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アジアの発展 と情報化

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(1)

アジアの発展 と情報化

〜NIES

の情報化を中心 として〜

目 次

は じめ に

1. ア ジアはいか に発展 したか

2.

情報化 につ いて

2‑1

概要

2‑2

情報 イ ンフラについて 2‑ 3 人材 につ いて

おわ りに

近 勝 彦

はじめに

マ ックス ・ウェーバー

(MaxWeber)

は, 「 プロテスタ ンティズムの倫理 と資本主義の精神

」 1)

において,キ リス ト教 ・プロテスタ ン トの社会 ・経済的 倫理 と近代的な資本主義精神 との関係を明 らかに した。それは営利を敵視 し, 禁欲を宗 とす る精神が,逆 にヨーロッパを して世界で最初の近代資本主義を創 出 したことを解 き明か した ものである。

反面,「 儒教 とピュー リタンティズム

」 2)

の中で,中国の社会 ・経済的 自由は 大 きく,少な くともカルヴァン派 ピュー リタンテ ィズムの非寛容に比べれば宗

1)MaxWeber,DieprotestantischeEもhikundderGeistdesKapitalismus,

1920

,邦訳大塚久雄 訳,岩波文庫参頻

2

)大塚 久雄 ・生松敬 三共訳 , 「 儒教 と ピュー リタニ ズム」『 宗教社 会学 論選 』,みすず 書房参照

205〕

(2)

教的寛容の程度 ははるかにひろ く,また財貨交易の自由もはるかに大 きく,移 動の 自由, 職業選択および生産方法の自由など も存在 し,いわゆる商人根性( 商 売人気質)に対す る反感 もおよそ見 られなか った。が しか し, こうした事情を もって して も中国においては近代資本主義を発生 させ るには至 らなか ったと述 べている

しか し,それが議論 されていた時か ら半世紀以上がたっ20 世紀末, もっとも 成長が著 しい国 として中国が立ち現れて きた。その成長率 と規模の大 きさは想 像を絶す るものがある。たとえは

J.

ネイスビッツは近著,『 大逆転潮流

』3)

ゐ中で,現在の中国の一人当た りの実質国民所得が4000 ドル とす るな らば, 国内総生産は日本の

2

倍であ り, このような成長が続 き,現在の台湾の経済水 準に中国が達すれば,アメ リカの国内総生産の 2 倍以上に もなると言 う ( ただ

し,購買力平価で換算 して) 0

一人当た りの生活水準が先進国 レベルに達す るのはまだ先の事であろうが少 な くとも単一の経済規模 としては早晩,世界一 となることは間違いないであろ

う 。

中国のみな らず,華僑 ・華人が住む台湾 ・香港 ・シンガポールなどのいわゆ る

NIES

諸国 は,

1

人当た りの国民所得 は

1USS

に も達 し,先進国の仲 間入 りもま じかである。

それのみな らず,アジア的停滞 といわれて久 しか った

ASEAN

諸国や南ア ジア諸国 も成長期 に入 った。

これか ら考えると,資本主義の根本精神をプロテスタンティズムにだけに求 めるのは妥当ではなかろう

そ こで合理的で勤勉な精神が資本主義の精神であ るということを肯定 した上で,それだけではな く,その市民精神的な ものの中 には,すでにニーチュが 『トゥラ トゥス トラはか く語 りき』の中で明 らかに し た 「 ルサ ンチマ ン」 とい う心情が巣 くって いるとゾ ンパル ドはい う

4)。

す な

3)John Naisbitt,GLOBAL PARADOX,1994

,邦 訳 佐 和 隆光 訳 『 大逆 転潮 流 』 , 三笠書房

4)W.

ゾ ンパル ド 『 恋愛 と賀沢 と資本主義 』,金森誠也訳

,1987

年 ,論 創社

(3)

ア ジアの発 展 と情報 化

207

わち,貴族的生活や価値に対す る劣等感や恨みに近い精神が市民を資本主義狗 活動に等 区り立てたのだ というのである。

あ りていにいえば,血の継承のみによって一方 は,生まれつ き豪著で蕩尽的 生活が約束 され,片方 には無数の貧困 ・卑俗なっっま Lやかな生活を強い られ るという不合理に対す る反抗精神がかえ って合理的精神を育て,それによって 彼 らの打倒を企図 させたブルジョワを生み出 したのである。

これは別の言い方か らすれば 精神の多重性,多層性 に由来す るといえよ う

この発見は科学的に言えば,精神分析学派の創始者であるフロイ トに負 う

そ れ以後,精神の根源をなにに求めるかは別に して,精神の多層的見方 は拡大発 展 していった5

)。

ようす るに人間をつ き動かす ものは客観的合理的な理性ではな く,主観的で 非合理的な情念であろ う

.

とす るな らば,それはひとりヨーロッパ人の精神 に あるのではな く,あ らゆる人間社会に普遍的に存在す るといえよう

ゆえに, 大ざっばに言えば儒教的精神圏 と言われるアジア地域の人々に も存す る。

アジアの中で唯一資本主義が成功 した国は日本であ り,それは日本的特殊性 ゆえの成功であ り,その背後 にはプロテスタンティズムの精神 と類似 した思想 が近世 にはすで にあ ったのであ り,それ は例外 的であ るとと らえ る説が あ

6)。

しか し,ルサ ンチマ ンが優越者に対す る嫉妬や恨みであるな ら,アジアの成 長 もまさにそれにあたる。

NIES

の代表であ り,新 しい成功者である韓国 と台 湾はまさにそれである。

韓国国民の精神性を表す特性の一つ と して 「 恨」( ‑ ン) という言い方をす る

7)

が,それはまず 日本に向け られたことは事実であろう

台湾において も大陸中国又は日本に対す る複雑な精神の中にそれが見出せ よ

5)C.G.

