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Verification of the reader on mobile phone novels for high school students

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(1)

高校生を対象としたケータイ小説における読み手の検証

芝田成輝

*

・村野井均

**

(2014年

11

28

日受理)

Verification of the reader on mobile phone novels for high school students

Naruki S

HIBATA

* and Hitoshi M

URANOI

**

(Received November28, 2014)

はじめに

 ケータイ小説として最初に注目され,人気を誇ったのは,

Yoshi

の『

Deep Love

(2000)

であ る。『

Deep Love

』は

Yoshi

の個人サイトで

2000

年に公開され,スターツ出版によって書籍化され た。スピンオフを含む作品群は,累計で

270

万部を超える大ヒット作となった。

Yoshi

は,『

Deep Love

』を制作するにあたって,高校生にインタビューを繰り返し行っており,後の素人が実体験 を基に書いた小説と分けて,『

Deep Love

』が人気を博していた

2002

年から

2005

年までにかけては,

第一次ケータイ小説ブームと呼ばれている。

 この後に,

2006

年ごろからは,素人投稿によるケータイ小説がブームとなった。素人による小 説投稿のブームが始まると,

Chaco

の『天使がくれたもの』

(2005)

を皮切りに美嘉の『恋空』

(2006)

やメイの『赤い糸』

(2006)

といった作品が人気となり,やはり書籍化されるとベストセラーとなった。

これが

2006

年以降の第二次ケータイ小説ブームとされる。特に,『恋空』の人気は高く,閲覧者 数では

2400

万人を超え(

2009

年当時),単行本化された小説は,販売開始一カ月で累計

100

万部 を突破するなど,記録的なヒット作となった。ケータイ小説を巡る言説では,第二次ケータイ小説 ブームの作品のことを単にケータイ小説と呼んでいることが多い。ケータイ小説は,ひたすらに悲 劇的なイベントが起こるばかりで,その中での登場人物の苦しみや葛藤の描写がほとんど見ること ができない。辛いイベントばかりが起こるケータイ小説の,どこに読者がのめりこむ要素があった のか,ケータイ小説の流行について,様々な意見が述べられている。

 自身が小説家であり,評論家でもある本田

(2008)

は,ケータイ小説の読者は地方の女子生徒が

茨 城 大 学 大 学 院 教 育 学 研 究 科( 〒

310-8512

水 戸 市 文 京

2-1-1;Major in School Education, College of Education, Ibaraki University, Mito 310-8512 Japan)

茨城大学教育学学部学校教育教室(〒

310-8512 水戸市文京 2-1-1; School Education, College of Education, Ibaraki University, Mito 310-8512 Japan)

*

**

(2)

中心であることに注目し,首都圏と地方都市における「情報格差」を挙げている。テレビや出版と いったもののすべては東京に一極集中しており,当然マスメディアが取り上げる最新のモードは,

東京を中心としたものが多くなる。しかし,地方都市にはそうした消費の中心のような象徴は存在 せず,地方都市の若者たちにとって,東京から発信される情報は決してリアルなものではないので ある。その中でケータイ小説における頻出する,「売春」「レイプ」「妊娠」「薬物」「不治の病」「自殺」

「真実の愛」といった

7

つのイベントは,彼女らの身近で起こりうる刺激的なイベントの一つであり,

加えて,ただ悲劇的展開が待つだけでない,最後に真実の愛が来る展開に惹かれたのだと述べてい る。つまり,首都圏に比べ刺激的なイベントの少ない地方の女子生徒にとって,ケータイ小説は刺 激的で,興味深い内容なのだという考え方である。本田は,ケータイ小説の内容と読者層から,人 気を博した原因を述べている。しかし本田はあくまで文学者の立場から述べていたために,それを 実際に調査し,検証しているわけではない。そのため実際に,読者層は女子生徒が中心であるのか,

地方の読者たちは自らの境遇の不満のためにケータイ小説に興味を持ち呼んでいるのかを検証する 必要がある。

 一方,評論家である佐々木

(2007)

は,読者が作品に惹かれた理由を,「ケータイ小説をリアル,

つまりは本当にありそうだと感じたからだ」と指摘している。文学者の武内・川原塚

(2011)

は,

その原因として,作者のペンネームと主人公の名前を一致させることや,単行本のあとがきで自身 の経験談を元にしていると述べていることを挙げている。また,ケータイ小説投稿サイト「魔法の

i

らんど」編成部の草野

(2008)

