 業 時
□ 卒 業 畿
グ ラ フ
2は,秋 田県 の養護学校高等部 の近年 の進 路状況 を示 している. そのポイ ン トは次 の通 りであ る.一つ 目は,一般就労者 の割合の低下傾向が強 い こと.二つ 目は,福祉就労者 の地域生活指向が強 い とい うこと ( 約
8割が適所型の施設 ・作業所を選択) . 三つ 目は,進路未決定者 ( 在宅者やデ ィサー ビスの 利用者)が増加傾向であること.
これ らの進路動向の背景 として,雇用に関 しては, まず経済不況 による求人 の落 ち込 みが挙 げ られ る.
秋 田県 に求人全体の減少, とりわけ高卒求人 の減少 が深刻化 している
(4).さ らに平成
13年度 の秋 田県 に おける障害者 の解雇数 が急増
(5 )した ことか ら新 規 雇用 どころか雇用継続 さえ厳 しい状況であると言 わ
ざるをえない.
この他 に雇用 に関す る進路動向の背景 として,吹 のよ うな要因が考え られ る.秋 田県 において も,障 害者 の雇用の場 とな っていた製造業が減少 して きて いること.養護学校整備 に伴 い,在籍生徒 の障害の
表 2 変更の把握手段 N‑1 2
把握 方法 人数
本人 .家庭 か ら連絡 2
連絡先か ら連絡 3
関係機 関か ら連絡 1
学校 の定期訪問
5重度 ・重複化 が進 んで きて い る こと.作業所等 の福 祉 の受 け皿 の整備 が進 んだ ことで一般就労 へ の挑戦 を避 ける向 き も一部 あ る こと.
福祉 的 な進路状況 の背景 には,秋 田県 が古 くか ら 入所施設 が整備 され た地域 ゆえ,逆 に適所型施設設 置 の遅 れ,地域理解 が遅 れて きた ことが挙 げ られ る.
近年,地域型志 向傾 向が強 ま った ことで滞 って いた 小規模作業所 の新規立 ち上 げが見 られ る. しか し卒 業生 の
5人 に
1人 が行 き場 が な く在 宅 に な った り, 週 に限 られ た時間 をデ ィサ ー ビスの形 で しか通 う場 所 が確保 で きない とい う現状 は資源不足 の状態 が依 然続 いて い ることを示 して い る.
以上 の よ うに秋 田県 の養護学校高等部 の進路状況 の特徴 は,地域生活指 向が強 ま って い るが,一般就 労 や福祉就労 に関 わ らず受 け皿不足 で あ る こととい え る. しか しよ り重要 な ポイ ン トは秋 田県 の養護学 校進路指導 は, その困難性 ゆえ進路先確保 に多 くの 関心 と努力 が費 や されて い る ことにある.そのため, 本人 の 自己決定 や卒業後 の地域生活 へ の 「移行」 に 対 す る意識 が まだ浸透 お らず, その支援 が始 ま って
いない ことが指摘 されて い ることにあ る(
6).これ らが提起 す る ことは,一 つ 目に自己決定 を支 援 す る進路指導 へ の転換 の必要性 で あ り,二 つ 目に 進路先確保 に関す る戦 略 を持 っ ことで あ り,三 つ 目 に卒業後 の地域生活 へ の移行支援 を支 え る関係機 関 の ネ ッ トワー クの必要性 で あ る.
一 つ 目の課題 に対 して は, 冒頭 で触 れ た進路指導
平
虞 10年度
平癒 11年 度
雷J*12年 Jl
寧
虞 1 さ 年 度
の 「 新 しい取 り組 み」 に解決方法 が既 に示 されて い る. また三 つ 目の課題 につ いて も先進 的 な 「 就業支 援 の取 り組 み」 に解決 の手法 を見 出す ことがで きる と考 え る.三 つ 目の課題 につ いて は,文部科学省 か らの委 嘱事業 と して全 国特殊教育学校長会 が行 った 調 査 研 究
(7)に よ り方 向性 が示 され た段 階 で あ る.
秋 田県 にお いて も新 たな ネ ッ トワー ク形成 の模索 が 始 ま って い るが, その在 り方 も含 めて手探 りの状況 で あ るといわ ざ るをえな い ( 8 ) .養護学校 の取 り組 み と して は 「個別移行支援計画」 の理解 と必要 なネ ッ
トワー クづ くりこそ, この課題解決 へ の アプ ローチ とな るで あ ろ う.
2
目的 と方法
秋 田県 において知 的障害 を もつ人 が地域生活 を し て い くための基本 的 な条件整備 と して 「 地域生活 を 支援 す るネ ッ トワー クが必要 で あ る」 と考 え る.本 研究 で は,地域生活 を支援 す るネ ッ トワー クの在 り 方 を考 え る ことを 目的 と し,養護学校進路指導 の視 点 か ら考察 を加 えたい.
