GLIMによるログリニア・モデルの測定
小 島 秀夫*
(1990年9月14日受理)
The Measurement of Loglinear Models by GLIM
@
Hideo KO」IMA
(Received September 14,1990)
は じ め に
最近の社会調査データの解析法の主要なものとして,ログリニア・モデル(loglinear model)
とLISREL(analysis of linear structural relationship)があげられる1)。ログリニア・モデル2)は
カテゴリカルなデータ解析に,LISRELは量的データの解析に使用されている。ログリニア・モデ ルにおいてもLISRELと同様に,直接観測されない潜在変数を扱うことがしばしばある。したがっ
て,このようなデータ解析法は,より高度になってきているといってよい。本稿の目的は,コンピュータ・プログラムGLIM(Generalised Linear Interaρtive Modelling)
を使用して,ログリニア・モデルの測定を行うことである。GLIMについては今日までに,すでに いくつかの解説書や論文集が刊行されており3),わが国においてもGLIMについての論文やその使 用法についての論文が書かれているが4),それらの多くが社会移動表を中心としたものであり,パ ラメータの制約方法については,ほとんど述べられていない。本稿では,制約条件のあるログリニ
ア・モデルの測定をどのように行えばよいかについて解明することとする。データとモデルの設定
ここで,本稿において使用されるデータとモデルについて説明しておこう。本稿において使用さ れるデータとモデルは,Duncanによって使用されたものである。 Duncanは,それらのモデルの測
定のためにコンピュータ・プログラムECTA(Everyman s Contingency Table Analyzer)5)を使用しているが,DuncanによるECTAの使用法はより特殊なものであり,その使用法を理解することも 困難である6)。以下に示されるDuncanによって提示されたモデルを, GLIMによって測定すること
が目的である。後に示されるように,これらのモデルを測定する場合にGLIMはECTAを使用する 場合ほど難しくはないが,パラメータの制約条件の設定方法を理解するのが困難である7)。*茨城大学教育学部情報教育講座
132 茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)40号(1991)
表1 人種結婚形態,性別と宗教組織への参加程度
参加の程度 性 別 結婚形態 人種
2 1 0
男 性 既 婚 黒人 16 21 28
白人 67 117 85そ の 他 黒人 4 9 10
白人 9 26 20 女 性 既 婚 黒人 23 27 11
白人 86 135 57そ の 他 黒人 23 21 19
白 人 23 52 36
資料出所:Otis D. Duncan, ℃onstrained parameters in a modeHor categorica1
data, ∫oc 01b8 cα1〃e疏oぬ&Rε58α7cん, vo1.8(1979), p.59より作成
表1は,デトロイト・エリア研究によって得られた,性別×結婚形態×人種×宗教組織への参加 の4重クロス表である8)。参加の程度で0は教会にも教会以外の宗教組織にも属していないことを 意味し,1は教会のメンバーのみ,2は教会とそれ以外のメンバーになっていることを意味してい る。こうしたクロス表が与えられた場合に変数間の相互関係を明らかにするために,通常のログリ ニア・モデルがよく使用される。ここでは,通常のモデルの測定は2つのみを示しておくこととす る。プログラムの中で,変数Cは人種Mは結婚形態,Sは性別, Pは宗教組織への参加を示す。
モデル10は,結婚形態と宗教組織への参加のオッズ比に,(1)のような制約条件を加え,さらに性 別と宗教組織への参加のオッズ比に,②のような制約条件を加えたものである。
(β1 β, 11 1 1)q)
(llllD②
ここで,β1とγ1は確定されない未知の定数である。
モデル11は,人種と宗教組織への参加のオッズ比に,(3)のような制約条件を加えたものである。
α1とα2は未知の定数である。
(α2 α1 11 1 1)(3)
モデル12は,(3>の制約条件をα2=1としたモデルである。GLIMによるこれらのモデルの測定方
法が以下に示されているがここで注意すべきことはβ1などのパラメータの設定方法である。こ
れらはレベルとして設定される。なお,以下に示されるプログラムをよりコンパクトに書くことは
可能であるが理解の容易さを考慮し,やや冗長に書かれている。
¥C THIS IS GLIM RUNSTREAM FOR THE MODELS IN CONSTRAINED PARAMETERS
¥C IN A MODEL FOR CATEGORICAL DATA BY DUNCAN IN
¥C SOC I OLOG ICAL METHODS AND RESEARCH VOL8.1979 PP.57−68
¥UNITS 24
¥DATA D
¥READ 16 21 28
67 117 85 4 9 10
9 26 20 23 27 11 86 135 5723 21 19
23 52 36¥DATA P
¥READ
1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3
¥DATA C
¥READ
