長崎大学工学部研究報告第1 1 号 昭 和5 3 年 7 月 73
はりの非線形振動に関する実験的研究
高 橋 和 雄 * ・ 柿 山 幸 隆 * 竹 内 一 博 *
E x p e r i m e n t a l S t u d y o n N o n l i n e a r V i b r a t i o n s o f B e a m s
by
K a z u o TAKAHASHI , Y u k i t a k a KAKIYAMA a n d K a z u h i r o TAKEUCHI
(Department o f C i v i l Engineering)
The experimental i n v e s t i g a t i o n on n o n l i n e a r v i b r a t i o n s o f t h e beam with c o n s t a n t d i s t a n c e between f i x e d ends , e x c i t e d by t h e harmonic motion o f i t s supporting b a s e i s r e p o r t e d . The r e s u l t
包a r e compared with t h e t h e o r e t i c a l r e s u l t s . B e s i d e s t h e simple harmonic r e s p o n s e ,
superharmonic r e s p o n s e , subharmonic r e s p o n s e , jump pheomenon and u n s t a b l e r e s p o n s e due t o dynamic i n s t a b i l i t y a r e f o u n d . Nonlinear f r e e v i b r a t i o n i s a l s o examined and amplitude frequency r e l a t i o n and v a r i a t i o n o f space‑modal shape a r e o b t a i n e d . The t h e o r e t i c a l a n a l y s i s a g r e e s w e l l with the experiment a s t o t h e harmonic r e s p o n s e s .
1 . 緒 言
はり部材にたわみによる引張力が中立軸に生ずると とに起因する幾何学的な原因による非線形振動に対す る解析的取扱いを乙れまで報告したが1)ー
2), 引き続 き,本論ははり部材の非線形振動の実験的研究を報告 するものである.実験についてはこれまでのと乙ろ,
両端ヒジンばりに対する Burgreen
3勺 Rayand B e r t ω および固定ばりに対する Bennettand E i s l e y 5 ) の研 究が見受けられるのみで広い周波数に及ぶ非線形に伴 う諸現象が十分に確認されているものとは言い難い.
また,実際の構造部材では製作過程,支持部の出来具 合および自重の影響などによって初期たわみが必ず存 在するために,理想的な直線はりの理論とは異った現 象が生ずることが予想される.
そこで,本研究はジュラノレミン製試験片からなる両 端固定ぼりを対象として正弦波振動試験機を用いて,
一定加振力による定常強制振動実験および非線形自由 振動実験を行ったものである.すなわち,各種の外力 の大きさについて強制振動実験からえられるはりの動 的変位と外力の周波数の関係から各種の高調波および 昭和53 年 5 月 1 3 日受理
*土木工学科
分数調波共振,振幅と周波数との関係,振幅の跳躍現 象,振幅に伴う振動波形の変動および非線形自由振動 の記録から振幅と振動数の関係を求めたものである.
また,実験結果は多自由度系解析法による解析解と比 較されている.
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F i g . 1 Experimental specimen and i t s support f i x t u r e
2 . 実験装置
Fig.1および Photo.1 I 乙示すような材質ジュラノレ
ミン製はり(有効長さ 3 0 c 百 / , 幅 3 0 m m ,厚さ 1 捌,単位体
74 はりの非線形振動に関する実験的研究
Photo.1 Photograph of the specimen mounted on the supPorts
積重量別;2.85×10−3kg/c涜,ヤング率E−0.71×
105kg/c紛を両端で軸方向変位および曲げに対して固 定条件を満足するようにM−12のボルト6本を用い て鉄製の治具に固定し,固定枠全体を写真に示すよう な水平テーブル上に振幅方向と直角方向に設置した.
