核反応, 加速器, 原子炉
雑誌名 放射能要覧 (解説付)
巻 金沢大学放射性同位元素委員会(編)
ページ 97‑132
発行年 1980‑11
URL http://hdl.handle.net/2297/00051739
Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja
( Ⅲ ) 核 反 応 . 加 速 器 . 原 子 炉
α粒子による元素の転換'>N(q.p)」IO
1919E.R'1therford。
[Ph!!.Mag.旦」Z,542).581]
1921E.Rutherford7J・Chadwick各種軽元素とα粒子によるp(陽子)を得る実験
bWatu[ell3,457('24)]一 一 一 一 一 一
28R・Wider6.e 最初のLinac(twostagedevice) (+ion50・Kev)
1930E、C・Lawrence,N.E・Edlefsen:Cyclotron運転によるpの80KeV加速
Gc!enceZa,37句
OW.Bothe,H・Becker Poのα粒子のベリリウム照射で高透過性放射線の確認
[Z.Phy&.66,28"
31R.J.VandeGraaffVandeGraaff加速器Chy&.Rev.g8191"グ
1D.H・Sloan7E.O・Lawrence 30gapのLinacによるHgionl26MeV加速
Ghys・Rev.ろa202']
32J.D.Cockcroft7E.T.S.Walton
Cockcroft‑Walton加速器
[Proc.Roy.Soo,A1SO,619,A137,223
中性子の発見IBe(!α,n)':C
2J・Chadwick
世roc.Rcy.SocA136,69a
;IA!(α,n)@!P⑮…e1",20'J
人工放射性核種の発見'0B(α,n)13N
341.Curie,F.Joliot
4E、0.Lawrence fixedfrequencyCyclotron人IRIの製造
[Phy&.Rev.45,6CJ
4E・Fermi7E.‑Amaldi7E.Segre 熱 中 性 子 と 銀 と の 反 応 性 の 大 き い こ と を 指 摘 4J・Chadwiek,M・Goldhaber 光 核 反 応 に よ る 放 射 化 hw&tu¥。134,237]
35J.R.Oppenheimer7M.Phillips.
(d,p)反応についての異常性の説明いys.ReV.",500) 複合核模型による核反応の説明QWatu[e,137,344
3 6 N B o h r
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38L、H・Thomas Sector‑FocusedCyclotron
(Phyo.Rev 54,58q
590.Hahn.F・Strassmann Uの原子核分裂によるBa等の生成発見
[Naturwiss.旦Z,].']
原子核分裂として上記現象の説明QWatur。,143,2ワ句
9L・MeitnerシO、R・Frish●
原子核分裂の機構の説明[Phy§・Rev.56,42g
9N・Bohr,J.A.Wheeler
9H・Halban7F.Joliot,L.Ko、7arski
原子核分裂における中性子の生成睡aturel43,68J
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I I I ‑ 6 中 性 子 発 生 反 応 と 加 速 エ ネ ル ギ ー
(P.63)
III‑71932年,7Li(p,n)7Be反応による原f核破壊が成功したが,図は陽子加 速のため用いたCockcroftの倍電回路である。図では蓄電器と整流管を3段に組合 わせ,蓄電器の出す電圧の6倍の電圧が端子から得られるようになっている。加速 粒子は,電子,陽子,萌陽f・等で加速イオンのエネルギーは最高で2MeVまで得ら れた実績がある。しかしコロナ放電,絶縁破壊などの問題がある。lMeV以上では 整流器はケノトロンのように真空管を使うかわ')にセレン整流器のような半導体を 使うものが多い。
(P.63]
Ⅲ−83H(d,n)4He反応(Q=17.6MeV)を利用して中'│生fを発生させる装置 で,必要な加速芯圧もせいぜい数100KVと低い。装禰は商圧発生器,加速管,ター ケ、ソト部分,排気系,制御系などから成っている。ターケットにはTiまたはZrに 吸着させた三重水素(3H)が用いられる。得られる中性子束はlO8〜101on/cm2・sec で中性子エネルギー14.1MeVの単色中性子が発生する。簡単な装置が市販され ている。