1 1 1 2 2 2 1 1 1 2 2 2 1 1 1 2 2 2 1 1 1 2 2 2
¥DATA M
¥READ
1 1 1 1 1 1
134 茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)40号(1991)
2 2 2 2 2 2
1 1 1 1 1 12 2 2 2 2 2
¥DATA S
¥READ
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2
¥DATA B3
¥READ
3 2 1 3 2 1 1 1 1 1 1 1 3 2 1 3 2 1 1 1 1 1 1 1
¥DATA B4
¥READ
3 2 1 3 2 1 3 2 1 3 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
¥DATA C2
¥READ
1 2 1 1 1 1 1 2 1 1 1 1 1 2 1 1 1 1 1 2 1 1 1 1
¥DATA B2
¥READ
3 2 1 1 1 1 3 2 1 1 1 1 3 2 1 1 1 1 3 2 1 1 1 1
¥YVARIATE D
¥ERROR P
¥LINK L
¥FACTOR P 3 C 2 M 2 S 2 B3 3 B4 3 C2 2 B2 3
¥C CONSTRAINTS FOR B3 AND B4
¥CALC B3X=B3
¥CALC B4X=B4
¥CALC B2X=B2
¥C MODEL 1
¥FIT C.M.S十P
¥DISPLAY E M D R
¥C MODEL 6
¥FIT C.M.S.十P.C十P.M十P.S
¥DISPLAY E M D R
¥C MODEL 10
¥FIT C.M.S十P.C十B3X十B4X
¥DISPLAY E M D R
¥C MODEL 12
¥FIT C.M.S十P十C2十B3X十B4X
¥DISPLAY E M D R
136 茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)40号(1991)
¥C MODEL 11
¥FIT C.M.S十P.M十P.S十B2X
¥DISPLAY E M D R
¥STOP
表2 年次別にみた反応パターン
W C D B 1953年 1971年 1976年
1 1 1 1 1 86 82 12
2 1 1 1 2 24 49 2 3 1 1 2 1 7 1 0
4 1 1 2 2 21 18 1 5 1 2 1 1 12 40 6 6 1 2 1 2 8 67 10 7 1 2 2 1 4 2 0
8 1 2 2 2 8 38 18 9 2 1 1 1 20 10 1
10 2 1 1 2 12 12 1 11 2 1 2 1 2 0 0
12 2 1 2 2 7 6 0
13 2 2 1 1 8 32 3
14 2 2 1 2 1 80 22 15 2 2 2 1 2 4 1
16 2 2 2 2 35 153 123
資料出所:Otis D. Duncan, Indicators of sex typing:traditional and egalitarian, situational and ideological responses, .A〃3θ7 cαπ Jo俳朋1 qプ50c o 08y, vol.85(1979), p.253より作成
次のモデルの測定のためのデータは,表2に示されている。データは,それぞれの日常的な雑用 についての男女の役割を調べたもので,Wは道路の掃除, Cは車洗い, Dは家具の掃除Bはべッ
ドの準備について,男性のみか女性のみか,それとも両方によってなされるべきであるかを,1953 年,1971年,1976年に調べたものである。表中の1は,いずれか一方の性の子によってなされるべ きであるという伝統的な反応であり,2は両性によってなされるべきであるという反応を示してい
る。
モデル1は,〔WC〕〔WD〕〔WB〕〔CD〕〔CB〕〔DB〕〔WY〕〔CY〕〔DY〕〔BY〕と表わされるモデルであり,それぞれ
の変数が関連しているという通常のログリニア・モデルである。モデル2は,モデル1に加えて,
セル1とセル16の実測度数と観測度数が一致するような制約を加えたものである。すなわち,完全
に伝統的な回答のパターンと完全に平等なパターンを特別に扱うものである。モデル3は,モデル 2と異なり,どの調査年度のセル1とセル16の期待度数の合計が実測度数の合計に一致するという 条件を加えたものである。この制約条件はGLIMでは,レベルを設定することによって可能となる。
モデル4は,各調査年度のセル1とセル16の期待度数の合計がそれぞれの実測度数の合計と一
致するような制約を課したものである。モデル5は,各調査年度のセル16はセル1をK倍したもの であるという制約を課したものである。Duncanは,このモデルの測定結果で実数Kの値を示しては いないが実際に求めた結果では,Kは1.73であることが明らかにされた。モデル6は,1953年の セル1と1976年のセル1にそれぞれのレベルを設定し,各調査年度のセル16に同じレベルを設定す るというものである。モデル7は,モデル6に1953年のセル1のパラメータの値が1となるような 条件をさらに加えたものである。これらのモデルの測定方法が以下に示されている。ここでは,ス ペースの関係上,データと変数W,C, D, Bは横に長く入力してあるがデータと同じに入力し
てあることは,書き直すことによって明らかにされる。レベルの入力も同様にしてある。¥C THIS IS GLIM RUNSTREAM FOR THE MODELS IN INDICATORS OF SEX TYPING