なお,実験装置ははりに初期軸力が加えられるように 設計されている.実験模型をFig.2に示すブロック ダイアグラムにしたがって振動実験を実施した.なお,
本実験に用いた試験機および計測器は次のとおりであ る.すなわち,Fig.2において,
(1>振動試験機(正弦波およびランダム用,丁丁力 350kg,国際機械振動研究所,3203形)
(1) Vibration Test■nq Systems
弓愚民δ9 Power
ampユifie
(2)E1㏄tric(x㎜ter
shaker
(3)Slip table
Beam
Strain
au eis la ent censor
Power unit
Bridqe hρx
(5) Dynamic
strain meter Reoo滅(6}
08illo−
qraph
(4}Displacement measurinq
Transducer unit)
unit
system
の
08cillo8cope
(8}
Data recorder
Fig.2 Experimental schema
(2}エレクトロニックカウンター(松下通信工業,
VP434形)
(3)水平テーブル(油圧浮上式スリップテーブル,
100×100㎝)
(4)非接触変位計(新日本測器,変位計トランスジ ューサー503F形,変位計センサーNP−100(測定 変位10㎜),NP−050(測定変位5ηの)
(5)ダイナミックストレインメーター(共和電業,
DPM 6 E形)
(6>電磁オッシログラフ(共和電業,RMV300形)
(7)オッシロスコープ(菊水電子工業,553P形)
(8)データレコーダー(14チャンネルTEAC R−270 A形,7チャンネルTEAC R−81形カセット用,
4チャンネルソニーDFR3415)
この他にデータレコーダーから記録の電磁オッシログ ラフへの出力にはバンドパスフィルター(国際機械振
動研究所Model VS−13BF)および直流増幅器(三栄 測器6L3形)を使用した.
5.実験方法
(1)予備実験 予備実験として加振実験の前に,はりの
中央付近を叩いて初速度を与えて生じた自由振動の記
録をオッシログラフペーパー上に出力し,微小振動の
線形1次振動数の測定を行い,固定枠の出来具合およ
び試験片の不完全性を検査した.試験片は定尺のジュ
ラルミンの板から50本程度切り出し,このうちなるべ
く初期たわみの少ないものを選んで,微小振動の振動
数が理論値ア1−4.732/2π12癒万〃蹴4−56.4Hgにほ
ぼ合致するものを本実験に使用した.なお,ボルトの
締め方によってはりにわずか.に曲げや軸力が加わって
はりの状態が異ってくるために実験のばらつきの原因
となるので,固定辺をまず万力ではさんで仮固定した
高橋和雄・三山幸隆・竹内一博 75 のちにボルト締めを行った.
定常加振実験の条件を満足させるために掃引速度は 1deg/minで行われた.1回の往復の掃引に要する 時間は約4時間である.振動試験機の運転中に振動子 駆動用の電力増幅器および振動子の駆動コイル,励磁 コイルの強制空冷用のファンからの熱のために,試験 中の実験装置付近の温度は上昇することになる.実験 室には恒温を維持するための設備がないために,この 熱ははりに温度応力による軸圧学力を与え,実験のば らつきの主要な原因となった.熱対策としては扇風機 を回わして周辺の空気をかくはんし,また振動子のプ ロワー部分にビニールホースを巻いて水を流して,熱 を吸収したが,不十分であった.締め付け時より約 1.6℃の温度上昇があれば,はりは適言屈する.すな わち,はりの弾性状態が温度変化に大きく依存する.
もし,温度上昇があればはりは軸圧縮量を受けて固有 振動数は減少し,1.6℃より大きくなれば熱座屈を生 じ,座屈平衡点付近の微小振動もしくは飛び移りを伴 った平衡点に対して非対称な波形を持った振動をする ことになる.日中の温度変化の激しい夏期の実験は不 可能であることがわかり,外気の温度が室温より低い 冬場に主として行われた.温度の調整は窓をあけて外 気を入れて行われた.なお,はりの材質であるジュラ ルミンは線膨張係数が2.3×10−5/℃で,鉄の1.1×
10−5/℃に比較して2倍以上の熱変化に敏感な材料で,
熱に対しては不利であるが,初期たわみが少なく,か つ試験片の作成が容易であることおよび固定が比較的 容易であるなどの利点をもつために本実験に採用した.