そのため に,全国各地 の知 的障害者 の地域生活支 援 を 目的 と した ネ ッ トワー クの例 を概観 す る.次 に 秋 田県 内の知 的障害者 に関 わ る関係機 関や地域生活 を行 うにあた って活用 で きる 「 地域資源」 を確認 す る. さ らに,地域生活 を して い くため に必要 なサー ビスや よ り豊 か に生活 す る視点 か ら,既存 の関係機 関等 の再整理 を試 みたい.全 国 の先行例 と秋 田県 の
0 1
101 IO■ ●○■ 80■ ○○1 70■ ●Ot fOt lOO■田 徽 雷 貞 義 機 中 田 ‑ 級 就 労 ロ 兼 業 手 伝 い 昏 授 産 施 敵 田 夏 生 脆 敵 ロ t J t親 壌 件 兼 新 田 児 霊 篤 敦 ロ デ イサ ー ビ ス
グラフ
2秋 田県の知的障害養護学校高等部の進路状況
第25号 2003年 55
現状 の対比か ら秋 田県 の課題 を明 らかに してい く.
3
地域 ネ ッ トワークと地域資源
(1)
地域 ネ ッ トワークづ くりの全国的動向
全国の知的障害者 の地域生活支援活動 には多 くの 優れた取 り組 みがある. ここではその目的やベース
となる機関等 によ り三つ に分類 を試みた.
①就労支援 のネ ッ トワークモデル
一つ 目に就労支援 を主 たる目的 とした支援 ネ ッ ト ワークモデルである. ネ ッ トワークの中核 とな って いる機関 は,通勤寮や地域職業 セ ンター,近年整備 が始 まった就労支援 セ ンターに加 え,特例子会社等 に関わ る企業や企業団体等 とな っている. その活動 は,新規雇用創出や就労 に関す る情報交換及 び就労 情報 の共有化 ・一元化,一貫 した就労支援 の提供等 である. さ らに就労支援 システムの研究や関係機関 とのネ ッ トワーク構築,就労支援 セ ンターの設立活 動等, ネ ッ トワークにより多様 な展 開 も見 られ る.
いずれにせ よ,地域 の労働関係や養護学校,福祉施 設等 を巻 き込んで多 くの成果 を上 げて きている(
9).②生活支援 のネ ッ トワークモデル
二つ 目に生活支援 を主 なね らいとしたネ ッ トワー クによる支援 モデルである. ネ ッ トワークの中核 と な っている機関 は,通勤寮や地域療育等支援事業, 生活支援事業,障害者介護等 サー ビス体制整備試行 事業 (ニケアマネージャー)等 の委託 を受 けた社会 福祉法人 にな っている例が多 い. その活動 は,訪問 相談, レスバ イ トケア,送迎,付 き添 い, シ ョー ト
ステイ, ホームヘルプ, デ ィサー ビス等 の在宅生活 支援である. これ らに加 え,通勤 セ ンター機能,也 域生活者支援機能,支援 ネ ッ トワーク推進機能,等 の就労支援 の機能 を発揮 しているもの, ケアマネー ジメ ン トによりニーズの把握 ・サービスの調整 ・サー ビス提供 ・資源開発等まで可能にしているネットワー クも存在す る( 1 0 ) .
複数 の障害者福祉施設 を持つ法人が 自 らの資源の 専門性 を見直 し, ネ ッ トワークの中で有効活用 して い く例 と,一方で養護学校や労働機 関, 他施設等, 地域 にある他 の資源 とのネ ッ トワーク化 も推進 して 成果 を上 げている例が確認で きた.
③移行支援 ネ ッ トワークモデル
三つめに主 に養護学校が主体 とな って構築 され る 移行支援 ネ ッ トワークである. これは雇用創 出を主
とす るもの, これに加 えて地域 の養護学校間が連携
し,進路情報交換か ら組織的な活動 による企業 との 調整,雇用状況 の変化 に対応す るとい う職業 リハ ビ
リテーション ・サー ビスの新 たな展望への対応 まで 行 っているもの もあ り,地域 の実情 によって活動内 容 に幅がある.
雇用創出だけをね らったネ ッ トワークでは, その ネ ッ トワークを構成す る機関 も学校 と労働機関,企 業等 に留 まってお り,障害者 の地域生活全般 に対す る支援 までは検討 されていない状況 で あ る. 今後,
「 個別移行支援計画」 の導入 に伴 い, 地域生活 を包 括 した支援 ネ ッ トワークを構築 してい くことが求 め
られている
(ll).(2)
秋 田県 の地域資源
ここまで,養護学校 の卒業生 の地域生活支援 の必 要性 を述べ, その手 だて と して関係機関間のネ ッ ト
ワークによる支援 の先行例 の特徴 を述べた.次 に秋 田県おけるネ ッ トワークの要素 とな る 「地域 資源」
の現状 を見てい く.
1 ) 地域 エ リアの設定
今回,秋 田県内の各資源 について調査す るにあた り,県内を幾つかのエ リアに分 けた. エ リアを設定 した理 由は次の二つの視点か らである.
一つ は,障害者が地域で生活するために必要なサー ビスの提供 を保障す るためには, サー ビス提供機関 が適当な地理的範囲 になければならないか らである.
二つ 目は,関係機関の実質的な連携 のために も同様 の地理的条件が必要でか らである.
本研究で はエ リアの設定を県で定 めている障害保 健福祉圏域 ごとの 8 エ リアとした. これは国の施策 が障害保健圏域 よって進 め られ るか らである. ただ し,人 口規模や地理的範囲か ら考 えると,必ず しも ベス トなエ リア設定 とは言 い難 い部分 もある.なお, 秋 田県 の教育委員会で設定 している障害児教育学校 の県域 は
9圏域
(12 )である.