は「読者層の女性たちにとってケータイ小説を読むことがメール・

コミュニケーションに近い」ことを指摘した

(

中村・鈴木・草野,

2008)

。メールに近いというこ とをもとに武内・川原塚は,携帯電話というツールに注目した。ケータイ小説は,彼女らが普段か ら手にしている携帯電話を用いて読まれていたとされている。そのため読者は,作者名と主人公名 を一致させることなどの,リアルと感じさせる工夫も相まって,友人からの打ち明け話のように感 じ,ケータイ小説に親近感を感じるようになったのではないかと述べている。確かに,ケータイ小 説は携帯電話を用いて読むのが一般的であるとされている。しかし,ケータイ小説は,パソコンか らの閲覧も可能であり,書籍化された作品も多数存在する。そのため,読者が作者に親近感を感じ ているのか,加えて携帯電話を用いてケータイ小説を読むことにより親近感を感じているのかを検 証する必要がある。また,佐々木が述べた,読者はケータイ小説をリアルに感じられているという 意見は,本田や武内・川原塚をはじめとして,多くの言説の中で言われており,ケータイ小説の特 徴とされているが,文学の中で言われてきたものであるために調査が行われているわけではない。

そこで,ケータイ小説を読者がリアルと感じているのかについても検証する必要がある。

 以上のように,本田は環境の側面から,武内・川原塚はツールの側面からケータイ小説について 述べている。こうした意見は,ケータイ小説の流行を考える上で大切なものである。しかし,その 意見は文学的なものであったために,実際に明確な根拠が示されているわけではない。ケータイ小 説の主な読者層が女子中学生や高校生であるということも,半ば暗黙の了解として認知されている ことであり,実際の調査はなされていないのである。もし,従来言われてきたように,ケータイ小 説が女子中高生を対象に,ツールや環境といった今までにない要因が原因で読まれていたのであれ ば,それは小説を読む読み手に新しい読者が存在するということである。

 そこで,半ば暗黙の了解として言われている,読者はケータイ小説をリアルに感じられているこ

(3)

とや主な読者層が女子中学生や高校生であるということを調査した上で,本田や武内・河原塚の意 見を仮説とし,検証することにより,ケータイ小説の流行の要因に特別なものが存在したのかを調 査する。

目的

 本研究では,ケータイ小説の流行について知るために,過去のケータイ小説をめぐる説が正しい ものであったのかを検証することを目的とする。具体的には以下の

4

つを検証する。

1.

 ケータイ小説は女子中学生,高校生が読むもの

2.

 読者はケータイ小説をノンフィクションと考えている

3.

 ケータイ小説は地方の女子生徒が自身の境遇への不満から興味を持つ内容である

4.

 読者はケータイ小説の作者に親近感を持っており,親近感には携帯電話で呼んでいることが関   わっている

方法

 質問紙調査を行った。

調査対象 本田の仮説を確認するためには,地方の生徒に質問紙調査を行う必要がある。そこで,

茨城県内

A

高校の高校生

333

名(男子

196

名,女子

137

名)を調査対象とした。学年の内訳は表

1

に示す。

1.

 調査実施日 

2012

8

月下旬から

9

月上旬

2.

 質問紙の内容

 実際に高校生がケータイ小説を読んでいるのか,ケータイ小説をどのようなものと考えているの かを調査するために質問紙を作成した。質問項目は,本田や武内・川原塚の意見をもとに,ケータ イ小説について,ゼミ内で,大学教員

1

名と学生

3

名によってブレーンストーミング・

KJ

法を行 い作成した。さらに検証に必要な項目を検討し,

1

項目にまとめた。

 その中で,目的に挙げた,ケータイ小説の説の検証のために以下の質問をした。

1

.ケータイ小説の読者に関する項目

(1)

 あなたはケータイ小説を読んだことがありますか

(4)

(2)

 あなたがケータイ小説を読み始めたのはいつごろですか  

(3)

 ケータイ小説をノンフィクションだと思いますか  

(4)

 ケータイ小説の好きな理由はどこですか

2

.先行研究を検証するための項目  

(1)

本田説を検証するための項目

   ① ケータイ小説は中学生や高校生が興味を持つ内容だと思いますか    ② 都会にあこがれていますか

   ③ 都会に住みたいと思いますか

   ④ 親や社会に対して不満を抱いたことがありますか  

(2)

武内・川原塚説を検証するための項目

   ① ケータイ小説を何で読んでいますか

   ② 作者に感想やコメントを送ったことがありますか 結果

1.