ジュラルミンは鉄のように明瞭な降伏点を持たないが 2000×10−6ひずみ程度の応力とひずみ関係は線形が 成立する範囲で実施された.また,微小振動の固有振 動数の測定と同時に自由振動の記録から減衰定数乃 を測定したところ乃=0,003〜0.004であった.なお,
はりの非線形振動特性に及ぼす初期軸力の影響を検討 するために,はりに初期忌引張力が作用できるように 設計されている.軸力はおもりを糸で吊して与えられ た.ボルト締め付け後はおもりを取り去って,所要の 軸ひずみがはりに作用していることを実験の前後に確
認した.12}定常強制振動実験 Fig.2に示すブロックダイア グラムにしたがってはりの定常強制振動実験を行った.
加判力を一定にするために一定の加速度で水平テーブ ルの運動をコントロールし,慣性力によって加幸した.
振動台の変位制限2.5cηと水平テーブルのコントゥー ・ ル可能な能力限界内の周波数すなわち8歯206武21め.「
範囲で1deg/min・の速度で往復の自動掃引を行った.
はりに平行に設置された2チャンネルの変位計センサ
ーよりはりの振動によって生ずる相対変位を渦電流を 用いて検出し,これを変位計トランスジューサーによ り電圧の変化として取り出し,オッシ白グラフペーパ ーもしくはデータレコーダに入れて入力の加速度波形 とともに記録した.また,オッシロスコープに入出力 波形を入れて各種の諸現象をモニターした.・はりの中 央に測定範囲1砺彿,4分の1点に測定範囲5㎜の2チ
ャンネルの変位計センサーが取り付けられており,中 央のセンサーで振幅と振動数の関係を調べ,4分の1 点のセンサーで逆対称振動をモニターするとともに,
中央点との変位の比より振動に伴う振動波形の変化が 求められた.また,入力の周波数は自動振動制御装置 のモニターから加速度波形をモニターに取り,エレク トロニックカウンターで確認されるとともに,デβタ レコーダには音声で,またラピコーダではオッシログ ラフペーパー上に鉛筆で直接記入された.なお,振幅 の跳躍現象や局所的に発生する過渡的振動はデータレ コーダの記録をスピードを落してオッシログラフペー パーに出力さ母て波形の確認を行った.変位計トラン スジューサ「から の出力と実振幅の対応は実験前にフ ルスケールの校主電圧1V・とOVを流して,このと きの出力の大きさを記録し,このときの目盛の振れが NP−100では10㎜, NP−050では5㎜であることか らなされた.以上のようにしてえられたはりの中央点 の動的変位yをはりの回転半径γ=酬》一了7で無次元 化(オ=y/7)し,また加振周波数!を微小振動実験 から測定された1次振動の固有振動数ゐで無次元化
(ω=甜1)し1だ,
㈲ 非線形自由振動実験 定常運転状態の加斗機の励 磁電源の電源制御器のオペレーションスイッチを急に 切り,振動台を急停止させてはりを非線形自由減衰振 動させた場合の変位の出力信号をデータレコーダに記 録して,バンドパスフィルタ」と直流増幅器を通して オッシログラフペーパー上に出力させた.出力信号の はり中央点の各振幅比!望=8.7,…に対応する振幅の周 波数をオッシログラフペーパーの0.01secに1回の timerを用いて振動の周期丁を求めて,この逆数か
Fig.3 Experimental nonlinear damped free
vibration
76 はり.の非線.形振動に関する実験的研究
.ら周.波数プ.を計算.して,・4一.0すなわ.ち微小振動に達
したと.きの周波数五で除した値を本題の振動数比.ω
とした」自由振動の波形の尋例を示せば,...Fig.3に 示すとおりである.
4.実験結果および解析結果との比較.1、.
(1γ.非線形定常強制振動.初期軸力比.Po=0の荷重 強度2≒128.(三振加速度19)および..ρ=256・(加・振 加速.度2Gン・に対する外力.の振動数比.ψ(外力の振動
10・ ・.』.