2)
地域資源の全体像
表
3に秋 田県 の障害者支援 の地域資源の概要を示 した. は じめに全県 の地域資源の特質 を列挙す る.
①各 エ リア毎の人 口および資源の格差が大 きい こ と.②地域生活志向が増加す るに伴 い,適所施設や 作業所等 の受 け皿づ くりが近年進 んで きて い るが,
まだ全県的に不足 していること.③地域生活 におけ
る余暇支援 ・青年学級等が ほんの一部 に しかない状 況であること.④各施設による本人活動支援が始 まっ た こと等.
就労支援 は,各職業安定所,障害者職業 セ ンター ( 県内 1カ所) と養護学校や就労支援 に積極 的 な施 設 な どによって行 われている.移行支援や定着指導, 困難時の対応か ら再就職支援については,ジョブコー チ制度 の活用 も含 めて今後,連携体制 の確立が求 め
られ ること等がいえ る.
3)
各 エ リア毎 の特徴
次 に各 エ リアごとの特質 について, その特徴 を述 べ る.
①大館 ・鹿角圏域 の特徴 は,施設 による地域支援が 実施 されているが,学齢児対象 のみのサー ビスであ ること. また地域生活志向が高 ま り作業所づ くりの 動 きが活発化 して きていることな どが あ げ られ る.
今年度か ら地域 の養護学校 による青年学級 の取 り組 みが始 まった ことも特徴 といえ る.
②鷹巣 ・阿仁圏域 の特徴 として, まず ェ リア内の人 口が極端 に少 ない ことがあげ られ る.古 くか ら入所 型施設が多 く作 られた地域であり,施設関連のグルー プホームも多 い地域である.反面,適所型施設 はひ とつ もない地域 で もある.
③能代 ・山本圏域 の特徴 は,近年 の適所型施設や小 規模作業所 の整備で受 け皿不足 の不安が当面解消 さ れた ことである.加えて,入所型施設による在宅サー ビス提供 や地域支援が開始 されていること等があげ られ る.
④秋 田周辺圏域 の特徴 は, エ リア内 の人数 が多 く, また地域設定 も広範囲 とな っている.中核 とな る秋 田市 の施設 ・作業所不足が予想 され る. この地域 に は,わずかなが ら青年学級,民間の余暇支援団体が ある.⑤本荘 ・由利圏域 は,通勤寮 の成果で グルー プホームが多 く,地域生活支援が もっとも進んでい る地域 と言 うことがで きる.一方で, コロニーがあ る地域で,適所型施設が少 ない地域で もある.
⑥大曲 ・仙北圏域 の特徴 は,地域での活動 の場が少 ない地域であ ったため,進路先 の確保 を最優先 した 動 きが近年盛んにな って きた.小規模作業所 の新規 立 ち上 げの活動が活発化 して きている.
⑦横手 ・平鹿圏域 は,地域での活動 の場 が少 な く, 進路先確保 を最優先 に保護者 による小規模作業所づ
くりが行 われて きているが,特徴的には, その活動
第25号 2003年
の中で余暇支援 の団体が誕生 して きていることがあ げ られ る.
⑧湯沢 ・雄勝圏域 の特徴 は,地域生活支援 の場が特 に少 ない地域である
。地域療育等支援事業 の実施委 託施設が唯一 この地区にはない.地域 の養護学校 に 高等部が設置 された ことで進路先 の課題が クローズ
ア ップされつつある.
4)
地域資源の特徴
各地域 に存在す る資源の特質 の明確化を意図 して, 各機関をその主 た る業務か ら,「 教育機関
」「 相談機
関
」「 生活支援
」「就労 支援
」「余 暇支援
」「本人活
動
」(13 )と分 けて整理 した. その特徴を述べ る.
① 「 教育機関」 は,他 の資源 に比べ各地域への整備 が進んでいる.養護学校 についていえば,来春秋 田 周辺地区 に一校開校予定であ り, これで全県を網羅 す ることになる. また,秋 田県の特色 として地域 の 小学校 に特殊教育地域 セ ンターを配置 してあ り,就 学前 を中心 とす る教育相談や就学相談,特殊学級支 援等 の機能 を果 た して きた.
② 「 相談支援」 には就労関係 として,公共職業安定 所 と地域障害者職業 セ ンターを分類 した. また福祉 関連 と して県および市 の福祉事務所,地域療育等支 援事業 (コーデ ィネーター事業) を分類 した.公共 職業安定所 は,各地域 に配置 されてあるものの,障 害者への支援 とい う視点で, よ り専門性 の高 い障害 者職業 セ ンターは県内に一つ しかない.
「 相談支援」 の福祉サー ビス関連で は,県 および 市 の福祉事務所が各地域 に整備 されて い る. また, 地域療育等支援事業 (コーデ ィネーター事業)
(14)は 全県 の各圏域 にほぼ整備 された.唯一整備 されてい ない湯沢雄勝地域 について も来年度 ( 平成
15年度) の設置予定であ り,今後各地域 における地域生活支 援 の中心的な役割 を果 た してい くことが期待 されて
いる.
③ 「 生活支援」 の機関 には,入所型 の施設 と通勤寮 や福祉 ホームおよびグループホームの設置状況を示
した.