ユ ングやア ドラーなど全て精神 の多重性 を前提 に議論 して いる。

6

)た とえば,石 田梅岩

(1685‑1744)

は,営利追求 を業 とす る商 人‑の墳 商観 に反 対す ると同時に,商人の心得 と して正 直 と倹約 を説 いた。

山本七平著 『日本資本主義の精神 』,光文社参照

(4)

う 8)0

日本に して も,明治維新以後の殖産興業 ・富国強兵 は欧米への劣等感や危機 意識か ら生 まれたスローガ ンであろ うし,大戦後の欧米への経済的 ・技術的 キャッチアップ‑の情熱およびアメ リカ ンライフ‑の憧れはやはり韓国や台湾 やその他のアジア諸国と同 じものであろう。

ようす るに個人に しろ国家に しろ経済的豊かを可能にす る資本主義 (自由に 物質的欲望を追求で きるシステム‑産業 システム)をっき動かす ものは他者に 対する羨望を基本 とした反理性的な 「 欲望」である。

そ してその欲望は,モノが簡単に手に入 らないか らであ り,別の言葉で言え ば人 とモノの距離感であるとジンメル

(G.Simmel)9)

は言 う

また, ジラール

(R.Girard)10)

は,お互いの 「 模倣」か ら欲望が生 まれる という (これを模倣欲望とよんでいる。『 欲望の現象学』参府) 。すなわち,人 は他の人が欲 しいという情報 によって,は じめて欲望を生 じるのであるとい

う 。

特に現代社会はマスコミュニケーションが極度 に発達 してお り,連 日,大量 の情報が人々の購買心を直接的あるいは間接的に煽 る

11)

。それほどの国に も み られるまさに普遍的社会現象である。そ して コンピュータとコ ミュニケー

ションは次第に融合 しなが ら人々の欲望をさらに刺激 し続けている。

本小稿 はアジアの発展状況を情報化の中で明 らかに していこうというもので

7

)慰安婦問題 や謝罪 問題 を巡 って いまだ政治 的には癖 を残 して いる といえ よ う。文化 的 に も日本 の歌 を韓 国国内で公然 と歌 って はな らな い事 にな って いる ことは,文化 的問題 もは らんで いよ う。 また, いわ ゆる 「 滅共統 一」 も大 きな理 由であ る。

8)台湾 には 日本 の製品が あふれかえ って い る。 その結 果,対 日赤字 は巨額 にのぼ る。

又, 日本 の衛星放送 が台湾で見 られ る ことはあ る種 の文化侵 略で ある とい う政府高 官 の発言 にみ られ る。

9)G.

ジンメル 『 貨幣 の哲学』元浜清海訳

,1981

年, 白水社,参照

10)

経済学的 には

J.K.Galblaith

の依存効果や

J.S.Duesenberry

のデモ ンス トレー シ ョン効果説があ る。

1D Lか も通信 と放送技術 の発達 か らグーパ ル放送 と多 メデ ィア化が急速 に進 み,世界 が情報的 に一体化 しつつあ る。 それによ って欲望 は否応無 く強め られ ることになろ

う 。

(5)

ア ジア の発 展 と情報 化

209

あ る 。

こ こで 議 論 す る 情 報 と は主 に コ ン ピ ュ ー タ の 普 及 で あ るが ,

そ れ が 放 送 や 通

信 との 融 合 化 が 進 む 中 , ア ジア の社 会 , 経 済 を い か に変 化 さ

せ る

を 考 え よ う

とした も の で あ る 。

コンピュータ リゼ ー シ ョ ン (Com put eri sat i on) は, 工

業 化 ・産 業 化 を 一

層推 し進めると同時に , 社 会 ・経 済 の ソ フ ト化 , サ ー ビ ス化 した

産 業 の 比 重 を

大 きくす る ( 先進国 はのきなみ,第三次産業の比率を大きくしている) 。 そ うい う経済的 技術的国際環境が進行する中,遅れてきたアジア諸 国の経済 発展の状況を 情 報 化 を一つの指標としてその問題を考えようとした ものであ

る。

1.アジアはいかに発展 したか

アジア諸国の最近の経済発展 は目を見張 るものがあ り, まさにエマー ジング マーケ ッ ト

(EmergingMarkets)

と呼ぶ にふ さわ しい。

NIES

諸国は近 々,先進国入 りを して もおか しくない レベルにまで達 しっっ ある

12)0 ASEAN

も自律的発展過程 に入 り,

NIES

の成長率 も大 きい伸 びを 示 している。それを示 しているのが以下の図である。 これをみ ると日本の経済 成長が極めて低い ことと,他のアジアの成長率が平均

7%

前後であ り,世界銀 行がい うよ うに 「 東 アジアの奇跡

」 13)

を論拠づけると同時 にそれを越えてアジ

ア全域 に成長の波が及んでいることが うかがえる。

た とえば,南アジアとかつて社会主義国であ ったイ ン ドシナ半島の成長 も著

い。

特 に

,12

億人を擁す るア ジアの巨人である中国の成長がめざま しい。中国 は

12)

韓国では

,OECD

入 りを 目指 してお り,台湾 も国際的政治環境か ら国連入 りは中々 困難で あ るが,国民党幹部 の見解 を聞 くと

,APEC

で その存在価値を誇示 したいと 述べていた ( 筆者の ヒア リングによる) 0

13)A WorldBankPolicyResearchReport,"THE EAST ASIAN MIRA‑

CLE :EconomicGrowthandPublicPolicy",1993

参照

(6)

ア ジア諸 国のGDP成長率

4321nU9007654321011111

Japan S.Korea IIongKong MaJaysia Indonesia Thaialld Taiwan ShingaporeMainlandChina India Philippln average

(exceptJPN)

1993year 団 1994year

1 AsialT Report.MtC′1995,March

よ り作成

すでに ドイツを抜 いて世界第

3

位の経済大国にな っている。特 に

,IMF

の算 定法,す なわ ち,購買 力平価方式 を とる と,

93

年 の

1

人 当た り国民所得 は

1600

ドルに達す るといわれて いる。勿論, この額 自体が高い とはとうて い言 えないが,(日本の

20

分の 1程度なので) ,

1978

12

月か らの

15

年間の実質的国 民所得生産の伸 び率 は平均

9%

近 くであ り,

1993

年 には年平均

13%

もの伸 び を記録 した。 これは日本の過去の高度成長 に匹敵す る成長であるといわれてい る。ではその発展を可能に した基本的要因を見てみよう

まず国民 1人当た り

GNP

額が

1

万 ドル近 くに達 した

NIES

は,香港を除

いて, 「 権威主義的開発体制

‖)

