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1 本調査の意義と方法L 本調査の意義一学習ニーズにおける要求と必要

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茨城大学教育学部紀要(教育科学)33号(1984)61−80

定住圏における生涯教育システム開発の視点について(その2)

菊 池 龍三郎 q983年9月30日受理)

AResearch for the Developing of the Life−long Educational System in Community(2)

Ryuzaburo KIKucHI

(Receivd, September 30,1983)

1 本調査の意義と方法

L 本調査の意義一学習ニーズにおける要求と必要

本調査は,住民の生涯にわたる発達への権利を定住圏規模の地域的な範域の中で必要最少限にで も保障していく生涯教育システムの開発を:進めるための基礎資料を得るために実施したものである。

本稿ではその結果の一部の紹介とそれに基づく若干の考察を行うことにする。

一般に成人の学習要求を把握することは極めて困難であるとされている。われわれは比較的安易 に地域住民の学習ニーズに即応する社会教育計画の策定という表現を用いる。しかし地域住民の学 習ニーズという概念自体が多分に多義的で曖昧さを含む概念である。第一に,改めてのべるまでも なく,本来ニーズという言葉は,「要求」と「必要」の二重の意味を含むこと,すなわち人が欲する ものと人が必要とするものという,しばしば一致する場合もあるがそれ以上にしばしば相反するこ とも多い二重の意味を含んでいるのである。そこから社会教育において今なお繰り返されるところ の,学習計画において学習の要求と学習の必要をどのように調整するかという議論が頭をもたげて

くるのである。

この原則的な問題に立ち入ることは決して生産的ではない。二つのことがらは少なくとも理論的 には存在しうるからである。さて,住民のニーズに対応する生涯教育システムの開発を企画するの であれば,地域住民の「要求」としてのニーズと,「必要」としてのニーズを同時に,しかも構造的 に把握する必要がある。その場合,要求としてのニーズは比較的容易にとらえられるにしても,必 要としてのニーズの把握は極めて困難である。なぜなら個人の必要としてのニーズが,個人によっ てそれが果して必要として自覚されているかどうかという問題と,個人的レベルでの必要を一般的 なレベルでの必要と規定し直していく場合の一般化の手続きの問題があるからである。われわれは,

個人によっては必要として自覚されていないニーズをも,場合によってはその個人にとっての必要 として認定してしまうことがありうるわけであり,そこには当然,われわれの人間観や社会観が反 映しているのである。つまり,要求としてのニーズはそれなりに把握することはできるが,必要と

(2)

してのニーズは,その個人やわれわれの人間観や社会観に関わる部分を含むために困難さがあるの である。そしてその個人にとっては必要としては全く感じられていないことを必要だということは,

社会教育による発達課題の押し付けにもなりかねない問題を含んでいるのである。

2.学習要求の把握

われわれは本調査においては,結局学習要求に限定して調査を行うしかなかったが,その他にも 困難な問題はあるのである。それは,「学習」という言葉に対する個人の理解のしかたに違いがある という問題である。ある回答者は,学習という言葉から好悪の感情の他に,学校教育のような定型 的な教育における学習を想起するであろうし,ある人は学校教育などよりも定型性のレベルのより 低い学習形態を連想するであろうし,またある人は学習という言葉からスポーッや個人的趣味の活 動を思い出すかもしれない。したがって調査にあたっては,まず「学習」という言葉をどう定義す

るかが重要である。

われわれの「モデル定住圏における生涯教育に関する調査」においては,「学習活動」を次のよ うに定義する。すなわち.この調査で「学習活動」とは,たとえば「簿記,タイプ,理・美容,和・

洋裁,自動車の運転,英会話,茶・華道,囲碁,スポーツなど,知識・技能等を身につけるために 何かを学ぶこと」をいい,これには,「テレビ・ラジオの教育番組や図書などを利用して一人で学 習した場合は含める」が,①職業としての活動や家庭婦人の家事,②青少年が他に職をもたずに大 学・短期大学・高等専門学校,高等学校などの学校または専修学校・各種学校(修業期間が1年以 上のものに限る。)に在学して学習した場合,もっぱら上級学校への進学のために学習した場合は 含めない」ことにした。

つまり,本調査において対象者に示そうとした「学習活動」の定義は, 「簿記,タイプ,理・美 容,和・洋裁………」とその具体的事例を例示することによってこの概念の外延を概ね予想させな がら内包を規定するという一般にこの種の調査において使われる定義のしかたである。

学習活動を以上のように定義した上で,それをどのような枠組で探るかであるが,本調査では,

住民が過去1年間に実際に行った学習の内容,学習場所,学習場所の所在地域,学習の形態・方法,

学習目的,自宅から学習場所までの所要時間,学習に要した費用,学習についての情報源等につい てたずねた。これは現在または過去の一定期間内に行った実際の学習活動についてたずねるもので ある。いわば行動レベルに表現された学習要求である。

しかし,これだけでは住民の学習ニーズを把握したことにはならない。ある領域において行動レ ベルに表出された学習ニーズは,さらに,まだ行動化されてはいないがそれに連続した学習ニーズ,