¥C BY OTIS D.DUNCAN IN
¥C AMERICAN JOURNAL OF SOCIOLOGY VOL.85,1979 PP.251−260
¥UNITS 48
¥DATA COU
¥READ
86 82 12 24 49 2 7 1 0 21 18 1 12 40 6 8 67 10 4 2 0 8 38 18 20 10 1 12 12 1 2 0 0 7 6 0 8 32 3 1 80 22 2 4 1 35 153 123
¥DATA Y
¥READ
1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3
1 2 3 1 2 3
¥DATA W
¥READ
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
1 1 1 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2
2 2 2 2 2 2
¥DATA C
¥READ
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2
¥DATA D
138 茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)40号(1991) 、
¥READ
1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 1 1 1 1 1 1
2 2 2 2 2 2
¥DATA B
¥READ
1 1 1 2 2 2 1 1 1 2 2 2 1 1 1 2 2 2 1 1 1 2 2 2 1 1 1 2 2 2 1 1 1 2 2 2 1 1 1 2 2 2
1 1 1 2 2 2
¥C WEIGHT
¥DATA WX
¥READ
0 0 0
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
0 0 0
¥DATA M3
¥READ
2 2 2
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
2 2 2
¥DATA M4
¥READ
2 3 4
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
2 3 4
¥DATA M6
¥READ
2 3 4
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
3 3 3
¥DATA M7
¥READ
1 2 3
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
「
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 2
¥DATA K ¥READ
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
1 1 1
¥YVARIATE COU
¥ERROR P
¥LINK L
¥FACTOR W 2 C 2 D 2 B 2 Y 3 XA 2 XB 2 YA 2 YB 2 ZA 2
¥FACTOR ZB 2 M3 2 M4 4 M6 4 M7 3
¥C MODEL 1
¥FIT W.C十W.D十W.B十C.D十C.B十D.B十W.Y十C.Y十D.Y十B.Y
¥DISPLAY E M D R
¥C MODEL 3
¥FIT W.C十W.D十W.B十C.D十ρ.B十D.B十W.Y十C.Y十D.Y十B.Y十M3
¥DISPLAY E M D R
¥C MODEL 4
¥FIT W.C十W.D十W.B十C.D十C.B十D.B十W.Y十C.Y十D.Y十B.Y十M4
¥DISPLAY E M D R
¥C MODEL 5
¥FIT W.C十W.D十W.B十C.D十C.B十D.B十W.Y十C.Y十D.Y十B.Y十M4十K
¥DISPLAY E M D R
¥C MODEL 6
¥FIT W.C十W』十W.B十C.D十C.B十D.B十W.Y十C.Y十D.Y十B.Y十M6
¥DISPLAY E M D R
¥C MODEL 7
¥FIT W.C十W.D十W.B十C.D十C.B十D.B十W.Y十C.Y十D.Y十B.Y十M7
¥DISPLAY E M D R
¥C MODEL 2
¥C WEIGHT COMMAND
¥WEIGHT WX
¥FIT W.C十W.D十W.B十C.D十C.B十D.B十W.Y十C.Y十D.Y十B.Y
¥DISPLAY E M D R
¥STOP
140 茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)40号(1991)
表3 パネル調査の反応パターン
セル番号 反応パター ン 実測
A B C D 度数1 1 1 1 1 458
2 1 1 1 2 140
3 1 1 2 1 110
4 1 1 2 2 49
5 1 2 1 1 171 6 1 2 1 2 182
7 1 2 2 1 56 8 1 2 2 2 87
9 2 1 1 1 184 10 2 1 1 2 75
11 2 1 2 1 531
12 2 1 2 2 281
13 2 2 1 1 85
14 2 2 1 2 97
15 2 2 2 1 338
16 2 2 2 2 554
資料出所:Otis D. Duncan, Testing key hypotheses in panel analysis.