の もとで発展 して きたといわれている。 これ

は経済 システムの基本原理に資本主義を採用す るが,国家政府がグラン ドデザ

イ ンを計画立案 し,国家の経済に対す る強力な介入 ・援助の もとに,経済発展

を成 し遂げようというものである。そ してそれを成功 りにおさめるには∴次の

14)

渡辺利夫著, 『 新世紀 ア ジアの構想』, ち くま新書,

P14

以下

(7)

ア ジア の発 展 と情 報 化

211

4

つの条件が必要であ るといわれている。

第 1が,その体制の中で得 られ る最良の人 々を官僚 として選別 ・採用 し,彼 らに産業の基本的構造政策や監督 ・指導援助を行わせ,第

2

に,政治 と官僚が 一致 してその任務を遂行 し,第 3 に,行政指導のよ うな市場調和的方法を採用 し,第

4

に,通産省のよ うな政策誘導的機能を働かせた ことである 1 5

) 。

これ は, 日本の開発 システムを分析 した ものであるが,大 ぎっばに言えば韓国や台 港, シンガポ⊥ルに も当て はまる。

そ こで,今度はより具休的な政策をみてみよ う。経済政策 として

,80

年代以 降の世界の 自由化の流れに沿 って, これ までの保護主義的な経済政策を市場 メ カニズムを重視 した政策へ見事 に転換 し,成功を遂げた ことである。

なぜな ら,保護主義 によ り国内産業 はまが りな りに も成長す るが,逆 にいえ ば国内市場のみ しか市場 はな く,す ぐに狭陰 さの為 にゆきずまって しまうこと になるか らである。 また,保護 されている分,国際的競争力が育たず脆弱な産 業に しか成長 しないことがあげ られ る。そこで各種の規制を緩和 し,市場 メカ ニズムの機能をとり入れた政策 に転換 したのである。そ して,具体的政策 と し て,第一に輸入数量制限の緩和や関税引 き下げを行い,段階的に輸入 自由化を 図 り;第二 に,割高な為替 レー トを切 り下げ,第三 は,外資規制を緩和 し積極 的外資導入を図 った。第 四に,非効率 な国営企業を民営化す ることであ った

16) 0

次に,ア ジアを取 り巻 く経済環境が良好であ った ことも極めて重要である。す なわち,アジア諸国の発展 には日本 とアメリカの存在が大 きい ことは否定で き ないと考え られて いる

17)

。それ と華僑の存在である。

まず, 日本のダイナ ミックな経済成長がア ジア諸国の経済に大 きな影響を与 えた

。1985

年の いわゆ るプラザ合意以後, 日本 は急激な 円高 に襲 われ, それ による国際競争力の低下を防 ぐために, 日本 はア ジアへ製造基地をっ くるため

15)

同上

P18

16)

経 済企画庁 ,平成

6

年度 『 世界経 済 自書』 ,

Pl19

以下

17)

日本経 済新 聞社 ,『ア ジア経済 入門』 ,

P54

以下

(8)

直接投資を行 って きた。それを示 したのが以下の図である。

日本のアジアへの直接投資の推移 (単位名 :100万 8)

‑ 韓国

‑ 台湾

‑‑シンガポール

‥‑香港 ・マ レーシア

‑ ・タイ

1951‑70 1971‑75 1976‑80 1981‑85 1986‑88

2

「ア ジアの工業化 と技術移転」 p1

6

か ら作成

次に米国は,輸出力の高まった

NIES

の製品の需要先にな って くれたこと が大 きい

18)

これを別の言葉で言えば,アジアの発展 には,資本財供給国に 日本が,消費財輸入国にアメ リカという2 大経済大国がアジア経済を間接的に 発展 に導いたといって も過言で はない。民族的には中国人である華僑 ( 華人 ・ 華南 も含む)の存在である。台湾 ・香港 ・シンガポールなどは勿論中国人系で あ り,他国で もそのプ レゼ ンスは大 きくな りつつある。

東南アジア経済発展の主たる担い手 は中国人系であ り,東南アジア‑の外資 中,中国外資が 1 987‑88 年位か ら日本を追 い越 した。 また,中国大陸経済の 規模及び成熟が大 きい。そ して,東アジア,東南アジアだけではな く,アジア 太平洋地域全域に中国系の人口,資本が膨張 しているのである 1 9

) 。

次に,では

NIES

及び

ASEAN

の経済を支える工業力がどの程度の比較倭

18)

同上

19)静仲勲著, 『華僑 はア ジアを ど う変 え るか』

,

PHP

研究 所 参頗

同著者 , 『 華僑 』,講談社現代新書 参照

(9)

ア ジアの発展 と情報 化

2I3

位を もっているかをみてみよう

世界輸入数量の世界

GDP

に対す る弾性値 は堅調 に推移 している

20)。

その 理由として,第‑に GATTにおいて 自由貿易が推進 され,第二に科学技術の 進歩 による交通輸送費用の低下 と通信手段が世界的に発達 した ことであ り,第 三に,先進国の企業が国境を越えて活動拠点 を海外 に求 めた ことがあげ られ

る。

貿易における比較優位を数量的にとらえる指標 として,顕示比較優位指数が ある

2

1 )。そ してその優位性によって財は

3

つのグループに大 きく分け られ る0 それを示 したのが以下の図である。

Aグル ープ

50 5 nU5 22 1 '10

Bグループ

オ フィスコンピュータ等 デ ータ加工機械 3.