つまりまだ関心レベルに止まった学習ニーズによって支えられている。したがって,そうした意識 のレベルにおける学習ニーズを把握する必要がある。

これについて藤岡英雄は,特定の領域ないし内容に関する学習は,全く関心を持たない意識の状 態から,多かれ少なかれ関心を持つ状態を経て,現実の学習となって行動化していく一つの連続体

としてとらえられ,これを氷山にたとえれば海面上に現われている部分が既に行動化している学習

(学習行動)であり,海面下の部分が意識レベルに止まっている学習(学習関心)であるとする。

そして後者はさらに,①日常的に意識の表層にあり行動化の可能性の高いもの(顕在的学習関心)

と,②何らかの外的刺激や手がかり(例えば具体的な学習項目リスト)を与えられて始めて意識化

(3)

菊池:定住圏における生涯教育システム開発の視点について(その2)      63

するもの(潜在的学習関心)に大別され,前者の方法としては自由記述法をあげている。 本調査 において今後学習を希望するものとして探ったのは,藤岡の類型でいえば,顕在的学習開巳・である。

表1−1 学習関心の階層モデル

O特定の学習領域または学習項目について・…

レベノレ 学習関心の状態 把握の方法 関心度 行動レベル

行 動 現在学習しており,今後 煬p続の意思がある。

個人面接法(自由回

囎緖ョ) 5 学習行動

現在学習していないが,

wびたいという気持が明

個人面接法(自由回

囎緖ョ 4 意識圃 畢晶憩

確に意識されており,外 一〇 一一一層 一 一 一一一一 一 一 一 一 一一一

部からの具体的な手がか 閧ネしに表出できる。

行動化の可能

ォの測度(計 3

潜在的

習関心

画の具体性,

? 行動など) 2 学習関心

現在学習していないが, 配付回収法(カテゴ 学びたいという気持が潜 リー提示方式)

在的にあり,外部からの 1

具体的な手がかりによっ 図1−1 学習行動=関心の氷山モデル

て意識化される。

無関心 今後学習したいという気 揩ヘ全くない。

個人面接法+配付回

菇@ 0

藤岡英雄.表1−1に同じ

藤岡英雄「教育番組のマーケット・リサーチ(5〕」

NHK文研月報昭和57.6

皿 定住圏における住民の学習要求の構造

1.住民の学習活動の特質

(1)基礎データ

はじめに本調査の基礎データを列挙しておきたい。取り上げるデータは,回答者の性別,年齢,

就業状況,居住年数等である。

調査対象は各圏域1β00人で,これを当該モデル定住圏内に存在する市町村の人口に比例して全 市町村に配分した。市町村に配分された人数を男女別かつ年齢別(18−25歳,26−40歳,41−55歳 56歳以上)の4段階に区分し,これをさらに男女各200人ずつに配分した。抽出方法は住民台帳

によって行い,モデル定住圏全体の状況ができるだけ忠実に反映されるよう,また対象者の属性が 特定の分野に偏らないように配慮した。調査方法は配票留置法,配布数1β00票,回収票1β11票 有効回収票1β09票,有効回収率は943%であった。

回答者の性別は男子50β%,女子492%,不明0.1%である。 また回答者の年齢をおよそ5歳 刻みに細分した場合の分布は表H−1に示すとおりである。

回答者の就業状況についてみると,農林漁業従事者・自営業者が32の%,雇用者402%,家庭 婦人183%,学生・生徒29%,それ以外の者5β%で,上越を除く他の定住圏に比して農林漁業・

自営業者の比率が高く,雇用者の比率が低い。(表H−2)また,居住年数をみると「10年以上」居 住しているとする者が864%と極めて高い定住率を示している。(表H−3)

(4)

表H−1 回答者の性別,年齢別内訳

モデル定住圏名 E.T. N.A. TOTAL

大崎・栗原 765

T0.6

744

S9.2

1,509 X9.9

 2

O.1

1,511 P00.0 18〜

Q0歳 21〜

Q5歳 26〜

R0歳 31〜

R5歳 36〜

S0歳 41〜

S5歳 46〜

T0歳 51〜

T5歳 56〜

U0歳 61歳

ネ上 E.T. NA.

113 271 140 128 121 144 135 95 180 182 1,509 2 1,511 7.5 17.9 9.3 8.5 8.0 9.5 8.9 6.3 1L9 12.0 99.9 0.1 100.0

上段は実数,下段は構成比(%),E.T.…有効回答者数, N,A.…記入なし,

TOTAL…回答者数合計, M.T.…回答数の総計(以下同じ)

『定住圏における生涯教育システム関発に関する調査報告書』(文部省大臣官房,昭55年)

(以下『定住圏における生涯教育調査』(文部省 昭55)と略称

表∬−2 回答者の就業状況

モデル定住圏名

農林漁業 ]事者・

ゥ営業者 雇用者 家庭婦人 学生・

カ 徒

1〜 4

ネ外の者 E.T, N.A. TOTAL

大崎・栗原 484

R2.0 608

S2.2 277

P8.3

44

Q.9

83

T.5

1,496 X9.0

15

P.0

1,511 P00.0

『定住圏における生涯教育調査』(文部省 昭55)

表n−3 回答者の居住年数

モデル定住圏名 5年未満 5年以上

P0年未満 10年以上 E.T. N.A. TOTAL

大崎・栗原 96

U.4

99

U.6

1,305 W6.4

1,500

@99.3

11

O.7

1,511 P00.0

『定住圏における生涯教育調査』(文部省 昭55)

