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軸周りに回転する模型を用いた小学校理科ものづく り教材の開発

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(1)

軸周りに回転する模型を用いた小学校理科ものづく り教材の開発

著者 松永 泰弘, 森島 里菜

雑誌名 静岡大学教育学部研究報告. 人文・社会・自然科学

66

ページ 173‑186

発行年 2016‑03

出版者 静岡大学学術院教育学領域

URL http://doi.org/10.14945/00009528

(2)

静岡大学教育学部研究報告 (人 社会・自然科学篇)第66号 (20163)173〜186

軸周りに回転する模型を用いた小学校理科ものづくり教材の開発

Development ofthe FuⅡy Swh」ng Toy on a Honzontal Bar Used as a Teatt Materlal for Sclence h Elementary School

・ ・ 森 島 里 菜・

Yasuhio MATSUNAGA・ Rha MORISWIA

(平27年 10月 1日受鋤

This paper deals宙 th ie development of the fuly swinttg tOy,On a hocontal bar as a teac仙鴫 material for science h elementary school The toy performs a rOtary moion(ful

s―g)h the tt clrcumference of the honzontal bar The toy has plural axes,and performs mtricate rotary motion by」■D axls out of the Center Of gravity   We suggest i」 s toy as a manufacturhg teaching mate五 al for the study of pendululln motlon h the manufacturmg classes,children make the teachmg matenals and think about the mechanお m and prmcゎle

of烙 movement along with their varlous emoions

Key words:Fully swin」ng tOy,Teachng material,Energy,Buildung approach theory, Showers of emotion theory

1.緒

小学校学習指導要領理科°では、「生活科 との関連を考慮 しものづ くりなどの科学 的な体 験や身近な自然 を対象 とした 自然体験 の充実 を図るようにする」 とあ り、教科の 目標で実感 を 伴 った理解 を重視 していることに伴い,各学年の「A物質 。エネルギー」 に関す る目標 に, も のづ くりを位置付 けている。小学校学習指導要領図画工作力では、「生活や社会 とのかかわ り,

ものをつ くる楽 しさなどの観点か ら,手や体全体 の感覚 を働かせて材料や用具な どを活用 して つ くった り,身の回 りの形や色,環境などか ら感 じ取 つたことを伝 え合 つた りす る」 とある。

また、「第3期、第硼 科学技術基本計画」め`のでは、 ものづ くりを担 う子 どもたちを継続的、

体系的に育成 してい くために、幼い頃か らものづ くりの面白さに馴染み、創造的な教育 を行い、

子 ども自らが 知的好奇心や探究心 を持 って、科学技術 に親 しみ、 目的意識 を持 ちなが らもの づ くり、観察、実験、体験学習を行 うことにより、 ものづ くりの能力、科学的に調べる能力、

科学的な ものの見方や考 え方、科学技術の基本原理 を体得で きるようにすることが強調 されて いる。

そこで本研究では、「エネルギーの変換 と保存」の内容、身の回 りの物理現象「力の働 き」

に着 目し、 自ら製作 し創意工夫することので きる教材 として「軸周 りに回転す る模型 を用いた 小学校理科 ものづ くり教材の開発」を行 う。大車輪 をお こなうお もちゃは世界中で伝統的なお

・ 技術教育系列

・ 総合科学専攻

173

(3)

174 島 里

もちゃとして楽 しまれてお り、糸の張力による回転力で回転するおもちゃ (図1(al)と鉄棒 を回転 させて大車輪を行 うおもちゃ (図1(b))の2種類が代表的なものである。また、回転 軸は腕の先端 と付け根、脚の付け根の3つの回転軸を有 し、鉄棒の大車輸の動 きを再現するも のである。

本研究では、小学校理科 ものづ くり教材 として簡略化 と動 きの意外性を追求し、2つの回転 軸を設け、重心位置を回転軸からずらすことにより、腕 と胴体が一体 となった回転運動から腕 の振子運動と胴体の回転運動に変化 し、複雑な回転運動を行う模型を製作・開発 した。質点の 回転運動、振子運動の発展的ものづ くり教材 として提示するが、本教材で学習する内容は中学 校理科・高校物理で扱う高度な内容であり、授業内で子どもたちが正確な認識に至るとは限ら い。 しか し、Buldulag ApprOach Theorデ)の で提起 されている、子 どもが 自らの感覚や思 考 を通 して外界 を理解 し深化 させてい く理論に照 らせ ば、小学生の学習段階での理解 を促 し、

