枯渇作用による
シリカサスペンションの レオロジー挙動への影響
平成
22
年度 修士論文三重大学大学院 工学研究科 分子素材工学専攻
有機素材化学研究室
丸中 理紗子
目次
第1章 緒言 4
第2章 枯渇作用理論 5
第3章 実験 7
3-1 試料 7
3-2 装置 11
3-3 シリカサスペンションの調製 14
3-4 レオロジー測定 14
3-5 小角中性子散乱測定 15
第4章 結果と考察 17
4-1 目視観察 17
4-2 レオロジー測定 19
4-2-1 動的粘弾性測定 19
4-2-2 降伏応力測定 30
4-2-3 定常流粘性率測定 36
4-2-3-1 せん断応力の経時変化 36
4-2-3-2 みかけの粘度のせん断速度依存性 64
4-3 小角中性子散乱測定 68
4-3-1 質量フラクタル次元 71
第5章 まとめ 73
参考文献 75
今後の展望 76
謝辞 77
第 1 章 緒言
「ソフトマター」とは高分子や液晶分子、界面活性剤分子、ゲル、生体膜、コロイド などの柔らかい物質が作る様々な複合系のことである[1]。大きさのスケールとしては1
nm-1 μm であり、名前の通り変形させるのに必要な力はとても小さく(G~kBT/L3~
1-100 Pa)、その変形の動きは1 ms-1 sととても遅い。このため簡単に非平衡状態にする
ことができることが特徴である。ソフトマターという言葉自体は1990年頃から使われ 始めた比較的新しいものだが、研究は古くから行われてきた。この分野は工業的にも今 後発展していく可能性を大いに秘めており、研究が非常に盛んに行われている。
本研究室においてもソフトマター、中でもコロイド分散系において基礎的な研究を続 けている。例えば固体粒子が液体中に分散した系であるサスペンションに関するもので は、粒子表面に高分子を吸着させて系の分散安定性を向上させる「立体安定化効果」に 関する研究や、逆に固体粒子同士の凝集を引き起こし、それが系の粘弾性に及ぼす影響 に関する研究などが行われている。分散している粒子を凝集させるものには塩や界面活 性剤、またその他にも非吸着ポリマーを用いた「枯渇作用」と呼ばれる効果がある。
枯渇作用とは、1958年に朝倉・大沢氏により提案された理論[2]である。コロイド分散 系において全く、もしくはほとんど吸着しない高分子を添加したときに、粒子同士が互 いに接近することで高分子が粒子の隙間から排除されることがあり、高分子が存在しな い領域、つまり枯渇領域ができる。枯渇領域が存在すると浸透圧の為に粒子の凝集を引 き起こす、この効果を枯渇作用と呼ぶ。枯渇作用による凝集は一般的に可逆性の弱い凝 集であると言われているが、実験的に十分な理解はなされていないのが現状である。
またサスペンションに関して過去に本研究室において興味深い現象が観察された。表 面に長鎖アルキル鎖を有した疎水性フュームドシリカを、極性の高いジオキサンに分散 させたサスペンションにせん断を与えると、中せん断速度で持続的な応力の振動が観察 された。そして振動の発現から消失と並行して、低シリカ体積分率にも関わらずシアシ ックニング挙動を観察することができた[3]というものである。しかしこの興味深い現 象を引き起こす要因はまだつかめていない。
そこで本研究では、この現象の要因を探るために上記の系に非吸着ポリマーとしてポ リスチレン(PS) を用いて枯渇作用を引き起こし凝集構造に影響を与えることで、枯渇 作用の評価および振動現象と凝集体構造との関係をレオロジー的観点から探っていく。
第 2 章 枯渇作用理論
枯渇作用理論の概要を参考文献[2]を参考に、簡単に説明する。
まず2枚の平行板を球状高分子中に沈めることを考える。(平行板の内側の距離) < (溶 解している高分子直径) の場合、平行板の外側表面に高分子溶液の浸透圧に相当する力 が働く。この力は高分子溶液中に分散した粒子間にも現れる。
高分子溶液の濃度が十分に低いとき、次式が成り立つ。
(1.1)
(1.2)
ここで、P: 2つの粒子間に働く引力(Pは負の値)、k: 定数、T: 温度、N: 溶解した高分 子の総数、Q: 高分子が周囲の分散質と相互作用のない剛体球とみなした場合の各高分 子が自由に動くことができる空間体積、V: 溶液の全体積、ω a : 2つの粒子の距離が aのときの位置xにおける高分子の平均自由エネルギーである。
粒子も球であれば、Qは粒子の直径 Dおよび高分子の直径 dと、aとの関係から次式 のように表すことができる。
- π a-
a a
(2) - π a
結果、Pは次式のように表せる。
- (3.1)
π π -a a
(3.2) a
(3.3)
2つの粒子がお互いに近づくとき、直径D + dの2つの球の体積はa = D + dで重なり 始める。さらにaが減尐することで重なりあう体積は増加、結果粒子間に引力が働く。
上記の系では球状高分子溶液中での理論であったが、希薄な濃度における固体粒子に 非吸着な線状高分子溶液中でも同様の理論が適応できることが予想される。式 (3.3)を 変形すると、次式のようになる。
(3.3’)
ここでM: 高分子の重量平均分子量、c: 高分子濃度である。つまり、式 (3.1)および式
(3.3’)より 2 つの粒子間に働く引力は c に比例し、溶液中の高分子の分子量に反比例す
ることがこの理論から予想される。
第 3 章 実験
3-1 試料
分散質として、VP-NKC 130(日本アエロジル社製)を使用した(Table 1)。このシリカは、
粒子表面にn- ヘキサデカンを導入し、シラノール基密度0.1 / nm2、比表面積 130 m2 / g 、 一次粒子サイズ16 nmのフュームドシリカである。このシリカは、減圧乾燥後使用した。
分散媒として、スペクトル級の 1,4-ジオキサン (ナカライテスク社製) およびトルエ ン (ナカライテスク社製)を精製せずそのまま使用した。