② 学習率

過去1年間に何らかの学習活動を行った者の比率は4&1%であった。これに対し学習活動をしな かった者は51.9%で僅かに多いが,ほぼ拮抗する比率であるといえる。つまり大崎・栗原定住圏 における過去1年間の住民の学習率は,ほぼ2人に1人の割合なのである。これを他の圏域と比較 してみると,学習率に際立った差はないが,それでも本圏域の学習率は東遠,徳島県南部,川北薩 串木野に次いで4番目の比率である。本調査結果を他の調査結果と比較してみると,たとえば昭和 51年の文部省による「生涯教育の実施状況等に関する実態調査」では,過去1年間の学習率は全体 で20.7%,さらに昭和54年の内閣総理大臣官房広報室による「生涯教育に関する世論調査」では 214%である。本調査では5圏域全体では学習率は50β%であり,他の2調査よりも高い。調査

(5)

菊池:定住圏における生涯教育システム開発の視点について(その2)      65

腓 :1灘繍  糠羅藍題欝蕃些墾

60 する世繍査)     学習の必要性に関する認識は,地域住

・昭和51年調査(生涯教育の実

50 50・6@48.1    施状欄査)      民の間でかなり進んできているとみて

40 よいと考える。(図H−1)

30

31 4

@      住民の学習率を年齢別にみると,(図

20 2°・7@       1−2)分布としては37%〜61%に広

10 がっている。ただし,26〜30歳と46〜

50歳のところで学習率が落ち込んでい

(昭   (昭    昭    昭

糟  翻  黎  ll        る。とりわけ26〜30歳の低下は著しく

体年    ・年    年    年

)碧 罐  饗  暮        これは他圏域においても同じ傾向をも 圏       っているとはいえ,著しい低さである。

図II−1 学習率(他調査との比較・%)        20歳代後半や40歳代後半の学習ニーズ

『定住圏における生涯教育調査』(文部省 昭55)      の喚起と学習機会の提供が十分でない『生涯教育の実施状況に関する実態調査』(文部省

昭51)       ことにもよると考えられる。

r生涯教育に関する世論調査』(総理大臣官房広報室    これをもう少し詳しくみてみよう。

昭54)      比較の対象として「生涯教育の実施状 況等に関する実態調査」を取り上げてみ

る。ただし,この51年調査では年齢区

分が10歳刻みなのでそれに合わせて計

6、.9餌.g

@  63.8   東遠定住圏      算し直して両方の結果を比較してみる。     58・4     59.4

肌3a7 @        52.8     (図皿一3)これをみると,51年調査

50 〜 5L64。84駐35 44・14。6  砒べて本調査ではどの年齢層におし・

         41.143.3451    ても学習率は高いが,特に18〜25歳,蝕6      37.8

定住圏     学習率が高いことが,全体としての学 習率の上昇を支えていることがいえる。

大崎・栗原圏に限っていえば,18〜

§峰 ㍗ 聖6㌣ 聖6撃 肉6罵 ll気1    25歳と56歳以上の年齢層の学習率の著

20   25   30   35   40   45   50   55   60

@      しい上昇は,生涯教育に関する行政施 図∬−2 学習率(年齢別,東遠圏域との比較,%)   策の効果が,比較的短期間に,特にご r定住圏における生涯教育調査』(文部省 昭55)    の年齢層の学習率の底上げという結果

となって表われたことを意味している。

それは各市町村における高齢者教室の急速な普及,及び情報化社会の急激な展開に触発された若年 層の学習関心の高まりとそれを吸収しうる学習機会の一定の拡大という事実に対応している。

学習率を就業状況によってみると,最も高いのは「学生・生徒」(59.1%),次に「雇用者」(533

%),以下「農林漁業・自営業者」(434%),「家庭婦人」(433%)の順である。いずれも40%台以 上の学習率である。しかし「農林漁業・自営業者」と「家庭婦人」は10%以上低い。これは各市町

(6)

村の社会教育関係事業をみても,一つには農林漁

80

業・自営業者や家庭婦人に対する学習ニーズの掘

70 り起しや学習機会の提供のしかたが定型的で,ス

60 58.6

テロタイプなものが多いこととも関わっていると

50 44・8     44.2昭和55年調査 考えられる。(図H−4)49.1

39.1   (大崎・栗原圏)

40 その他に考えられることとしては,学歴との関

30 係である。一般には在学中のものを除けば,学歴

20 ゲ!