III‑9線剛加速器は,粒子の走行時間に比べ,はるかに短かい高周波を用いて 荷電粒子を直線的に加速してゆ<。1931年SloanとLaurenceが水銀イオンをl.26 MeVまで加速することに成功したのが最初である。エネルギーを上げるには段数を ふやし,長いili雛が必要である。図は陽子線li'J加速器の例で,左端にイオン源があ '),ここでイオン化された│場丁・は加速管部に導入され,商周波(ここでは20剛発振 器が用いられている)によって加速されたあと,磁場および電場を用いたDeflector によってビームとしてとり出される。線型加速器は,主に│場子の加速に用いられる Alvalez型のものと,主に竜fの加速に用いられる導波袴型のものに大別される。
III‑10VandeGraaff型加速器は静電場を利用してイオンを加速するもので,
1935年VandeGraaffによって完成された。高圧を発生させるため,2つの滑車に かけられた絶縁物のベルトに電荷をのせ,高速でこれを回転して,カサの部分に電 荷を蓄積させる。高圧タンクの中には高圧の力 ス(空気十フレオン,SF6,Nz+CO2 など)が満たされている。小型のものでも2MeV〜6MeVまで粒子を加速すること ができる。この加速器は,エネルギー精度が良く,また電圧(加速粒 r・のエネルギ ー)を簡単に変えることができる。また加速粒子・の種頬に制限がないため,原子核 の精密実験に適している。
III‑11サイクロトロンはイオンを'百線的に走らせるかわりに磁場を使って円く 走らせながら加速する。NとSの磁極の間の真空の中にD字型の2つの電極(Dee) を向い合わせ,これに高周波をかけ粒子の角速度に等しくすると,一定間隙で加速 されたイオンは半凹転して再び加速される。速度が次第に大きくなれば回転半径が 大 き く な る だ け で 周 波 数 は 変 え る 必 要 は な い 。 し か し 高 エ ネ ル ギ ー で は 相 対 論 的 効 果があらわれ,サイクロトロンで得られるエネルギーには限界がある(陽子で約20 MeV)ため周波数(FM),(または磁場)を変調させねばならない。この原理は
シンクロサイクロトロンと呼ばれるものに応用されている。ビーム取出しには,偏 向板を用い,静 迩場によって粒子を円軌道からはずす。
102
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汀(d.n);He反応の断面積 の エ ネ ル ギ ー 変 化 Enerqydependenceofthetotal crosssectioninthefr(d,n);He
reaction
中 性 子 発 生 装 巨 の 構 成 Generalviewoftheneutronsourceqenerator
14Mev中性子発生装置
III‑8
III‑7Cockcroft‑Waltonの回路
MagneticdefleCtor forcathode ShieId
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L TooscilIatoTooscilIator
AcceIerators Tooscillato
vacuum
串 III‑9線型加速器の実例
(Linearmultipleaccelerator)
THEELECTROSTATICGENERATOI(
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高周波発振器(D電極を交互に陽と陰iこ帯電させる)
D電極 イ オ ン 源
偏向板(陰電極がイオン流を磁界の外へ引き出す)
ABCD
III‑11Cyclotronの原理 III‑10VandeGraaffの加速器
/や10
III‑12図で1,2,3……で示す円板を計算された間隔に並べた加速管を使い,
その中を伝わる電波の位相速度を光速度より遅くして電子の速度に一致させ,電子 をこの進行波にのせて加速する。用いる高周波は約3,000MC(波長10cm)程度で,
元/2型進行波を用いたものが多く建設されている。このような周波数の高い電波は 通常の真空管では電子の走行時間が障害となり,十分な電力が得#〕れないので,マ グネトロンやクライストロンのような特殊な電子管が用いられる。最大のものは Stanford大の45GeV線型加速器で長さ約3kmもある。わが国では東北大に200MeV のものがあるほか,各地に〜20MeVのライナックが稼動している。