ケータイ小説の読者に関する分析  

(1)

ケータイ小説の読書経験

 「あなたはケータイ小説を読んだことがありますか」と尋ねることで,女子高校生は実際にケー タイ小説を読んでいるのかを確認した。なお,質問の回答は「はい」「いいえ」の

2

件法とした。

結果を表

2

に示す。

 女子の「はい」と答えた割合は

80%

110

名)と,女子高校生の多くがケータイ小説を読んでい ることがわかる。 2乗検定の結果,

1%

水準で有意差がみられた。よって,男子よりも女子のほ うがケータイ小説を読むことがわかった。

(2)

ケータイ小説を読み始めた時期

 「あなたがケータイ小説を読み始めたのはいつごろですか」という質問により,高校生がケータ イ小説を,読み始めた時期を確認した。なお,この質問は表

1

で「はい」と答えた群(男子

39

名,

女子

110

名の計

149

名)を対象とした。結果は図

1

に示す。

(5)

 男子で最も多かったのは

15

歳で

28%

,女子は

13

歳で

33%

であった。

 男女ともにケータイ小説を中学生から読み始めていることが見られる。このことから,中学生か らケータイ小説を読み始めていることがわかる。

 つまり,中学生もまたケータイ小説を読んでおり,ケータイ小説の読者層であると考えることが できる。以上の点から今まで言われてきた,女子中学生や高校生がケータイ小説を読むものである いう点は正しいと考えられる。

(3)

ケータイ小説をリアルと感じているか

 ケータイ小説をリアルだと感じているのかを「ケータイ小説をノンフィクションだと思いますか」

と尋ねて確認した。なお,「リアル」のまま質問するのは,わかりにくいのではないかと考えたために,

「リアル」をノンフィクションと言い換えている。結果を図

2

に示す。

(6)

 全体で

84%

264

名)の調査者が「いいえ」と答えている。この結果から高校生の多くが,ケー タイ小説をノンフィクションだとは考えていないことがわかる。

 したがって,作者がペンネームと主人公の名前を一致させることや,単行本のあとがきで自身の 経験談を元にしていると書いても,読者はフィクションとして読んでいることがわかる。

この結果から,ケータイ小説のリアルさについて,ノンフィクションであるというほどのリアルさ を感じていないことが分かる。

(4)

ケータイ小説を読む理由

 読者はどのような理由でケータイ小説を読んだのかを知るために,ケータイ小説が好きな理由に ついて質問した。なお回答は,表

1

で「読んでいる」と答えた群(男子

39

名,女子

110

名の計

149

名)

を対象とした。回答形式は「ストーリー」「流行していた」「読みやすさ」「心理描写」「親近感」「過 激描写」「作者」「その他」の

8

項目から

1

つを選ばせる形式である。結果を図

3

に示す。

 ケータイ小説を読む上でのポイントとして,①ストーリー

(44

)

②読みやすさ

(34

)

③流行 していた

(30

)

ことを主に挙げることがわかる。つまり読者である高校生たちは,ケータイ小説 を読む際にストーリーや読みやすさに注目していることが分かった。

 また,本田が挙げていた過激描写や武内・河原塚が挙げていた親近感の数値が低いことがわかる。

つまり読者は,描写や親近感よりもストーリーや読みやすさを重視して読んでいるのである。こう いった点からも読者がケータイ小説を何か特殊な理由を持って読んでいるわけではなく,従来の小 説と変わることなく呼んでいることが考えられる。

(7)

2

.ケータイ小説は地方の女子生徒が興味を持つ内容であるか

 本田は,ケータイ小説を出版する際の編集者から聞いた,ケータイ小説を読む層の多くが,地方 の女子生徒であることに注目している。しかし,これはあくまで編集者の意見であり,実際の検証 は行われていない。そこで以下の質問を行った。

(1)

ケータイ小説は中学生や高校生が興味をもつ内容であるか

 そもそも高校生にとって,ケータイ小説の内容は興味の持てるものなのか。「ケータイ小説は中 学生や高校生が興味を持つ内容だと思いますか」という質問により確認した。なお,回答は,「は い」「いいえ」の