またサスペンションに添加する高分子として、線状高分子である標準単分散ポリスチレ ン;PS (東ソー株式会社製)を用い、これは精製せずそのまま使用した。
分散媒の分子構造はFig. 1、分散媒の物性はTable 2、PSの分子構造と使用した分子量、
はTable 3に示す。また、各PS分子量における絡み合い濃度C* は参考文献[4, 5]から、
トルエンが溶媒の場合、A-2500はMark-Houwink-Sakuradaの式よりc*A2500 = 22.6703 g/100 ml、F-128は慣性半径の式よりc*F128 = 0.4707 g/100 mlと算出した。ジオキサンが 溶媒の場合は参考文献が存在しなかったため、ジオキサンがPSに対し良溶媒であるこ とから、同じ良溶媒であるトルエンとほぼ同様だと考え、以降の実験を行った。
T able 1 VP -NK C130
の表面基構造および特性a) b ) F ig. 1
分散媒の構造式 a)1, 4- ジオキサンb)トルエンT able 2
分散媒の物性T able 3 PS
の構造および分子量3-2 装置
1) 高速振とう機
EYELA CM1000 (東京理科機器株式会社)を使用した。恒温槽内に設置し、25.0 ℃で振
とう作動させた。
2) 高速脱泡機
HM-500 (キーエンス)を使用した。自転・公転作用によってその機能を果たし、攪拌モ ード (自転:800 rpm 公転:2000 rpm)と脱泡モード (自転:60 rpm 公転:2200 rpm) で使用した。
3) レオメーター
PHYSICA MCR300 (Anton Paar) を使用した。操作はマニュアルに従って実験を行った。
4) 小角中性子散乱(SANS)装置 (Fig. 2、Table 4)
日本原子力研究開発機構の実験用原子炉 (JRR-3M) に付設の装置SANS-U (東京大 学物性研究所 所有)を使用した。セルは太鼓型石英セルを使用した。
F ig. 2 S AN S -U
の装置概念図[6]T able 4 S AN S -U
の装置性能[6]3-3 シリカサスペンションの調製
まず、PSを分子量ごとに濃度 c = 0.01 g/100mlおよびc = 0.05 g/100mlとなるように各 分散媒に溶解させた。この濃度は c*よりも低い濃度である。ジオキサン系ではこの溶
液10 mlに対しシリカ濃度 φ = 1.42- 5.84 vol.%、トルエンの系ではこの溶液5 mlに対し
φ = 3.80- 11.0 vol.% になるよう、全容量30 mlのスクリュー瓶にシリカを量り取り、高
速振とう機を用いて1500 rpmで24時間振とうした。その後高速脱泡機の脱泡モードを 用いてジオキサンの系は3分間脱泡、トルエン系は1分撹拌2分脱泡し、サンプルとし た。なお分散媒の蒸発を最小限に抑えるために、蓋の内ねじ部分にテフロンテープを巻 き、さらに蓋を閉めた後にテフロンテープを巻くことにより密封した。サンプル名は添 加したPSの分子量が、Mw = 2.5×103のサスペンションをA-2500、Mw = 1.11×106の サスペンションをF-128、何も添加していない場合をPlainとした。
3-4 レオロジー測定
全ての測定において、測定治具にコーン/プレート CP50-1 (直径 49.95 mm、コーン角 1°) を使用し、ギャップは0.05 mm、測定温度は25±0.01 ℃とした。サンプル調製過 程における脱泡終了後から測定開始までの時間は、ストップウォッチを用い4分間とし、
この間にサンプルをレオメーターにセットした。測定中は分散媒の揮発量を最小限に抑 えるためにトラップを用い、分散媒雰囲気にした。また測定終了のたびにサンプルを交 換し、同一のスクリュー瓶に入ったサンプルを2回以上レオロジー測定に用いることは せず、1つのスクリュー瓶からは1回だけレオロジー測定に用いることとした。
測定は、下記に示す3種類を行った。
1) 動的粘弾性測定
動的粘弾性測定として線形安定領域測定を行った。角周波数を1 rad/s で固定し、ひず みの値を 0.01- 100 %、もしくは0.01- 1000 % まで与えたときの、貯蔵弾性率G 、損失
弾性率G”、せん断応力の値を測定した。
2) 降伏応力測定
せん断応力を0.1-1000 Paまで与えたときの、ひずみの値を測定した。
3) 定常流粘性率測定
一定せん断速度におけるせん断応力、およびみかけの粘度の経時変化を観測した。プ レシアとして1000 s-1 のせん断を10 分間与え、1分間のレストタイムを置いた後に、
0.1, 0.2, 0.3, 0.5, 1, 2, 3, 5, 10, 20, 30, 50, 100, 200, 300, 500, および1000 s-1 におけるせん 断応力の経時変化を測定した。
3-5 小角中性子散乱測定
測定に用いた中性子の波長は0.708 nmであり、その他の装置性能はTable 4に示した とおりである。カメラ長は、1.03、8 mを用いた。またFocusingを用いた測定のために カメラ長12 mでも測定を行った。標準サンプルとして、低密度ポリエチレン; LDPEを 用い、環境ノイズの評価用サンプルとしてB4C を用いた。
初めにビームストッパーの位置調整、およびセンターチャンネルを決定した後、バッ クグラウンドおよび検出器感度補正を行うためにダイレクトビーム、空セル、LDPE 、 B4C 、分散媒、および各サンプルにおける散乱強度をそれぞれ測定した。また、透過 率モニターから30 秒間における中性子線のカウント数を3 回ずつ測定し、その平均値 を求めそれぞれ透過率を求めた。これらの操作を各カメラ長で行った。得られた二次元 データのバックグラウンドおよび検出器感度の補正を行った後、円環平均を行い、散乱 曲線を得た。