III‑13ベータトロンは電子専門の加速器で,ドーナ、ソ型の真空の加速管の中に 電 子 を 走 ら せ , 磁 気 誘 導 を 用 い て 加 速 す る 。 磁 場 も , 加 速 管 も 回 転 対 称 に な っ て い る。電子は一定の円軌道を回転しながら加速される。このため,電子の運動量をP, 磁束密度B,半径をrとしてP=Brの関係が成立するようにBをPの増加に比例し て増加させねばならない。この一定半径をroとすれば2"r;B=:磁束)。
これをベータトロン条件と呼び,r・の円をベータトロンの平衡軌道と呼ぶ。一定の エネルギーになるまでに電子は数万から数10万回転する。このため電子が軌道から はずれないための強い収束性が要求され,図のようなマグネットが用いられている。
III−14シンクロサイクロトロンでは原理的に到達エネルギーに限界はないが,
必要な電磁石の総量がエネルギーの2乗に比例して飛躍的に大きくなるので,鉄を 節約するため,工夫がなされた。これがシンクロトロンで,Linacなどであらかじ め加速した粒子を,磁イiをならべたドーナツ型の加速管の中で走らせる。軌道が一 定なためエネルギーの低い初期は磁場が小さくて良いが,連動堂の増加につれ磁場 を変化させるとともに,粒子の速度に合わせて高周波の周波数を変調させる必要が あ る 。 こ れ ら の コ ン ト ロ ー ル は 複 雑 で 自 動 制 御 が 必 要 に な る 。 シ ン ク ロ ト ロ ン に は 陽子を加速する陽fシンクロトロンと,電子を加速する電「‑シンクロトロンがあり,
また用いる磁場の形によってAG(AlternativeGradient,強い収束力がある)と weakfocusに区別されるが,前者が圧倒的に有利である。現在稼動中の鼓大のもの はセルフ°ホフの76GeVのP.S.でわが国では10GeVのP.S・が昭和46年│更から建設が 開始されることになっている。
III‑15サイクロトロンを用いて加速される粒‑fのエネルギーと,使用する磁場 の強さ,周波数,Dee半径などの間には次のような関係がある。
E=Mvz=器讓
(M:粒子の蘭量,V:粒子速度,H:磁場の強さ,e:電「‑の迩荷,R:サイク
ロトロン半径,C:光速),また周波数とはf=,;iCで関係づけられる。
これらの関係を図で7j《した。例えば12,000ガウスの磁場を用いて 刀粒I'・を加速すれ ば核子あたり9MeV,すなわち36MeVのものが得られ,この時のI,'1波数9MCが読 み と れ る 。 高 周 波 , 磁 場 に 限 界 が あ る た め サ イ ク ロ ト ロ ン で の 加 速 は , 加 速 粒 子 の 種 類 や エ ネ ル ギ ー に 限 界 が あ る 。 理 研 サ イ ク ロ ト ロ ン で は 炭 素 や 窒 素 の 加 速 が 行 わ れているが,重イオン加速にはAVF(AzymuthalVaringField)サイクロトロン が適している(核研で建設II'のSFサイクロ,核物理センターのAVFサイクロなど)。
III‑16コスモトロンはBrookhaven国立研究所(米)で完成した最初のう°ロト ンシンクロトロンで半径30フィート,weakfocus方式を用いており,陽子を3GeV まで加速することができる。第一・段の加速にはバンデグラーフが用いられており,
4MeVの陽子が環状磁打の磁場〜300ガウスの時に入射される。この時の周波数は 約0.4MCで3GeVまで│場‑「‑が加速された時のこれらの値は13,800ヴウス,4.2MC である。用いた鉄心は2,000t,"70tという膨大な黄で,このweakfocus方式では 10GeVの陽子(シンクロファゾトロン,ソ連)を得るには35,0001の磁イi材料を,必、要
とするため,現在ではほとんど強収束のAG方式が用いられている。
104
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加 速 原 理 マ ク ネ ト ロ /
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III‑12電子ライナックの原理
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(ベータートロン)
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chrotronの原理 (McV/nucl.)