宙黶f一論〜一嵐         が高くなるほど学習者の比率が高くなる傾向があ21・8      20.7\\  昭和51年調査       、

10 1Zo     り,フォーマルな教育を受けた期間と成人教育参 加率の間に高い相関があることを藤岡は指摘して

甲 ㍗ 軍 望 畢    2)「る。

25   35   45   55

③ 学習した内容

図皿一3学習率(年齢別・%)       それでは地域住民は実際にどのようなことを学

r生涯教育の実施状況に関する実態調査』  内容を具体的にみることにする。まず学習した内

(文部省 昭51)       容を1職業,H家庭・日常生活,皿教養, IV趣味,

Vスポーツ,V【その他,の6領域に大分類してみ 59・1        る。

53.3

43.4 43.3

「W.趣味」(538%)であり,次が「V・スポ 一ツ」(387%),以下,「皿.家庭・日常生活」

(30.1%), 「1.職業」(242%),mL教養」

(242%),「VLその他」(187%)である。こ の順位は他の圏域とほぼ同じであるが,比率に関 してはたとえば平均的な東遠モデル定住圏と比較

魯諜冨 護 董 魏 してみるとかなりの相違が出てくる。すなわち東

薯肇  者  契  生  舞     遠圏域と比較して多いのは, 「趣味」(+62%), ・      徒

「職業」(+7β%)であり,少ないのは「教養」

図皿一4 学習率(就業状況別,%)      −62%)と「スポーッ」(−132%)で,「家庭・

@『定住圏における生涯教育調査』(文部省

昭55)      日常生活」(−04%)はほぼ同じである。ここから 大崎・栗原モデル定住圏における住民の学習活動 のごく大まかな特徴としては,趣味や職業に若干厚みがあること,スポーッや教養が少ないことが あげられる。むろんのことながらこれは学習機会の供給の多少とも関わっており,これをもって本 圏域の住民の学習活動の構造的特色とみることはできない。

同じこの大分類項目による学習内容を,性別でみると次のような特色がある。つまり男子は「ス ポーツ」(49.3%)が多く,次に「趣味」(40マ%)が多く,以下「教養」(323%)と「職業」(29B

%)がほぼ拮抗して並び,「家庭・日常生活」(8.4%)は極端に少ない。これに対して女子は,これ と対照的に「趣味」(672%)が最も多く,次いで「家庭・日常生活」(52.1%)が多く,これに比

(7)

菊池:定住圏における生涯教育システム開発の視点について(その2)      67

べて「スポーツ」(28D%)や「職業」1(18.5%),「教養」(162%)は少ない。すなわち男子では,

「スポーッ」「趣味」「教養」「職業」について女子に比べて極端な開きがないのに対して,女子で は「趣味」「家庭・日常生活」に偏り,これに「スポーツ」が続くという型になっている。

次に,年齢別にみた大まかな特徴をあげると次のようになる。21〜30歳では「趣味」「スポーツ」

「家庭・日常生活」が多い。31〜40歳ではどの領域も比較的多く学習されているが,「趣味」「スポ 一ツ」が特に多く,その他に「職業」「家庭・日常生活」「教養」が25〜32%の高さで学習されてい る。41〜50歳でも「趣味」「スポーツ」が特に多く,次いで「家庭・日常生活」が多く学習されて いる。51〜60歳では「趣味」がぬきんでて多く,次いで「教養」「家庭・日常生活」が続き, 「ス ポーッ」は少なくなる。61歳以上では,「趣味」「教養」が多く,次に「家庭・日常生活」「スポー ツ」と続く。

就業状況別にみるといずれも特徴的である。農林漁業・自営業ではどの領域も極端な差がなく学 習されているのに対し,雇用者では「趣味」「スポーツ」に,家庭婦人では「趣味」「家庭・日常生 活」に,学生・生徒では「職業」「スポーッ」に偏っている。学習した内容にみられるこのような 一定の傾向性は,性や年齢や就業状況等の違いによる住民の学習ニーズのある種の特徴を反映して

いるにしても,反対に,供給される学習機会の質と量が学習活動の態様を規定していることも考慮 すれば,この結果には,地域における学習機会の供給のあり方について若干の問題を感じさせるも のがある。 (表H−4,図11−5)

次に中分類項目についてみてみる。まず学習された29項目の順位をあげる。(表皿一5)10位まで をあげると①「球技」②「音楽,美術,絵画,写真,書道」③「茶・華道」④「舞踊,演劇,民俗 芸能」⑤「和・洋裁,着付け,編物,手芸」⑥「文学・歴史,哲学・宗教」⑦「調理・栄養」⑧「自 動車の整備・運転」⑨「政治・経済,時事問題」⑩「農林漁業」の順になる。学習率10%以上の項

表H−4 学習内容(大分類,性別,年齢別,就業状況別)

牲   別 年       齢       別 就  業  状  況

属 性

18 21 26 31 36 41 46 51 56 61 自農

NA 1 1 NA NA

学習内容

(大分類) 20 25 30 35 40 45 50 55 60 営・

107 66 1 29 37 12 23 18 7 14 5 19 9 63 80 11 14 4 2 174

1職 業 298 ユ85 500 42.0 243 226 348 305 99 275 135 24.7 ユ11 500 303 251 93 538 103 250 242

30 186 13 51 15 17 18 25 13 16 25 23 53 73 77 3 10 216

H家庭・日常生活

84 521 188 336 28.3 258 305 352 255 432 325 284 255 229 653 115 25.6 301

116 58 8 23 12 19 13 17 9 17 26 30 60 65 28 3 16 2 174

皿教 養 323 162 116 151 22.6 288 220 23.9 176 459 338 370 288 204 237 115 410 25.0 242

146 240 26 89 25 31 36 46 23 31 38 41 89 188 78 7 21 3 386

w趣 味 407 6?2 377 586 472 470 61.0 648 451 838 494 506 428 589 661 269 53.8 375 538 177 100 1 41 64 32 33 26 38 11 8 14 ユ0 1 71 159 26114 5 3 278