成長 とともにそれまでの認識を深化 させ、新たな認識 に到達することになる。また、複数の回 転軸 を設け、重′心位置を回転軸か らず らす ことによる複雑 な回転運動が、子 どもたちに驚 きの 感情 と新奇なものに対する好奇心を引 き起 こす ことを想定する。波多野・稲垣 (1973)つ の「知 的好奇心J、 Hidi&Rennhger(2006)の の「興味発達の鍛 階モデル」、Ryan&Ded(2002)1°

の「外 発 的動機 づ けか ら内発 的動機づ けに変容す る諸段 階」、松永 ・河村 (2015)l12)の

「Sllowers OfEmoion Theory」 に基づ き、適度な新奇 さを有 し、子 どもたちの働 きかけに対 し、

期待 を裏切 ることな く応答変化す る動 くお もちゃとして取 り上げる。子 どもたちが回転模型 を 製作 し、遊びなが ら動 きを探究 し、知的好奇心 を引 き起 こす授業 を経験する中で、 自ら問題 を 見つけ楽 しむように成長することを目的 とする。

研究では、材料や道具、製作方法を正夫 し、子 どもが簡単にものづ くりを体験することがで き、玩具か ら理科の学習内容 を追求することがで きる教材 を目指す。異 なる形状の模型 を製作 し、回転体 にかかる力の関係 を明 らかにし、単純 な回転運動 を測定 し、理論値 と比較 検討 を

行 う。回転模型の動 きや形状の違いによる回転運動の変化 を実験で明 らかに し、基礎的なデー タを提示す る。

(a)糸の張力で回転するおもちゃ(トルコ製)    (b)鉄 棒を回転させるおもちゃ (日本製)

伝統的な大車輪おもちゃ

回転模型の製作

著者 らは小学校理科 ものづ くり教材 として形状記憶合金エ ンジ ン131、 受動歩行模型1め、ひ も

(b)鉄棒を回転させるおもちゃ (日本製)

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軸周 りに回転する模型 を用いた小学校 理科 ものづ くり教材の開発       175

を上 る模型121、 ひ もを移動す る模型121、 曲げ木121、 中学校技術 の振子学習教材 として木製機械 式時計M)'° を開発 して きた。本研究では、振子学習のための小学校理科 ものづ くり教材 として、

軸周 りに回転す る模型 を製作・開発する。振子は重力場 に直交する水平軸周 りの回転運動の一 部である。高校理科 の学習内容である回転運動 と振子運動 を含み、遊 びなが ら学ぶ小学校理科

ものづ くり教材 として提示す る。

お もちゃとしての魅力 を引 き出すために外見は動物の愛 くる しさを目指 し、回転軸 は ものづ くりの簡略化か ら腕の先端 と付 け根の2つの回転軸 とする。模型の構成は角材 を用いた2本の腕 と胴体 を基本の形状 とする。

胴体の取 り付 け位置 を検討す るため、 また、小学校理科教員への提示用資料 として、腕や胴 体単体での回転運動 における力の作用、運動方程式、エネルギー保 存式 を表1に示す。回転軸 と胴体 の重心が一致す る場合 (表 1(c))、 初期角速度 ωOで回転 し続 ける回転運動 となる。通 動方程式 において回転角 θの関数 となる力が作用する、回転軸 と重心位置が一致 しない表1(d)

もしくは (e)の胴体 を採用す る。運動方程式において回転角 θの関数 となる力が作用する最 も単純 な質点の模型 (表1(a))の運動 を図2に示す。最下点 (角度 θ=0°)で初期角速度 ω0

を与 え、回転動画 をコマ送 り画像 に分解 し、JW‐CADで角度 を測定 し、角速度 を解析 した。角 速度は変化 し、最上点で速度が遅 くなる様子がわかる。4釦sの動画のコマ送 り画像で解析 し、