児童施設 は,各 エ リア毎 の設置 はない ものの,県 北 に
2カ所,県中央 に
2カ所,県南 に
2カ所設置 さ れ,全県をカバー している.入所型施設 は県内に大 変多 く設置 されて きた ことに加 え,東京都 の施設 も
5
カ所設置 されている.各 エ リアによって設置数 に 格差 はあるもののすべての地域 に作 られている. ま
57
た本荘由利 エ リアには県設置の コロニー,鷹巣阿仁 地域 にも長 い歴史を持つ コロニー型の複合施設があ
る.
一方で地域生活の拠点 となる通勤寮,福祉 ホーム グループホームの設置 は立ち後れている.通勤寮 は 県内に
2カ所のみである. また福祉 ホームも県内で 鷹巣阿仁地域 と能代山本地域 に各
1カ所の計
2カ所 ( 表内ではグループホームにカウ ン ト) のみの設置 状況である. グループホームについては,古 くは鷹 巣阿仁地域の コロニー型の施設 による取 り組みや本 荘由利地域の通勤寮 による取 り組みがあ ったが,近 年僅かなが ら新 たなグループホームの立 ち上 げが見
られるようになって きている.
④ 「 就労支援」 は,一般就労 にむけた専門支援機関 として就労支援セ ンター,福祉就労支援 として適所 型の授産施設,更生施設および小規模作業所をカテ ゴ リーに入れた. しか し現在の所,就労支援センター は県内に設置 はない.
障害者職業セ ンター
(「 相談支援」 にもカウン ト) によるジョブコーチ事業 は,現在セ ンターへの配置 型
4名,外部機関型
4名 ( 協力機関型
4名,登録型
2名)の職員を配置 し活動 してし「る.今後外部機関 型 は増員の予定 もあ り,一応全県を網羅す る体制が 整いっつあると言える.
適所型授産施設 は小規模適所授産施設 も含めての 設置数で表記 してある.県北 に
2カ所,県中央で
2カ所,県南
1カ所の計
5施設の設置であ り,各 エ リ ア毎 に見ればまだ 4 エ リアという限 られた地域で し か設置が進んでいないことがわか る.適所型の更生 施設 も同様であ り,
3つのエ リアで
5つの設置を見
るだけである.
小規模作業所 は,近年設置が進んで きた.小規模 作業所を持たないエ リアは鷹巣阿仁地域の 1カ所だ けであるが, この地域 にも現在設置 に向けた活動が 進んでいる.
⑤ 「 余暇支援」 は,青年学級や親 や NPO等 の団体 による知的障害者のための活動, あるいは知的障害 者が定期的に参加 している活動を取 り上 げた.
青年学級 は秋田市周辺地域でボランティア団体が 実施 している他,大館鹿角地域で養護学校 によって 今年度か ら活動が始 まった ものを合わせて
2学級で ある. その他の団体 として秋田市 に保護者および有 志団体 による余暇支援活動が
2つ行われている.横 手平鹿地域では,小規模作業所づ くりの活動か ら余
暇支援活動が
3つ誕生 している. なお,表
3には地 域で余暇支援の資源 とな りうる公民館の数を表記 し ている.
⑥ 「 本人活動」の秋田県の特徴 は,施設主導の形で 施設内に誕生 して きていることである.施設間で連 携調整を図 りなが ら, ほとんどすべての施設で足並 みをそろえて誕生 させてお り,全県規模の本人活動 の集会 も催 されている.一方で,本来の姿であろう 地域での本人活動の団体 は,施設入所者が多いこと を反映 してか,県内で皆無である.なお,表
3には 各市町村の手をつな ぐ育成会の数を表記 した.
5
秋田県の地域生活支援の課題 ( 1 ) ネ ットワークの必要性
既 に示 したとお り,先進的な地域生活支援 はネ ッ トワークによって行われている.地域生活は 「 地域
」とい う分化 した環境である. したが って地域生活を 送 る上で発生す るニーズは多様である.その対応 は 単一機関では不可能であ り,地域生活 における活動 と参加を実現 してい くためには, ネ ッ トワークによ る支援が不可欠 になることが示唆 されるのである.
また地域 ネ ットワークを三っの タイプに大別 した が, それ らのネ ッ トワークがそれぞれ機能を拡大 ・ 深化 させていることが確認 された.例えば,雇用拡 大のための取 り組み ( 職域開発や職務分析)が知的 障害者の働 きやすい環境や支援のあ り方を明確化 し た り,職場定着のための支援が生活支援, とりわけ 地域生活支援のあ り方 について問題提起 した り,余 暇支援のニーズを生んだ りす る例が見 られた.単一 機関内では,発想 さえ しなか った議論が生まれたり, ニーズがあって も具体的な解決策 に結 びついていか ないこともネ ットワーク活動の中で対策 が生 まれ, 実践が積み重ね られてきている. その結果,地域生 活支援の質的な向上が図 られて きたのである.
ネ ッ トワークによる地域生活支援の成果 は次の
3点 にまとめ られる.①地域資源の機能の再評価 と役 割分担 によって各機関が専門性を発拝 していること.
②中心 となる機関が コーディネー ト機能 を発揮 し, ニーズに応 じて資源をマネジメ ン トして い ること.
その結果, サー ビス提供がスムーズに行われること.