また、サンプルを入れるためのセルは太鼓型石英セルを用いた。これは2枚の石英ガ
ラス板でO-リングを挟みこみ僅かに押しつぶすことによって、O-リングがパッキンと
なり、2枚の石英ガラス板の間に密閉空間を作ることができるのでセルとしての役割を 果たす。実際は、石英ガラス板の上にO-リングおよびサンプルを載せ、上からもう1 枚の石英ガラス板をセル内に空気が入らないように重ね、周囲を金属製の枠で固定した。
セルの厚みは、枠にスペーサーを入れることにより、1- 5 mmまで調節可能であり、今
回は2 mmとした。また今回用いているサンプルの分散媒を考慮し、O-リングは表面を テフロンでシールされた製品を用いた。
第 4 章 結果と考察
4-1 目視観察
サスペンションの状態は、分散媒とシリカサスペンションの二相に分離した状態を二 相分離、シリカが均一に分散しておりサンプル瓶を傾けたとき、流動が見られる状態を ゾル、見られない状態をゲル、ゾルほど流動はないがゲルよりも構造を持たない状態を プレゲルと定義し、調製後に目視観察を行った。その結果をTable 5に示す。
1) ジオキサン- シリカサスペンション
調製直後1.42- 2.40 vol.% のシリカサスペンションは二相分離、3.40- 3.90 vol.% のシ リカサスペンションはプレゲル、4.31 vol.% 以上のシリカサスペンションはゲルであっ た。これらの結果から、シリカ体積分率の増加に伴い、凝集体構造が形成されることが 考えられる。またPS添加による影響はどのサンプルにおいても観察されなかった。
2) トルエン- シリカサスペンション
調製直後3.80- 7.50 vol.% のシリカサスペンションはゾル、8.00 vol.% のシリカサスペ
ンションはプレゲル、8.50 vol.% 以上のシリカサスペンションはゲルであった。これら の結果から、ジオキサン- シリカサスペンション同様シリカ体積分率の増加に伴い、凝 集体構造が形成されることが考えられる。また調製直後から数分静置するとサンプル瓶 を傾けたときのサンプルの流れ方が変化しており、粘度が高くなっていた。このサンプ ルを尐し強めに振ると粘度は再び低下し、そして数分静置すると粘度が高い状態に戻っ ているのが観察された。これらの挙動よりこの系はチキソトロピー性を持っていること が考えられる。こちらの系においてもPS添加による影響はどのサンプルにおいても観 察されなかった。
3) 分散媒の違いによる影響
2 つの系を比較すると、ゲル化するシリカ濃度は、ジオキサン系に比べトルエン系の 方が、2倍程度高いことが分かった。用いているシリカはフュームドシリカであること から分散媒中で二次粒子を形成し、さらにそれが凝集しフラクタル構造をとっているこ
T able 5
シリカサスペンションの目視観察結果とが予想される。二次粒子サイズ、もしくはその二次粒子が作る網目構造がジオキサン 系よりもトルエン系の方が小さいためにこのような結果になったのではないかと考え られる。
4-2 レオロジー測定
4-2-1 動的粘弾性測定
1) ジオキサン- シリカサスペンション
目視観察結果から、ゲルである4.31、4.80 vol.% シリカサスペンションについて線形 安定領域測定を行った。その結果をFig. 3 に示す。PSの有無にかかわらず、全てのシ リカサスペンションについて低ひずみ領域で線形領域が見られ、この線形領域において
G > G” となり、固体的粘弾性挙動を示した。またPSを添加したシリカサスペンション
の線形領域におけるG の値がPS無添加のそれよりも高い値を示し、かつ線形領域が長 くなっていた。これはシリカ濃度、もしくはPS濃度の増加に伴いより顕著であった。
この結果から、PS 添加のためにより弾性的な凝集構造が形成されていることは明らか である。しかし枯渇作用によるものかはまだ不明である。事実、Fig.3bでは、低分子量 のPS を添加したサスペンションよりも高分子量の PSを添加したそれの方が G の線形 領域が長く、より大きなひずみにも耐え得る弾性的な構造をとっていることが示唆され ており、枯渇作用以外にも何か影響があることが予想される。
また、応力-ひずみの両対数プロットを行うことで、傾き 1 の直線に乗る領域、すな わちフック弾性体としてふるまう領域が分かる。この領域から外れる最小のひずみの値 を臨界ひずみ γc 、曲線の勾配がほぼ 0 となるときのせん断応力の最小値を降伏応力 σyとして求めた結果をFig. 4に示す。臨界ひずみおよび降伏応力の値はシリカ体積分率 の増加に伴い増加した。そしてPSを添加したことによっても増加しており、特に降伏 応力については1オーダー程度の増加が観察された。これらの傾向は、より強固な凝集 体構造が形成されたことを示している。
F ig. 3
ジオキサン-
シリカサスペンションの線形安定領域測定結果 ●,○:Plain;●,○: A-2500;●,○:F-128(●G'、○G") a)φ = 4.31 vol.%、c = 0.05 g/100ml b)φ= 4.80 vol.%、c= 0.05 g/100mlb ) a)
F ig. 3
ジオキサン-
シリカサスペンションの線形安定領域測定結果 ●,○: Plain;●,○: A-2500;●,○:F-128(●G'、○G") c)φ = 4.80 vol.%、c = 0.01 g/100mlc)
F ig. 4
ジオキサン-
シリカサスペンションの動的粘弾性測定による応力-
ひずみの両対数プロット ●: Plain;●: A-2500;●: F-128 a)φ = 4.31 vol.%、c = 0.05 g/100mla)
F ig. 4
ジオキサン-
シリカサスペンションの動的粘弾性測定による応力-