理論値 に近い値 をえた。

模型 を製作す る上で、軸 を取 り付 けるために胴体 にあける穴はポール盤 を用いるため、小学 校理科教材 として事前 にあけてお く必要がある。子 どもたちが試行錯誤する要素を取 り入れる ために、足 を自由な位置で取 り付 けることで重心位置 を移動 させ ることが可能な、表1(e)の

模型 を採用する。製作・開発 した2軸を有す る回転模型 と部品材料 を図3、 2に示す。模型 は、

腕の先端 と付 け根の2つの回転軸 を有 し、土台・枠 を持 って揺 らす ことで大車輪運動 を行 う。

子 どもたちが足の取 り付 け位置 を工夫 し、絵 を描いて色 を塗って、完成 したお もちゃで遊び、

運動エネルギー、位置エネルギー、てこの原理、回転運動など力学的な学習内容 について考 え る、動 く木のおもちゃものづ くり教材である。土台と枠はげんのうを用いて釘と接着剤で固定 し、また、胴体と足は接着剤のみで固定する。腕と胴体の回転軸は胴体の重心を通るように設 計 されているが、胴体 に足 を接着することにより、腕 と胴体の回転軸が足付 き胴体 の重心位置 か ら離れ、模型の複雑 な回転運動 を引 き起 こす。 ものづ くりと道具使用の経験 を増やすため、

もしくは ものづ くりの難易度 を上げるために、のこぎりを用いた木 材の切断、ボール盤 を用い た穴あけ作業 を加 えることが可能である。

一⁝

質点回転模型の角凍麿の時間変化

(5)

176   島 里

質点・腕・胴体単体の回転運動

la)質点の回転運動 (b)腕の回転運動

=―iSn。 ,

:Iω2+mgr(1‑COS O)=:Iω , 1=」嘲―イC∞Sの I=mメ

#=―gn。 ,

:Iω2+mg:(1=COS O)=:Iω:,

ω=」ω‑3:(1‑cOS O),Where l=:mL2

(c)軸と重 心位置が一致す る

=―紀与Sh O,

:Iω2+mgd(1‑COS O)=,Iω,

ω=Jω 3‑21zf:■7(1‑COS O), whore l=芸mI12+md2

譜―甲 」nO,

:Iω2+mιga(■coS O)=:Iω, (,3+2+(1-coso),

where I=1msr2+mrdz

(d)軸 の位置をずらした胴体の回転運動

=0,ω =ω0

E,!, :tu'

菫力囀

Ut:, i,.'

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軸周 りに回転す る模型 を用いた小学校理科 ものづ くり教材の開発 177

(b)部品材料 3 2車由を有する回転模型と部品材料

回転模型の部品材料

部 品 材 料 部 品 材 料

木材15x35× 90、 1個 木材7X10X120、 2個

木材7X10X120、 2個 (鉄) 竹ひごφ3X140、 1本 胴 体 木 材 15×40X90、 1個 (胴) 竹 ひ ごφ90、 1本

スヽ本7X10X120、  2 2本

4は、胴体 の大 きさや腕 の長 さが異 なる2体の模型 を同 じ土台 枠 に取 り付 けることで、

回転運動の違い を比較す ることがで きる模型である。図5は、伝統 的なお もちゃ (図1(b))と

同様 に2つの回転軸 に加 え、胴体 と脚 に回転軸 を増や し、回転軸 を3つに した模型であ る。体 操選手が鉄棒 で大車輪 を行 つてい る場合 を想定 して、動 きを観察す ることが可能である。

胴体の大きさや腕の長さが異なる模型         5 3つの回転軸を有する回転模型 による運動比較教材

回転模型の運動解析

3(a)の回転模型 にある値以上 の初期 回転速度 を与 えることで、大車輪 の回転運動 を引 き 起 こす。その後の運動 を動画の コマ送 り画像で提示す る。鉄棒 と腕 の回転軸 と腕 と胴体 の回転 軸 をそれぞれ腕 回 りの回転軸、胴体 回 りの回転軸 と定義す る (図6)。