③資源活用か ら資源開発 まで考慮 され ること.
このようにネ ッ トワークが組織的に機能す ること
で,多様なニーズに対応で きるとともに, より質の
高 いサー ビスを安定 して提供 した り,展開 した りす
表
3秋 田県の障害者支援の地域資源の概要
エ リア 教 育 相談支援 生活支援 就労支援 余暇支援 本人活動 人 口
大館鹿 角 養護 学校 御者青鯛センタ 教育事務所 ‑
321職 業安定所 職業センタ 福祉事務所 コ ーディ ネータ ー ー 0231児童施設 入所施設 通勤寮 F J v ‑プホ ーム
o5 6
1就労支センタ 適所授産 適所更生 小 規模傾所 ー 005
1青年 学級 団休 ( 公民館
24)o
1地域 施設内 ( 育成会
4)o7 118千人
5
1青年 学級 団休 ( 公民館
24)o
1地域 施設内 ( 育成会
4)o7 118千人
鷹 巣阿仁 養護 学校 特棚育鵬センタ 教育事務所
ー 111職 業安定所 職 業センター 福祉事務所 コ ーディ ネータ ー
0111児童施設 入所施設 通勤寮 g J V ‑プホ ーム
7171就労支センタ 適所授産 適所吏生 小 農鮒某 所 ー 0 0o0 青年学級 団体 ( 公民館
14)o
0 地域 施設内 ( 育成会 5)
1o
0 千人
15
能代 山本 教育事務所 養護 学校 特牌育鵬センタ
ー 111職 業 センター 職業安定所 福祉事務所 コ ーディ ネータ ー 0121児童施設 入所施設 通勤寮 F ルーブホ ーム 0 o25 敦棺センタ 適所授産 適所更生 小規 那某 所 ー 0111青年 学級 団体 ( 公民館
25)o
0施設 内 地域 ( 育成会
8)o
3 千人 6
8
5 敦棺センタ 適所授産 適所更生 小規 那某 所 ー 0111青年 学級 団体 ( 公民館
25)o
0施設 内 地域 ( 育成会
8)o
3 千人 6
8
秋 田周 辺 教 育事務所 養護 学校 特棚育 地域センタ
ー 25
1職業安定所 職 業センター 福祉事務所 コ ーディ ネ ータ ー
2132児童施設 入所施設 通勤寮 F ループホ ーム o275 就労 適所授産 適所更生 小朋僻所 支センタ ー
0238 青年学級 団体 ( 公民館 36)
21地域 施設内 ( 育成会
12)1o
1 439千人
本荘由利 教育事務所 榊載育地 養護 学校 域センタ ー
211職業安定所 職 業センター 福祉事務所 コ ーディ ネータ ー 0211児童施設 入所施設 通勤寮 グ ループホ ーム 1 0 6
13適所更生 就労支センタ 通所授産 / 場株僻所 ー 0021青年学級 団体 . ( 公民館
21 )
0o地域 施設内 ( 育成会
11o
3) 123千人
青年学級 団体 . ( 公民館
21 )
0o地域 施設内 ( 育成会
11o
3) 123千人
大 曲仙 北 教育事務所 養護 学校 特棚育地 域センタ ー
211職業安定所 職 業センター 福祉事務所 コ ーディ ネータ ‑ 0221児童施設 入所施設 通勤寮 F ループホ ーム 0 o21就労支センタ 適所授産 通所更生 小規模作業所 ー 00o4 青年学級 団体 ( 公民館 38 ) o0 地域 施設内 ( 育成会
14)o2 1千人 56
就労支センタ 適所授産 通所更生 小規模作業所 ー 00o4 青年学級 団体 ( 公民館 38 ) o0 地域 施設内 ( 育成会
14)o2 1千人 56
地域 施設内 ( 育成会
14)o2 1千人 56
横 手平鹿 教育事務所 養 護 学校 特物音地 域センタ
ー 111職業安定所 職 業センター 福祉事務所 コ ーディ ネータ ー 0121児童施設 入所施設 通勤寮 ループホ ーム o111抑支センタ 適所授産 適所更生 相模傾所 ー
0012 青年学級 団体 ( 公民館
27)o3 地域 施設内 ( 育成会
8)o2 109千人
抑支センタ 適所授産 適所更生 相模傾所 ー
0012青年学級 団体 ( 公民館
27)o3地域 施設内 ( 育成会
8)o2 109千人
湯 沢雄 勝 教育事務所 養護 学校 特柵育地 域センタ
ー 111職 業センター 職業安定所 福祉事務所 コ ーディ ネータ ー
̲0211児童施設 入所施設 通勤寮 F ループホ ーム o 021就労 適所授産 適所更生 小鵬作業所 支センタ ー 0001青年 学級 団体 ( 公民館
19)o
0 地域 施設 内 ( 育成会 6)
o3 千人
8 1
青年 学級 団体 ( 公民館
19)o
0地域 施設 内 ( 育成会 6)
o3千人
8 1第25号 2003年 59
ることが可能 にな る. さ らに新 たな資源開発 まで可 能 にな ることが先行例か ら実証 されている.