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III‑16Cosmotron(コスモトロン)
III‑15Cyclotronの特性
Ⅲ−17図の左半分に中'│生子,右半分に陽子に対するポテンシャルを模式的に示 した。両者の違いはクローン障壁,ポテンシャル井戸の深さ,(ひいてはレベルの 数,中性子の方が多い)にあらわれている。基底状態では約30MeVの井戸に下の準 位から順に,陽子および中性子がつまる。レベルの間隔は次第にせまくなり,全部 つまった状態は井戸の縁から7〜8MeVのところに相当する。これは中性子,陽子 の分離エネルギーとして7〜8MeV'lZ要なことを意味している。なお原子核のスピ ンはポテンシャル井戸の最上部にある数個の中性子,陽子のつまり具合によってき まる。
III‑18核反応のQ値は,放射性壊変のエネルギーとともに原子核の基本量であ る質量を知るうえに欠かせない。1MeVは約10‑3maSSUnitに相当するので,Q値を 1keVの精度で測定すれば10‑6maSSUnitの精度で質量を決定できる。安定同位体の 精密質量測定は7〜8桁でなされる。一方,放射 │生同位体の場合はα壊変,β壊変,
γ線などのエネルギー測定から,また核反応の場合には図に示されているように (p,n),(p,d),(d,p),(d,n),(d,t),(d,"),(d,7)反応などから 三重に確かめることができる。図の右下に示されている反応の型と直線の方向との 関係から,質量数1から20までの核のQ値がどのようにして求められたかがわかる。
III‑19物体の衝突のような現象を観測する場合,測定された値は静止している わ れ わ れ に 対 す る 相 対 連 動 と し て 記 録 さ れ る 。 こ れ は 実 験 室 系 に お け る 運 動 と 呼 ば れ,直感的には理解し易いようにみえる。これに対し相互作用する物体の重心を原 点にとり,連動を論ずることも可能で,原子核の衝突などを記述するのに都合がよい。
これを重心系の連動と呼ぶ。図は7Li(p,n)7Be反応を模式的に示したもので,連動 重保存の法則から実験室系でVoで表わされる陽子の連動は重心系では昔Vo,,7Li は音Voであらわされ,核反応生成物である7Beとnは重心系では180.方向に運動す ることになる。また陽子によって持込まれるエネルギーは実験室系でEoのものが,
重心系では昔Eoなることが容易に計算される。
III‑201936年N.Bohrは核反応を(a)複合系の形成,(b)複合系から反応生 成 物 へ の 壊 変 の 2 つ の 過 程 に 分 け , こ の 2 つ を 全 く 独 立 の も の と し て 扱 う こ と を 提 唱した。これによれば,複合系の壊変様式はそのエネルギー,角運動量パリティに 依 存 し , 複 合 系 の 生 成 過 程 に 依 存 し な い 。 そ れ ゆ え 複 合 系 が 同 一 な ら ば 入 射 粒 子 の 種類によらず,生成核の割合(励起関係)は同一となる。図は6oNi+αおよび63Cu
+p反応で,同一の複合系64Znを生成する反応の励起関係の例で両者がきわめて良 く一致しており,Bohrの複合核模型の正しさの実験的証明となっている。横軸がα とpで異なるのは複合核の励起エネルギーが同じくなるようずらしたためである。
すべての核反応に対して複合核模型があてはまるものではなく,直接反応(stripp‑
ing,pickup,knockon,spallationなど)も考えねばならない。
III‑21核反応で用いる励起関数とは,核反応を起す割合(10‑24Cm'単位barnで 表わす)を入射粒子のエネルギーの関係で表わしたものである。図は209Bi+d反 応およびzo9Bi+p反応の励起関係の例である。複合核を径て起る反応ではMass Dataから反応のQ値を求め,全吸収断面積を知れば(p,n),(p,2n),・・…・(p,xn) 反応などの励起関数の予想も可能である。しかし(d,p),(d,n)反応は,Stripp‑