回転運動 を480 tosの動画で撮影 し、その時のコマ送 り画像 を図7に示す。図7(a)では初速 (a)回転模型

図5 3つ の回転軸を有する回転模型

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178 島 里

回転模型の回転軸

度を与 える段階で胴体の回転が起 こらず、その後 も胴体の姿勢 はほとんど変化がな く腕のみが 回転 し大車輪 をしている様子がわかる。図7(b)では、摩擦 によるエネルギー損失で大車輪 の運動か ら腕の振子運動 に変化 し、胴体は回転運動 を開始する。図では、胴体は前回 りしてい るが、逆回転する現象 も起 きる。徐 々に摩擦の影響で揺れは小 さ くな り、胴体 も振子運動 に変 化 し、最終的に停止する。

模型の回転運動 をコマ送 り画像 の解析か ら明 らかにす る。 コマ送 り画像 を」W‐CADに取 り 込み、腕 と胴体の角度 θを汲J定し、角速度ωを算出する。角速度ωの時間変化 を図8に示す。

角速度の符号の変化時に、回転の向 きが変化する。

腕 の運動 は、時間t=0〜06sに おいて、腕のみが回転 し大車輪 の運動 を示 し、06s以 降は振 子運動 を繰 り返 し、摩擦 によって徐 々に角速度の ビーク値が小 さくなってい く。角速度力わと

なるとき、振子の回転方向が変わるポイン トとなる。 また、波の頂点では、腕が最下点 を通過 する速度の速い瞬間である。

胴体のi ●動 は、t=01〜02,10〜12sに おいて、角速度が0に近づ く範囲では胴体周 りの回転 軸 に対 して回転はほとんどな く、一定の姿勢 を保ちなが ら腕の回転 とともにとともに動いてい

る。t=04〜09,13γ15sに おいては角速度にあまり変化がな く、同時に腕の回転方向は変化 し、

振子運動 を行いなが ら、胴体 は胴体周 りの回転軸 に対 して一定方向の回転 を繰 り返 している。

13s以 降では、角速度が波上 に変化 しつつ も符号の変化がないため、胴体 は常 に一定方向に回 転 しつつ、胴体周 りの回転軸 と胴体の重心位置のずれにより、角速度は波上 に変化するといえ

る。徐 々に摩擦の影響で角速度は0に近づ き、停止する。

足 を取 り付 けた模型 と足 を取 り付 けていない模型の回転運動 を比較す るために、足 のない模 型の回転運動の コマ送 り画像 を図9に示す。足のない模型は、胴体の重心位置 と胴体周 りの回 転軸 にずれがないため、腕の回転方向にしか胴体 は回転 しない。また、ス ピー ドがある時には 回転せず に腕 に対 して垂直か平行で回転 してお り、ス ピー ドが落ちると胴体が回転運動 を始め る。 これは遠心力の影響 によると考 えられる。回転軸が重心位置 を通る模型の円周方向速度 と 遠心力 を図10に表す。遠心力は回転軸か ら遠いほ ど大 きくはた らく。向 きは回転方向 と垂直 に はた らく。速度 もまた回転軸か ら遠いほど速 くなる。向 きは回転方向に平行 にはた らく。胴体 が腕 に対 して平行 (a)、 または垂直 (b)に なっている場合左右対称 に遠心力が働 くため、バ ランスが保たれている。 しか し傾いている場合 (c)、 生 じる遠心力 にも偏 りが生 じ、速度の向 きも崩れる。そのため、安定せず に胴体が回転する。

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軸周りに回転する模型を用いた小学校理科ものづくり教材の開発

(a)大車輪中の回転運動

(b)腕の振子運動と胴体の回転運動 模型の回転運動

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180 島 里

角速度ωの時間変化

回転軸が重心位置を通る模型の回転運動

(a)胴体が腕に対して平行  (b)胴体が腕に対して垂直   (C)]同体が傾いている 10 回転軸が重心位置を通る模型の円周方向速度と遠心力

11 回転模型の重心位置と回転軸のずれ

r irL! r/ 2.r :r n r..