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Fig..4 Nonlinear. frequency respon§e fQrρ=126
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Fi息5:.Nonlinear frequency res診onse.for万=256
高橋和雄・柿山幸隆・・竹内一博 77
数/線形対称1次振動数)と応答振幅A(はり中央 の最:大振幅/回転半径r)の関係をプロットすれば Figs.4,5に示すとおりである.図中において○印は 掃引周波数を増加させた場合,×印は掃引周波数を減 少させた場合の実験値をそれぞれ示す.図中の矢印は 振幅の跳躍現象の方向を示すものである.また,図中 の肉太の実線は対応する外力と同位相の理論解の非線 形応答に,一点鎖線は逆位相の非線形応答にそれぞれ 対応するものである.なお,理論解に採用した自由度 は4で,高調波は5倍まで採用しており,減衰は無視 されている.また,ω=1.0付近の細い実線と破線は 非線形項を無視した微小振動論からえられる線形応答 を示すものである.
Figs.4,5においてω一1.o付近に生ずる共振は外 力の周波数と同じ振動(α})が卓越する対称1次振 動の主共振である.また,ω=2.0付近に生ずる共振 は外力の周波数の5倍の振動が主共振とは別の分岐的 に生ずる1次振動の5倍の高調波共振( 5α1)および 石=0.3付近の共振は連続的に生ずる対称1次振動の 3倍の高調波共振(α1)にそれぞれ対応する理論解 である.〜δ=1.8付近は対称2次振動の3倍の高調波 成分(α1)が卓越する高調波共振およびδ=2.65付 近は対称3次振動の5倍の高調波成分( 5α5)が卓越 する高調波共振である.これらの2次の高調波共振は いずれも分岐的に生ずるものである.また,石=1.15 付近で主共振の同位相の振幅が不連続となるのは対称
2次振動の5倍の高調波成分( 5α3)が主共振の基本 波(αi)の正の成分と連成振動を生ずるためである.
δ=3.0付近から生ずる共振は1次振動の3分の1の 分数調波共振(%α1)である.
(の主共振 石=1.0付近に振幅が増大して非線形領 域に入る共振はFig.6(a)に示すような波形をもつ外 力と同じ振動をもつ主共振である.同位相の主共振の 振幅は加振力の小さい荷重強度ρ=128について理論 と実験がよく一致しているが,外力の大きさが2倍の ρ岩256の場合には実験値の方が大きな振幅となって
いる.これははりの軸方向変位の固定が不十分なため と考えられる.理論では減衰を含まないために共振時 の振幅は無限大となるが,実験では減衰を含むために 有限の大きさとなり,振動数比ω=2.0付近で主共振 の振幅は最:大となった後,主共振の同位相の振幅は跳 躍現象による飛び移りを生じ,Fig.7(a)に示すよう な非線形自由減衰振動をしながら次の定常状態に移っ ていく.Fig.7(a)のようにはりの中央点の変位は調 和振動をしているが,4分の1点の変位は振幅比の大 きい領域で逆対称1次振動の2倍の高調波と連出した 振動を伴っている.この飛び移りは,Fig.3に示し た非線形自由振動と本質的に同じものである.なお,
飛び移りを生ずる振幅の大きさを理論から定めること は現在めところ困難iである.減衰の大きさぼ微小振動 の自由振動からえられる一定の大きさとは異なり,振
●.塞 ●●曜.
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Fig.6 Harmonic, ultraharmonic and subharmonic responses. of the first symmetric mode
78 はりの非線形振動に関する実験的研究
1 1
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1
1
8
Ouしpuヒに囎L!o}
卜一一。4●●◎P ■ puヒ
(a)
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louヒp吐{6咀L/21
ouヒ脚tに吻監/勒
五hP閣ヒ
(b)
Fig・7 Jump Phenomena of the first symmetric response
幅および周波数の関数であることに起因するものと予 想される.逆に振動数比δ=1.3付近から振動数を減 少させていくと逆位相の主共振へ跳躍現象を生じ,
Fig・7(b)に示すように8〜9Hgのうなりを伴った過 渡振動をしている.この下側の跳躍を隼ずる振動数比 はω=1.2付近で,逆位相の主共振が鉛直接線を持つ 位置とよく合致している.