2.5 2.0

1.5 1.0 0.5 0.0

Cグル ープ

カラーテ レビ

ビを含む)

1 9 7 0 年 8 0

91 70 80 91 70 80 91

(出所)UN"InternationalTradeStatisticsYearbook"よ り作成。

(症)1.顕示比較優 位指数 ‑ (i国のj財の輸 出額)/ (i国の工業製品輸出額) (世界 j財の輸 出額)/ (世界の工業製品輸出額)

図 3 平 成 6 年度 世界経済 自書

p

1 95 抜すい

これをみると,明 らかに,製品の種類によって各国の優位性が伺われる。

A

グループはいまだ先進国が優位を保 っているものであるが,

B

はキ ャッチア ッ プされつつあるもの, Cグループにいた ってはすでに優位性を失 っているもの である。問題 はその量 とキャッチア ップの速度が極めて早いことがあげ られ よ

20)

注16の同書,

P189

2

1 )注

16

の同書 ,

P193

以下

(10)

う 。

最後 に工業化を支える技術に着 目してみよう。

経済成長を供給側か らみると,労働 と資本ス トックとそれ らでははかれない 要因

(TFP :TotalFactorProductivity)

か らな る。 この

TFP

の中核 は 勿論技術革新である。 ・次の図のように日本では

66‑73

年で は

TFP

平均 は

4.27

であ り

,66

‑90

年平均では

2.7

と高い。 これに対 して米国 はこの間の

TFP

日本の実質

GDP

成長率の要因分析

ll ■●,II.....L ■■.II...tIll

■ I ● ● ,

一 資本寄与 ‑ 労働寄与 TFP寄与

アメ リカの実質

GDP

成長率の要因分析

eULC?432198765431111110000000

ー資本寄与 ‑・労働寄与 一TFP寄与

4

平成

6

年版経済 白書

P391

よ り作成

(11)

ア ジア の発 展 と情報 化

215

寄与は 0 .

75

であ り,労働寄与の方が高い数字 とな っている2 2

) 。

潜在成長力の議論 は,基本的には今後の技術革新をどう考えるかとい うこと

・ につ きる。

そのファンダメンタルズはまず,企業及び大学研究機関の研究設備投資であ り,いまひとつが各種教育機関の人材養成である。

この点,前者 において は日本の研究開発費の大半 は民間企業 に負 っててお り,その多寡が将来の発展を規定す るといえよう

この点 ,92 年 ,93 年 とも設備投資における研究開発投資の伸びは大幅なマイ ナスである。 また,大学等の研究費 も財政上の制約よりあまり伸びていない。

学生数 の絶対数 が今後減少 し て い くなか,理工 系離 れ ない し は製造業離れが憂慮 されている。

これか らす れ ば 日本 の潜在的成 長能力の優位性 は相対 的 に薄れ てい く可能性があ りうる

23)

. I

次 に技術 の集積構造 をみて み よ う。 それ を図示す れ ば以下 の ようになろう

24) 0

このモデル によれ ば技術 は

3

つの層 に大 き く分 かれ る。

1

つ ‑ は,一番底 を 占め る 「 基盤 的技

技術 の集積構造概念図

5

4

の論文 よ り

22)

『 平 成

6

年度 版経 済 白書 』 ,

P390

以下

23)

一 日本 の潜在 的成長 力 を規定 す る要 因 はい くつ もあ るが, 第‑ は,労働 供給 力の伸 び が鈍化 な い しは減少 す る ことで あ る。 第二 は,貯蓄 率が ,減少傾 向にあ る ことで あ り,第三 が ,技術 進 歩が鈍 化 しつ つあ る ことで あ る。特 に, サ ー ビス経済 化が 進 む と生 産性 が鈍 化す る傾 向が あ る。詳 しくは, 中谷厳 君

,

『 入 門 マ ク ロ経済学 』, 日本 評 論 社 参 照 及 び

,PascalPetit"SLOW GROWTH AND THESERVICE ECONOMY",1986

参 照

2 4)開溝博 「 相互依存深 まる中小製造業 と東 ア ジア」 『 海外進 出企業総 覧'95」 ∴東洋経

済 臨時増刊 ,参照

(12)

術」の部門であり,鋳造, 鍛造,機械加工 などの加工技術である。 日本の場合, この部門は中小企業が担 って きた ものであると同時に, 日本の‑ イテク産業を 支えてきた ことで も知 られている。

次 に, 「 中間技術」 とは,生産技術,組立技術が これにあたる。最後が 「 ハ イテ ク技術」( 特殊技術)が最上位 に位置す る。そ してそれ らがバ ランス良 く 積み重なること及び広が りと高 さを もつ ことがその国の産業技術を決定す ると 考え られ る。そ して, この三角形の高さは,技術の高 さを,幅 は技術集積の広 が りを表 しているといえよう

しか し今 この技術構造が大 きく変わろうとして いる。その原因はいわゆる円高による空洞化現象が大 きい。それは国内の高賃 金による国際的価格競争力の低下による。そ して若者 は高学歴化 と高賃金を保 証す るサー ビス産業の雇用吸収力によりこのような部門‑は もはや就職 しな く

なっている。そのような内外の要因によって基礎的技術 はいまや崩壊 しかか っ ているといわれている2 5 )

そこで,アジアに目をむけて,製造拠点を大企業だけではな く,中小の製造 業 もアジアに持 とうとしている。それが,アジアへの直接投資‑の増大 と国内 産業の空洞化を加速 させている原因である。

そこで,今度 はアジアの産業構造を技術の観点か ら見てみたのが以下の図で ある。

韓国,台湾 は,背 は日本 より低 く,幅 もせ まい。 しか し,韓国においては, 財閥企業を中心 として‑イテクの道をひたは しっているといえよう

それは, 世界的に成熟 した技術,設備を導入す ることか らスター トし,輸入代替,輸出 によって立国を計 る以上,国際的競争力のため産業の‑イテク化は当然である か らである。そ してそれは,国内の賃金の上昇によってさらに推 し進め られ る ことを必要 とされているのである。そ してそれは 「 大徳研究団地」などの建設

25)

日本 の企業 の閉鎖 率 は

69‑72

年 か ら

3.8%

と高率 で あ り, その後 も横 ば いで あ る。

特 に,今製造業 の空洞化 で工場 の減少が 目立 ち始 めて い る。

日本 能率 協会編 『日本 経 済沈没 の構図 』 , 日本 能率 協会 マネ ー ジメ ン トセ ンター参

(13)