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軸周 りに回転す る模型 を用いた小学校理科 ものづ くり教材の開発       181

足 を取 り付 けた模型 に比べ、重心位置 と回転軸が一致す る模型の回転運動 の変化が乏 しい。

子 どもたちに驚 きの感情 と新奇 な ものに対す る好奇心 を引 き起 こす ためには、 回転軸 を重心位 置か らず らす必要がある。 また、2つの模型の比較 を行 うな ど衝撃実験° として提示が可能で ある。製作 した模型の回転軸 と重心位置のずれを図11に示す。胴体 に足 を取 り付 けたことによ

り、胴体の前面側 に06mm、 下方 に25mm移動 したことがわかる。

ものづ くリイベン トにおける模型製作の実践

富士市伝法 まちづ くリセ ンターで行 われた「富士サ イエ ンスプロジェク トin FtlliJに おい て回転模型製作のブース を設け、実践 を行った。イベ ン トのチラシを図12に示す。

4‐実践概要

        

対象年齢  

2013年11月 10日 (日)1000〜1500

富士市伝法 まちづ くリセ ンター

新富士 ロー タリークラブ サ イエ ンスプロジェク ト実行委員会 富士市教育委員会

小学校低学年か ら高学年 約100人

12「富士サイエンスプロジエクトin

FuJ」 のチラシ

4‐回転模型の製作手1贋

実践用の製作模型 として、図3の回転模型 と材料 を用いた。竹ひごが2本、木材の部品8個 くぎ2本で製作する。あらか じめ、設定 した寸法通 りに切 り、穴 をあけた ものを用意 した。使 用す る道具は、げんのう、治具、ボン ド、カラーペ ンである。子 どもたちは、組み立て、縦枠 と土台 をつな ぐ釘打 ちをする。その後、色 を塗った り顔 を書いた りして、 自分だけの回転模型 を製作す る。教育学部の学生が補助 としてはいる。釘打 ち時の固定用治具 と使用の様子 を図13 に示す。また、学生用 に作成 した作 り方マニュアルを図14に示す。

11日lo日lB)酪116:●16o0

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13 げんのう使用時の固定用治具

(11)

永 泰   島 里

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(12)

軸周 りに回転す る模型 を用いた小学校理科 ものづ くり教材の開発       183

製作手順】

胴体に短い竹ひごで腕を取り付ける。足はボンドで胴体の下方の好きな位置に取 り付け る。

土台 と枠 はげんの うを用 いて釘 と接着剤 で固定す る。一方の枠 を釘 で土台 に取 り付 ける 際には、胴体 と同 じ大 きさの治具 を用いる。 また、 もう一方の枠 を取 り付 ける際には、

すでに取 り付 けた枠が隙間に入 るように、隙間用の治具 を用い、 さらに胴体 と同 じ大 き さの治具 を用いて、釘で固定する (図13,14)。

模型 と土台 を長い竹ひごで固定する。

絵 を描 き、色 を塗 つて、完成。

4‐実践結果

参加 した富士サイエンスプロジェク トではアンケー トをとることができないため、子 どもた ちやその保護者の実践中の様子、話の内容から、教材 としての特徴を明らかにする。また、実 践の様子を図15、 子 どもたちが製作 した回転模型を図16に示す。

子どもたちは19のブースがある中で好 きなところに行うて、ものづ くりや理科の実験を体験 する。動 く木のおもちゃのものづ くりは、我々の研究室が出店 している本教材「軸周 りに回転 する模型」 と「鼻で立つおもちゃ」の2つのプースだけである。本教材では、げんのうを使用

した釘打ちを体験 し、「鼻で立つおもちゃ」ではのこぎり挽 きを体験する。

<子どもたちの様子>

3年生以上の子 どもたちは、げんのうを用いた釘打ちに悪戦苦闘しなが らも、学生の補助を 借 りず自分のちからで楽しそうに製作を行っていた。

・釘を打ちやすいよう、下穴 と治具を用意することにより、小学校低学年の子 どもでも補助が あればげんのうを使うことができ、自己肯定感を高める活動になっていることがうかがえた。

。それぞれお もちゃに顔を書いた り色 を塗った り工夫することに熱中し、自分のちか らでつ くった自分だけのおもちゃを完成させていた。

,子 どもたちが何回も何回も繰 り返 し、遊んでいる姿が見 られた。おもちゃの動 きが新奇さを 有 し、子どもたちの働 きかけに対 し、期待を裏切ることなく応答変化する動 くおもちゃとし て提供できたと思われる。

・保護者からも子どもと同じように「おもしろい」という感想を聞くことができた。ほとんど の保護者に子どもと一緒におもちゃで遊ぶ姿が見られた。大人がおもしろいと思うおもちゃ になってお り、小学校理科の授業で製作 したおもちゃを家族で一緒になって遊ぶ姿が想像で きる。家庭における学習の再構築、自己肯定感・内発的動機付けの深化につなが りうる教材 である。