V スポーツ

493 28.0 500 594 42.1 604 500 441 535 216 216 182 123 500 3411498 220 5381128i 375 387

VIその他

,ll 111 13: ,1: ,1 ll: 15: ,1: 、1:L。1 ,謡 ,豊 、1:ill:ill: 、二1,脆371

1蓋: 1謂 、。。: 1。藷 、lll 1。1: 1。1: 1。1: 1。ll 1。ll 37  77 P00011000

1。ll 1。。: 1畿 1温翻1調11。。: 1粥

「定住圏における生涯教育調査」(文部省,昭55)

(8)

1 職  業    ∬ 家庭・日常生活  皿 教  養    IV 趣  味    V スポーツ

男 [:團   □84   [:亟]  [=:亟] [=::画

女 国 52.1 國        6乳2[:亟]

21〜3・歳[画   [=國 匝】      漏 [==:璽

31〜40 [::調   [:亟] [:画       53.8 [=:亙司

41〜50[國    [=園 [亟1      56.6 [==画 51〜60 [21.1]   [:画 [::國      60.5團 61〜 口11.1   [=國 [=亟]    5・.6 國 醤讐業桑[=亟  国 [圓   [:=:垂] [=園 雇用者[25.1]   [画 團       58.9   49.8 家庭婦人口93 65.3 [23.7]       66.1團

学生・生徒      53.8  口11.5 口11.5   [翻      53・8

図H−5 学習内容(大分類,性別, 年齢別,%)

『定住圏における生涯教育調査』(文部省 昭55)

表H−5 学習内容(中項目) 目は6項目,5%以上は12項目,3%以上

順位 学   習   内   容 学習率(%) は15項目,1%以上は24項目であった。

球  技

ケ楽,美術,絵画,写真,書道

ll:1 中項目を大項目の分野ごとにみてみる。

茶・華道

送x,演劇,民俗芸能

il:1 「職業」の分野では10項目があげられたが

和・洋裁,着付け,編物,手芸 カ学・歴史,哲学・宗教

}1:1 「自動車の整備・運転」 「農林漁業」 「経

ζ 調理・栄養 ゥ動車の整備・運転

1:; 理・簿記・珠算」までが多い。これを学習

9 政治・経済,時事問題 6.8 場所と関わらせてみると,「職業」に関し

10 農林漁業 6.1

11 スキー,水泳,マラソンなどの個人スポーッ 6.1 ては学習機会が身近なところに少ないこと

12 健康・保健衛生 5B

13 経理,簿記,珠算 4.3 が明らかである。次に「教養」に関してみ

14 出産・育児,子供の教育 3.3

15・ 園芸・盆栽 3.2 ると,「文学・歴史,哲学・宗教」と「政

16 法  律 2.5

17 商学・経営学 1.9 治,経済,時事問題」で「教養」全体の学

外国語

ヘ碁,将棋等室内遊戯

i:1

習率の3分の2を占めており,あとは「法

ll 機  械 i  技

}:1

律」が僅かに目につく程度である。ここに

ll 土木・建築,測量

?O活動(釣り,登山,オリエンテーリング等)

}:1 も「教養」の内容が決して多彩ではないと

電気・電子 纓テ・看護学

1:1 いう供給側に帰せられるべき問題がある。

ll 無線・通信

^イプ・速記

1:1 また「趣味」については「音楽,美術,絵

28 理・美容 0.4  画,写真,書道」と「茶・華道」「舞踊・

29 国 語(話し方,手紙の書き方等) 0.4

r定住圏における生涯教育調査」(文部省,昭55) 演劇,民俗芸能」が圧倒的に多いが,例え

ばこの中で「舞踊・演劇,民俗芸能」はそ

(9)