ア ジアの発展 と情 報化

日本型技術構造 韓国、台湾型 ASEAN 中国型

*斜線部分が特恵 とす る技術

図 6 図

5

と同 じ論文 よ り

217

に象徴的に現れている。

しか し, あま りの急激 な発展 のために産業の比重が重化学工業 中心 に片寄 り,中小企業が十分に育 ってお らず,基盤的技術の層が薄いと言われている。

これに対 して台湾 は,中小企業主体の軽工業か ら発展 したため,基盤的技術 もある程度充実 していると言われている。韓国同様に, 「 新竹科学工業園区」

とい うリサーチセ ンターを造 り,応用開発研究を中心 に急速 に技術力をっけつ つあるといえよう2 6

) 0

しか し,基礎研究及 び総合的技術が必要 とす るモ ノ作 りに十分 に対応す る力 を もっているとは言い難い。

次 に,

ASEAN

は中間技術の部分 の所だ けを肥大化 させた ものであ る。 そ れはて っとり早 く経済を発展 させ るために外資の積極的導入を中心 にすすめた ためである。

したが って,独 自に技術基盤 を形成す ることがで きないでいる。 しか し

, シ

ンガポールやマ レーシアでは技術基盤の重要性が叫ばれ る始め られている。

26)

ここは台湾 の シ リコンバ レー と呼ばれ,情報産業を中心 に多 くの企業が立地 してい

る。 また,第二科学工業園区 も開発が始 まろ うと してい る。

(14)

最後に中国であるが,中国は軍事技術を中心 とした‑イテク技術 (レーザー など)に優れている。基盤的技術 もこの関連で発展 しているが,中間技術すな わち,民生用製品に関す る包括的技術が極端に遅れている。 しか し,今 この部 門の導入を外国の直接的投資を受け入れ ることによって必死にはか っていると

いう段階である。

そこで,アジア全域で 日本の技術的移転に大 きな期待を しているのである。

まず, 日本か らの技術輸出を表 した図が以下である。

単位 ・千 228だUdJ186dJ221111nU0nU0 0

日本の地域別技術輸 出

‑ 北米 .ヨー ロ ッパ ・NIES‑1ASEAN‑ 中国

図 7 図 2 と同 じ

近年の 日本の技術力の発達によって世界のどの地域 にも技術を輸出 している が,アジアを合計すれば北米をはるかに越えた技術輸出を行 っている ( ただ, 米国か らは技術導入は輸出よりも大 きいことは貿易外収支をみれば明 らかであ

る) 。

又,台湾 と韓国に絞 って技術移転の状況をみたのが以下の図である。

韓国に対す る技術輸出はどの産業分野をみて も日本が大 きく,次にアメ リカ

が続いてお り,両者を合わせれば ‑イテク分野では

80%

を越えていることが

分かる。

(15)

ア ジア の発 展 と情報 化

韓国 におけ る技術導入 (1962年か ら88までの累計)

0nU00nU000000nU9876543211

.,.

'i'Jl Jl. 1̲ ,;;.

食品 繊維 化学 電子 機械 通信

田 アメ リカ lヨ Ej本 田 西 ドイツ 温 フランス 昏 イギ リス

単位 ・千 4

3

2

1

0

台湾 におけ る技術導入

219

t詔 アメ リカ 国 E]本 田 ヨーロッパ 国 その他

図 8 図 2 と同 じ

台湾の技術導入 も近時,急速に拡大 しているがその中で, 日本の占める割合 が極めて大 きいことがみて とれ る。

次に示す図はアジア各国における

GNP

に対す る

R&D

の比率を示 した もので ある。

これで言えることは, 日本 とアメ リカの比率が極めて高いことが分かると同

(16)

ア ジア各国のGNPに占め るR&D比率

1980 1984 1985 1986

‑ アメ リカ ‑日本 ‑・韓国 一一台湾 ‑ イ ン ドネ シア

図 9 図 2 と同 じ

時に,韓国の比率の伸 びが大 きいことが特徴的である。それに対 して台湾やイ ン ドネシアはそんなに伸びていない。

これか らは, アジアの国々 も豊かな国 と見倣 され るのであ るか ら,

ODA

等 の援助の審査 も厳 しくな ってい くことが予想 され る。そんな中,先進国 は成長 率が高 くないこと,及び脱工業化が進んでいることか ら技術や知識の商品化, 戦略部門化がよ り進んでい こう

その中でアジアの国 々が これまでのよ うな成 長を続 けて行 こうとす るな らば独 自の技術開発 は欠かせないであろ う

そのた めには

R&D

の比率を高めて行 くことが次の時代の成長戟略 と位置付け られ る ことになろ う

O

そ してその戦略部門の一つに以下で議論す ることになる情報化 の問題があるのである。

2.情報化について

2‑ 1

概要

上述 したジ ョン ・ネイス ビッツの近著の揚 げる中心 テーゼは 「 世界経済が 巨

大化すればす るほど,最末端の活動組織 ( パ ーツ)が強力になる」2 7 )とい うも

(17)

ア ジアの発展 と情 報化

221

のであ る。

例えは ビジネスで は, シュンベ ータ ( J

.A.Shumpeter)28)

が予言 した通 りに,大企業優位の経済 システムとなるので はな く ( それゆえ社会主義化す る ので はな く) , ます ます中小企業が力を増 してい くとい う

その例 と して, 「 現 にアメ リカの輸 出総額の

50%

が,従業員

19

人以下 の小 さな会社の製品 」 なので あ り, フォーチ ュ ンの

500

社 ラ ンキ ングに登場す る企業 は, ア メ リカの総生産 の

10%

を 占め るにす ぎない」のであ る。

これ はひとえに,規模の経済が機能 しな くな って きたか らである。そ してそ の理 由を彼 は簡潔 に述べている。世兎的な趨勢である貿易障壁 の除去 は大企業 に有利 にみえたが,実際 は小 さな企業に門戸を開放す る効果を もた らした こと であ る。次 に, コンピュータやテ レコ ミュニケー シ ョンが,小企業が大企業 に 対抗す るのに最強の武器 とな ることが明 らかにな ったのである

。.