ing過程の寄与が大きく複合核模型で計算されるものよりはるかに大きい。これら 反応に対しては,Peasleeの方法やDWBAを用いた解析でうまく説明されている。
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ⅡI‑17原子核と中性子,陽子のエネルギーレベル I I I ‑ 1 8 正 確 な Q 値 の わ か っ た 核 反 応 の 例
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III‑22迩荷をもたない中性イ・はクーロン)丈発をうけずに原「・核の'i!に入りこむ ことが可能でb運動エネルギーがほとんどゼロの状態でも核反応を起すことができ る。中性イ・と核との反応はエネルギーによってそれぞれ特徴ある様机をンjくす。|対は 中性丁・エネルギーによる反応断面積の変化の様r・を>パしたものである。干渉性散乱 の領域は中性子の波姪が結晶物『〔の原r間距離のオーダーのもので入=2dsin8 に従ってBragg反射が起るため中性「・線による結晶解析に用いられる。中性『・捕獲
断面積は 1eVまでは÷法則にしたがって減少するが, 100eVにかけて共'1卿域
になり,非常に狭いエネルギー巾で強い共鳴吸収を起す。1keVから0.5MeVにか け て は 主 と し て 弾 性 散 乱 か 起 き , 中 性 子 源 お よ び 測 定 器 に 良 い も の が な く , 遅 い 中 性子ほどにはよく研究されていない。0.5MeVから10MeVにかけては非弾性散乱 (n,n')反応の他,(n,p),(n,Cr)などの核反応が起る。10MeV以上では(n,2n) など2個以上の粒子を放出する反応もエネルギー的に可能とな・る。
Ⅲ−23核融合(Fusion)は軽い原子核(p,d,αなど)I司士が熱核反応によ ってより重い元素に転換し,多量のエネルギーを放出する反応で,星における元素 合成の主要な部分を担っている。灘活性化エネルギーが低い核は,低温でも核隔合反 応を起すことができる。1070Kでは主にp−p反応か起り,太陽の中心温度である 2・107oKでは,C‑N‑Oサイクルによる4個の水素原子からα粒子の合成が始ま る。108oKではα−processによるヘリウムの燃焼が主要な反応ともI),さらに温度 が 高 く な る に つ れ C や N も 反 応 を 起 す よ う に な る 。 一 方 , 核 分 裂 反 応 は U , T h の ような重い核が中位の大きさのいくつかの核(通常は2個)に分裂する反応で,こ の際にも多量のエネルギーが放出される。図からもわかるように重い核ほど核分裂 に要する活性化エネルギーは小さくなる。Z≧lOOの核では自発核分裂の確率が急 速に大きくなる。Si,Sn,等は活性化エネルギーが極めて大き<,反応を起させる ことは事実上不可能である。Z=20〜50の核は両過程に対し安定て.,これらが核融 合反応を起してもエネルギー放出は期待できない。(※Ⅳ−1参照)
III‑24r(ガンマ)は核反応などの共鳴準位の巾(または全休)をあらわし,
レベルの壊変の確率を与える。rとそのレベルの寿命の関係は△r・△で=hで表わさ れる。図には核分裂を起し得る重い核が励起された時,その核が核分裂,中性子放 出,γ線放出のいずれによって壊変するかを示した。A領域では核分裂および中性 f‑放出のQ値以下のためrγが圧倒的に大きいが,核分裂反応もトンネル効果によっ て起っている。FissionbarrierをこえるB領域ではrfが多くな'),中性子結合エネ ルギーをこえたC領域ではrn,がrf,rγと競合し始め,ついには最も大きくなる。
全反応巾rはr=rf+I、n+rr+……で与えられる。