(b)高調波共振 振動数比万が1より小さた領域 で・1次振動の振動モードを持つ高調波共振が生ずる.
これらの応答の周波数はいつれも線形1次振動固有振 動数に合致するものである.すなわち,π倍の高調波 共振はω=1/〃の位置で生ずることになる.荷重強 度ρ=128および256について高調波共振の一覧表 を示せばT段ble 1に示すとおりである.また, Fig.
6(b)〜(e)には各種の共振の波形が示されている.こ れらの共振のうち,弄;128では3倍,万=256では3 倍および2倍の高調波共振が卓越している.理論解析 は理想的な直線はりに対する結果であるために5倍お よび3倍の奇数次の高調波共振のみが求められている が,実験では6倍,4倍,2倍の偶数および%倍の非 整数次の高調波共振が見受けられる.本題のはりの非 線形問題では復元力に3次の非線形項が含まれるため に,3,5倍などの奇数次の高調波共振が卓越するが,
他の任意の次数の高調波共振が生ずることも可能であ
Table l Summary of ultraharmonic responses
order of唐浮垂・窒・≠秩I犠onics 篁寓128 §;256
6
up
0ユ8down
0.15up 0.21
5
down
0.23up
0.22 0.24 4dOWn
0.25 0.25up
0.38 0.343
down
0.35 0.34up
0.46 0.51 2down
0.51 0.513/2
up
0.65down
0.71る.しかし,その共振は奇数次の高調波共振に比較し て小さいはずである.逆に実験におけるρ=256の2 倍の高調波共振はかなり大きな振幅となっている.こ の原因ははりの復元力に2次の項が存在すること,す なわちはりの初期たわみによるものと考えられる6).
高く0.15では試験機の変位制限2.5㎝のために実験:
は実施されていないが,この領域ではさらに高次の高 調波共振が現われる可能性がある.対称2次および3 次振動の分岐的に現われる高調波共振は未だ確認ざれ
ていない.(c)分数調波共振 語例ではTable 2に示すように実 Table 2 Summary of subharmonic responses
order of
唐浮b・≠窒高盾獅奄 一P=128 百茸256
1/2 up
р盾翌
2.17 Q.02
2.36 Q.20
験において振動数比ω=2。0付近で掃引上昇時には主 共振の跳躍のあとおよび下りの掃引には飛び移りによ
って,Fig.6(f)に示すように1次振動の2分の1の 分数調波共振が現われ,かなり大きな振幅となってい
る.この原因ははりの初期変形によるものと考えられ る.理論ではω=3.0付近から1次振動の3分の1の 分数調波共振(α誓)が現われるが,本例の実験では 現われていない.
(d)動的不安定現象による振動 本四の実験模型の 構造および外力の分布ははりの中央に対して対称であ るがFig.8(a)〜(c)に示すようにある特定の周波数 領域ではりの4分の1点の変位が大きくなる局所的な 振動が生ずる.これらはFigs.4および5において●
を用いて表示されている..この振動は対称1次振動に
よって逆対称1次振動が分岐する動的安定問題に対応
するものと予想されMathieuの方程式の不安定領域
高橋和雄・柿山幸隆・竹内一博 79
1■
16 1「
1
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1 1 8 匿 1 瞠 l I 1 ■ 1 , 聖 1 1
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oも港。.
(a) (b) (c)
Fig.8 Harmonic and ultraharmonic responses of the antisymmetric response に対応するものである7).この現象は非線形自由減衰
振動においても振幅比が大きいときに逆対称1次振動 の2倍の高調波が生じている.