ひずみの両対数プロット ●:Plain;●: A-2500;●: F-128 b)φ = 4.80 vol.%、c = 0.05 g/100mlb )
F ig. 4
ジオキサン-
シリカサスペンションの動的粘弾性測定による応力-
ひずみの両対数プロット ●: Plain;●: A-2500;●:F-128 c)φ = 4.80 vol.%、c = 0.01 g/100mlc)
2) トルエン-シリカサスペンション
目視観察結果から、プレゲルである8.0 vol.%、ゲルである11.0 vol.% のシリカサスペ ンションについて線形安定領域測定を行った。その結果をFig. 5に示す。ジオキサン系 と同様、PS の有無にかかわらず、全てのシリカサスペンションについて低ひずみ領域 で線形領域が見られ、この線形領域においてG > G” となり、固体的粘弾性挙動を示し た。8.0 vol.%において、PS を添加したことによる大きな影響は観察されなかったが、
11.0 vol.%ではPSを添加したシリカサスペンションの線形領域におけるG の値がPS無
添加のそれよりも高い値を示し、より弾性的な凝集構造が形成されていることを示唆し ている。そしてこの傾向は低分子量のPSを添加したサスペンションでより顕著であり、
枯渇作用による効果であると考えられる。
また、ジオキサン系と同様に、応力-ひずみ両対数プロットを行い、臨界ひずみ γcお よび降伏応力 σyを求めた結果をFig. 6に示す。降伏応力の値はシリカ体積分率の増加 に伴い増加した。さらに、11.0 vol.%では、低分子量のPSを添加したサスペンションで 他のトルエン系に比べ高い降伏応力値を示した。一方、臨界ひずみの値はシリカ濃度の 増加に伴い減尐した。PS添加による臨界ひずみの値への影響は8.0 vol.%では観察され
ず、11.0 vol.%ではPSを添加していない系よりも僅かに高い値を示した。これらの結果
から、トルエン系ではシリカ濃度の増加に伴い弾性的な性質を失っていき、より固体的 となっていくことが考えられる。また、ゲル領域では、PS を添加することでより弾性 的となる。
3)分散媒の違いによる影響
同じゲル領域(ジオキサン系φ = 4.80 vol.%とトルエン系φ = 11.0 vol.%)において、線形 領域における G'の値はジオキサン系の方がトルエン系よりも 1 オーダー程高い値を示 した。ジオキサン系のシリカ濃度の方が2倍以上低いにも関わらず、高い固体的粘弾性 を示したこと、そして目視観察から予想される、シリカの凝集力や形成する網目構造が 分散媒に依存していることを考慮すると、ジオキサン系ではシリカ粒子間に働く凝集力 が強いために、作られる構造も網目の大きいものができていることが考えられる。それ に対しトルエン系ではシリカ粒子間に働く凝集力はジオキサン系と比べると強くなく、
網目構造そのものもあまり強くないのではと予想される。この違いがG'の値に影響を与 えている要因の1つだろう。
そして、PSを添加した場合の線形領域における挙動にも 2つの系では違いがあった。
ジオキサン系ではG の値の増加と、さらに線形領域が長くなった。一方トルエン系では
G の値は増加したが、線形領域の長さに変化は見られなかった。上記の考察からG の値
の増加は、PS を系に添加することで枯渇作用が働きシリカ粒子間に働く凝集力が増加 するために起きていると予想される。そしてジオキサン系に観察される線形領域が長く なることは、粗い網目構造にPSが入り込むことで大きなひずみでも耐えられるような 構造となったのではないかと考えられる。もしそうならば、低分子量のPSよりも高分 子量のものの方が網目構造の中で捕らえられやすく、より弾性的になることが考えられ、
実験結果と一致する。これは応力-ひずみの両対数プロットからも言うことができる。
ジオキサン系ではPSを添加することで降伏応力、臨界ひずみともに値が増加している が、トルエン系では降伏応力の値は増加するものの、臨界ひずみの値はほぼ変化してい ない。枯渇作用が働くことで粒子間の凝集力は増加し、その結果構造を破壊するのに必 要な力である降伏応力の値は増加すると考えられる。臨界ひずみはフック弾性を保つこ とができるひずみの最大値にあたり、ジオキサン系では粗い網目構造にPSが入ること ができ構造をより弾性的にするが、トルエン系の構造は網目構造をとっていても比較的 その大きさが小さいためPSがあまり入ることはできず、系全体を弾性的にすることは できない。このPSが構造にあまり入ることができないことも枯渇作用をより引き起こ しやすくする要因の1つだと考えられる。その結果、トルエン系ではPS添加により構 造が固くなるが、弾性はあまり変化が見られないのだろう。
F ig. 5
トルエン-
シリカサスペンションの線形安定領域測定結果 ■,□: Plain;■,□: A-2500;■,□: F-128(■G'、□G") a)φ = 8.0 vol.%、c = 0.05 g/100ml b)φ = 11.0 vol.%、c = 0.05 g/100mla) b )
F ig. 6
トルエン-
シリカサスペンションの動的粘弾性測定による応力-
ひずみの両対数プロット ■:Plain;■: A-2500;■:F-128 a)φ = 8.0 vol.%、c = 0.05 g/100mla)
6 F ig. 6
トルエン-
シリカサスペンションの動的粘弾性測定による応力-
ひずみの両対数プロット ■: Plain;■:A-2500;■:F-128 b)φ = 11.0 vol.%、c = 0.05 g/100mlb )
4-2-2 降伏応力測定
1) ジオキサン-シリカサスペンション
φ = 4.80 vol.% シリカサスペンションについて降伏応力測定を行った。その結果をFig.