50c如1∂g cα Mθ漉040 ogy 1980(ed,)Karl F. Schussler
(Jossey−Bass,1980), p.280より作成
次のモデルの測定に使用されるデータが表3に示されている9)。このデータはパネル調査の結果
であるがAとCは主流派に属しているかどうかで,1は属している,2は属していないことを示している。BとDは主流派に対する態度を示したものであり,1は肯定的,2は否定的な態度を示
している。このデータに対称(symmetry)モデルをあてはめたものがモデル1であり,モデル2はACのみ
を非対称としたモデルであり,モデル3はACとBDを非対称としたモデルである。モデル4は,AC, B D非対称と回答の一貫性に非対称を認める(c・n・istency asymmetry)モデルである。これ
らのモデルの測定方法が以下に示されている。ここでも,変数A,B, C, Dは横に長く入力され
ている。¥C THIS IS GLIM RUNSTREAM FOR THE MODEL TESTING KEY HYPOTHESES IN
¥C PANEL ANALYSIS IN SOCIOLOGICAL METHODOLOGY 1981
¥UNITS l6
¥DATA DATA
¥READ
458 140 110 49 171 182 56 87
184 75 531 28185 97 338 554
¥DATA A
¥READ
1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 2 2
¥DATA B
¥READ
1 1 1 1 2 2 2 2 1 1 1 1 2 2 2 2
¥DATA C
¥READ
1 1 2 2 1 1 2 2 1 1 2 2 1 1 2 2
¥DATA D
¥READ
1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2
¥DATA SYM
¥READ
1 2 3 4 2 5 6 7 3 6 8 9
4 7 9 10¥DATA ACA
¥READ
1 1 2 2 1 1 2 2 3 3 4 4 3 3 4 4
¥DATA BDA
¥READ
1 2 1 2 3 4 3 4 1 2 1 2 3 4 3 4
¥DATA CAS
¥READ
1 2 2 1
3 4 4 3
、
142 茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)40号(1991)
3 4 4 3 1 2 2 1
¥YVARIATE DATA
¥ERROR P
¥LINK L
¥FACTOR A 2 B 2 C 2 D 2 SYM 10 ACA 4 BDA 4 CAS 4
¥C MODEL SYMMETRY
¥FIT SYM
¥DISPLAY E M D R
¥C MODEL AC ASYMMETRY
¥FIT SYM十A.C十ACA
¥DISPLAY E M D R
¥C MODEL AC AND BD ASYMMETRY
¥FIT SYM十A.C十ACA十B.D十BDA
¥DISPLAY E M D R
¥C MODEL AC,BD AND CONSISTENCY ASYMMERY
¥FIT SYM十A.C十ACA十B.D十BDA十CAS
¥DISPLAY E M D R
¥STOP
要約と結論
本稿はコンピュータ・プログラムGLIMを使用して,ログリニア・モデルのパラメータの制約の 方法を示すことであった。GLIMにおいてはパラメータの制約条件をつけることが,比較的容易で あることが明らかにされた。今日,質的データの解析方法は多様な発展を示しており,本稿におい て示されたパネル・データの解析や,相互に関連のあると考えられる変数群に対してこれらのモデ ルを適用し,潜在変数を明らかにすることが可能であると考えられる。そうすることによって,こ れまでの調査データの解析では得られなかった新しい知見が得られることが期待される。
注
1)Duane F. Alwin and Richard T. Campbe11, Continuity and change in methods of survey data analysi5 P配卜 1 cOpjπ oπ9παπεrり㍉51 (1987).