2

件法で,表

1

で「読んでいる」と答えた群(男子

39

名,女子

110

名の計

149

名)

を対象とした。質問の結果は表

3

に示す。

 男子で「はい」と答えた割合は

82%

32

名),女子で「はい」と答えた割合は

94%

101

名),

全体では

90%

133

名)であった。

 この結果から,ケータイ小説を読んだことのある高校生にとって,ケータイ小説は興味のある内 容であったといえる。つまり,境遇への不満からくるものであるかは分からないが,少なくともケー タイ小説は中学生や高校生が興味を持つ内容であるといえる。

(2)

高校生の都会への憧れ,境遇への不満

 高校生の都会に関するあこがれや興味が,ケータイ小説を読んでいることと関係があるのかを確 認した。そのために質問( 都会にあこがれている 都会に住みたいと思う 親や社会に対して 不満を抱いたことがある )を行った。評価は

5:

「あてはまる」から

1:

「あてはまらない」の五件 法で質問した。男女別の結果を表

4

,表

5

に示す。

(8)

 ケータイ小説を「読む」「読まない」の

2

群に分けて

t

検定を行ったところ,男女ともに有意な 差は見られなかった。つまりケータイ小説を読んでいる高校生が,読んでいない高校生と比べて,

都会へのあこがれや自身の置かれている境遇への不満を感じているわけではないということがわ かった。

 表

2

,表

3

,表

4

の結果から,ケータイ小説は中学生,高校生が興味を持つ内容ではあるが,そ れは地方の生徒の都会への憧れからくるものではないことがわかった。よって本田の述べていた ケータイ小説は地方の女子生徒が自身の境遇への不満から興味を持つ内容であるという説はないと いえる。

2

.読者はケータイ小説の作者に親近感を持っているのか  

(1)

ケータイ小説を読むメディアは何か

 武内・川原塚は,携帯電話という身近な道具でケータイ小説を読むために,作者を友人のように 感じ,小説の内容を友人からの打ち明け話であるように感じていると述べている。つまり,ケータ イ小説を携帯電話を用いて読んでいることを前提としている。そこで,「携帯電話」「書籍」「パソコン」

のうち,どれを用いて読んでいることが多いのか質問した。結果を表

6

に示す。

 男子で「書籍」と答えた割合は

37%

14

名),女子は

66%

63

名),全体では

58%

77

名)と 書籍が最も多かった。男子は,「携帯電話」の割合が

60%

であったものの,これらの結果を考える と,一概にケータイ小説は携帯電話を用いて読むものとは言えないことがわかる。

 つまり,携帯電話を用いて読んでいたために親近感を感じていたということは,否定することが できる。

(9)

(2)

作者に感想やコメントを送ったことがあるか

 小説の内容を友人からの打ち明け話であるように感じているのならば,携帯電話というツールを 使っている以上,携帯電話によるコメントの送信も積極的に行っているものだと考え,感想やコメ ントを送ったことがあるか確認した。結果を表

7

に示す。

 男子で「はい」と答えた割合は

21%

8

名),女子で「はい」と答えた割合は

7%

8

名),全体 では

11%

16

名)という結果がでた。

 メールで友人から打ち明け話があれば,相手に返信を行うのが普通だといえる。そのように考え ると,今回の結果は,通常の書籍のファンレターと比べると多いのかもしれないが,少なくともメー ルの返信ととらえるには低い結果だったと考えられる。よって,携帯電話によってコメントの送信 が積極的に行われたわけではないといえる。

 表

5

,表

6

の結果から,ケータイ小説は,誰もが携帯電話で読んでいるわけではなく,メールの ようにコメントを送っているわけではないことがわかる。携帯電話だから親近感を持ったという説 は否定できるといえる。

考察

 以上の結果をまとめると,「ケータイ小説は女子中学生,高校生が読むもの」であることがわかっ た(表

1

)。その一方で,ケータイ小説が人気を持った理由として挙げられてきた「ケータイ小説 は地方の女子生徒が興味を持つ内容であるか」という説については,確かにケータイ小説は中学生 や高校生が興味を持ちやすい内容ではあるが(表