7に示す。この測定では臨界ひずみを示す応力の値を降伏応力値と定義した。PS濃度の 増加に伴い臨界ひずみの値が増加したが、降伏応力の値にはあまり変化がなかった。Fig.
4の結果と比較すると傾向は似ているが、Fig. 4のPSを添加したサスペンションが示す 降伏応力のほうが一桁大きい値を示し、臨界ひずみにおいても約2- 3 倍大きい値を示 した。これは一定方向にせん断を与えるよりも、周期的にせん断を与えた方がより大き なひずみでも弾性的であることを示唆している。
2) トルエン-シリカサスペンション
φ = 8.0、11.0 vol.%のシリカサスペンションについて降伏応力測定を行った。その結果
をFig. 8に示す。この系では降伏点が2つ観察された。第一降伏点の降伏応力、および
臨界ひずみをそれぞれσy1とγc1、第二降伏点のものを σy2、γc2とした(γc1<γc2)。第一降 伏点において、φ = 8.0 vol.%ではPSを添加することで降伏応力、臨界ひずみともに値は 増加したが、φ = 11.0 vol.%では降伏応力の値は増加したものの、臨界ひずみの値は減尐 した。シリカ濃度の増加に伴っても、降伏応力の増加と臨界ひずみの減尐が観察された。
この傾向は Fig. 6の結果とも一致している。これは、PS添加により枯渇作用を引き起 こしてシリカを凝集させたり、シリカ濃度を増加させたりすることでシリカの構造が部 分的により密に詰まった状態になり、このため構造が固くなり、ひずみにくくなったこ とを示めしている。2つ降伏点を持つ系はあまり報告例がない。特にフラクタル構造を 持つような系においては報告が全くなく、今回が初めてとなる。球状粒子を用いたサス ペンションではいくつか報告がある[7]ことから、部分的に密に詰まった構造になるこ とで球状粒子を用いたサスペンションと何らかの共通点があることが予想される。
3) 分散媒の違いによる影響
ジオキサン系は臨界ひずみが小さく降伏応力が大きい、それに対し、トルエン系は臨 界ひずみが大きく応力が小さいという結果となった。固体的粘弾性の中でも、ひずみに くく、大きなひずみでは構造が破壊してしまうようなものを固体的、それに対しフック
弾性を保つことができるひずみ領域が広いものを弾性的とするならば、ジオキサン系の 方がより固体的で、トルエン系の方がより弾性的であることを示している。このことか ら、シリカが形成するシリカの網目構造の強さはジオキサン系の方が強く、大きなひず みに耐えられない構造となっていることが分かる。また、PS 添加による2 つの系の挙 動変化も異なっており、ジオキサン系では大きな変化は見られないが、トルエン系では 降伏応力の増加、臨界ひずみの減尐が観察された。特に、シリカ濃度11.0 vol.%では第 二降伏点での降伏応力、および臨界ひずみの値に大きな変化が見られており、これが低 分子量のPSで顕著に現れていた。これは枯渇作用の理論から考えると、粒子の凝集を 引き起こす浸透圧の大きさは PS の分子量に反比例するために、分子量の低い PS の方 が浸透圧が高く、粒子の凝集をさらに強めると考えれば、実験結果を定性的に説明でき る。また、枯渇作用を引き起こすには粒子(もしくは凝集体)サイズとポリマーの排除体 積の大きさの比も重要であり、ジオキサン系よりもトルエン系の方が今回用いたPSで 枯渇作用を引き起こすのに適した凝集形態をとっていたことも示唆される。参考文献
[5]よりPSのF- 128のトルエン中での慣性半径Sは48.06 nmであり、シリカの一次粒
子径は16 nmであるから、この系の場合、シリカの凝集体サイズとポリマーの排除体積
の大きさが重要となる。そして、PS によりシリカの凝集体間に浸透圧が働くのであれ ば、シリカの凝集体はある程度密に詰まり、球体に近い振る舞いをする必要があるだろ う。また、トルエン系における2つの降伏点のPS添加による影響の大きさを比較する と、第二降伏点の方がより大きく変化していることが分かる。ここから予想されるのは、
トルエン系ではシリカの作る網目構造の中に部分的に密に詰まっている部分が存在し、
枯渇作用は主にこの部分に働いている。そして、第一降伏点でまず網目構造の中でもあ まり密に詰まっていない網目部分で主に構造破壊が起こり、第二降伏点にて密に詰まっ た部分も含めて構造破壊が起きていると思われる。
F ig. 7
ジオキサン-
シリカサスペンションの応力-
ひずみの両対数 プロット ●: Plain;●: A-2500;●: F-128 a)φ = 4.80 vol.%、c = 0.01 g/100mla)
F ig. 7
ジオキサン-
シリカサスペンションの応力-
ひずみの両対数 プロット ●: Plain;●: A-2500;●: F-128 b)φ = 4.80 vol.%、c = 0.05 g/100mlb )
F ig. 7
ジオキサン-
シリカサスペンションの応力-
ひずみ両対数プロット b)φ= 4.80 vol.%、c= 0.01 g/100mlF ig. 8
トルエン-
シリカサスペンションの応力-
ひずみの両対数 プロット ■: Plain;■: A-2500;■: F-128 a)φ = 8.0 vol.%、c = 0.05 g/100mla)
F ig. 8
トルエン-
シリカサスペンションの応力-
ひずみの両対数 プロット ■: Plain;■: A-2500;■:F-128 b)φ = 11.0 vol.%、c = 0.05 g/100mlb )
4-2-3 定常流粘性率測定
次式により、粘度ηとせん断速度 γ の関係が定義される。
γ σ
γ
γ は非ニュートン粘度、もしくはみかけの粘度と呼ばれるせん断速度の関数として 表される粘度で、σ はせん断応力である。