秋 田県 において も進路状況 が示す よ うに,地域生 活へのニーズが高 ま っている. この ことは, これま で中心的な課題 とされて きた 「 進路確保」 の とい う ニーズとともに今後, 「 生活 の質 を確 保 して い くた めの多様 なニーズ」 が発生 して くることを予想 させ る. これ らへの対応 は, ネ ッ トワークでなければ不 可能 であろ うし, ネ ッ トワーク活動 の中で よ り質 の 高 いサー ビスの実現が期待で きるのであ る.
冒頭 の能代養護学校 の例 で は卒業後 の 「 進路先定 着
」の視点か らネ ッ トワークにきる支援 の必要性 を 示 した. しか し,今後必要 とされ るネ ッ トワークの 果 たす役割 は進路先 の確保や定着 のためだけで はな い.地域 ネ ッ トワークは,地域生活 を支 え る要素 を 可能 な限 り盛 り込 んだ支援領域 を持つ ことが求 め ら れて きてい ると言 え よ う.
しか し,先行例 であ って も 「 地域生活」 の全体 を 網羅 した支援 を実践 している例 は ご く一 部 で あ り, 現存す るほとん どの支援 ネ ッ トワー クは支援 の領域 が限定的であ るといわざ るをえない.今後 は,地域 レベルで就労支援 や生活支援等 のそれぞれの支援領 域 をネ ッ トワーク して くことが必要であると考える.
教育 の新 たな動 向 と して 「 今後 の特別支援教育 の 在 り方
」(15 )が示 されたが,学校 で は教育 に関 す る こ の新 しい方 向付 けを踏 まえなが ら, 「移 行支 援 」 の 体制作 りと して,各支援領域間のネ ッ トワークづ く
りを 目指 してい くことが大切であろ う.
以上 を踏 まえ,図 1 に養護学校進路指導 の立場 か 考 え る 「 地域生活への移行 とその支援 の構図」 を示 した.進路観 の変化 は,地域生活上 の活動 と参加 の 困難 こそ支援 の ターゲ ッ トであることを示 した. つ
ま り進路先確保 に加 え,生活 の場 や余 暇活 動 の他 , 様 々な地域活動への参加困難 な状況 の解決策 を立 て
ることが必要 にな る.進路指導 の観点か らは 「 学校 ( 施設) か ら地域生活への移行」 が課題 とな る. 支 援 の領域 は 「 就労支援
」,余暇 ・生 涯学 習 の要 素 も 加味 した 「 生活支援」 と 「 本人活動支援」 の
3つの 各領域 と考 え られ る. そ して支援方法 として は
3つ の支援領域 に関 して地域 レベルで組織 されたネ ッ ト ワークが共通理解 と役割分担 によ って行 われ ること が望 ま しい と考 え る.支援 は,本人 の 自己決定 を尊 重す ることは当然 と して,生活 の質 と権利擁護 の観 点 か らも十分 な検討が必要 であろ う.個別移行支援 計画 ( 個別移行計画) は,支援 プランを包括的 に立 て, よ り専門的なサー ビスが提供 されてい くため手 法 と しての役割 を担 うものである.
(2)
地域資源 の整備課題
「ネ ッ トワークの必要性」 につ いて,全国的な動 向か ら述 べて きた. そ して 「 地域生活」 とい うもの が 「 分化 した環境 の中での生活」 とい う認識 を もと に 「 地域生活への移行 とその支援 の構図」を示 した.
その中で地域生活支援 は,就労 ・生活 ・本人活動 に 対す る支援領域 を もっ ことと, それ らが ネ ッ トワー クを組 み,組織 的 に支援す ることの必要性 を確認 し て きた. これ らを踏 まえ秋 田県 における地域支援 を 考 えてい く手がか りと して,地域資源 の整備課題 に つ いて検討 し, まとめ とす る.
1 ) 不足す る資源 と今後 の対策
秋 田県 における障害者 を支援す る地域資源 の課題 の一つ 目は,地域資源 の不足 にあ る.主 だ った所 を 指摘 し,現状 か らの考 え られ る対策 を述べ る.
図 1 地域生活への移行とその支援の構図
① 「 生活支援」機関 ・サー ビス等
生活 の場 に関 して, もっとも不足が指摘 され るの は通勤寮であ り, またグループホームである.通勤 寮 は地域生活支援 の中核的機能 を持っため,期待が 大 きいが残念 なが ら新規設置の動 きはない. グルー プホームに関 して も先 に触れたように,各法人の努 力 に依存せざるを得 ない.
また在宅生活支援 について,今後 もっとも期待す るものは,「ホームヘルプサー ビス」 で あ る. しか し全国的に も利用希望 に対す る実際のサー ビス提供 が
10%であるとい う数字が示す通 り
(16),十分 な実施 体制 にな っていないのが現状である.秋 田県内にお いては, ホームヘルプサー ビスに対す る認識 はまだ 薄 く, ほとん ど利用 されていない状況である.本人 や保護者,関係者へ周知 と利用促進 しなが ら行政へ 予算 と人材確保 についての理解 を図 ることが必要で あろう.
また,地域生活支援 として一定 の成果 をあげて き た地域療育等支援事業 も全 エ リアへの配置が予定 さ れている.今後 は,地域生活支援 の中核 としてさ ら に重要 な役割 を果 たす ことが期待 され る.