IⅡ−25熱中性子により核分裂する核について,γ線放出に対する比(on.f/on.7)
が中性子捕獲による核の励起B:と核分裂障壁万。との差(核分裂に使われる正、
エネルギー)によって変化する様子を示したもので,B#−瀝。の増加にともないぴnf/
ぴ、rは指数的に増加する。B:‑".が正の核のうち235U,230Pu,;:4'PulkOnf/Onr
も大きく,熱中性子によって有効に核分裂を起すことができるたダ),核燃料として
*
有用である。B、一万aが正の核はいずれも中性子の数が奇数であ'),中性子捕獲の 際のpairing効果によってB補が大きくなっている。
III−26Ⅱ1‑23に述べたようにZ<90の元素でも励起エネルギー‑さえ十分ならば 核分裂を起すことができる。図は232Th+"(複合核236U)およびzo9Bi+d(複合 核2''P。)の反応で核分裂を起したとき生成する核分裂の質量分布を示したもので,
両者には明瞭な違いがある。Bi十.反応ではA〜lOOにピークを持つ1つの山で示 される対称分裂が主要であるのに対し232Th+α反応ではA〜90と,A〜130に2つ のピークをもつ非対称分裂が主におこる。これらの中間の原子番号をもつRaの核分 裂では非対称分裂と対称分裂の重なり合った3つのピークを与える。核分裂におけ る質量分布を理論的に説明しようとする試みは,いろいろな角度からなされている が,質量分布,放出エネルギー,電荷分布等を統一的に説明する有力な説はまだ出 されていない。
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前頁
Ⅲ−27破砕反応(Spallation)は高エネルギー粒子と原子核との直接反応の一 種で,文字通り原子核がバラバラにこわれる反応である。破砕反応は複合核を経て 起る核分裂とは全く別の過程であって,生成核の質量分布はエネルギーが高い程広 範囲に分布するが,一般にターケット核の質量数よし)少し低いところにピークを持 ち尾を引くような形で小さな質董数のものまで広がっている。上刃はzogBi(p,sP) の例でA〜100の核分裂によるピークと重なっている。下図は63Cu,65Cuと340 MeVおよび5.7GeVの陽子の反応で,5.7GeVでは質量数20以下の核の生成量もか なり大きいことを示している。
前頁
Ⅲ−28中重核より重い核では,一般に励起エネルギーが数10MeVまでは中性子 放出が優先的に起る。図は209Biと40,400,4,000MeVの陽子との核反応生成物の 質量分布を示すもので,40MeVでは複合核の形成を径て中性子を蒸発する反応,
(p,3n)(p,4n)反応が主要である。400MeVでは励起エネルギーが十分高いので複合核 を径て核分裂も十分可能であり,直接過程による破砕反応の寄与がこれに重複して,
A〜100とA〜190にピークをもつ質量分布を示している。4,000MeVでは核分裂反 応によるピークは認められなくなり,破砕反応による生成核が広範囲にわたって分 布するようになる。この特徴はIII‑27の5.7GeVの陽子とCuの反応と1面j一である。
前頁
m−29Uなど核分裂性の核においても高エネルギーにおける核反応はBi等の場 合と類似しており,核分裂は言うまでもなく破砕反応の寄与もかな')大きくなる。
図はUと380MeVのα粒子との核反応生成物の蘭斌分布を示すもので,A>160は破 砕反応による生成物,A〜120にピークをもつ寅量分布は核分裂によるものである。
図III‑41で示すように低エネルギーにおける核分裂と違ってこの場合対称分裂が主 として起っている。(cr,pxn)反応によるNplil位体の生成量もかなり大き<,"
合核の寄与も無視できない。