本来の定常流粘性率測定では、一定せん断速度下において、せん断応力あるいはみか けの粘度の値が時間経過に依らず一定になったとき、これを定常状態と言う。本研究で は、分散媒の蒸発を考慮して、参考文献[3]を基に測定時間の最長を2 時間程度として、
以下の測定を行った。
4-2-3-1 せん断応力の経時変化
1) ジオキサン-シリカサスペンション
プレゲルである3.80 vol.% 、ゲルである4.31, 4.80 vol.% のシリカサスペンションにつ いて、一定せん断速度下におけるせん断応力の経時変化を観測した。結果をFig. 9- 11 に示す。1- 50 s-1のせん断速度において、サンプルの状態に依らずせん断応力の持続的 な振動が観測された。この振動はせん断応力の不規則な増加と減尐の繰り返しから成り、
減衰することなくある一定の振幅を保っていた。振幅はせん断速度の増加に伴い増加し、
10- 20 s-1付近で最大値をとり30- 50 s-1で徐々に減尐していき100 s-1では観察されなか った。また、せん断速度を固定したとき、シリカサスペンションの粒子体積分率の増加 に伴い、振幅は増加していることが分かった。これらの振動は、せん断誘起によってシ リカの凝集体構造になんらかのゆらぎが生じたことに起因して、新たな構造体の形成と 破壊を繰り返していることを示唆している。
この振動はPSを添加したサスペンションにおいても観察され、PSを添加していない サスペンションとの違いは見られなかった。4-2-1、4-2-2 より PS を添加することでサ スペンションの構造が持つ特性に変化が出ていることは明らかであるが、この測定では その差が現れなかった。この理由は、測定の前にサンプルのせん断履歴をなくすために プレコンディショニングとしてプレシアを与えており、その際に構造が破壊され、枯渇 作用が弱いために以後構造は破壊されたままか、もしくはプレシアをかける前の状態に 回復しないためにPS添加の影響を見ることができなかったということが考えられる。
レストタイムが短く構造回復する前に測定に入っていることも考えられたため、レスト タイム依存性を調べるために、レストタイムのみ1分間から60分間に変え同様の実験 を行い、結果を比較した(Fig. 12) 。しかし、挙動に違いは見られなかったことから、こ の可能性はかなり低いと思われる。
2) トルエン-シリカサスペンション
ゾルである4.80 vol.% 、プレゲルである8.0 vol.% のシリカサスペンションについて、
一定せん断速度下におけるせん断応力の経時変化を観測した。結果をFig. 13に示す。
この系での測定はジオキサン系における振動現象を考察するために行ったものであり、
本研究ではPSを添加したサスペンションでの測定は行っていない。しかし4-2-1や4-2-2 でシリカの形成する構造に影響を与えていることが分かったので、今後検討する必要性 は大いにある。
トルエン系では時間の経過につれ、応力が一度オーバーシュートを示した後、再び上 昇し定常値をとるという挙動を示した。この結果から、時間に与えたせん断速度をかけ ることによりひずみを計算し、応力- ひずみグラフをプロットし挙動を比較した。その
結果をFig. 14に示す。まずφ = 4.80 vol.%、0.1- 1 s-1の低せん断速度のとき、オーバー
シュートにおける応力が極大値を示すときのひずみは、せん断速度の増加に伴い増加し、
それにつれ応力の値も増加した。このオーバーシュートが示すのは、せん断をかけるこ とにより構造を形成し、あるひずみを超えると破壊されるためであると考えられる。構 造の破壊が始まるひずみの大きさが与えるせん断速度により異なることから、せん断に よって形成される構造はせん断速度に依存していることが分かる。オーバーシュートの 後、再び応力が増加し定常状態をとるが、定常状態をとる最小のひずみはせん断速度の 増加に伴い増加した。これは構造が破壊された後に、破壊前とは異なる構造を形成して
いることを示唆している。この構造形成がせん断速度に依存するために、せん断速度が 高い方が定常状態をとる最小のひずみも高い値を示すのだろう。定常状態の応力の値の 大きさは与えたせん断速度の増加に伴い0.1- 0.3 s-1では増加、0.5- 2 s-1にかけ減尐した。
そして、この応力が減尐し始めるところでオーバーシュートも再び応力の値が増加する 挙動も観察されなくなった。これも構造の破壊、そしてその後の構造の形成がせん断速 度に依存していることを示している。φ = 8.0 vol.%もφ = 4.80 vol.%とほぼ同様の挙動を 示していたが、1つ違う点は、0.1- 0.2 s-1のときに、オーバーシュートが観察されず測 定開始後応力が時間の経過とともに増加し、そのまま定常状態となった。これはシリカ 濃度が高くなったことで、測定開始時のシリカの構造を完全に壊すまでには至らなかっ たからではと考えられる。
3) 分散媒の違いによる影響
ジオキサン系では中せん断速度領域で、不規則で持続的な振動が見られたが、トルエ ン系では観察されなかった。4-2-1と4-2-2でのシリカの凝集構造が分散媒に依存してい ることを考慮すると、次のようなことが考えられる。ジオキサン系はトルエン系よりも シリカの凝集力が強いために構造の再形成の速度も速いことが考えられ、中せん断速度 程度のひずみで尐しずつ構造が破壊され徐々に流動が起きたとき、シリカの凝集体同士 が近づくと再び凝集しようとする。そのとき部分的に流動が妨げられ、このとき周囲の シリカ凝集体同士が一気に構造を形成し、応力の増加を示す。しかし、せん断はかけ続 けられており、ある程度構造が再形成したところで再び構造が破壊され、応力は減尐す る。せん断下での構造の再形成であるから、せん断速度の増加に伴い構造再生もより起 こりやすく、かつ速く起こることが考えられるが、同時に測定前の構造状態よりもさら に粗い網目になっていくことが考えられる。このことが構造再生時と破壊時に示す応力 の差を大きくし、結果、せん断速度の増加に伴い、振幅も大きくなっていくことに繋が っていると考えられる。30- 50 s-1付近で振幅は減尐するが、これはせん断速度の増加に 伴い、シリカの凝集体同士の凝集しようとする力よりも大きなせん断流動が起きるため に、構造再形成の割合が減るためだろう。