又,金融市場 の規制の緩和 とグローバル化 によって中小企業で も容易 に資金 を調達で きるよ うにな り,そ して,消費者の噂好 に も国境がな くな り一つの巨大な市場 になれ ばな るほど,消費者の選択の幅が広が り, それが製品の差異化 をさらに進め, 市場 に無数のニ ッチ市場を生んだ ことによるとい

う 。

そ して経済の グローバル化 によ り地球上の どこで も高品質の製品をつ くれ る よ うにな った ことなどが上 げ られて いる

29)。

これは,一国の国内経済のみな らず国際間の問題で もある。情報化について いえば,多 くの コ ンピュータ産業や ソフ トウェア産業が生 まれた ことであ る。

そ して, それは自 らコンピュータを等 区使す ることによ って大企業 に対抗で き, ‑ それ ゆえ,先進国の大企業でな くて も,多 くの コンピュータ及 び情報通信産業 が成長 して いる。技術 も ドミニ クが言 うよ うに世界の最 も優れた技術を どこか

27)

3

参照

28)

F 資本主義,社会主義,民主主義』の中で,彼 は,資本主義のエ ンジ ンを起動 させ, その運動を継続 させ る衝動 は,企業が創造す る新消費財,新生産方法,新市場であ ると述 べてお り,今 日で は大企業 よ りもイノベイテ イブな中小企業が適 してい ると 言 え よ う

29)

3

参照

(18)

らで も入手で きるようにな ったのである3 0 )。

コンビ1‑夕は又, 「 コ ミュニケーション機器 (コンピュータ,テ レビ電信 の機能を備え るハ イブ リッ ド製品となることは間違いない)を製造 し, コミュ ニケーション用 イ ンフラ( 基盤)を整備 ,運営 し 地点

A

か ら地 点

B

‑のスムー ズな情報伝達技術を研究 し, コ ミュニケーシ ョン技術 と伝達 される情報の応用 分野を押 し広 げ,想像を絶す るはど数多 くの人 間活動の場を提供す るのであ

」 3り

と考え られ る。

それゆえに,脱工業化の最終点であ り,各国が この分野で しのぎをけず って いるの もうなず けよ う。そ こでアジアの情報化特 に

NIES

の状況をみること によって将来の成長をとらえることができるか らである。広義の情報化 といっ た場合,広 く全てのメディアが提供す る情報 によ る経済社会的効果を い

た とえば,情報チャンネルの性質か ら

3

つに大 きく分かれる。

1

つは,空間系 メ ディアであ り, ̀ ‑ 映画や演劇など, 一定の空間内でのみで情報を得 るものであ り,

2

つ 目は, パ ッケー ジ系であ り,これは新聞や本や ビデオや

CD‑ROM

といっ た 1つの個別 メデ ィアであ り,

3

つ 目が電気通信系メディアやある.そ してテ レビやラジオといったマス ・メディアが伝達情報量の

96%

を占めているのであ り,今 日においては最 も重要なメデ ィアであろう3 2 )。

上図か らみ ると,電話の

1000

人当た りの所有者が 日本が最 も多 いが, シン ガポール,台湾,韓国 もかなり高い割合である。それに対 して

ASEAN

加盟 国であるマ レーシアとタイではかな り低 くな り,イン ドでは大変少ないことが 分か る。これ はテ レビの設置比率 も同様である。しか し

,PC

1000

人当た り, 日本 は

150

台程度であ り,

NIES

諸 国 とはあまり大 きな差 はない。 これか らす ると

NiES

の諸国は数年 内には全 く日本 と差がな くな る可能性 もあ る。 これ

30)

週刊 ダイヤモ ン ド

,94・12・24

「ア ジアの成長 を支 え る 「 市場委任型」経済 」の中 で, ドミニ ク ‑トゥル クは, ベ ス トプ ラクテ ィスが世界 の ど こで も得 られ るので あ るか ら, 日本型 の開発 システ ムは時代遅れで あ ると言 い,かえ って , 日本の閉鎖性 が 日本経済発展 のボ トル ネ ックとな るとい う. I

3

1 )同上

32)

平成

5

年度通信 自書 ,

Pl17

,選択可能情報量 よ り

(19)

ア ジアの発展 と情 報化

アジア諸国の情事糾ヒ指数

0000nU00000000007654321

JapanSillgaPreTaiwan S.KoreaMalaysiaThailand lndia 田 Telephoneshhou. 田 TV/thou. Q PCs/thou. 鴎 GI)P/Population

10 〝AsialT Report",March,1995

よ り作成

Computer市場 単位 ・百万

3 2.5 2 1.5 1 0.5

0

223

Japanl Taiwan S.Korea Thailand india 田 Mainrrames

t

ヨPCs&WSs

11

10

と同 じ

は,企業,社会の情報環境 ( 情報イ ンフラ)の対等性 を意味す るのであ り, こ の面 における日本の優位性 は既 に失われっっある。

上記の図 は,

Computer

の国内市場規模 を表 しているが, 日本が規模的 に

は大変大 きい。しか しそれ 時人 口規模が台湾の 6倍, 韓国の 3倍 くらいであ り,

それを勘案すればあまり差がない。ただ大型機では日本が圧倒的に多い ことが

(20)

分か る。それ は, 日本が他のアジア諸国に先駆けて コンピュータの導入を図 っ た結果であると同時に世界的規模の企業が多 いことに由来 しよ う。

しか し,大型機 は現在,ダウンサイジング化の流れによ って小型機 に置 き換 わ りっつあ り, これがかえ って 日本の コンピュータの先進的使用方法には不利 になる可能性 もあ る

33) 0

次 に示す図 は,

IT

市場 とその一人当た りの規模である。

‑人当たりの

lT規模 500

4()0

30()