III‑30図は'oB,27Al,('07Ag+'09Ag),&'3Cd,235Uおよび238Uと中性子 との核反応(n,7),(n,"),(n,p),(n,2n),(n,f)の励起関係および各柿 同位体の共鳴吸収の例で,III‑22で説明した特徴がよく現われている。表には放射 化 法 に よ る 共 鳴 中 性 子 束 の モ ニ タ ー 反 応 の 例 を , ま た 左 の 欄 に は 天 然 の 同 位 体 組 成 をもつ各種元素に対する熱中性イ・吸収断面枝を応素の周期律の族別に示した。さら にTeliij位体については8つの安定│司位体に対する中性子吸収断面積を,各単独の核 種についてのIsotopiccrosssectionおよ 天然の同位体組成をもつ場合のAtomic crosssectionとしての分けまえが示されている。同一核極で2つの数値が示されて いる場合,上の値は励起状態(m‑state),下の値は堆底状態(g‑state)に対 する断面積である。
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Ⅲ−31核反応によって放射化される量は,生成放射能をAとすれば,A=Nfo (1‑e−At)で与えられる。ここでNはターケットの原子数(atoms/cmm),f:flux, ぴ:断面積(cm2),1:生成核の壊変定数,t:照射時間である。図はNaからBiに 至る大多数の元素(天然の同位体組成をもつもの)をゆ=5×10''n/cnf・secの中性 子束で30日間照射(短寿命のものは飽和)し,40dpsの生成放鮴Eを得る段少量を感 度として示す(Meinke,Sciencel21,177(1955))。In,Eu,Dy等は10'og以下 の微量でも検出が可能である。(I‑48,I‑49参照)(図の下に記したような,
のを大きく,有効放射能計数測定下限を低<,4dps相当の条件とすると,より短時
間の照射でもこの図の感度をうる。)
III‑32(a)Noなる核を中性子,陽子などで照射して生成する放射性核種Ni, の壊変性成物Nizがさらに核反応を起す場合のNi,,Nizの生成量の計算式を示した。
その具体例として,Uの核分裂で生成するI‑135とその娘核種Xe‑135(O(n,7)
=2.7×106バーン)の生成放射能が中性子束によって変化する様子を図に示し た。Xe‑135のように大きな断面積をもつ核種は,中性子毒と呼ばれ,炉工学上そ の生成量が問題となる。
(b)N,から生成する放射性核種N2が,さらに核反応を起してN3になる場合の N3の計算式である。
(c)0,が大きくターケ、ソト原子そのものが減少するような場合のターケット
核N,および生成核N2の計算式。これは,非常な高中性子束の原子炉(10'4 。n/
cm'・sec)による長期照射やぴの極めて大きな核を照射する場合に考慮しなければな らない。
次 頁
IⅡ‑32',33''放射化分析などを行うとき,中性丁.照射によってどの程度の誘導放 射能が生成するかを前もって知ることは重要である。この図では,天然の同位体組 成の元素の主なものについて,それをlmg,10''n/cm'.secの中'│生‑f束で照射した 場合に生成する主な放射能(dpsおよび鰹Ci単位)を照射時間の関数として示す。同 位 体 組 成 や 放 射 化 断 面 積 を 考 慮 し た 図 表 で あ る か ら , 中 性 子 束 お よ び タ ー ケ ッ ト 量 が異る場合でも,その比率だけを考えてやれば,あらゆる条件での中性子放射化に よる誘導放射能が,この図を用いて推定できる。(Ⅲ‑32参照)
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III‑58図は天然の同位体組成をもつ元素を速中性子(14Meいで照射(III‑8) して生成する放射性核種の相対的生成原子数(びβ/M)を生成核の半減期の関数とし てプロ、ソ卜したものである。(n,p),(n,d),(n,q),(n,2n),(n,/)反応 を記号で区別するとともに,放射化分析に都合よい核種と反応を点線で囲んで示し た。ぴa/Mが大きくても生成放射能は半減期に反比例するので長寿命核では生成放 射能が小さい。また,短寿命核は照射中の壊変を考慮し,目的反応を有効に測定す