トルエン系では、測定開始後すぐに応力値のオーバーシュートを示したが、これはも ともとの網目構造を破壊したために現れていると考えられる。低せん断速度領域におい て、せん断速度の増加とともにオーバーシュートの極大値を示すひずみが増加する現象
が見られたが、これは初めに形成していた網目構造が小さいために、構造の一部が破壊 されてもすぐに網目構造を作ることができ、それは低せん断速度領域であればせん断速 度の速い方が、構造が完全に崩れる前に構造の再形成できる確率は上がる。よって、オ ーバーシュートの極大値を示すひずみがせん断速度に依存する結果になったのではと 考えられる。しかし、トルエン系におけるシリカの凝集体が作る構造はジオキサン系程 強くないため、いくら低せん断速度領域であってもある程度ひずみを加えれば構造の破 壊に繋がる。構造が破壊されたとき、シリカの凝集体同士の凝集力がそこまで強くない ことから、徐々に構造破壊前とは違う、密に詰まった構造をとることが予想される。
4-2-1、4-2-2においてシリカ濃度の増加に伴いより固体的な挙動を示すことが分かって
いることから、密に詰まった構造をとることで応力の増加に繋がることが考えられる。
この構造の変化はせん断流動下において起きていることから、応力の変化も急激ではな く徐々に増加し、そして定常状態に至ることが予想される。
つまり、ここでの2つの系の挙動の違いは、シリカの凝集力が異なるためであり、そ のシリカの凝集力の差は分散媒が異なることによって引き起こされている。
F ig. 9
ジオキサン-
シリカサスペンションの定常流粘性率の時間依存性 ●: Plain;●: A-2500;●: F-128 φ = 3.80 vol.%、c = 0.05 g/100ml a)0.1 s-1 b)0.2 s-1 c)0.3 s-1 d)0.5 s-1a) b )
c) d )
F ig. 9
ジオキサン-
シリカサスペンションの定常流粘性率の時間依存性 ●: Plain;●: A-2500;●: F-128 φ = 3.80 vol.%、c = 0.05 g/100ml e)1 s-1 f)2 s-1 g)3 s-1 h)5 s-1e) f)
g ) h )
F ig. 9
ジオキサン-
シリカサスペンションの定常流粘性率の時間依存性 ●: Plain;●: A-2500;●: F-128 φ = 3.80 vol.%、c = 0.05 g/100ml i)10 s-1 j)20 s-1 k)30 s-1 l)50 s-1i) j) l) k )
F ig. 9
ジオキサン-
シリカサスペンションの定常流粘性率の時間依存性 ●: Plain;●: A-2500;●: F-128 φ = 3.80 vol.%、c = 0.05 g/100ml m)100 s-1 n)200 s-1 o)300 s-1 p)500 s-1m ) n )
o ) p )
F ig. 9
ジオキサン-
シリカサスペンションの定常流粘性率の時間依存性 ●: Plain;●: A-2500;●: F-128 φ = 3.80 vol.%、c = 0.05 g/100ml q)1000 s-1q )
F ig. 10
ジオキサン-
シリカサスペンションの定常流粘性率の時間依存性 ●: Plain;●: A-2500;●: F-128 φ = 4.30 vol.%、c = 0.05 g/100ml a)0.1 s-1 b)0.2 s-1 c)0.3 s-1 d)0.5 s-1a) c) d ) b )
F ig. 10
ジオキサン-
シリカサスペンションの定常流粘性率の時間依存性 ●: Plain;●: A-2500;●: F-128 φ = 4.30 vol.%、c = 0.05 g/100ml e)1 s-1 f)2 s-1 g)3 s-1 h)5 s-1e) g ) h ) f)
F ig. 10
ジオキサン-
シリカサスペンションの定常流粘性率の時間依存性 ●: Plain;●: A-2500;●: F-128 φ = 4.30 vol.%、c = 0.05 g/100ml i)10 s-1 j)20 s-1 k)30 s-1 l)50 s-1i) l)
k ) j)
F ig. 10
ジオキサン-
シリカサスペンションの定常流粘性率の時間依存性 ●: Plain;●: A-2500;●: F-128 φ = 4.30 vol.%、c = 0.05 g/100ml m)100 s-1 n)200 s-1 o)300 s-1 p)500 s-1n )
m ) p )
o )
F ig. 10
ジオキサン-
シリカサスペンションの定常流粘性率の時間依存性 ●: Plain;●: A-2500;●: F-128 φ = 4.30 vol.%、c = 0.05 g/100ml q)1000 s-1q )
F ig. 11
ジオキサン-
シリカサスペンションの定常流粘性率の時間依存性 ●: Plain;●: A-2500;●: F-128 φ = 4.80 vol.%、c = 0.05 g/100ml a)0.1 s-1 b)0.2 s-1 c)0.3 s-1 d)0.5 s-1a) c) d ) b )
F ig. 11
ジオキサン-
シリカサスペンションの定常流粘性率の時間依存性 ●: Plain;●: A-2500;●: F-128 φ = 4.80 vol.%、c = 0.05 g/100ml e)1 s-1 f)2 s-1 g)3 s-1 h)5 s-1e) g ) h ) f)