・子 どもたちから「足があるからゆらゆらする」「振子みたくなっている」 という声 を聞 くこ とができた。胴体の動きと腕以下の模型全体の動 きをわけて考えている子 どももいた。

実践が五月雨式のものづ くりで100名程度の子どもたちが参加 したため、回転運動の仕組み を探究する動機付けの仕掛けをつ くることができなかった。そのため、多 くの子 どもに遊びに 熱中する姿が見られたが、回転運動が複雑なため、仕組みの探求は難 しい印象をえた。改善す るために、ものづ くり教室に掲示 してお くポスター (図17)を作成 した。スローモーシヨン動

(13)

184 永 泰   島 里

画のコマ送 りを見ることで、視覚的に動 きを認識で きる。

授業展開

実践か ら明 らかになった、「下穴 と治具 を用意す ることによ り、小学校低学年の子 どもで も げんのうを使 うことがで き、 自己肯定感 を高める活動になっていた。」「お もちゃの動 きが新奇 さを有 し、子 どもたちの働 きかけに対 し、期待 を裏切ることな く応答変化する動 くお もちゃと して提供で きたと思われる。」「ほとんどの保護者 に子 どもと一緒 にお もちゃで遊ぶ姿が見 られ た。大人がお もしろい と思 うお もちゃになってお り、小学校理科の授業で製作 したお もちゃを 家族で一緒 になって遊ぶ姿が想像で きる。家庭 における学習の再構築、 自己肯定感・内発的動 機付 けの深化 につなが りうる教材 である。」な どの結論 をもとに、小学校理科の ものづ くり教 材 として提示するにあたって、考案 した授業形式の ものづ くりを以下に示す。ここでは、小学 校理科教員それぞれの個性 と教育力 により、独 自の授業展 開を作 り上げることが可能であ り、

詳細の記述は省略する。

導入】スローモーシ ョン映像

製作する回転模型の動画 をスローモーシ ョンで見ることで、回転模型の動 きのお もしろさ、

複雑 な回転運動 に気づ く。

(ねらい :製作 ・遊び 学びにおける探究活動への内発的動機付 けにつなげる。)

実践の様子

16 子どもたちの製作模型 lフ 動きの探究のために作成 したポスター

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軸周 りに回転する模型 を用いた小学校理科 ものづ くり教材 の開発       185

提示】模型の提示

足のない模型 と足のついた模型の両方 を提示す る。動 きは どう違 うのか、何が原因で違 っ た動 きをす るのかを観察する。

「 より回転 させやすい模型 にするには どうすればいいか」 とい う問題 を提起する。

(ね らい :製作 遊び・学 びにおける探究活動へ の内発的動機付 けにつなげる。)

製作】 回転模型の製作

製作 にあたつて、回転が可能な らば足 の付 け方 は自由 とす る。 【導入】 と 【提示1によ り、

足の役割 を理解 して製作することがで きる。

(ね らい :役割の理解の上での製作 とな り、設計学習の導入 につなげる。)

遊び・ まとめ】

製作 した模型で遊びなが ら、足の付 け方の違いによる動 きの変化 を観察す る。二体 を同時 に回転 させ ることので きる枠 を使 つて足の付 け方による違いを比較する (図4)。

(ねらい :学 んだことを発表 しまとめることで、家庭 に持 ち帰 つた ときに、動 きを説明す る内容につなげる。)

宿題】家族 と遊ぶ

家庭 に持ち帰 つて、家族や友だちと遊び、説明 し、感想 を聞いて くる。

(ねらい :学 習内容の再構築、 自己肯定感・内発 的動機付 けの深化 につなげる。)

結言

本研究では、伝統的な3軸の回転軸 を持つ大車輪のお もちゃを小学校理科 ものづ くり教材 と して簡略化 し、2つの回転軸 を有 し、重心位置を回転軸か らず らす ことによる複雑 な回転運動 を行 う回転模型教材 を製作 。開発 し、動作解析、実践により、以下の結論 をえた。