3

),地方の生徒の都会への憧れや境遇への不満 は関係していないことがわかり(表

4

,表

5

),本田の説が否定された。また,「読者はケータイ小 説の作者に親近感を持っているのか」という説については,「書籍」と答えた割合が

58%

77

名)

であることから(表

6

)否定されることがわかった。つまり,読者である高校生は,携帯電話とい うツールの側面や地方という環境的な側面といった,小説の内容以外の理由でケータイ小説を読ん でいないということである。それでは読者はどのような理由でケータイ小説を読んだのか。

 高校生は,ケータイ小説を読む上でのポイントとして,①ストーリー②読みやすさ③流行して いたことを親近感や過激描写よりも重要視していた(図

3

)。つまり読者である高校生たちは,ケー タイ小説を読む際にストーリーや読みやすさに注目していることが分かった。ストーリーや読みや すさを重視して読むことは,普通の小説読む際にも行うことであり,決して特別なことではない。

(10)

つまり,読者はケータイ小説をただの小説として受け入れており,ただ読みやすく,面白いから読 んでいただけだということなのではないかと考えられる。

 ケータイ小説は,悲劇的なイベントがひたすらに起こるだけという見方をしていたが,読者から すれば,それは,わかりやすく,刺激的なイベントの連続だったのではないだろうか。展開の「わ かりやすさ」がケータイ小説の「読みやすさ」となり,高校生に好まれたと考えられる。そこに「流 行しているから」,つまりはみんな読んでいるなら自分も読もうとする読者が増えていき,ケータ イ小説の流行となったのではないだろうか。

2014

年現在,インターネット上では,小説を書くと いう行為は

2006

年のケータイ小説が流行した頃よりさらに一般化され,ジャンルも書き方も問わ ない,皆が小説を書く時代となった様に思う。ケータイ小説はそうした時代の到来に至るまでのプ ロセスとして存在したものであったのではないかと考える。

 本研究では,読み手からケータイ小説の流行について考察をしていった。しかし,読み手側から ケータイ小説に何らかの特別な点を見出すことは出来なかった。こうした読み手の研究の一方で,

書き手についての疑問が残った。ケータイ小説の作品は,書き手である著者たちの体験を基にして いるとされていた。本当に自身の体験を基にしているのならば,レイプや人の死といった非常に重 い体験を小説にしているということだ。本来であればこうした体験は軽々しく表に出せるものでは なく,仮に書いたとしても表には出さずにしまっておくものであったはずなのである。他にも日記 や愚痴といった,今まで表には出さなかったはずのものがネットに書くという形で表に出ている。

つまりは,ネット上で書くという行為は,非常に一般的なものになりつつあるのである。しかし,

自己表現をネット上で行うことに対して,書き込む側はなぜ自身だと特定されてしまうことを恐れ ずに書くことが出来るのだろうか。誰もがネットで書く時代であるからこそ,ネット上の書き手の 研究が可能であり,必要であると考える。

謝辞

 本研究では,大変多くの方々にご協力いただきました。質問紙調査の依頼を受けていただき,配 布,回収に協力して下さった高校の先生方,質問紙調査を回答していただいた高校生の皆様,本当 にありがとうございました。

引用文献

Chaco.2005. 天使がくれたもの スターツ出版

本田透

.2008. なぜケータイ小説は売れるのか ソフトバンク新書

  http://no-ichigo.jp/read/book/book_id/71209?noichigo=124t21ifi0tjk8orcrdil2iuk3q3pf8s

メイ

.2006. 赤い糸 ゴマブックス

美嘉

.2006. 恋空 スターツ出版

  http://ip.tosp.co.jp/BK/TosBK100.asp?I=hidamari_book&BookId=1

中村航・鈴木謙介・草野亜紀夫

.2008. 鼎談 ケータイ小説は「作家」を殺すか 文學界 pp.190-208.文芸春秋

武内佳代・川原塚瑞穂

.2011. ケータイ小説における女同士の関係 :『恋空』ブームとは何だったのか?お茶の

(11)

水女子大学人文科学研究

, 7, 25-40. お茶の水女子大学 Yoshi.2000. Deep Love スターツ出版

引用 web ページ 佐々木俊尚 ソーシャルメディアとしてのケータイ小説

  http://japan.cnet.com/blog/sasaki/2007/12/20/entry_25003250/ 2012年

7

21

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