200 100

0

Japan S.Korea Taiwan India

図 1 2 図1 0と同 じ

これ によると

IT

市場規模 は日本が極 めて大 きい。 日本 は韓国の

35.6

倍, 台湾の71 .6 倍である。

これを

1

人当た りの

IT

規模で表現 して も, 日本 は韓 国の

12.7

倍,台湾の

12

倍である。

これかれ らすれば,ハ ー ドウェアの設置特 に PC設置 は 日本 と同 じくらい の比率であるといえよ うが,それに対 して情報技術の市場ではかな り出遅れて いるといえよ う (ただ,米国 と比較すれば, 日本 とア ジアとの技術格差 は小 さ いと言えるか もしれない) 。

33)

中央集 中処理か ら分散処理 システ ム‑ の移行が クライア ン ト/ サ ーバ方式 と して一

般化 しつつ あ る。 そ こで,かつて の ソフ トウエ アの膨大 な資産価値 を重視 し, それ

が新 システ ム化 への移行 を抑 制す ることに成 りかねない。

(21)

ア ジアの発展 と情 報化

次に示す図は,

GNP

に占める

IT

市場の比率である。

GNPに占め るIT市場率 (%) 2.5

2

1.5 1 0.5 0

225

Japan ShigaporeS.KoreaTaiwanThailand India

図1 3 図1 0 と同 じ

GNP

に占める

IT

市場率 は, 日本はアジアの中では一番であるが, シンガ ポールと比較す るとあまり変わ らない。韓国 も台湾 もかな り高い比率である。

しか も,成長率 は以下の図のようにシンガポール,台湾の成長率 は日本より もかな り高い。

アジアの各国の国内IT市場'93の成長率 (単位名 :%)

図1 4 図1 0 と同 じ

E

I nd

ia

Japan

Si

n g

apore

so

ut

h K o

r

e

a 国

T

a

i w an

T hai

la

nd

M

ai nl and

C

hi na

(22)

勿論, 日本のソフ トウェアが大 きくマイナスにな ったのはいわゆるバ ブル崩 壊にともなって生 じた ものであるが,別の面か らすれば 例えば,銀行の第

3

次オ ンラインのよ うな大 きなシステムがあ らかた完了 した ことも見逃せない。

又,ダウンサイジングの影響で, システムの規模が小 さくなったことがあげ ら れよう

しか も,

NIES

諸国に比べてかな り早 くか ら情報化が進んでいたため にその市場が成熟化 した ことも考え られ る。 しか し, このままではその成長力 か らして,情報化 については

NIES

に遅れをとることも有 り得 る。

国内15の構成割合

nUnUnU0nUnUハUnUOハU0nU9007654321

Japan Taiwan S.Korea lndja U.S.A 田 Packagedsoftware田 SI&Pro・Services 田 Net&Proc・Serv.

図1 5 図1 0 と同 じ

上図は,国内

IS

の構成割合を示 した ものであるが, 日本 は,情報サー ビス と専門サー ビスが大 きく,パ ッケージソフ トの比率が他の国に比べてかな り低 い。これ は日本の場合,企業内の基幹 ソフ トを企業 ごとに開発 したためである。

しか も,早 くか らソフ トウェア開発に着手 したことや,まだ当時は十分につか えるソフ トパ ッケージがなか ったことによる。 しか しこれによって新 しいソフ トウェアの流れに乗れない状況がお きている3 4 )。やは り,既存の ソフ ト資産

34)

バ ブル崩壊 によ る情報 システ ムの更新 や新規開発が抑制 されてお り,新技術 の対応 が遅 れつつ あ る. かつての

SISブームや BPR

論 もす ぐに陰 を ひそめ た状 況 で あ

る。

(23)

ア ジアの発展 と情報 化

227

にこだわ らず, リス トラの一環 として も,パ ッケージソフ トの比率を高めて行

くべ きであろ う。次の図は,情報セ クターの市場分野の割合を示 した ものであ る。

情報セ クターの市場割合

nUnU000000U00nU90076543211

Japan S.Korea Taiwan India 田Gaverment田Finance田Matlufacturing宙Other

図 16 図 10 と同 じ

日本 は他の国に比較 して政府系の需要が小 さい。 これに対 して,台湾や韓国 は

2

割程度ある。 これは, 日本の経済に占める民間部門の大 きさと成熟性を示 した ものであるともいえるが,反面,行政分野への情報化が遅れていることも 原因であろう

行政効率の向上 と多様な行政需要 に応え るために,その比率を

もっと高める必要 はあろ う3 5

) 。

しか しこれによって も,韓国や台湾の行政府 の地位の大 きさが分かろ う (これは先述の権威主義的開発体制の残存を物語 っ ていよう) 。

2‑2

情報 イ ンフラについて

アジア各国の情報イ ンフラの整備 も積極的に推進 されている。 これはク リン

35)"AsiaITReport",April1995

,

MarketlntelligenceCenter,Institutefor

lnformation

参照

(24)

トン政権の ゴア副大統領の NI I構想 に各国が大 きく影響を受けた ものである。

そ して このイ ンフラによって多 くの産業,生活への波及効果に期待が高まって いる

例えは 経済の成長性の確保 と競争力を高めることや,技術的優位性を維持 することや政府の効率性の向上 と市民生活の向上,そ してこの分野が各国とも大 きな成長がみこめるため雇用の機会の創出のために整備を急いでいるのである。

日本では,政府及び地方 自治体の効率化のために必要であるとの考え方が少 ない。ただ これか らは大 いにこの分野‑の応用を果たすべ きである。なぜな ら, 民間に比べて行政 システムにおける情報化が遅れていること,そ して財政の逼 迫か ら合理化が要請 されていること,そ して,内需振興の