② 「 就労支援」機関 ・サー ビス等
もっとも不足 していると指摘 され ることは,一般 就労 に対す る専門機関である就労支援 セ ンターがな い ことである.平成
15年度 に県内に も設置 され ると い う情報があるが,各地域 エ リア毎への整備 にはほ ど遠 い状況 といわざるをえない. しか し,一方で障 害者職業 セ ンターで実施が始 まった ジ ョブコーチ制 度 は,外部機関型 によって,全県 を対象 にす る体制 を整え る方向にある.現状で は各 エ リア毎 の配置 は ないが,秋 田県 における就労支援 の重要 な資源 と認 識す る.
また,適所型 の施設 および小規模作業所 の不足 も 全県的な課題であるが, これは新規立 ち上 げの活動 を続 けるとともに,既存施設 ・作業所 の定員増加, 既存施設 の分場, さ らには入所施設 の適所施設併設 等への働 きかけを してい くことも具体的な手 だて と
して有効であろ う.
③ 「 余暇支援」組織 ・団体等
余暇支援 について は,全県的 に資源が極 めて少 な く地域格差 も大 きい状況にある.定期的な支援を行 っ てい く組織 ・団体等が秋 田県内で はこれまで ほとん ど存在 して こなか った.今後 は 「 養護学校が生涯学 習支援 を担 うべ き」 とい う見通 しが示 され た ( 1 7 )こ
第25号 2003年
とで,各 エ リアの養護学校 において,余暇支援 も含 めた形で展開 してい くことが現実 的か と思 われ る.
これに関 して,秋 田県 の養護学校進路指導担当者 の ほとん どがその必要性 を感 じてお り, その条件整備 として人材確保が必要 として,地域にそのバ ックアッ プを期待す る声が多 く聞かれている ( 1 8 ) .
④ 「 本人活動支援」組織 ・団体等
秋 田県 の本人活動 は全県で足並みをそろえなが ら 各施設内に作 られ,活動 を積 み重ねつつある.一方 で地域 には本人活動 が存在 しない.今後,施設内で 本人活動 を進 めている リーダー的な存在 の人が地域 生活を実現 してい くことを期待 したい.地域へ出た リーダー達がそ こで本人活動 を進 めて い くことで, 地域での本人活動が誕生 し,展開 してい くことが望
め るか らである. それには地域 に出た人 に対す る支 援が切れ ることな く継続 しなければな らない.
2)
地域 ネ ッ トワークづ くりにむけて
秋 田県 における障害者地域資源の課題の三つ目は, 各地域 を意識 したネ ッ トワークづ くりである.
ネ ッ トワークの地域設定 について,本論文で は障 害保健圏域での検討 を して きた. しか し,すでに述 べたよ うに人 口や資源の格差の問題が存在すること,
また市町村合併 の問題 も絡んで くることが予想 され るので,現時点で は, どのようなェ リア設定が良 い のか は言及で きない. いずれにせよ本人 を中心 に置 き, また関係機関の実質的なネ ッ トワークが可能 な 地理的な範囲 とい う点 は最低考慮すべ きポイ ン トで あると考え る.
これまで述べてきたように,秋田県では就労支援 ・ 生活支援 ・本人活動支援 の各支援領域 の資源不足が 深刻である. そ して これ は課題化 されやす いため, 資源づ くり,特 に進路先 とな る受 け皿作 りに関心 と 努力の大半が注がれている状況である. これに比較 して地域 ネ ッ トワークづ くりは立 ち後れて きた. こ れまで各支援領域内での連携 はで きて さて も,各支 援領域 を包括 したネットワークまでにはなりえなかっ た. しか し資源が不足 しているか らこそ,地域 ネ ッ トワークが必要 なのである.先行例 が示 す よ うに, ネ ッ トワークによる多様 なニーズへ の対応 の中で, 各機関の専門性発揮 だけでな く, よ り有機的な連携
の中で機能 の見直 し ・相互補完ができるか らである.
さ らには本当 に必要 な資源 (ハ ー ド) やサ ー ビス (ソフ ト) の開発 まで実現 していくことが可能になっ
61
て くる.地域生活 ‑分化 した環境 か ら出て くるニー ズには 「 器」 を作 っただけで は到底対応で きない こ とを認識 しなければな らない.
秋 田県 の現状 と して,就労支援 ・生活支援 ・本人 活動支援 の各領域 の資源が出来 は じめ,今後整備拡 大 を 目指 して い こうと している.一方 で秋 田県が推 進 している障害保健圏域毎 のネ ッ トワー ク化 であ る
「 地域療育連絡調整会議」 も始 ま って い る. 地 域 の 実情 を踏 まえて,既存 のネ ッ トワークや連携関係 を 整理統合 して いきなが ら,地域毎 に支援 ネ ッ トワー クづ くりを推進 してい くのが最善 と考 え る. その手 がか りと して,地域 に立脚 し, よ り包括的 にニーズ の課題化 を 目指す養護学校 の 「個別 移行 支援 計 画」
の実践 を きっか けに して展開で きるので はないか と 期待す る ものであ る.
注
(1)
原智彦 ら 「 転換期 の進路指導 と肯定的な 自己理 解 の支援」,発達障害研究, 第
24巻 第
3号
p262‑271(2002)
( 2) 「 個別移行支援計画」 とは,養護学校高等部 3 年間 と卒業後
3年 までの期間を分 けて移行期 と し, 自己決定 を支援 し,本人 の同意 を もとに地 域生活全般 につ いての支援 を関係機関 との共通 理解 と役割分担 の上 に行 う支援計画である.