・質点、腕、胴体の回転運動解析および実験か ら、簡略化 と複雑な回転運動 を両立 した回転模 型教材 を提示 した。簡略化 と複雑 な回転運動の両立によ り、単純 なお もちゃの動 きの意外性 が強調 され、新奇性 を高める教材 となった。

・実践 により、「下穴 と治具 を用意す ることにより、小学校低学年の子 どもで もげんの うを使 うことがで き、 自己肯定感 を高める活動になっていた。」「お もちゃの動 きが新奇 さを有 し、

子 どもたちの働 きかけに対 し、期待 を裏切ることな く応答変化する動 くお もちゃとして提供 で きたと思われる。」「ほとんどの保護者 に子 どもと一緒 にお もちゃで遊ぶ姿が見 られた。大 人がお もしろい と思 うお もちゃになってお り、小学校理科の授業で製作 したお もちゃを家族 で一緒になって遊ぶ姿が想像で きる。家庭 における学習の再構築、 自己肯定感・内発的動機 付 けの深化 につなが りうる教材である。」な ど、本教材 の特徴 を明 らかにした。

・ ものづ くりと道具使用の経験 を増やすため、またはものづ くりの難易度 を上げるために、の こぎりを用いた木材の切断、ボール盤を用いた穴あけ作業 を加 えることが可能である。

スローモーシ ヨン映像、胴体の大 きさ・腕の長 さの異なる模型、足のある模型 とない模型な どを提示 し、比較する時間を設け、動作の探究、学習内容の再構築、自己肯定感・内発的動 機付 けの深化 につなげる授業展開を提示 した。

・ ものづ くり教室における子 どもたちの原理探究への改良点を提示 した。

(15)

186   島 里

本研究 は,平27年度科学研究費補助金 (課題番号 :15K00972)の援助による。

参考文献

1)文部科学省 :小学校学習指導要領 理科 (2008)

2)文部科学省 :小学校学習指導要領 図画工作 (2008)

3)文部科学省 :第3期科学技術基本計画 (2006)

4)文部科学省 :第4期科学技術基本計画 (2011)

5)山中さやか:保育における子どもの「学び」に関する検討 :シェーファー (Schafer,GE) の自己形成論とL̲‐CのBndung観に着 目して,保育学研究,第51巻2号,pp 154‐162(2013)

6)山岸耕平 :ICSに おける・knOwledge‐butth」 アプローチ と総合学習,神戸親和女子大学 研究論叢 鉱 A69A92(2u11)

7)松永泰弘,前田耕典 :み らい創造科教材 としての紙製促 受動歩行模型の開発,静岡大学 教育学部研究報告,大文 。社会 。自然科学篇,第65号,pp 165‑179(ω15)

8)波多野誼余夫,稲垣佳世子 :知 的好奇心、中央公論新社 (1973)

9) S Hidi,K A Renninger:The Four‐Phase Model of lnterest Development, EDUCATIONAL PSYCHOLOGIST,41(2),111‑127(2006)

10)E L Deci&R  I R,an:HandbOok of SeliDetermination Research,University of RocheSter Press(2002)

11)松永泰弘:ShowersOiEmoion Theoryに 基づ く動 くお もちゃものづ くり授業 ―授業 と家 庭 の連携 による内発的動機づけの深化=, 日本産業技術教育学会第57回全国大会 (熊)

機械分科会講演要 旨集,p4(2014)

12)松永泰弘,河村翔太:ShOwers Of EmK通m Theoryに基づ くものづ くり教材 を用いた小学     ´

生工作教室,静岡大学教育学部研究報告,教科教育学篇,第46号,pp l19132(2015) 13)松永泰弘,芹澤沙希 ,堀 井千裕 :イ学校理科 における ものづ くり教材の授業実践,静岡大

学教育学部研究報告,教科教育学篇,第42巻,pp 161 174(2011)

14)松永泰弘,柴田祥吾 ,今 山延洋 :教材用木製機 械式振子時計の改良日本産業技術教育学 会誌,第53巻,第1号,pp 17‐23(2011)

15)松永泰弘,竹内太一 ,大脇一宏:中学校技術・家庭科 における機械式振子時計製作の授業 実践,静岡大学教育学部研究報告,教科教育学篇,第43号,pp 161‐170(2012)

参照

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