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オリンピックの危機と持続可能性

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Academic year: 2021

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はじめに

2019 年度は,以下の 3 つのテーマについて調 査研究を行った.いずれも 2018 年度までの研究 を,継続 ・ 発展させたものである.

1.オリンピックとエリートスポーツに関す る研究:デンマークのエリートスポーツ 政策に着目して

日比野 幹生

我が国のエリートスポーツ政策は,少子高齢化,

学校運動部活動の規模縮小,東京大会後の強化費 縮減などが見込まれることから効率性を念頭に検 討する必要がある.一方諸外国の中には,エリー トスポーツ政策を効率的・効果的に推進する国が ある.特にデンマークは小国であるにも関わらず,

先行研究ではメダル獲得の効率性が高いことが明 らかにされている.本研究では,デンマークのエ リートスポーツ政策に焦点をあて,その特性を明 らかにすることで,我が国の今後のエリートス ポーツ政策の推進に資することを目的とした.本 年度の調査ではデンマークのエリートスポーツ専 門組織であるチーム・デンマーク,地方自治体,

地域スポーツクラブ,高等学校,大学を対象とし た現地調査及び文献調査等を行った.その結果,

デンマーク独自のエリートスポーツ政策・施策・

事業の展開やそのための諸アクター間の連携・協 働などが明らかとなった.本研究の成果は,今後 の我が国のエリートスポーツ政策の発展のための

有益な情報である.

2.オリンピック・パラリンピック 2020 と 聖火リレー

亀山 有希

「復興オリンピック」と称される東京オリンピッ ク・パラリンピック 2020 の開催に向けてカウン トダウンが始まる中,東北3県(岩手・宮城・福 島)にわたって展開される聖火リレーの取り組み についての資料収集と調査を行った.福島県楢葉 町にある「J ヴィレッジ(J-Village)」は原発事故 の対応拠点として利用されてきた経緯がある中 で,聖火リレーの出発地として選定された.しか しながら,当初,予定されていた聖火リレールー トはぎりぎりまで確定せず,また,2月には「福 島はオリンピックどごろでねえ」と書かれた横断 幕が掲げられた抗議デモが実施され,東日本大震 災からの復興とはかけ離れた実態が明らかとなっ た.さらに,新型コロナウイルス感染症の発生と 感染拡大に伴って東京オリンピック・パラリン ピック 2020 の開催については検討が続けられて おり,オリンピック・パラリンピックの理念を問 う事態となっている.今後の動向についても継続 的に調査・研究したい.

オリンピックスポーツ文化研究 2020. 6 No. 5 193 ─ 194

研究報告

(研究プロジェクト 2)

オリンピックの危機と持続可能性

成 田 和 穂(スポーツ医学(内科系)研究室)

193

(2)

3.大学生のアンチ ・ ドーピングの知識に関 する調査研究:体育系大学と薬学系大学 の比較

成田 和穂

体育系大学生の多くは現役の競技者であり,将 来スポーツ指導者の道に進む者も多い.一方,薬 学系大学生は,将来,薬剤師となり,競技者から 薬に関する相談を受けることもある.本研究では,

それぞれの大学生がどの程度のアンチ ・ ドーピン グの知識を有しているか調査を行い,大学におけ るアンチドーピング教育について検討することを 目的とした.その結果,8 つのアンチ ・ ドーピン グの知識カテゴリーの合計点数は,体育系大学生 よりも薬学系大学生の方が高値であったが,「禁 止表国際基準」,「薬の調べ方」,「禁止物質を含む 薬」,「医師への相談 ·TUE」,及び「サプリメン トのリスク」の5つのカテゴリーについては,い

ずれの系の大学生も知識レベルが低く,大学にお けるアンチ · ドーピング教育で特に強調していか なければならないカテゴリーであることが明らか となった.また近年,教育すべき項目が増加して いることから,アンチ · ドーピング教育は,カリ キュラムに基づいた授業科目として実施すること が適切であると考えられた.

次年度に向けて

新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延に よって,2020 年東京オリンピック ・ パラリンピッ クの開催が延期となった.その決定に至るプロセ スは,まさしくオリンピックの危機を強く感じさ せるものであり,持続可能性に疑問符が付くよう な状況であった.2020 年度は研究テーマをさら に発展させ,幅広い視点からオリンピックの危機 と持続可能性について検討していきたい.

(受理日:2019 年 4 月 4 日)

194

オリンピックスポーツ文化研究 2020 6 No. 5

参照

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