( 3) 内海淳 「 職業教育 の歴史 ( 下 ):進 路 指導 の形 成期 と転換期」 ,発達 の遅 れ と教 育,
No.532 p 50‑51(2001 )
( 4) 秋 田県 における高卒者 の就職状況 は,平成
13年
3月期,新規高卒者 の内定率が
90%を割 るとい う,統計 を は じめて以来,初 とい う厳 しい事態 であ った.
(5)
秋 田県 の平成
13年度 の障害者 の解雇者数が過去 6 年間の平均 の 3 倍増 とい う急激 に増加 した.
(6)
菊池 直人 「 知的障害養護学校 における進路指導 に関す る調査 :秋 田県内の実践 と課 題」, 秋 田 大 学 特 殊 教 育 特 別 専 攻 科 研 究 論 文
p62‑67 (2001 )
( 7) 全国特殊学校校長会 「障害児 ・者 の社会参加 を 進 め る個別移行支援計画
」(2002)( 8) 秋 田県 は障害児 ( 者) の生活支援 の推進 を図 る ため障害保健圏域 内の関係機関の情報交換 や連 絡調整等 を行 う 「 秋 田県障害児 ( 者)地域療育 連絡調整会議」 を設置 した.
( 9) 全 日本育成会 「 地域 で支 え る 就労支援 ネ ッ ト ワークをっ くるために
」p30‑35,p92‑97(1999)( 1 0 ) 知的障害者 ケアマネジメ ン ト研究会 「障害者 ケ アマネー ジャー養成 テキス ト‑知的障害者編 ‑」
p145‑157(2002)
( 川 ( 7) に同 じ
p46‑72( 1 2 ) 秋 田県内の盲 ・聾 ・養護学校,特殊教育地域 セ ンターは,①鹿角,②大館 ・北秋 田,③能代 ・ 山本,④男鹿 ・南秋田,⑤秋田 ・河辺,⑥本荘 ・ 由利,③大 曲 ・仙北,④横手 ・平鹿,⑤湯沢 ・ 雄勝, の
9圏域 に分 け られている.
(13)
本人活動 とは,本 人 活動 とは,
Self‑Advocacyと してイギ リス, アメ リカ, スウェーデ ンなど の国々で発展 した概念 を翻訳 した もので あ る.
これ まで保護 の対象 と して見 られ他者か らの擁 護 によ って は じめて権利 を守 られて きた知的障 害者が, 自 ら社会的 に発言す る力 をつ ける こと で, 自分 の権利 を 自分 で守 るよ うにす ることを 意図 した運動であ る.
( 1 4 ) 「 地域療育等支援事業」 とは,在宅す る障害者 への福祉向上 を 目指 し,個 々の障害 を持っ方 の ニーズに応えるため,施設機能の提供や福祉サー ビスの調整, ボ ランテ ィア養成等 の多領域 の活 動 を展開す るものである.
( 1 5 ) 文部科学省 「 今後 の特別支援教育 の在 り方 につ いて ( 中間報告)
」は軽度 発達 障害 を持 っ児 童 生徒への適切 な対応 と今後 の盲 ・聾 ・養護学校 の在 り方 を方向付 けた. この中で,生涯 を通 じ た関係機関 と一 の連携 の重視 と連携上 の重要 な役 割 を果 たす特別支援教育 コーデ ィネーターの指 名,個別 の指導計画や移行支援計画 を含 んだ個 別 の教育支援計画 の作成等が唱われている.
(16)
柴 田洋弥 「 知的障害者 ホームヘルプ事業 の現状 と課題 :全国市町村実態調査 か ら」, さば ‑ と
No.548 p44‑52(2002)( 1 7
)文部科学省
「21世紀 の特殊教育 の在 り方 ( 最終 報告)
」第3章
3「 後期 中等教 育 機 関 へ の受 入 れの促進 と障害 のあ る者 の生涯学習 の支援 につ いて」 で生涯学習 の支援 を関係機関 と連携 しな が ら,養護学校 で実施 してい くとい う方向性 が 示 された.
(18)
( 6) に同 じ
p45‑47Summary
Thepurposeofthepresentpaperistoillustrate anetworksystem thatisintended to support peoplewithintellectualdisabilitieslead a life lessdifficultintheirlocalareas.Insodoing,the qualityandquantltyOflocalresourcesofAkita prefecture are examined in comparison with otherprefectures,toprovideinformationforthe teachersteachingatschoolsforstudentswith intellectualdisabilities.Theresultsindicatethat quantltyandqualityofresourcesvarygreatlyln differentareasinAkitaprefecture,thoughthere isacommontypeofresourcesthatarelacking inallareas.Basedonthefindings,aframework isprovidedofanidealtypeoflocal‑lifesupport system.Meanwhile,a stressisplaced on the importanceofmakingaconcertedeffortbyall thepeopleinvolvedtodeveloplocalresourcesas wellastoestablishanetworksystem in each area.
KeyWords:PeoplewithanIntellectualDisability
,
CareerGuidance,aLocalLife,Local Resources,aNetwork(ReceivedJanuary20,2003)
第25号 2003年 63