菊池:定住圏における生涯教育システム開発の視点について(その2)         69

表∬−6 学習した内容(領域別中項目)      の実体がほとんど民謡・民舞で占められて

いることに示されているように内容的にご

1職  業 E家庭・日常生活

①自動車の整 7.2% ⑥電気・電子 1.0% ①和・洋裁, 11.6% の場合にも多様性に欠けている。「スポー

備・運転 A農林漁業  6.1 B経理・簿記 4.3

⑦医療・看護 OB w⑧無線・通信 0石

着付け,編 ィ,手芸 A調理・栄養 9.3

ツ」については「球技」がほとんどで,次 ノ「スキー,水泳,マラソン」が多い。全

 ・珠算 C機 械   1.5 D土木・建築,1.2

ェ量

⑨タイプ・速 α6

@記

M理・美容  α4

③健康・保健 5B q生

C出産・育児, 3.3 q供の教育

対として項目数が少なく,前述のことがこ フ場合にもあてはまるといえる。

@要するに,全体的な特徴としては,学習 率がかなり高いにもかかわら武学習内容 がかなり局限されているということがいえ

皿教  養 IV趣  味 V スポーツ

①文学・歴史,1α6% ①音楽,美術,20.6% ①球 技  29B% る。そのこととどの分野においても2,3

哲学。宗教 A政治・経済, 6.8

梹末竭

絵画,写真,

蒼ケ

A茶・華道  ユ5.9

②スキー,水 6.1 j,マラソ

@ン

の特定の内容に学習率が偏ってしまうこと ニが相関があるかどうかは,これだけの材

③法 律    2.5 ③舞踊.演劇,ユ2β ③格 技   1.5 料からは判断はできないカ㍉学習意欲力斗

④商学・経営  1.9

w

民俗芸能 C園芸・盆栽 3.2

④野外活動  1.2

@(釣り,登山, 特定の狭い内容に水路づけされてしまいか

⑤外国語    1.9 ⑥囲碁・将棋 1B オリエンテ[リンク等) ねないという,これもまた供給上の問題が

⑥話し方,手  α4 あるといえる。

紙の書き方

(4)学習の目的と継続性

r定住圏における生涯教育調査j(文部省,昭55)

住民の学習活動の実態をみる観点の一つ として「学習の継続性」をあげねばならな

      い。つまり,以上あげた学習内容について表1−7 学習目的(性別,年齢別,就業状況別,%)

の学習活動が,時間的にどの程度継続して

学習目的 ,壕 誕知 ♂生 行われたかで,その学習活動の実態がほぼ 属性

 業

?E

笙庭活・

 識 {・

譜味芸 蓼り体 芒嘉みい

の他 明らかになるからである。たとえば「講演 会」に参加したなどの場合は, 1日のうち

25.9 18.9 21.7 63.2 39.0 52.6 66.0 6.7

11.0 21.3 57.2 49.7 55.0 41.4 72.4 6.9 のしかも短時間の学習であるにすぎず,継

18 〜 20 17.4 43.5 29.0 44.9 40.6 60.9 55.1 4.3 続的な学習ではないからである。結果は,

21 〜 30 18.8 41.4 24.6 27.0 37.2 28.2 28」 59.2 「1日(1回)限り」が14%であるのに対

31 〜 40 29.3 22.1 21.8 19.2 14.2 19.7 15.0 6」

して「それ以上」というのは86D%で6倍

41 〜 50 15.8 7.6 19.6 16.5 i4.2 19.4 18.0 14.3

51 〜 60 15.8 5.5 18.6 17.4 15.6 11.5 18.0 12.2 強である。これをどうみるかであるカ㍉「1

61 〜 18.3 4.9 29.3 61.0 43.9 35.4 80.5 1.2 日(1回)限り」の14%を除く残りの86%

農林漁・自営 28.2 12.9 43.1 68.9 3.35 37.8 60.3 7.2 が少なくとも継続的な学習をした住民とみ

雇 用 者 15.5 26.4 30.7 46.0 57.1 53.4 73.0 93 てよい。

家庭婦人 3.3 11.7 69.2 57.5 44.2 483 78.3 3.3

学生・生徒 15.4 61.5 15.4 38.5 26.9 53.8 46.2 0.0 次に学習した目的をみてみる。学習目的

そ の 他 34.2 5.3 2H 842 57.9 34.2 78.9 0.0 としてあげたのは, 「1職業のため,また

全   体 18.4 20.2 39.4 563 46.9 47.0 69.3 6.8 は収入を上げるため」「2資格を取るため⊥

r定住圏における生涯教育調査」(文部省,昭55)

「3.家庭・日常生活をよりよくするため⊥

「4知識・教養を高めるため⊥「5.芸術・

(10)

芸能・趣味を身につけるため」,「6健康・体力つくりのため」,「7.生きがいや楽しみのため」,「8.

その他」の8項目である。まず30%を一応の目安として,それぞれの学習目的について各属性とク ロスさせてみる。 (表皿一7)

「職業・収入」については,男子がそして31−40歳が,就業状況別では農林漁業・自営業に多い といえる。次に「資格」については,男女では余り差はなくまたどちらも多くない。目立って多い のは,18−20歳,21−30歳の若年層でしかも学生・生徒である。また「家庭・日常生活」は当然の ことながら女子が圧倒的に多く,年齢別では18−20歳,21−30歳に比較的多く,また就業状況別で は家庭婦人の他には農林漁業・自営業や雇用者も多い。「知識・教養」では,男女ともに,そして 18−20歳,21−30歳と61歳以上に多く,就業状況別ではどれも30%以上の比率である。「芸術・芸 能・趣味」は,性別では男女とも30%以上,年齢別では18−20歳,21−30歳及び61歳以上と若年層 と高年層に多い。就業状況別ではどれもほぼ30%,もしくはそれ以上に達している。「健康・体力」

は,男女ともに多いが特に男子,年齢では18−20歳が609%と高いにもかかわらず年齢が高くなる につれて比率は急激に低下し,健康・体力つくりが切実な関心や課題になる61歳以上である。しか

し30歳代,40歳代,50歳代でこの目的が著しく少ないことが注目される。「生きがいや楽しみ」は 男女に関わりなく,年齢別ではこの場合にも若年層と高年層に多い。就業状況別ではこれといった 関連はみられない。

⑤ 学習形態・方法

次に,どのような学習形態・方法を用いたかをみてみる。つまり学習機会の問題である。用意し た選択肢は, 「学校での学習」 「大学・高等学校などが一般人を対象に行う公開講座」 「社会通信 教育」等をはじめとして,「その他」を含めて13項目である。