2)ログリニア・モデルに関する文献としては,外国ではかなり出版されているが日本ではあまりない。代
表的なものとしては,以下のようなものがある。Yvonne M. Bishop, Stephen E. Fienberg and Paul W. Hol一
lan砿Dおcre 8〃翻 f加αア∫α 8、4朋り・廊(MIT Pres臥1975),Cambridge松田紀之『質的情報の多変量解析』(朝
q書店,1987)。
3)M・J・R・Healy, G伽・加1・か・伽伽(0・f・rd・Clarend・・Press,1988). Murray Aitki。。t。し5,観お伽,
〃04θ〃 πg∫πG乙 〃(Oxford:Clarendon Press,1989).A. Decarli, B. J. Francis, R. Gilchrist and G. U. H.
Seeber(・d・)・5・・顧・・ 〃・4・伽8(N・w Y・rk・Sp・i・ger−Verl・g,1989).J・mes K. Li・d・ey,伽加か、呵 Cα∫880r cα Dα∫θ乙厩ηg GL1ハ4(New York:Springer−Verlag,1989). Annette J. Dobson,〆1π、〃πro4配α oπ o Gθηε7α〃ze4乙加εα7 Mo4ε 5(London:Chapman and Hall,1990).
4)岩本健良「GLIMによるモデル構成」盛山和夫編『社会移動分析のコンピュータ・プログラム』(東京大学 文学部社会学研究室,1987)。白倉幸男「GLIMによるGoodman乗法モデルの解析」白倉幸男編『質的デー
・タの解析』(北海道大学文学部社会行動学研究室,1988)。小島秀夫・友枝敏雄「GLIMによる移動表分析の 方法」『茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)』35,1986。小島秀夫「GLIMによるHopeモデルの 設定方法」盛山和夫編『社会移動分析のコンピュータ・プログラム』(東京大学文学部社会学研究室,1987)。
小島秀夫「GLIMによるRaschモデル測定の研究」『茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)』合7,1990。
わが国においてはまだGLIMは普及しておらず,多様な分野で使用されているとはいえない。
5)Goodmanによって書かれたプログラムである。 ECTAについては,与謝野有紀「ECTAによるログリニア 分析」白倉幸男編『質的データの解析』(北海道大学文学部社会行動学研究室,1988)を参照せよ。
6)この点は,Duncan自身も認めている。すなわち,スターティグ・テーブル(starting table)に使用する初 期値を決めることが難しい。
7)上記のGLIMに関する文献にも,この点については明示されていない。
8)以下の分析のデータは,すべてDuncanによって使用されたものである。なお,本稿で使用された以外のデー タについても,ここに示されたと同様の方法によってGLIMによって測定できる。 Otis D. Duncan and James
A.McRae, JL, Multiway contingency analysis witb a scaled response or factor. In Karl F. Schuessler(ed.),
50do 09∫cα ル1e∫ん040 08ア1979(Jossey−Bass,1978). Otis D. Duncan,・℃onstrained parameters in a model f・rcat・g・・ical d・t・・ 5・・∫・1・9 ・・1 M蜘4滅R・…肱8(1979). Oti・D. Duncan,・1・dicat・rs・f。ex typi。g、
traditi・nal and・g・litarian・・ituati・nal and id・・1・gi・al re・p・nses, 舶・伽・ノ・・脚 φ5・・ ・1・紗,85(1979).
Otis D. Duncan, Testing key hypotheses in panel analysis. In Karl F. Schussler(ed.),30do 08∫cα1〃8所o一 4・ ・舘1980(J・ssey−Bass・1980)・Oti・D・Duncan, Tw・faces・f panel analy・i・・parall・1。 with,。mp。,ati.e c「°ss−secti・na1・n・1y・is and time−1・g9・d ass・・i・ti・n・ 1・S・muel L・i・h・・dt(・d.)∫・・ ・ ・8 ・・1〃αん・4・ ・紗 1981(Jossey−Bass,1981).
9)実際には,Colemanのパネル調査データである。串