(2)非線形自由振動 Po=0の場合のはり中央の振幅 比Aと振動数比ωとの関係を求めれば,Fig.9の
■印および▲印に示すようにえられる.図において,
2ξ0
凱
L6
1.4
L2
1.0
Thcoretical curve
□Experimenata1
▲ Results
0
Fig.9
2・ 4 .6 8 ____■陶 10
A Relation between amplitude ratio A and frequency ratioω
実線が多自由度系としての解を示す.自由振動につい て振幅比Aと振動数比ωの関係は,理論値と実験値 とがよく合致している.Fig・10に示すようにはりの
中央点と4分の1点の振幅の比Yから振幅比Aに
伴う振動波形の変動が求められる.解析では振幅の増
0.8
,/
0.7
O.6
O.5
o。4
エ る き
† Fig.10 Effect of amplitude ratio on space−modal shape atξ罵1/4
■Expe=iment
窒・唐浮撃狽r
大とともに4分の1点の変位が増大するが,実験にお いても同様の傾向を示している.なお,振幅比が大き い領域で誤差が大きくなっているが,この原因はこの 振動数比⑳領域で逆対称1次振動の2倍半高調波成分 が連成するためである.
5.結 語
本研究は両端で軸方向変位が拘束されたはりの非線 形振動の実験を報告したものである.えられた結果を 要約すると,定常強制振動実験の結果より,
(1)対称1次振動の主共振の他に,高調波共振,分数 調波共振,振幅の跳躍現象などの非線形振動特性およ び逆対称1次振動と対称1次振動の局所的に生ずる連 勢振動を確認した.
②理論値と実験値を比較すると,主共振の振幅と振 動数の関係はほぼ合致する.実験においては理論では 含まれない偶数次の高調波共振および分数調波共振が 見受けられるが,これははりにわずかな初期たわみが 存在するか,もしくは端部の軸方向の拘束が不完全な ために大振幅振動時にはりの支点が軸方向にずれて曲 げ変形を生じたことに起因するものと考えられる.な お,逆対称1次振動の不安定振動は対称1次振動の主 共振によって逆対称1次振動が分岐する動的安定問題 によるものと考えられる.したがって,応答のすべて を説明するためには非線形振動の共振の他に非線形振 動における動的安定問題を取扱う必要がある.
非線形自由振動の結果より,
(3)非線形自由振動の振動数比と振幅比の関係は理論 値と実験値がよく一致している.また,はりの非線形 振動の規準関数は振幅とともに変化し,端部がふくら んだ形どなるが,実験においても同様な傾向を示した.
手元にシグナルプロセッサーやAD変換器などの
信号変換器がないので非線形に伴う波形の処理を行う
ことが無理であるが,今後検討の予定である.さらに
固定枠を大きくして固定をより完全にし,変位計のチ
80
ヤンネルを追加して実験を重ねて非線形振動の解析を する予定である.
最:後に本研究を行うにあたり,計測器の借用および 工作をお願いした本学構造工学科片岡助手,片岡技官,
ならびに日本鉄塔㈱岡氏に感謝するとともに実験にあ たって土木学科永田・一ノ瀬技官および研究室の卒論 生申原・藤本・野口氏の協力をえたことを付記する.
また,本研究を行うにあたって貴重な御助言を頂いた 河島佑勇元九大教授(現九州産業大学),三菱重工㈱
長崎研究所大高勝夫氏に感謝します.
参考文献
1) Takahashi, KりNonlinear Free Vibrations of Beams, Theoretical and Applied Mechanics,
Vo1.24, pp.109−120(1976)
2) Takahashi, K. and Kawahara, K., On a Method of Approaching the Stability Problem of Nonlinear Vibrations, Theoretical and Applied Mechanics, Vol.26, pp.339−350(1978)
はりの非線形振動に関する実験的研究
3) Burgreen, D., Free Vibrations of a Pin−Ended
Column with Constant Distance between Pin
Ends, JAM Vol、18, PP.135−139(:1951)
4)Ray, J. D. and Bert, c..W., NonHnear Vibrations of a Beam with Pinned Ends,
Tran・acti・n・・f th・Am・・ican:・S・・i・ty・f
,革ech・nica1 E・gineers・」・u・n・1・f E・ginee・i・g for Industry, Vol.91, Nov., pp.997−1004(1969)
5)Bennett, J. A. and Eisley,」. G., A Multiple