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神戸女子大学看護学部紀要第一巻の発刊に当たって

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神戸女子大学看護学部紀要第一巻の発刊に当たって

神戸女子大学看護学部長

野並 葉子

今の時代,改めて看護の叡智が求められ,ナイチンゲールの時代,そして世界において人間学が問われ 看護学が探求された第二次世界大戦後の時代,そして情報が即時に世界を飛びかう現代,労働がロボット に変わっていく時代へと移り変わる中で,IT の発展と共に科学の発展のスピードはすさまじく,人はどう 生きていくのか,喪失の時代の中,何を喪失しているかさえも,コンピュータで処理しなければ見えない 時代を迎えている.

そんな社会の中で,人間という個人が自分を護る手立てを身につけないまま生身でさらされている.正 直さ,純粋さ,誠実さは美徳ではなく,こっそりと自分の中に暖めておいて,自身の安全が確保できるこ とを確認して見せなければ自分を護れないとさえ思える.  

 

看護という言葉は,生命を「護る」ケアを表している.ナイチンゲールは,「看護ほど他人の感情のただ 中へ自己を投入する力をこれほど必要とする仕事はほかには存在しない」というように述べている.その 160 年後の今の時代に,看護学生に何を伝えればいいのだろうか.1 年生には,まず自身に正直であること や自身に対する忠誠ということはどういうことか,他者を大事にするとはどういうことか,を徹底して教 える必要がある.その迫力や信念が立ち上がらないと看護ができないように思われる.看護学は,人が生 命を生き抜いていくことを支援していく叡智を持っており,今の時代だからこそ,その看護の叡智を社会 の叡智にしていく必要があるように思う.

 

神戸女子大学看護学部看護学科の教育研究の目指すところは,ウエルビーングの観点から看護ケアと社 会システムの関連とそれに伴う専門的な知識・技能を統合し,地域に暮らす人々が普通にその人らしい生 活ができるよう,新たな支援方法を開発し,その人材を育てていくところにある.

将来は,紀要という枠を超えて,広く社会に発信していけるような発展を期待している.

2016 年5月 神戸女子大学看護学部紀要 第 1 巻 2016年

◆巻頭言

Bull Fac Nurs Kobe Women's Univ, Vol.1, 2016

参照

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