るよう配慮するべきである。
IⅡ‑59および次頁
III‑62放射化分析や励起関数の測定,RI製造などでわれわれが原子炉やサイク ロトロン照射を行う場合には,照射時間,全照射粒子数はともに小さく,マクロ量の 元素の変換を論ずることは少ない。しかし核爆発のような場合や,長期間にわたり高 い中性子束の原子炉で照射するような場合には,全中性子粒子数(nv)が102O程度 あるいはそれ以上となり,数%以上が他の元素に変換する。HFIRのように超ウラ
ン元素製造を目的とする原子炉も建設されている。
U,Thを原子炉中性子で照射する場合,(n,)'),(n,2n),(n,/)の反応断面 積,生成核の壊変様式,半減期を考盧すると図のようなネットワークができる。こ れらは(n,)')反応の断面積が数100バーンもあり,中性子の連続吸収によI)次々に 重い原子核が合成されてゆく。原子炉照射では生成核の半減期の制約のため239Pu を出発原料としてもz52CJ(Z=98)程度が限度でZ≧99は核爆発や重イオン反応で しか合成されていない。(Ⅶ−11,12,14参照)
III‑60(a)核反応の励起関数の測定は通常スタック法(箔つみ重ね法)が用い られる。これは高いエネルギーから低いエネルギーの反応断面積を一度に測定でき る利点がある一方,エネルギーの広がりによる不確かさが入ってくる。図はFuku‑
shimaetal(1960年)のAg+α反応の励起関数測定の実験例を.示したものである。
サイクロトロンからのα粒子ビームはグラファィトのスリットを通り,ファラデーカ ップに導かれる。ここには銀箔を重ね合わせたターケ、ソトのスタックが取りつけら れ,通過したα粒子は後のク.ラファイト中で止まるようになっている。粒子数はイン テグレータで記録された電流値から計算する(α粒子としては1"Coulomb=3.12><
10'2コ,p‑6.24×10'2コ)。
(b)照射したターケットは生成核の半減期を考慮し,できるだけ早い時期に化学 処理を行い,目的核に応じて適当な方法で放射能測定を行う。同一条件で一連の試 料を測定したあと,測定時刻,ターケット厚みの違いを補正し相対的励起関数mg /cmz・Agあたりのカウント/minを得る。絶対測定には,照射中の壊変,検出効率,測 定放射線の分岐比,ターケット原子数等の値が必要で,これらの補正を先に求めた 相対励起関係に施して絶対化する。通常よく用いられるものとして励起関数既知の
モニター反応の利用法もある。
III‑61中性子反応はすべてIII‑22,Ⅲ‑30で述べたように,エネルギーによっ て反応断面積が著しく変化する特徴があ'),その検出に用いる反応を考える場合に も,測定しようとする中性子のエネルギーを考えて適当な検出器を利用しなければ ならない。検出法は大きく2つに分類できる。1つは特殊な原子核反応を用いるも の,6Li(n,cY),'oB(n,q),''3Cd(n,)'),'ogAg(n,)'),'49Sm(n,7'), '57Gd(n,7'),'55Gd(n,),)など。他は反跳│場子を測定するもの,'4N(n,p), 3'p(n,p),'H(n,n')'H,3He(n,p)などで速中性子検出に用いられる。図はこ れらのうちのいくつかについての励起関数を示したものである。具体的な検出器と しては,BF3ガス計数管,B203をZnS(Ag)と混ぜたもの,6Lil(Eu)無機シン チレータ,Hornyakボタン,フ・ラスチックシンチレータ,液体シンチレータに10B' ''3Cd,'55''57Gdを入れたものなどが用いられている。
III‑62(III‑59[P.75)参照)
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