最初に学習形態・方法を学習内容(大分類)ごとにみてみる(表皿一8)。「職業・収入」に関す る学習では,いま10%台の利用率を一応の目安にすると, 「学校での学習」(21B%),「教育委員 会,市町村役場,公民館などの公的な機関・団体が主催する学級・講座・教室等」(184%),「勤務 先の会社や農協などで行う教育(学習)」(149%)などが多い。その他では「一人で行う学習」

(92%)や「社会通信教育」(6.3%)などが利用されている。次に「家庭・日常生活」に関する学 習では, 「公的な機関・団体が主催する学級・講座・教室等」(435%)が最も多く,次いで「茶・

華道,芸ごとなどの個人教授」(17β%),「婦人会,老人会,PTAなどの地域の団体活動」(12.0

%)などが利用されている。「教養」に関する学習では,この場合にも「公的な機関・団体が主催 する学級・講座・教室等」(448%)が最も多く,次が「一人で行う学習」(172%)である。「芸 術・芸能・趣味」に関する学習では「個人教授」(329%)が当然多いが,その他では「公的機関・

団体が主催する学級・講座・教室等」(202%)や「地域の団体活動」(122%)そして「職場や学 校などのグループ・サークル活動」(11.7%)などが比較的多く利用されている。 「体育・スポー

ツ」に関する学習では,「公的機関・団体が主催する学級。講座・教室等」(32.7%)と「グループ・

サークル学習」が30%台で多いが,その他では「地域の団体活動」(162%)も学習機会として利用 されている。

これらの結果から利用される学習形態・方法は,公的機関・団体が主催する学級・講座・教室や 職場や学校などのグループ・サークル学習,あるいは地域の団体活動か個人教授が主であり,学習 内容によっては一人で行う個人学習という形態も少なくないという大まかな特徴をあげることがで

(11)

菊池:定住圏における生涯教育システム開発の視点について(その2)      71

表H−8 学習内容別学習形態・方法      (%)

う大 な教 一民 (勤

公学 機育 般間 学務

習形零方 校での 開・

u高タ等

@寝 な

会通信 ビ;ぎの 関委・員

c会フ・

ェ市蜥ャ

人の

ホパ

qお・

選、萎と 含夷含P 撃薯謬 習先)の

@倉

@護

でおこなう 冬桀冬

入な

催村 こ新 T

す役 な聞 A ノレ

る場 う社 1

学・ 学・

級公 級銀

・民 ・行

講館 講・ 1

座な 座会

・ど 9社 ノレ

教の 教な

室公 室ど

等的 等が

職業に関するも

2L8 2.3 6.3 1.1 18.4 4.6 α6 1.1 4.0 14.9 9.2 0.0 12.1 3.4 100.0

家庭・日常生活

ノ関するもの 4.2 0.5 1.4 L9 43.5 19 17.6 ユ2.0 3.7 4.2 5.6 0.9 2.3 0.5 100.0 教養に関するも

1.1 1.7 4.0 3.4 44.8 4.0 1.1 7.5 5.7 4.0 17.2 1.1 3.4 0.6 100.0

芸術・芸能・趣

。に関するもの 0.5 0.5 1.6 1.0 20.2 1.8 32.9 12.2 11.7 0.5 9.3 1.8 5.7 0.3 100.0 体育・スポーツ

ノ関するもの 1.4 0.0 0.4 α4 32.7 0.7 0.7 16.2 33.8 L4 2.5 0.0 9.4 0.4 100.0 そ  の  他 8.2 0.7 3.0 1.5 50.7 2.2 2.2 13.4 3.0 3.7 4.5 3.7 2.2 0.7 100.0

r定住圏における生涯教育調査』(文部省,昭55)

きる。しかしそれにしても,利用される形態・方法が多様性に欠けるということ,それはとりも直 さず住民の学習関心や学習要求を触発したり充足したりする学習機会が量的にも不足し,さらに,

質的にも特定の形態・方法しか供給されていないということをも意味するが,そうした多様性の欠 如は,住民の生涯学習という面からみていくつかの検討すべき課題を提起していると考えられる。

次に,利用される学習形態・方法を人口規模別にみてみる(図1[−6)。本調査では人口規模を,

A・3万人以上の市町村,B.1万人以上3万人未満の市町村, C・1万人未満の市町村の3類型 に区分した。ちなみに大崎・栗原モデル定住圏において,人口規模Aタイプは1市,Bタイプは11 町,Cタイプは12町村であり,また人口増減率でみると増加市町村は7市町(増加率0〜9%),減 少町村は17町村で,そのうち15町が減少率0〜9%であり,さらに2町村は減少率が10%を超えて

おり,全体としてかなりの過疎傾向にある。

人口規模別に区分した市町村のA,B, Cそれぞれのタイプごとに利用される学習形態・方法の 大まかな特徴をのべてみると次のようになる。

①Aタイプ………人口規模3万人以上の市町では,公的機関・団体の主催する学級・講座・教 室,婦人会・老人会・PTAなどの地域の団体活動などの利用の割合は低 い。代わって学校での学習や公開講座,企業などの提供する学級・講座・教

(12)

1.         2.       3.         4.      5.      6.      7.