F ig. 11
ジオキサン-
シリカサスペンションの定常流粘性率の時間依存性 ●: Plain;●: A-2500;●: F-128 φ = 4.80 vol.%、c = 0.05 g/100ml i)10 s-1 j)20 s-1 k)30 s-1 l)50 s-1i) l)
k ) j)
F ig. 11
ジオキサン-
シリカサスペンションの定常流粘性率の時間依存性 ●: Plain;●: A-2500;●: F-128 φ = 4.80 vol.%、c = 0.05 g/100ml m)100 s-1 n)200 s-1 o)300 s-1 p)500 s-1n )
m ) p )
o )
F ig. 11
ジオキサン-
シリカサスペンションの定常流粘性率の時間依存性 ●: Plain;●: A-2500;●: F-128 φ = 4.80 vol.%、c = 0.05 g/100ml q)1000 s-1q )
F ig. 12
ジオキサン-
シリカサスペンションの定常流粘性率の時間依存性 におけるレストタイム依存性 ●Rest time 1 min、●Rest time 60 min φ = 4.80 vol.% a)0.1 s-1 b)1 s-1 c)10 s-1 d)100 s-1a) b )
c) d )
F ig. 12
ジオキサン-
シリカサスペンションの定常流粘性率の時間依存性 におけるレストタイム依存性 ●:Rest time 1 min;●:Rest time 60 min φ = 4.80 vol.% e)1000 s-1e)
F ig. 13
トルエン-
シリカサスペンションの定常流粘性率の時間依存性 ■:φ = 4.80 vol.%Plain;■:φ = 8.0 vol.%Plain a)0.1 s-1 b)0.2 s-1 c)0.3 s-1 d)0.5 s-1a) b )
c) d )
F ig. 13
トルエン-
シリカサスペンションの定常流粘性率の時間依存性 ■:φ = 4.80 vol.%Plain;■:φ = 8.0 vol.%Plain e)1 s-1 f)2 s-1 g)3 s-1 h)5 s-1e) f)
g ) h )
F ig. 13
トルエン-
シリカサスペンションの定常流粘性率の時間依存性 ■:φ = 4.80 vol.%Plain;■:φ = 8.0 vol.%Plain i)10 s-1 j)20 s-1 k)30 s-1 l)50 s-1i) j)
k ) l)
F ig. 13
トルエン-
シリカサスペンションの定常流粘性率の時間依存性 ■:φ = 4.80 vol.%Plain;■:φ = 8.0 vol.%Plain m)100 s-1 n)200 s-1 o)300 s-1 p)500 s-1m ) n )
o ) p )
F ig. 13
トルエン-
シリカサスペンションの定常流粘性率の時間依存性 ■:φ = 4.80 vol.%Plain;■:φ = 8.0 vol.%Plain q)1000 s-1q )
F ig. 14
トルエン-
シリカサスペンションの応力のひずみ依存性 φ = 4.80 vol.%Plain a)0.1- 1000 s-1 b)0.1- 2 s-1 c)1- 5 s-1 d)10- 1000 s-1d )
c) b ) a)
■0.1 s-1 ■0.2 s-1 ■0.3 s-1 ■0.5 s-1 ■1 s-1 ■2 s-1 ■3 s-1 ■5 s-1 ■10 s-1 ■20 s-1 ■30 s-1 ■50 s-1 ■100 s-1 ■200 s-1 ■300 s-1 ■500 s-1 ■1000 s-1
F ig. 14
トルエン-
シリカサスペンションの応力のひずみ依存性 φ = 8.0 vol.%Plain a)0.1- 1000 s-1 b)0.1- 2 s-1 c)1- 5 s-1 d)10- 1000 s-1d )
c) b ) a)
■0.1 s-1 ■0.2 s-1 ■0.3 s-1 ■0.5 s-1 ■1 s-1 ■2 s-1 ■3 s-1 ■5 s-1 ■10 s-1 ■20 s-1 ■30 s-1 ■50 s-1 ■100 s-1 ■200 s-1 ■300 s-1 ■500 s-1 ■1000 s-1
4-2-3-2 みかけの粘度のせん断速度依存性
みかけの粘度の定常値とせん断速度に対する両対数プロットをFig. 15と16に示す。
なお、せん断応力に定常値が得られなかった結果については測定開始から3100 s以降の 値を平均した。
1) ジオキサン- シリカサスペンション
測定したすべてのシリカサスペンションについて、みかけの粘度はせん断速度に依存 し、0.02- 2 s-1のせん断速度領域でシアシニング挙動を、10- 50 s-1 のせん断速度領域で シアシックニング挙動を示し、100- 1000 s-1のせん断速度領域で再びシアシニング挙動 を示した。シアシックニング挙動は粒子体積分率が40- 50 vol.% の濃厚系のサスペンシ ョンに関する研究において多く観察されている[8, 9] が、本研究では3.80- 4.80 vol.% と いうシリカ体積分率が低い領域で観察された。また、シアシックニングの起こる部分の せん断速度領域は、せん断応力の持続的な振動が現れるせん断速度領域とほぼ一致して おり、振動がもっとも激しくなっていた10- 20 s-1付近でシアシックニング挙動が起こ り始めていることが分かった。PSを添加した影響は観察されなかった。
2) トルエン-シリカサスペンション
測定したすべてのシリカサスペンションについて、みかけの粘度はせん断速度の増加 に伴い減尐し、シアシニング挙動を示した。シリカ濃度の増加に伴い、10- 1000 s-1にお けるみかけ粘度の傾きは緩やかになった。