1

つ ともなるか らで ある

。2010

年 までに光 ファイバ ー網 を家庭 まで敷設す る予定であ るが,現実 的にはその投資をだれが負担す るのか等 まだ十分に決 まっていないといえよう

( 投資額 としては毎年, 2 か ら 3 兆円もの額が必要であ り,それは, 日本の民 間投資額の

3.5%

にも達す るものである) 0

これに対 して, シンガポールは

IT2000

計画 によって,世界の先進国の

1

つになるために

15

年間で全ての家,オフィス,学校をネ ッ トワークで結ぶ計画 である。

そ して これによって高い効率性を有す るアジア世界の情報セ ンターになるこ とを目指 している。

台湾で は,地域オペ レーションセ ンターになることを目指 している。台湾の

N

I Iの戦略的 目標 は次の通 りである。 まず,工業の国際的競争力を高め,経 済発展を図 り, コンピュータ化の レベルをあげ,新 しい商業機会を創出 し,公 共部門の効率を高め,医療機関のサー ビスを改善 し,遠隔地教育や生涯学習を 広げることである。そ して市場対応 とマーケ ッ トメカニズムを重視 し,新 しい 技術のイ ンセ ンティブと新技術の輸入を促進す ること及びパ イロッ トプロジェ ク トを成功 させ,公正な競争の環境を築 くこと等,極めて包括的に情報 インフ ラの必要性を強調 しているのである3 6 )0

36)同上

(25)

ア ジ アの 発 展 と情 報 化 229 2‑3

人材について

アジア各国 とも経済の発展は技術力に裏打ちされた工業力であるとの認識に 立 って,それを支える人材教育 に力を入れている。そこで,次に示す図は,各 国の情報に関する人材教育の図である。

アジア各国の情報処理者数 (単位名 :1000人)

図 17 情報化白書 1993 よ り作成

まず, 日本の情報教育の問題点を一言で述べるな らは やはり画一的教育 と 受験競争の弊害であろう。 これ によって,今か らもっとも求め られてい くであ ろう創造的で革新的な人材の育成が阻まれ,新 しい情事馴ヒ社会‑の対応が遅れ ることが考え られる。たとえば,初等,中等教育 における情報教育の遅れがい ま大 きな問題 にな っている。

また,新 しい技術の波が今押 し寄せてお り,旧来の情報技術では対応が不可 能にな りつつある。そこで,新 しい技術に対応す るための再教育機関および手 法が待たれている。

つ ぎに台湾をみ ると,人数的には日本にはかなわないといえようが,大学教

育ではかなり力を入れている。 また,台湾は米国に留学す る数が相当多 く,彼

らはシリコンバ レーの重要な人的資源 となっている。その彼 らが台湾の経済水

準の向上 と国際関係の安定化によって本国に帰国す る例が多 くな り,非常に高

度な技術移転をもた らしている。その結果,最近,半導体の製造 も始まってお

り,あ らゆる工業製品 ( 資本財 も含めて)の国際的競争力を付 けつつあるとい

えよう

しか し,基礎研究および技術集積の層は先進国 と比較す ると見劣 りす

(26)

ると言わざるを得ない

37)0

おわ りに

以上,みて きた通 り,アジアの工業化はますます進み,経済水準 も急速に先 進国に近づ くであろう

それにつれてアジアの国際的地位 も一層高 まると同時

に,経済的摩擦 も大 きくなることが予想 される。

日本を除いたアジア諸国は,遅れて発展 しは じめたため,一方では急速に工 業化が進むとともに,他方,情報化 も同時進行的に進んでいる。 これは,アメ リカ及び欧州そ して 日本が脱工業化 とともに情報化が進んでいったのとは異な る経済発展のパ ター ンであると言えよう

韓国では DRAM ではかな りの シェアを上げ,台湾で はパ ソコンの周辺機 器が世界一の売上を誇 るだけでな く,パ ソコン本体のアジアの中での シェアは

日本 メーカを しのいでいる

38) .

・すなわち, コンピュータのコモディティー化が急速 に進むにつれて 日本 は苦 戦を強い られている。

しか しすでにみて きた通 り,アジアの

4

匹の龍であろうと日本であろうと, コンピュータの心臓部であ る

MPU

OS

にたい しては独 自技術 を もってい ない。その意味で はパ ソコンレベルで は もはや 日本 と

NIES

の技術的差 はな いと言え るのか もしれな い。

しか し,パ ソコンのマルチメディア化が最近急に起 こり,そのための主要な 技術 は日本の独壇場の もの も少な くない。

例えば, フラッ トディスプ レイには欠かせない液晶技術や音声及び画像の録 画媒体技術やカラー印刷技術などは極めて優位に立 っている。

日本は今後 ともこの分野の技術開発力を維持 して行かなければな らないであ ろ う。その反面, ビデオデ ッキなどの技術などはすでにキャッチア ップされて

37)

中華民国八十二年資訊工業年鑑,参照

38) 『ア ジア1995

』,中央公論

2

月号臨時増刊,

P233

以下

図 1 9 93 year 団 1 9 9 4year
図 7 図 2 と同 じ 近年の 日本の技術力の発達によって世界のどの地域 にも技術を輸出 している が,アジアを合計すれば北米をはるかに越えた技術輸出を行 っている ( ただ, 米国か らは技術導入は輸出よりも大 きいことは貿易外収支をみれば明 らかであ る) 。 又,台湾 と韓国に絞 って技術移転の状況をみたのが以下の図である。 韓国に対す る技術輸出はどの産業分野をみて も日本が大 きく,次にアメ リカ が続いてお り,両者を合わせれば ‑イテク分野では 8 0 % を越えていることが 分かる。
図 1 1 図 1 0 と同 じ は,企業,社会の情報環境 ( 情報イ ンフラ)の対等性 を意味す るのであ り, こ の面 における日本の優位性 は既 に失われっっある。 上記の図 は, Comput e r の国内市場規模 を表 しているが, 日本が規模的 に は大変大 きい。しか しそれ 時人 口規模が台湾の 6倍, 韓国の 3倍 くらいであ り, それを勘案すればあまり差がない。ただ大型機では日本が圧倒的に多い ことが
図 1 2 図1 0と同 じ これ によると IT 市場規模 は日本が極 めて大 きい。 日本 は韓国の 3 5. 6 倍, 台湾の71 .6 倍である。 これを 1 人当た りの IT 規模で表現 して も, 日本 は韓 国の 1 2
+2

参照

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