学   う一大    社    教テ      ・体ど村教  講対社新民  な茶

弩馨馨嵩 薄 鍵 馨羅驚葦騨雑

学   座対校    教     ラ      教す機公会  室う一銀パ  人・

習   象な    育     ジ     室る関民・  等学般行1  教芸 にど      オ      等学・館市   級人・ト  授ご 行が      の       級団な町    ・を会・   と

A.3万人以上口11.103.・ 02.6 11.7 [:=:巫1 口8.5 國 B.鍬籍口11.711.3 0・.・ 12.・    5a7 03.3 [國 C・1万人輔口・・2 1…  口・ゐ 口・・2     75.603.8 回

8         9         10        11         12         13

鰹覆霧 萎藝婆 二

活な・   1ど   での    行   等・

動ど老   クの   行会    う    展    他 の人   ルグ    う社    学     示

地会   学ル   教や    習    会 域・  習1   育農         ・

A。3万人肚口154□12.ロ・.1 回 1… □&5

B.鍬籍團 〔圃匝g國 日2潟 口銑・

C.1万人補[函[飼 □軌・□12・70・・3 回

図H−6 学習形態・方法(人口区分別,%)

『定住圏における生涯教育調査』(文部省 昭55)

室,個人教授,一人で行う学習などの利用が多い。

②B・Cタイプ…人口規模の1万人未満,及び1万人以上3万人未満の町村では,公的な学級

・講座・教室,地域の団体活動,勤務先や農協などで行う教育(学習),グル 一プ・サークル学習などの形態・方法への依存度が高い。この他では社会通 信教育,テレビ・ラジオの教育番組などの利用が人口規模3万人以上の市町 に比べて多いことに注目すべきである。

㈲ 学習場所・学習行動圏

上でのべた学習形態・方法の問題は,同時に学習場所の問題に関わってくる。そこで次にどこで 学習したか,その学習場所とその所在地,さらにそこまでの所要時間についてみてみる。(図1−7,

図H−8)

まず学習場所についてみる。利用率10%以上のものをあげると,最も多いのが「公民館」(51.7%】

次に多いのが「自宅または知人宅」(27.6%)で,以下「婦人会館・市町村役場などの公共施設」

(17.1%),「芸ごとなどの個人教授所」(16D%),「体育館・柔剣道場・屋内プールなどの屋内運 動施設」(156%),「専修学校・各種学校」(112%),「小・中・高校・大学などの学校」(105%)

の順である。公民館が多く利用されているのは当然であるが,この90%以上が居住市町村内にあり,

(13)

菊池:定住圏における生涯教育システム開発の視点について(その2)     73

身近な施設として利用されている。自宅や友人宅はかなりの比率を占めているが,これはそれらが 社会通信教育やテレビ・ラジオなど放送利用学習,そして前出の「一人で行う学習」などの学習場 所となっていることを示している。市町村役場などの公共施設は,人口規模の小さい町村の方が利 用率が高く,これは公民館などの設置状況との関連で利用されていると考えられる。芸ごとなどの 個人教授所は,80〜90%が居住市町村もしくは当該定住圏内にあり,70〜80%が30分以内の距離に 位置している。また屋内運動施設は,90%以上が居住市町村内の,しかも30分以内の所にある。専 修学校・各種学校は,居住市町村にあるとするのは30〜40%台で,これに定住圏内にあるとするも のを加えると50〜70%である。屋外運動施設に関しては,男女で差があるが,男子では少なくとも 90%が定住圏内の30分以内の所にあるとするが,女子の場合には定住圏内の,30分以内の所で充足

されるとする比率は50%程度と少なく,著しい差をみせている。

この他に注目しなければならないのは,学校の利用が予想したより少ないことである。圏域内に 大学がないので公開講座など地域サービスは当然少なくならざるを得ないにしても,小・中・高校 の利用が少ない。また圏域内に文化会館がすでに1館建設され,さらにもう1館建設中であるが,

既設の小牛田町の文化会館はすでにかなりの活動をしている。ただし,まだ圏域内の生涯教育ネッ トワークの中に十分に組み込まれていない。

(%)

50

51.7

40

R0 27.6

20 17・116,015.6

11,210,510.5

10       8.35.4 4.7    2・52.21.71.51.5

公 自な婦芸プ体専大小屋運な青会デ教職ホ文ラ図民博公 そ ッ 宅ど人ご 1育修学学外動ど年社パ育業1化リ書俗物園 の

ル まの会 とル館学な校プ広ののな1・訓ル会1館資館 ・ 他  た公館 なな・ 校 ど・1場青家どト訓練 館  ・料・緑

@ は共・ どど柔 ・ の中ル・少・の・練所 ・ 視館美地

@ 知施市のの剣各学学な競年少民新施な 劇 聴 術 ・

@ 人設町個屋道種校校ど技教年間聞設ど 場 覚 館空

@ 宅  村人内場学  ・の場育自施社 の ・ ラ ・地

@   役教運・校  高屋・施然設・ 職 音 イ 歴等

@   場授動屋   等外球設の 銀 業 楽 ブ 史

@     所施内   学運技 家 行

設    校動場    ・

・施・

@設

図H−7 主な学習場所

『定住圏における生涯教育調査』(文部省 昭55)

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